2 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 18:20:17.10 ID:xK3z9yof0
〜東塔の兵〜

●( ^ω^) ブーン=トロッソ
19歳 少尉
使用可能アルファベット:I
現在地:荒野

●('A`) ドクオ=オルルッド
19歳 新兵
使用可能アルファベット:C
現在地:ヴィップ城

●(´・ω・`) ショボン=ルージアル
29歳 大将
使用可能アルファベット:T
現在地:ヴィップ城

●( ・∀・) モララー=アブレイユ
24歳 中将
使用可能アルファベット:R
現在地:エヴァ城

●( ,,゚Д゚) ギコ=ロワード
27歳 少将
使用可能アルファベット:?
現在地:ヴィップ城
4 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 18:21:07.03 ID:xK3z9yof0
●( ^Д^) プギャー=アリスト
25歳 大尉
使用可能アルファベット:L
現在地:ヴィップ城

●( ><) ビロード=フィラデルフィア
22歳 少尉
使用可能アルファベット:?
現在地:シャナ城

●(=゚ω゚)ノ イヨウ=クライスラー
28歳 中尉
使用可能アルファベット:?
現在地:ヴィップ城

●( ´∀`) モナー=パグリアーロ
44歳 中将
使用可能アルファベット:?
現在地:パニポニ城
7 :登場人物 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 18:22:15.52 ID:xK3z9yof0
〜西塔の兵〜

●( ゚∀゚) ジョルジュ=ラダビノード
34歳 大将
使用可能アルファベット:S
現在地:ハルヒ城

●<ヽ`∀´> ニダー=ラングラー
35歳 中将
使用可能アルファベット:?
現在地:ハルヒ城

●(-_-) ヒッキー=ヘンダーソン
38歳 大尉
使用可能アルファベット:N
現在地:ハルヒ城

●ミ,,゚Д゚彡 フサギコ=エヴィス
31歳 少将
使用可能アルファベット:?
現在地:ハルヒ城

8 :階級表 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 18:23:30.38 ID:xK3z9yof0
〜東塔〜

大将:ショボン
中将:モララー/モナー
少将:ギコ

大尉:プギャー/シラネーヨ
中尉:イヨウ
少尉:ブーン/ビロード


〜西塔〜

大将:ジョルジュ
中将:ニダー
少将:フサギコ

大尉:ヒッキー
中尉:ビコーズ
少尉:
14 :使用アルファベット一覧 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 18:25:19.53 ID:xK3z9yof0
A:
B:
C:ドクオ
D:
E:
F:
G:
H:
I:ブーン
J:
K:
L:プギャー
M:
N:ヒッキー
O:
P:
Q:
R:モララー
S:ジョルジュ
T:ショボン
U:
V:
W:
X:
Y:
Z:

17 :第15話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 18:27:41.14 ID:xK3z9yof0
【第15話 : Wrath】


――荒野――

 何千もの馬に踏み締められ、大地がその身を揺らす。
 兵の顔や具足を赤く照らす太陽は沈みゆく。この戦いを、見届けることもなく。

 灰と朱の入り混じった空を貫くのは馬蹄の音。
 そして、アルファベットの輝き。

 敵軍の先頭は、騎馬隊。携えるアルファベットは全てGだ。
 防御に回られると辛いが、いなして突っ切るしかなかった。

 冷たい風が吹き荒れる。
 砂塵がラウンジ軍を霞ませた。しかしすぐ、鮮明な姿に戻る。
 夢幻ではないのだ、と改めて実感し、肌には粟が生じた。

 怯むな、とにかくアルファベットを突き出せ。
 自分に言い聞かせるように、ヴィップの騎馬隊に向けて叫んだ。
 限界まで奮い立ってくれなければ、この大軍を突っ切って逃げるのは不可能だ。

 四半里。
 衝突、寸前の距離だ。

 咆哮を上げた。

 喉の奥から、胸の奥から吐き出した雄叫びを、アルファベットの勢いに、乗せる。
 ラウンジ軍の兵と、ぶつかった。
19 :第15話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 18:31:13.23 ID:xK3z9yof0
 Gで攻撃を防いできた敵兵を、力任せに馬から叩き落とす。
 ラウンジ軍の後続が、その兵に足を取られて乱れた。

