24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:31:26.99 ID:AzKHZnbG0
(  ゚ω゚ )「・・・・・・・・・」

(´・ω・`)「・・・・・・・」

ξ゚听)ξ「・・・・・・・・」

(´・ω・`)「・・・ゴキブリだって言ったじゃないか」

ショボンはブーンをを覗き込みながら呆然としている。

ξ゚听)ξ「そうは言ってないよ」

(´・ω・`)「ゴキブリだって言った」

ξ゚听)ξ「だからそうは言ってないって」

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:32:33.93 ID:AzKHZnbG0
(´・ω・`)「これは人間だ」

ξ゚听)ξ「ブーンよ」

(´・ω・`)「これは人間だ」

ξ゚听)ξ「ブーンよ」

(´・ω・`)「えっ?」

ξ゚听)ξ「ブーンよ」

(  ゚ω゚ )「・・・・・・・・・」

(´・ω・`)「ブーンって、君が言ってた前付き合ってた人? 別れたって言ってた?」

ξ゚听)ξ「そう、そのブーン」
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:33:14.55 ID:AzKHZnbG0
(´・ω・`)「なんでこんなことになったんだ」

ξ゚听)ξ「話せば長くなると思う」

(´・ω・`)「本当に死んでいるのか?」

ξ゚听)ξ「……たぶん」

(´・ω・`)「たぶんって……」

ショボンは信じられないというふう両手で頭を抱えた。

ξ゚听)ξ「ねえ、そんなことよりわたしこれからどうしたいい? 警察に言った方がいい? でもわたし刑務所にはいるなんてやだ、考えらんないよ」

(´・ω・`)「落ち着こう、ツン。とりあえず、落ち着こう」
30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:34:31.01 ID:AzKHZnbG0
(´・ω・`)「・・・・・」

ショボンはしばらく下を向いて何かを考えている様子だった。

わたしのために色々考えてくれているんだと思うと、少しだけ気持ちが和らいだ。

きっとショボンならいい案を思いついてくれる。本当にショボンと付き合ってよかった、と心からショボンに感謝した。

(´・ω・`)「ツンさん」

何かを決心したようにショボンシはふいに顔を上げてわたしを見た。

ξ゚听)ξ「なに? 急にあらたまって、どうしたの?」

ショボンは額の汗を拭ってから続けた。

(´・ω・`)「僕と別れてくれ」
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:36:39.76 ID:AzKHZnbG0
ξ゚听)ξ「はっ?」

(´・ω・`)「よく考えれば君のその自由奔放な性格にはついていけないし、その何て言うか、そう合わないんだよ僕たちは」

ξ゚听)ξ「なに言ってるの?」

ショボンはもう一度汗をセーターの袖で拭いて大きく息を吐いた。彼の目はいつになく真剣で必死だった。

わたしは訳がわからなくなって、ねえなに言ってるの、とショボンの腕をつかんだ。

(´・ω・`)「いいか、よく聞いてくれ。今思いついたとかじゃないんだ」

ξ゚听)ξ「・・・・・・・・」
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:38:08.28 ID:AzKHZnbG0
(´・ω・`)「これは前々から思っていたことで、本当に今思いついたわけじゃないんだ。付き合った当初から薄々感じてはいたんだ」

ξ゚听)ξ「なにそれ・・・ひどい・・・」

(´・ω・`)「じゃ、ま、そういう訳で僕は帰らせてもらうよ。短い間だったけど楽しかった、じゃ」
 
ショボンはわたしの手を振りほどくと、カバンを持ってそそくさと玄関に向かって歩き出した。

ξ゚听)ξ「ねえ、待ってよ! お願い帰らないで!」

ゴキブリのように素早く逃げようとするショボンの襟を捕まえて「なんで?」ともう一度聞いた。

今ショボンに帰られたら、わたしはどうしていいかわからない、きっとパニックになってしまう。
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:39:19.66 ID:AzKHZnbG0
(´・ω・`)「だから言ったじゃないか、君とは合わないんだよ、合わないんだ」

