247 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 20:28:08.01 ID:j34tHZ+B0

外へ出て左に折れると細長い廊下が見えた。
先が霞んで見えなくなってしまうほどの長い廊下だ。

廊下の両壁には額縁に入った写真のようなものが見えたが、ブーン達は全力で走っているため詳しく確認はできない。

(´・ω・`)「走れっ! もっと速く走れっ!」

(;'A`)「なんなんだよ! くそう!」

ショボンに追い立てられるように4人は全力で走った。

(;^ω^)「ハアハアハア・・・」

(´・ω・`)「ブーン! しっかりと走れ!」

(;^ω^)「は、はいだお! あっ―」

ショボンの声に反応してスピードをあげようとした瞬間、ブーンは足がもつれて転倒した。
249 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 20:29:28.93 ID:j34tHZ+B0
川 ゚ -゚)「ドクオ待て! ブーンが転んだ!」

(;'A`)「な・・・!」

クーの声にドクオはあわてて足を止める。

ξ;゚听)ξ「ブーン! しっかりして!」

すぐ後ろを走っていたツンがブーンを抱き起こす。

(´・ω・`)「平気か!?」

(;^ω^)「大丈夫だお! ツンありがとだお!」

(´・ω・`)「よし、速く先へ!」

(;'A`)「いくぜ・・・!」

ショボンがそう叫ぶと、再び5人は走り始めた。


250 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 20:32:14.35 ID:j34tHZ+B0
エレベーターのドアが閉まった。

銀色に光る扉に何者かの影が移る。

きゅるきゅるきゅる・・・、と音を立てて何者かは動きを止めた。

从ヽ゚∀从「おやまあ、あの子は・・・ショボンちゃんじゃないかい・・・随分とたくましくなってるじゃないかい・・・」

肩まで伸びた白い髪。しわだらけの乾いた皮膚。窪んだ頬。濁った瞳。

从ヽ゚∀从「今回は逃がしゃあしないよ・・・クヒヒッ」

車椅子に乗った老婆は、望遠鏡をのぞきこみながら、ブーン達が走り去っていく様子を嬉しそうに眺めた。

从ヽ゚∀从「ひい、ふう、みい・・・と、5人・・・チームか・・・。まあ皆若そうだし、よしとするかいの」

老婆はクククと枯れた声で笑うと、望遠鏡を巾着へとしまい、車椅子に付いている手元のボタンを押した。

車椅子はぎゅるん、と音を立てるとブーン達に向かって一気に加速し始めた。

256 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 20:40:20.40 ID:j34tHZ+B0
(´・ω・`)「もう少しだ! スピードを緩めるな!」

ショボンは疲れが見え始め、動きが鈍り始めた4人を叱咤する

(;^ω^)「ハアハア・・・足が・・・言う事を・・・効かないお」

ショボンの叫び声が聞こえてくる。すぐ後ろにいるはずなのに、なぜか遠くから響いてくるようだった。

ブーンの足は鉛のように重くなっていた。

こんなに走ったのは何年ぶりだろうか。

(´・ω・`)「がんばってくれ! 頼む!」

ξ;゚听)ξ「ブーン、がんばって!」

肩で大きく息をしながら、ツンも声を張り上げる。


257 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 20:44:12.04 ID:j34tHZ+B0
(;'A`)「しっかりついて来いよ!」

川;゚ -゚)「その階段とやらはまだなのか!?」

クーも荒く息をしながら叫ぶ。

(´・ω・`)「正面に緑のドアが見えるだろ! あそこだ! もう少し―」

从ヽ゚∀从「ほれほれほれ!!! 急いで逃げーい! ほれ逃げーい!」

その時老婆の乗った車椅子が後方から追ってきた。

(;´・ω・`)「クソッ! もう来やがった! 前だけ見て走れ!」

(;'A`)「なんだよ何が来たんだよ!」

(;´・ω・`)「いいから走れ!」

258 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 20:45:07.73 ID:j34tHZ+B0
(;^ω^)「ヒイヒイ・・・心臓が・・・爆発しそうだお・・」

