875 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 22:42:44 ID:/YGMmJyM0



第八話 それぞれのチカラ



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876 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 22:43:57 ID:/YGMmJyM0



0.ギルドの証



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877 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 22:46:03 ID:/YGMmJyM0

2024年2月 中旬

モララー細工工房の作業台の前には、モララーが一人いた。

工房の外は青い闇が支配しており、日中の喧騒が嘘のように静かで冷たい空気が流れている。

そんな外界から隔離された部屋の中で、自分が作った成功率が少しだけ上がる片眼鏡を左目につけ、目にかかる髪を時折かき上げながら、いくつかの鉱石と素材を添加しつつ、三種のノミと二種の鎚を使って金属を打つ澄んだ音を響かせていた。

( ・∀○)「でっきるっかなでっきるっかな…。っていうか、そろそろ出来てくれないと困るんだけどさ」

作業机の上で光る二つの塊。

システム上は規定の鉱石に何を作るかを指定し、既定の回数打つことによって自動的にアイテムが生成される。
素となる鉱石や添加材、作れるアイテムの種類と使用できるノミと鎚の種類はスキルの熟練度によって違うが、アイテムの生成方法は初心者も熟練者も変わりがない。
また、大まかな種類は指定できるが詳細な種類を指定することはできない。
武 器でいうのならば、『片手直剣』を指定して作ることは出来ても、Aという名前の片手直剣が出来るか、Bという名前の片手直剣が出来るかは分からない。また 更に言うのならば、同じAでも初期攻撃力が10の物が出来るか12の物ができるかは、システム上は完全にランダムで運とされている。

しかし、こういった職人達の中では信じられていることがある。

それは、作り手の思いが制作物に反映されるということ。

ただ無機質に機械的に腕を振り鎚で打つのではなく、一回一回に思いを込め、自分の力を信じ、使う者のことを思い、腕を振り、鎚で打つ。
それによって宝箱や敵から奪うドロップアイテムには無い強さやレア度を持った武器やアイテムを作ることが出来ると、信じられていた。

そしてそれが職人の手製(プレイヤーメイド)の強みであり、素晴らしさであると。

また、これは職人たちの横のつながりで噂が広がり信じられているわけではなく、職人として武器やアイテムを作る者達が、実感していることである。

モララーにおいてもそれは同じで、店に並べる通常品はもちろん、オーダー品は特に思いを込めて一振り一振りを打っていた。

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878 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 22:47:38 ID:/YGMmJyM0

( ・∀○)「でっきるっかなでっきるっかな」

打っていた。

( ・∀○)「でっきるっかなでっきるっかな。でっきるっかなでっきるっかな」

多分、打っていた。

( ・∀○)「おっ。きたっ」

規定回数を打った瞬間、一つの塊が大きく輝く。
それ見た瞬間流れるような手さばきで持っていた鎚をテーブルの上の槌と持ち替え、もう一つの塊を叩く。

( ・∀○)「こっちも来た!」

一つ目の塊と呼応するようにもう一つの塊も大きく輝く。

( ・∀・)「でっきるっかなでっきるかな」

片眼鏡を外し、作成用アイテムをテーブルに置き、踊り始めるモララー。

( ・∀・)「でっきるっかな、でっきるっかな、」

歌を口ずさみつつ、ツイストと呼ばれるステップを踏みながら腰をひねり、手を振りつつ作業台の上で光る鉱石をじっと見つめる。

( ・∀・)「でっっきるっっかなっでっっきるっっかなっ」

心を込めて踊るモララーの目の前で、光が収束していく。

( ・∀・)「でっっっきるっっっかなっっでっっっきるっっっかなっっ」

最後に一度大きく光る二つの塊。
そして光が収束すると、そこには二つの指輪があった。

( ・∀・)「どれどれどれどれ」

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879 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 22:48:59 ID:/YGMmJyM0

まずはモララーから見て左側、先に大きな光を放った指輪を指先でタップする。
現れるステイタス画面。

( ・∀・)「!いいじゃんいいじゃん!一個完成!」

太めの銀の指輪のステイタス画面はそのままに、自分のウインドウも出してメッセージ作成画面を開く。
そして今見ている指輪のステイタスをメッセージにコピーした。

( ・∀・)「もう一個はどうかな」

今度は右側の細めの銀に光沢のあるオレンジの線が混じった指輪をタップする。
ポップするステイタス画面。

( ・∀・)「!…まじか」

思わず顔を近づけるモララー。

(;・∀・)「今までで作った中ではトップクラスだぞこれ。あいつらにやるのもったいないな…とも言ってられないか」

同じくコピーし、メッセージを作成する。

( ・∀・)「あとはギルマスに任せて…といっても返答は予想つくけどさ。はい、送信っと」

自分のウインドウは出したまま指輪のステイタス画面を二つとも消し、使っていたアイテムを自分のストレージに戻す。
そして新たにいくつかのアイテムを机の上に出した。

視界の端に浮かぶメッセージの着信を知らせる文字。

( ・∀・)「はやいねーうちのギルマスさんは」

ショボンから送られてきたメッセージを開く。

『(´・ω・`)「まかせるー」』

( ・∀・)「だと思ったよ!」

悪態を吐きつつもにやにやと笑いながら次に使用するアイテムを準備する。

( ・∀・)「まったくうちのギルマスはギルドのメンバーを信用しすぎるよ」

表情を引き締めて、片方の指輪の内側に針のようなアイテムで指輪の表面を彫り始めたモララーだった。

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880 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 22:51:09 ID:/YGMmJyM0



