2 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 21:34:44.07 ID:OZEj6Ux80
〜東塔の兵〜

●( ^ω^) ブーン=トロッソ
22歳 大尉
使用可能アルファベット:N
現在地:マリミテ城付近

●('A`) ドクオ=オルルッド
22歳 少尉
使用可能アルファベット:J
現在地:マリミテ城付近

●(´・ω・`) ショボン=ルージアル
32歳 大将
使用可能アルファベット:V
現在地:マリミテ城付近

●( ・∀・) モララー=アブレイユ
27歳 中将
使用可能アルファベット:T
現在地:マリミテ城付近

●(,,゚Д゚) ギコ=ロワード
30歳 少将
使用可能アルファベット:Q
現在地:マリミテ城付近
4 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 21:36:22.86 ID:OZEj6Ux80
●( ^Д^) プギャー=アリスト
28歳 少将
使用可能アルファベット:O
現在地:シャッフル城

●( ><) ビロード=フィラデルフィア
25歳 中尉
使用可能アルファベット:?
現在地:マリミテ城付近

●(=゚ω゚)ノ イヨウ=クライスラー
31歳 中尉
使用可能アルファベット:Q
現在地:マリミテ城付近

●( ´∀`) モナー=パグリアーロ
47歳 中将
使用可能アルファベット:Q
現在地:パニポニ城

●(‘_L’) フィレンクト=ミッドガルド
29歳 少尉
使用可能アルファベット:I
現在地:マリミテ城付近

●( <●><●>) ベルベット=ワカッテマス
21歳 マリミテ城戦・ブーン大尉配下部隊長
使用可能アルファベット:I
現在地:マリミテ城付近
10 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 21:37:56.93 ID:OZEj6Ux80
〜西塔の兵〜

●( ゚∀゚) ジョルジュ=ラダビノード
37歳 大将
使用可能アルファベット:T
現在地:名もなき城

●<ヽ`∀´> ニダー=ラングラー
38歳 中将
使用可能アルファベット:?
現在地:ハルヒ城

●(-_-) ヒッキー=ヘンダーソン
41歳 少将
使用可能アルファベット:O
現在地:ヴィップ城

●ミ,,゚Д゚彡 フサギコ=エヴィス
34歳 少将
使用可能アルファベット:?
現在地:ヒグラシ城
12 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 21:38:43.75 ID:OZEj6Ux80
●( ´_ゝ`) アニジャ=サスガ
36歳 大尉
使用可能アルファベット:?
現在地:ヴィップ城

●(´<_` ) オトジャ=サスガ
36歳 大尉
使用可能アルファベット:?
現在地:ヴィップ城
16 :階級表 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 21:40:07.96 ID:OZEj6Ux80
〜東塔〜

大将:ショボン
中将:モララー/モナー
少将:ギコ/プギャー

大尉:ブーン/シラネーヨ
中尉:ビロード/イヨウ
少尉:ドクオ/フィレンクト


〜西塔〜

大将:ジョルジュ
中将:ニダー
少将:フサギコ/ヒッキー

大尉:アニジャ/オトジャ
中尉:ビコーズ
少尉:

(佐官級は存在しません)

17 :使用アルファベット一覧 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 21:41:15.03 ID:OZEj6Ux80
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:フィレンクト
J:ドクオ
K:
L:
M:
N:ブーン
O:プギャー/ヒッキー
P:
Q:モナー/イヨウ/ギコ
R:
S:アルタイム(ラウンジ)
T:ジョルジュ/モララー/ミルナ(オオカミ)
U:
V:ショボン
W:
X:
Y:
Z:
21 :この世界の単位 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 21:42:57.37 ID:OZEj6Ux80
一里=400m
一刻=30分
一尺=24cm
一合=200ml

(現実で現在使われているものとは異なります)

29 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 21:46:58.05 ID:OZEj6Ux80
【第39話 : Burst】


――名もなき城――

 快勝だった。
 オオカミは何の攻めも打てず、犠牲を払って後退。
 戦場に落ちたFや馬の回収のほうが苦労したくらいだった。

( ^ω^)(気持ちいい勝ち方だったお)

 一番の見どころは、モララーとフィルの一騎打ちだった。
 512年、シャナ城を狙ったフィルをモララーが打ち破ったことから始まる因縁。
 モララーは大して気にかけていないが、フィルは相当な意気込みを見せていた。

