69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/03(水) 22:36:02.92 ID:YFKrH/cs0


――目が、覚めた。


(;´・ω・`)「うわぁぁぁ!」

僕は走った。
全てから逃げるように居間から飛び出し、洗面所に駆け込む。

(;´・ω・`)「う、げぇ……うぅあぁっ!」

嘔吐感がこみ上げてくる。
蛇口を目一杯に開き、大量の水で胃液を流しながら。

(;´・ω・`)「……こ、これはなんだよっ!」

精一杯の声で叫ぶ。
全て夢であるはずだった。だって現実の僕があんな感情を肯定するとでも?
そんなことあるはずないじゃないか。僕はツンのことが好きだ。
僕が嫌われるとかそういう問題じゃなく好きだったんだよ!

ジョルジュだって同じだ。
あんなのただのわがままじゃないか。それくらい僕だってわかってるさ!

母さんだって……母さんだって疲れてただけだろう!?
あれくらいで僕が逆上するはずがない。するはずがないんだ。
だって全部夢だ。夢なんだよ、そうだって言ってくれよ!
こんなのは全て幻でまた目が覚めたら平和な現実が待ってるって――、

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/03(水) 22:37:54.94 ID:YFKrH/cs0

(´・ω・`)「あ……」

顔を上げた僕の目に、それは飛び込んできた。

鏡に映った、僕のワイシャツに滲む……赤黒い斑点。

(´・ω・`)「血……」

血の色。

飛び散った、ジョルジュの血。


(´゚ω゚`)「うあぁぁぁっ!」


73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/03(水) 22:40:51.19 ID:YFKrH/cs0

  ※  ※  ※


家を出た僕は、気付けば近くの橋の上にいた。
激しく降る雨のせいで、川は増水している。
いつもより量の多い水が、激しく下流に流れていく。

(´・ω・`)「……僕は、なんだ」

体を濡らす六月の雨も気にならなかった。
もう全部終わった気がした。たくさんの大切にしたい人を殺した。

僕が、僕自身の手で、殺したんだ。

夢の世界じゃない、現実の世界で。

殺すほどの理由なんてどこにもなかったはずなのに……僕は、殺した。


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/03(水) 22:41:40.73 ID:YFKrH/cs0

(´・ω・`)「一番に死ぬべきは……僕じゃないか」

顔を濡らす雫をぬぐう。
深夜の川は、真っ黒なうねりとなって、全てを押し流していく。

体が冷たい……寒い。
雨を吸ったシャツが、重く僕の両肩にのしかかる。

血の付いたワイシャツは、どこかで脱ぎ捨てたらしい。
無我夢中だったけど……それは正解だ。
もう二度と、あんなものは見たくない。
 
せめて、最後くらい、汚れない自分で――、

(´・ω・`)「……」

遠くでサイレンの音が聞こえる。


僕は、黒い濁流に向かって飛び降りた。




75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/03(水) 22:42:46.16 ID:YFKrH/cs0

――…


記録的な大雨の降った、その翌日。

J( 'ー`)し 「ショボン! いい加減に起きなさい!」

大きな声をあげながら、母親である彼女は階段を上がった。
普段ならとうに起き出してくるはずの息子が、まだ姿を現さないのだ。

J( 'ー`)し「もう、あの子は……制服に油絵の具なんてこぼして。ショボンっ!」

もう一度大きく言って、彼女は息子の部屋のドアを開ける。

そこには

J( 'ー`)し 「ショボン――えっ? ショボン? どこに……ショボン!?」

そこには、誰もいなかった。



76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/03(水) 22:43:27.83 ID:YFKrH/cs0




 Q 夢と現実の境界線って、どこにあると思う?

 A 僕は、現実と認識したその瞬間から、夢は現実になるんだと思うよ。



(´・ω・`)ショボンが悪夢を見るようです 終

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