- 363 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 03:18:44.90 ID:/Cxm3Sis0
- ピンポピンポーン!
*(‘‘)*「あ! ママだ!」
('A`)「なんでわかった?」
*(‘‘)*「二回鳴らすのはママなんだよ?」
*(‘‘)*「二回鳴った時だけ鍵開けていいの」
('A`)「俺の時思いっきりインターホン一回で開けてたじゃん」
*(‘‘)*「迷ったんだよー」
*(‘‘)*「なんか開けたほうがいいような気がしたんだもん」
('A`)「ふうん」
*(‘‘)*「それよりママにおかえりしないと! ママー!」
('A`)「おい待て! 俺はどうしたらいいんだ!」
('A`)「いきなりこたつ入った状態でどうもお邪魔してますと挨拶できるだけの根性はないぞ!」
- 369 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 03:25:30.89 ID:/Cxm3Sis0
- *(‘‘)*ガチャガチャ
*(‘‘)*ガチャ!
*(‘‘)*「ママー!」
(゚、゚トソン「こら、いきなり飛びつかないの。びっくりしちゃうでしょ」
*(‘‘)*「おかえりなさい! おしごとおつかれさま!」
(゚、゚トソン「はいはいただいま」
(゚、゚トソン「ごめんね。今日水曜日だから、一人で寂しかったでしょう」
*(‘‘)*「今日はおうちでも元気なままだったよ!」
(゚、゚トソン「あらそうなの。よかったわねぇ。ところで――」
(゚、゚トソン「後ろの方はどなた?」
('A`)「あ、どうも……」
- 373 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 03:28:28.80 ID:/Cxm3Sis0
- *(‘‘)*「おじちゃんは爆弾をやっつける人なんだよ!」
(゚、゚トソン「爆弾?」
*(‘‘)*「そう! プロなんだぞーすごいよ?」
(゚、゚トソン「……うちの子を騙して?」
('A`)「違うんです。お母さん。落ち着いて僕の話を聞いてください」
(゚、゚トソン「ヘリカル、何か変なことされなかった?」
*(‘‘)*「そんなことないよ! おじちゃんやさしかった!」
*(‘‘)*「いっしょに遊んでくれたもん!」
*(‘‘)*「だから今日は元気いっぱい!」
(゚、゚トソン「……遊んで……?」
('A`)「深い意味なんてないんです。そのまんまの意味なんです」
- 376 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 03:34:08.63 ID:/Cxm3Sis0
- (゚、゚トソン「あなたは何者なんですか?」
(゚、゚トソン「返答次第では最寄りの交番までついてきてもらいますが」
('A`)「自宅に上がり込んでおいて『怪しい者ではない』と言っても説得力ゼロでしょう」
('A`)「身元を明かしますと、セールスマンです。なんの変哲もない」
('A`)「たまたまお宅を伺った際におじょうさんに気に入られまして……」
(゚、゚トソン「爆弾がどうとかいうのは」
('A`)「あれはその場を盛り上げるための嘘なんです」
('A`)「よくある話じゃあないですか。お母さんも子ども相手によくやるアレですよアレ」
*(‘‘)*「うそ? うそなの?」
('A`)「違う違う違うお兄さんは『うん、そう』って言ったんだよー」
*(‘‘)*「おじちゃんはえんまさまにまっこうから立ち向かうなー」
- 377 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 03:38:31.18 ID:/Cxm3Sis0
- ('A`)(クソッ……この窮地を打破するには……!)
('A`)(……ある……必殺のアイテムはある……)
('A`)(ICレコーダー……!)
('A`)(これに録音した会話を聞かせれば……俺がなんの悪戯もしていないことは明白……)
('A`)(そしてセールスマンは法務上使用が義務付けられていると弁明すれば……!)
('A`)(……しかし……)
('A`)(若干の……)
('A`)(若干のバイブを臭わせる発言まで収録されている……!)
