- 372 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 16:47:41.43 ID:7tExf1880
- 【Hometown】
――世界歴・518年――
――ヴィップ城――
( ・∀・)「おーいブーン」
ガチャッ
( ^ω^)「モララーさん?」
( ・∀・)「おいーっす。飯食いに行こうぜ……って、なんだそりゃ?」
( ^ω^)「これですかお? これは、家族からの手紙ですお」
( ・∀・)「へー。オオカミの策だったりしねーのか?」
(;^ω^)「それはないですお。どっちみち、手紙の内容は他愛ないもんですお」
( ・∀・)「しかし、律儀な家族だな。俺の親なんてなーんにも寄越さねーぞ」
( ^ω^)「あ、これは親からじゃなくて、弟からですお」
( ・∀・)「弟いたのか。入軍してないのか?」
( ^ω^)「心優しいというか、臆病というか……あんまり戦いには向かない弟なんですお。
もちろん、入軍はしてませんお。家で農業やってるらしいですお」
- 381 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 16:49:45.15 ID:7tExf1880
- ( ・∀・)「ふーん」
( ^ω^)「モララーさんに、ご兄弟は?」
( ・∀・)「兄貴が居たらしいんだけどな。俺が生まれるちょっと前に死んじまったそうだ」
( ^ω^)「……そうなんですかお……」
( ・∀・)「まー、俺の家族のことはどうでもいい。
暇だし、食堂行くまでの間、家族の話でも聞かせてくれ」
( ^ω^)「家族の話……ですかお」
――世界歴・506年――
――ヴィップ領・アロプス町――
( ^ω^)「ブーンブーン!」
('A`)「……ブーンブーン」
( ^ω^)「ブブブブーン!」
('A`)「ブ、ブブーンブーン」
( ^ω^)「ブンブンブーン!」
- 397 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 16:51:47.82 ID:7tExf1880
- ('A`)「……やめようぜ、この遊び……なにが楽しいのか理解に苦しむ……」
( ^ω^)「超楽しいお!」
('A`)「チャンバラしようぜ、チャンバラ。俺達いずれはヴィップ国軍に入るんだしさ」
( ^ω^)「それもそうだお! やるお!」
('A`)「ビーン、どうする?」
「え?」
('A`)「チャンバラするぞーって話」
「うーん……」
( ^ー^)「僕はいいや。こっちで見てるよ」
('A`)「そっか」
( ^ω^)「ドクオ、行くお!」
('A`)「よし来い」
カァンカァン
カイン カァン
バキッ
- 418 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 16:54:15.58 ID:7tExf1880
- ('A`;)「うわ、折られた」
( ^ω^)「討ち取ったり、だお!」
('A`)「くそー……戦ごっこなら勝てるのに、チャンバラだと勝てない……」
( ^ω^)「チャンバラまで負けたらもう布団から出れないお」
( ^ー^)「ブーン兄さん、強いね」
( ^ω^)「ふふふ、兄を尊敬するかお?」
( ^ー^)「うん、凄いや」
('A`)「ビーンは何でやらないんだ?」
( ^ー^)「うーん……僕は見てるだけでいいや。痛いの嫌いだし、相手を痛くさせるのも嫌いかな」
('A`)「根が優しいんだな」
( ^ー^)「違うよ。僕は、臆病なんだ。怖いことから逃げたいだけなんだ」
( ^ω^)「でも、男たるもの国のために戦うべきだお!」
( ^ー^)「うーん……それもそうかな、と思うんだけどね。
でも、軍人さんたちがやってるように、アルファベット握るだけが戦いじゃないでしょ?」
( ^ω^)「ほぇ?」
- 425 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 16:56:17.41 ID:7tExf1880
- ( ^ー^)「戦いにも色々あると思うんだ。例えば僕が畑を耕して作物を収穫することだって、戦いの一部だし」
('A`)「うーん……なるほど」
( ^ω^)「分かったお。ブーンはアルファベットを握って戦うお!」
('A`;)「お前分かってないだろ」
( ^ー^)「うん。兄さんは、それでいいんだ。そんな兄さんが僕も好きだから」
(*^ω^)「て、照れるお」
('A`)「弟に言われて照れるなよ。妹ならまだしも」
( ^ω^)「うはーシスコン」
('A`)「シスコン言うな!」
( ^ー^)「リリィちゃんも幸せだね。遠くに離れてても想ってもらえるなんて」
( ^ω^)「単に妹を溺愛してるだけだお」
( ^ー^)「なんか、そういうのいいな。僕も弟か妹が欲しかったよ」
( ^ω^)「カーチャンにお願いするお!」
- 434 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 16:58:21.96 ID:7tExf1880
- ( ^ー^)「うーん、でももうお父さん死んじゃったし……無理なんじゃないかな……」
( ^ω^)「そうなのかお?」
( ^ー^)「僕もよく分かんない」
( ^ー^)「あ、そろそろ夕飯の時間じゃないかな?」
( ^ω^)「だおだお、ドクオも一緒に行くお」
('A`)「おう」
――トロッソ家――
J( 'ー`)し「あら、みんな御帰りなさい」
(*^ω^)「いい匂いがするお!」
J( 'ー`)し「ご飯出来てるわよ。手を洗ってらっしゃい」
( ^ω^)「はーいだお!」
('A`)「おばさんいつもすみません」
J( 'ー`)し「いいのよ、気にしなくて」
- 440 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:00:22.36 ID:7tExf1880
- ( ^ω^)「そんではいただきまーすだお!」
( ^ー^)「いただきます」
('A`)「いただきます!」
J( 'ー`)し「たくさん食べてね」
ガツガツモリモリ
モグモグゴクン
( ^ω^)「鶏肉うまいお!」
('A`)「卵と豆腐の絶妙なハーモニー」
( ^ー^)「お母さん、このニンジン甘いね。美味しい」
J( 'ー`)し「ふふふ。みんなの嬉しそうな顔が見れて何よりよ」
('A`)「おばさん、ごちそうさまでした」
J( 'ー`)し「またいつでもいらっしゃい」
('A`)「はい。おやすみなさい」
- 446 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:02:53.88 ID:7tExf1880
- J( 'ー`)し「さ、二人とも水浴びてらっしゃい」
( ^ω^)「はーいだお」
( ^ー^)「行ってきます」
――トロッソ家の裏庭――
( ^ω^)「うひー、さっぱりするお」
( ^ー^)「気持ちいいね」
( ^ω^)「今日は疲れたから早く寝たいお〜」
( ^ー^)「うん、僕も」
(;^ω^)「いつ疲れたんだお?」
――トロッソ家・子供部屋――
( ^ω^)「布団もふもふだお」
( ^ー^)「気持ちいいね」
( ^ω^)「……なんだか、さっきも聞いたセリフな気がするお」
( ^ー^)「気のせいだよ」
- 453 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:04:45.21 ID:7tExf1880
- ( ^ω^)「……そう言われると、そんな気がしてきたお」
( -ω-)「……ちょっと寝っ転がっただけですぐ眠くなってきたお……」
( ^ー^)「よっぽど疲れてたんだね」
( -ω-)「……かも知れないお……」
( ^ー^)「……ねぇ、兄さん」
( ^ω^)「お?」
( ^ー^)「兄さんは……いずれ、軍に入るんだよね」
( ^ω^)「だお」
( ^ー^)「……どうして、軍で戦おうと思ったの?
