2 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 15:57:52.91 ID:A8u/zISg0
〜東塔の兵〜

●( ^ω^) ブーン=トロッソ
21歳 大尉
使用可能アルファベット:L
現在地:パニポニ城

●('A`) ドクオ=オルルッド
21歳 少尉
使用可能アルファベット:I
現在地:ヴィップ城

●(´・ω・`) ショボン=ルージアル
31歳 大将
使用可能アルファベット:U
現在地:ヴィップ城

●( ・∀・) モララー=アブレイユ
26歳 中将
使用可能アルファベット:S
現在地:エヴァ城

●(,,゚Д゚) ギコ=ロワード
29歳 少将
使用可能アルファベット:P
現在地:パニポニ城
5 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 15:59:28.34 ID:A8u/zISg0
●( ^Д^) プギャー=アリスト
27歳 少将
使用可能アルファベット:N
現在地:シャッフル城

●( ><) ビロード=フィラデルフィア
24歳 中尉
使用可能アルファベット:?
現在地:ヴィップ城

●(=゚ω゚)ノ イヨウ=クライスラー
30歳 中尉
使用可能アルファベット:Q
現在地:エヴァ城

●( ´∀`) モナー=パグリアーロ
46歳 中将
使用可能アルファベット:Q
現在地:パニポニ城

●(‘_L’) フィレンクト=ミッドガルド
28歳 少尉
使用可能アルファベット:I
現在地:ヴィップ城
8 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:00:36.53 ID:A8u/zISg0
〜西塔の兵〜

●( ゚∀゚) ジョルジュ=ラダビノード
36歳 大将
使用可能アルファベット:T
現在地:ハルヒ城

●<ヽ`∀´> ニダー=ラングラー
37歳 中将
使用可能アルファベット:?
現在地:ハルヒ城

●(-_-) ヒッキー=ヘンダーソン
40歳 大尉
使用可能アルファベット:O
現在地:ハルヒ城

●ミ,,゚Д゚彡 フサギコ=エヴィス
33歳 少将
使用可能アルファベット:?
現在地:ハルヒ城

9 :階級表 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:02:12.84 ID:A8u/zISg0
〜東塔〜

大将:ショボン
中将:モララー/モナー
少将:ギコ/プギャー

大尉:ブーン/シラネーヨ
中尉:ビロード/イヨウ
少尉:ドクオ/フィレンクト


〜西塔〜

大将:ジョルジュ
中将:ニダー
少将:フサギコ

大尉:ヒッキー
中尉:ビコーズ
少尉:

(佐官級は存在しません)
14 :使用アルファベット一覧 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:04:28.01 ID:A8u/zISg0
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:ドクオ/フィレンクト
J:
K:
L:ブーン
M:
N:プギャー
O:ヒッキー
P:ギコ
Q:モナー/イヨウ
R:
S:モララー/アルタイム(ラウンジ)
T:ジョルジュ/ミルナ(オオカミ)
U:ショボン
V:
W:
X:
Y:
Z:

15 :この世界の単位 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:06:08.68 ID:A8u/zISg0
一里=400m
一刻=30分
一尺=24cm
一合=200ml

(現実で現在使われているものとは異なります)

25 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:08:56.52 ID:A8u/zISg0
【第36話 : Indeed】


――パニポニ城――

(,,゚Д゚)「しかし、モナー中将はすげぇな……」

( ^ω^)「老獪というか、老練というか……」

(,,゚Д゚)「最初は情報を引き出すだけのつもりだったんだろ?」

( ^ω^)「みたいですお。でもそれが上手くいかなかったから、ガダン討ち取りに切り替えたみたいですお」

 パニポニ城は廊下の至るところに小物が置かれている。
 全て、歩いていても邪魔にならない程度の大きさだ。
 道に彩り。些細なことだが、その場にいるのが楽しくなる。

(,,゚Д゚)「どっちにもいけるようにしてたんだろうな。謀略に機転を利かせるとは……普通じゃありえねぇよ……」

( ^ω^)「でも、ガダン討ち取りに切り替えたぶん、リスクはぐっと高まりましたお」

(,,゚Д゚)「まさに命がけだな。だから本気で俺達を騙そうとした」

 レベッカ城の付近で向かいあったとき。
 モナーがガダンを討ち取るためには、ガダンにアルファベットを構えた状態で近づく必要があった。
 無論、そんなことが平時でできるはずはない。

