3 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 21:46:05.92 ID:WpAOwHvH0
『ルームエレベーター』。動く生活空間。

( ^ω^)「すげえお・・・」

ξ゚听)ξ「これが動くの?」

川 ゚ -゚)「どれだけの資本が投下されてるんだ一体」

(´・ω・`)「さ、早くあがって。おっと靴は脱いでくれよ」

ブーンたちは玄関で靴を脱ぎ、一歩足を踏み入れた。

廊下を歩いていくと、右手にトイレ、バスがあり、廊下の奥には8帖ほどのリビング、そしてリビングの右隣には6畳の和室があった。

リビングには3人用のソファがひとつと、楕円形のテーブルと椅子が6つ置いてある。

ソファにはドクオが寝かされていた。

4 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 21:46:57.32 ID:WpAOwHvH0
お部屋の中はこんな感じ
http://boonpict.run.buttobi.net/cgi-bin/up/src/boonpic_0434.jpg


5 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 21:47:54.31 ID:WpAOwHvH0
(´・ω・`)「まあ、そのうち起きるだろうから、買い物に行くのは彼が起きてからにしようか」

ドクオは仰向けに寝かされ、スヤスヤと寝息を立てている。

( ^ω^)「綺麗な部屋だお」

ξ゚听)ξ「システムキッチンまでついてる・・・」

川 ゚ -゚)「ずいぶんと快適な暮らしができそうだな」

(´・ω・`)「前回使っていたのはこれよりも狭くて汚かったな。新築が当たったんだろうね。僕らは運がいい」
8 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 21:49:08.39 ID:WpAOwHvH0
ξ゚听)ξ「へえ・・・」

(´・ω・`)「さて、悪いが僕はシャワーを使わせてもらいたい。何せしばらく入れないままだったからね」

( ^ω^)「どうりで、何か臭うと思ったお・・・」

ξ゚听)ξ「はっきり言うの悪いから、ずっと黙ってけどね」

川 ゚ -゚)「早く浴びて来い」

(´・ω・`)「ははは、一番風呂すまない」

ショボンは荷物をリビングに置くと、風呂場へ消えていった。

( ^ω^)「ところでお・・・」

ξ゚听)ξ「なに?」

( ^ω^)「おなか空いたんだけどお・・・」
10 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 21:50:53.42 ID:WpAOwHvH0
川 ゚ -゚)「そういえば、ずっと何も口にしてないな」

ξ゚听)ξ「あたしも。人間気が動転するとお腹が空くことも忘れちゃうのかしら」

( ^ω^)「・・・冷蔵庫に何かないかお」

ブーンは冷蔵庫の前まで走り、ドアを空けた。

( ^ω^)「あ! すげえお! ギッシリ入ってるお! とりあえずボンレスハムいただきますお!」

ブーンはそう言うなり、冷蔵庫の物を片っ端から口に入れ始めた。

ξ゚听)ξ「ちょっと! あたしにもよこしなさいよ!」

川 ゚ -゚)「なんて意地汚いやつだ」

そう言いながらも、3人は先を争うように食べ始める。

('A`)「ウーン・・・残業代くれよお・・・ムニャ・・・」

ドクオはソファの上で寝返りを打った。

11 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 21:54:13.17 ID:WpAOwHvH0
(´・ω・`)「やれやれ・・・初期の食料をほとんど食べてしまうなんて・・・」

ショボンが風呂から上がると、残りの3人は膨らんだ腹をさすりながら、和室の畳の上でゴロンと横になっていた。

( ^ω^)「お? ショボンヒゲ剃ったのかお? ずいぶんサッパリしたお」

ξ゚听)ξ「これであのうっとおしいヒゲ面拝まなくてすむわね」

川 ゚ -゚)(ヒゲ剃ると阿○寛似のイケメンじゃないか・・・)

(´・ω・`)「まあね、後は床屋にでも行けば、髪も切れるんだけどね」

ショボンの髪は後ろにまとめられていた。軽くウェーブのかかった髪が背中の辺りに垂れている。

( ^ω^)「それにしても一気に食いすぎたお」

ブーンは仰向けになりながら、膨らんだ腹を愛おしそうに撫ぜた。

ξ゚听)ξ「あ、次お風呂入っていい?」

12 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 21:55:05.55 ID:WpAOwHvH0
川 ゚ -゚)「どうぞ」

(´・ω・`)「・・・僕も何かいただこう」

川 ゚ -゚)「どうぞ」

3人が風呂から上がってもドクオは目を覚まさなかった。
それどころか先ほどより熟睡しているように見える。

('A`)「・・・ボーナスカットらめぇ・・・」

(´・ω・`)「今日はもう休もうか」

( ^ω^)「お腹いっぱいになったら眠くなったお」

ξ゚听)ξ「ホント。色々あって疲れたわ」

13 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 21:56:04.28 ID:WpAOwHvH0
川 ゚ -゚)「制服のまま寝るのは気が進まんが、仕方あるまい」

ξ゚听)ξ「あたしなんかスーツよ。まあ寝るときは脱ぐけど」

(´・ω・`)「じゃあ僕とブーンはリビングで寝るから、君たちはここの和室使うといいよ」

ξ゚听)ξ「気を使っていただいて、どうもありがとう」

(´・ω・`)「いえいえ」

川 ゚ -゚)「寝る場所などどこでもかまわんが」

( ^ω^)「あのう・・・」

(´・ω・`)「ん?」

( ^ω^)「ブーン、畳の上じゃないと寝れないんだけどお・・・」


14 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 21:56:56.47 ID:WpAOwHvH0
(´・ω・`)「これからはどこで寝る事になるか分からないよ」