 アルファベットでは、TとR。
 俄然モララーのほうが有利だが、フィルは豪快にアルファベットを振るっていった。
 それを平然と弾くモララーのT。

 およそ十合、打ち合った。
 終始余裕を見せたモララー。息を切らせたフィル。
 戦局に影響を及ぼすことを懸念してか、先にモララーが下がったが、勝敗は明らかだった。

( ・∀・)「さすがに討ち取るのは難しいな。あれでも一国の中将だしな」

 やはり別格だった。
 オオカミではミルナに次ぐ存在であるフィルを、歯牙にもかけていない。
 ライバルだと思っているのはどうやらフィルだけのようだ。
33 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 21:50:21.51 ID:OZEj6Ux80
 一騎打ちが終わったあとは軍同士がぶつかり、本格的な戦いになった。
 だが、将の質や、何より兵数で上回っている戦だ。
 オオカミは為す術もなく崩れていった。

 たった一度の衝突でオオカミは算を乱し、後退した。
 オオカミは戦勝してヴィップを押し返したかったのだろうが、到底叶わぬことだった、ということになる。

(´・ω・`)「多分、次は砦を狙ってくる。まともにぶつかると見せかけて、砦を潰し背後を絶つ気だ」

( ・∀・)「リレントが考えそうですね、それ。警戒したほうが良さそうです」

(´・ω・`)「ドクオ、南からの動きに集中するんだ。オオカミが攻めてくるとしたら南だ。森に隠れて移動しやすいからな」

('A`)「分かりました」

 ドクオの守りはかなり信頼されていた。
 経験したのはシャッフル城戦のみだが、既に才気溢れる武将として噂が広がっている。

(´・ω・`)「守りの計算が立つようになると、攻めは楽だ」

( ・∀・)「ですね。どうも東塔には攻めたがりが多いようですから」

(´・ω・`)「俺やお前もそうだからな」

( ・∀・)「その通りですねー。ギコ少将やイヨウ中尉もそうでしょう」

 ギコとイヨウが苦笑した。言われてみれば確かに、攻めを得手とする武将が多い。
 その中にあって、守備で活躍したドクオは貴重な存在となり得るだろう。
43 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 21:53:14.83 ID:OZEj6Ux80
(´・ω・`)「ブーンが加わって攻め手は充実している。ビロード以外にも守りに長けた者が欲しいとは思っていた」

('A`)「……与えられた場所で頑張ります」

 ドクオは軽く頭を下げてそう言った。
 しかし、知っていた。ドクオは、本当は攻めのほうが好きなのだ。
 紙の上で戦をやると、いつも怒涛の攻めを見せる。

 思えばシャッフル城戦でシア城を守り抜いたときも、守るどころかリレントを攻め立てて勝利を得た。
 攻撃的な守り。ドクオの性質が奏功している、ということだろう。

 だが、守りばかりを任されて満足はしないはずだ。
 まずは守りで評価を得て、いずれ攻撃に加わりたいと申し出るのだろう。

(´・ω・`)「次の戦いは年末……いや、年を越してからかも知れんな」

(,,゚Д゚)「向こうの動き次第ですか」

(´・ω・`)「あぁ。反撃してくるのを待とう。守りで打ち破る」

( ・∀・)「完膚なきまでに打ちのめして、早めにマリミテ城を放棄させたいですね」

(´・ω・`)「オオカミは兵糧に苦しんでいるはずだ。敗戦が続けば城の維持は諦めるだろうな」

(=゚ω゚)ノ「ヴィップの物資は大丈夫ですか?」

(´・ω・`)「潤沢もいいところだ。今年の秋は豊作だったしな」

( ・∀・)「安心して戦ができますね。兵站を乱されないようにだけ注意しなきゃですけど」
52 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 21:56:10.78 ID:OZEj6Ux80
 軍議が終わってからは、やはり調練だった。
 戦勝の勢いが残っており、総じて軍内は士気が高い。
 調練の動きも機敏だった。

