- 152 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:10:00.69 ID:ftoyVGG90
- ('A`)「君らも屋上に行くつもりだったのか?」
男はタバコを口にくわえながらブーンに聞いた。
( ^ω^)「そうだお。イベントスタッフの面接があったんだお」
ξ゚听)ξ「そしてあたしがその面接官」
('A`)「ははは、そりゃすげえ巡り合わせだな」
笑いながら男はポケットからジッポーを取り出す。
川 ゚ -゚)「すまんが、密室でのタバコはひかえてくれないか。喘息でな」
('A`)「おっと、そりゃ悪かった。気がゆるんでタバコが吸いたくなったもんでな」
川 ゚ -゚)「ご理解、感謝する」
- 153 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:11:06.20 ID:ftoyVGG90
- ( ^ω^)「取材って言ってたけど、おじさんは何の記者さんかお?」
(;'A`)「お、おじさんて・・・お前、俺まだ27だぞ・・・多少老けてるかもしれないけどよ・・」
川 ゚ -゚)「27には見えないな」
(;'A`)「最近の女子高生はハッキリともの言いやがる・・・」
ξ゚听)ξ(あたしより2つ年上か・・・10くらい年上かと思ってたわ)
( ^ω^)「悪かったお。ブーンは今年で22だから、5つ上かお」
('A`)「お前ブーンっていうのか。変な名前だな」
( ^ω^)「ホントは内藤ホライゾンって言うんだお、ブーンはあだ名だお」
- 154 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:12:09.86 ID:ftoyVGG90
- ('A`)「へえ、ちびまるこちゃんみたいなもんか。ああ、俺の名前はドクオだ。某週刊誌で記者やってる」
ξ゚听)ξ「へえ、あたしその週刊誌読んだことあるわ」
('A`)「おっ、姉ちゃん若いのになかなか見所あるじゃないか」
ξ゚听)ξ「彼氏が定期で取ってたから、ちょっと読んだだけよ」
(*^ω^)(彼氏がいるのかお・・・こんな綺麗なお姉さんと毎日ハメまくれるなんて、うらやまし過ぎるお)
川 ゚ -゚)「記者なら、ここのビルのこと何かしらんのか?」
('A`)「さあな、俺はスポーツライターだからな。社会部の連中ならなにか知ってるかもわからんが」
川 ゚ -゚)「そうか」
ξ゚听)ξ「あっ・・・止まった」
('A`)「おっ、やっと出られるってか」
- 155 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:12:56.83 ID:ftoyVGG90
- ドアはゆっくりと開いた。
(;^ω^)「お・・・・」
ξ゚听)ξ「えっ・・ちょっと・・・」
(;'A`)「おいおい!?」
川 ゚ -゚)「なんだこのにおいは・・・」
- 156 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:13:37.12 ID:ftoyVGG90
- 目の前は闇だった。
エレベーター内の照明以外、光は一切確認できない。
(;^ω^)「霧かお・・・・?」
湿った空気がエレベーター内に流れ込んできた。
ξ゚听)ξ「ここ本当にビルの中?」
(;'A`)「停電じゃねえの!?」
川 ゚ -゚)「ジャングルだ」
- 159 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:15:39.11 ID:ftoyVGG90
- 確かにジャングルだった。エレべーターからかすかにもれる光が、悠々と生い茂る草木を照らしている。
同時に獣のような叫び声が、遠くのほうから聞こえてきた。
(;^ω^)「お、おかしいお! ここは東京のど真ん中だお!」
(;'A`)「頭がイカれちまったのか・・・」
ξ;゚听)ξ「・・・でもアトラクションとか植物園かもしれないわ・・・」
川 ゚ -゚)「その可能性もあるな」
ξ;゚听)ξ「ちょっとみんな静かにして!」
(;^ω^)「お・・・・?」
(;'A`)「・・・?」
川 ゚ -゚)「何かが近づいてくるぞ」
