- 41 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:14:09.45 ID:wD5li1Oj0
- 〜東塔の兵〜
●( ^ω^) ブーン=トロッソ
22歳 大尉
使用可能アルファベット:M
現在地:ヴィップ城
●('A`) ドクオ=オルルッド
22歳 少尉
使用可能アルファベット:I
現在地:ヴィップ城
●(´・ω・`) ショボン=ルージアル
32歳 大将
使用可能アルファベット:U
現在地:ヴィップ城
●( ・∀・) モララー=アブレイユ
27歳 中将
使用可能アルファベット:S
現在地:エヴァ城
●(,,゚Д゚) ギコ=ロワード
30歳 少将
使用可能アルファベット:Q
現在地:パニポニ城
- 52 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:17:10.17 ID:wD5li1Oj0
- ●( ^Д^) プギャー=アリスト
28歳 少将
使用可能アルファベット:O
現在地:シャッフル城
●( ><) ビロード=フィラデルフィア
25歳 中尉
使用可能アルファベット:?
現在地:ヴィップ城
●(=゚ω゚)ノ イヨウ=クライスラー
31歳 中尉
使用可能アルファベット:Q
現在地:エヴァ城
●( ´∀`) モナー=パグリアーロ
47歳 中将
使用可能アルファベット:Q
現在地:パニポニ城
●(‘_L’) フィレンクト=ミッドガルド
29歳 少尉
使用可能アルファベット:I
現在地:ヴィップ城
- 60 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:19:45.24 ID:wD5li1Oj0
- 〜西塔の兵〜
●( ゚∀゚) ジョルジュ=ラダビノード
37歳 大将
使用可能アルファベット:T
現在地:ヒグラシ城
●<ヽ`∀´> ニダー=ラングラー
38歳 中将
使用可能アルファベット:?
現在地:ハルヒ城
●(-_-) ヒッキー=ヘンダーソン
41歳 大尉
使用可能アルファベット:O
現在地:ヒグラシ城
●ミ,,゚Д゚彡 フサギコ=エヴィス
34歳 少将
使用可能アルファベット:?
現在地:ヒグラシ城
- 62 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:20:46.11 ID:wD5li1Oj0
- ●( ´_ゝ`) アニジャ=サスガ
36歳 大尉
使用可能アルファベット:?
現在地:ハルヒ城
●(´<_` ) オトジャ=サスガ
36歳 大尉
使用可能アルファベット:?
現在地:ハルヒ城
- 70 :階級表 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:22:09.25 ID:wD5li1Oj0
- 〜東塔〜
大将:ショボン
中将:モララー/モナー
少将:ギコ/プギャー
大尉:ブーン/シラネーヨ
中尉:ビロード/イヨウ
少尉:ドクオ/フィレンクト
〜西塔〜
大将:ジョルジュ
中将:ニダー
少将:フサギコ
大尉:ヒッキー/アニジャ/オトジャ
中尉:ビコーズ
少尉:
(佐官級は存在しません)
- 77 :使用アルファベット一覧 ◆azwd/t2EpE
:2007/05/16(水) 00:24:09.92 ID:wD5li1Oj0
- A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:ドクオ/フィレンクト
J:
K:
L:
M:ブーン
N:プギャー
O:ヒッキー
P:
Q:モナー/イヨウ/ギコ
R:
S:モララー/アルタイム(ラウンジ)
T:ジョルジュ/ミルナ(オオカミ)
U:ショボン
V:
W:
X:
Y:
Z:
- 82 :この世界の単位 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:26:34.86 ID:wD5li1Oj0
- 一里=400m
一刻=30分
一尺=24cm
一合=200ml
(現実で現在使われているものとは異なります)