 更に後ろの騎馬兵の、馬に一撃を加える。
 緑色の馬が棹立ちになって暴れた。周りの兵が、混乱している。

 入口は、切り開けた。

 次々と、敵兵にアルファベットを向けていく。
 極力、馬から落とすようにした。そのほうが敵勢を乱せる。
 後ろを振り返る余裕はない。しかし、士気の高さは前まで伝わってくる。
 フィレンクトは隣にいた。果敢にアルファベットを出しつづけている。

 敵の騎馬隊は完全に浮足立っていた。
 相手も二千程度だろうが、アルファベットのランクと士気にはっきりした違いがある。
 無心でアルファベットを振りつづけた。
 敵軍は、攻撃に向いているとは言えないGである以上、攻撃を防ぐことしかできないようだった。

 敵兵の首筋を切り裂き、薙ぎ倒す。
 そして騎馬隊の群れを、抜けた。

 瞬間、視界に飛び込んできたのは、Fを引き絞るD隊。
 全身の、血の気が引いた。

(;`ω´)「止まるおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――――――――――!!!!!」

 腹の底から叫んだが、遅すぎた。
21 :第15話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 18:34:45.34 ID:xK3z9yof0
 放たれるF。
 敵も、しっかりした隊を組んでいる余裕はなかったはずだ。
 しかし、騎馬隊には辛すぎる数だった。

 左手で手綱を強烈に引き、Fを斬り砕いた。
 速射はされない。手前に向けて、もう一度手綱を引いた。
 馬が前足を一瞬浮かせて、勢いよく駆け出す。
 後続も、しっかりついてきている。

 D隊がFを射るまでに、攻撃できれば。
 そう思ったが、距離は充分にあった。
 あまりに、遠すぎた。

 第二撃が、容赦なく射ち込まれる。
 Iを伸ばして攻撃を防ぐも、数が多すぎた。

 ブーンの馬の胸に刺さり、嘶きを撒き散らして暴れまわる。

(;^ω^)「おおおおおおぉっ!!」

 世界が傾いた。そして、全身に衝撃。
 馬が倒れこんでいる。自分もだ。
 すぐに跳ね起きて、駆けた。静止していられる余裕などどこにもない。

 ヴィップの騎馬隊も、次々に馬を失っていく。
 倒れこみ、そのまま動かないヴィップの兵たち。
 大地の一部が赤く染まっている。
23 :第15話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 18:38:28.67 ID:xK3z9yof0
 声にならない声が、微かな呻きとして口から零れた。
 土に塗れた身は重い。それでも、駆けた。
 敵軍に向かって。

 D隊はFを構えるのに手間取っている。
 全力で駆け、そしてIを振るった。
 Fを右手から落としたD兵の首が舞い上がる。

 後ろから来たヴィップの兵が続々、D隊を討ちとっていく。
 D隊が並んでいる以上、その後ろにいるラウンジの歩兵はこちらに手を出せない。
 無我夢中だった。とにかく、敵兵に向かってアルファベットを振りつづけた。

 後ろの歩兵はH隊。
 リーチで考えれば圧倒的に有利だが、G隊よりもはるかに手ごわい相手だ。

 だからなんだ。相手が誰であろうと、打ち破るだけだ。
 そう言い聞かせて、血だらけの足を踏ん張らせて駆ける。

 斧のようなアルファベットHを、敵兵が薙ぐようにして振るった。
 しかしこちらには届かない。首筋を切り裂いた。

 全滅の危機に瀕しているとは思えないほど、士気が高い。
 明らかにラウンジ軍のほうが気圧されている。
 勝てる。逃げ切れる。このままなら、いける。

 そう確信した、瞬間だった。
25 :第15話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 18:42:35.44 ID:xK3z9yof0
 ヴィップ軍の両横に出現したI隊。
 ラウンジ軍だった。

 三方向、いや、突破してきたD隊や騎馬隊も含めれば、四方向。
 囲まれた。

 思わず、右手からアルファベットを離しかけた。
 しかと握りしめるも、眩む視界はどうしようもない。
 完全に、やられた。相手は五倍の兵を有している。囲むなど、最初から簡単だったのだ。