('A`)(出来ぬっ……出来ぬっ……)
*(‘‘)*「ママ」
- 382 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 03:44:44.66 ID:/Cxm3Sis0
- (゚、゚トソン「……なんですか」
*(‘‘)*「おじちゃんのことわるい人だと思ってる?」
(゚、゚トソン「悪い人どころか重罪人だと思っています」
('A`)「誤解なんです信じてください」
*(‘‘)*「おじちゃんいい人だよ?」
(゚、゚トソン「これは……ストックホルム症候群」
('A`)「そのセンテンスを出されると非常に立場が厳しくなってまいります」
*(‘‘)*「わたしからおじちゃんにいっしょにママを待ってって言ったんだもん」
*(‘‘)*「わたしのお願いだったの」
(゚、゚トソン「それは本当に?」
*(‘‘)*「ほんとだよ」
- 386 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 03:55:00.98 ID:/Cxm3Sis0
- *(‘‘)*「おじちゃんはわたしのわがままを聞いてくれたんだよ?」
*(‘‘)*「おじちゃんのおかげで今日はぜんぜんさみしくなかったから」
*(‘‘)*「とってもいい人だよー」
(゚、゚トソン「……成程……」
(゚、゚トソン「……手なずけた、と」
('A`)「無実が認められる日はいつになるんですか」
(゚、゚トソン「しかし確かに、娘に孤独感を与えてしまっていたことに関しては私の責任もあります」
(゚、゚トソン「この一年弱の間は辛い想いをさせていました……」
(゚、゚トソン「振り返ってみると、今日の『おかえり』の笑顔は普段の三割増しでした」
*(‘‘)*「それにおじちゃんはおでこビームのロボットのことも知ってたよ?」
(゚、゚トソン「あなた……ZZに理解が!?」
('A`)(お前の趣味かよ)
- 392 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 04:05:51.53 ID:/Cxm3Sis0
- (゚、゚トソン「機動戦士ガンダムZZ……」
(゚、゚トソン「一般に1st、Zと続いてUC三部作と称される作品ですが……」
(゚、゚トソン「その評価は極めて低い」
('A`)「ハゲの黒いほうのエッセンスが薄いですからね、序盤」
(゚、゚トソン「ですが後半のシリアス展開こそが白眉……」
(゚、゚トソン「それを分からずプルがかわいいだけのアニメなどと誹謗中傷を受けます」
('A`)「それは僕も苦々しく思います。ちょっとだけねちょっとだけ」
(゚、゚トソン「それとですね」
(゚、゚トソン「近頃の羽付いたガンダムがやれ無双機体だの言われていますが」
(゚、゚トソン「私はZZこそが元祖無双機体だと思っております!」
('A`)(でも1stのアムロかウッソが一番撃墜数やばいんじゃなかろうか)
- 395 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 04:11:25.86 ID:/Cxm3Sis0
- (゚、゚トソン「しかし、なんですか」
(゚、゚トソン「最近はスパロボでは平気でハブられ」
(゚、゚トソン「ガンガンではなぜか投げキャラにされ」
(゚、゚トソン「おまけに劇場版Zでカミーユが精神崩壊しなかったから」
(゚、゚トソン「ZZに繋がりませんよ。どうなってるんですか」
('A`)(早く終わんないかなあ)
(゚、゚トソン「投げキャラとか一般にはザンギエフやクラークや直衛示源の枠組ですよ」
('A`)(最後のマイナーだろ)
('A`)(つーかこの感じだとネオジオCDもこいつの所有物か)
(゚、゚トソン「どういう区分なんでしょうかあれは」
- 397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 04:16:48.53 ID:/Cxm3Sis0
- ('A`)「まあ……クリエイター側は元の作品のイメージを大事にしてほしいですよね」
('A`)「後追いのファンとか多いわけですし……」
(゚、゚トソン「そう! まさにそこなんですよ!」
(゚、゚トソン「いやあ話が分かりますねあなた」
(゚、゚トソン「私の人生経験上、ZZの理解者に悪い人はいない!」
(゚、゚トソン「今日もまたこの法則が証明されてしまいましたね」
*(‘‘)*「ママー、さっきおじちゃんのことわるい人だっていってたよ?」
(゚、゚トソン「一体誰がそんなひどいことを……」
(゚、゚トソン「この方はヘリカルの寂しさに満ちた心を救ってくれた恩人じゃない」
*(‘‘)*「そうだよ! ママもわかってくれたんだ!」
('A`)「ありがてぇありがてぇ。過程はもうなんでもいいです」
- 401 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 04:21:35.43 ID:/Cxm3Sis0
- (゚、゚トソン「だけどいつまでも好意に甘えてなんていられません」
(゚、゚トソン「ヘリカル」
*(‘‘)*「なあに?」
(゚、゚トソン「これからは、もう少し早く帰れるよう、ママがんばるからね」
*(‘‘)*「わあ! ほんと? ありがとう!」
*(‘‘)*「ママ大好き!」
(゚、゚トソン「そうだ。あなた、もしもし」
('A`)「ぼ、僕ですか」
(゚、゚トソン「確かセールスマンをやっているっとおっしゃっていましたね」
('A`)「まあ……そうですね……」
(゚、゚トソン「どういった品を訪問販売しているのでしょうか?」
('A`)(来たか……)
- 408 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 04:29:12.24 ID:/Cxm3Sis0
- ('A`)(訪問当初は……室内に上がるための自己正当化……)
('A`)(そして在宅中は……わずかに思い浮かんだ商売の常道……)
('A`)(倫理観……罪悪感……職業上のくせ……)
('A`)(いろいろとあったが……)
('A`)(この展開で真実を語れるわけがねぇだろ……!)