- 86 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:28:53.78 ID:wD5li1Oj0
- 【第37話 : Thought】
――世界歴・518年――
――ヒグラシ城――
( ゚∀゚)「いい城だ」
(-_-)「……そうですね……」
新年を迎えた。
景観は雪一色。淡々と降りつづけている。
ジョルジュが言葉を発するたびに、白濁した息が雪に溶けていく。
ラウンジから奪ったヒグラシ城の屋上で、ジョルジュと二人、会話していた。
ラウンジとは六度戦った。
その全てに勝ち、遂にラウンジはヒグラシ城を放棄。
奪取に成功した。
( ゚∀゚)「雪が降ると、この城の赤が映える」
(-_-)「……そう思います」
( ゚∀゚)「だろ? アクセントとして使われる赤、それを覆う白……いいもんだ」
情景に浸るジョルジュは意外だったが、何をしても似合う大将だ。
東塔のギコ、西塔のジョルジュ、と言われる二人は、軍内屈指の容姿を持っていた。
- 94 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:31:57.69 ID:wD5li1Oj0
- ( ゚∀゚)「次はギフト城か、カノン城か……」
(-_-)「……安定性を考慮するなら、距離はありますがカノン城のほうが……」
( ゚∀゚)「だな。奪いやすく守りやすい。ただ、重要拠点であるギフト城を奪えると、エウレカ城とカノン城はかなり楽に落とせる」
(-_-)「そうですね……一城ずつ落としていては何年かかるか分かりませんし……」
( ゚∀゚)「ま、じっくり考えるか。次の戦まで時間はある」
今年は、東塔がオオカミを攻める。
次のラウンジ戦までは最低でも二年空くだろう。
( ゚∀゚)「ヴィップ城に帰ったら、お前を少将に引き上げる」
ジョルジュの言葉に伴い、視界を白く染める吐息。
浮かび上がり、すぐに消え行く。
(-_-)「……ありがとうございます……」
( ゚∀゚)「もっと積極的に行動してりゃ、今ごろ中将だっただろうに」
器ではない、と思っていた。
将校という地位さえ。
元来、消極的な性格だった。
自分から何かを為そうという気がない。
ジョルジュからは再三苦言を呈されたが、改善する気もなかった。
次第にジョルジュは何も言わなくなったが、こうやって時々会話に挟まれることがあった。
- 99 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:34:59.04 ID:wD5li1Oj0
- (-_-)「……地位に見合った活躍ができるよう、精進します……」
( ゚∀゚)「お前が頑張ってくれりゃ、俺は楽なんだけどな」
分かってはいるが、生まれてから四十年以上、保持してきた性格だ。
今さら変わる気もしなかった。
ニダーがいる、フサギコがいる。
将官は、それで充分だと思う。しかし、昇格を拒む理由もない。
( ゚∀゚)「……これは、例え話なんだが……」
(-_-)「……はい……?」
ジョルジュが突然、切り出した。
視線は無数の降雪に向けたまま。
しかし、口調は物々しく。
ジョルジュの声は、いつもより静かだ。
( ゚∀゚)「もし、俺が……スパイ目的なんかじゃなくて、ヴィップに立ち向かうために……
……本気でオオカミに寝返るとしたら……お前は、ついてくるか?」
(;-_-)「はっ……!?」
例え話。
分かっていても、そう思えない。
ジョルジュの表情、口調が、そう思わせてくれない。
- 114 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:38:06.75 ID:wD5li1Oj0
- ( ゚∀゚)「……いや、ありえないことだ。俺が寝返るなんて。すまん、忘れろ」
(-_-)「……私は……」
ジョルジュは強引に話を終わらせようとした。
だが、ここははっきりと自分の意見を示しておく必要がある、と思った。
試されているかも知れないからだ、という理由だけではなく。
(-_-)「私は、例えどんなことがあろうとも……死ぬまでヴィップに仕える所存です」
判然と言い放ったあと、一瞬、笑った。
