- 4 名前:登場人物
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:20:38.44 ID:skbjJIzY0
- 〜東塔の兵〜
●( ^ω^) ブーン=トロッソ
27歳 大尉
使用可能アルファベット:R
現在地:シャッフル城
●('A`) ドクオ=オルルッド
27歳 中尉
使用可能アルファベット:P
現在地:マリミテ城
●(´・ω・`) ショボン=ルージアル
37歳 大将
使用可能アルファベット:W
現在地:シャッフル城
●( ・∀・) モララー=アブレイユ
32歳 中将
使用可能アルファベット:V
現在地:シャッフル城
●(,,゚Д゚) ギコ=ロワード
35歳 少将
使用可能アルファベット:R
現在地:シャッフル城
- 11 名前:登場人物
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:22:08.92 ID:skbjJIzY0
- ●( ^Д^) プギャー=アリスト
33歳 少将
使用可能アルファベット:R
現在地:シャッフル城
●( ><) ビロード=フィラデルフィア
30歳 中尉
使用可能アルファベット:?
現在地:シャッフル城
●(=゚ω゚)ノ イヨウ=クライスラー
36歳 中尉
使用可能アルファベット:R
現在地:シャッフル城
●( ´∀`) モナー=パグリアーロ
52歳 中将
使用可能アルファベット:Q
現在地:シャッフル城
●( <●><●>) ベルベット=ワカッテマス
26歳 少尉
使用可能アルファベット:P
現在地:シャッフル城
- 19 名前:登場人物
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:24:09.37 ID:skbjJIzY0
- 〜西塔の兵〜
●( ゚∀゚) ジョルジュ=ラダビノード
42歳 大将
使用可能アルファベット:U
現在地:パニポニ城
●<ヽ`∀´> ニダー=ラングラー
43歳 中将
使用可能アルファベット:S
現在地:カノン城
●(-_-) ヒッキー=ヘンダーソン
46歳 少将
使用可能アルファベット:O
現在地:パニポニ城
●ミ,,゚Д゚彡 フサギコ=エヴィス
39歳 少将
使用可能アルファベット:?
現在地:パニポニ城
- 20 名前:登場人物
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:24:50.37 ID:skbjJIzY0
- ●( ´_ゝ`) アニジャ=サスガ
41歳 大尉
使用可能アルファベット:P
現在地:パニポニ城
●(´<_` ) オトジャ=サスガ
41歳 大尉
使用可能アルファベット:P
現在地:パニポニ城
- 21 名前:階級表
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:25:35.23 ID:skbjJIzY0
- 〜東塔〜
大将:ショボン
中将:モララー/モナー
少将:ギコ/プギャー
大尉:ブーン/シラネーヨ
中尉:ビロード/イヨウ/ドクオ
少尉:ベルベット
〜西塔〜
大将:ジョルジュ
中将:ニダー
少将:フサギコ/ヒッキー
大尉:アニジャ/オトジャ
中尉:ビコーズ
少尉:
(佐官級は存在しません)
- 27 名前:使用アルファベット一覧
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:26:48.19 ID:skbjJIzY0
- A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:
J:
K:
L:
M:
N:
O:ヒッキー
P:ドクオ/ベルベット/アニジャ/オトジャ
Q:モナー
R:ブーン/ギコ/イヨウ/プギャー
S:ニダー
T:アルタイム
U:ジョルジュ/ミルナ
V:モララー
W:ショボン
X:
Y:
Z:
- 30 名前:この世界の単位&現在の対立表
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:28:47.73 ID:skbjJIzY0
- 一里=400m
一刻=30分
一尺=24cm
一合=200ml
(現実で現在使われているものとは異なります)
---------------------------------------------------
・ヴィップ 対 オオカミ
(マリミテ城〜オリンシス城)
・ヴィップ 対 ラウンジ
(パニポニ城〜ギフト城)

- 33 名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:29:31.46 ID:skbjJIzY0