戦う道は、それだけじゃないのに」
( ^ω^)「……?」
( ^ー^)「だって……僕たちのお父さんは、戦で死んでるんだよ……?」
( ^ー^)「お父さんが死んで……僕は、ほとんどお父さんのこと覚えてないけど……。
でも……お母さんがすごく悲しそうにしてたのは知ってる……」
( ^ω^)「……ブーンも、悲しかったお……」
( ^ー^)「じゃあ、なんで……」
- 462 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:06:38.67 ID:7tExf1880
- ( ^ω^)「……難しいことはよく分かんないお。自分でも、あんまり深く真面目に考えたことはなかったお」
( ^ω^)「でも……」
( ^ー^)「でも……?」
( ^ω^)「父ちゃんが、戦に命を賭けたお。アルファベットに魂を込めたんだお。
ブーンは、父ちゃんの子供として……父ちゃんが進めなかった道を歩いてみたいんだお。
父ちゃんは夢半ばで倒れちゃったけど……ブーンが、そのぶんまで進みたいんだお」
( ^ω^)「もちろん、ヴィップの天下のためっていう気持ちも……父ちゃんの仇を討ちたい気持ちもあるお。
どれもブーンにとっては凄く大きいお。でも、キッカケになったのはやっぱり父ちゃんだお」
( ^ー^)「……そっか」
( ^ω^)「でも、ビーンは家に居てほしいんだお。家で、かーちゃんを守ってあげてほしいんだお」
( ^ー^)「……それも……戦いかな?」
( ^ω^)「そうかも知れないお」
( ^ー^)「不向きなことにあえて挑戦するほど、勇気があるわけじゃないし……。
僕はやっぱり、家でお母さんと暮らしたいな」
( ^ー^)「……でもできれば、兄さんも一緒にいてほしいんだ」
- 470 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:08:39.19 ID:7tExf1880
- ( ^ω^)「必ず生きて帰ってくるから大丈夫だお!」
( ^ー^)「ふふ、相変わらず兄さんの自信は根拠がないなぁ」
(;^ω^)「お……」
( ^ー^)「でも、不思議と実現させてくれそうな気がするよ」
( ^ω^)「だおだお!」
( ^ー^)「まだまだ、先の話だけど……いつか兄さんは居なくなる」
( ^ー^)「でも、僕はお母さんと一緒に、ずっと待つよ。信じて待つことにする」
( ^ω^)「ありがとだお。きっと活躍してみせるお!」
( ^ー^)「将校になったら周りのみんなに自慢しなきゃ。兄さんが将校になったよー、って」
( ^ω^)「将校は、父ちゃんの夢でもあったから、絶対に実現させるお!」
( ^ー^)「いずれは大将、だね」
(;^ω^)「た、大将かお。そこまでは……」
( ^ー^)「兄さんならできるよ、きっと」
( ^ω^)「……そう言われると、なんかそんな気がしてきたお」
( ^ー^)「楽しみにしてるよ、兄さん」
- 476 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:10:40.32 ID:7tExf1880
- ( ^ω^)「でも、かーちゃんはきっと渋るお……」
( ^ー^)「粘り強く説得するしかないね、うん」
( ^ω^)「だお……頑張るお」
( ^ー^)「時間はかかるかも知れないけど……いつか、きっと分かってくれる」
( ^ω^)「平和のために頑張るんだお、説得しなきゃだお」
( ^ー^)「だね」
( ^ー^)(……僕がいくら畑を耕したって、平和が訪れるわけじゃない……)
( ^ー^)(やっぱり、直接戦う必要があるんだ……そして、それは誰かがやらなきゃいけない……)
( ^ー^)(……大丈夫、兄さんならきっと……)
(*-ω-)「Zzz...」
――世界歴・518年――
――ヴィップ城――
( ・∀・)「ふーん。いい弟だな」
( ^ω^)「ですおですお」
- 480 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:12:45.23 ID:7tExf1880
- ( ・∀・)「お前には似てねーな」
(;^ω^)「よく言われましたお」
( ・∀・)「まぁ、根っこの部分はそっくりだが」
( ^ω^)「根っこ?」
( ・∀・)「なーんでもない」
( ^ω^)「……?」
( ・∀・)「実家には帰省しないのか?」
( ^ω^)「ヴィップが天下を統一するまでは、帰りませんお」
( ・∀・)「大変な目標を立てたもんだな、そりゃまた」
( ^ω^)「でも、そのぶん頑張れますお」
( ・∀・)「そうだな」
( ^ω^)(……ビーン……カーチャン……)
- 482 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:14:12.45 ID:7tExf1880
- ――ヴィップ領・アロプス町――
( ^ー^)「兄さん、また活躍したみたいだね」
J( 'ー`)し「そうね。嬉しいわ」
( ^ー^)「早くヴィップが勝たないかなぁ……」
J( 'ー`)し「帰ってきてほしいわね、一日でも早く」
( ^ー^)「うん。でも焦らずに戦ってほしい気持ちもあるし……」
J( 'ー`)し「無事な姿で戻ってきてくれたら、何よりよ」
( ^ー^)「だね」
( ^ー^)(……兄さん、ずっと待ってるからね)
( ^ー^)(また、三人で一緒に暮らせる日を……)
【Hometown :
End】
- 498 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:16:56.04 ID:7tExf1880
- 【Four Lieutenant Generals】
――オオカミ城――
( ゚д゚)「えー、次のヴィップとの戦についてなんだが……」
( ゚д゚)「野戦での勝負は避けたいところだが、不可避か」
(ゝ○_○)「いえ、そうでもありません。私の策をもってすれば」
( ゚д゚)「……言ってみてくれ」
(ゝ○_○)「カクカクシカジカ
キサクキサク」
( ゚д゚)「……残念だがそんな余力はない。
その策が実行できるのであれば、もっと安全かつ確実な策が他にいくらでもある」
| `゚ -゚|「でしたらやはり野戦で捩じ伏せるより他ないでしょう」
(;゚д゚)「急に早口で喋るな、フィル。確かに俺も野戦で破るのが最善とは思うが……」
〔´_y`〕「私も、そう思います」
( ゚д゚)「俺に同意する以外の意見はないのか、ガシュー」
《 ´_‥`》「…………」
( ゚д゚)「……お前は何でもいいから喋れ」
- 510 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:19:14.93 ID:7tExf1880
- ( ゚д゚)「……ん? なんだ、長官が呼んでる?」
( ゚д゚)「すまんが、俺は少し席を外す。四人で何か案を考えてくれ」
〔;´_y`〕「え? あ、ちょっ……」
ガチャッ
バタン
〔;´_y`〕「…………」
| `゚ -゚|「…………」
《 ´_‥`》「…………」
(ゝ○_○)「…………」
〜十分経過〜
| `゚ -゚|「…………」
《 ´_‥`》「…………」
(ゝ○_○)「…………」
〔´_y`〕「…………」
- 527 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:21:10.69 ID:7tExf1880
- 〜〜二十分経過〜〜
(ゝ○_○)「…………」
〔´_y`〕「…………」
《 ´_‥`》「…………」
| `゚ -゚|「…………」
ガチャッ
( ゚д゚)「すまんな。それで、何かいい案は出たか?」
| `゚ -゚|「いえ、これといって特に」
( ゚д゚)「そうか……まぁいい。時間を置けば違う案が出るかも知れん、また明日にしよう」
(ゝ○_○)「失礼します」
| `゚ -゚|「失礼致します」
〔´_y`〕「失礼します」
《 ´_‥`》「します」
- 547 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:23:11.48 ID:7tExf1880
- ガタガタ
ガチャッ
バタン
( ゚д゚)(やれやれ……また何も策は出ず、か……)
( ゚д゚)(……まぁ、たぶん何も会話なく終了したんだろうが……)
( ゚д゚)(しかし、あいつらの仲の悪さも深刻だな……今さら変わるとも思えんが……)
( ゚д゚)(何らかの努力をしてみる必要は……やはり、あるだろうな)
( ゚д゚)「…………」
――翌日――
――軍議室――
( ゚д゚)(……いろいろ考えてみたが……やはり、いい案は出てこないな……)
( ゚д゚)(こいつらが手を取り合って戦うことなど……諦めて構想を立てたほうが賢明なのか?)