(,,゚Д゚)「上手くなったな、お前」

(*^ω^)「ホントですかお? ありがとうございますお!」

 実戦に近い形でともに調練を行ったギコに、終了後そう言ってもらえた。
 今の東塔では実質トップスリーに入っているギコの言葉だ。嬉しくないはずがなかった。


 汗を拭いて自室で具足を解き、夕食を取りに向かった。

 その途中、廊下を歩いているジョルジュに出会った。
 一瞬、言葉が出てこなかった。

( ゚∀゚)「飯か?」

 小さく、はい、と言うのが精一杯だった。
 ジョルジュに届いたかどうか、分からない。
 念のため、頷きもした。

( ゚∀゚)「俺も今から行くとこなんだが、一緒に食うか?」

(;^ω^)「えっ!? ジョルジュ大将とですかお!?」

( ゚∀゚)「他のやつと食うんならいいけどな。ま、大将と食うのもいいもんだろ」
67 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 21:59:13.80 ID:OZEj6Ux80
 断れるはずもなかった。
 並び歩き、兵糧を受け取りにいく。

 兵糧を手にしたあとは屋上まで行った。
 さほど寒さはない日だったが、夜はやはり冷え込む。
 何故ここまで来たかは分からない。高いところが好きなのだろうか。

( ゚∀゚)「ま、特に話すこともねーんだけどな」

 いつものような笑みを浮かべながら、ジョルジュは兵糧を口に放った。
 風に揺れる金髪は、男らしさを演出しながらも、女性のもののような美しささえ持している。

( ^ω^)「……お体の調子は、いかがですかお?」

( ゚∀゚)「まぁまぁだな。おかげさんで、ヴィップ城にいるときよりゃ楽だ」

( ^ω^)「それなら、良かったですお」

 上っ面だけの会話。
 決して気分の良いものではない。

( ゚∀゚)「東塔の連中ばっかで居心地は悪いがな。お前をラウンジ戦に伴ったときもこうだったのか、と思うと、悪い気がしたが」

( ^ω^)「気にしないでくださいお。あの戦はブーンにとって大事な戦でしたお」

( ゚∀゚)「ま、初陣でいきなり将校に上がれたしな」

 本当に悪いと思っているわけではないのだ。
 ただ自分の思った通りに会話を進めるためだけに、使った言葉。
 ジョルジュ=ラダビノードは、そういう人間だろう。
80 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 22:01:37.70 ID:OZEj6Ux80
( ゚∀゚)「お前がここまでの奴だとは思わなかったぜ。こんなことなら無理やりでも西塔に引きいれりゃ良かったな」

( ^ω^)「……恐縮ですお」

( ゚∀゚)「ま……ショボンの育成手腕が大層なもんだった、ってことか……」

 自虐的な意味合いを込めたのだろうか。
 ジョルジュの言葉の意を読み取ろうとするが、やはり難しい。

( ゚∀゚)「ブーン……お前は……」

( ^ω^)「え?」

( ゚∀゚)「お前は……これからもヴィップのために戦うのか?」

 一瞬、風が凪いだ。

 やはり、意図が分からなかった。
 そして意味も。

 いったい、この質問をぶつけて、どうしようというのか。
 分かる気がしない。

(;^ω^)「……もちろんですお」

( ゚∀゚)「そうか……」

(;^ω^)「……ジョルジュ大将は……どうなんですかお?」

 ジョルジュの細い眉が、つり上がった。
93 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 22:04:12.50 ID:OZEj6Ux80
 体が硬直するような険しい表情。
 この寒さの中で、自分の体がはっきりと汗をかいている。
  _
( ゚∀゚)「……誰に聞いてんだ? 俺は、ヴィップの大将だぞ」

(;^ω^)「……申し訳ありませんお」

( ゚∀゚)「はっ……」

 最後の一口を頬張って、ジョルジュが立ち上がった。
 その表情をこちらに見せることなく。

 立ち去るときの足取りは、どことなく不安定に見えた。



――519年・春――

――名もなき城・臨時軍議室――

(´・ω・`)「次を最後にしよう。大打撃を与え、城を放棄させるんだ」

 四度の戦を行った。
 その全てで敵軍を潰走させた。

 特に大きかったのは二戦目の勝利だ。
 正面からのぶつかり合いを演じながら、オオカミの別動隊が砦を攻め寄せた。
 少数精鋭で一気に複数の砦を潰す策。成功すれば大きい。

 だが、オオカミの攻撃を見事打ち破ったのはドクオだった。
113 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 22:06:47.08 ID:OZEj6Ux80
 あらかじめ幾つかの砦を、手薄にして敵を待ち構えていたのだ。
 当然、敵は手薄になっている砦を狙ってくる。
 その背後を、ドクオは突いた。