- 【第48話 : Laser】
――マリミテ城――
東塔の本隊が進発してから、一ヶ月が過ぎた。
シャッフル城に到着したという報せも入った。
いよいよ、防衛戦が始まる。
('A`)(……不備は何もない……大丈夫だ……)
大丈夫だ、という言葉を繰り返し使った。
自分に対してだ。
自分自身を、信じることから始めた。
でなければ、周りの信頼など得られるはずがないと思った。
あまりに大きな過ちを犯した。
どうあがいても消せない。
消えるはずがない。
しかし、そのまま塞ぎこんでいては、自分のせいで死んでいった兵に申し訳が立たない。
生きている自分には、死んだ人や戦えなくなった人のぶんまで頑張ることしかできないのだ。
この戦いを、勝利に導くよりほかないのだ。
('A`)「火のつきそうなものは全て屋内に運び込んでくれ」
着々と籠城の準備を整えていた。
- 52
名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:35:11.54 ID:skbjJIzY0
- ( V-V)「ドクオ中尉、城外の仕掛けは完了致しました」
( ゛ロ゛)「アルファベットの点検も終わりました。問題ありません」
('A`)「分かった。スメア、ローダ、二人とも休んでくれ」
二人が頭を下げて立ち去った。
スメアとローダは、自分の初陣であるシャッフル城戦からの付き合いだった。
シア城を奪う際、自分の提案に猛反発されたのを今でも覚えている。
フィレンクトの恫喝で竦みあがってからというもの、心を入れ替えすっかり丸くなっていた。
フィレンクトが片腕を失って軍を去ることになったときは、人目も憚らずに泣いていた。
シャッフル城戦以降、冷静で安定感のある兵として活躍できているのは、フィレンクトによるところが大きかったためだ。
感謝の言葉を何度も伝えてくれた、とフィレンクトが言っていたのを思い出す。
最初は軍歴を盾にして傲慢な言葉を吐いてきていたが、今は尊敬の念すら感じられるようになった。
ずっと敬語で喋っていたら、自分たちのほうが位は下だからやめてください、とまで言われたのだ。
シャッフル城戦のときとは比べものにならないような変貌ぶりだった。
この二人の部隊長と共に、マリミテ城を守り抜く。
覚悟はとっくにできていた。
二日が経った。
オオカミの大軍が、はっきりと肉眼で確認できる距離に迫っていた。
夜の闇に染まったこの時間でもだ。
- 65
名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:37:59.65 ID:skbjJIzY0
- 強風に翻るオオカミの軍旗。
漆黒の下地に獰猛な狼のシルエットがあしらわれており、畏怖を感じさせる。
今まで何度も見てきた旗だが、そう思うのは初めてだった。
着々と歩みを進めてくる。
そろそろ停止するはずだ。そう思った。
しかし、オオカミは"仕掛け"などお構いなしで進軍を続けている。
(;'A`)「矢防ぎの楯を出してくれ! 早く!」
いきなり、想定が外れた。
オオカミの進軍が、早すぎるのだ。
城外に仕掛けを施した。
地面に穴を空けたり水を流し込んだりして、滞陣させにくくするというものだ。
効果は出るだろうと思ったが、無視して城に迫ってくるのは予想外だった。
一気に城を囲まれた。
そのまま留まることはできないはずだ。しかし、迫ってきた。
オオカミは、即座に攻め込むことを決めたのだ。
(;'A`)(もっと逡巡しろよ……くそっ……)
半年、耐えてみせる。
その約束を、破るわけにはいかない。
皆が信頼して、マリミテ城を託してくれたのだから。
オオカミのD隊が、一斉にFを放ち始めた。
- 79
名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:40:44.93 ID:skbjJIzY0
- 月灯りの広がる空が、一瞬暗くなる。
次の瞬間には、城内に無数のFが降り注いだ。
Oを天にかざして防ぐ。金属音がうるさいほどに響く。
最初から、オオカミは全力だ。
間断なくFが射ち込まれる。身動きも取れない。
身を屈めて盾型アルファベットで防げばほぼ安心だが、予期せぬ方向、角度で飛んでくることもありえる。
Dで放ったFなら、Gで防いでいればアルファベットが破られることはないはずだ。
しかし、何百や何千と攻撃を受け続けた場合、どうなるかは分からない。
もしアルファベットが破壊されたら、間違いなく命はない。
矢防ぎの楯も、さほど高い効果は発揮できない。
アルファベットに、アルファベット以外のもので対抗しようというほうが無理があるのだ。
Fを回収することも考えて楯の使用を決めたが、思ったより破壊されるのが早い。
(;'A`)「サン部隊とロク部隊は屋内に入ってくれ!