1.ギルドの秘め事



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881 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 22:52:24 ID:/YGMmJyM0

VIP牧場とVIP農場は隣接しており、ギルドのメンバーであれば外に出ずとも行き来することが出来る。
ちなみにこの二つには管理をするための建物はそれぞれあり、そこでは簡単な食事や休憩をすることは出来るが、個室は牧場にある建物にしかない。
よってモナーはもちろんだがクックルの個室も牧場にある建物の中にあった。

これは牧場を手に入れた時に資金が足りなくて最低限の設備しかつけられなかったせいだが、余裕が出来た今もこれは変わっていない。

( ゚∋゚)「モナー、良いか?」

( ´∀`)「いいもなよ」

ノックの後聞こえたクックルの声に返答するモナー。
それを受けて入ってきたクックル。

( ´∀`)「今日もお疲れさまもな」

モナーに促されてベッドに腰掛けるクックル。
備え付けの椅子に座っていたモナーは棚にしまってある茶器を取り出し、指先で軽くタップしてから同時に出していた二つのカップに琥珀色の液体を注いだ。

( ゚∋゚)「はあ……」

(;´∀`)「ほんとうにおつかれもなね」

クックルはベッドで眠るビーグルを撫でていたが、差し出されたカップを受け取ると両手で持ち、肩を落とし項垂れた。
モナーは自分のカップを持ちつつベッド横の机に備え付けられた椅子を動かし、クックルの目の前に腰掛けた。

( ´∀`)「今日の指揮はどうだったもなか?」

( ゚∋゚)「……ショボンとクーはすごいと思うよ。おれには無理だ」

( ´∀`)「ショボンとクーがすごいと思うのは同感するもなけど、クックルが無理ってのは違うと思うもなよ」

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882 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 22:54:12 ID:/YGMmJyM0

( ゚∋゚)「指揮そのものは少しは出来るようになってきたと思うが、疲労が半端ないからな。今はショボンかクーが同行して交代でやってるが、1クエスト全部やれとか言われたら脳味噌がどうかなっちまうよ」

自嘲気味に笑いながら目の前でにこやかにほほ笑んでいるモナーを見る。

( ´∀`)「そんなことないもなよ。最初はそうかもしれないけど、慣れてきたら大丈夫もな」

( ゚∋゚)「お前はそう言うが」

( ´∀`)「…きっとまだ、クックルはあの時のことを引きずっているもな」

( ゚∋゚)!

にこやかに「あのこと」に触れたモナーに驚くクックル。
大きく目を見開き、目の前の仲間を凝視する。

( ´∀`)「モナーもまだひきずっているもな。でも、乗り越えることが、出来るような気がしているもな。クックルは、どうもな?」

( ゚∋゚)「お、おれは」

自分を見るまっすぐな視線にたじろぐクックル。
それを見て、更にモナーの瞳が垂れ下がる。

( ´∀`)「きっと、本当に乗り越えた時にわかるもなよ。ショボンが何故クックルに指揮をさせているかが」

( ゚∋゚)「……そう、なんだろうか」

( ´∀`)「モナーはそう思うもな」

カップに口をつけるモナー。
その様子を見つつ、ほんの少しだけ笑顔を見せて、クックルもカップに口をつけた。

( ´∀`)「……今日のパーティーにはブーンはいたもなか?」

( ゚∋゚)「ああ。今日はあのカップルとギコしぃ、あとクーとおれの六人だった」

(;´∀`)「うちのギルドらしいといえばうちらしいもなけど、六人パーティーのうち四人が…」

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883 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 22:56:07 ID:/YGMmJyM0

(;゚∋゚)「まあやりやすいといえばやりやすいがな」

顔を見合わせて苦笑する二人。

( ゚∋゚)「ギルドとして格闘と投擲は必須だけど、メイン武器は自由だからな。……で、なんでブーンなんだ?前にも聞いたよな。確か」

( ´∀`)「………」

( ゚∋゚)「言えないことなら聞かないが」

( ´∀`)「……この前、ちょっとだけ違和感を感じたもな。何がどうってわけじゃないもなけど、なんとなく」

( ゚∋゚)「そうか。特に変わった様子は見られなかったが」

( ´∀`)「それならいいもな。モナのきのせいもなね」

( ゚∋゚)「今度パーティー組んだときは、ちょっと注意してみる」

「さて」と呟きながら立ち上がるクックル。
お礼を言いながらカップを机の上に置く。

( ´∀`)「もういいもなか?」

( ゚∋゚)「ああ。明日もあるしな」

( ´∀`)「久しぶりもなね。あの二人が入ってから初めてもな」

( ゚∋゚)「そうだな。久しぶりに思いっきり武器を振るってみるか」

(;´∀`)「お手柔らかに頼むもなよ」

( ゚∋゚)「それはおれのセリフだな」

顔を見合わせて一度にやりと笑う二人。

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884 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 22:58:42 ID:/YGMmJyM0

