- 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/19(日) 23:35:10.77 ID:MZIt8wrL0
俺はドクオ。
何を隠そう、ドクオだ。
どのくらいドクオかって言うと、高校三年生で受験勉強をしないくらいドクオだ。
俺は、今日も元気に学校へ向かっていた。
朝日がすがすがすがしい。
あまりのすがすがすがしさに目を細めていると、声が聞こえた。
- 2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/19(日) 23:36:33.64 ID:MZIt8wrL0
「おい、そこの少年」
('A`;)「え!? え!?」
声は聞こえるのに姿が見えない。
「おい、俺が見えないのか?」
('A`;)「す、すみません! 見えないです!」
- 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/19(日) 23:37:39.02 ID:MZIt8wrL0
「しょうがない。ならば、心の目で見ろ」
('A`;)「こ、心の目ですか!?」
「そうだ。心眼だ。ハート・オブ・アイだ」
('A`;)「わ、わかりました」
声に従い、俺は目を閉じ心の目を見開いた。
「どうだ? 俺の姿が見えるだろう?」
('A`)「はい! 見えません!」
- 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/19(日) 23:38:40.66 ID:MZIt8wrL0
「そうか。ならば目を開けろ。そして地面を見るんだ」
('A`;)「あ、アースをですか? わかりました!」
俺は目を開けて、大地の息吹を感じた。
(´・ω・`)_ よう。はじめましてだな
/ / ヽ/
" ̄U ̄ ̄"U
そこには、マンホールにはまった男がいた。
- 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/19(日) 23:40:56.24 ID:MZIt8wrL0
('A`;)「えっと……は、はじめまして!」
(´・ω・`)「ああ。ナイストゥミーチュー」
('A`)(……なんて堪能な英語なんだ)
その男はマンホールにはまっていることなど不思議に思わせないほどの流暢な英語を使った。
思えば、俺はこの時からこの男に惚れていたのかもしれない。
- 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/19(日) 23:42:16.26 ID:MZIt8wrL0
('A`;)「ところであなたは何をなさっているのですか?」
(´・ω・`)「見てわからんか?」
('A`;)「えっと……わかりません」
(´・ω・`)「マンホールにはまっているんだ」
なるほど。確かにこの男はマンホールにはまっている。
どのくらいはまっているかというと、顔から下が見えないほどにドップリはまっている。
これ以上に自分の状況を的確に説明できる人間は、世界広しと言えどもこの男だけだろう。
- 22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/19(日) 23:43:43.03 ID:MZIt8wrL0
('A`)「なるほど。確かにあなたはマンホールにはまっていますね」
(´・ω・`)「ああ。君は頭の回転がはやいな。素晴らしい」
(*'A`)「いえ……そんな……」
俺は照れを隠し切れなかった。
マンホールにはまることなど通常ありえない。それを目の前の男は平然とやってのけている。
つまり、この男はただ者ではない。
そして俺はただ者ではない男に褒められたのだ。照れるなって言う方が無理だった。
(*'A`)「えっと……ありがとうございます!」
(´・ω・`)「気にするな。しかるべき事象にしかるべき賛辞の言葉を送る。それが俺の流儀だ」
マンホールから覗いた男の顔に、俺は真の男の生き様を見た。
- 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/19(日) 23:45:07.72 ID:MZIt8wrL0
('A`;)「それで、あなたはなんでマンホールにはまっているのですか?」
(´・ω・`)「聞きたいか?」
('A`;)「えっ!?」
(´・ω・`)「聞きたいのかと聞いている」
男の剣幕に俺はたじろいでしまった。
マンホールから顔だけを出す男の目は、俺に教えていた。
「それを聞けば、お前は引き返せなくなるぞ」と。
恐怖に身を包まれた俺は、知らず知らずのうちに叫んでいた。
('A`;)「シ、シンキングターイム!」
(´・ω・`)「認める!」