 眼前のH兵の、首を刎ねた。
 これが、最後の一撃かも知れない。そんな感傷的な思いを、わずかに抱きながら。

 しかし、両横にいたI隊が、何故か消えた。

(メメ;^ω^)「……え……?」

 気づけば、I隊は背後にいた。
 挟撃ではない。I隊は、徐々に遠ざかっていく。

 目の前のH隊も、隊を乱しながらI隊のあとを追う。
 全く気にしていなかったが、最初に当たった騎馬隊など、微かに後姿が見える程度まで遠ざかっている。

(メメ;^ω^)「な、なんでだお……?」

 一万の敵のほうが、逃げていく。
 何故、この二千を殲滅しなかったのか。何故、余力を残しながら戦いをやめたのか。

26 :第15話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 18:46:15.18 ID:xK3z9yof0
 分からないことばかりだったが、今はどうでもよかった。
 生き延びた。絶望の淵に触れながら、それでも全滅はしなかった。

(メメメメメ;‘_L’)「ご無事でしたか、ブーン少尉」

 左腕を押さえながら、フィレンクトが歩み寄ってきた。
 夏場の汗のような血が、左腕から流れている。
 胴体の傷も、浅くはないようだった。

(メメメメメ;‘_L’)「矢傷は、大丈夫ですか?」

(メメ;^ω^)「え?」

 言われて、初めて左肩に刺さったFに気づいた。
 かなり食い込んでいる。力任せに引っ張っても、抜けないだろう。
 傷口を切り開くしかなさそうだった。

(メメ;^ω^)「……犠牲は……」

 フィレンクトが俯いた。
 ブーン自身も、あまり知りたくなかった。ただ、視界と脳が、半数程度と告げてくる。
 全身が、悔しさで震えた。

 何故こんなことになった。
 怒りと疑いのぶつけどころは、一つしか見つからない。
 責めるべき人間は、一人しか思い当たらない。

 とにかく今は、パニポニ城まで帰還することだった。
29 :第15話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 18:49:49.41 ID:xK3z9yof0
 傷が浅く元気な者を一人選び、パニポニ城まで先に駆けさせた。
 馬を多く失っている。救援が必要だった。

(メメ;^ω^)「……みんな、よく戦ってくれたお……」

 小さい呟きだったが、近くの兵には聞こえたようだった。
 その言葉を聞いて、涙を流す者が、何人かいた。

 三千と聞かされていた敵兵が、一万だったのだ。
 怒りや悔しさは、言葉にされなくても全身に伝わってきた。

 皆の万感の思いは、必ずパニポニ城で全てぶつけてやる。
 そう誓って、脚を引きずりながら歩き出した。



――同刻――

――牢乎の森付近――

 夕日が姿を消し、空は表情を暗くした。
 牢乎の森が風に吹かれてざわめく。
 木の葉が擦れる音で、ヒッキーは不思議と心が落ち着いた。

 静かに、しかし確実に、戦の準備が整えられている。
 それも、明日に向けての準備ではない。
 夜襲だった。
32 :第15話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 18:53:22.81 ID:xK3z9yof0
 十日後に攻める、と九日前に発表したとき、おかしいと感じた。
 攻める日付を公表する意味は薄い。軍内に間者が入り込んでいることは明白なのだ。
 発表してすぐ、ラウンジに伝わることは免れない。

 本当に十日後に攻めるのか、と疑っていたが、予想通りジョルジュは前夜に奇襲することを密に明かした。
 さすがにラウンジも警戒しているだろう。しかし、普通に攻めるよりは効果的なのだ。
 経験の豊富なジョルジュらしい策だとヒッキーは思った。

 だが、不安がないわけではなかった。
 ヒグラシ城をいま守っているのは、八千。こちらは攻めに一万五千は使える。
 しかし、城を囲むほどの余裕はない。

 ジョルジュの攻めの手が、分からないのだ。
 敵に露見することを恐れてか、大尉である自分にも伝わっていない。
 ニダーですら知らないのではないか、と思えるほど徹底した秘匿ぶりだった。