そしてクックルは「おやすみ」と声をかけながらモナーの部屋を出た。

カップを片付けてから自分のベッドに腰掛けるモナー。
気持ちよさそうに眠るビーグルの頭をなでる。

▼-ェ-▼「くぅーん」

( ´∀`)「よく眠ってるもな」

柔らかいほほえみを浮かべたまま、就寝の準備を始める。
最後に部屋の電気を消すと、そとからの星の明かりが部屋を包んだ。

目を細めながら外を見るモナー。

( ´∀`)「………本当に気のせいならいいもなけど」

呟いてからビーグルの横に潜り込む。
ビーグルがそれに気付いて体を摺り寄せてくる。

今日も一日が、無事に終わった。




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885 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:00:19 ID:/YGMmJyM0

次の日。
時計の針が9時を指した時、VIP牧場にはギルドV.I.P.の全員が揃っていた。

(´・ω・`)「みんないるねー」
 _
( ゚∀゚)( ^ω^)ξ゚听)ξ川 ゚ ?゚)
( ´_ゝ`)ミ,,゚Д゚彡( ・∀・)
( ´∀`)( ゚∋゚)
「おー!」
          ('A`)(´<_` )

▼・ェ・▼「きゃん!」

(,,゚Д゚)「お、おお!」

(*゚ー゚)「います…けど」

人が五人くらい乗れそうな台に乗っているショボン。
そこを中心に扇形に立つ9人。
そしてその後ろに立つギコとしぃ。

これは別に弾かれているのではなく、なんとなく気後れしてその中に二人が入れていなかったからだ。

(*゚ー゚)「ぎ、ギコ君、今日の事って何か聞いてる?」

(,,゚Д゚)「聞いてないぞゴラァ。今日は朝から牧場で全員で作業って連絡しか来てない」

(*゚ー゚)「私もそれしか聞いてない。ショボンさんが伝達忘れってことはないと思うけど、でも…」

(´・ω・`)「はい、おしゃべりは止めてねー」

こそこそと話すギコとしぃを注意するショボン。
慌てて少し離れて姿勢を正すが、やはり落ち着かずショボンと自分たちの前にいる仲間たちを見回す二人。

(´・ω・`)「と、いっても気になるよね。これは」

(*゚ー゚)「は、はい」

(,,゚Д゚)「みんなどうしたんだゴラァ。気合いの入った装備して」

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886 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:01:31 ID:/YGMmJyM0

ギコの言葉を受けて、にやにやと笑う10人。
しかしいやな笑いではなく、どこか楽しげでこの後を期待させる。

(´・ω・`)「ま、そうだよね。ぼくもフル装備するのは久しぶりだし、防具系はツン、弟者、モラが頑張ってくれたから、最近新調してだいたいみんな初お披露目なんじゃないかな」

そう言って9人を見るショボン。
 _
( ゚∀゚)「どうすんだ?まずは全員の装備チェックでもするか?」

そう言って肩に担いだ両手剣を振り回すジョルジュ。
一番端にいたため空いている側を中心に振り回したが、それでも隣のドクオが顔をしかめた。

その振り回した剣こそ見慣れた剣だったが、その他の装備は初めてだった。
大きめのガッチリとした体を守るのは、深い青をメインにした鎧。それはさらりと見ただけでその装備能力の高さを想像させる出来だった。
しかし体全身を覆っているのではなく、背中と胸を覆うパーツ以外要所要所を覆うだけで、それらは細い鎖や紐で繋がれていた。
それ以外の服装はこの世界では一般的と思われるパンツとVネックのシャツだが、ところどころに服と一体化した金属のパーツが見え、防御能力を持つことを暗示させている。
また嫌味のない光沢のある黒のシャツと深い渋みを持つこげ茶色のパンツは鎧の青をさらに鮮やかに見せていた。

('A`)「剣を振り回すな剣を」

苦笑しながらジョルジュの両手剣を避けるドクオ。

細いその体を包む装備は漆黒と銀。
銀の縁取りと一部に同じく銀の細いプレートが埋め込まれた漆黒のコートは足首まである。
愛用の片手剣は身体というよりはそのコートに取り付けられた鞘に納められており、その黒の深さによく見ないと剣の存在が分からないほどコートに同化していた。
そして中に着ている服も黒一色で、要所要所に使われている銀の金具だけが、時折光を反射していた。
黒い革のブーツの踵の高さは動きを阻害しないギリギリの高さである。

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887 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:02:46 ID:/YGMmJyM0

ξ゚听)ξ「ま、振り回したくなるくらいその服が気に入っているなら許してあげてもいいけど」

('A`)「剣振り回すのに防具関係ないし被害受けてるのおれだし」

ξ゚听)ξ「気にしない気にしない。だいたい、あんたの服も弟者とモララーと協力して、時間かかったのよ」

( ^ω^)「ツンもその服おニューだおね。よく似合ってて可愛いお」

ξ*゚听)ξ「な、何言ってんのよ突然!このバカ!」

ドクオの横にいるブーン、その隣にツン。

ブーンの少しふくよかな体を包むのは薄い空色を基調とした服と防具。
鎧というより防具と呼ぶ程度の装備だが、要所要所はしっかりと守っている。
ラフな服装で動きやすさを一番にしているようで、華美な印象は受けない。
防具の一つ一つは空色の金属の上を透明な被膜が覆っており、日の光を受けて柔らかな輝きを放っている。
腰につけた細い片手剣も白と空色が基調の剣であった。
その下に着る服は形こそジョルジュやドクオと似たようなシャツとパンツだが、その質感はどこか高級感があった。シャツは純白、パンツは落ち着いた群青色。清潔感と爽やかさを兼ね備えた取り合わせである。