- 161 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:16:26.48 ID:ftoyVGG90
- ガサゴソという草を掻き分ける音と、ザッという大地を踏みしめる音。
音は徐々に大きくなり、それは音の主がこちらへ近づいてくることを意味していた。
4人は一斉にエレベーターの一番奥まで下がる。
(;^ω^)「なんだお!? 何が来るんだお!?」
(;'A`)「知るかよ! お前もっと前行けよ!」
- 162 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:17:14.79 ID:ftoyVGG90
- (;^ω^)「ちょ、押さないでくれお!」
(;'A`)「俺たち明かりで丸見えじゃねーかよ! やべえよ!」
(;^ω^)「早く扉を閉めるお!!」
(;'A`)「どうやって閉めるんだよ! 閉まんねーよ!」
ドクオは『閉』のボタンを何度も押したが、ドアが閉まる気配は一向にない。
川 ゚ -゚)「お前ら落ち着け」
ξ;゚听)ξ「これだから男は・・・あっ、足音がやんだわ・・・」
- 163 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:18:12.52 ID:ftoyVGG90
- 4人は耳を澄ました。
聞こえてくるのは4人の荒い呼吸音。鳥の鳴き声。その鳥が飛び立つ音。川の流れる音。
先ほどの何かが動く音は消えていた。
(;^ω^)「・・・・・・ほんとだお」
(;'A`)「俺たちの様子を伺ってんじゃねえか・・・」
川 ゚ -゚)「・・・・・・」
ξ;゚听)ξ「もうやだ・・・帰りたい・・キャア!!!」
その時闇から何かが飛び出した。
- 164 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:18:52.30 ID:ftoyVGG90
- (;^ω^)「うわっ!!」
(;'A`)「ぎゃあああああ!!」
川;゚ -゚)「!」
(´・ω・`)「ハアハア・・・人だ・・・人が喋ってる・・・目の錯覚じゃなかった・・・」
エレベーターの照明が照らし出したのは、背の高い男の姿だった。
ヒゲが顔一面を多い、髪は肩まで伸び、所々破れた迷彩服を着ていた。
- 165 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:19:25.79 ID:ftoyVGG90
- (;^ω^)「誰だお・・・・!?」
(;'A`)「なんか喋ってる・・・」
川 ゚ -゚)「・・・・・・・」
ξ;゚听)ξ「ちょっと、こっちこないで!」
ツンは男が伸ばした手を、払いのけるようにして、エレベーターの反対側へと素早く移動した。
(´・ω・`)「あ・・・すまない。つい本物かどうか確かめたくて・・・」
- 166 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:23:21.50 ID:ftoyVGG90
- (;^ω^)「・・・お、おじさん誰だお?」
ブーンの声は震えている。
(´・ω・`)「うん、まあ話は後だ。ここはあまり長居しないほうがいい」
男はそう言うとエレベーターの『閉』ボタンを押した。
(;'A`)「それ押しても動かな―」
ドクオそういい終わる前に、エレベーターのドアは静かに閉まった。
( ^ω^)「閉まったお!」
(;'A`)「なんで・・・」
そしてエレベーターはゆっくりと動き出す。
- 168 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:24:17.78 ID:ftoyVGG90
- (´・ω・`)「ははは、なるほどね。新しい味方を下さったというわけか!」
男は面白くてたまらないという風に肩を揺らして笑う。
4人は男のその様子を不気味そうに眺めていた。
川 ゚ -゚)「おい、お前は一体誰だ」
女子高生は男をじっと見ながら聞く。
(´・ω・`)「僕かい? 僕は名も無きただの中年さ。見ての通りね」
(;^ω^)「ただのおじさんには見えないお・・・」
- 169 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:25:48.53 ID:ftoyVGG90