 別動隊を率いていたのはリレントだったが、後ろから攻められ、命からがら潰走した。
 討ち取る直前までいったというが、慌てて救援に来たガシューに防がれ、逃げおおせられたという。

( ^ω^)(でも、昇格間違いなしだお)

 その二戦目の勝利が、戦の流れを決定づけた。
 三戦目と四戦目のオオカミ軍は、明らかに士気が低下していたのだ。

 オオカミは兵数も兵糧も減少しており、マリミテ城を堅持しつづけるのが難しくなっているはずだった。

( ・∀・)「そろそろ伏兵でも使いますか」

(´・ω・`)「伏兵か。いいかも知れんな」

( ・∀・)「誘き寄せて、伏兵でドカン。それで充分でしょう」

(´・ω・`)「上手くやればな。どこに伏兵を置くかが大事だ」

('A`)「南の間道はどうですか? 本道に陣を敷けばオオカミは間道を進んでくるでしょう」

(´・ω・`)「ふむ……ミルナがいない今なら、成功するだろうな」

( ・∀・)「良さそうですね。念のために補佐隊を後方に置いておけば確実かと」
127 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 22:09:20.25 ID:OZEj6Ux80
(´・ω・`)「そうだな。あとは、伏兵部隊を誰に率いさせるかだが……」

(‘_L’)「私に行かせてください」

 フィレンクトが手を挙げた。
 いつもの冷静な顔とは、少し違って見える。

(´・ω・`)「……フィレンクトか……そうだな……」

(,,゚Д゚)「私はいいと思います。フィレンクトなら確実性が高いかと」

( ・∀・)「同意見ですね」

(´・ω・`)「……フィレンクト、やれるか?」

(‘_L’)「確実に、こなしてみせます」

(´・ω・`)「……よし、伏兵部隊はフィレンクトだ。補佐隊はブーンに任せる」

( ^ω^)「了解ですお」

(´・ω・`)「残りは本隊だ。敵軍に間道を進ませるためには、俺とモララーとギコは本道の見える位置に居る必要があるからな」

( ・∀・)「砦は再びドクオ、後詰にイヨウ中尉とビロードを置けば盤石でしょう」

(´・ω・`)「よし、各自準備を整えてくれ。十日後には攻め込むぞ」

 席を立つ音がいくつも響く。
 その中で、最後まで立ち上がらず、黙って眼を伏せていたのは、ジョルジュだった。
141 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 22:12:08.29 ID:OZEj6Ux80
 気にかけることもなく、部屋を出た。
 直後、後ろから肩を掴まれる。

 ショボンだった。

(´・ω・`)「気をつけてくれ」

(;^ω^)「え?」

(´・ω・`)「フィレンクトだ。やはりあいつは気負いすぎている」

(;^ω^)「……そんな風には……」

(´・ω・`)「いや、ドクオが活躍していることが、フィレンクトにとっては重荷となってしまっているようだ。
      あいつは東塔の中では決して若い武将じゃない。かなり焦っている。伏兵部隊を願い出たのもそのせいだろう」

 ショボンはフィレンクトの気負いを気にしている。
 自分がフィレンクトと話したときは感じなかったが、やはり装いなのだろうか。

( ^ω^)「……全力で補佐しますお」

(´・ω・`)「頼む。何かあってからじゃ遅いからな」

 何か、あるのか。
 起こってしまうのか。

 何もない、と願いたい。
 いや、そうなるよう、努力しなければならない、と思った。
158 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 22:14:34.33 ID:OZEj6Ux80
――十日後――

――南の間道付近――

 ヴィップの兵数は二千ほど減っている。
 対するオオカミは、七千以上の損害を受けたという。

 元より兵力差のあった戦だが、それが更に広がっているのだ。
 加えて、オオカミは大将を欠いている。有利さは今や確固たるものとなっていた。

( ^ω^)(バレないように……)

 伏兵を潜ませていることが発覚しないよう、後詰の体勢を取っていた。
 配下の兵にもそう伝えてある。向きはあくまで本道だ。
 自分と、部隊長であるベルベット=ワカッテマスの気持ちだけが、間道に向いていた。

 本道には、オオカミが陣を敷いていた。
 今回のヴィップ本隊はそれを攻める形。正攻法で来る、とオオカミは思うだろう。
 そして、相手が真っ当な攻めを展開してくる場合、得てして裏をかきたくなるものだ。