あとは壁際で攻撃を凌ぐんだ!」
全兵を屋内に入れるわけにはいかない。姿を消せばオオカミは攻撃をやめてしまう。
少しでも敵の力を消耗させることが大切なのだ。
オオカミが全力で攻める姿勢を見せている今こそ、相手に攻撃を続けさせなければならない。
二刻ほど同じようにFを射込まれ続けた。
やがて勢いは和らぎ、それからさらに二刻ほど経って、攻撃は止んだ。
オオカミは軍を下げ、城からは三里ほど距離を取って陣を留めた。
三里あればある程度の自由が得られる。
城に迫るまでの時間を稼ぐこともできる。
城外の地面を不安定にしておいたことが、奏功してくれたようだ。
- 92
名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:43:36.79 ID:skbjJIzY0
- (;'A`)「スメア、ローダ、無事か?」
二人が頷いていた。攻撃は凌ぎきったようだ。
何人かは負傷したものがいると情報が入った。すぐに手当てにあたる。
たった五千しか兵はいない。一兵たりとも失えない戦なのだ。
オリンシス城を奪取する作戦を自分の中で決めてすぐ、五千の兵を選別した。
ショボンから誰を選んでもいいとの許可を貰ったため、防衛戦の経験がある兵を多く選んだ。
例えば、512年にエヴァ城やシャナ城を守った兵などだ。
若くて力のある兵も選ばせてもらった。
五千で防衛戦に勝つためには、個々人の力量が高くなければならない。
厳選に厳選を重ねた五千だった。
そのひとりひとりに、話をした。
自分が犯した過ちのことだ。
誰にも話すなと言われていたが、話すべきだろうと思った。
無謀だと言われた五千での防衛。苛酷な戦になる。
黙って臨ませることはできなかった。
全員と話し合って、判断を求めた。
もし不可能だと思えば、抜けてもらっても構わない。
そう言って、全員が納得するまで話し合った。
ただ信じて身を預けてくれる者。
徹底的に自分の意見をぶつけてくる者。
様々だったが、最終的には五千全員が納得してくれた。
- 111 名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:46:21.11 ID:skbjJIzY0
- 自分の過ちについては、慰めの言葉をかけてくれる者と、真っ向から批判してくる者がいた。
どちらにも、深く詫びた。その上で戦ってくれることには、言葉にできないほどの感謝の念があった。
皆が信頼してくれた。国のために、中尉のために勝とうと思ってくれた。
だからこそ、勝たなければならない戦なのだ。
('A`)「手当てが終わったら兵糧の配分だ。かなり切り詰めるが、我慢してくれ」
半年を戦うには際どすぎるほどの兵糧しか残っていない。
攻めが六万五千を率いていったため、当然だった。
この微量で、半年を耐え抜かなければならない。
やってやる。
やってみせる。
('A`)「城外の動きには常に気を配ってくれ。警戒を緩める素振りを見せて敵の攻撃を誘うんだ。
不用意に近づいてくるようならFを射てやれ。ただし敵の意図を探ることも忘れるな。」
次々と下知を下した。
休まるときは、なさそうだった。
――シャッフル城――
(´・ω・`)「シャッフル城にはビロードを残す。プギャーは攻め手に加わってくれ」
( ^Д^)「分かりました」
( ><)「了解なんです」
- 125 名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:49:03.72 ID:skbjJIzY0
- 配置転換が行われた。
攻めを得手とするプギャーが攻撃軍に入り、守りを得手とするビロードがシャッフル城に残った。
シャッフル城は、マリミテ城を攻めているオオカミへの牽制の役割も果たす。
隙を見せればエヴァ城を突かれてしまう恐れがあるためだ。
それをさせないために、シャッフル城には率いてきた兵のうち、二万五千を残す。
合計三万の兵が守兵となり、いざというときには出撃できるよう準備しておく、という形だった。
広い視野が必要になるため、戦局眼に優れるビロードが残されることになった。
(*^ω^)「お久しぶりですお!」
( ^Д^)「おぉ、ブーンか。確かに久しぶりだな」
アルファベットRを背に負ったプギャーと、久方ぶりの対面だった。
以前よりも体つきが逞しくなったように見える。
シャッフル城に赴任している間、訓練を重ねていたのだろう。
(;^Д^)「しかし、入軍したときはあんだけアルファベットの差があったのに……。
もう追いつかれちまうとは、ちょっとショックだぜ」
(;^ω^)「す、すみませんお」
(;^Д^)「いや、謝ることじゃねーけどな……お前の才能に驚いてんだよ」
(*^ω^)「ありがとうございますお」
( ^Д^)「俺もアルファベットじゃ相当の才があるなんつって持て囃されたが……。
モララー中将にせよ、お前にせよ……上には上がいるもんだ」
- 136 名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:51:54.27 ID:skbjJIzY0
- (;^ω^)「ブーンも、Sの壁に挑戦するようになってから、改めてショボン大将やモララー中将の凄さを知りましたお」
( ^Д^)「だなぁ……壁を突破する人はバケモンだぜ、みんな。
ニダー中将なんか奇妙な笑い声しか印象にねーのに、壁越えてんだもんなぁ」
( ^ω^)「ブーンも早く越えたいですお」
( ^Д^)「負けねーぜ。俺が先に越えてやるよ」
(*^ω^)「おっおっおっ、負けたほうは全裸で城塔に立って国旗を振るってのはどうですかお?」
( ^Д^)「おいおい、お前のショボイのを晒させちまっていいのか?