- (´・ω・`)「まあ、さっき言ったように詳しい話は後だ。とりあえず簡単な自己紹介だけしとこう」
川 ゚ -゚)「・・・・・・」
(´・ω・`)「僕の名前はショボン。昔は証券会社のサラリーマンやってた。今は・・・なんだろうな、まあ冒険者とでも言っておこうか」
男はそう言うと、口をゆがめて少し笑った。自虐的な笑いだった。
ξ゚听)ξ「冒険者・・・?」
('A`)「ここを冒険してるってわけか?」
- 170 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:26:28.30 ID:ftoyVGG90
- (´・ω・`)「まあそんなとこだ。好きでやってるわけじゃないけどね。ま、君らの先輩ってことだね。よろしく」
( ^ω^)「・・・さっぱり意味がわかんないお」
(´・ω・`)「まあそのうち分かるさ。嫌でもね。おっと君らの名前も聞いておこうか。これから長い付き合いになるんだしね」
('A`)「長い付き合いって・・・こんなとこさっさとオラサバして、帰りたいんだが・・・」
ξ゚听)ξ「そうよ。こんなとこに、いつまでもいたくないわ」
( ^ω^)「とにかくこのビルの関係者を呼んでほしいお」
- 171 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:27:01.90 ID:ftoyVGG90
- (´・ω・`)「早く帰りたいんだったら、なおさらさ。まずお互いを知ろうじゃないか。そこの君、名前は?」
(;^ω^)「ブーンだお・・・」
(´・ω・`)「へえ。学生?」
( ^ω^)「NEETだお」
(´・ω・`)「そうか。何かスポーツ経験は?」
( ^ω^)「・・・ないお」
- 174 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:27:59.17 ID:ftoyVGG90
- (´・ω・`)「そうか・・・君は?」
('A`)「・・・ドクオだ。週刊誌の記者をやってる」
(´・ω・`)「なるほど、記者さんだけあって頭はキレそうだ。鋭い目をしてる。君は頼りになりそうだな」
('A`)「・・・・・・・」
(´・ω・`)「はい、次はそこの女子高生」
川 ゚ -゚)「クーだ。都内の高校3年だ」
(´・ω・`)「その制服は私立VIP高校だね。弟が通ってたよ。今ごろどうしてるんだかね・・・」
男はふうっとため息をつくと、ツンのほうを見た。
- 179 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:29:28.88 ID:ftoyVGG90
- (´・ω・`)「最後はお姉さん。頼んだよ」
ξ゚听)ξ「アナタみたいなわけのわかんない人に、名前なんて教えてたくないわ」
(´・ω・`)「まあまあ、お互いのことがわからないままだと、協力なんてできっこないんだ。ここではチームプレイが命だからね」
ξ゚听)ξ「協力なんてする気なんてないって言ったでしょ!」
川 ゚ -゚)「このおっさん色々知ってそうだから、今は言う通りにしたほうが賢明だぞ」
- 185 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:33:32.01 ID:ftoyVGG90
- (´・ω・`)「君はなかなか頭がいいね。この一年で女子高生も随分と変わったもんだ。あ、ちなみに中年とは言ったが僕は30になったばかりだ。オッサン呼ばわりはやめてくれ」
ξ゚听)ξ「ツンよ」
ツンは事務的な声で言った。
(´・ω・`)「ご紹介ありがとう。今はこのくらいでいだろう。さてと、まだ時間がかかりそうだ・・・」
ショボンと名乗った男は床にどっかりと座ると、腕時計を見て時間を確認した。
( ^ω^)「あっ! その腕時計! ブーンのじゃないかお!」
(´・ω・`)「ん・・・? ああ、ここの床に散らばってたものって、ひょっとして君のだったのか?」
- 190 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:35:07.25 ID:ftoyVGG90