そして横にいるツンは全くの逆といってもいいだろう。

細めの身体を包む黒と赤のレースを多量に使ったゴスロリパンクの姿はとてもじゃないが防具には見えない。だが光を受けて乱反射するパーツは金属でできており、レースに交じってベスト型の防具を着ているようだ。
下は黒レースのパニエで広がったミニスカートと真っ黒のニーソックス。エナメルの様な光沢を放つ少しごつい靴もドクオの靴の踵と同じくらいの高さがある。
金の髪をツインテールに結ぶ黒い豪奢なレースのリボン。両手には黒いレースの手袋。
身体を飾る金の装身具。
動くとスカートのフレア部分から見え隠れする白いレースは小さなティアラの様に頭を飾る帽子と同じレースのようだ。
腰に付けた細剣は、刀身こそ黒曜石の様な深い落ち着いた輝きなのだが、それを納める鞘と鍔と持ち手は、黒のレースと細い金で彩られている。

しかし何故かその姿は、ブーンの隣にいて違和感を感じなかった。

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888 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:03:56 ID:/YGMmJyM0

川 ゚ -゚)「私の方はもう少し地味でもよかったがな」

ξ゚听)ξ「そんなこと言わないの。少しは明るい色も着なきゃだめなんだから」

ツンの隣に立つクーはうって変わって和装。

女性としては高めの身長と男性を魅了するその体を包むのは淡桃色と薄紅色のグラデーションを施された着物と胸の下で締める濃い紫色の女袴。着物には桜の花びらが舞っており、袴の帯は深い真紅の色で、リボンのように前で締められている。
右手には身長よりも長い薙刀。柄は漆塗りのような光沢をもつ黒い芯を囲む様に編んだ籐で作られており、ところどころに金の飾りと赤い組紐が結ばれている。
胸には黒い胸当て。両手には手のひらを覆わない肘までの長さの茶色い革の籠手。白い襷で袂をくくり、長い黒髪も白い細めの鉢巻きで一纏めに結んでいた。
足元はこげ茶色のショートブーツなため、和服ではあるが着こなし方も含めて洋装の雰囲気も醸し出していた。

ξ゚听)ξ「普段は青系が多いから、ちょっと渋めの暖色で桜の花と大正浪漫をイメージしてみた」

( ´_ゝ`)「おれらのイメージはなんだんだ?ツン」

(´<_` )「それ、ほんとに聞きたいのか?」

隣に立つは兄者と弟者。

兄者はいつもの巨大金鎚を軽々と肩に担いでいる。
そ の身体を守るはオレンジに近い黄金色の鎧。上半身は両手の動きを阻害しない程度に厚めに身体を覆っており、その堅牢さを誇示している。しかし下半身は腰を 守るプレートがベルトから数枚ぶら下がっているばかりで、あとはひざ下までを覆う鎧と同系色のプレートを埋め込まれた茶色のブーツだった。
中に着るは前の男三人と似た感じのシャツとパンツ。
色も鎧を引き立てるように黒色であり、裾や襟といった場所を彩る金の刺繍が製作者のこだわりとあがきを感じさせる。

ξ゚ 听)ξ「男の服は基本つまらないけど、なんとかその中で楽しみを見つけてる。でもあんた達のはほんとにつまらない!もうちょっと防具に遊び心を加えると か、なんか出しなさいよ!要望聞いてもシンプルでとしか言わないし。悔しいから完全にシンプルでお揃いにいしてやったけど」

(´<_` )「うわ…とばっちり?」

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889 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:05:18 ID:/YGMmJyM0

顔をしかめた弟者が持つのは巨大両手斧。
その体を守る鎧は形はほとんど兄者と同じだが、色は光沢のないアンティーク調の銀色をメインにしている。それ以外によくわかる違いは腰に付けたプレートの長さと量が違うくらいで、それ以外はほとんど兄者の纏う防具と一緒だった。
中に着るものもほぼ兄者と同じで、刺繍の形と色が銀色であるのが目に見えてわかる違いだった。

ξ゚听)ξ「防具の形もほぼ一緒だし、ホント仲良いわよね」

(´<_` )「別にお揃いにしたかったつもりはないが、お前らみたいに形にこだわらなければこんな感じになっちまうんだよ。それにおれと兄者は武器も打撃と斬撃の違いはあれど、大きさや実際攻撃する時の構えの形は似てるからな」