(-_-)(……ジョルジュ大将の指令は、城内に入って敵を殲滅しろ、だったな……)

 粛々と進軍していた。この動きは、いずれラウンジにも伝わるだろう。
 当然、ヒグラシ城の門は閉じているはずだ。
 勝手に開くはずもない。いったい、どうやって城内に入れというのか。

 しかし、ジョルジュが入れと言った。
 ならば、城門は勝手に開くのだろう。ジョルジュはそういう武将だった。
 方法は思い浮かばないが、信じるしかなかった。
36 :第15話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 18:56:50.44 ID:xK3z9yof0
 ジョルジュ=ラダビノードという人物を、どう評していいのか、十六年経っても分からずにいた。
 自分はジョルジュより前からヴィップ軍で戦っている。ジョルジュの動向は全て見てきた。
 たまたま西塔にいたからジョルジュの配下だが、ジョルジュを尊敬している、というわけでもなかった。
 ショボンにもジョルジュにも、肩入れはしていない。
 東西の争いも、自分には関係のないことだ、と思っている。

 だが、こうやって東と西が反発しあう状況を、良しとは考えていなかった。
 ニダーなどは互いに切磋琢磨していると言うが、どう見ても足の引っ張り合いだ。
 垣根が取り除かれて協力しあえば、今のヒグラシ城など難なく落とせるに違いなかった。

 ハンナバルのやり方を受け継いでいるジョルジュが、ショボンを嫌っているのはよく知っていた。
 ショボンも、ジョルジュのことを好いているとは言えない。嫌われている相手を好きになれないのは、仕方ないことだった。
 だが、皆が命をかけて戦をする。それを、束ねる立場なのだ。
 二人とも子供じみていた。

 自ら行動を起こして、この状況を改善しよう、などとは一度も考えたことがない。
 自分ができるようなことで改善されるなら、苦労はない。それほど深い問題なのだ。
 だが、他の誰かがもし名案を考えつき、他の者の協力を要した場合は、手を貸そうと思っていた。
 しかし、その気配も未だにない。

 やはり、今のまま様子を見るしかなかった。


 考え事をしている間に、ヒグラシ城まで二里の距離に迫っていた。
 進軍を停止し、隊を組みなおす。ヒグラシ城は、閑寂に包まれていた。

 続々とヴィップ軍がヒグラシ城に到着していた。
 さすがにラウンジも動きを見せるだろう、と思ったが、城からは一人も姿を現さない。
 普通は城壁に昇って様子を伺いに来る。だが、この静けさはなんなのだ。
38 :第15話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 19:01:20.70 ID:xK3z9yof0
 ジョルジュがいつの間にか、側に居た。
 この状況も、想定通りなのか、軽い笑みすら浮かべている。
 相変わらず、底の見えない人だ、と思った。

 一里進んで、ジョルジュが馬を降りた。ヒグラシ城には徒歩で入るつもりなのだろう。
 原野では強い機動力を持つ馬だが、城内ではそれも格段に落ちる。
 ヒッキーも馬を降りて、再びヒグラシ城を見据えた。

 一刻が過ぎた。
 ジョルジュはただ、城を眺めつづけている。
 何かを、待つかのように。

(-_-)(……待つ……?)

 はっとした。
 ジョルジュの策が、読めた。内応だ。
 ベルが死んで、ラウンジの軍内は揺らいでいる。
 このままで、やっていけるのか。そう不安に思っている兵が少なからずいる、とも聞いた。
 ヴィップに寝返ろうと考えた武将も、一人や二人ではないはずだ。
 ジョルジュは、そこを突いたのだ。

 ジョルジュの目が、大きく開いた。
 開け放たれる城門。縄を打たれて引っ張り出されてきたのは、ヒグラシ城の守将であるサラナ=ショートニング。
 その両脇を抱える二人が、内応者だろう。
 顔に見覚えはないが、携えるアルファベットはともにJだ。
 将校クラスだろう、と思った。

 同時に、城内から数百の兵が飛び出してきた。
 あれも、内応者のはずだ。戦う気配は見えない。
42 :第15話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 19:04:50.22 ID:xK3z9yof0
( ゚∀゚)「さぁ、殲滅戦といこうか」