ジョルジュは、微かに、確かに笑った。
どういった意味かは、全く分からない。
( ゚∀゚)「そうか」
その一言を雪中に残し、ジョルジュは暖の取られた屋内へと足を進めた。
揺れながら落ちる雪を背にして。
―― 一ヶ月後――
――ヴィップ城・第十訓練室――
右手をゆっくりと後ろに引いていく。
力を込め、確実に。
限界まで引き絞り、放つ。
- 124 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:41:30.42 ID:wD5li1Oj0
- 的が砕け散った。
( ^ω^)「ふぅ……」
アルファベットMを扱えるようになった。
嬉しさの後に押し寄せたのは、恋しさだ。
Lは何と扱いやすいアルファベットだっただろうと感じさせられた。
弓状アルファベットの訓練はほとんどしてこなかった。
初めて自分のアルファベットとして扱ったのがEだからだ。
兵卒の多くはD隊を経験してから実際に敵と干戈を交えるようになるが、それも経験してこなかった。
アルファベットMでの訓練には、大量の時間を費やす必要がありそうだった。
('A`)「おーい、昼飯いこうぜブーン」
もう一射放とうと思っていたとき、ドクオがIを抱えながら現れた。
頷き、この一射だけ済ますべく更に腕を引いていく。
指を開いた。
Fが瞬時に的を破壊する。
相変わらず強烈な威力だ。
(;'A`)「俺、シャッフル城戦でリレントにMで狙われたけど……当たってたら絶対死んでたな……」
(;^ω^)「そりゃそうだお……」
(*'∀`)「そんとき助けてくれたモララー中将、カッコ良かったんだぜ。俺もあんな風になりたいなぁ……」
(*^ω^)「おっおっおっ、きっとなれるお」
- 128 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:44:23.42 ID:wD5li1Oj0
- 二人で食堂まで歩いた。
将校になると従者に申しつければ自室まで運ばせることも可能だが、時間がかかる。
空腹のときは自分で歩いて行き、皆に交じって食事を摂っていた。
('A`)「でも、Jの壁ってホントにキツイんだな……毎日訓練してるのに、もう二年以上だぜ……」
( ^ω^)「うーん……まぁ、確かに時間はかかるお」
給仕から昼食を受け取る。
麦の飯と、鶏卵を味付けして野菜、肉と合わせた炒め物、味噌付けにして焼いた魚。
葱と豚の肉が入った味噌汁が端っこに置かれ、全品が揃った。
('A`)「ブーンはJの壁突破のとき、どうしたんだ?」
( ^ω^)「実は特に何もしてないんだお。いつも通り訓練をしてるうちに突破してたんだお」
('A`)「そんなもんなのか……しかし、手応えもないまま訓練するのは辛いもんがあるな……」
それがアルファベットの特性だった。
次のアルファベットに進むためには、訓練を重ねる必要がある。
だが、訓練すべき量というのがまったく見えないのだ。
いつまで、どこまで訓練を続ければいいのか。
分からないまま続けるのは、心が折れそうになる、という。
もう何年もJの壁を突破できていないフィレンクトの言葉だ。
アルファベットの上位まで昇り詰めるためには、精神力も欠かせないということだろう。
- 141 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:47:15.13 ID:wD5li1Oj0
- ('A`)「何とか次のマリミテ城戦までに突破したいんだけどな」
( ^ω^)「やっぱ将校になったからかお?」
('A`)「あぁ。J以上こそ将校、って感じがするもんな」
( ^ω^)「マリミテ城戦は多分夏までには始まるお。今回はじっくり戦を進める、ってショボン大将が言ってたお」
('A`)「夏から始めて、秋には兵糧を得て再び体力を蓄える、って感じか。なるほどな」
( ^ω^)「最近領土が増えてるから物資も潤沢だお」
('A`)「でも、オオカミだって今は不安もないはずだ。あるとすれば、ミルナの体調くらいだろうけど」
( ^ω^)「……そのミルナは、最近また倒れちゃったらしいんだお」
(;'A`)「マジか?」