( ´_ゝ`)「弟者は俺のことが大好きだからな」

(´<_` )「ツン、次に防具を新しくするときには形から色から何から何まで相談するからコーディネイトしてくれ。兄者の防具とは形を変えるから」

( ´_ゝ`)「お兄ちゃん悲しい」

ミ,,゚Д゚彡「でもツンにお任せするのは良いから!」

弟者の横にはフサギコ。
こちらもクーと同じく和風だが、更に和風のイメージが濃くなっていた。

ミ,,゚Д゚彡「こんなにかっこよくてすごくうれしいから!」

その姿は侍。
銀糸の混じった淡い灰色の着物とに、黒と間違えそうなほど深く暗い灰色の袴。帯も同系色だが、下帯の鮮やかな群青色が見え隠れしている。着物にはよく見ると柄も施されているが、それは生地を手に持ってみないと分からないレベルの淡く細かなものだった。
防具らしい防具はつけていない様に見えるが、よく見ると着物の衿や帯、袴のひだには同じ色のプレートが確認できる。おそらくは数値的にはそれが防御力をあげているのであろう。
足元は白い足袋と草履といった装備だが、おそらくはこちらも防御力は高く、動きを阻害することはないと思われる。
腰には一振りの刀と小太刀。
両方とも黒い鞘に納めれており、同形状の鍔と柄をしているが、柄頭の金具の色だけが金と銀に色分けされていた。

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890 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:07:12 ID:/YGMmJyM0

ξ゚听)ξ「…あんたのが一番大変だった」

(((´<_` )

( ・∀・)))

ポツリとつぶやいたツンの一言に、黙って頷く弟者とモララー。
余程大変だったのか、普段ならそれに関して喋りまくるツンとモララーが顔を見合わせるに終わり、それを見て周りが苦笑いを浮かべた。

ミ;,,゚Д゚彡「ほ、ほんとに感謝してるから!ありがとうだから!」

ξ゚听)ξ「ま、その分出来には満足してるけどね」

( ´∀`)「ふさがアクセサリーをつけるのも珍しいもなね」

フサギコの左耳に鈍く光る一つ石のピアスを見てモナーが聞く。

ミ,,゚Д゚彡「防御力と各種能力値アップのピアスだから!」

( ・∀・)「手とか胸には付けたくないとかわがまま言うから、苦肉の策でレア物の鉱石使ってやっとだよ」

ミ,,゚Д゚彡「ほんとうにありがとうだから!」

( ´∀`)「それは良いもなね。モナも頼もうかなもな」

フサギコの隣に立つのはギルドで一番の長身のモナー。
右手に持つのは身長より長い三又の鉾。つい先日新調したばかりだったが、本人曰く「このまま牧草をすくのに使いたいもな」と言うほど気に入っていた。
その体を守るのは流石兄弟と似た形の防具。色は深緑。形の違いは下半身を守るプレートが腰からぶら下がっているのではなく茶色のパンツに埋め込まれた形状をしていることぐらいであろうか。
両手には同じく茶色の革製のグローブ。これは手首まで覆う長さだが、手の甲には同色のプレートが仕組まれており、さらに手首の部分にも小さなプレートが何枚も縫い付けられていて、手首を守っている。
そして一番の違いといえば、縁を若草色の糸で刺繍をされた、深い茶色の革製マントであろう。
両肩に付けた金具に備え付けられたマントは、背中を守るのではなくモナーの左側を覆うようになっており、その長さは足元ギリギリまであった。
武器を右手に持っているから左側を覆うようになっているのは分かるが、何故そのような防具を纏っているのかというと、その答えは足元にあった。

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891 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:08:39 ID:/YGMmJyM0

▼*・ェ・▼「くぅーん」

マントの内側から顔を出すビーグル。
どこか嬉しそうに、肌触りの良いマントの内側を頬でこすりながら、周囲を伺っている。

( ´∀`)「ビーグルも気に入っているみたいもな。ありがとうもな」

(´<_` )「ビーグル用の武具が作れなかったからな。小さな盾も考えたが、それだと機動性が悪くなるからこれが一番いいだろ」

( ´∀`)「モナがビーグルをちゃんと守るもな」

▼・ェ・▼「きゃんきゃん!」

( ´∀`)「そうもなね、モナーとみんなをビーグルが守ってくれるもな」

抗議の声を上げたビーグルの頭を撫でるモナー。
それを見るメンバー全員の顔が優しさでほころぶ。

ξ゚听)ξ「マントの方はホントはもっと派手な色にしたかったんだけど」

(´<_`;)「それじゃあ隠蔽の能力値が落ちるだろうが」

ξ゚听)ξ「って言われたから仕方なくその色。生地はレア物で隠蔽能力高いから。あと緑の刺繍は木々の中に隠れるには効果アップのはずだから、意地でいれた」

(;´∀`)「ありがとうもな」

( ゚∋゚)「おれの方もその意地が働いたのか?」

ξ゚听)ξ「当り前よ」

どや顔で無い胸を張るツンに苦笑で返すクックル。

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892 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:09:53 ID:/YGMmJyM0

クックルが右手に持つは両手棍。クックルは槍も使うが、最近は棍の方が使いやすく感じていた。
紫檀のような赤みを帯びた色をもち、両端と随所に金と銀の金具をつけた棍は一見攻撃力が高そうに見えないが、実は最近兄者が作った傑作品であった。
身体を守る防具はまた特殊だった。
一枚の長方形の布の真ん中に頭を出す穴をあけ、それを体の前後にたらすように被った姿、と言えばその姿を伝えることが出来るだろうか。
生地の色はモナーのマントと同じ深い茶色。しかしマントと違ってその半分以上を緑色の刺繍と当て布によって大地の上に生きる植物をイメージした紋様が占めている。