 だからヴィップと戦う姿勢を見せたのだ。
 そのために、謀略について全て知っていた自分を騙そうとした。
31 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:11:44.76 ID:A8u/zISg0
( ^ω^)(そうじゃなきゃ……きっと逃げ出してたお……)

 本気でぶつかるわけにはいかない、と考えただろう。
 ひとまず逃げ回ることを決断したはずだ。モナーにとっては、困る展開。
 だからモナーはこちらを一旦騙し、立ち向かってくるよう仕向けた。

( ^ω^)(特に……ジョルジュ大将に脅された、って部分は……)

 シア城で話したときは、ショボンに脅された、と言っていた。
 実際、ガダンにもそう話しただろう。
 だがモナーは土壇場になってジョルジュに変えた。

 でなければ、信じられなかった。
 ショボンならありえない。しかし、ジョルジュならありえる。
 そう考えることさえ、モナーは見抜いていたのだろう。

 何もかも、モナーの思い通りだったのだ。

(,,゚Д゚)「モナー中将のおかげで、今日の戦はだいぶ楽になるだろうな」

( ^ω^)「ラウンジは苦しいはずですお」

(,,゚Д゚)「ま、俺には西塔の戦なんてどうでもいいが……」

 ギコが呆れたような顔を見せた。

 本当は、気になって仕方ないのを知っていた。
 フサギコが戦に出ているからだ。
38 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:14:40.37 ID:A8u/zISg0
 勝敗自体は、確かにどうでもいいのかも知れない。
 だが、フサギコの戦功や生死だけはいつも気にかけているようだ。
 今は不仲になっている二人だが、フサギコのことを思う気持ちは変わらずにあるようだった。

(,,゚Д゚)「ゆっくり報告を待つか」

 しばらくパニポニ城で待機するように、という命令が今朝来た。
 パニポニ城をラウンジが躍起になって狙ってくる可能性も、なくはないからだ。
 恐らく、この戦の帰趨が見えるまでは滞在することになるだろう。

 外観に目をやった。
 山肌を露わにする鉱山、麓に広がる森。
 それと対を成すような、大空。

 思わず深く呼吸したくなるような青空が、今日は広がっていた。



――翌日――

――ヒグラシ城――

(;’ t ’ )(……あれがジョルジュ=ラダビノードか……)

 戦火を交えた。

 多少不利になったとはいえ、まだ五分。
 力を出し切れば、敵わない相手ではなかったはずだ。

 しかし、結果は無残な敗北だった。
44 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:17:52.59 ID:A8u/zISg0
 真正面からぶつかった。
 全体を三つに分け、三方向から攻める作戦。
 対するヴィップは隊を二つ揃えてきた。

 その連携が見事だった。
 三つを不規則に動かして、相手を翻弄したつもりだったが、辛抱強く守られた。
 攻撃を凌いだ瞬間、的確に反撃。再び守りを固める。その繰り返しだった。

 二つの隊は、片方が反撃に出ている間、片方が徹底的に援護役となっていた。
 D隊を前面に押し出し、一部の騎馬隊は側面を突くなど、敵ながら見事な動きだった。
 卓越した指揮官がいなければ為し得ない芸当だ。

 ジョルジュの、堂々たる指揮。
 また、それを支える諸将たち。

 ベルが手強いと言うはずだ。
 ミルナを欠いていたとはいえ、オオカミなど比べ物にならなかった。

(;’ t ’ )(……本当に、三倍の被害を受けてしまったな……)