( ゚д゚)「……とりあえず、昨日の続きだ」
- 553 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:24:55.11 ID:7tExf1880
- | `゚ -゚|「ヤセンヤセン」
(ゝ○_○)「キサクキサク」
〔´_y`〕「ドウイドウイ」
《 ´_‥`》「…………」
( ゚д゚)(……こいつら、実は才能ないんじゃないか……?)
ガチャッ
( ゚д゚)「ん?」
ヽ`・−・)「あの……」
( ゚д゚)「ディアッド王子。いかがなされました?」
ヽ`・−・)「その……お話したいことが……」
( ゚д゚)(……やけに深刻な顔だな……)
( ゚д゚)「話したいこと、ですか」
ヽ`・−・)「はい……フィル=ブラウニー中将に」
( ゚д゚)「……フィルに?」
- 565 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:26:52.27 ID:7tExf1880
- | `゚ -゚|「私ですか?」
( ゚д゚)「フィル以外は席を外しましょうか、ディアッド王子」
ヽ`・−・)「あ、いえ。その、よろしければ皆さんにも……」
〜〜ディアッドが着座しました〜〜
ヽ`・−・)「……皆さんは、おそらくご存じでないと思われます」
( ゚д゚)「……国の大事に関わるのですか……?」
ヽ`・−・)「将来的には……そうなる可能性もあります」
( ゚д゚)(ディアッド王子は、まだ幼いが……やはり国のことをよく考えておいでだ)
( ゚д゚)(聡明で思慮深い……フィラッド国王より有能な王となることは、間違いないな)
( ゚д゚)「お話し下さい、王子」
ヽ`・−・)「……実は……」
ヽ*`・−・)「……二階をいつも清掃している掃除婦を……好きになってしまったのです」
- 582 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:28:22.81 ID:7tExf1880
- ( ゚д゚)「…………」
| `゚ -゚|「…………」
(ゝ○_○)「…………」
〔´_y`〕「…………」
《 ´_‥`》「…………」
(;゚д゚)「……はい?」
ヽ`・−・)「皆さんはご存じでないと思いますが、とても可憐な方です」
(;○_○)「確かに、その人のことは知りませんが……」
|;`゚ -゚|「何故そのことを、私に?」
ヽ`・−・)「フィル中将は、たいそう女性に人気があるとのことでしたので……」
(;゚д゚)「…………」
〔;´_y`〕「まぁ……確かに、いずれは国家に関わることかも知れませんね」
( ゚д゚)「成就すれば、その人が王の妃となるやも知れんわけだからな……」
- 599 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:29:53.65 ID:7tExf1880
- ヽ`・−・)「思いを伝えたいのですが、勇気が出ず……なにぶん、このような経験は初めてなもので……」
( ゚д゚)(……やはりディアッド王子も、まだ幼いのだな、ガシュー)
〔;´_y`〕(そうですね……)
( ゚д゚)(しかし……)
( ゚д゚)「王子がお困りとあらば……助勢しないわけにはまいりません」
| `゚ -゚|「えぇ、そうですね」
(ゝ○_○)「我らにお任せください。必ずや王子の力になってみせます」
ヽ*`・−・)「皆さん、ありがとうございます!」
・
・
・
( ゚д゚)「さて、どうしたものか……」
| `゚ -゚|「やはり率直に思いを伝えるべきでは?」
( ゚д゚)「それができないから、困っているんだろう」
- 610 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:31:34.36 ID:7tExf1880
- 〔´_y`〕「相手の方は、何歳くらいですか?」
ヽ`・−・)「はっきりとは分かりませんが、二十には達していないと思います」
( ゚д゚)「ふむ……王子よりはいくつか年上ですか」
ヽ`・−・)「はい、そうだと思います」
( ゚д゚)「結婚していないとも言い切れないな」
| `゚ -゚|「そうですね……恐らく、大丈夫とは思いますが」
( ゚д゚)「ガシュー、調べてきてくれるか?」
〔´_y`〕「はい、分かりました」
タッタッタッ……
……タッタッタッ
〔´_y`〕「調べてまいりました」
(;゚д゚)「何故この迅速さを普段から発揮できないんだ?」
- 628 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:33:25.21 ID:7tExf1880
- ( ゚д゚)「まぁ、とりあえず教えてもらおうか」
〔´_y`〕「はい。相手の方は、ペニサス=ストリングというそうです」
〔´_y`〕「十七歳で、身よりはなく、結婚もしていません」
〔´_y`〕「二階層の掃除を担当しており、その容姿の可憐さから、密かに兵の間で人気があるようです」
( ゚д゚)「知らなかったな、まったく」
〔´_y`〕「私もです」
| `゚ -゚|「しかし、どうしたものでしょうね」
ヽ`・−・)「何度かお話しようと思ったこともあるのですが、それさえも怖くて……」
( ゚д゚)「初めて抱いた恋慕の情とあれば、それが当然かも知れません」
〔´_y`〕「ですが、何かキッカケを得ないと……」
(ゝ○_○)「私にお任せください!!」
( ゚д゚)「…………」
( ゚д゚)「……なんだ、リレント」
(ゝ○_○)「私の策を以ってすれば、小娘の一人や二人、容易いものです!」
- 647 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:35:06.09 ID:7tExf1880
- ( ゚д゚)(また策か……)
( ゚д゚)「……まぁ、一応聞いてみようか」
(ゝ○_○)「はい、では」
(ゝ○_○)「ウッウー ウマウマ ゲサクゲサク」
( ゚д゚)(……なんだその作戦……史上最高に下らないぞ……)
( ゚д゚)「あのな、リレント。そういう計画を立てたところで」
ヽ*`・−・)「素晴らしいです!!」
(;゚д゚)「えっ」
ヽ*`・−・)「是非お願いします! 皆さんにも協力いただけたら嬉しいです!」
(;゚д゚)(本気か、王子……)
〔;´_y`〕「あまり気は進みませんが……やるしかなさそうですね」
( ゚д゚)「そうだな……」
- 665 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:36:46.88 ID:7tExf1880
- ――翌日――
――二階層――
( ゚д゚)「みんな揃ったな。では、リレントの(バカバカしい)作戦を再確認しておこう」
( ゚д゚)「まず、フィルがペニサス=ストリングに近づく」
( ゚д゚)「そして、掃除が足りていないと難癖をつける」
| `゚ -゚|「はい」
( ゚д゚)「そこにリレントが登場。フィルに同調し、ペニサスに詰め寄る」
(ゝ○_○)「やり遂せてみせましょう」
( ゚д゚)「リレントは『解雇も考えなければ』などと言う……んだったな?」
(ゝ○_○)「そのほうが効果的でしょう」
( ゚д゚)「さて、二人に責められたペニサス=ストリングは傷つき……追い詰められる」
( ゚д゚)「そこにディアッド王子が登場だ」
- 681 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:38:25.99 ID:7tExf1880
- ( ゚д゚)「ディアッド王子は『彼女は普段から頑張っています!』とペニサスを庇う」
( ゚д゚)「『僕はずっと彼女の働きを見てきました!
難癖をつけるのはやめてください!』と発言する」
ヽ;`・−・)「緊張します……」
( ゚д゚)「そしてガシューが登場。『ディアッド王子はなんて勇敢なんだ!』」
( ゚д゚)「ドラルもそこに現れ、『中将に正面から立ち向かうなんて、素晴らしい。この国も安泰だな』と呟く」
( ゚д゚)「ペニサスはディアッドの雄姿に惚れて、ペニサスのほうから想いを伝えてくること間違いなし……」
( ゚д゚)「……めでたし、めでたし、と」
(;゚д゚)「もう一度だけ聞きますが……本当にやるのですか?」
ヽ`・−・)「はい!」
(;゚д゚)「ならば止めませんが……」
( ゚д゚)「しかしリレント、嫌な役回りだがいいのか?」
(ゝ○_○)「王子のためですからね!」
( ゚д゚)(王子の心象を良くして、いずれは大将になりたいだけじゃないのか……?)
