204 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:11:55.44 ID:qv7FYyCB0
〜東塔の兵〜

●( ^ω^) ブーン=トロッソ
19歳 少尉
使用可能アルファベット:I
現在地:荒野

●('A`) ドクオ=オルルッド
19歳 新兵
使用可能アルファベット:C
現在地:ヴィップ城

●(´・ω・`) ショボン=ルージアル
29歳 大将
使用可能アルファベット:T
現在地:ヴィップ城

●( ・∀・) モララー=アブレイユ
24歳 中将
使用可能アルファベット:R
現在地:エヴァ城

●( ,,゚Д゚) ギコ=ロワード
27歳 少将
使用可能アルファベット:?
現在地:ヴィップ城

205 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:12:57.27 ID:qv7FYyCB0
●( ^Д^) プギャー=アリスト
25歳 大尉
使用可能アルファベット:L
現在地:ヴィップ城

●( ><) ビロード=フィラデルフィア
22歳 少尉
使用可能アルファベット:?
現在地:シャナ城

●(=゚ω゚)ノ イヨウ=クライスラー
28歳 中尉
使用可能アルファベット:?
現在地:ヴィップ城

●( ´∀`) モナー=パグリアーロ
44歳 中将
使用可能アルファベット:?
現在地:パニポニ城
211 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:14:42.96 ID:qv7FYyCB0
〜西塔の兵〜

●( ゚∀゚) ジョルジュ=ラダビノード
34歳 大将
使用可能アルファベット:S
現在地:ヒグラシ城

●<ヽ`∀´> ニダー=ラングラー
35歳 中将
使用可能アルファベット:?
現在地:ヒグラシ城

●(-_-) ヒッキー=ヘンダーソン
38歳 大尉
使用可能アルファベット:N
現在地:ヒグラシ城

●ミ,,゚Д゚彡 フサギコ=エヴィス
31歳 少将
使用可能アルファベット:?
現在地:ヒグラシ城
215 :階級表 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:15:35.99 ID:qv7FYyCB0
〜東塔〜

大将:ショボン
中将:モララー/モナー
少将:ギコ

大尉:プギャー/シラネーヨ
中尉:イヨウ
少尉:ブーン/ビロード


〜西塔〜

大将:ジョルジュ
中将:ニダー
少将:フサギコ

大尉:ヒッキー
中尉:ビコーズ
少尉:
219 :使用アルファベット一覧 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:16:30.00 ID:qv7FYyCB0
A:
B:
C:ドクオ
D:
E:
F:
G:
H:
I:ブーン
J:
K:
L:プギャー
M:
N:ヒッキー
O:
P:
Q:
R:モララー
S:ジョルジュ
T:ショボン
U:
V:
W:
X:
Y:
Z:

222 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:19:52.56 ID:qv7FYyCB0
【第16話 : Suffer】

――ヒグラシ城・中庭――

 血の匂いが強まっていた。
  _
( ゚∀゚)「はぁっ!!」

 左右に振られるS。
 容赦なく射込まれるFを、的確に斬り砕いていく。
 Dから放たれるFは高速だが、ジョルジュにははっきり見えているようだ。

 Nの中心を捻り、分離させた。
 両手に持って構え、ヒッキーは自分に向かってくるFを叩き落とす。
 だが、それができる者ばかりではない。

 体にFが何本も突き刺さり、倒れていく何人もの兵たち。
 後方にいたG隊が前に出てFを防ぐ。しかし、全ては庇いきれない。
 ラウンジ軍の兵が、徐々に散開していくのが見えた。包囲を強化するつもりだろう。
 それを止める手立てが、何もない。

 後方のG隊が前に出たことで、背後を守るものは何もなくなっていた。
 ラウンジのI隊が、突進してくる。ヴィップ側は、H隊だ。
 HとIは一つ違いだが、リーチに圧倒的な差があり、Hの不利は否めなかった。

