- 3 :
ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水)
16:28:01.07 ID:794ZpdwB0
- ★登場人物
〜東塔の兵〜
●( ^ω^) ブーン=トロッソ
19歳 中尉
使用可能アルファベット:J
現在地:シア城
●('A`) ドクオ=オルルッド
19歳 シャッフル城戦・ブーン中尉配下部隊長
使用可能アルファベット:G
現在地:シア城
●(´・ω・`) ショボン=ルージアル
29歳 大将
使用可能アルファベット:T
現在地:シア城
●( ・∀・) モララー=アブレイユ
24歳 中将
使用可能アルファベット:R
現在地:リン城
●(,,゚Д゚) ギコ=ロワード
27歳 少将
使用可能アルファベット:?
現在地:リン城
- 6 :
ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水)
16:29:35.05 ID:794ZpdwB0
- ●( ^Д^) プギャー=アリスト
25歳 大尉
使用可能アルファベット:M
現在地:シア城
●( ><) ビロード=フィラデルフィア
22歳 少尉
使用可能アルファベット:?
現在地:エヴァ城
●(=゚ω゚)ノ イヨウ=クライスラー
28歳 少尉
使用可能アルファベット:P
現在地:シア城
●( ´∀`) モナー=パグリアーロ
44歳 中将
使用可能アルファベット:?
現在地:パニポニ城
●(‘_L’) フィレンクト=ミッドガルド
26歳 シャッフル城戦・ブーン中尉配下部隊長
使用可能アルファベット:I
現在地:シア城
- 7 :
ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水)
16:31:02.33 ID:794ZpdwB0
- 〜西塔の兵〜
●( ゚∀゚) ジョルジュ=ラダビノード
34歳 大将
使用可能アルファベット:S
現在地:ヴィップ城
●<ヽ`∀´> ニダー=ラングラー
35歳 中将
使用可能アルファベット:?
現在地:ハルヒ城
●(-_-) ヒッキー=ヘンダーソン
38歳 大尉
使用可能アルファベット:N
現在地:ヴィップ城
●ミ,,゚Д゚彡 フサギコ=エヴィス
31歳 少将
使用可能アルファベット:?
現在地:ヴィップ城
- 10 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 16:32:35.13 ID:794ZpdwB0
- 階級表
〜東塔〜
大将:ショボン
中将:モララー/モナー
少将:ギコ
大尉:プギャー/シラネーヨ
中尉:ブーン
少尉:ビロード/イヨウ
〜西塔〜
大将:ジョルジュ
中将:ニダー
少将:フサギコ
大尉:ヒッキー
中尉:ビコーズ
少尉:
(佐官級は存在しません)
- 11 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 16:34:07.71 ID:794ZpdwB0
- ★使用アルファベット一覧
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:ドクオ
H:
I:フィレンクト
J:ブーン
K:
L:
M:プギャー
N:ヒッキー
O:
P:イヨウ
Q:
R:モララー
S:ジョルジュ
T:ショボン
U:
V:
W:
X:
Y:
Z:
- 12 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 16:35:00.08 ID:794ZpdwB0
- ★この世界の単位
一里=400m
一刻=30分
一尺=24cm
一合=200ml
(現実で現在使われているものとは異なります)

- 14 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 16:36:20.12 ID:794ZpdwB0
- 【第24話 : Intention】
――シア城――
あまりに偉大な男が、死んだ。
最後まで戦い抜き、戦場で死んだ。
オオカミの兵だけでなく、ヴィップの兵すら、涙を流した。
あれほど勇ましい男が、過去いただろうか。今後、現れるだろうか。
ベル=リミナリーとは、それほどの存在だった。
ショボンとモララーのアルファベットを失ったヴィップ軍は、シア城とリン城まで軍を退いた。
オオカミも軍をシャッフル城内に入れた。ベルの喪に服するためだ。
ベルの最後の相手となったショボンは、ベルが崩れた瞬間、一筋だけ涙を流した。
軍を退く。そう言って、誰よりも早くシア城へと駆けて行った。
失ったアルファベットに関しては予備があるため支障ない。
戦はやれる。状況的には、何も問題なかった。
たった一つの要素を除いて。
(=゚ω゚)ノ「ショボン大将は無事なのか?
