- 52 :番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/04(金) 22:28:25.62 ID:ZPxWVDuC0
- 俺は校門を出たところで、ショボンにばったりと出くわす。
(´・ω・`)「やぁ、ギコか」
(,,゚Д゚)「おう、ショボンじゃねぇか」
なんだか困ったような顔をしていたが、よく見るとその手にはラブレターらしきものが握られている。
うちの高校にトップで入っただけあって、ショボンは有名人だった。
自分でいうのもなんだが、野球部で活躍している俺よりも、こいつは女にもてる。
- 54 :番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/04(金) 22:30:44.55 ID:ZPxWVDuC0
しかしそれをネタにショボンをからかう前に、ショボンは口を開く。
(´・ω・`)「珍しいね、今日は部活はなかったの?」
(,,゚Д゚)「あぁ、でかい大会が終わったばっかだからな。
今日はオフになったんだ」
俺はとっさに嘘をついた。
大会が終わったばかりなのは本当だが、自主練習になっただけで、オフではない。
その自主練習も、おそらくほぼ全員が出ているだろう。
- 57 :番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/04(金) 22:33:10.69 ID:ZPxWVDuC0
- (´・ω・`)「そうなんだ」
(;,゚Д゚)「おう、そうだぞゴルァ」
ショボンは一応は納得したような風だった。
俺はほっと胸をなでおろす。
(´・ω・`)「そうだ、それならちょっと、一緒にどっか寄ってかないかい?」
(,,゚Д゚)「お、おう、予定もないし、いいぞゴルァ……」
- 60 :番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/04(金) 22:36:13.48 ID:ZPxWVDuC0
あまり気乗りのしないまま連れて行かれたのは、近所の公園だった。
小学生だろうか、数人の男の子たちが野球みたいなことをしている以外に、人影はない。
(´・ω・`)「懐かしいね、昔はブーンとかとここで何時間でも遊んでた」
ショボンはブランコの柱に手をかけながらいう。
その姿はどこか寂しげだった。
(,,゚Д゚)「……今じゃこのブランコも、だいぶ小さく見えるな」
- 64 :番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/04(金) 22:39:33.75 ID:ZPxWVDuC0
- ショボンは笑いながら、ブランコに腰かける。
(´・ω・`)「そうだね、ギコなんてむかし、この上に登って降りれなくなったっていうのに」
(,,゚Д゚)「そ、そんなこと覚えてねぇぞゴルァ!!」
照れ隠しに叫ぶと、彼は微笑んだ。
- 66 :番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/04(金) 22:41:44.36 ID:ZPxWVDuC0
- (´・ω・`)「やっと、いつものギコになってきたね」
(,,゚Д゚)「おう?」
(´・ω・`)「朝から元気がなかっただろう?
みんな、心配してるんじゃないかな」
胸に、何かを打ち込まれたような衝撃が走った。
いま自分が抱えている焦りや不安、それらすべてをショボンにぶつけても、いいような気がした。
- 67 :番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/04(金) 22:43:53.36 ID:ZPxWVDuC0
- (,,^Д^)「ギコハハハ!!変な心配かけちまったな!!
だが、別に、俺はいつもの俺だぜ?」
笑い飛ばす俺を見つめて、ショボンも笑う。
(´・ω・`)「それなら良かった。
気を悪くしてたら、ごめんね」
(,,^Д^)「いいってことよ!」
- 69 :番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/04(金) 22:46:07.25 ID:ZPxWVDuC0
- 別に、大丈夫だ。
俺は一人で、やっていけるさ。
でも――――――
(´・ω・`)「あ、そうだ」
(,,゚Д゚)「ん、まだなんかあったか?」
ブランコから立ち上がり、カバンを背負いなおしながらショボンは言う。
- 71 :番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/04(金) 22:47:37.90 ID:ZPxWVDuC0
- (´・ω・`)「もし本当に助けが必要になったりしたら、いつでも言ってよね」
俺は、またドキッとする。
どうしてこうも、今の自分の心に響くような言葉をぽんぽんと吐くのだろう。
(,,゚Д゚)「おう!当たり前だゴルァ!!」
その日の夕日は、いつも見る夕日よりも、輝いて見えた。
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