( ^ω^)「そうかお・・・」

(´・ω・`)「それに後々のことも考えると、一応男女で分けておいたほうがいいからね」

ξ゚听)ξ「別にコイツだったら何が起きるわけでもないし、構わないけど」

川 ゚ -゚)「この部屋にいるときくらい、しっかり休んだ方がいいと思うが」

(´・ω・`)「そうか・・・じゃあ和室は3人が使ってくれ。僕とドクオはリビングで寝るよ。あ、布団が押入れに入ってるはず」

( ^ω^)「ありがとだお」

(´・ω・`)「じゃあ、また明日これからの詳しい事を話すよ」


ブーン達はそれぞれ布団を敷くと、電気を消し眠りに入った。
17 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 21:59:01.15 ID:WpAOwHvH0
( ^ω^)「・・・・・・」

暖かい布団にくるまれていると、当面の不安はなくなり、ここが地中深くだということを忘れてしまう。

なかなか眠りにつけないブーンは、リュックの中から手探りで携帯電話を取りだした。

薄暗い部屋に携帯の明かりが、ぼうっと光り、ブーンの顔をぼんやりと照らす。

画面の左上には、相変わらず圏外の文字がこびりついていた。

( ^ω^)「・・・・・」

最後に受信したメール。

ブーンが面接の前に、あのビルに足を踏み入れる前に受信したメール。

それはカーチャンからのメール。
19 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 22:03:19.14 ID:WpAOwHvH0
――ブーン、面接の前は落ち着いて深呼吸するのよ。帰ったらブーンの好きなカレー作っておくからね。職場から応援してます。がんばってね。

( ^ω^)「カーチャン・・・」

今頃心配してるだろうか? あれからもう2日も経ってる。心配してないはずがない。警察に行っただろうか? ちゃんと寝れているだろうか・・・。

ブーンは母のことを思う。 
 
カーチャン・・・。

3歳の時に離婚してから、必死に働いてブーンを育ててくれたカーチャン。

いなくなった父の分まで厳しく。

その厳しさの何倍も優しく。

カーチャンはブーンに愛を与え続けた。
21 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 22:04:44.96 ID:WpAOwHvH0
ブーンは他のどんな家庭よりも母の愛を受け育ってきた。
そのことはブーン自身が一番分かっている。

( ^ω^)「・・・・・・」

だがブーンは今まで散々母には心配と迷惑をかけてきた。

高校卒業後に就いた仕事をたったの5日で無断退職。
以後3年間、働きもせず毎日ダラダラと過ごしてきた。

そんなブーンを必死で叱り励まし、時に慰めてくれたカーチャン。
辛抱強く、あきらめることなくブーンの背中を押し続けたカーチャン

22 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 22:05:26.07 ID:WpAOwHvH0
このままではダメだ。
母が老いたら、誰が面倒を見るんだ。
今までかけた迷惑の分、もらった恩の分、自分がカーチャンを支えなければならない。

長い時間はかかったけど、ようやくそう決心できた。

そして社会へ出て行く第一歩に選んだアルバイト。
その面接へ向かう途中のエレベーター。

それがこんなことになるなんて・・・。

( ;ω;)「う・・・・・」

ブーンは静かに涙を流した。
23 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 22:06:29.42 ID:WpAOwHvH0
訳の分からないものに巻き込まれた不安からではない。
母が自分のことを死ぬほど心配している。

それだけが居たたまれない。
胸が苦しい。締め付けられるように苦しい。
同じ苦しみを母は今味わっているのだろうか。

なんとか自分は無事なのだと、必ず戻るからと、それだけでも伝えたかった。

( ;ω;)「心配ばかりかけて・・・ごめんだお・・・カーチャンごめんだお・・・」

ブーンはそっと携帯電話を閉じると、枕元に置いた。
そしてあふれだす涙をとめるように目を閉じた。

ξ゚听)ξ「・・・ブーン・・・」
29 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 22:20:26.74 ID:WpAOwHvH0
(*´・ω・)「ハアハアハア・・・」

リビングでは闇の中、ショボンの体が上下に揺れている。

('A`)「ウーンウーン」

(*´・ω・)「クッ・・・まだまだ・・・」

揺れはさらに激しさを増す。

(*´・ω・)「く・・・もうだめだ・・・」

('A`)「ウーン・・・」

(*´・ω・)「だが後少し・・・堪えろ・・・」

(*´・ω・)「ウウッ! もう限界だ!」

ショボンは大きく息を吐き出すと布団の上に倒れこんだ。
34 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/29(金) 22:24:15.48 ID:WpAOwHvH0
ショボンは大きく息を吐き出すと布団の上に倒れこんだ。

(´・ω・`)「ふう・・・腕立て100回完了と・・・後は腹筋だな」

再びショボンの体が激しく動き出した。

('A`)「仕事が終わらないよぉ・・・ウーンウーン」

川 ´-`)「・・・そこでムツゴロウは反則だ・・・むにゃ」

('A`)「俺はイエスマンにはならねえ・・・ムニャ」
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