怪我を負っている、ということは?」
( ^ω^)「多分ないと思いますお……」
(=゚ω゚)ノ「……じゃあ、何故ショボン大将は姿を現さないんだ……?」
- 18 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 16:39:55.47 ID:794ZpdwB0
- それだけが、問題だった。
ベルとの戦いから二日が経過している。それからショボンは、一度も姿を見せていない。
誰よりも先にシア城に駆け込み、部屋に閉じこもっているのだ。
傷を負ったわけではない。ならば、理由は何なのか。
意気消沈。ショボンに限って、ないとは思うが、今は考えてしまう。
( ^Д^)「ショボン大将? 俺にも分かんねぇ……」
( ^ω^)「そうですかお……」
( ^Д^)「怪我してるってわけじゃねぇんなら……まさか、とは思うがな……」
戦う気力を失った可能性がある、とプギャーも考えているようだった。
結局、プギャーに聞いても、分からなかった。
他に聞くべき人はいない。
城内の兵は各々、やるべきことをこなしている。
いずれ戦になるのは分かっているのだ。任務は山積している。
しかし、誰もが不安を抱いていた。やはり大将が指揮取らないと戸惑ってしまうのだ。
皆が寝静まる時間になって、ブーンは城内を徘徊してみた。
ショボンがどこかにいるかも知れない。そんな希望を抱きながら。
シア城はさほど広くない。歩き回るのも僅かな時間で済む。
そして、ショボンを見つけるのにも、さほど時間はかからなかった。
- 19 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 16:43:19.98 ID:794ZpdwB0
- ( ^ω^)「ショボン大将」
屋上だった。
酒を片手に呆然と空を見上げるショボンが、声に反応してこちらを見る。
眼が合った。
(´・ω・`)「ちょうどいい」
何が、と聞き返す前に、ショボンは立ち上がった。
酒瓶を一つ、投げ渡される。
(´・ω・`)「ベルの喪に服すのは今日までだ。最後の夜にベルと一杯やろうと思って、ここにいたんだ」
酒瓶の飲み口を、空に向けた。
ショボンは軽く笑っている。
(´・ω・`)「お前なら、ベルを追悼する供としては悪くない」
再びショボンは座り込んだ。
ショボンと話しやすい距離を取って、ブーンも座った。
雲ひとつない夜空が上には広がっていた。
数多の星が輝きを放つ。誰にも邪魔をされずに。
一際、大きく輝く星があった。
ショボンがその星を起点にして、いくつかの星を指で繋いでいく。
何を形作ったのかは、分からなかった。
- 21 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 16:46:26.80 ID:794ZpdwB0
- (´・ω・`)「ベルは単身でラウンジをあそこまでの大国に成長させた」
酒を呷って、ショボンは一瞬目を閉じた。
顔は赤らんでいるが、酔ってはいないようだ。
(´・ω・`)「戦時も平時も先頭に立って指揮を取ってきた……たった一人で、だ」
( ^ω^)「……他の誰にも真似できませんお」
(´・ω・`)「あぁ。あんな男は、二度と現れんだろうな」
ショボンが息を吐き出した。
酒の匂いが微かに広がる。
(´・ω・`)「その男が、俺を最後の相手に選んでくれた。俺は、嬉しかった。
武人なら誰しも、最後の相手を最高の相手で終わらせたいものだ……それが、俺だった。