- 34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/19(日) 23:46:07.86 ID:MZIt8wrL0
俺は少しの猶予を貰い、そして熟考した。
ここで男にマンホールにはまったわけを聞けば、俺の平凡な生活はきっと終わってしまう。
朝一番に学校に行って、女子更衣室に忍び込んで下着を盗み、
授業中におなかが痛いと教室を抜け出しては女子便所の床で奇声を上げながら転げ周り、
学校から帰って、調達した下着を頭に被りアニメを見る、そんな平凡な日常が。
(´・ω・`)「……」
('A`;)「……」
ちらりと盗み見た男の目は、俺に向かってこう言っていた。
「そんな日常捨てちまえ!」
と。
- 38
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/19(日) 23:47:42.56 ID:MZIt8wrL0
('A`)(……ああ、そうだよな)
俺は空を仰いで、たじろいでいた自分を嘲りながらため息をついた。
平凡な日常は、いつかかならず姿を消す。
そして男なら非日常の世界に足を踏み入れなければならないときが必ず来る。
簡単なことだ。アニメが何度も教えてくれたじゃないか。
('A`)(来るべき日が来たってことか……)
もう、俺に迷いはなかった。
俺はマンホールの頭に土下座をして、叫んだ。
('A`)「俺に……俺にマンホールにはまったわけを教えてください!」
- 43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/19(日) 23:48:47.85 ID:MZIt8wrL0
(´・ω・`)「……いい目だ。まるでマグロのようにDHAが豊富な目だ」
(*'A`)「きょ、恐縮です!」
(´・ω・`)「じゃあ、尻の穴かっぽじって良く聞けよ?」
('A`;)「は、はい!」
俺はズボンを脱いで尻の穴をかっぽじった。あえぎ声が漏れた。
- 49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/19(日) 23:49:52.57 ID:MZIt8wrL0
(´・ω・`)「俺はこの近辺を歩いていた。すると、ふたの取れたマンホールがあった」
('A`;)(……ふたを開けっ放しにするとは、なんて怠慢な行政だ!)
俺は行政に対して怒りを覚えた。
('A`;)「そ、それで?」
(´・ω・`)「俺はマンホールにはまって抜けなくなった」
耳を疑った。
- 51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/19(日) 23:50:59.95 ID:MZIt8wrL0
('A`;)「そ、それはつまり、マンホールのふたが開いていたから入った、と?」
(´・ω・`)「その通りだ。昔からよく言うだろう?
『穴があったら入りたい』ってな。HAHAHA!」
('A`;)(穴があったら入りたいだと!?)
俺は恐怖に打ちひしがれ、恐れおののいた。
まさかこの言葉を実際に行動に移す人間がいるとは思わなかったからだ。
- 56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/19(日) 23:52:39.97 ID:MZIt8wrL0
昔、国語の授業で尊敬する荒巻先生は言った。
/ ,' 3「『穴があったら入りたい』
現在これはあまりの恥ずかしさに身を隠してしまいたい思いを表す際に用いられていますが、
実は隠された、もっと深い別の意味があるのです。
穴、つまり膣があったら挿入せずにはいられない。
アイ・キャント・ヘルプ・ドッキング・チツ。
そんな男の欲望、レイプ願望を表す言葉なのです」
('A`;)(危険だ。この男は危険だ)
荒巻先生の言葉を思い出し、俺は目の前の男がレイプ魔だと悟った。
そして俺は彼を助けようとしている、社会に解き放とうとしているのだ。
そんなこと、出来るはずがなかった。
- 60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/19(日) 23:54:29.94 ID:MZIt8wrL0
(´・ω・`)「おい、どうしたんだい? 早く俺を助けておくれよ?」
('A`;)「す、すみません! 俺、幼児を思い出しました!」
(´・ω・`)「幼児? それはそんなに大切な幼児なのかい?」
('A`;)「は、はい! これから僕は朝一番でクラスのツン子ちゃん(チン子ではない)
の縦笛を舐めなきゃいけないんです! とっても大事な幼児だから、し、失礼します!」
(´・ω・`)「待て少年! 生き急ぐな!」
男の声を引きちぎるように、俺は学校へと向かった。
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