ξ゚听)ξ「ブーンのことに巻き込まれるのが嫌で別れるんでしょう?」

わたしがそう言うとショボンは一瞬全身をピクッと震わせて、靴を履く手を止めわたしを見上げた。

(´・ω・`)「それは違う」

ξ゚听)ξ「違わない!」

(´・ω・`)「違う!」

ξ゚听)ξ「違わない!」

しばらくふたりとも無言になり、暖房のブオオン、という音だけが響いた。
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:41:53.50 ID:AzKHZnbG0
ξ゚听)ξ「わかった。別れるのはわかった。でも別れるのはブーンのことが片付いてからにしよう、ねっそうしよう、ねっ」

わたしがそう言うとショボンは大きく顔を左右に振りながら、

「それは非論理的だ意味がわからない」と急いで靴を履きドアノブに手を伸ばした。
 
わたしはショボンを言葉で説得するのをあきらめて最後の手段を使うことにした。

パーカーのジッパーを空けて中のTシャツをまくり、背中に手を回してブラのホックを取る。

ξ゚听)ξ「ブーンのことなんとかしてくれたら、わたしの体好きにさせてあげる。だからねっお願い、なんでもしてあげるし、なんでも言うこときくから、だからお願い」

自慢じゃないがわたしの胸はEカップある。しかも乳首は薄ピンクで、乳輪だって500円玉に収まるサイズだ。
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:44:01.55 ID:AzKHZnbG0
(´・ω・`)「・・・・・・・・」

ショボンはの胸をしばらく眺めた後、なぜかふぅ、とため息をついた。

(´・ω・`)「今まで黙ってて悪かったけどさ、僕さ、女に興味ないんだわ」

ξ゚听)ξ「え? え? どういうこと?」

(´・ω・`)「いわゆるホモセクシャルってやつさ」

ξ゚听)ξ「ホモ・・・ってあのホモ?」

わたしは思わず口をぽっかりと開ける。

(´・ω・`)「そうだよ、男と男が愛し合い、体を求め合うあのホモのことさ」
47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:45:41.52 ID:AzKHZnbG0
ξ゚听)ξ「・・・じゃあなんであたしと付き合ったの・・・」

(´・ω・`)「ん、まあ、世間の目をごまかすためさ。ホモに対する世間一般の目はまだまだ冷たいからね」
ショボンがホモ・・・。

わたしはしばらく頭の中が真っ白になって何も考えられなかった。

でも、この際ガチホモだろうとなんだろうと構わない。利用できるものだったらなんでも利用してやる。

ξ゚听)ξ「じゃあいい男紹介する! 超絶いい男! だから帰らないでお願い!」

(´・ω・`)「うほっ!」

わたしがそう言うとショボンは眉毛をぴくりと動かし、目を輝かせた。



――食いついた。チャンスだ。

わたしは畳み掛ける。
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:48:18.36 ID:AzKHZnbG0
ξ゚听)ξ「あたしの友達の彼氏がね、ちょーカッコイイの。つまぶき似なの」

(´・ω・`)「つまぶき! うほっ!」

ショボンの気が変わらないうちにと思い、腕を引っ張って部屋の中に連れ戻す。

が、ショボンはブーンの死体をみたとたん我に返ったのか「やっぱり無理だわつまぶきはあきらめるわ」と言うなりきびすを返して出て行こうとした。

ξ;゚听)ξ「待って!お願い帰らないでお願い!」

わたしが再び腕をつかもうとした瞬間、ショボンはわたしの腕をつかみ返すと、突然部屋の中を指差して叫んだ。

(´・ω・`)「あっブーンが起き上がった!」

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:50:21.70 ID:AzKHZnbG0
ξ;゚听)ξ「えっ嘘!?」

とショボンが指を差した方向を振り向いた瞬間、ショボンは思い切りわたしの腕を払うと、靴を胸に抱え、ものすごい速さで出ていった。

ξ;゚听)ξ「待って!」

わたしがあわててが廊下に出てそう叫ぶと、ショボンは「君のことは忘れない!」と叫び返して、その声は虚しくわたしの耳にこだました。

ξ゚听)ξ「逃げられた・・・」

ドアを閉めて玄関に戻ると、下駄箱の横にある姿見に、胸を放り出したままのわたしの姿が映って、なんだかわたしはとっても惨めな気分になった。

部屋の中に戻るとブーンは起き上がるどころか、うつぶせになったまま動く気配すらない。

またブーンと二人きりになったわたしは膝を抱えてもうやだ、とつぶやいた。
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:51:44.49 ID:AzKHZnbG0
――携帯が鳴ってる。