古今東西に比肩する者なしと言われたベルの、最後の相手だ」
( ^ω^)「ショボン大将しかいない、と思いますお」
(´・ω・`)「そう言ってくれると、ありがたい。
正直、よく分からなかったんだ。稀代の英傑、ベル=リミナリーの最後の相手が俺で、良かったのか。
ずっと考えていたんだが、答えは見つからなくてな……誰かに言われると、気持ちが楽になる。
あのベルが不意を打ってまで俺に勝とうとした、というのは嬉しい限りなんだが、どことなく不安だったんだ」
( ^ω^)「気が楽になったのなら、良かったですお」
(´・ω・`)「ブーン、俺達の今後について、話がある」
- 28 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 16:49:32.14 ID:794ZpdwB0
- ショボンの目つきが、急に鋭くなった。
酒を床に置き、身を乗り出される。
狼狽した。
(´・ω・`)「戦というのは、何があるか分からん。いつ誰が負けて、どんな形で死ぬか、誰にも分からん」
(;^ω^)「……はいですお」
(´・ω・`)「俺も、ベルとの戦いで死んでいたかも知れない。
今から言うのは仮定の話だが、同時にいつか必ず起きる話でもある」
あまりの真剣さに、手から汗が滴った。
空の光を遮るものは、何もないと思った。
しかし今、はっきりとショボンの巨体が影を作っている。
だがそれは、光があるからこそでもあるのだ。
(´・ω・`)「俺がもし戦で死んだ場合、誰が後を継ぐと思う?」
口が、上手く動かない。
答えようとしたが、唇が震えてしまっているのだ。
それでも、何とか声を絞り出した。
(;^ω^)「……モララー中将だと思いますお」
(´・ω・`)「だろうな。現状、あいつ以外の誰にも務まらん」
- 30 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 16:52:36.91 ID:794ZpdwB0
- それ以外、ありえない。
なのに何故、ショボンは自分に問うたのか。
ショボンが黒髪を掻き上げて、原野を一瞥した。
近頃は雨もなく、地面は安定を見せている。
(´・ω・`)「だがブーン、俺はお前に後を継いでもらいたいと思っているんだ」
(;^ω^)「ほぇ!?」
(´・ω・`)「正直、モララーは戦だけならヴィップ国の中で誰よりも才能がある。俺やジョルジュ大将よりも、だ。
敵に揺るがされない冷静さや、的確な判断力、即応力……どれをとっても文句なしだ。
だが一つだけ俺は、不安なんだ。あいつに関しては」
(;^ω^)「不安……ですかお?」
(´・ω・`)「あいつは戦を頭で描いて、それを想定通り動かすことに関しては天才だ。
だが、不確定要素を見きれていない部分がある。紙の上の戦と一緒なんだ。
駒を動かして、敵を倒す。あいつの思考は、それしかない」
(;^ω^)「…………」
(´・ω・`)「だからあいつは、大将に相応しくないと俺は考えている。中将として活躍するのが適していると。
大将があいつの穴を指摘してやって、初めてあいつの考えが活きてくるからな。
ブーン、俺が死んだ場合はお前が大将になれ。お前が他の誰より相応しいと思う」
- 35 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 16:56:07.09 ID:794ZpdwB0
- (;^ω^)「ちょ、ちょっと待ってくださいお!
