- 4 :
あらし(三重県):2007/04/13(金)
22:34:19.48 ID:85YzmCdo0
- ★登場人物
〜東塔の兵〜
●( ^ω^) ブーン=トロッソ
19歳 中尉
使用可能アルファベット:J
現在地:シア城
●('A`) ドクオ=オルルッド
19歳 シャッフル城戦・ブーン中尉配下部隊長
使用可能アルファベット:G
現在地:シャッフル城周辺
●(´・ω・`) ショボン=ルージアル
29歳 大将
使用可能アルファベット:U
現在地:シャッフル城周辺
●( ・∀・) モララー=アブレイユ
24歳 中将
使用可能アルファベット:R
現在地:リン城
●(,,゚Д゚) ギコ=ロワード
27歳 少将
使用可能アルファベット:?
現在地:リン城
- 6 :
あらし(三重県):2007/04/13(金)
22:35:33.61 ID:85YzmCdo0
- ●( ^Д^) プギャー=アリスト
25歳 大尉
使用可能アルファベット:M
現在地:シア城
●( ><) ビロード=フィラデルフィア
22歳 少尉
使用可能アルファベット:?
現在地:エヴァ城
●(=゚ω゚)ノ イヨウ=クライスラー
28歳 少尉
使用可能アルファベット:P
現在地:シア城
●( ´∀`) モナー=パグリアーロ
44歳 中将
使用可能アルファベット:Q
現在地:シア城
●(‘_L’) フィレンクト=ミッドガルド
26歳 シャッフル城戦・ブーン中尉配下部隊長
使用可能アルファベット:I
現在地:シア城
- 14 : あらし(三重県):2007/04/13(金) 22:39:32.38 ID:85YzmCdo0
- 〜西塔の兵〜
●( ゚∀゚) ジョルジュ=ラダビノード
34歳 大将
使用可能アルファベット:S
現在地:ヴィップ城
●<ヽ`∀´> ニダー=ラングラー
35歳 中将
使用可能アルファベット:?
現在地:ハルヒ城
●(-_-) ヒッキー=ヘンダーソン
38歳 大尉
使用可能アルファベット:N
現在地:ヴィップ城
●ミ,,゚Д゚彡 フサギコ=エヴィス
31歳 少将
使用可能アルファベット:?
現在地:ヴィップ城
- 21 : あらし(三重県):2007/04/13(金) 22:41:23.34 ID:85YzmCdo0
- ★階級表
〜東塔〜
大将:ショボン
中将:モララー/モナー
少将:ギコ
大尉:プギャー/シラネーヨ
中尉:ブーン
少尉:ビロード/イヨウ
〜西塔〜
大将:ジョルジュ
中将:ニダー
少将:フサギコ
大尉:ヒッキー
中尉:ビコーズ
少尉:
(佐官級は存在しません)
- 25 : あらし(三重県):2007/04/13(金) 22:43:07.18 ID:85YzmCdo0
- ★この世界の単位
一里=400m
一刻=30分
一尺=24cm
一合=200ml
(現実で現在使われているものとは異なります)
- 31 : あらし(三重県):2007/04/13(金) 22:44:47.89 ID:85YzmCdo0
- 【第27話 : Gallop】
――シャッフル城周辺(シャッフル城まで六十里)――
音もない、黒き獣の疾駆。
闇と同化した五百ニの騎兵は、ただひたすらに駆け続けていた。
ショボンの騎馬隊には、ついていくのがやっとだった。
全土最強と謳われる騎馬隊。その中に、まだ入軍して一年も経っていない兵が混じっている。
隊そのものの機能を低下させてしまわないか、とドクオは不安にも思った。
馬の扱いを、ショボンには褒められた。
呼吸を分かっている。手綱の引きどころや、脚での締め上げどころ。
自在にコントロールしながら、馬を気持ち良く走らせられる。
そういった評価を受けた。
自分では全く意識していないことだった。
ただ何となく手足を動かしていただけで、それが難しいことだとは気付かなかった。
だから凄いんだ、とショボンは笑っていた。
夜は重みを増していた。
手を伸ばして届く範囲でさえ、暗闇に染まっている。
目的地まであとどれほどの距離なのか、全く分からなかった。
最初に目指すのは、プリムラという名の砦。
ここは、シャッフル城とラウンジのフェイト城を繋ぐ、重要拠点だ。
