844 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/09/08(日) 03:00:55 ID:IockDrlc0

第B話 閑話  スキルと能力値



ギルドのホームにあるショボンの部屋は、ギルドの執務室でもある。
と言っても彼自身がほとんどの時間自らのレストランであるバーボンハウスにいることが多いため、あまり『執務室』として使われることはない。

とはいってもギルドマスターとしての仕事をする時、事務的な仕事やギルドとして人と会う時などには使用していた。

今日は店をしぃに任せ、彼は溜まっていた事務仕事をしている。

('A`)「いるかー」

(´・ω・`)「だからとりあえず一回ノックをしろと」

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845 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/09/08(日) 03:02:06 ID:IockDrlc0

データ整理をひと段落させ、伸びをしつつ首をまわしていると開くドア。
当たり前のようにドアを開けて入ってきたドクオに呆れつつも、それ以上注意はせずに苦笑いで流す。

('A`)「こっちは良いだろ?別に」

疲れたように、ドアを開けたすぐの部屋の中央に置かれた簡素なソファーセットに腰掛けるドクオ。
見た目は簡素だが質は良いようで、程よい硬さと柔らかさでドクオの体を支えた。

('A`)「そっちの寝室開ける時にはノックしてるし」

隣に続くドアに視線を向けてから、いつものようにつまらなそうな顔で肩をすくめた。

('A`)「いつも思うけど、これ座り心地良いよな」

そしてその座り心地を確かめるように、身体を上下させる。

(´・ω・`)「子供じゃないんだから」

開いていたウインドウを閉じるショボン。
扉の正面にソファーセットを挟んで置かれた大きめで重厚な執務机から離れ、ドクオの正面に座る。

(´・ω・`)「どうしたの?」

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846 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/09/08(日) 03:03:24 ID:IockDrlc0

再びウインドウを出し、低いテーブルの上にティーセットを二つ実体化させると、まずはドクオのカップに注いだ。

('A`)「ん?ああ、ほらこれ、この前頼まれたクエストの調査と結果報告書」

(´・ω・`)「ああ、ありがと。早いね」

('A`)「ジョルジュとモララーと行ってきたからな。でもそんな低層階のクエストどうするんだ?」

(´・ω・`)「とりあえずギコとしぃの練習には良いかなと思ってさ。今までに攻略したクエストだとなんとなくイメージが合わなかったから、最近見つかったクエストとかで良いやつがないかなと思って」

自分のカップにもお茶を注いだ後、雑に置かれた報告書を受け取る。
置き方は雑だが内容が正確で緻密なのは分かっているため、最初からじっくりと目を通していく。

(´・ω・`)「クエストデータだけだと詳細が分からないところがあるからね」

書類を置いた手でそのままカップを取ったドクオは、まず一口啜った。

('A`)「ギコとしぃねぇ」

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847 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/09/08(日) 03:04:23 ID:IockDrlc0

(´・ω・`)「とりあえずしぃはバーボンハウス両方の手伝いから始めてもらってるけど、ギコの方は体術スキルが終わったら戦闘の付き合いを頼むよ。あとモナーとクックルの手伝いと」

('A`)マンドクセ

(´・ω・`)「そんなこと言わないでさ」

('A`)「そういや、スキルはどうなんだ?片手剣のスキルを結構あげてたって聞いたけど」

(´・ω・`)「自己申告は943」

('A`)「そりゃすごい。……で、本当は?」

(´・ω・`)「934」

('A`)「……マジで?」

(´・ω・`)「マジで」

('A`)「おれと20も変わらないのかよ」

(´・ω・`)「クエスト中に聞いたときに答えた数字は、見栄を張ったわけでなく素で間違えただけみたいだね。まあそれもどうかと思うけど」

('A`)「でもよお」

ギコの自己申告数値を聞いて大きく伸びをするドクオ。
そのまま背凭れに体を預け、背筋をそらす。

('A`)「おれ、結構頑張って鍛えたんだけど」

(´・ω・`)「はい、これ」

自分のカップに口をつけながら、一枚の紙をテーブルに置くショボン。

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848 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/09/08(日) 03:05:33 ID:IockDrlc0

('A`)「今度はなんだよ」

(´・ω・`)「ギコがそこまで鍛えることが出来た理由」

('A`)?

姿勢を戻し、紙を手に取るドクオ。

('A`)「うわ…………なんだこりゃ。片手剣以外最低ランクっつーか、このレベルじゃ20層くらいでもう意味ないだろ。……これ、ギコのなのか?」

(´・ω・`)「うん」

('A`;)「つまり片手剣だけ鍛えまくってきたわけか。あいつ、よく今まで生き残ってこれたな」

(´・ω・`)「その謎の答えがここに」

更に一枚の紙を置くショボン。
ドクオは恐る恐る受け取り、覗き込む。

('A`)「…………ああ、まあこれなら攻撃スキルがちょいと低すぎるから倒すのは難しそうだが、敵に合わないように避けて、エンカウントしたら逃げて逃げて逃げ切ることは出来そうだな。……とは言っても30層くらいがギリギリっぽいけど」