 鋭い突きに抗えず、膝を折るヴィップ兵。
 中庭の芝生が、緑から赤へと移ろう。
 前方の敵軍D隊は、間断なくFを射ちつづけてくる。
231 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:23:18.92 ID:qv7FYyCB0
 ただひたすら、ヴィップの兵が倒れていく。
 視界が、薄暗くなった。絶望に染められたのか、と思った。
 しかし、そうではなかった。

 後方のI隊が身を引いている。そして、上空から投じられた、巨大な岩。
 視界を暗くしていたものの正体が、わかった。

 そして、同時に砕け散った。
  _
( ゚∀゚)「アルファベットで来いよ、アルタイム」

 ジョルジュが軽く跳躍して、岩を斬り砕いていた。
 そのアルファベットの切っ先は、アルタイムの喉元に向いている。
  _
( ゚∀゚)「大将同士の一騎打ち。負けたほうの国軍に大打撃だ。興奮しねぇか?」

(`・ι・´)「……口車に乗せられるような男だと思うか?」
  _
( ゚∀゚)「打算なんて下らねーもんは、どーでもいいんだ。
     お前をジョルジュ=ラダビノードにとって最後の相手にしてやる。喜べよ」

(`・ι・´)「相変わらず、不遜だけが立派な男だな」

 アルタイムが、前に出た。
 D隊は手を下している。ラウンジの兵すべてが、動きを止めていた。
 ヴィップ軍も、静まり返っている。
240 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:26:55.60 ID:qv7FYyCB0
(`・ι・´)「武人はみな、最後を戦場で迎え、最高の相手で終わらせたいものだ。
     いいだろう、ジョルジュ=ラダビノード。お前にとって、私が最後の相手だ」
  _
( ゚∀゚)「お心遣いに感謝するぜ」

 互いに、歩み寄る。
 空に浮かぶ半月の光が、二つのSを輝かせた。
 その輝きも、邂逅に向かう。

 二人が、足を止めた。
 およそ三歩。それが、互いにとって安全な間合いだった。
 あと半歩でも踏み込めば、二つのSは接することになる。

 しばらくの静寂が流れた。
 息詰まるような、膠着。高みでの、図り合いだ。

 不意に、閃光が走った。
 金属音が響いたのは、そのあとだ。
 ジョルジュの左足が、一歩踏み出されている。アルタイムも、同じく。
 打ち合っていた。

 一合目は、正面からの一撃。火花が散るような強烈なる衝突。
 そして、二合目。
 ジョルジュがSを横に払う。アルタイムはそれを受け止めた。
 互いのSが、絡み合う形になっている。
 力が拮抗しているのだ。全力同士で、微動だにしない。
 何も知らなければ、互いに全く力をこめていないのではないか、と思えるほどに。
245 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:30:43.95 ID:qv7FYyCB0
 刃が弾かれた。すぐさま、三合目。
 アルタイムが、ジョルジュの眼前に迫る。右腕に、密着した。
 ジョルジュは反応が一瞬遅れている。アルファベットを、出しにくくなっている。
 アルタイムのSが、的確にジョルジュの首筋を狙った。
 咄嗟に後方へ重心を傾け、ジョルジュはそれを躱す。
 だが、体勢は崩れていた。

 アルタイムが、馳走に飛びつくようにして、ジョルジュを襲った。
 ジョルジュは後ろへと傾いていく。不十分すぎる体勢だ。

 しかし、二人は離れた。
 跳ね上がるように、アルタイムの顔が吹き飛ばされ、後ろに倒れこむ。
 倒れざま、ジョルジュは右足でアルタイムの顎を蹴飛ばしていた。

 双方、背から倒れ込み、すぐさま起き上がる。
 微妙な間合いがあった。やはり、三歩程度だ。
 二人の微かな息遣いすら聞こえてくるほど、場は静まりかえっている。
 この一騎打ちに、見入っている。