兵糧を燃やす。
ドクオが提案した作戦は、それだった。
- 33 : あらし(三重県):2007/04/13(金) 22:48:25.94 ID:85YzmCdo0
- オオカミに籠城させた上で、兵糧を燃やし、枯渇させる。
ラウンジの支援に頼り切っている状態だ。単独では籠城できない。
必然的に、オオカミは野戦に応じることとなる。
端的に言えばそれだけで、簡単な策に思える。
しかし、実際には障害だらけだ。
まず、ラウンジからの支援、シャッフル城への輸送は、小刻みに行われている。
僅かな兵糧を燃やしたところで、オオカミに痛打を与えることはできない。
却って警戒を深められてしまい、兵糧面で攻めるのは難しくなるだろう。
輸送中を襲っても意味がない。
蓄えられている場所を襲撃して、大量に燃やす必要があるのだ。
だが、それこそが最大の難点だった。
兵糧が多く蓄えられている場所など、厳重な警護体制が敷かれているに決まっている。
しっかりシャッフル城に運ぶことが前提ですらある戦なのだ。尚更だった。
プリムラ砦はシャッフル城戦が始まる少し前に築かれたものだ。
しかし、脆い作りではない。土と石で固められており、砦自体を燃やすのは困難だ。
重要拠点として機能しているため、急襲に備えた頑強な防塁となっていた。
砦を攻めるのは不可能。
ならば、砦から出てきたところを襲うしかない。
今まで続けてきた攻めは、そのためだった。
オオカミの不安を煽り、籠城を決断させる。
遅々としていてはヴィップに付け込まれる、とミルナは考えたはずだ。
可能な限り早く、籠城の体制を整えようとした。
- 36 : あらし(三重県):2007/04/13(金) 22:51:23.76 ID:85YzmCdo0
- 日数をかけて兵を城に入れる、という作戦にオオカミは出た。
何故、一気に入れてしまわないのか。それは兵糧のためだ。
ラウンジからの支援は完了しているが、兵糧はプリムラ砦に蓄えられている。
シャッフル城にはまだ、雨季まで持ちこたえられる量が存在しないのだ。
オオカミは七日でプリムラ砦からシャッフル城への輸送を完了させようとした。
妥当な日数だ。無理をするわけでもなく、時間をかけているわけでもない。
だが、今までより多量に運ぶ必要が出た。
そこからは、ショボンが抱えている間者の仕事だった。
どの程度、運ばれるのか。どこに敵兵が配備されるのか。
何時頃に輸送されるのか。どの道を通るのか。
それらを全て、調べ上げる必要があった。
クー=ミリシアという間者がいた。
ショボンが大将になった頃に雇った間者らしく、かなり有能だという。
そのクーの下にも更に何人か間者がいるが、正確な数はショボンも知らないらしい。
献策してから、クーは必死で情報を集めてくれた。
オオカミにとっては絶対他者に知られてはならない情報だ。集めるのは容易ではない。
しかし、やってくれた。ショボンが絶対の信頼を置いている理由が、分かった気がした。
そこで、一つの意外な情報を得た。
七日の内、六日は運ぶ量を今まで通りにする。
そして一日だけ、大量に運ぶ日を作る、というものだ。
毎日兵を大量に動員することによって、城が手薄になることを恐れたのだ。
普段は今まで通りにし、一日だけ兵を城から派するほうが安全性は高い。
念のため、余剰とも言えるほどに警護をつければ問題ない、とミルナは思ったのだろう。
- 37 : あらし(三重県):2007/04/13(金) 22:54:31.56 ID:85YzmCdo0
- ヴィップにとっては、嬉しい誤算だった。
籠城を決断してから、兵糧を輸送するのに数日かけることは予測できた。
その数日間、頻繁に輸送隊を襲撃する、というのが当初の作戦だったのだ。
危険度は高い、とモララーに言われるまでもなく、分かっていた。
それでもショボンには勝算があったようだが、オオカミが一気に運ぶ作戦を取ってくれて、楽になった。
襲撃は一度でいい。まとめて運ぶなら、格段に攻めやすくなる。
追い風が吹いていた。
ショボンが速度を緩めはじめた。
無言でも隊全体に意思が伝わる。さすがだ、と思った。
自分はただ皆の真似をすることしかできない。