 いや、正確には数を計算していないが、もっと犠牲は多いかも知れない。
 ヴィップの犠牲は二千ほどだろう。だが、こちらは六千で済んでいないはずだ。
 生前のベルに、三倍は被害を受けるぞ、と言われていた。その通りだった。

 調練が足りない、という認識はなかった。
 充分、鍛え上げてきたつもりだ。しかし、ヴィップの錬度には敵わない。
 もっと調練しなければならない、ということだ。

 戦が始まった以上、そんなことを言っても仕方なかった。
 現有戦力で、いかに打ち勝つかだけを考えなければならないのだ。
48 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:20:46.20 ID:A8u/zISg0
(`・ι・´)「切り替えていこう、カルリナ」

 窓辺で思案していた自分に、アルタイムが声をかけてくれた。
 戦では、敵を上手く攻めてくれた。さすがに大将だ、と思った。

(`・ι・´)「どんな戦になろうと、今回の戦でお前から指揮権を奪うつもりはない。力を存分に発揮するんだ」

( ’ t ’ )「……ありがとうございます」

 他国の大将に比べると見劣りする、とアルタイムはよく言われている。
 本人にも、多少の自覚はあるようだ。

 だが、自分に指揮権を委ねてくれるような寛大な部分もある。
 あのベルが大将に指名した人材だ。ラウンジ国軍ではやはり随一の武将だった。
 指揮権を与えてくれてはいるが、アルタイムも作戦に口を出してくれる。

( ’ t ’ )「次の戦をどうしようか、考えていました」

(`・ι・´)「ふむ……連敗は厳しいからな。今度こそ勝ちを拾わねばならん」

( ’ t ’ )「はい。牢乎の森での戦も考えましたが、ベル大将でなければ……」

(`・ι・´)「山や森での戦に強い、と言われていたラウンジだが、あれはベル大将の力だからな……」

 三年前、ヴィップのハルヒ城を狙ったとき、ラウンジは牢乎の森を使った。
 あのときベルを欠いていたラウンジは、それをひた隠すためにも、森での戦が最適だったのだ。
 しかし、やはりベルなしでは森という複雑な地形を活かして勝つことはできなかった。
54 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:24:03.83 ID:A8u/zISg0
(`・ι・´)「やはり野戦しかあるまい。しかし、真正面からぶつかって二の舞を喰らうのも避けたいところだ……」

( ’ t ’ )「多少、動きに変化をつける必要があると思います。数で上回っている利を活かせば、勝てるかと」

(`・ι・´)「……よし、俺が囮になろう」

 アルタイムの言葉に、力が込められていた。
 この戦に勝ちたい、という軍人ならではの意気だ。

(`・ι・´)「俺がメインになって攻め込む。無防備さも出す。相手は俺を討ち取ろうとしてくるはずだ」

(;’ t ’ )「危険です」

(`・ι・´)「危険だと思ったらすぐにお前がヴィップの側面を突くんだ。それで大丈夫だろう。
    できる限り引っ張れるよう、攻撃を凌ぐ。お前も時機を見誤るなよ」

( ’ t ’ )「……分かりました」

 いい作戦かも知れない。
 大将自身が囮になり、敵を冷静でなくする。
 そういった状況の場合、途中で誰かが相手の意図に気付いても、得てして全体は大将を狙ってしまうものだ。

 アルタイムに危険が及ばないように、それでいて敵に勝てるように、側面を突かなければならない。
 難しいが、それができないようならヴィップには勝てない、ということだろう。

( ’ t ’ )(……やってやる)

 拳を握り締め、すぐに戦の準備に取り掛かった。
 今度こそ勝ってやる。最大国ラウンジ、ここにあり、と示してやる。
 強く強く、思いながら。
62 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:27:36.27 ID:A8u/zISg0
 しかし、その十日後に行われた戦で、ラウンジはまたも敗北を喫した。

 ジョルジュに読み負けた。いや、考え負けたのだ。
 戦で想定しえること全てを想定し、対処を考え、戦う。
 それがジョルジュの戦い方だ。

 アルタイムはやはり上手く攻めてくれた。
 粘りもあった。自分が攻め込んだタイミングも、悪くなかったはずだ。
 しかし、側面を突こうとした、その更に側面をヴィップに突かれた。

 側面を突いてきたヴィップ軍は僅かだったが、機動力をもって崩された。
 食べ物を喰い漁る虫のような動きだった。

(#’ t ’ )(くそっ!!)