ξ;゚听)ξ「あれね! あのドアね!」

突き当たりに緑色に塗られたドアが見える。

(;´・ω・`)「早くあのドアへ!」

从ヽ゚∀从「そうはいかないよ! 逃がさないって言ったろ!」

老婆は車椅子の後部から、細長い筒状のものを取り出し、ブーン達に向けて構えた。

从ヽ゚∀从「最初は髪の毛がサラサラなお嬢ちゃん・・・アンタだよ!極楽へ逝きな!」

(;´・ω・`)「!」

老婆はクーの背中に筒の先端を向けると、手元の引き金を引いた。

260 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 20:47:53.61 ID:j34tHZ+B0
スポンッ、と先端から黒い玉がクーめがけて勢い良く飛び出す。
同時に、反動で車椅子の前輪がぐわっと持ち上がった。

(;´・ω・`)「みんな伏せろお!!!」

ショボンは叫びながら、斜め前方のクーに飛びつく。

川;゚ -゚)「うわっ!」

瞬間、鼓膜を切り裂くような炸裂音が廊下中に響き、壁の一部が吹き飛んだ。

(;'A`)「おわあ!」

クーの前にいたドクオは衝撃で宙に吹き飛ばされ、床に頭から叩きつけられた。

('A`)「・・・!」
263 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 20:55:27.65 ID:j34tHZ+B0
もうもうと煙が舞い、1メートル先も見渡せない。

ξ;゚听)ξ「ブーン! ブーン!」

ツンがうずくまったブーンに声をかける。

(;^ω^)「何が起こったんだお・・・地震かお!?」

ブーンはよろよろと立ち上がり辺りを見回す。

ξ;゚听)ξ「アンタ怪我してない!? 大丈夫!?」

(;^ω^)「平気だお・・・ツンは・・?」

ξ;゚听)ξ「あたしは・・・たぶん平気・・・」

264 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 21:00:40.70 ID:j34tHZ+B0
(;´・ω・`)「早く! ドアへ行くんだ!」

ショボンは背中に落ちた壁土を払うと、大声で叫んだ。

川;゚ -゚)「もう・・・平気だ・・・かばってくれてありがとう」

ショボンの下でクーの声がした。

(;´・ω・`)「無事が!? 早くドアへ!」

川;゚ -゚)「わ、わかった!」

クーが立ち上がり、走り出そうとした瞬間――。

从ヽ゚∀从「もう遅いよ」

――老婆がドアの前で笑っていた。

266 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 21:08:01.10 ID:j34tHZ+B0
(;´・ω・`)「くっ・・・・そう・・・」

从ヽ゚∀从「アンタも随分と立派になったねぇ・・・。えぇ? ショボンちゃん」

老婆は満面の笑みを浮かべてショボンに話しかける。

(;^ω^)「誰だお・・・ショボンの知り合いかお・・・?」

荒い呼吸を整えながらブーンは老婆を見た。

ξ;゚听)ξ「おばあちゃん・・・?」

川 ゚ -゚)「さっきのはあいつが・・・」

(;´・ω・`)「・・・逃げろ」

顔を老婆に向けたままショボンはブーンにささやく。

(;^ω^)「え・・・・?」

267 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 21:09:04.37 ID:j34tHZ+B0
从ヽ゚∀从「前会ったときゃ、アンタまだ新人のひよっこでさ、半べそ欠きながら皆の尻追いかけてたねぇ、えぇ?」

(;´・ω・`)「急いで逃げろ・・・ドクオは・・・ドクオは無事か?」

(;^ω^)「ドクオは・・・あっ・・・」

(;´・ω・`)「どうした? ドクオは無事か?」

ξ;゚听)ξ「ちょっと! ドクオ!」

ツンがドクオの元に駆け寄り肩を揺さぶる。

ξ;゚听)ξ「ドクオ! ねえドクオってば!」

川 ゚ -゚)「・・・死んでる・・・」

(;^ω^)「う、嘘だお・・・そんなはずないお・・・」

仰向けに倒れたドクオの瞳は見開かれ、ピクリとも動こうとはしなかった

268 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 21:10:27.05 ID:j34tHZ+B0
(;´・ω・`)「クソ! クソ! クソクソクソ!!!」