いつのまにか寝ていたようだ。

わたしは目を閉じたまま、無意識にベッドの枕元にあるはずの携帯に手を伸ばしたが、枕元にあるはずの携帯はなく、変わりにぐにっとした冷たく固いものに手が当たった。

はっと目を開けると、目の間には変色して薄紫になったブーンの顔があった。パーカーの袖がブーンの血で濡れている。

(  ゚ω゚ )「・・・・・・・・・」

ブーンはどんよりと濁った目をわっと見開き、カサカサになった唇を大きく開けて、かなりすざまじい形相をしているのに、不思議と怖くはなかった。

それよりもブーンをどうしたらいいのか、わたしにはさっぱりわからなかった。

ξ゚听)ξ「ぜんぶ夢だったらよかったのに……」
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:53:55.50 ID:AzKHZnbG0
わたしの頭の中に絶望、という字が大きく浮かんでぐるぐると回った。わたしは大きなため息を吐いた。

ξ゚听)ξ「ねぇ、ブーン・・・どうして死のうなんて言ったの?」

(  ゚ω゚ )「・・・・・・・・・」

しばらくブーンの顔を見ていたら、ふとさっき鳴った携帯のことを思い出した。

わたしはいつも携帯を置いてある枕元まで行き、携帯を開いてみた。 

メールが一件来ていた。ショボンからだった。

ショボンはわたしのことを見捨ててなかったんだ! と救われた思いで急いでメールを見た。
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:55:15.75 ID:AzKHZnbG0
件名 さっきの件だが

本文 よく考えてみたのが、君は殺人、という列記とした犯罪を犯した。

そして僕がそれを知りながら黙っていれば、共犯ということになる。さっき交番に行って警官にすべて話した。

これから、警官と君の部屋に向かう。残念だがこの現実を受け止めてくれ。



ξ゚听)ξ「え・・・・うそ・・・でしょ・・・」

頭が真っ白になった。

そうだ、あんなガチホモ野郎がわたしを助けてくれるはずなんかない。期待したわたしがバカだった……。
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 18:59:49.75 ID:AzKHZnbG0
わたしは一瞬でもアイツを信じた自分がくやしくてくやしくて、泣きそうになったが、涙をぐっと堪え、泣いている場合なんかじゃない、捕まってたまるか冗談じゃない、と思い急いで考えを巡らし、そして行動に移した。

まずブーンを毛布でぐるぐる巻きにし、紐で何重にも縛り、それをローラー付のスーツケースになんとか詰め込む。

床の血を雑巾で拭き、こびりついた血はたわしでこすりとった。

割れたビンとナイフをビニール袋に詰め、それらを汗だくになりながら車のトランクに積み込んだ。

最後にブーンの入ったスーツケースを押す。

ξ;゚听)ξ「う・・・・ブーンってこんなに重かったっけ・・・・」

ブーンのスーツケースは想像以上に重くて、でも早くしなければと警察がくると自分を叱咤しながらやっとの思いで後部座席に放り込んだ。
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/20(木) 19:02:39.64 ID:AzKHZnbG0
急いで部屋に戻り、数日分の着替えと化粧品類、部屋にある現金や通帳をバックに詰め込んで、車に飛び乗りキーをまわした。

車をアパートの駐車場から発進させるとき、警察の制服を着た男が数名アパートの階段を上がっていくのが見えた。

一番後ろにショボンらしき男も見えた気がする。

わたしはあわててアクセルを踏み込み、急いで車を駐車場から出した。

その反動で後ろのスーツケースに詰めたブーンが転がり車体にぶつかった。

ξ゚听)ξ「ブーンごめん、痛かったよね」

とわたしは誰に言うでもなくつぶやいた。

 

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