- ショボンは背中に背負っていたデイパックをごそごそと引っ掻き回すと、リュックを引っ張り出した。
( ^ω^)「サイフに携帯! タバコも! あとiPODと漫画とDSも無かったかお?」
(´・ω・`)「残りは全部捨てた」
(#^ω^)「ちょ!!!」
(´・ω・`)「ここではあんなもん役にたたん。邪魔なだけだ」
ξ゚听)ξ「ちょっとあたしのは!?」
(´・ω・`)「ねーちゃんのは・・・ああ、これかな」
- 191 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:36:03.55 ID:ftoyVGG90
- 男はこまごましたものを床に放り投げる。
ξ゚听)ξ「携帯にサイフ・・・腕時計、手帳類・・・ねえ、ポーチは?」
(´・ω・`)「ビタミン剤と栄養ドリンクはもらった。あとは捨てた」
ξ#゚听)ξ「ちょっと! ふざけないでよ!」
(´・ω・`)「まあまあ、そのうちわかってくるから」
ξ#゚听)ξ「弁償しなさいよ!」
(#^ω^)「ブーンの買ったばかりのDSもだお!」
- 192 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:37:18.49 ID:ftoyVGG90
- 川 ゚ -゚)「おい、そんなことよりこのエレベーターさっきから横に動いてるぞ」
(#^ω^)「お・・・?」
('A`)「ほんとだ・・・ありえねえ・・・」
(´・ω・`)「そうか。普通のエレベーターは上下しか動かないんだったね」
川 ゚ -゚)「どうゆうことだ」
(´・ω・`)「まあ、このエレベーターは普通じゃないってことだね、早い話」
- 201 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:45:12.62 ID:ftoyVGG90
- ξ゚听)ξ「ねえ、いったいここは何なの? もったいぶらいないで教えなさいよ」
川 ゚ -゚)「少なくとも地上じゃなさそうだ」
(´・ω・`)「そうそう、君は・・・クーちゃんだっけ? 頭がいい。ここは地下だよ」
ξ゚听)ξ「うそ・・・」
('A`)「確かに地上のビルに、こんだけの距離を横に移動できるスペースないものな」
( ^ω^)「いつのまに地下にもぐったんだお・・・」
(´・ω・`)「そんなことより、もうすぐ着くみたいだ。みんな扉から離れて」
ショボンはそう言うと、ズボンの横に吊るしたホルスターから銀色に光る拳銃を取り出した。
- 202 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:48:52.19 ID:ftoyVGG90
- (;'A`)「おいおい・・・なんでそんなモン持ってんだよ・・・」
(;^ω^)「本物かお?」
ξ;゚听)ξ「やだ怖い・・・」
銃を見るとツンはブーンの後ろにさっと隠れた。
(;^ω^)「おっ?」
川 ゚ -゚)「シグ・ザウエルのP230・9mmショート」
(´・ω・`)「へえ、シグなんとかっていうのかコレ」
- 204 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:52:20.80 ID:ftoyVGG90
- 川 ゚ -゚)「有名な銃だぞ。知らないのか?」
(;'A`)「おいおい、女子高生がなんで銃に詳しいんだ・・・」
(´・ω・`)「そんなことより、早く一番後ろに下がっておくことをオススメする」
ショボンは銃の安全装置が外れたことを確認すると、扉へ銃口を向けた。
(;'A`)「あのさ、ちょっと聞いていい?」
- 207 : ◆X7SXtDCjvQ :2006/12/22(金)
22:54:57.21 ID:ftoyVGG90
- (´・ω・`)「どうぞ」
(;'A`)「扉が開いたらさ、いきなり何か飛びかかってきたりしないよね?」
(;^ω^)「ひい・・・・」
ξ;゚听)ξ「ちょっと、ねえ、大丈夫なの?」
ブーンを盾にしたツンが怯えた表情で尋ねる。
川 ゚ -゚)「・・・・・」
(´・ω・`)「まあそれは僕も知らない。神のみぞ知るってやつさ」
ショボンは意味ありげに微笑むと、再び銃を構える。
(´・ω・`)「さあ、開くぞ・・・」
エレベーターは動きを止める。
ドアがゆっくりと開いた。