( ゚д゚)(だから俺に役を与えなかったのだと思えるな……まぁ、やりたくもないが……)
- 693 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:40:00.86 ID:7tExf1880
- ( ゚д゚)「……じゃあみんな、手筈どおりに頼むぞ」
| `゚ -゚|(ゝ○_○)〔´_y`〕《 ´_‥`》「「「「了解です」」」」
・
・
・
キュッキュッ
ゴシゴシ
('、`*川「ふぅ……お掃除、大変だなぁ……」
('、`*川「でも、兵士さんたちが毎日使うお城だし……綺麗にして、喜んでもらわなきゃ」
ゴシゴシ
ゴシゴシ
('、`*川「……うん、窓キレイになった」
('、`*川「次はあっちの窓……あっ」
| `゚ -゚|「……む」
- 702 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:41:39.10 ID:7tExf1880
- | `゚ -゚|「なんだ、この掃除の仕方は?」
('、`;川「フィル=ブラウニー中将、おはようございます」
| `゚ -゚|「挨拶などどうでもいい。それより、掃除の仕方について聞いているんだ」
('、`;川「あの……お気に召されませんでしたか……?
でしたら、すぐにやりなおします!」
| `゚ -゚|「一度でやってほしいものだな、これくらいのことは」
(;゚д゚)(……無駄に演技が上手いな、フィル……)
( ゚д゚)(次はリレントだ)
(ゝ○_○)「まったくですね」
('、`;川「リレント=ターフル中将」
(ゝ○_○)「美意識に欠けています。どれだけ私の眼鏡を綺麗にしても、窓が汚れていては空の美しさが分かりません」
('、`;川「あの……その……」
(ゝ○_○)「窓ひとつ綺麗にできないのであれば……残念ですが、解雇も考えねばなりませんね」
('、`;川「そ、そんな……!」
- 717 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:43:08.96 ID:7tExf1880
- ( ゚д゚)(よし。悪くないぞ、リレント)
( ゚д゚)(さぁ、ディアッド王子がここで華々しく!)
〔;´_y`〕「な、なんて勇敢なんだ!
ディアッド王子は!」
|;`゚ -゚|「…………」
(;○_○)「…………」
('、`;川「えっ……?」
(;゚д゚)「ガシュー!! まだ早い!!」
《 ´_‥`》「中将に正面から立ち向かうなんて、素晴らしい。この国も安泰だな」
(;゚д゚)「お前もだドラル!! 二人とも戻って来い!!
いや、全員いったん集合だ!!」
- 743 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:44:56.40 ID:7tExf1880
- 〜〜集合〜〜
(#゚д゚)「どこかの喜劇じゃないんだぞこれは!
言うのが早すぎだ!」
〔;´_y`〕「申し訳ありません……緊張してしまいまして……」
《 ´_‥`》「乗せられて、つい……」
(ゝ○_○)「仕方ありません。顔を知られてしまいましたから、今度は変装して芝居を打ちましょう」
(;゚д゚)(まだやるのか?)
(ゝ○_○)「さぁさぁ皆さん」
〜〜変装〜〜
( ゚д゚)「さっきのようなことがないよう、今度は配役を変えるぞ」
(ゝ○_○)「それがいいでしょう」
( ゚д゚)「ガシューをこうして、フィルをこうして……よし、行って来い」
・
・
・
- 758 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:46:29.11 ID:7tExf1880
- ('、`;川(さっきのは、なんだったんだろう……)
('、`*川(……とりあえず、普通に掃除すればいいのかな……?)
ゴシゴシ
ゴシゴシ
('、`*川「綺麗だよね……うん」
〔´_y`〕「おうおうねーちゃん」
('、`;川「……え……」
〔´_y`〕「なんじゃいこの窓は。ちぃと汚すぎちゃうか?」
〔´_y`〕「こんな仕事ぶりで銭貰おうたって、そうはいかんでぇ」
('、`;川(……この人、ガシュー中将だよね……?
変な格好してるけど……)
(ゝ○_○)「まったくですね。美意識に欠けています。
どれだけ私の眼鏡を綺麗にしても、窓が汚れていては空の美しさが分かりません」
('、`;川「……あのー」
(ゝ○_○)「え?」
- 773 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:48:00.91 ID:7tExf1880
- ('、`;川「中将たちは……何をやってらっしゃるのですか?」
(;○_○)「……ちゅ、中将? 中将なんてどこにいるんです?」
('、`;川「私の目の前に……からかっておいでなのですか?」
〔;´_y`〕「…………」
(;○_○)「…………」
(;゚д゚)「……二人とも戻って来い」
〜〜集合〜〜
( ゚д゚)「変装、無駄だったな」
(ゝ○_○)「完璧だと思ったのですが……」
(#゚д゚)「だいたい変装しても科白が一緒なら無意味だろう、リレント」
(ゝ○_○)「むぅ……」
- 786 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:49:36.51 ID:7tExf1880
- ( ゚д゚)「仕方ない。また別の方策を――――」
('、`*川「……あの……」
(;゚д゚)「ッ!」
〔;´_y`〕「うわっ!!」
('、`;川「ミルナ大将まで……国軍の頂点に立つ方々が、いったい何を……?」
(;゚д゚)(もはや俺にも分からん)
('、`;川「私に何か、御用があるのでしょうか……?」
('、`*川「……もし、私の仕事に不備があるのであれば……そう仰ってください」
('、`*川「頑張って改善を試みます。解雇だというのであれば、それも受け入れます」
('、`*川「遠まわしに伝えるような真似をせず……どうか、直接に」
( ゚д゚)「……そういうわけじゃないんだ。すまなかった」
( ゚д゚)「ただ……」
ヽ`・−・)「……ミルナ大将、決意しました」
- 800 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:51:13.07 ID:7tExf1880
- ( ゚д゚)「ディアッド王子?」
ヽ`・−・)「皆さん、僕のために頑張ってくれましたが……やはり、自分から言わなきゃいけませんね」
ヽ`・−・)「最後は結局、自分の勇気なんですね」
ヽ`・−・)「……ペニサス=ストリングさん」
('、`;川「は、はい! なんでしょうか、王子」
ヽ`・−・)「……僕は、貴女のことが好きです」
ヽ`・−・)「いつも甲斐甲斐しく働く貴女を、遠くから見ていました」
ヽ`・−・)「とても可憐で……今まで抱いたことのない感情が芽生えました」
ヽ`・−・)「僕はまだ未熟な男ですが……国のためのみならず、貴女のために成長していきたいと思っております」
('、`*川「……王子……」
〔;´_y`〕「な、なんて勇敢なんだ!