 間道を進んでくることは間違いない。
 焦らずに、確実に攻撃すれば、殲滅できるはずだ。

 戦が始まった。

 本道で戦うのは、オオカミの二万五千と、ヴィップの三万五千。
 だが、あくまで情報上の数字だ。
 実際には、オオカミの軍は二万を切っている。こちらも、三万は超えていない。
168 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 22:17:07.12 ID:OZEj6Ux80
 常にオオカミの動きには気を配ったが、詳細な情報は得られない。
 仮にオオカミ軍が間道に向かったとしても、その情報が入る前に間道に進入してくるだろう。
 とにかく今は、絶対に気を逸らさないよう注意しなければならない。

( ^ω^)「ベルベット、本隊の動きからも目を逸らしちゃダメだお」

( <●><●>)「分かってます」

 ベルベットはいつも通り、落ち着いている。
 いい武将になってくれそうだ、と思った。

 やがて、オオカミのI隊騎兵五千と、H隊歩兵五千が、間道に向かったとの情報が入った。

 ありえないことだった。

(;^ω^)「おかしいお! まだ伏兵が動いてないのに……!」

( <●><●>)「オオカミは間道に向かった……しかし、間道を進んでいない……」

 間道に向かったという情報がこちらに入る前に、フィレンクトは伏兵を動かしているはずだ。
 しかし、その報せも入っていない。伏兵を動かした、という報告が先に来なければおかしいのにだ。

 間道に向かった。それは間違いない。
 だが、間道を進んでいない。進んでいれば、フィレンクトが伏兵を発動させているはずだ。
 何かが、おかしい。

(;^ω^)「間道に向かうお! フィレンクトさんが危ないかも知れないお!」

 まさか、まさか。
 そんなはずはない。
179 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 22:19:40.61 ID:OZEj6Ux80
 しかし、そのまさかが、拭いきれない。

 間道を突き進んだ。
 率いているのはH隊歩兵。機動力に優れているとは言えない。
 念のためである補佐隊のため、騎馬隊は与えられなかったのだ。

 だが、それほど距離があるわけではない。
 全力で駆ければ二刻もかからない。とにかく急いだ。
 斥候を放っている余裕もなかった。

 フィレンクトが伏兵を発動させる予定だった場所に、近づいた。
 木々に囲まれた間道に響くのは、干戈の声。
 戦っている。しかし、道ではない。

 伏兵部隊が、林の中で背後を突かれていた。

 兵を伏せた場所が、オオカミに露見していたのだ。
 何故、どうして。考える暇もない。
 助けなければ。その気持ちだけが逸る。

 本来兵を伏せていた場所より、何故か若干遠い。
 そのぶん、遅れる。当然だ。
 何もかもが分からない。何故だと考える時間さえ惜しい。

 慌ててオオカミ軍に攻撃した。
 しかし、警戒していたらしく、簡単には押されてくれない。
 数では、オオカミの一万に対し、こちらは八千。
193 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 22:22:45.75 ID:OZEj6Ux80
 数で劣っている。
 そして更に、騎兵と歩兵を率いているのはリレントとガシューだ。
 中将が二人も来ている。

(#^ω^)「どけおおおおおおおおおお!!!」

 アルファベットNを振り回して敵兵を切り裂く。
 形振りには構っていられなかった。無心だった。
 敵軍の反撃が凄まじいことも気にしていられなかった。

 視線を少し高めたとき、猛然とアルファベットを振るっている男が見えた。
 長柄のアルファベット、I。あれは、フィレンクトだ。
 多数の兵に囲まれている。敵か味方かさえ分からない。

(;^ω^)「フィレンクトさん! フィレンクトさん!」

 声は、届いていない。
 逃げてくれ。その言葉さえも。

 そのとき、ガシューが、フィレンクトに一気に接近した。
 アルファベットO。盾状の、Gの上位にあたるアルファベット。

 振り下ろした。


 視界が一瞬、静止したあと。

 弾け飛ぶ、フィレンクトの右腕。
221 :第39話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/23(水) 22:26:09.39 ID:OZEj6Ux80
 回転しながら、血を撒き散らしながら。


(メメメメ#;‘_L’)「ぐああああああああああああ!!!!!!!!」


 片腕となった男が発した叫び声は、林中に響き渡った。

















 第39話 終わり

     〜to be continued

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