ショボンは気が狂ったように叫びだす。

(´;ω;`)「さっき誓ったばかりなのに! クソ! さっき誓った・・・」

从ヽ゚∀从「やれやれ、泣きベソかい・・・あんたらもダメなリーダーに当たっちゃったもんだねぇ、まあ、後悔するといいよ・・・あの世でね」

老婆は後部の荷物入れから鉄製の小箱を取り出すと、愛おしそうに撫ではじめた。

从ヽ゚∀从「あたしゃねえ・・・そのきれーいで透き通るような肌がねえ、大っ嫌いでねえ・・・見てるとねえ・・・」

老婆は箱の止め具をパチリと外し、クーを睨み付ける。

从ヽ゚∀从「ぐっちゃぐちゃにしたくなるんだよ!」

川;゚ -゚)「!」

(´;ω;`)「やめ・・・!」

老婆は箱を開けた。
270 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 21:11:32.57 ID:j34tHZ+B0
ξ;゚听)ξ「イヤァ!」

(;^ω^)「げぇ!」

川; ゚ -゚)「なっ!!!」

箱から緑色のゲル状のものが、クーの顔面めがけて飛び出した。

半透明のゲル状のものはウニウニと波打ち、瞬く間にクーの顔全体を覆う。

川   )「フガ!! フゴ!!」

クーは顔に付着した物体を必死にはがそうとしている。

从ヽ゚∀从「ヒヒ・・・苦しめ苦しめ・・・。さてと・・・」

老婆は満足そうに笑った。
278 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 21:16:35.96 ID:j34tHZ+B0
(;´・ω・`)「ブーン、クーの体を抑えててくれ!」

ショボンはポケットからナイフを取り出す。

(;^ω^)「これなんだお! ネバネバしたのが動いてるお!」

(;´・ω・`)「早く! 早くしないとクーが死んでしまう!」

(;^ω^)「わ、わかったお!」

从ヽ゚∀从「醜いねぇ、窒息死は・・・。糞尿を垂れ流してねぇ・・・品のかけらもなく死んでいくのさ。ああ醜い」

老婆は入れ歯をニャチャニチャ言わせながら、腰の巾着からカメラを取り出した。
280 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 21:17:35.15 ID:j34tHZ+B0
从ヽ゚∀从「若く美しい者が醜く死んでいく。最高の芸術だねぇ」

老婆はブツブツつぶやきながら、ファインダーを覗き、シャッターを切り始めた。

ξ;゚听)ξ「何、何なのこの婆さん・・・」

必死にクーを抑えるブーン達に向けて、フラッシュが次々とたかれる。

(;´・ω・`)「クー! 頼む! じっとしててくれ! 頼む!」

ブーンがもがき回るクーの体を羽交い絞めにすると、ショボンがナイフをクーの顔に近づけた。

川   )「グガ!! ググ・・・」

ショボンの声が聞こえたのか、クーの動きが止まる。

281 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 21:18:17.86 ID:j34tHZ+B0
(;´・ω・`)「大丈夫・・・絶対助ける・・・大丈夫・・・」

ショボンはクーの顔を覆っているゲル状の物体に、そっとナイフで突き刺し、スッと切り裂いた。

川  )「ハアハア・・・!」

切れ目からクーの口が現われ、激しく空気を吸い込んだ。

が、ゲル状の物体はすぐさま口を塞ごうと元に戻り始める。
283 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 21:21:37.05 ID:j34tHZ+B0
(;´・ω・`)「ツン! どこでもいいから切ってくれ!」