( ゚∋゚)「これは派手じゃないのか?」

ξ゚听)ξ「あら、スキル値でいうとそんなに変わらないようにしたのよ?色も生地も糸も吟味したし」

(´<_` )「でも、プレートの色はツン指定だよな」

( ・∀・)「その色出すのに苦労したぞおい」

ξ゚听)ξ「イメージは大地に咲く一輪の花よ」

(;゚∋゚)「本気か!?」

布の前後には大きなプレートが二枚ずつ縫い付けられている。防御力の要となるそれは普段は濃いオレンジ色だが、光の加減によっては明るい赤に見えることもあった。

ξ゚听)ξ「モナーに続いての長身だし、やせ気味だから肩パットも入れてちょっと威圧感を出しつつヒマワリのような華やかさも演出してみました」

得意げにこちらを見るツンに強張った笑顔を返しつつ、自分の姿を省みるクックル。
茶色のパンツに薄いオレンジのシャツ。膝を隠すこげ茶色のブーツと同じ色の皮手袋。
色合いも姿も気に入っていただけに、イメージが自分自身と違いすぎて頭を抱えて悶えたくなるのをこらえるのに必死だった。

( ・∀・)「ああ、なるほどな」

隣でモララーが呟いて、思わずその顔を見る。

(;゚∋゚)「モララー?」

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893 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:11:12 ID:/YGMmJyM0

( ・∀・)「いや、大地と草は分かってたけど、オレンジは太陽かなとか思ってたからさ。花だと聞いて納得。でも最初から言っておいてくれればもっと花っぽい雰囲気にしたのに」

(´<_` )「だな」

ξ゚听)ξ「あら、それじゃあ次はもっと」

(;゚∋゚)「それは許してくれ」

疲れたように頭を下げるクックルを見て笑うメンバー。

特にクックルの横に立つモララーはクックルの姿を見ながらにやにやと笑っている。

(;゚∋゚)「ホントにかんべんしてくれよ、モララー」

( ・∀・)「それはツンに言ってくれ。おれらは裁縫師様に従うだけだからさ」

笑顔のモララーにがっくりと肩を落とすクックル。

そんなモララーの姿はこの中では異彩を放っていた。

黄緑色のフード付きのトレーナーに焦げ茶のベスト型鎧。革に似た表面は光沢が全くなく、金属らしさを感じさせない。
大きなポケットが付いた大き目なカーキ色のパンツは脛の真ん中まで捲られており、明るい茶色のショートブーツが存在感を示している。
腰には太いベルトと下に垂らしたサスペンダー。ベルトは普通の皮のようだが、サスペンダーが小さいプレートが縫い付けてあり、防御力をあげていた。

( ´∀`)「モララーは動きやすそうなかっこうもなね」

( ・∀・)「かっこかわいい系を目指してみた」

ξ゚听)ξ「はいはい」

胸を張るモララーと、呆れたように相槌を打つツン。

武器は右側の腰には形の違う二つの爪がぶら下がり、左側には短剣と鞭が備えられている。

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895 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:12:51 ID:/YGMmJyM0

( ゚∋゚)「また短剣も使い始めたのか?」

( ・∀・)「しぃが使ってるのを見てちょっと懐かしくなったからな」

ξ゚听)ξ「ただの飾りよ」

( ´_ゝ`)「それ、おれが冗談で作った攻撃力は最低ランクのやつだよな」

( ・∀・)「言うな」

( ^ω^)「ああ、兄者の所からただでもらったっていう」

( ・∀・)「言うな」

(´・ω・`)「メインの武器はあんまりころころ変えないでほしいけど、まあ爪と短剣ならそう変わらないか」

ずっと全員の装備を見ながらウインドウを開いて何かをしていたショボンが口を挟む。

(´・ω・`)「ギルドの固定カラーとか決めてないし服装も自由だけど、うちは皆個性的だよね」

('A`)「今日一番の『お前が言うな』だな」
 _
(;゚∀゚)「ショボンのそれはなんなんだ?っていうか戦えるのかそれで」

ξ゚听)ξ「元の私のイメージは指揮者だったのよ。前に着てたロングコートに合う感じで。でも今回はショボンの指定でインバネスコートにしたからちょっと雰囲気変わっちゃった」

川 ゚ -゚)「探偵ルックだな」

( ´∀`)「シルクハットとパイプは持たないもなか」

(´・ω・`)「……」

台の上に立つショボンの姿は、また特徴的だった。
白のウイングカラーのシャツにシルバーグレーのアスコットタイをループで留め、その上に黒のベスト。下半身は折り目のしっかりと付いた黒いスラックスと黒い皮靴。そしてその上に黒地に灰色と銀を裾や縫い目にあしらったインバネスコートを羽織っている。
コートの裾には白、赤、桃、紫、橙、金、銀、緑、茶、藍、青、群青、空色の糸で刺繍がされていた。

(´・ω・`)「ところでこの刺繍も」

.