( ^ω^)「しばらく安静にしなきゃいけないらしいお……」
('A`)「ってことは、次の戦も無理かもな、ミルナは……」
( ^ω^)「そうなると……ヴィップとしてはかなり楽な戦になるお」
('A`)「ま、油断禁物だけどな……」
ミルナを欠いた状態で行われたアリア城防衛戦は、無残な敗北だった。
やはり四中将だけではいかにも厳しい。
- 157 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:50:43.70 ID:wD5li1Oj0
- ('A`)「しかし、ミルナを欠いていたとはいえ、あのオオカミをフルボッコにしたカルリナが……。
ジョルジュ大将率いる西塔には、全く歯が立たなかったみたいだな」
( ^ω^)「さすがに戦巧者だお、ジョルジュ大将は」
ドクオが味噌汁を啜った。
箸で肉を口に流し、寒気に満ちている空間に暖かい吐息を漏らす。
('A`)「荒れたらしいぜ、カルリナは。悔しさで眠れなくて体調崩したらしいしな」
(;^ω^)「そうなのかお?」
('A`)「ま、調練には参加してるって話だから大丈夫なんだろうが……ジョルジュ大将に勝てる自信もあったんだろうな」
( ^ω^)「実際に戦ってみたら全敗……でも、全部が全部、大敗したわけじゃないお」
('A`)「あぁ、特に後半はかなり拮抗した戦だったらしいが、ラウンジが放棄を決定しつつあったからな。
士気は上がらんだろうし……カルリナは残念だっただろうな。盛り返した気になったところで、放棄だ」
( ^ω^)「放棄を決断するまでに勝てなかったのは、カルリナ自身だお」
('A`)「それが分かってるからこそ、悔しいんだろ。自分がもっと上手くやればヒグラシ城を失わずに済んだわけだからな」
( ^ω^)「アルタイムは、カルリナを厳しく育てる方針なのかお……」
('A`)「そんだけ期待してるんだろうな……カルリナは辛いだろうが、これも糧ってことか」
西塔は先のラウンジ戦で、八千の兵を失った。
対するラウンジは二万を超える犠牲を被ったという。数字的に見ても、大勝だった。
しかし、カルリナは間違いなく成長を遂げた。
- 162 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:53:33.16 ID:wD5li1Oj0
- 次の戦はこうもいかないだろう、ということだ。
('A`)「ま、今の俺達にラウンジは関係ねぇか。オオカミ戦に注力しなきゃだ」
( ^ω^)「だおだお。頑張るお」
('A`)「……頑張らなきゃな」
ドクオが空の食器だけになった盆を持って立った。
その瞳には、力強さ。
背の低いドクオが、いつもより大きく見える。
('A`)「次のマリミテ城戦は、シャッフル城戦以上に活躍してやる」
力のこもった言葉を引き連れて、ドクオが背を向けた。
――518年・春――
――オオカミ城――
寒さもだいぶ和らいできた。
布団の中にいると時折寝汗を掻くくらいだ。
( ゚д゚)(今日はいい天気だな)
近頃は雨が続いていたが、昨日あたりからようやく陽光も射し込むようになった。
- 180 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:56:26.23 ID:wD5li1Oj0
- 冬の間はほとんど体も動かせなかった。
寒さが厳しいと、体が軋むような感覚さえあったのだ。
命に別状はないと侍医に言われているが、疑ってしまいたくなるときもあった。
( ゚д゚)(まるでベル、か……)
あの偉大な武人と重ね合わせるのは失礼極まるというものだが、最近は晩年のベルの気持ちが分かるような気もしていた。
寝床から立ち上がり、体を伸ばした。
さほど違和感はない。アルファベットTを掴んだ。
以前に比べるとやはり、重く感じる。
アルファベットを置いて、部屋を出た。
やはり今日は暖かい日だ。窓から光を受けるのが心地良い。
安らぎを得られる。
散歩しながら、物思いに耽った。
思い起こされる様々な出来事。特に、自分が倒れてからのことだ。
アリア城を失った。
四中将に任せてみた戦だった。
自分がいなければ、危機感によって力を合わせてくれるかも知れない。