('A`)「えー、あのー、学習教材の販売をですね、やらさせてもらっています」
(゚、゚トソン「あらら、まあまあ」
(゚、゚トソン「ちょうどいいですわね」
('A`)「え」
(゚、゚トソン「娘は昨年四月から小学校に上がったばかりでして」
('A`)「直々に聞きました」
- 412 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 04:37:16.35 ID:/Cxm3Sis0
- (゚、゚トソン「勉強に使う教材に前々から関心があったんですよ」
(゚、゚トソン「塾に行かせるのも手間がかかりますしねぇ」
('A`)(おいなんだこれ。なんだこの喰い付き)
(゚、゚トソン「少しばかり紹介していただけませんでしょうか?」
(゚、゚トソン「その背後にある大きなバッグかしら」
('A`)「いえいえ結構です! 本当もう結構ですんで!」
(゚、゚トソン「どうしてですか?」
('A`)「これはあれです、中高生向けのものなんです!」
(゚、゚トソン「中高生向け?」
('A`)「そうです! 思春期用です!」
('A`)(俺は決して嘘は言っていない……嘘は言っていないぞ!)
('A`)(その中に小学生向けのブツが混じってることは墓場まで持って行かせてもらう!)
- 414 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 04:44:54.16 ID:/Cxm3Sis0
- ('A`)「はっ、そうだ、次の仕事が」
(゚、゚トソン「もう行かれるんですか?」
('A`)「ビジネスマンに休息はありません」
(゚、゚トソン「ゆっくりしていっても構いませんのに」
(゚、゚トソン「そうだ、お茶をいれましょう」
('A`)「本当気遣いは無用ですんで……」
('A`)(逃げたい一目散に逃げたい)
(゚、゚トソン「はあ、そうですか」
(゚、゚トソン「そういえば名前を聞くのがまだでしたね」
('A`)(糞が……その話題は徹底して避け続けていたというのに……!)
- 415 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 04:48:33.09 ID:/Cxm3Sis0
- ('A`)「名前、名前は……そのですね……」
('A`)(おい、このケースでは正直と嘘のどっちが正解なんだよ)
*(‘‘)*「ドクオ!」
('A`)「なっ」
(゚、゚トソン「え?」
*(‘‘)*「おじちゃんの名前ドクオだよ」
('A`)「なんでわかったんだ?」
*(‘‘)*「服の背中のはじっこに名札がついてるよ?」
*(‘‘)*「わたしの高さだとよく見えるよー」
('A`)「あ、これは……」
('A`)「コーヒーのシミ抜きに出した時の……クリーニングの札……」
- 420 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 04:58:10.71 ID:/Cxm3Sis0
- ('A`)「ええ、まあ」
('A`)「そういうわけで……ドクオです」
(゚、゚トソン「ドクオさん」
('A`)「はひ」
(゚、゚トソン「今日は娘の世話をしていただき本当にありがとうございました」ペコリ
('A`)「いや……そんな大層なことしてないんで……頭上げてください」
(゚、゚トソン「ドクオさん、私がZZ好きというだけであなたを信用したと、まだお思いですか?」
('A`)(思うよあの勢いだと)
(゚、゚トソン「ふふっ、そんなわけがないじゃないですか」
('A`)「え?」
(゚、゚トソン「娘のあの目の輝き――あれを見ちゃったら信じてしまいますよ」
(゚、゚トソン「親子なんですから……分かります」
- 422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 05:05:12.38 ID:/Cxm3Sis0
- ('A`)(ああ……)
('A`)(そういうことは……あるよな)
(゚、゚トソン「それと学習教材を持ってきたというのは嘘でしょう?」
('A`)「な、なにを言いだすので、すかな、お母様」
(゚、゚トソン「エレベーターで偶然会ったツンさんから聞きました」
(゚、゚トソン「全部」
('A`)(終わった……わが生涯に一片の悔いどころではない)
(゚、゚トソン「確かにいかがわしい品物を扱ってるみたいですが……」
('A`)「何ひとつ言い訳できる余地がありません」
(゚、゚トソン「まあ……だからと言ってドクオさんが悪党ってわけではないですし」