896 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:14:25 ID:/YGMmJyM0

ξ゚听)ξ「意地よ。あんたも黒とか灰色とか銀指定なんだもん」

(´・ω・`)「……次には気を付けるよ」

コートの左腰には片手剣の中では一番短く細い剣が鞘に入って備え付けられ、右側にはリング型の武器が留められている。
普段はかけていない銀縁のスクエアタイプの眼鏡を触りながら、ギコとしぃに視線を向けた。

(´・ω・`)「じゃあはじめようか。お二人さん。前にどうぞ」

(,,゚Д゚)「!?お、おう」

(*゚ー゚)「は、はい」

道を作ってくれた九人の前に出てくる二人。
そしてショボンに無言で促されて台の上に上った。

(*゚ー゚)「あの、いったい?」

(,,゚Д゚)「何が始まるんだゴラァ?」

戸惑ってはいるが、特に不安そうな様子は見せずにショボンに問いかける二人。

(´・ω・`)「まずは、はいこれ」

開いたままのウインドウを操作して、両手に一つずつ小さな箱を実体化させる。

そしてそのまま二人に差し出した。

(´・ω・`)「はい、これ」

ギコの前には黒い箱。
しぃの前には白い箱。

(,,゚Д゚)「?」

(*゚ー゚)「?」

(´・ω・`)「ほら、早くとって」

(*゚ー゚)「は、はい」

(,,゚Д゚)「なんだ?」

首をかしげながら受け取り、ふたを開ける二人。
中には指輪が一つ入っていた。

.

897 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:15:52 ID:/YGMmJyM0

(*゚ー゚)!

(,,゚Д゚)「なんだこれ?」

目を見開いてショボンの顔を見るしぃと、さらに首をかしげるギコ。

(´・ω・`)「遅くなってごめんね。なかなか良いものが出来なくて。でも待たせた分だけ良いものをモララーが作ってくれたから」

( ・∀・)「両方とも傑作だぞ」

(*゚ー゚)「ありがとうございます!」

(,,゚Д゚)「?????」

箱から取り出し、目に近付けてじっくりとみるしぃ。
その隣でまだ不思議そうな顔をしているギコ。

( ゚∋゚)「ギコ…」

(´<_` )「ギコ…」
 _
( ゚∀゚)「ギコ!これだこれ!」

ジョルジュが自分の左手見せ、似たような指輪が中指にはまっているのをギコに示す。
それにならって全員が指輪をはめた手をギコに見せる。

(,,゚Д゚)「……!」

(´・ω・`)「ギルドの証、ギルドリングだよ。といっても、ステータスアップが出来るリングにギルドマークと名前を彫っただけだけどね」

( ・∀・)「ショボンお前、そのリングを作るのにどんなに頑張ったか」

(´・ω・`)「ごめんごめん」

笑うメンバーを気にせず、慌ててリングを取り出してしぃと同じようにじっくりと見るギコ。
そして外側に掘られたギルドマークと内側に掘られた自分の名前を見て満面の笑みを見せた。

.
898 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:17:17 ID:/YGMmJyM0

(,,゚Д゚)「ありがとうだぞゴラァ!」

(*゚ー゚)「ありがとうございます!」

ほんの少しだけ涙声で叫ぶように礼を言う二人。

(*゚ー゚)「いつくれるのかなってちょっと不安に思ってて…」

(,,゚Д゚)「二人で話してたんだぞゴルァ!」

(´・ω・`)「ごめんごめん。早くあげたかったんだけど、せっかくだから納得の出来るものあげたいねってモララーと話してたら遅くなっちゃって」

頭を掻きながら言うショボンを見てから互いの顔を見るギコとしぃ。
そして頷きあうと、二人とも右手の中指に指輪をはめた。

(´・ω・`)「おっ」

(*゚ー゚)「貰ったらここにはめようって二人で決めてたんです。」

(,,゚Д゚)「左は婚約指輪だゴラァ」

いつの日からか、ギコの左手薬指にも指輪がはめられていた。

(,,゚Д゚)「しぃに貰った!」

嬉しそうに両手をひらひらとさせるギコ。
しぃとも話し、貰ってこれだけ嬉しそうにしているのに渡された時にはピンとこないで不思議そうにしていたのがギコがギコとしてギコらしく、今や全員にほほえましく思われている点であろう。

ξ゚听)ξ「ショボン!」

(´・ω・`)「そうだね。次に行こうか」

ツンに声をかけられて、台から降りるショボン。
不思議そうにそれをみる二人を気にせず、兄者と弟者に視線を向ける。

( ´_ゝ`)「おれ達の」

(´<_` )「出番だな」

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899 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:18:37 ID:/YGMmJyM0

台に上らずにウインドウを出す二人。
そして操作を始めると、ギコとしぃの目の前にウインドウが表示された。

そこに表示される武器と防具たち。

(*゚ー゚)「これは!?」

( ´_ゝ`)「この前一緒にレア鉱石のクエストと採取に行っただろ。それで作った武器だ」

(,,゚Д゚)「防具も!」

(´<_` )「武器を存分に振るうには、それ相応の防具もないとな」

ξ゚听)ξ「あら、服も大事よ」

いつの間にかツンもウインドウを出しており、新たなアイテムが二人のトレードウインドウにならぶ。

( ・∀・)「もちろん装飾もな。あげられるステータスは上げて強化した方が良い」

モララーからも渡されるアイテムたち。

( ・∀・)「服や武器・防具より底上げ度は低いけど、その分持ち歩ける量は多いしその時強化したいステイタスにあわせて付け替えしやすいから、その時々に対して考えて装備しろよ」