そんな浅はかな願いを込めながら、送り出した。
しかし、当然のように四人はまともに協力もせず、各々が自由に動いてしまい、撃破された。
まだ若いカルリナ=ラーラスに翻弄されるという体たらくだった。
いくらカルリナがベルの後継として期待されている武将とは言え、こちらは経験に圧倒的な差がある四人の中将。
勝てて当然の戦のはずだ。しかし、四中将には最初から諦めのムードが漂っていたという。
大将を欠いた状態で勝てるはずがない、と。
- 191 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 00:59:30.23 ID:wD5li1Oj0
- どうすればいいのか、本格的に分からなくなった。
上から自分が抑えつけなければならないのか。しかし、それでは四中将は力を発揮しきれない。
だが四人をそのまま戦に送り出しても、無残なことになるのはアリア城防衛戦で証明された。
自分が四人の仲を改善させることができれば最上なのは間違いないが、望みは薄かった。
(ゝ○_○)「ミルナ大将、おはようございます」
リレントは今日も爽やかな笑みを浮かべていた。
普通の人間なら、人柄が良さそうだと感じるであろう笑み。
だが自分には、奥に秘められたものが見え隠れするように思えるのだ。
( ゚д゚)「あぁ、おはよう」
(ゝ○_○)「お体は」
( ゚д゚)「今日は何ともない。心配をかけてすまんな」
リレントの場合、皆とは心配する方向が逆だろう。
分かっているが、皮肉を込めて言った。
リレントは再びわざとらしい笑顔を浮かべている。
(ゝ○_○)「国軍を支える身なのですから、無理はなさりませんよう」
( ゚д゚)「ありがとう」
リレントと交わすこの遣り取りは、不快そのものだった。
まだ本気で心配してくれている他三人のほうが話していて楽しい。
肚の底では、現大将である自分が死んだあとの大将を狙っているに違いないからだ。
- 205 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 01:02:13.99 ID:wD5li1Oj0
- (ゝ○_○)「近くに始まるマリミテ城防衛戦のことなのですが」
戦のことをリレントが話し始め、気が安らいだ。
この話題のときのリレントは、まだ真っ当なことを言う。
(ゝ○_○)「ミルナ大将は、指揮を取れそうですか?」
( ゚д゚)「……正直、分からん。いないものとして話を進めてくれ」
(ゝ○_○)「では、指揮権に関して」
嫌な予感がした。
しかし、遮るわけにもいかなかった。
(ゝ○_○)「臨時大将というものを、任命してみてはいかがでしょうか?」
平然と言い放った。
自分が満足に動けない今が格好の機、ということか。
( ゚д゚)「……その臨時大将には、誰が就く?」
(ゝ○_○)「武勇に優れていない私が適任かと。他のお三方は、戦場でアルファベットを振るうほうが適しているでしょう」
その理由付けは、やや弱い。
リレントらしくないが、焦りがあるのだろう。
何がなんでも指揮権を得たいという焦燥感だ。
- 219 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 01:05:10.53 ID:wD5li1Oj0
- ( ゚д゚)「……考えておこう」
(ゝ○_○)「今回は自信のある策もあります。運も向いてきているようです。
私にお任せくだされば、必ずやヴィップを」
( ゚д゚)「考えておく、と言っただろう。くどく言うな」
やはりリレントは、一瞬、不快さを露わにした。
また一度笑って、すぐに背を向け、大きな歩幅で歩き去って行った。
リレントが、動き始めた。
元より出世欲が強く、他者を見下すことばかり考えている奴だ。
自分を暗殺して大将位を奪っても不思議ではないと思っていた。
全体的な指揮権を得られれば、戦に勝てる、と本気で思っているのだ。
身の程知らずもいいところだった。
〔´_y`〕「……ミルナ大将」
( ゚д゚)「ん? ガシューか。どうした?」
突然、後ろからガシューが現れ、声をかけられた。
話を聞いていたのか。