(゚、゚トソン「職業であれこれ文句をつけるのなんて馬鹿げてます」
- 425 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 05:11:50.28 ID:/Cxm3Sis0
- ('A`)「じゃ、じゃあなんで疑いがヘリカルの目を見るまで中々晴れなかったんですか」
(゚、゚トソン「あれはいきなり見知らぬ男が娘と二人きりで我が家にいたからです」
(゚、゚トソン「誰だって訝しみます。当たり前です。あのことだけは今でも完全に許してるわけではないので」
('A`)「一理しかありません」
('A`)「あの当時の僕を不審度で上回ろうと思ったらプラス全裸が必要になってきます」
(゚、゚トソン「初対面の印象がひどすぎましたね」
(゚、゚トソン「セールスマン、と聞かされた時にツンさんの話を思い出しましたが……」
(゚、゚トソン「そもそも、その、なんですか、あれは所持してるだけで犯罪っていうふうなことでもないんでしょう?」
('A`)「あれで罪に問われるならば弊社は死滅します」
(゚、゚トソン「ですよね」
(゚、゚トソン「どうやら娘に見せびらかしたりだとかはしてないみたいですし」
(゚、゚トソン「さすがにそんなことをしていたら警察の厄介になってもらいましたが」
- 428 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 05:19:24.21 ID:/Cxm3Sis0
- ('A`)「それじゃ、教材を見せてくれと物凄い積極的にせがんできたのは」
(゚、゚トソン「ああ、そんなやりとりもありましたね」
('A`)「なんのために?」
(゚、゚トソン「あれは、ちょっとからかってみただけです」
(゚、゚トソン「ひとつまみほどの復讐ですよ」
('A`)(やたらノリがよかったのはそのせいか……)
('A`)(しかしよかった……)
オトコ
('A`)(小学校低学年女児向けバイブ『はじめての雄のあじ』は)
('A`)(誰にもバレなかった……!)
('A`)(あれが知られていれば……このような寛大な処置はありえなかった……!)
('A`)(確実に社会的に抹殺されていた……)
- 430 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 05:26:43.10 ID:/Cxm3Sis0
- (゚、゚トソン「どうしてそんなにぐったりしているんですか」
('A`)「いろいろ疲れてるんですよ……いろいろ」
('A`)「もうそろそろ……真面目に立ち去らせていただきます」
*(‘‘)*「おじちゃん行っちゃうの?」
('A`)「そうです。お兄さんもう用ありませんしおまけに疲労困憊です」
*(‘‘)*「さみしいなー」
('A`)「おいおい、大好きなママが帰ってきたばっかだぜ。もう寂しくなんかないだろ」
*(‘‘)*「違うの」
*(‘‘)*「なんかこう、きゅってなるような、別のさみしさなの」
('A`)「はあ」
*(‘‘)*「よくわかんないなー変な感じ」
- 433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 05:37:56.88 ID:/Cxm3Sis0
- (゚、゚トソン「……やはりこれは……」
(゚、゚トソン「無意識のうちにストックホルムシンドロームを植えつけたようで……」
('A`)「精神医学用語で責めないでください」
(゚、゚トソン「冗談ですよ」
(゚、゚トソン「……ドクオさん」
('A`)「なんでございましょうか」
(゚、゚トソン「最後に娘に、何か一言残していってやってください」
('A`)「何か、って」
(゚、゚トソン「なんでも構いませんよ」
(゚、゚トソン「あなたに委ねます」
- 434 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 05:42:11.07 ID:/Cxm3Sis0
- ('A`)(最後にかける言葉……)
('A`)(俺こういうの苦手なんだよ……別れの挨拶とかさあ)
('A`)(しみたっれてるじゃん)
('A`)「ええええとだな……」
*(‘‘)*「?」
('A`)(うおわあ無垢な視線。やや濡れた瞳)
('A`)(薄暗がりがお似合いの僕には眩しすぎる)
('A`)(ううん……)
('A`)(最後……最後か……)
('A`)(……最後じゃなきゃあ……最後ってことにしなけりゃあ、いけるかな……)
('A`)「あー、ヘリカル!」