ディアッド王子は!」
《 ´_‥`》「中将に正面から立ち向かうなんて、素晴らしい。この国も安泰だな」
(;゚д゚)「お前らは黙ってろ!!」
- 826 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:52:58.69 ID:7tExf1880
- ヽ`・−・)「どうか、お願いします。ペニサスさん」
('、`*川「…………」
('、`*川「……私のような女で、よろしければ……」
――翌日――
――軍議室――
ヽ*`・−・)「皆さん、本当にありがとうございました」
ペコリ
ヽ*`・−・)「皆さんのおかげです!」
( ゚д゚)「……結局、何もしていませんが……」
(ゝ○_○)「たまには失敗することもありますよ」
( ゚д゚)「リレント、『たまには』という言葉の意味を勘違いしているんじゃないか?」
| `゚ -゚|「まぁ、目的が果たせたのでよかったのではないですか?」
( ゚д゚)「うーむ……」
- 841 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:55:25.84 ID:7tExf1880
- 〔;´_y`〕「失態ばかりで、お恥ずかしい限りです……」
《 ´_‥`》「…………」
ヽ`・−・)「いえ、皆さんが僕のために頑張ってくれたからこそです。
だからあそこで想いを伝える勇気が沸いてきたんです」
ヽ`・−・)「皆さんが頑張ってくれたんだから……僕も頑張らなきゃいけない、って」
( ゚д゚)「そうですか……でしたら、我々も報われます」
ヽ`・−・)「はい。本当にありがとうございました」
ガチャッ
バタン
( ゚д゚)「まぁ、上手くいって何よりだ」
(ゝ○_○)「えぇ、まったくです」
| `゚ -゚|「ディアッド王子は、成長してくれることでしょう」
( ゚д゚)「あぁ。結局は自分の行動次第だ、と気付いてくれたようだしな」
- 855 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:57:10.78 ID:7tExf1880
- 〔´_y`〕「いずれは王になる方ですしね。形はどうあれ、成長していただけるのであれば」
( ゚д゚)「俺たち軍人としては、充分だな」
《 ´_‥`》「はい」
( ゚д゚)(……あとはこいつらが、結束してくれればな……)
( ゚д゚)(昨日の一件では、協力しあった部分もあったが……結局、今日になったら元通りだ)
( ゚д゚)(……今後に期待するしかないか……)
ガチャッ
( ゚д゚)「ん?」
- 862 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 17:58:11.96 ID:7tExf1880
- ヽ`・−・)「すみません、言い忘れてましたが」
ヽ`・−・)「皆さん、国のためにちゃんと軍議はしてくださいね、それでは」
バタン
(;゚д゚)(……王子のせいなのに)
(;○_○)(王子が持ち込んだんだろ)
|;`゚ -゚|(王子が元凶だろ)
〔;´_y`〕(王子が原因では……)
《;´_‥`》(王子なに言ってんの?)
〜〜最後の最後で、少しだけ四中将はまとまったようです〜〜
【Four Lieutenant
Generals : End】
- 10 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:04:53.20 ID:7tExf1880
- 【二度と戻れぬ日々】
――世界歴・517年――
――ヴィップ城・ブーンの居室――
( -ω-)「ムニャムニャ……飯を食うな、食うならアルファベットにしろなんて……ムチャクチャだお……モララーさん……」
( ゚ω゚)「ハッ!!」
( ^ω^)「おっ……朝かお」
('A`)「もう昼だよ」
( ^ω^)「お? ドクオ、どうしたんだお」
('A`)「あんまりに起きるのが遅いから、様子見に来たんだ」
( ^ω^)「ドクオが早すぎなんだお。今日は将校お休みの日なんだから、ゆっくり寝るべきだお」
('A`)「寝すぎだろ……」
( ^ω^)「ま、とりあえず朝ごはん食べるお」
('A`;)「だからもう昼だって」
- 24 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:06:49.60 ID:7tExf1880
- ガチャッ
テクテクテクテク
( ^ω^)「だって、将校お休みの日は月に一回なんだお?
ゆっくり休みたいお」
('A`)「まーな……特にお前は、先月当番だったもんな」
( ^ω^)「みんなが休んでるなか、一人だけ働くのは辛かったお」
('A`)「つっても本当に全員休むわけにはいかねーし、一人働くやつを置くのはしょーがねーだろ」
( ^ω^)「そういえば、今回の当番は誰だお?」
('A`)「シラネーヨ大尉じゃなかったか? 確か」
( ^ω^)「あー、シラネーヨさんかお。頑張ってだお」
('A`)「俺に言ってどうする」
ワイワイガヤガヤ
( ^ω^)「うお、食堂めっちゃ混んでるお」
('A`)「だなぁ……」
( ^ω^)「お? でも、一箇所だけぽっかり穴が……」
- 40 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:08:23.43 ID:7tExf1880
- ('A`)「兵が近寄りがたいような人っつったら……」
(;^ω^)「……ジョルジュ大将?」
('A`)「じゃ、なさそうだな。モララー中将だ」
テクテクテクテク
( ・∀・)「お前らも飯か」
('A`)「はい」
( ^ω^)「ご一緒してよろしいですかお?」
( ・∀・)「やーだねっつっても座るんだろ?」
(;^ω^)「いや、本気で拒否られたら逃げますお。斬られたくはないですお」
( ・∀・)「ははは。まぁ座れ」
('A`)「相変わらずメニューが独特ですね」
( ・∀・)「偏食なんだ。日によって変わる」
(;^ω^)「日替わり偏食?」
( ・∀・)「そうだな。肉が嫌いになったり魚が嫌いになったり」
- 49 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:09:59.18 ID:7tExf1880
- ('A`)「だから炭水化物が多いんですか?」
( ・∀・)「炭水化物だけはいつでも食える。貴重だな」
( ^ω^)「野営のときとか、困りませんかお?」
( ・∀・)「肉食いたくねーときに干し肉出てくると泣けるな。もちろん食うが」
('A`)「さすがに野営時は嫌いなものを避けるわけにいきませんね」
( ・∀・)「まったくだ。だから野営は嫌いなんだ」
( ^ω^)「ブーンもあんまり野営は……ん?」
( ><)「ご一緒してよろしいですか?」
( ^ω^)「ビロードさん」
( ・∀・)「やーだね」
(;><)「りょ、りょりょりょ、了解なんです!