 ジョルジュがアルファベットを天高く掲げ、駈け出した。
 追従して城内に入る。響き渡る怒号や喚声。
 明らかに混乱していた。
  _
( ゚∀゚)「殺し尽くせ!」

 左右に振られるS。逃げ惑う敵兵を一人、二人を討ちとっていく。
 城内に次々と入りこむヴィップ軍。既に三千は入ったはずだ。
 敵兵のほうがまだ多いが、統率の欠片もないこの状況なら、殲滅も容易いはずだ。

 アルファベットNを横に払った。
 Gで防ごうとしてきた敵兵の首が宙に浮く。眼は見開いたままだった。
 その首が地面に落ちる前に、違う敵兵の首を飛ばした。やはり、容易い。
 さすがジョルジュ、としか言いようがなかった。

 城壁沿いに突き進み、敵兵を討ちとる。
 屋内と城壁の間にある庭に、ラウンジの兵は多くいた。
 追いかけて、背中にアルファベットを突きたてる。
 ラウンジの兵は城外に出ること叶わず、むしろ城門からは遠ざかっていった。
 やがて、広々とした中庭に到達した。

 そのとき、破竹の勢いで進んでいたジョルジュが、不意に動きを止めた。
 寒気が走った。果敢に攻め続けるジョルジュが、静止したのだ。
 その理由は、すぐに分かった。

 城門の閉じる音が、大きく響き渡ったのだ。

(;゚∀゚)「……何だと……?」
47 :第15話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 19:08:50.42 ID:xK3z9yof0
(;-_-)「……いったい、どういう……」

 呟いた瞬間、すべてに、気づいてしまった。
 目の前に現れたのは、ここに居ないはずのラウンジ新大将、アルタイム。
 ずらりと並べられたD隊。振り返ればI隊。
 ジョルジュの右手から、汗が滴ったのが見えた。

(`・ι・´)「何もかも、策略通りだ」

 アルタイムはD隊の後ろにいた。
 低い声に、余裕と優越がこめられている。

(`・ι・´)「命を貰おう、ジョルジュ=ラダビノード。お前を討ちとれば、ヴィップの戦力は大幅に低下する。
     ラウンジの天下への道に、お前という障害は大きすぎるのだ」

 アルタイムがアルファベットの切っ先をジョルジュに向けた。
 ジョルジュと同じ、湾曲した刃を持するアルファベット、S。
 そして、城内のヴィップ軍は、数で劣っている。

 アルタイムがここまで完璧な策を立てられるとは、思えなかった。
 内応は偽計。ジョルジュを城内に誘き寄せ、退路を断って囲む。
 そのジョルジュを討ちとるために、並の将軍ではなく、アルタイムが直々に赴いている。

 ベルの策だ、と思った。
51 :第15話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 19:12:57.18 ID:xK3z9yof0
(`・ι・´)「一万を超える援軍がこちらに向かっている。城外のヴィップ軍も敗戦は必至だ。
     お前たちはもう、終わりだ」

 D隊が、Fを引き絞った。

 何か、何か策はないのか。
 焦れば焦るほど、何も浮かばなくなる。
 真っ白になる。

(  ∀ )「ヒッキー大尉」

 ジョルジュが静かな声を出した。
 期待が、膨らんだ。何か策を思いついたのか。
 続いて発された声も、やはり静かだった。

(  ∀ )「……すまねぇ、完璧に俺の読み負けだ……。
    俺は最後の一瞬まで戦い抜く……お前も、ともに戦ってくれ……」

 ジョルジュの右腕は、力なく垂れたままだった。

 何もかも、ベルにしてやられたのだ。
 策さえ言い残しておけば、アルタイムのような武将は確実に遂行する。
 完璧な、穴のない策。
 ジョルジュも、それを悟ったのだろう。
 諦念の浮かんだ顔が、すべてを物語っていた。
60 :第15話 ◆azwd/t2EpE :2007/02/24(土) 19:16:26.40 ID:xK3z9yof0
(`・ι・´)「放て」

 D隊から、一斉にFが放たれた。












 第15話 終わり

     〜to be continued

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