悪いな」
( ^ω^)「負けないから大丈夫ですお。御自分のアルファベットAを心配したほうがいいですお」
( ^Д^)「言ってくれるじゃねーか……お前に伝説作らせてやるよ、楽しみにしてろ」
プギャーがニヤリと笑って、背を向けた。
気さくな人柄で、話していると快くなる。
久しぶりの会話だったため、余計にそう感じられた。
五日ほど準備に費やしてから、シャッフル城を発った。
四万の軍。まずは確実に南下することから始める。
西の山は避けて、キョーアニ川の上流付近を進軍することになっていた。
もっとも、キョーアニ川の上流は山になっている。
さほど標高はないため、シャッフル城の西にある山よりは楽に進める。
ただし、ここはオオカミの縄張りだ。
- 155 名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:55:05.94 ID:skbjJIzY0
- 思わぬ罠を仕掛けられている可能性もある。
慎重に斥候を放ちながら、着実に軍を進めた。
薄く積もった雪に足跡を残しながら。
(´・ω・`)「あれか」
小高い丘陵から、キョーアニ川を見降ろした。
水源だ。湖のようになっている。
百を超える船が揃っていた。
( ・∀・)「ちょーっと、厄介ですね」
ここから先に進むためには、どうしても湖に近づく必要がある。
しかし、あまり接近しすぎると、船からD隊による攻撃を受けるだろう。
オオカミの水軍はこちらに気づいている。
道としては、湖と逆の方向に行くこともできなくはない。
ただし、険阻であり、悪路だった。
人が通行するぶんにはまだいいが、馬や輜重を動かすのは難しい。
何とかして、湖の近くを通りたい。
しかし、どうすべきか。
(´・ω・`)「水軍は、潰しておこうか」
事もなげに言い放った。
ショボンの、平静さのみに支配された声。
ゆっくりと、アルファベットWを構えた。
- 166 名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
21:57:56.51 ID:skbjJIzY0
- 空気が、張り詰める。周りが圧されるほどの気力が漲っていた。
ショボンの視線が、一隻の中型船に向いている。
Fを弦にかけ、右手で引いていく。
弦が張っていく。音を立てる。
そして、全ての動きが一瞬静止した。
次の瞬間、視界からFは消えていた。
すぐに音が届いた。
判然とした破壊音。低い叫び声。
船の側面に穴が開き、水が侵入していっている。
ショボンの一撃は、的確に水面と接する部分を捉えていた。
ちょうど水が入り込む部分。
しかし、少しでも下にずれれば、水に触れてしまい威力は低減する。
いかに視線の先へ向かってくれるWとはいえ、あそこまで正確に射れるのは、並大抵のことではなかった。
度重なる訓練があってこその一撃。あまりに効果的な一撃。
オオカミの水軍を、たった一本のFで慄かせた。
次々と船にダメージを与えていく。
小型船なら一本、中型船でも二本あれば沈めることができるようだ。
さすがに大型船は五本ほどを射なければ痛打とはならないが、ショボンは的確に攻撃を加えていった。
湖に落ちていくオオカミの兵。
いくつもの船が沈み、完全に水軍は乱れていた。
たったひとり。ショボンという武将のみで、水軍を破ることができた。
- 184 名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
22:00:41.02 ID:skbjJIzY0
- (´・ω・`)「さほど船が多くなくて助かった。オオカミの船も、Wで狙われることはさすがに想定していなかったようだな」
あまりに頼もしい笑みを浮かべていた。
オオカミの水軍はこちらを狙うどころではなくなり、ひたすら溺れた兵を助けていた。
その側を、ヴィップ軍は悠々と進軍していく。
(´・ω・`)「この調子で勝ち進むぞ」
周りから一斉に呼応の声が上がった。
――マリミテ城・城外――
不気味な城だった。
オオカミ領だったころは、清廉さが際立つとまで言われたマリミテ城。
それが、見る影もないほどに変貌している。
いや、外見自体はさほど変わりないのだ。
せいぜい城塔の旗の色が黒から青になり、城壁に細工が施されている程度だ。