まさか指揮権をくれとは言い出さないだろうな、などと思いながら、言葉を待った。
何故か、逡巡しているようだ。
意を決したように言葉を開いたときの声は、微かに沈んでいた。
〔;´_y`〕「……実は、大事なお話があるのです」
- 231 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 01:07:59.11 ID:wD5li1Oj0
- ( ゚д゚)「……大事な、話?」
〔;´_y`〕「はい」
額には、汗。
今日の陽気な天候によるものではなさそうだった。
〔;´_y`〕「以前、フィルが話していた……四中将の中に、裏切り者がいるのではないか、という話のことです」
心臓が、高鳴った。
忘れかけていた。確かに、フィルはそう言っていた。
しかし、今さらその話を出してくるということは――――
( ゚д゚)「……心当たりがあるのか?」
〔;´_y`〕「……はい」
胸が、苦しい。
このまま再び倒れてしまうのではないか、と思うほどに。
ガシューの言葉を、聞きたい気持ちと聞きたくない気持ちが混在しているせいなのか。
だが、ここは大将としての責務を果たさなければならない。
( ゚д゚)「……言ってみてくれ」
ガシューが再び逡巡しはじめた。
口を開きかけては、閉じる。その繰り返し。
落ち着け、と言った。ガシューは、怯えたような表情で頷いた。
そして、遂に言葉は口から放たれる。
- 246 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 01:11:02.96 ID:wD5li1Oj0
- 〔;´_y`〕「実は、実は――――」
《 ´_‥`》「ミルナ大将」
ガシューの言葉を、上から踏み潰すような声。
ドラル=オクボーン。
不意に現れ、声をかき消した。
( ゚д゚)「……なんだ、ドラル」
《 ´_‥`》「今日は好天ですね、お体の調子はいかがですか?」
( ゚д゚)「悪いがドラル、今それどころじゃないんだ。ガシュー、続けてくれ」
〔;´_y`〕「……いえ……すみません、何でもないです」
( ゚д゚)「は?」
ガシューが後ずさりし、逃げるようにこの場を去った。
明らかに何かを言いかけ、それを遮られたあとで。
ドラルはいつも通りの鈍重な動きで、窓辺に移動していた。
その表情もいつもと変わらないように見える。
しかし、そもそもこの男が今まで感情を露わにしたことがあっただろうか。
思い返しても、浮かんでこない。
考えなければならないことが、たくさんある。
だが、今は何も考えたくない気分だった。
- 258 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 01:14:01.35 ID:wD5li1Oj0
- ――518年・夏――
――ヴィップ城――
マリミテ城戦の準備を整える東塔。
ショボンは慌ただしく動いている。それをギコが支えている。
エヴァ城のモララーとも頻繁に連絡を取り合っているようだ。
将校はみな、戦の準備に忙殺されていた。
いつもながら戦が始まる一ヶ月ほど前は忙しい。
兵糧やアルファベットについてしっかり調整する必要があるからだ。
だが、今回のマリミテ城戦。
忙しく働いていた東塔のメンバー。
それら全員に、衝撃を与える一つの情報が入ってきた。
(;^ω^)「ドクオ! ドクオ!」
(;'A`)「あの話か!? 俺も聞いたぞ!」
(;‘_L’)「いったい、どういうことでしょう……ショボン大将が受け入れたのでしょうか……」
(;^ω^)「でも、そうじゃなきゃありえないことで……」
混乱に包まれる東塔。
様々な憶測が飛び交い、錯綜している。
- 267 :第37話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/16(水) 01:17:09.99 ID:wD5li1Oj0
- 西塔の大将であるジョルジュが、マリミテ城戦に同行する、というのだ。
わけが分からなくて、当然だった。
第37話 終わり
〜to be continued
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