 半月が薄雲で陰り、アルファベットの輝きが消える。
 四合目に、入る。

 その寸前だった。
251 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:34:51.78 ID:qv7FYyCB0
 後方から上がる、雄叫び。
 ラウンジのI隊が動いたのか、と思った。
 そして、間違いではなかった。ただし、自発的ではない。
 動かされた。倒されたのだ。

 外にいたヴィップの軍が、城内へと侵入していた。

 押し寄せるヴィップ軍に抗えず、波にのまれていくラウンジの兵。
 アルタイムの表情に、焦りが見えた。

(;`・ι・´)「くっ……どういうことだ……援軍と戦っているはずだろう……」
  _
( ゚∀゚)「一時は死を覚悟したが……どうやら、まだ生きられるみてーだな」

 二人が距離を取り、アルタイムはラウンジ兵の影に身を引いた。
 威勢はいいが、どこか臆病さを隠しきれない武将だ。

 今回、一騎打ちを受けたのも、アルタイムが負けそうになったらラウンジのD隊がすぐFを射る準備をしていたからだろう。
 そうすればアルタイムが負けることはなく、ジョルジュを討ちとるのは確実になる。
 ジョルジュもそれは分かっていたようだ。死を覚悟で、Fを射られる前に、アルタイムを討ちとるという賭けに出たのだろう。

 しかし、ヴィップ側の兵が城内に入ったことで、アルタイムの目論見は崩れた。
 今はヴィップ側にもD隊が控えている。一騎打ちどころではなくなったのだ。
254 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:39:14.16 ID:qv7FYyCB0
 ラウンジの兵は、すぐに後退しはじめた。城の守りを固めるつもりだろう。
 一万の援軍が到着した場合、数ではラウンジのほうが上回るが、今回の目的はジョルジュだったはずだ。
 そのジョルジュを討ちとるのは、難しくなった。戦いの継続は無益、と判断したようだ。
  _
( ゚∀゚)「軍を退くぞ。ハルヒ城に引き返す」

 ジョルジュの声は静かで、兵に落ち着きを与えてくれた。


――二刻後――

――牢乎の森付近――

 退却に手間取ることはなかった。
 ラウンジはヒグラシ城の確保に躍起になっており、ヴィップ軍にアルファベットを向けてこなかったからだ。
 互いに相当の被害を受けることを覚悟して戦うか、ヒグラシ城を守るか。ラウンジは二択を迫られたはずだ。
 後者をとったのは、アルタイムらしい選択と言えた。

( ゚∀゚)「負けちまったな」

 ジョルジュが呟いた。
 馬に跨って、ハルヒ城に向かっている。鬱蒼とした牢乎の森は声もない。

(-_-)「……しかし、生きています」

( ゚∀゚)「あぁ……犠牲は少なくないが、大将は生きている。まだ、本当の負けじゃない」

 決して強がっているわけではない、と分かった。
 ジョルジュの言葉には、冷静さがこもっている。
261 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:43:00.36 ID:qv7FYyCB0
(-_-)「一万の援軍が遅れたのが、幸いでしたね」

( ゚∀゚)「あぁ。まだはっきり分からんが、進軍中にパニポニ城のヴィップ軍とぶつかったそうだ。
     おかげで、ヒグラシ城外のヴィップ軍が城に入れた。かなり運に恵まれたな」

 ヒグラシ城外では、フサギコが奮戦したという。
 城門が閉じてすぐ、サラナ=ショートニングと、それを引っ立ててきた二人の首を刎ねた。
 フサギコは直感型の武将だ。城門が閉じた意味を、すぐに理解したのだろう。
 三人の首を刎ねたのは、最上の判断だった。

 そのあと、偽りの裏切りを見せてきた数百のラウンジ兵を殲滅し、城門を突き破ったという。
 ニダーなど右往左往していただけで、おまけに浅くない怪我まで負っているらしい。
 どちらが中将で、どちらか少将か分からない、と思った。