理由が……」
(´・ω・`)「理由ならあるさ。お前はモララーに匹敵するほど、アルファベットの才能がある。
指揮官としてはまだ駆け出しだが、このシア城を奪ったのも見事なものだった。
何よりお前なら、兵たちの気持ちを思いやれる武将になる、と俺は思っている。
いや、なってくれ。お前ならできると、俺は信じている」
頷けるわけがなかった。
モララーは東塔の中でも才気や実績で図抜けている。
それだけではない。上にはモナーやギコ、シラネーヨやプギャーなどの優秀な将校がいる。
上官を差し置いて大将になど、なれるはずがない。
(´・ω・`)「まぁ、お前の言いたいことは分かる。話が少し、突飛すぎたからな」
(;^ω^)「いえ……」
(´・ω・`)「ちょっと話を急ぎ過ぎたか。まぁ、頭の片隅に留めておいてくれればいい。
それと……最後に一つだけ、お前に頼みがある」
(;^ω^)「頼み……?」
(´・ω・`)「もし俺が死んだら、大将室の執務机の一番下、鍵がかかっている引き出しを開けてくれ。
鍵は執務机近くの本棚、どれかの本の中に挟まっている。どの本かは時によって違うんだが。
中に何が入っているのかは言えないが、お前以外の誰にも開けられたくない引き出しだ」
夜風が、頬を撫でた。
馴れ馴れしいような、指先で爪を立てていったような、そんな風だ。
恐らく、どちらでもあるのだろう。
- 38 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 16:59:19.73 ID:794ZpdwB0
- (´・ω・`)「もし死んだら、だ。お前にしか、託せないんだ。頼んだぞ」
ショボンが立ち上がった。
酒瓶をその場に残し、しっかりとした足取りで屋上から降りていく。
とても後を追うような気にはなれなかった。
――翌朝――
――シア城・軍議室――
(´・ω・`)「みんな、すまなかった。迷惑をかけたな」
ショボンが頭を下げた。
部隊長レベルまで出席を許された軍議で、ブーンはドクオとフィレンクトに挟まれて座っていた。
(´・ω・`)「ベルの喪に服する意味と、あの戦いで少し燃え尽きた感があってな……だがもう、大丈夫だ。
軍議を始めよう。シャッフル城は予定通りに奪うぞ」
シラネーヨをリン城に残し、他の将校は全てシア城に集まっている。
狭い軍議室に敷き詰められた椅子はみな埋まっていた。
(´・ω・`)「まず、問題点が出てきた。ベルがオオカミにいたという問題だ」
( ^Д^)「それがどうかしたんですか?」
(´・ω・`)「ベルを受け入れてくれた礼として、ラウンジがオオカミに物資支援を行うようだ。
おかげでオオカミは短期決戦に拘る必要がなくなってしまった」
- 41 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 17:03:14.22 ID:794ZpdwB0
- (,,゚Д゚)「……攻め込んでも、篭城してしまうかも知れない、ということですか」
(´・ω・`)「あぁ。雨季までは長く見積もっても三ヶ月弱。耐えきれん期間ではない。
元より兵数が上なのはオオカミ軍だ。囲おうとしても打ち破られるだろうし、そんな余裕もない」
( ・∀・)「雨季になったら戦どころじゃありませんからね、この辺は。
必然的に撤退を強いられるでしょう」
(´・ω・`)「その通りだ。シア城とリン城も放棄しなければならんかも知れん。
それは絶対に避けたいところだ。さて、どうするか。部隊長でも遠慮なく意見を出してくれ」
(=゚ω゚)ノ「とりあえず攻め込んでみてはどうでしょうか?
相手の出方を窺うということで」
(´・ω・`)「まぁ、そうだな。ミルナの性格上、打って出てくることは考えられる。
やってみる価値はあるだろうな。今はまだ城外に布陣しているしな」
( ・∀・)「篭られた場合は攻めきれませんね。囲むのは至難でしょう。
その場合はいっそ、マリミテ城を急襲してみますか?」
(´・ω・`)「それはまたお前らしい策だな。確かにマリミテ城は手薄だろうが……。
あそこは近くにオリンシス城がある。マリミテ城に軍を急派させても防備を固めるだけの時間はあるだろう」