関所まで、かなり近くに迫っているようだ。
(´・ω・`)「強行突破する予定だったが……やめたほうが良さそうだな」
かなり多くの篝火が焚かれている。
普段は数百人で守られている関所だが、今は千人以上だろう。
('A`)「連絡体制も整っていると思います。襲撃されればすぐシャッフル城に伝わってしまうと」
(´・ω・`)「だろうな。時間はかかるが、迂回しよう」
ショボンが左手で手綱を引いた。
騎馬隊が方向を変え、再び走り始める。
ショボンの近衛騎兵隊がシア城を発ったことは、オオカミに伝わっている恐れがある。
極秘事項でもどこから洩れるか分からないのが戦だ。早めに輸送隊を襲わなければならない。
- 38 : あらし(三重県):2007/04/13(金) 22:57:58.25 ID:85YzmCdo0
- 間道を抜けて北へ進んだ。
可能な限り早く、プリムラ砦に着く道を選んでいるが、敵に狙われやすい道でもあった。
伏兵がいた場合は、かなり苦しくなる。
しかし、斥候を出せる余裕はない。
運に頼る部分は、最初から少なからずあった。
だからこそ、モララーはショボンの身を案じたのだ。
この作戦を発案して、本当に良かったのだろうか。
また、同じことを考えてしまっていた。
(´・ω・`)「ここから先は、敵に見つかる可能性が一気に高まるぞ」
オオカミが警戒している領域にまで到達していた。
プリムラ砦は、ここから二十里ほどの位置にあるはずだ。
(´・ω・`)「あのミルナが何も仕掛けていないとは思えん。慎重に行こう。
輸送隊を襲える位置になったら、逡巡するな。己が身を捨ててでも、兵糧を潰すんだ」
静かだが、重みのある声だった。
気が引き締まるのを感じる。
再び駆けだした。
辺りは疎らに木々が生えている程度で、身は隠れていない。
もし斥候がいたら、すぐに知れ渡ってしまうだろう。
とにかく、少しでも近づくしかなかった。
途中で見つかったとしても、砦まで近ければ強引に突っ切れる。
それだけの機動力は持っているのだ。
- 45 : あらし(三重県):2007/04/13(金) 23:01:29.88 ID:85YzmCdo0
- 馬の吐息が荒くなっていた。
それを感じるほど、疾駆は静かだ。唯一、自分だけがはっきりした音を立ててしまっている。
皆、馬の扱いは抜群に上手かった。才能だけではなく、積み重ねられた経験によるものだろう。
完全に、馬と一体化している。そう思った。
ショボンが、腕を上げた。
隊が瞬時に動きを止める。一糸乱れぬ動きだった。
(´・ω・`)「ここからは、思う存分、駆けるぞ」
馬の草鞋を脱がせた。
プリムラ砦から放たれている光が、視界に入るほどの距離に迫っている。
もう静かに移動する距離ではない。
全速力で駆け、僅かでも早く敵陣を襲うことが求められるのだ。
輸送隊の灯が、ゆっくりと動いていた。
プリムラ砦から間断なく続いている。かなりの量であることは、間違いなかった。
(´・ω・`)「さぁ、暴れるぞ」
ショボンが背中のMを手に取った。
手綱を強烈に引き、一気に駆けだす。先ほどまでとは、比べものにならない速度だ。
慌てて手綱を引き、馬の腹を足で締め上げて、速度を上昇させる。
流れゆく景色。
鼓膜を直に叩くような、馬蹄音。
胸に、熱いものが湧きあがるのを感じる。
- 50 : あらし(三重県):2007/04/13(金) 23:04:48.23 ID:85YzmCdo0
- プリムラ砦からの灯が、揺れていた。
こちらの動きには気付いたようだ。しかし、遅すぎる。
ショボンが左手で手綱を握りながら、Mを構えた。
右手のFを弦にかけ、引き絞ったかと思えば、Fは手から消えていた。
襲撃が、遂に始まった。
近衛騎兵隊から次々にFが射込まれていく。こちらはDだ。
ドクオも今日までの訓練通りに、馬上からDを構え、右手のFを引き絞った。
両手でアルファベットを持つ場合は、それを合計したほどのアルファベットが使えなければならない。
つまりD隊には、最低でもGくらいを使えないとなれないのだ。
この戦に参加する直前、Gに上がれたのは幸いだった。
狙いも定まらぬままに射た。