- 436 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 05:44:25.42 ID:/Cxm3Sis0
- *(‘‘)*「なあに? おじちゃん」
('A`)「ええとだな、実はお兄さん、今日からこの一帯の安全を守ることになっていたのだ!」
*(‘‘)*「ええっ!? 『しょうげきのじじつ』だ!」
('A`)「これから千葉にまで爆弾を片付けに来た時は、寄ってくから!」
('A`)「また一緒にママを待とうな!」
*(‘‘)*「……」
*(‘‘)*「……うんっ!!」
('A`)(……そうだよな……)
('A`)(肉親でも何でもないから、母親の心中なんて完璧には測れないが……)
('A`)(なんせこの最高の笑顔だ)
('A`)(……信じちゃうよなあ)
- 439 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 05:48:46.63 ID:/Cxm3Sis0
- 〜VIP営業部室〜
('A`)「ドクオ、ただいま帰社しましたー」
(´・ω・`)「ああお帰り」
(´・ω・`)「なんか疲れてるのに満足げだね」
('A`)「聞くも涙語るも涙なことが多々ありまして」
(´・ω・`)「さばけたってこと?」
('A`)「全然ですよ。坊主です坊主。これで先月から数えて丸三週間売れてません」
(´・ω・`)「その割には清々しい顔してない?」
('A`)「ま、いろいろと」
- 441 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 06:00:43.03 ID:/Cxm3Sis0
- ミ,,゚Д゚彡「おうドクオ! 聞いてくれよー!」
('A`)「唾を飛ばすなフサよ。なんだその妙な昂りっぷりは」
ミ,,゚Д゚彡「久々に売れたんだよ! バイブが!」
('A`)「マジか」
(´・ω・`)「帰ってきてからずっと興奮しっ放しで」
ミ,,゚Д゚彡「長かったぜぇ、四か月ぶりだ。日に直したら百日超えるぞ」
(´・ω・`)(まあ重要なのは売れたかどうかじゃなくてICレコーダーの中身なんだけどね)
('A`)(黙っておいてやりましょう)
ミ,,゚Д゚彡「今日は飲みにいきましょうよ、部長!」
(´・ω・`)「いいよ。僕もちょうどドクオくんと居酒屋にいく予定だったし」
(´・ω・`)「そうだ、どうせなら、営業部みんなでパーっといっちゃおうか!」
ワーワー!!
- 445 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 06:07:45.85 ID:/Cxm3Sis0
- ('A`)「部長」
(´・ω・`)「なに?」
('A`)「『ヒトの暮らしをサポートする』って、朝社長が主張したじゃないですか」
(´・ω・`)「あー、そんなこと言ってたね」
('A`)「会議の時は脳イってるだろこのおっさんって思ってましたけど」
('A`)「俺、今日はそれをやれたような気がします」
(´・ω・`)「バイブ売って?」
('A`)「ぶっちゃけバイブは関係ないです。あー恥ずかしくなってきた。忘れてください」
(´・ω・`)「はいはい。そんなことよりもう五時だ」
(´・ω・`)「今日は全員の残業予定デリートしておいたから、早く飲みに行こう」
('A`)「行きましょ行きましょ」
- 446 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 06:19:17.77 ID:/Cxm3Sis0
――後日ドクオは――
――小一女児との会話を録音していたことが高く評価され――
――社長から臨時賞与を得た――
――とりわけ『入って』『剥ける』『白いの』『皮』――
――極めつけは『気持ち悪い』『おじちゃんいっちゃうの?』――
――等のキーワードが社長の琴線に触れたらしい――
――その功績が認められ――
――訪問販売事業はますます拡大した――
- 448 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/31(月) 06:20:39.11 ID:/Cxm3Sis0
- ('A`)「どうしてこうなった」
*(‘‘)*「あやとりおじちゃんの番だよー」
('A`)「よーし今度は世界遺産級の橋作っちゃうぞー」
('A`)がバイブの訪問販売員になったようです
おしまい
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