 通じないのか、自分の力は。
 ヴィップ国軍の大将、ジョルジュ=ラダビノードには。

 弱気になるな、と自分に言い聞かせても、勝てる気がしてこない。
 既に二度負けた。ラウンジ国軍の士気は低下している。兵力も拮抗してきた。
 はっきりと、不利になっている。

 諦めてたまるか。
 ヒグラシ城は守る。今後勝てばまだ大丈夫だ。
 力を出し切る。周りと協力しあって戦う。そうすればきっと、勝てる。

( ’ t ’ )「……勝ってやる」

 必ず、必ずだ。
67 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:30:40.38 ID:A8u/zISg0
――十五日後――

――ハルヒ城とヒグラシ城の中間点――
  _
( ゚∀゚)「先にカルリナを潰せ! 二隊で両面から崩すんだ!」

 ジョルジュの大声が響いていた。
 干戈の音が鳴る戦場でも、はっきりと通る声だ。
 鉦要らずのジョルジュとはよく言ったものだった。

(-_-)「……行くぞ……」

 手勢に言って、駈け出した。
 I隊八千。西塔の中では最も機動力に長けた部隊だ。

 突出してきたカルリナの部隊にぶつかった。
 小さく固まっている。左から攻めた。
 右からはニダーがI隊五千で攻めている。

 攻めて引き、移動して、再び攻撃。
 ニダーも同じように攻撃を繰り返している。
 相手にとっては鬱陶しいことこの上ない攻めのはずだ。

 だが、カルリナはよく耐えている。
 乱れないようにひたすら小さく固め、無理な反撃は打たない。
 まだ二十五の武将だとはとても思えない。

(-_-)(……あのベルが、後継として育てただけはある……)
70 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:34:06.98 ID:A8u/zISg0
 初戦から、カルリナはいい戦を展開してきていた。
 ジョルジュも想像以上だと唸ったほどだ。
 だがやはり、経験のなさが出てしまうときがある。

 カルリナの部隊が僅かな綻びを見せた。
 さすがに、ニダーは見逃さなかった。的確な攻め。部隊が、一気に崩れていく。
 追撃を加えた。押し潰せば、カルリナは潰走するほかない。

(-_-)「……ん……?」

 思ったより、固い。
 もっと容易く崩れていくはずだが、再び小さく固まりだしているのだ。
 あの態勢から立て直しを図るのは、相当に難しいことのはずだ。

 カルリナの姿が一瞬、視界に入った。
 鬼のような形相。覇気どころではない。
 憤懣や、悔恨。それら全てが滲み出て見えた。

 徐々に、押し返されていく。
 猛烈な反撃を見せるカルリナ。ニダーが気圧されている。
 同時に、鉦が鳴った。一旦下れ、という鉦だ。

 フサギコが慌てて救援に来た。
 ラウンジもアルタイムが出てきている。戦いの波が、広がっていく。
 ジョルジュの部隊も動き出したようだ。

 ニダーが下がり、自分もカルリナの攻撃を防ぎつつ、徐々に後退した。
 入れ替わり、ジョルジュがカルリナとぶつかる。
  _
( ゚∀゚)「その若さでここまで戦えるとは、大したもんだ」
74 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:37:14.53 ID:A8u/zISg0
 ジョルジュは素早く切り込んだ。
 カルリナはやはり奮戦している。ジョルジュさえ自由自在に攻め込めてはいない。
 だが、上手くかわしながら確実に進んでいる。