届いたかどうかも分からない。この視界では、確かめようがなかった。
近づきながらFを射て、やがて輸送隊の姿がはっきり見えるまでに迫った。
ショボンが雄叫びをあげながら輸送隊を斬りつける。
悲鳴を上げるオオカミ兵。輜重を捨てて次々と逃げ出して行った。
輜重にはすぐに火を放ち、次の輸送隊を襲う。
しかし、向こうも抵抗を見せ始めた。
(;'A`)「くっ……」
警護隊が、包むようにして散開している。
オオカミのH隊歩兵が迫ってきた。
- 55 : あらし(三重県):2007/04/13(金) 23:08:08.66 ID:85YzmCdo0
- ショボンのUが振られる。一振りで三つ、さらに一振りで四つ。
長いリーチを活かし、一撃で幾つもの首を飛ばしていく。
H隊歩兵など、相手にならなかった。
近衛騎兵隊の動きも俊敏かつ鋭敏で、あっという間に包みを破る。
その中に混じっているのが信じられない、とドクオは思った。
既にいくつかの輜重は放置されている。
あれだけ重いものを抱えて逃げるのは不可能だからだ。
この調子なら、敵に籠城を諦めさせるだけの量は潰せるはずだった。
突然の襲撃で、隊がまともに整っていない警護兵は、なりふり構わず突っ込んでくるだけだ。
打ち破るのは容易かった。上位であるH兵でさえ、難なく討ちとれた。
あまりに呆気ないほど、敵は脆い。
('A`)(……いや……)
そんなはずはなかった。
相手は、賊や民衆ではないのだ。国軍なのだ。
このまま終わってくれるとは思えない。
プリムラ砦に向かって、敵軍を破りながら移動する。
相手は歩兵だけでなく、騎馬隊もいたが、この五百に比べれば蟻のようなものだ。
為す術もなく崩れていった。
シャッフル城に向けて兵糧を運ぶために、プリムラ砦の兵糧は外に出ているはずだ。
つまり、燃やしやすい位置にある。あとはそれさえ潰せば、オオカミとの野戦に持ち込めるのだ。
いける。そう確信した。
(´・ω・`)「……そう来たか」
- 59 : あらし(三重県):2007/04/13(金) 23:11:36.30 ID:85YzmCdo0
- 視線を向けぬままに歩兵を討ち取ったショボンが、言った。
いけると、勝手に確信した直後の一言だった。
プリムラ砦。
兵が多く固まっている入口部分に、輜重が何台も並べられている。
あれさえ潰せば。
しかし、ここにきて、最大の難関にぶつかった。
(´・ω・`)「これは少し、厳しくなってきたな」
長い柄と、刃と、槌。
機能性に優れたアルファベット、T。
そしてそれを操る、大将、ミルナ=クォッチ。
鋭い眼光、気圧されるような凄み。
闘志を全身から横溢させていた。
(´・ω・`)「大将自らとは、実に大層なことだ」
( ゚д゚)「同じ言葉を返そう、ショボン=ルージアル」
騎兵、およそ三千が、ミルナの後ろには控えていた。
易い敵ではない。ミルナ直属の騎馬隊だ。
不利なのは、明らかにヴィップ側だった。
- 68 : あらし(三重県):2007/04/13(金) 23:15:31.91 ID:85YzmCdo0
- (´・ω・`)「皆、死力を尽くせ!
打ち破るぞ!」
ショボンが勢いよく飛び出した。
ミルナが眼を見開き、アルファベットを構える。
詰まる距離。近づく光。
響き渡る、衝突音。
その後ろにいる三千と、ヴィップ軍の五百も、本格的なぶつかりあいになった。
(#'A`)「おおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!!」
叫んで、全身に力を込めた。
ここさえ、破れば。
頭の中にあるのは、それだけだった。
駆け、敵のI兵とぶつかった。
- 73 : あらし(三重県):2007/04/13(金) 23:18:37.85 ID:85YzmCdo0
- (#゚д゚)「ふんっ!!」
(#´・ω・)「はぁっ!!」
打ち込まれるミルナのT。
防ぎ、攻撃に転じるショボンのU。
大将同士の一騎打ちは、どちらも全く譲らぬ、互角の攻防だった。
第27話 終わり
〜to be continued
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