ショボンはクーの口の周りを両手で囲い、呼吸口を確保した。

が、ゲルはじわじわとショボンの手を昇り、ショボンの手ごと包み込もうとしている。

ξ;゚听)ξ「あ、う、うん!」

ツンはナイフを手に持つと、クーの傍にしゃがみ、頬の当たりにナイフを当て、慎重に引いた。

(;´・ω・`)「ダメだ浅い、もっと深くだ!」

ξ;゚听)ξ「クーちゃん、がんばって・・・!」

再び今度は深目に切り目を入れる。

284 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 21:23:03.71 ID:j34tHZ+B0
川   )「ウウウウ・・・」

ゲル状の物体は先ほどと同じように、グネグネと動き、裂け目を閉じた。

(;´・ω・`)「何度も切ってくれ!」

ξ゚听)ξ「わかった!」

ツンがナイフで裂くたびに、物体は再生する。

が、同時に二箇所は動かせないらしく、ツンが切り裂くたびに、ショボンの手を覆おうとしている物体の進行は、わずかだが止まった。

从ヽ゚∀从「いいねぇいいねぇ、題名は『豚共最後のあがき』にしよかねぇ」

またフラッシュがパッと光った。
286 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 21:30:01.16 ID:j34tHZ+B0
物体はじわじわとショボンの手を覆っていく。

(;´・ω・`)「ブーン! 僕の手の上に!」

(;^ω^)「わかったお!」

ブーンはショボンの上に両手のひらで丸を作りを重ねる。
クーの荒い呼吸が手のトンネルを通り抜けていく。

が、指の隙間からも物体は進入していく。

川   )「グ・・・ゲホッ! ゲハッ!」

(;^ω^)「ああ・・・! 口の中に入っちゃったお!」

クーが咳き込むたびに体が上下する。

(;´・ω・`)「く・・・動くと隙間ができてしまう・・・」

ξ;゚听)ξ「ああ・・・クーちゃんが死んじゃう!!」

川  )「グァ・・・・ゲハッ! 息・・・が・・・た・・・ハアハア・・・た・・・すけて・・・」

从ヽ゚∀从「その表情! これはピューリッツァ賞はもらったね!」

老婆は興奮気味にシャッター押し、フラッシュが光った。
291 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 21:43:29.38 ID:j34tHZ+B0
(*゚ー゚)「あれ・・・止まったみたい・・・?」

女性はドアの前へ立った。

(*゚ー゚)「おかしいな・・・開かない」

『開』ボタンを押しても、ドアは一向に開く様子はなかった。

(*゚ー゚)「もうヤダ・・・2時間も経ってるよ・・・帰りたいよ・・・ギコ君に会いたいよ・・・」

女性は両手で顔を覆うと、静かに泣き始めた。

次の瞬間ガクン、とエレベーターが揺れる。

そして一気に落下し始める。

(*;゚ー゚)「え? え? なに? 何なの? 出して! ここから出して イヤァァ!」

パニックに陥った女性は扉を叩くもエレベーターの落下は止まらない。

292 名前: ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/31(日) 21:45:28.79 ID:j34tHZ+B0
(*゚ー゚)「ああ・・・・・・」

あまりの恐怖に女性は気を失い、床に倒れこんだ。

女性は目を開ける。

エレベーターはいつのまにか止まり、ドアは開いていた。

(*゚ー゚)「あれ・・・? 止まってる・・・助かったのかな・・・」

女性は上体を起こし、しばらくぼんやりとドアの外を見ていた。

(*゚ー゚)「白い部屋・・・ダンスホールかしら・・・?」

その部屋に人の気配はまるでなかった。

(*゚ー゚)「とりあえず・・・このエレベーターは危険だわ・・・出てみよう・・・」

エレベーターから一歩足を踏み出す。

足音が不自然に大きく響いた。

(*゚ー゚)「なんか・・・変な感じ・・・ここ・・・あ、ドアがある」

女性はそのドアに向かって歩き出した。
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