( ・∀・)「微妙なところだと思いますけどね。ま、確かに博打ではありますが」
(´・ω・`)「シア城とリン城の確保も厳しくなる。とりあえず今は、シャッフル城の奪取を考えてくれ」
しかし、そこから意見が止まった。
- 43 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 17:06:09.47 ID:794ZpdwB0
- 将校はみな考え込んでいる。部隊長は臆して何も言わない。
ブーンも方策を考えたが、妙案らしきものは浮かんでこなかった。
シャッフル城を奪うなら、敵を野戦で打ち破る必要がある。
兵数を減らし、敵将を討ち取り、ミルナに城の放棄を決断させなければならない。
空隙を突いて城を占拠する方法もあるが、かなりの運に恵まれていなければ無理だろう。
いま求められているのは偶然性に頼ったものではなく、それなりに蓋然性のあるものだ。
相手が失敗すれば、などというものではない。
そうなるとやはり、敵を城から引きずり出す必要がある。
ミルナの性格については知らないが、合理的な性分なら、野戦には応じないだろう。
城に篭っての防衛戦のほうが、戦を有利に展開させられるのだ。
どうやって野戦に持ち込むか。
いま問われているのは、それだった。
('A`)「……あの、よろしいでしょうか?」
皆の視線が、一斉にこちらに向いた。
篭った声を発したのは、ドクオだった。
(´・ω・`)「ドクオ=オルルッドか。何だ?」
さすがに、緊張している。
ドクオの左手が、小刻みに震えていた。
しかし、その瞳には強い力がある。
('A`)「ひとつ、献策を」
- 52 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 17:09:23.83 ID:794ZpdwB0
- 軍議室は静けさを増した。
このシア城を奪ったのはドクオの功績だと、誰もが知っている。
敵軍になりすまして奪う、という大胆な策を先日行ったばかりだ。
期待が、高まっていた。
(´・ω・`)「言ってみてくれ」
('A`)「……はい」
ドクオが、話し始めた。
最初は、思いよらなかった策に驚いた。
しかし、徐々に不安が増し始めた。恐らく、皆もだ。
話し終えたあと、真っ先に口を開いたのは、モララーだった。
( ・∀・)「その策は私も考えました。でも、危険度が高すぎます」
('A`)「はい……自分でもそう思います」
( ・∀・)「この場で献策する度胸は大したもんだ。だが、それだけだな」
ドクオが俯いた。
モララーの正直なところは、長所と同時に短所でもある。
今は、後者の部分が出てしまっていた。
- 57 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 17:12:57.12 ID:794ZpdwB0
- (´・ω・`)「いや、そうとも限らん」
ショボンの一言で、ドクオの顔が弾けるようにして前を向いた。
手の震えは、止まっている。
(´・ω・`)「確かに、今の話だけなら無謀が過ぎる。その策は通せない。
だがドクオ、お前が言いたかったのは本当にそれだけか?
何か、他に補足することがあるんじゃないのか?」
何もかも見透かしたような眼で、ドクオを見るショボン。
ドクオは一度口を開きかけ、固く閉じる。
しかし、震えさせながら、再度その口を開いた。
(;'A`)「……ショボン大将自身が、その策を行うことです。
そうすれば、成功率は格段に高まると思います」
ショボンが、笑った。
(´・ω・`)「いい策だ。それでいこう」
(;・∀・)「ちょっと待って下さい! 本気ですか!?」
(´・ω・`)「あぁ、至って本気だ」
(;・∀・)「馬鹿げています! 失敗したら確実に……例え成功しても死ぬかも知れないんですよ!?」
(´・ω・`)「それが戦だろう、モララー」
- 69 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 17:16:09.03 ID:794ZpdwB0
- (;・∀・)「そりゃそうですが……他の武将とは違います!