失礼するんです!」
('A`;)「モララー中将……」
( ・∀・)「冗談だ、ビロード。座れ座れ」
(;><)「中将に斬られるくらいなら、ひとりで厠の裏で食べるんです……」
(;^ω^)「ブーンと同じこと言ってますお、ビロードさん……」
- 66 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:11:33.44 ID:7tExf1880
- ワイワイガヤガヤ
( ・∀・)「あー、食った食った。んじゃあな」
( ^ω^)「あ、モララーさん行っちゃったお……」
('A`)「なんか用あったのか?」
( ^ω^)「よかったら昼から一緒に遊ぼうかなー……とか考えてたんだお」
('A`;)「命知らずなやつだよ、お前は……俺だったら怖くて誘えねー……」
( ^ω^)「ビロードさん、一緒にどうですかお?」
( ><)「ごめんなさいなんです、今日は家内と一緒に過ごす約束があるんです」
( ^ω^)「そうなんですかお。相変わらずお嫁さん想いですお」
( ><)「そんなことないんです。たまにしか休み取れないし……」
('A`)「でもきっと、跳ねまわって喜んでると思いますよ」
( ><)「だったら僕も嬉しいんです!」
テクテクテクテク
- 80 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:13:09.62 ID:7tExf1880
- ( ^ω^)「結局いつもの二人組だお」
('A`)「ま、分かってたことだけどな……」
( ^ω^)「たまには他の誰かを……お?」
(,,゚Д゚)「おい、廊下でひっつくなって」
(*゚ー゚)「なんで?」
(,,゚Д゚)「なんで、って……それは……」
(*゚ー゚)「答えられないんだー! 私の勝ちー!」
(,,゚Д゚)「勝ち負けの問題じゃないんだけどな……まぁいいか」
ガチャッ
バタン
( ^ω^)「…………」
('A`)「…………」
( ^ω^)「……幸せそうだお……」
('A`)「素直に祝福できない自分が恨めしい……」
- 95 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:14:49.37 ID:7tExf1880
- ガチャッ
('A`)「結局ブーンの部屋に来ちまったわけだが」
( ^ω^)「旗地でもやるお」
('A`)「だな。この前は不覚取ったからなー、リベンジだ」
( ^ω^)「もうドクオの時代は終わったんだお。これからはブーン一強時代だお」
('A`)「バカバカしい。さっさとやるぞ」
カチャカチャ
チャキーン
( ^ω^)「準備完了だお!」
('A`)「そんじゃー早速……」
ガチャッ
( <●><●>)「ブーン大尉」
( ^ω^)「ベルベット。どうしたんだお?」
- 111 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:16:48.51 ID:7tExf1880
- ( <●><●>)「アルファベットの教えを乞おうかと思い、参じた次第ですが……お取り込み中のようですね」
( ^ω^)「ごめんだお。まぁ、また明日にでも」
( <●><●>)「はい。休養日ですから、無理を言うべきではないと分かってます」
( ^ω^)「あ、せっかくだからベルベットも『旗地』やるお!」
('A`)「ベルベットかー……めちゃくちゃ強そうだな……」
( <●><●>)「……なんですか、これは」
(;^ω^)「え? 旗地、知らないのかお?」
( <●><●>)「はい。まったく分かりません」
('A`)「マジか……珍しいな」
( <●><●>)「このようなものがある家庭ではなかったので」
( ^ω^)「学校で誰かとやったりしなかったかお?」
( <●><●>)「いえ」
('A`)「じゃあ、ルール教えてやるよ。ちょっと複雑かもだけど、ベルベットなら覚えられるだろ」
- 119 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:18:31.55 ID:7tExf1880
- 〜〜旗地のルール説明〜〜
('A`)「大雑把に言うと、十面ある賽を使って、両者交互に駒を動かして遊ぶゲームだ」
( ^ω^)「それぞれの持ち駒は……」
・大将駒 → 一個
・中将駒 → 一個
・少将駒 → 一個
・大尉駒 → 二個
・中尉駒 → 二個
・少尉駒 → 三個
('A`)「使うのはこの盤。縦横、それぞれ十四マスだ」
( ^ω^)「互いに半分ずつを自陣とするんだお」
('A`)「盤のマスには特性があって、多くは平地だけど、森や川も存在するぞ」
( ^ω^)「マスの配置は、自陣内なら自由に行えるんだお。どこに何を配置するかは重要だお」
('A`)「勝利条件は簡単だ。相手の大将駒を倒すか、互いの駒が合計七つ以下になったとき、旗を多く立てて得点を稼いだほうが勝ち」
( ^ω^)「旗は歩兵だけが持てるんだお。一駒につき、二本までだお。
ちなみに騎兵となれるのは、中尉以上の三駒だけだお」
('A`)「騎兵数は必ずしも三駒じゃなくていい。戦略によっちゃ、ゼロって選択肢も生まれるな」
( ^ω^)「旗は相手の陣地に立てるんだお。自陣に立てても意味はないお」
- 128 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:20:05.20 ID:7tExf1880
- ('A`)「深い位置に立てればそのぶん得点は高い」
( ^ω^)「ちなみに、立てた位置による得点は……」
・最奥 → 十点
・二列目 → 八点
・三列目 → 六点
・四列目 → 四点
・五列目 → 三点
・六列目 → 二点
・七列目 → 一点
('A`)「相手の陣地は七列目までだからな。八列目以降は立てても意味ない。
ちなみに立てられるのは平地だけだ。森・山・川には立てられない」
( ^ω^)「でも、その三つのマスには特性があるんだお」
('A`)「じゃあ次は特殊マスについて」
( ^ω^)「森と川と山が特殊マスだお。他は全部平地だお」
('A`)「これもそれぞれ特色がある」
・森 → 留まっている間は回避成功率が一割上がる
・山 → 留まっている間は攻撃成功率が一割上がる
・川 → 移動の際、川より向こうへ一度に行くことはできない
('A`)「ややこしいのは川だな。これはつまり、川の前にいた場合、三マス進みたくても一マスしか進めないってことだ」
- 133 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:21:49.08 ID:7tExf1880
- ( ^ω^)「川のマス上に留まるのはアリだお。攻撃成功率や回避成功率に変動はないお。
ただし、川の上からは攻撃できないお。攻撃されちゃうことはもちろんあるお」
('A`)「相手の侵攻を緩めるマス……となれば、大将は川の真後ろにと誰でも考えるところだが、そうはいかない」
( ^ω^)「川は八列目から十一列目までにしか置けないんだお」
('A`)「ちなみに、特殊マスは合計七マスまでだ。ただし、七マス全部を森に、っていうようなことはできない」
( ^ω^)「森も山も川も、それぞれ最大三マスまでだお。ただし川だけは二マス以上連続で置く必要があるお」
('A`)「川が一個だけってのも不自然だしな」
( ^ω^)「あと、初期配置時に中尉以上の駒を特殊マスに置くことはできないお」
('A`)「少尉だけは置いていてもいい」
( ^ω^)「じゃー、次は駒についてだお!」
('A`)「まず大将駒。これは特殊で、攻撃成功率と攻撃回避率が一番高いが、初期位置から動けない」
( ^ω^)「万全を期して大将駒を他の駒で守る戦法もあれば、回避率の高さに賭けて単独で放置する戦法もあるお。
('A`)「あと、他の駒が自陣の十列目から十四列目のどこにでも配置できるのに対し……」
( ^ω^)「大将駒は、十三列目と十四列目のどこかにしか配置できないんだお」
('A`)「次に中将駒。これは移動力と回避率は高いんだが、攻撃成功率がちょっと低い」
( ^ω^)「少将駒は、移動力と攻撃成功率が高くて、回避率が低いお」
- 140 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:23:50.68 ID:7tExf1880
- ('A`)「大尉駒は攻撃成功率も回避率も将官駒なみなんだが、いかんせん移動力が低い」
( ^ω^)「中尉駒は平均的だお。全部そこそこだお」
('A`)「最後に少尉駒だが、これは移動力だけが高くて、あとはサッパリだ」
( ^ω^)「攻撃の成功と回避は賽の目によって決定されるんだお」
('A`)「詳しくは以下参照だ」
・大将駒 → 攻撃成功率:八割 回避成功率:八割 移動力:無
・中将駒 → 攻撃成功率:六割 回避成功率:七割 移動力:三 斜め:あり
・少将駒 → 攻撃成功率:七割 回避成功率:五割 移動力:三 斜め:なし
・大尉駒 → 攻撃成功率:六割 回避成功率:六割 移動力:一 斜め:あり
・中尉駒 → 攻撃成功率:五割 回避成功率:五割 移動力:二 斜め:なし
・少尉駒 → 攻撃成功率:三割 回避成功率:三割 移動力:五 斜め:あり
('A`)「斜めってのは、斜め移動のことだ」
( ^ω^)「斜め移動ができないキャラは、縦横にしか動けないお。あ、下がるのもありだお」
('A`)「あと、駒を乗り越えて移動したり、旗を跨いで移動することはできない」
( ^ω^)「騎兵になると移動力がプラスワンだお」
('A`)「ただし、弓から攻撃された場合に回避成功率が二割下がるから要注意だ」
( ^ω^)「じゃあ次は攻撃の成功・失敗の判定について」
('A`)「攻撃判定は賽によって行う。関わってくるのは、攻撃する駒の成功率と、される駒の回避率だ」