 しかし、カルリナは突然、隊をばらけさせた。
 力を抜いたようにも見えた。だが違う。
 ジョルジュの部隊を空振りさせ、押し包む気だ。

 そんな無茶な。
 そう思ったが、カルリナは巧みに兵を動かしていく。
 救援にいかなければならない。しかし、ラウンジの他武将が攻め込んできていた。

 ジョルジュの態勢は、苦しい。
 数で上回るラウンジ軍に、利を活かされている。
 あの土壇場から、形勢逆転の一打を放たれた。

 無論、ジョルジュも容易く押し込まれたりはしない。
 小さく固めた部隊で包囲を乱し、抜け出そうとしている。
 カルリナも、そうはさせまいとして包囲を狭めていく。

 互角の押し合いだ。
 いや、僅かにカルリナのほうが優位か。包囲が更に狭まっている。
 どちらにせよ、早く救援にいくべきだ。

(;-_-)(誰か……!)

 誰か、救援に行ってくれ。
 心の中でそう呟いたとき、カルリナの包囲を、掻き乱す一撃があった。
 両横からの的確な攻撃。カルリナは、堪え切れない。
89 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:43:05.84 ID:A8u/zISg0
 隊が乱れ、カルリナは後退しはじめた。

( ´_ゝ`)(´<_` )「「流石だよな俺ら」」

 サスガ兄弟による攻撃だった。
 さすがに連携は見事なものだ。呼吸がぴたりと合っている。
 追い回すようにカルリナを攻め立て、潰走に至らせた。

(*´_ゝ`)「この勢いでカルリナを討ち取るぞ!」

(´<_`;)「アニジャ、アルファベットを落としているぞ。拾ってから言ってくれ」

(;´_ゝ`)「あ……カルリナが遠ざかっていく……」

(´<_`;)「なぜ戦場でアルファベットを落とすんだ、アニジャ……」

 サスガ兄弟は今回、後方援護に回っていたはずだ。
 しかし、ジョルジュが苦しくなったと見るや、すぐに救援に駆け付けた。
 頼れるコンビだ。

( ´_ゝ`)「いや、これはチャンスだぞ」

(´<_` )「……チャンス?」

(*´_ゝ`)「戦場で落としてアルファベットがおかしくなった、と言ってツンさんに会いに行くんだ。
      楽しくお喋りしてお茶を飲んで、最後に『やっぱどこもおかしくないみたいです』と言えば完璧だ」

(´<_`;)「張り倒されるぞ、アニジャ……」

 アニジャには多少抜けたところがあるが、それをオトジャが補い、上手く機能しているようだった。
100 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:46:21.13 ID:A8u/zISg0
 最終的に、この日の戦も勝ったが、過去二戦のような堂々たる勝ちではなかった。
 カルリナの奮戦。あれが全体に響いたのだ。

 ハルヒ城に一度帰って、ジョルジュと二人で話しこんでいた。

( ゚∀゚)「カルリナはやっぱり力を持っているな」

(-_-)「……そうですね……」

 ジョルジュ相手にさえ、一時は盛り返しを見せた。
 あれでまだ二十五。経験も少ないというのだから、空恐ろしい武将だった。

( ゚∀゚)「アルタイムの動きが、意外だったな」

(-_-)「……動き、ですか?」

( ゚∀゚)「戦のことじゃないけどな。カルリナに指揮権を預けたりしてることだ」

 それは、自分も感じていた。
 アルタイムといえば、ベルの言うことを忠実にこなすだけの機械的武将。
 そのくせして、臆病な部分や傲慢な部分を隠しきれない。アルファベット以外に才はない、という印象だった。

 しかし今、カルリナを育てることに徹した動きを見せている。
 自身は大将として皆を統率しつつ、戦で勝つために、若手を積極的に用いているのだ。
 アルタイムにしてはまともな行動だ、と思っていた。