大将です!」
(´・ω・`)「お前は俺が失敗すると思っているのか?」
(;・∀・)「可能性の問題です! もしもを私は論じているんです!」
(´・ω・`)「冷静なお前らしくないな、モララー。落ち着け。
可能性の問題だからこそ、俺が行くんだろう。成功率の高い俺が」
(;・∀・)「ッ……!」
立ち上がっているモララーが、机に手を突いた。
動揺する気持ちはよく分かった。もし大将を失えば、敗北は確実だ。
ヴィップ国の未来にすら、影響してくるのだ。
ショボン=ルージアルとはそれほどの男だ。なのにショボンは、自分が行くと言っている。
モララーは、焦りを表現するかのように、何度も瞬きしていた。
(´・ω・`)「まぁ、損得を考慮したうえでもこの策がベストだろうな」
(;・∀・)「……もう一度だけ聞きます。本気ですか?」
(´・ω・`)「何度も聞くなよ。本気だ」
モララーが椅子に座りこんだ。
考え込むようにして手を額に当てている。こんなモララーを見るのは、初めてだった。
そして、再び立ちあがる。
- 76 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 17:19:18.47 ID:794ZpdwB0
- ( ・∀・)「ならば、私もやります。ショボン大将を死なせはしません」
(´・ω・`)「ダメだ。お前まで失えばそれこそ国軍は崩壊するぞ」
(;・∀・)「それは、そうかも知れませんが……」
(´・ω・`)「大丈夫だ。仮に、俺がいなくなったとしても――――継ぐ者はいるさ」
ショボンの視線が、こちらに向くことはない。
しかしはっきりと、自分に向けて言った。ブーンはそう思った。
(´・ω・`)「献策者のドクオ=オルルッドは伴う。他には誰も要らん。
今日の軍議は以上だ。各々、与えられた任務をこなしてくれ」
ショボンが立ち上がり、真っ先に軍議室から退出した。
ドクオは口を半開きにして、ただ呆然としていた。
- 81 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 17:21:26.89 ID:794ZpdwB0
- ――シャッフル城――
遠景に薄らトーエー川の流れが見える。
よく晴れた日だった。
ミルナは一人、城塔の窓から景色を眺望していた。
全土屈指の大河であり、最長を誇るトーエー川は、古くから物流の肝要として機能してきた。
東端に位置するヒダマリ城からも、流れに乗れば数日でシャッフル城に着く。
ラウンジがフェイト城を有している今はそうもいかないが、以前はこの川の端から端までを輸送路として使いもした。
トーエー川の東端はヴィップ領だ。上手くいけば、パニポニ城を攻められる。
エヴァ城とシア城の間に布陣して、シア城とリン城を孤立させることもできるのだ。
水路は陸路よりも機動力で優る。
優秀な水夫を育てるのには時間がかかるが、その労力に見合った成果は得られるのだ。
この力に限れば、ラウンジやヴィップなど足元にも及ばない、とミルナは思っていた。
水軍を使った戦に持ち込めないのは、歯がゆかった。
今回の戦でも、一応船は用意してあるが、ほとんどラウンジへの備えだ。
ヴィップに攻められている最中、ラウンジに背後を突かれるようなことがあればシャッフル城は瞬時に陥落するだろう。
様々な可能性を常に予測しなければ、この乱世では生き残れない。
智将や猛将が増えているのだ。
稀代の英傑、ベル=リミナリーはいなくなった。
あの戦いは鮮明に覚えている。ベルとショボンの、正面からのぶつかり合い。
男と男が、誇りをかけていた。遠く離れた二人が、言葉でなく、武で語り合っていた。
武人の真髄すら感じた戦いだった。
- 87 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 17:25:08.13 ID:794ZpdwB0
- ベルの遺体はラウンジに送った。
ラウンジでは国葬が行われるという。ベルの功績を考えれば、当然だった。
あの大国を実質ひとりで築き上げたのだ。軍事にも政事にも精通していなければ為し得ないことだ。
あれほどの武将は、そう現れるものではない。
そのベルがいなくなったラウンジは、まだ体制を整えている段階だ。
今年中は戦を控えるだろう。ヴィップ国のジョルジュも戦をしかける様子はなかった。
ベルの死去で軍内が揺らいでいるのではないか、と思い謀略は仕掛けてみた。
だが思った以上にしっかりしており、とても成功する気配はなかった。