( ゚∀゚)「負けは、負けだ。しかし、本当の負けじゃない。今後に活かせる、負けだ。
     今回は、完全に俺の判断ミスだ。責任は取る。だが、戦はやめない」

 ジョルジュが、再び呟いた。
 自分に言い聞かせているようだった。

( ゚∀゚)「次は、必ず奪る」

 馬蹄の跡が、地に点々と残っている。
 後ろからついてきている歩兵に、その跡が少しずつかき消されていった。
 やがて、蹄の跡は消えてなくなるだろう。
267 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:46:50.22 ID:qv7FYyCB0
――翌日――

――パニポニ城――

 ただ、頭を下げられた。

(;´∀`)「本当に申し訳ありません……全て、私の責任です」

 一万のラウンジ軍は、ヒグラシ城に向かっていた援軍だった。
 ラウンジ軍も想定外だったのだろう。まだ情報が整理されていないが、ヒグラシ城への到着が遅れたらしい。

 ジョルジュは昨晩、ヒグラシ城を攻めた。
 しかし偽計を受け、討ち死に寸前まで追い込まれたという。
 命拾いしたのは、ブーン少尉が援軍と戦ったおかげだ、と言われた。
 嬉しさは、欠片もなかった。

(メメ ω )「全く気付かなかったんですかお? ギフト城の動向に注視していた、モナー中将が。
     間者を紛れ込ませていたはずですお。一万なんて大軍、進軍準備をするだけで気付くはずですお」

(;´∀`)「その間者が、ラウンジの手先だったようです」

 全身の傷には手当を受けた。
 肩に刺さったFを抜くのに、傷口を切り開いた。激甚の痛みだったが、声もなく耐えた。
 昨日、死んでいった兵たちは、更なる痛みを受けて死に至ったのだ。
 生き延びた自分が、声を出して痛がることなど、許されない気がした。

(;´∀`)「ギフト城には五人の間者を紛れ込ませていました。そのうち、四人がラウンジに寝返っていました。
     残りの一人が大急ぎで教えてくれたのですが、既に遅く……」

(メメ ω )「すぐに救援を出さなかったのは、何故ですお?」
272 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:50:59.76 ID:qv7FYyCB0
(;´∀`)「残る一人の間者も、ラウンジに寝返っているのではないか、と疑いました。
     嘘の報告である可能性を拭いきれませんでした。もし嘘なら、パニポニ城はかなり危険な状態に陥ります。
     情報の真偽を確かめるのに時間がかかってしまい……」

 相変わらず、筋だけは通っている。
 それが、余計に白々しさを際立たせているように思えた。

(;´∀`)「ジョルジュ大将も、敵の裏切りを易々と信じてしまったばかりに、此度のような敗戦を受けてしまいました。
     戦では疑うことが大事です。でないと、騙し討ちにあってしまいます」

(メメ ω )「すみませんお、ちょっと眠くなってきたので一人にしておいて下さいお」

 寝床で毛布をかぶって、顔を背けた。
 こんな正当化に、付き合っていられるか。そう思った。

 しばらくの後に、部屋の扉が一度開き、閉まる音が聞こえた。


――二十日後――

 ブーンの傷はほぼ塞がっていた。
 モナーが部下数十名に命令して、オオカミ領の山中にある薬草を取りに行かせたのだという。
 南西にある山には様々な効果のある薬草が繁茂していて、医療大国オオカミを支えている。
 その薬草は噂通り、効き目抜群だった。
 出血が酷く、一時は意識不明の状態にまで陥ったフィレンクトも、歩き回れるまでに回復している。
 あと十日もすれば、この城から出立できるはずだ。
281 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:54:49.39 ID:qv7FYyCB0
 モナーはあらゆる装備を整えてくれた。
 具足やアルファベットだけでなく、失った馬もだ。
 戦場で馬を回収できれば良かったのだが、そんな余裕はどこにもなく、手元に残った馬は八百程度だった。