- 232 : ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土)
18:41:06.51 ID:7tExf1880
- あ、そういえば書き忘れてましたね
攻撃できるのは縦横に隣接している相手駒or相手旗だけです
斜め攻撃はナシです
-
- 150 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:25:58.18 ID:7tExf1880
- ( ^ω^)「例としてやってみせるお」
('A`)「俺は中尉駒で、ブーンの中将駒を攻める」
( ^ω^)「中尉駒の成功率は五割。一方、中将駒の回避率は七割」
('A`)「中将駒の回避率が二割高い。この二割分が、俺の中尉駒の成功率である五割から引かれる」
( ^ω^)「つまり、成功率は三割になるんだお」
('A`)「そこで賽を振る。成功率は三割、つまり失敗率は七割だ」
( ^ω^)「だからドクオは八以上の目を出さなきゃいけないんだお」
('A`)「八以上が出れば、ブーンの中将駒を倒せる。でも七以下なら、攻撃失敗だ」
( ^ω^)「次の例を出すお。今度は、ブーンが少将駒でドクオの中尉駒を狙うお」
('A`)「少将駒の成功率は七割。中尉駒の回避率は五割だ」
( ^ω^)「今度も差分が影響するお。少将駒のほうが二割高いから、成功率は一割上がるお」
('A`)「回避率のほうが高いときと違って、攻撃成功率は差分の半分(切り上げ)しか上がらないんだ」
( ^ω^)「ただし、どんだけ率が上がっても十割にはならないんだお」
('A`)「計算上、十割に達したとしても、九割になる。これは攻撃成功率も回避成功率も同じだ。
ちなみに相手の回避率より成功率が低くて引かれる場合も、最低限度は一割だ」
( ^ω^)「攻撃に成功すると相手の駒がゲームから取り除かれるお。復活させることはできないお」
- 158 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:28:00.75 ID:7tExf1880
- ('A`)「大将駒を倒せれば、その時点で勝利だ」
( ^ω^)「それともうひとつ。攻撃できるのは、駒だけじゃなくて旗にもなんだお」
('A`)「旗の回避率は一律八割だ。倒されにくいが、絶対じゃない」
( ^ω^)「だから『旗を守る』って選択肢もあるんだお」
('A`)「旗の立ってるマスに留まった駒は、旗の代わりに攻撃を受ける。
回避率はその駒のものが適用される。旗の八割じゃなくてな」
( ^ω^)「旗のほうが回避率は高いけど、どうしても倒されたくない場合は旗を守ったほうがいいお」
('A`)「攻撃に関連して……次は『弓』について」
( ^ω^)「弓は、大将以外の駒に持たせることができるお。ただし一駒だけだお」
('A`)「弓は、自駒を中心として七×七の範囲内にいる敵を攻撃できる」
( ^ω^)「ただし、攻撃成功率は誰が使っても四割だお」
('A`)「相手の回避率の影響も受ける。弓の場合は最低限度が二割だが、確実性は低い」
( ^ω^)「弓は、隠し持っておくことができるんだお。一度使うまでは誰が持ってるか相手にバレないお」
('A`)「こっそり近づいて射るのもアリだな。ただし、移動のときと同じように、駒や旗を越えて狙うことはできない」
( ^ω^)「余計な駒や旗に邪魔されないよう位置取る必要があるんだお」
('A`)「弓を持たせるかどうかは自由だが、持たせたことによるデメリットはないから、普通は誰かに持たせる」
- 165 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:29:42.53 ID:7tExf1880
- ( ^ω^)「君は誰かに弓を持たせてもいいし、持たせなくてもいい。って感じだお」
('A`)「最後に特殊ルール『救出』について」
( ^ω^)「救出は、騎兵駒なら五×五の範囲内にいる仲間を、歩兵駒なら三×三の範囲内にいる仲間を、引っ張ってやれるんだお」
('A`)「これの特殊性は、例えば中将駒が攻撃を仕掛けて失敗した場合、即座に救出で移動させてやることもできる、ってとこにある」
( ^ω^)「つまり一回のターンで二度行動できるようなものだお」
('A`)「ただし、救出を使った次のターンは何も行動できない。言うなれば、次のターンの行動を先に使っちまうようなもんだ」
( ^ω^)「救出された駒は、救出した駒の三×三の範囲内に置かれるお。どこに置くかは自由だお」
('A`)「えーっと……他になんかあったっけ?」
( ^ω^)「あ、一ターンに動かせるのは一駒だけだお。移動後にできるのは、攻撃か救出か旗を立てることだけだお」
('A`)「まぁ、そこらへんは普通の盤上遊びと一緒だな」
( ^ω^)「あと、盤のマス配置はそれぞれが行って、あとで盤をくっつけるんだお。公平性のためだお」
('A`)「そのあとの駒配置は、少尉駒から順にひとつずつ、交互に置いていくんだ」
( ^ω^)「先に配置するのは、互いに賽を振って値の低かったほうだお。後で配置するほうが若干有利だからだお」
('A`)「ただし、ゲームが始まったあと先に行動するのは、そのとき賽の値が低かったほうだ」
( ^ω^)「つまり、駒配置の順番が先だったほうだお」
- 175 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:31:42.07 ID:7tExf1880
- ('A`)「駒配置での不利性を埋めるための措置だな。まぁ、説明はだいたいこんな感じか」
( ^ω^)「そんな感じだお!」
〜〜旗地のルール説明・終了〜〜
('A`)「いやー、駆け足での説明だったなー……」
( ^ω^)「さすがにベルベットも、こんな説明じゃ理解できな……」
( <●><●>)「分かりました」
(;^ω^)「マジかお……」
( <●><●>)「では、対戦を所望致します」
('A`)「よーし、やってやるぜ!」
・
・
・
('A`;)「……惨敗……」
(;^ω^)「ちょ……笑えない強さだお……」
- 189 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:34:04.40 ID:7tExf1880
- ('A`;)「残り八駒になったところで、十点の旗を少尉駒に守らせるなんて……」
(;^ω^)「そんなの、どうしようもないお……倒すわけにいかないし……」
( <●><●>)「ブーン大尉、お願いします」
(;^ω^)「お、おぉーん」
・
・
・
('A`;)「目も当てられない負け方だな……」
( ;ω;)「…………」
('A`)「仇は討つぜ! ベルベット、もっかいだ!」
( <●><●>)「分かりました」
・
・
・
- 198 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:35:34.38 ID:7tExf1880
- ('A`*)「よし来た! 二点差で俺の勝ちだ!」
( ^ω^)「おぉ!」
( <●><●>)「難しいですね。配置についてはまだまだ改善の余地があると分かっています」
('A`)「配置は大事だからなー」
ガチャッ
(‘_L’)「おや、旗地ですか?」
( ^ω^)「フィレンクトさん。どうしたんですかお?」
(‘_L’)「えぇ、特にこれといった用事はないのですが、暇を持て余してしまいまして」
('A`)「一緒にやります? 四人なら二人ずつ対戦できますし」
(‘_L’)「あまり自信はないのですが……お相手していただけますか?」
( ^ω^)「やりましょうお!」
・
・
・
- 210 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:37:15.76 ID:7tExf1880
- ( ;ω;)「…………」
('A`;)「まぁ……そういう日もあるって……」
――夕方――
( ^ω^)「ベルベットとフィレンクトさんがどっかいっちゃって……」
('A`)「また俺ら二人だけだな。今度はどうするか……」
( ^ω^)「誰か誘って一緒に遊ぶお!」
('A`)「それもいいけど、いったい誰を……ん?」
(=゚ω゚)ノ「ははは、まぁ焦るな」
( ^ω^)「あ、イヨウさんだお」
('A`)「でも、一人じゃないみたいだけど……」
( ^ω^)「横にいるのは……お嫁さんかお?」
('A`;)「ちょ、めちゃくちゃ美人……」
- 219 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:38:48.60 ID:7tExf1880
- (=゚ω゚)ノ「疲れてはないのか?」
「はい、大丈夫です」
(=゚ω゚)ノ「そうか。楽しんでもらえたようでなによりだ」
「幸せ者ですね、私は」
(=゚ω゚)ノ「それは、私が言うべき言葉だろう」
「いえ……私は、貴方がいてくれるだけで……」
( ^ω^)「…………」
('A`)「……幸せって、どこにあるんだろうな……」
( ^ω^)「まぁ……お二人が幸せそうで、何よりだお……」
('A`)「お嫁さん欲しい……」
( ^ω^)「野駆けでもするお。体を動かすお」
('A`)「そうだな。馬の調子も見てーし」
テクテクテクテク
- 230 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:40:26.20 ID:7tExf1880
- ( ^ω^)「厩舎はよく行くけど、なーんかいつも遠いなぁと思うお」
('A`)「そうか? こんなもんだろ」
( ´∀`)「いえ、私も遠いように感じます」
(;^ω^)「のわっ! モナー中将!」
( ´∀`)「老体には厳しい距離ですね」
('A`)「どこかへ行かれるのですか?」
( ´∀`)「軽く野駆けなど」
( ^ω^)「ブーンたちもなんですお!