今のところは、アルタイムが上手くやっているようだ。
( ゚д゚)(……今はラウンジよりヴィップだな……)
シア城とリン城に拠っているヴィップ軍は、動きを見せない。
このまま撤退してくれればありがたいが、そうもいかないだろう。
一度は必ず攻めてくるはずだ。
野戦に応じるつもりはなかった。
ショボンを真正面から打ち破りたい気持ちはあるが、今は国益を考えるときだ。
五万の兵を有している。野戦で勝つ自信もあるが、耐えなければならない。
城に篭りさえすれば、ヴィップは何もできない。城を囲めるはずはないのだ。
やがて雨季に突入する。そうなれば、撤退は必然だ。
( ゚д゚)(……シア城とリン城をあっさり奪われたときは多少焦ったが……これなら、大丈夫か)
油断しているわけではないが、不安要素は少ない戦だ。
落ち着いて展開させれば、損害もなくシャッフル城は守れるだろう。
- 92 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 17:28:43.99 ID:794ZpdwB0
- ヴィップがシア城とリン城をどうするかはまだ分からないが、奪還する必要がある。
本軍の撤退がエヴァ城までだったとしても、あの二城なら救援させる間もなく落とせる自信があった。
防衛には向いていないのだ。
( ゚д゚)(しかし、いくら防衛に適していないとは言え……落とされるのが早すぎたな)
あの守将に不安を抱かなかったわけではなかった。
ギム、ラッドという二人の少尉を、育てる意味で抜擢したが、二人ともあっさり討ちとられている。
将来性があるとは思わなかったが、人材育成は急務なのだ。
多少無理なやり方でも成長させなければ、ヴィップ軍には対抗できない。
ラウンジはまだいい。アルタイムはそれほど怖い武将ではなく、期待されているのもカルリナ=ラーラスという将校だけだ。
しかしヴィップは違った。ショボン=ルージアルを筆頭に、モララー=アブレイユ、ギコ=ロワードといった若手がいる。
シャナ城を守っているビロード=フィラデルフィアや、入軍僅か半年で中尉のブーン=トロッソなど、期待の武将が多すぎるのだ。
初陣でシア城奪取の指揮を執ったドクオ=オルルッドなどの名も聞く。羨ましいとさえミルナは思った。
オオカミ軍も積極的に若手を将校に引き上げているが、成果は芳しくない。
見る目がないのだろうか。そんな不安に陥ることもたびたびあった。
他の将校に意見を求めたりもするが、実績しか見ていない者が多すぎる。
人柄や性格を見ようと思っても、兵が多すぎてとても眼が届かないのだ。
そういった点では、東と西に分かれているヴィップは上手くやっている、ということなのだろう。
極力、自分で接して将校に引き上げるようにしているが、充分でないのは事実だった。
《 ´_‥`》「ミルナ大将、また考え事ですか?」
- 96 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 17:33:34.83 ID:794ZpdwB0
- 鼻孔を膨らませながら、ドラル=オクボーン中将が側に寄ってきた。
間の抜けた顔つきで、猿か豚のようだと最初見たときに思った。
齢が重なるにつれ皺が増えたことにより、最近は猿のほうに近づいているかも知れない。
( ゚д゚)「……まぁな。何か用か?」
《 ´_‥`》「いい景色ですね〜」
あくまで自分のペースを貫くのが、ドラルの特徴だった。
他人に流されることは決してない。戦ではそれも大事なことだ。
だが、苛立たされることもしばしばあった。
| `゚ -゚|「軍議は行わないのですか、ミルナ大将」
今度はフィル=ブラウニー中将だ。
精悍な顔立ちと軍内屈指の長身を持っており、好色だった。
部屋にため込んでいる女の数は本人も記憶していないという。
( ゚д゚)「今日はやらん。明日の朝だ」
| `゚ -゚|「そうですか。では失礼します」
言い終わらないうちに背を向けて、立ち去って行った。
恐らく、ドラルがこの場にいることが、耐えられないのだろう。
- 100 : ジャーナリスト(三重県):2007/03/21(水) 17:36:27.97 ID:794ZpdwB0
- オオカミ軍の頂点に立つ、ミルナ=クォッチ。
そしてそれを支える四人の中将。
この戦で抱えている不安といえば、その四中将くらいのものだった。
第24話 終わり
〜to be continued
戻る