68 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/11/10(日) 22:35:30 ID:P8GB301.0


第D話 閑話 へきせんはうす



ミ,,゚Д゚彡「できたから!」

バーボンハウス一号店。
珍しく早くに昼の客がいなくなったため、フサギコはかねてからチャレンジしようと思って準備していたお菓子の家の作製に取りかかっていた。

コツコツと作り上げておいたお菓子達。
足りない分の焼き菓子の生地を練って形を作って焼き、チョコレートを固め、クリームをかき回し、作り溜めしておいた飴を総動員して隙間を埋め飾りつけをし、煙突のあるログハウスのような家を作り上げていく。

ミ*,,゚Д゚彡「前にショボンがNPCの店で見てこういうのも作れるのかなって言ってたから。やっとプレゼントできるから」

アインクラッドでは焼く時間や練る時間は短縮できるが、成形は規定の形以外の物を作るのはそれなりに手間がかかる。
お昼過ぎに始めた作業であったが、既に日は傾きかけていた。

そして、やっと納得のいく形が出来たと一息ついたところだった。

屋根の上の飾りに熱中してしまったため、視界の反対側の壁に取り付けていた窓に見立てた飴やチョコレートが取れてしまっていたことに気付いていなかったが、その表情には達成感が浮かんでいる。
初めて作っているため周囲には形が合わなかったビスケットやサイズが合わなかった飴、割ってしまったチョコレートなどが散乱しており、いつも几帳面に料理をするフサギコからは、珍しい光景だった。

本当は家の周りに木々もや柵に井戸なども作りたいのだが、さすがに時間が足りなかった。
最初に家を作る試しも兼ねて作ってみたそれなりに細かく精巧な犬小屋だけがあるのもバランスが変だと思うのだが、今はここで諦めて夕方の準備を始めなければと思っていたところに、店の扉がカタカタと鳴った。

勢いよく開かれる店の扉。

ミ;,,゚Д゚彡「い、いらっしゃいませだから!」

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69 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/11/10(日) 22:37:14 ID:P8GB301.0

慌てて片付けようと屋根の部分をタップする。
その衝撃か、壁面に取り付けたチョコレートの扉が取れてしまい、反対側の屋根の飾りもいくつか取れてしまったが、慌てたフサギコは気付かない。

(,,゚Д゚)「ちはっすだゴルァ」

ミ,,゚Д゚彡「なんだギコだから」

(,,゚Д゚)「なんだとはひどいぞゴルァ」

あからさまにほっとした顔をするフサギコを見て、ぶぜんとした顔をするギコ。
しかし笑いながらであったため、フサギコも笑いながら謝罪を言いつつ片づけを始めた。

(,,゚Д゚)「!すごいぞゴルァ!お菓子の家だよな!」

ミ,,゚Д゚彡「まだまだ全然だから」

カウンターの台に置かれていたそれに気付き、素直に驚きつつ近寄り、フサギコの力作をまじまじと見るギコ。
照れくさそうにつぶやいたフサギコもまんざらではなく、頭を掻きながら誇らしげに微笑んでいる。

ミ,,゚Д゚彡「しぃはまだ来てないから」

(,,゚Д゚)「今日はこの後ジョルジュとドクオと夜間演習だから、飯を食いにきた!」

ミ,,゚Д゚彡「分かったから!何が良いか言うと良いから!」

(,,゚Д゚)「今日の定食かお勧めで良いぞゴルァ!フサギコの作る飯はうまいからなんでも大丈夫だ!」

ミ*,,゚Д゚彡「わかったから!あ、ちょっと時間かかるからそこのお菓子、失敗してるのは食べくれていいから!」

(,,゚Д゚)「!良いのか!」

ミ,,゚Д゚彡「倉庫で夜の食材をチェックしてくるから!お客さんが来たら呼んで欲しいから!」

(,,゚Д゚)「食べていいのか…」

慌てて店の奥に消えたフサギコを目の端にとらえながらも、目の前のお菓子に心を奪われるギコ。

(,,゚Д゚)「おやつとして少しもらうとして、このチョコレートとクッキーみたいなやつは今食べよう」

大きなめの建物のそばにあった板チョコを手に取る。

(,,゚Д゚)「本当にすごいぞゴラァ。こんな精巧にお菓子で家を作るなんて」

ビスケットと棒状の飴を手に取る。

(,,゚Д゚)「しかも、こんな小さく」

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70 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/11/10(日) 22:39:00 ID:P8GB301.0



ミ,,゚Д゚彡「お店番ありがとうだから!」

10分足らずで戻ってきたフサギコ。

ミ,,゚Д゚彡「遅くなってごめんなさいだから!すぐ作るから!」

(,,゚Д゚)「お菓子美味しかったぞゴルァ!」

ミ,,゚Д゚彡「ありがとうだから!………だから……?」

戻ってきてそのままカウンターで調理を始めようとしたフサギコ。
ギコにお菓子の味をほめられ、笑顔で誇らしげにそちらを見て、異変に気付く。

ミ,,゚Д゚彡「………あれ?」

(,,゚Д゚)「これもこんなに小さいのにすごく精巧ですごいぞゴルァ!」

お菓子で作った家のあった場所にぽつんと佇むお菓子の犬小屋。

ミ,, Д 彡「……………だから…」

(,,゚Д゚)「え?」

ミ,, Д 彡「お菓子の家は…どこ?…だから…」

(,,゚Д゚)「これだろ?」

ミ,, Д 彡「これは、『お菓子の犬小屋』…だから…」

(,,゚Д゚)「……え?」

ミ,, Д 彡「大きいのが、本体だから」

(,,゚Д゚)「え、あ、でも、色々取れてたぞゴルァ」

ミ,, Д 彡「あれが、作ってたやつだから…」

(,,゚Д゚)「ご、ご、……ごめん」

ミ,, Д 彡「お菓子の家だから…」

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71 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/11/10(日) 22:40:22 ID:P8GB301.0

(*゚ー゚)「すみません遅くなりました…って……あれ?ギコ君と……フサギコさん……ですよね」

開かれた扉。
入ってきたしぃが異様な雰囲気を感じ、動きを止める。

(;*゚ー゚)「なにか、あったんですか?外の札も準備中になってますし」

ミ#,, Д 彡「準備…中?」

(;,,゚Д゚)「!入るときに裏になんて書いてあるのか気になって…裏返して見て…」

ミ,, Д 彡「しぃちゃん」

(*゚ー゚)「は、はい」

ミ,, Д 彡「いち……いや、二時間、お店を頼むから」

(*゚ー゚)「え、は、はい」

(;,,゚Д゚)「……既視感を感じる」

カウンターを出てきたフサギコがふらふらとギコのそばにより、その手首をつかんだ。

ミ,, Д 彡「ギコ……」

(;,,゚Д゚)「ゴルァ…」

ミ,, Д 彡「連続技の特訓に付き合ってほしいから……」

(;,,゚Д゚)「やっぱりかーーー!!」

引きずられるように外に連れて行かれるギコ。

唖然とその様子を見守るしぃ。

(;*゚ー゚)「なんかよくわからないけど、頑張れギコ君」



その日、40層にあるギルドホームの中庭からはギコの叫び声が1時間ほど聞こえた。







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