しかし、言い知れぬ不穏さを感じるようになった。
( ゚д゚)(マリミテ城を守っているのは、ドクオ=オルルッドのみか……)
大胆な策を取ってきた。
一人の守将と、五千の兵。
たったそれだけで、マリミテ城を守ろうというのだ。
- 200 名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
22:03:26.39 ID:skbjJIzY0
- 残りの兵は攻めに回し、陸路でオリンシス城を攻めるつもりのようだ。
ふざけるな、と思った。
そんな作戦が、本気でオオカミに通じると考えているのか。
守兵が五千なら、マリミテ城など三ヶ月もかからずに落とせる。
オリンシス城を守るのも容易ではないが、三ヶ月で陥落することはないだろう。
兵糧が尽きるまで篭れと伝えてある。
二万の兵で籠城した場合、兵糧面での不安が出てくる。
ただでさえ兵糧は苦しくなっている状態だ。
しかし、半年ほどなら何とか籠城できるはずだった。
恐らくヴィップはシャッフル城に二万五千ほど兵を残しただろう。
でなければエヴァ城が危うくなる。
オリンシス城を攻めるのは、四万ほどの兵になるはずだ。
二万の兵が守る城に、四万の兵。
とても攻め切れる兵数ではない。
優位なのは、どう見てもオオカミ側だ。
しかし、と考える。
ヴィップは、あえてこの布陣で臨んでいる。
どう見ても不利だと思える体勢で。
覆す策があると見て良さそうだった。
マリミテ城側にか、オリンシス城側にかは分からない。
両方に仕掛けている可能性もある。
常に警戒を高めておく必要がありそうだった。
- 215 名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
22:06:24.71 ID:skbjJIzY0
- 〔´_y`〕「攻城兵器の組み立てを急ごうと思います。問題ありませんか?」
( ゚д゚)「ない。ガシュー、お前が指揮してやってくれ。配置と配分も全てだ」
〔´_y`〕「はい」
( ゚д゚)「フィル、お前は騎馬隊の調練だ。ヴィップが城から打って出てきたときのことを想定してやるんだ」
| `゚ -゚|「分かりました」
二人が即座に駆け出して行った。
軍の士気は悪くない。皆の動きも機敏だ。
ここ数年、オオカミは勢いに乗れている。マリミテ城も落とせると皆が信じていた。
それから数日間は、折を見てFで攻撃させた。
同時に、乱された地面を少しずつ修復していく。
かなり時間をかけたらしく、四方三里にわたって相当酷い状態になっていた。
敵兵が城壁に見えた場合、即座にFを射させていた。
しかし、ときどき藁人形を使って欺かれていることに気付き、戦況は落ち着いてしまった。
特に夜は見分けがつかなかった。およそ十日間は騙されつづけていた。
城にFを射るときは兵を接近させたが、留まることができないのは痛かった。
とても寝食ができるような状態ではなく、攻城兵器を近づけることもできない。
冬という季節も相俟って、地面が固くなっているのが辛かった。
苦労して地面を修復していたが、城まで一里半ほどに迫るとヴィップは手強かった。
投石器で頭の大きさほどの石を無数に飛ばしてくるのが、思ったよりも痛い。
石を除去するのがこのうえなく煩雑な作業になった。
- 226 名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
22:09:10.71 ID:skbjJIzY0
- それでも確実に前進しつづけた。
城壁まで四半里ほどの位置から、D隊を使ってヴィップの投石器を潰す。
僅かな隙を利用して陣を前に進め、包囲を狭めていく。
ヴィップがあの手この手を使って抵抗してくるため、時間はかかった。
しかし、当初の予定より大幅に遅れているわけではない。
およそ二ヶ月かけて、マリミテ城まで一里ほどの位置に陣を構えることができた。
( ゚д゚)「攻城兵器を潰されないように注意を払え。マリミテ城の動きをよく見るんだ」
陣頭で指揮を取っていた。
五万の兵で城を攻めるというのは、容易ではないが、野戦よりは楽だ。
物事を考える時間が、野戦より多い。
( ゚д゚)(……ここまで進めたが……ドクオ=オルルッドは、どう出る?)