 先日の戦いで生き残った一千は、ほぼ全員が怪我で満足に動けない状況だった。
 馬は三日も放置しておくと、走らなくなってしまう。一千が動けない間、馬を走らせてくれたのもモナーの部下だ。

 感謝の気持ちはほとんどなかった。それくらい、当然だと思った。


 五日後には、一千全員でイチジョー山から下山した。
 レベッカ城に入り、馬に跨る。しばらく乗っていなかったので、慣らさなければならなかった。
 それを数日こなして、ようやく出発準備は整った。

(;´∀`)「ショボン大将には、いかなる処分も受け入れますと伝えました。
     このようなことが二度とないよう、私も今まで以上に」

( ^ω^)「モナー中将」

 平静を装えている。
 いつも通りの表情だ。これでいい、と思った。

( ^ω^)「今度は共に戦えるよう、"怪我の完治を"、待ち望んでいますお」

 モナーは俯いて、何も言わなかった。ただ、そこに立ち尽くしていた。

 進発、と静かに声を出して、一千の騎馬隊が駆けだす。
 冷やかな風が全身にぶつかった。
288 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 21:59:26.07 ID:qv7FYyCB0
――平原――

 速度はあまり出ていなかった。
 急いで帰る必要はない。風景を楽しみながら、ゆっくり帰ればいい。
 それくらいは、許されるはずだ。

 来光が東から射して、平原の草についた霜を輝かせる。
 馬の蹄がそれを踏みしめ、軋むような独特の音を立てた。

 手綱を一度軽く引くと、朔風が強まったように感じた。
 しかし、冬日は全身に仄かな暖かみを与えてくれる。
 近くに見える小さな農村では、農民が鍬を持って営みに励んでいた。
 悴む手に吐きかける息は白く染まっているのだろう。

 農民が騎馬隊の動きに気づき、しばらく見続けていた。
 反応は見せずに、ただ駆けた。極力、一般民と接すべきではない、とはショボンの言葉だ。
 国軍兵士は、高みにいなければならないのだ、という。

 触れがたい存在であるからこそ、尊敬の念が強まる。
 そうでなければ民は敗戦のたびに不満を噴出させ、税の納付を渋ったりするのだという。
 国家の運営には均衡が必要だ。それが崩れれば、滅亡に繋がる。

 しかし、その国軍兵士が、戦うことに惑いを抱いたとしたら。

(  ω )(……いったい、何を信じればいいんだお……)
298 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 22:03:34.02 ID:qv7FYyCB0
 ジョルジュ、ドクオ、モナー。
 信じるべき仲間が、皆、霞んで見える。
 これから先、どうやって戦っていけばいいのか。
 何のために、戦っていけばいいのか。

 何も、分からなくなっていた。

 いったい、どこへ向かえばいい。
 誰とともに、どう歩めばいい。

 答えを見つけなければならない。しかし、見つかる気がしない。
 視界が揺らぐ。情景がぼやける。

 今、進んでいる方向は、正しいのか。
 それとも、間違っているのか。
 どちらでもないのではないか、とすら思える。

 ほとんど前を見ないまま、ただ呆然と、進んでいた。

(‘_L’)「……ブーン少尉?」
307 :第16話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/25(日) 22:07:15.16 ID:qv7FYyCB0
 風は尚も冷たい。無情だと思える速度で、通り過ぎて行く。
 耳には声が残った。風の声だ。
 何と言っているのか、知ろうとした。だが、分かるはずもなかった。

(;‘_L’)「ブーン少尉、そちらはヴィップ城の方向ではありませ……少尉、少尉!?」

 手綱を引いた。
 馬の歩幅が広がる。風は更に強まったようだった。













 第16話 終わり

     〜to be continued

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