( ゚∀゚)「自分の限界が分かったのかもな」

(-_-)「……大将の器ではないと、自覚したのかも知れませんね……」
105 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:49:32.08 ID:A8u/zISg0
( ゚∀゚)「だとすれば……ラウンジはかなり手強くなる」

 アルタイムは、分不相応な地位を得ていた。
 ラウンジという大国の、大将だ。全土の頂点といってもいい。
 アルタイムには荷が重いだろう、と囁かれていたものだった。

 しかし、先のオオカミ戦から、カルリナやファルロといった期待の若手を使っている。
 特にカルリナには全権を預け、自身は補佐役といってもいい位置で収まっているのだ。
 カルリナが才気に満ちた武将であることは、ベルが自ら育てていたことからも分かっていたのだろう。

( ゚∀゚)「ま、ベルが大将に指名しただけあって、バカじゃあないみたいだ」

(-_-)「……しかし、今回の戦は……」

( ゚∀゚)「これも、若手を育てるための一環、ってとこだろ。多分、アルタイムは敗戦後のことを考えてる」

(-_-)「早いですね……」

( ゚∀゚)「粘りはするだろうが、これから徐々に兵をギフト城かエウレカ城に移していくだろうな」

 ラウンジ軍内の士気は大幅に低下しているという。
 馬やアルファベットも減ってきているはずだ。戦が長引けば兵糧の問題も出てくる。
 国土の割に、兵糧が潤沢にあるわけでもないラウンジにとって、敗戦濃厚の戦で物資を空費させたくはないはずだ。

( ゚∀゚)「ま、こっちとしても早めに奪っちまいたいとこだ。次で決定打を与えたいな」

(-_-)「そうですね……」

( ゚∀゚)「早くヴィップ城に帰って女を抱きたいぜ」
111 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:52:53.36 ID:A8u/zISg0
(;-_-)「……女、ですか……」

( ゚∀゚)「女はいい。特に、乳のでかい女は」

 好色で知られるジョルジュらしい発言だった。
 部屋にため込んでいる女の数はヴィップ国軍でも群を抜いているらしい。
 特に、一人も女を連れ込んでいない自分とは相当の差があるだろう。

( ゚∀゚)「お前も女くらい抱けよ。一人や二人ならやるよ」

(-_-)「……結構です……」

( ゚∀゚)「相変わらず孤独な生活、か」

(-_-)「私には、それが合っていると思います……」

 女など、面倒なだけではないのか、と思っていた。
 我が侭は言う、文句は言う。幼い頃、一緒に育った姉がそうだったせいもある。
 女全てが面倒ではないのだろうが、どうにも関わりたくないと思ってしまうのだ。
 まだ男と居るほうが気楽で良かった。

( ゚∀゚)「早く戦に勝ちたいぜ」

 朗らかにジョルジュは言った。

 武人として、戦に勝ちたい。
 城に帰って、女を抱きたい。
 ジョルジュの考えは、分かる。
119 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:56:35.96 ID:A8u/zISg0
 だが時々、それだけではない、と感じることがあった。
 何か、他のことを考えながら行動しているようにも思えるのだ。
 ただ単純に戦勝を目指しているとは思えないときがあるのだ。

 それが何なのかは、分からない。
 しかし、引っかかってしまう。痛痒感とでも言えばいいのだろうか。
 すっきりしないのだ。

(-_-)(……信じて、ついていくしかない……)

 ジョルジュの力は疑いようがない。
 武人として、大将として、充分すぎるほどだ。
 これからもジョルジュを信じていくほかないのだ。

(-_-)「……勝ちましょう」

( ゚∀゚)「あぁ」

 牢乎の森が鮮やかな赤に染まっている。
 紅葉だ。景色もすっかり秋めいていた。
131 :第36話 ◆azwd/t2EpE :2007/05/13(日) 16:59:30.78 ID:A8u/zISg0
 いずれ散り、閑寂に染まる。
 やがて雪も降り始めるだろう。

 その頃までには、ヒグラシ城戦を終わらせたいものだ、と思った。



















 第36話 終わり

     〜to be continued

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