多様な手段で、城を守っている。
守りに堅い武将だと聞いていたが、それは正しいようだ。
恐らく、城を守る力だけならヴィップでもトップを争うだろう。
オオカミには欠けている人材だ。
守りに長けた武将。一人は欲しいところだが、四中将は攻め好きが多い。
守備を任せるとしたらガシューだが、適任とは言い難かった。
城壁を見上げた。
雲梯や梯子を掛けにくくするためか、尖った丸太を備えつけられている。
まずはあれを取り除く必要があるだろう。
- 248 名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
22:12:19.19 ID:skbjJIzY0
- ( ゚д゚)「……よし、地面を修復しながら更に攻城兵器を接近させるぞ。
敵の出方を窺いながら、慎重にな。
それから"名手"も身を守りながら近づけ。ビビらせてやるといい」
ここまで来ると、敵の反撃も受けやすくなる。
細心の注意を払っていく必要があるだろう。
この距離になって、ドクオが何をやってくるか。
それを、しっかりと把握しておく必要があった。
――マリミテ城・城内――
('A`)(D隊を下げてきたか……それなら……)
今までは、D隊を前面に押し出しながら陣を進めてきた。
しかし、それを下げることによって進軍速度を上げようとしている。
攻城兵器も物々しさを感じるまでの距離に迫っていた。
だが、この状況なら、モナーに託されたものが使える。
('A`)「よく狙いすませ」
十人がかりで、引かせた。
尖った丸太。大きく張った弦。
掛声とともに、解き放たれる。
- 273 名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
22:15:41.09 ID:skbjJIzY0
- 天高く上がり、敵の攻城塔を見事に破壊した。
この距離で破壊されるとは思っていなかっただろう。してやったりだ。
何回も何回も訓練を重ねた甲斐があった。
オオカミは慌てて進軍を停止した。
攻城兵器を強引に半里ほどの距離にまで移動させてきたが、無駄足だったことになる。
ミルナもかなり軽率な行動を取ったものだ、と思った。
('A`)「……ん?」
鋭い眼光が、薄暗がりの中に見えた。
一人の男が、攻城塔の近くに佇んでいる。
威厳さえ感じさせる風貌で、口周りには浅く髭を蓄えている。
右腕を伸ばし、一度左手を右肩に当ててから、アルファベットを構える。
(;'A`)「ッ!!」
風を裂いて、何本ものFが飛来してきた。
体を捻りながら、Pを振るう。Fを破壊する。
避けることさえ見据えたように、Fは再び自分を狙ってくる。
身を屈めて、何とかFをやり過ごした。
しかし、一瞬反応が遅れていたら、首は胴と離れていただろう。
アルファベットM。
速射性には優れるが、他の弓系より精度が低い、というのが特徴だった。
だが、先ほどの初撃は正確に自分の首筋を狙ってきていた。
- 288 名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
22:18:46.83 ID:skbjJIzY0
- 自分が隠れたことを知るや、すぐに弓手は引き下がったようだ。
あの風貌。今まで見たことはなかったが、噂に聞いたことはある。
オオカミが弓の名手として誇る、イッチロー中尉だ。
まるで光線のような正確さだった。
まさか、自分を討ち取るために、今まで温存していたのか。
そのために、あえて攻城兵器を強引に押し出したのか。
(;'A`)(……さすがに、手強いな……)
シャッフル城戦のときに、リレントにMで狙われたときのことを思い出した。
あのときより距離があるにも関わらず、比べ物にならない鋭さを放っていた。
オオカミも全力を尽くしている。
一日でも早くこの城を落とそうとしている。
それでも、半年は耐え抜かなければならない。
何とか二ヶ月を耐えた。残るは四ヶ月。
半年でオリンシス城を落としてくれると信じて、戦いつづけなければならない。
- 338 名前:第48話
◆azwd/t2EpE :2007/07/01(日)
22:22:04.97 ID:skbjJIzY0
- ('A`)「……よし。スメア、ローダ、次は"アレ"の準備を頼む」
二人が一瞬驚いた顔を見せたが、頷いて駆け出して行った。
第48話 終わり
〜to be continued
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