一緒に行きましょうお!」
( ´∀`)「えぇ、こちらこそお願いします。一人で駆けていると、胃に風が吹き込むような寂しさに襲われるのですよ」
タッタカタッタカ
( ^ω^)「おー、今日はお空が綺麗だお」
('A`)「雲ひとつないな〜」
( ´∀`)「今宵は新月だそうです。星がよく見れそうですね」
( ^ω^)「それは見なきゃですお!
ドクオ、今晩は星見酒だお!」
- 246 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:42:51.54 ID:7tExf1880
- ('A`)「おぉ、いいぜ。旨い酒になりそうだな!」
( ´∀`)「私もご一緒してよろしいですか?」
( ^ω^)「もちろんですお! そうだ、どうせなら……」
――ヴィップ城――
(,,゚Д゚)「ん? 部屋の郵便受けに紙が……」
(*゚ー゚)「なになにー?」
(,,゚Д゚)「ブーンからだな。えーっと……」
(,,゚Д゚)「……ほほう」
(=゚ω゚)ノ「今日は綺麗な星が見れるそうだ。ちょっと行ってくる」
「えぇ、行ってらっしゃいませ、貴方」
( ・∀・)「ははは、ブーンらしい誘いだな。まぁ、悪くない」
- 256 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:44:30.58 ID:7tExf1880
- ――夜――
――屋上――
( ^ω^)「三人とも遅いですお」
(,,゚Д゚)「すまんな、しぃがなかなか離れなくて」
( ^ω^)「お連れしなかったんですかお?」
(,,゚Д゚)「連れてきて良かったのか?
なんだ、じゃあ連れてこよう」
( ・∀・)「大変だな、ギコ少将も」
( ^ω^)「でも、嬉しそうですお。イヨウさんは、お嫁さん連れてこなかったんですかお?」
(=゚ω゚)ノ「あぁ、今日はいろいろ出かけていて、ずっと一緒だったからな。それに、こういった場はあいつは得意ではない」
( ・∀・)「シラネーヨ大尉は今日仕事か。えーっと、あと集まってないのは……」
( ^ω^)「あ、今からお呼びしてきますお」
タッタッタッ……
( ^ω^)「声かけてきましたお」
( ・∀・)「大丈夫だったか?」
- 262 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:46:15.50 ID:7tExf1880
- ( ^ω^)「用事とかは特にないみたいですお」
('A`)「あ、来ましたね」
(´・ω・`)「なんだ、まだ飲んでないのか」
( ^ω^)「ショボン大将をお待ちしてたんですお」
(´・ω・`)「そうか、すまんな。みんな揃っているようだし、乾杯といこう」
( ^ω^)「じゃー乾杯ですお!」
(,,゚Д゚)「くはー、うめぇなー」
(*^Д^)「サイコーっすね!」
(,,;゚Д゚)「酔うの早すぎだろ、プギャー……」
(*゚ー゚)「プギャーくんはやーい」
( ´∀`)「たまには皆で騒ぐのも、いいものですね」
(´・ω・`)「そうですね」
( ・∀・)「いい夜空です」
(*><)「綺麗なんです!」
- 283 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:48:45.57 ID:7tExf1880
- (=゚ω゚)ノ「なかなかいい酒を用意したのだな、ブーン大尉」
( ^ω^)「奮発しましたお!」
('A`)「二人で、だろ」
( ^ω^)「だおだお。ドクオと二人でだお」
(‘_L’)「お酒はあまり得意ではないのですが……」
('A`;)「とか言いながらもう五合は飲んでるような……」
(*^Д^)「ヴィップ軍少将、プギャー=アリスト、はりきって歌いまーす!」
(,,*゚Д゚)「引っ込めプギャー!」
(;^Д^)「ギコ少将ひでぇwwwww」
(´・ω・`)「裸踊りでもしたらどうだ、プギャー」
(;^Д^)「ええええええぇぇぇぇ!!」
( ・∀・)「ははは、面白そうですね」
(,,*゚Д゚)「プギャー、自慢のアルファベットAを見せてみろ!」
(;^Д^)「Aじゃないっすよ! ランクで言うなら間違いなく壁越えてますって!」
('A`*)「疑わしいっすねぇー、ギコさん」
- 300 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:50:57.43 ID:7tExf1880
- (,,*゚Д゚)「あぁ、まったくもって疑わしい」
( <●><●>)「骨格や筋肉の成熟具合から考察するに、プギャー少将は」
(;^Д^)「う、うああああぁぁぁぁぁ!!」
(;^ω^)「ちょ、プギャーさん逃げちゃいましたお」
(´・ω・`)「放っておけ。それよりブーン、そっちのつまみをくれ」
( ^ω^)「あ、はいですお」
(´・ω・`)「まったく……みんな騒ぐのが好きだな」
( ^ω^)「いいもんですお。束の間の平穏、ってやつですお」
(´・ω・`)「あぁ……」
( TДT)「お前ら後悔するなよー!! 驚いて腰抜かすなよー!!」
(,,*゚Д゚)「いいぞー!! ひと思いにやっちまえ、プギャー!!」
(*゚ー゚)「あはははははは!!」
- 311 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:52:41.57 ID:7tExf1880
- ( ´∀`)「あそこに見える星が、確かフォーマルハウトですよ」
( ・∀・)「物好きもいるもんですねぇ、星に名前をつけるなんて。自分の子供でもないのに」
( ´∀`)「名付け親になりたがる人は大勢いるんですよ。でも確かに、言われてみれば奇特かも知れません」
('A`*)「リリィー!! 聞こえるかー!!」
(;‘_L’)「大声を出すと迷惑ですよ、ドクオ少尉」
('A`*)「リリィー!! ヴィップが天下を得たら一緒に暮らそうなー!!」
(;‘_L’)「困ったものですね、ほんの一合程度飲んだだけなのに……」
(;゚ω゚)ノ「フィレンクトはもう十合は飲んでいるのに、何故平然としているんだ?」
- 322 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:53:56.85 ID:7tExf1880
- ( ><)「なにがなんだか分かんないんです!」
( <●><●>)「自分には分かっています」
(;><)「なんで分かってるのか分かんないんです!」
( <●><●>)「何故分かっているのかも分かっています」
(;><)「頭が混乱してわけ分かんないんです!」
( <●><●>)「頭が混乱している理由も分かっています」
(´・ω・`)「……まったくもって、騒がしい」
( ^ω^)「でも、やっぱり楽しいもんですお」
(´・ω・`)「……あぁ、そうだな」
- 329 :第100話記念 ◆azwd/t2EpE :2008/03/29(土) 18:55:02.15 ID:7tExf1880
- (´・ω・`)「まぁ、たまにはこんな日があってもいいか」
( ^ω^)「ですおですお!」
(´・ω・`)「もう一度、乾杯といこう」
( ^ω^)「はいですお! カンパーイ、ですお!」
〜〜皆の笑いが絶えない酒盛りは、深夜まで続いたそうです〜〜
【二度と戻れぬ日々
: End】
戻る