(´・ω・`)「それ、誰のかわかる?」

('A`)「………もしかして、しぃのか?」

(´・ω・`)「ご名答」

('A`)「……。なるほどな。二人で一人か」

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849 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/09/08(日) 03:06:32 ID:IockDrlc0

二枚の紙の両手で持ち、交互に見比べるドクオ。

('A`)「これなら頷ける。一人でこのスペックなら中層なら問題ないな。つまり、しぃが頭脳でギコが体ってことか」

(´・ω・`)「二人はそんな風には思ってなさそうだけどね。あとはしぃも言ってたけど、弟者のとこで買った防具の力もあるんじゃないかな」

('A`)「なるほどな」

持っていた紙をテーブルに戻し、再びソファーに体を預けるドクオ。

('A`)「で、どう育てるんだ?」

(´・ω・`)「……楽しみだよね」

('A`;)「ショボン、顔が怖い」

こらえきれずに笑みを漏らすショボン。
それを見て、ドクオが自分の体を抱えて震えた。

(´・ω・`)「でもどんなスキルも覚えるって言ってたしー」

('A`;)「語尾を伸ばすな気持ち悪い」

ソファーの上で膝を抱えて身体を震わせるドクオ。
背凭れに体を預け、小動物のように。

(´・ω・`)「今の自分の姿とどっちが気持ち悪いと思う?」

('A`)「……」

(´・ω・`)「……」

('A`)「……まあ、あれだな」

足を下し、背筋を伸ばして座りなおす。

('A`)「少しは加減してやれよ」

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850 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/09/08(日) 03:07:29 ID:IockDrlc0

(´・ω・`)「そんな、人をなんだと思ってるんだか」

('A`;)「マジにいろいろやりそうで怖いんだよ。お前は」

(´・ω・`)ショボーン

('A`)「まったく」

座りなおしてカップに手を伸ばすドクオ。

(´・ω・`)「『片手剣』も950過ぎたあたりから上昇率が悪いよね」

('A`)「なんとなくな。上限1000ってことを考えると、そこら辺で何か仕掛けがしてあってもおかしくはない。でも『片手剣』は最初に覚えられる基本スキルだからそこまで酷い設定はされてないだろ」

一口啜り、カップをテーブルに戻そうとする。

(´・ω・`)「そういえば、ちゃんと『バトルヒーリング』のスキルレベル上げしてる?」

('A`;)!

戻そうとしたカップが指から離れ、音を立ててテーブルに当たる。
それを見てショボンの表情がなくなり、じっとドクオを見た。

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851 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/09/08(日) 03:08:55 ID:IockDrlc0

(´・ω・`)「やってないんだ」

('A`;)「あ、いや、やってるぞ」

(´・ω・`)「やってないんだ」

('A`;)「いや、だからな」

(´・ω・`)「やってないんだ」

('A`;)「……はい。ごめんなさい。やってません」

座ったまま頭を下げるドクオ。
そしてちらっと顔をあげてショボンの顔を見た。

(´・ω・`)「まったく」

('A`;)「へへへへへへ」

じっとドクオを見ていたショボンの視線が柔らかくなり、呆れたように肩をすくめる。

(´・ω・`)「とはいっても、調べれば調べるほど、あのスキルって熟練度上げるのが大変なのが分かってくるからな……。やっぱりあれは一人で鍛えるもんじゃないのかな」

('A`)「なあショボン、あのバトル中に自動的にHPが回復するっていうある意味チートスキルがかなり使えるのは分かるけどさ、やめねえ?鍛えるの辛いんだよ。あれ。結構ギリギリのHPをキープしないといけないし」

眉間にしわを寄せ、疲れたようにじっとショボンの顔を見るドクオ。
それに対してにっこりとほほ笑むショボン。

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852 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/09/08(日) 03:10:27 ID:IockDrlc0

(´・ω・`)「だめ」

('A`)「やっぱり」

(´・ω・`)「さすがに『体術』と『投擲』みたいに必須スキルにするつもりはないけど、戦闘において速攻とか特攻をすることの多いドクオとブーンとジョルジュにはぜひ習得してある程度までは熟練度を上げておいてほしいんだよね。せっかく覚えることが出来たんだしさ」

('A`)「便利なスキルだけどよ…」

(´・ω・`)「突っ込んでいった上に自分のHPあんまり省みないで攻撃を続けるような奴らじゃなければ別に良いんだけどさ」

('A`;)「……すみません」

(´・ω・`)「ってことで、今度パーティー作って熟練度上げ目的の採取に行こうね」

('A`)「まーじーでー」

(´・ω・`)「回復要員でツンとクーにサポート頼んで、ブーンとジョルジュはスキル覚えられるようにメイン以外のスキル上げして、POTもクリスタルもがっつり持って、いや、楽しみだね」

('A`)「はーい」

にこにこと、心底楽しそうなショボンに対し、心底いやそうなドクオ。
座ったまま自分の膝に肘をつき、両手で顔を覆うドクオ。

('A`)マンドクセ

それを見て、更ににこやかな笑顔をみせるショボン。

部屋の窓から差し込む夕焼けが、ショボンとドクオの影を部屋に作った。






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