(*゚ー゚)「あ、ありがとうございます!」

(,,゚Д゚)「すごいぞゴラァ!」

(´・ω・`)「まずはギルド支給の装備一式だよ。以降は自分の好きな形でそれぞれに発注するようにね。自分のレベルとステイタス・スキルに合った装備をすれば戦いやすい。そして自分好みの恰好が出来れば、気持ちも楽しくなるしね」

(,,゚Д゚)「おう!」

(*゚ー゚)「はい!」

(´・ω・`)「じゃあ折角だから着替えてきなよ。みんなも見たいだろうし」

にっこりとほほ笑んだショボンに促されて牧場の建物に向かうギコとしぃ。

それを見送るメンバー達。
全員がにやりと笑った。

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900 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:19:53 ID:/YGMmJyM0


(*゚ー゚)「あの…これ…」

(,,゚Д゚)「!」

先に着替えて戻ってきたギコ。
幾つかのパーツを組み合わせた青銅のような鎧は胸と背中、肩を覆っている。
腰には同じ素材のプレートが左右に一枚、前後に二枚ずつ付けられており、合計6枚のプレートで腰回りを守っている。
ギコはブーツも同じ材質で出来ており、向う脛まで覆うそれは鈍い光沢を放っていた。
インナーは白いシャツにデニムのような藍色をしたパンツ。パンツの縁にはかろうじて銀色の金具による縁取りが多少されているが、目に見える装飾はほとんどされていない。
肩に取り付けられたショートマントも焦げ茶色で、裾にかろうじてギルドネームをあしらった刺繍がされているが目立つほどではなかった。

( ´∀`)「なんでギコの服は装飾が少ないもな?」

ξ゚听)ξ「しぃにそれとなく好きな異性の服装を聞いたらあんな感じだったのよ。それに合わせると、隠蔽用のマントもあんまり遊べなかったから、ちょっとつまらなかったのよね」

じっとギコの服を見る男性陣のうちの何人かは、心底羨ましそうだった。

ギコの左の腰には片手剣を入れる藍色の鞘。
新しい武器に慣れるため、建物から出てきたときから右手で先ほど貰った片手剣を握っていた。

(,,゚Д゚)「……」

そして軽く素振りをしていたギコだったが、先ほどから動きがとまり、固まっている。

(**゚ー゚)「やだなあギコ君、そんなに見ないでよ」

(,,゚Д゚)「しぃ……」

ξ゚听)ξ「よし!やっぱりよく似合う!」

少しだけ恥ずかしそうに歩いてくるしぃ。

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901 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:21:32 ID:/YGMmJyM0

白のノースリーブに薄い茶色の皮のショートパンツ。その服装は男性を煽情させる肢体を如実に外に示しており、しぃが恥ずかしそうにしているのはそのせいであろう。
両肩を通ってショートパンツに繋がる太めのサスペンダーは淡いピンク色で、縫い付けられた同色のプレートが、モララーの付けていたサスペンダーと同じく防御力を想像させる。
ショートパンツよりも少しだけ濃い茶色のブーツは編み上げのショートタイプで、細い足を更に細く見せていた。紐と飾りがピンク色で、シンプルな中にサスペンダーと合わせて女性らしい可愛らしさを魅せていた。
腰にはブーツと同じ茶色の太いベルトが緩く装着されていて、先ほど貰った短剣を後ろ側に横向きに納める鞘が付いている。おそらくはこれにも防御力を上げるプレートなどが仕込まれているのだろう。
左手の肘まで覆う茶色のグローブは手甲の役目を持ち、普段右で武器を扱うため右のグローブは動きを阻害しないために手の甲と手首付近を守るようなデザインとなっていた。

川 ゚ -゚)「良く似合ってるぞ、しぃ」

(*゚ー゚)「ありがとうございます」

(,,゚Д゚)「しぃ……」

ツンとクーのもとに駆け寄るしぃ。
それを目で追いつつ、体の向きを変え、けれど固まったままのギコ。

('A`)「ギコ、そろそろ目を覚ませ」

(,,゚Д゚)「え、あ、う、」

( ´_ゝ`)「まぁ、気持ちは分かるがな」

( ・∀・)「しぃちゃんもともと可愛いけど、ツンの作った服は卑怯だ」

(´<_` )「でも、ちゃんと防御力はレア防具クラスまで上げてあるぞ。もちろん全員そのレベルまで上げてあるが」

(,,゚Д゚)「……ゴルァ」

そして固まったままのギコに寄ってきた四人がギコをからかっていると、再びショボンが台の上に上った。

(´・ω・`)「さて、全員フル装備になったところで今日のメインイベントを始めて行こうか」

よく通るショボンの声で、ギコとしぃを除く全員が姿勢を正してショボンを見る。
慌ててそれに倣う二人。

(´・ω・`)「ギルド『V.I.P.』恒例!『チキチキ決闘大会』!始めるよ!」

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902 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:23:03 ID:/YGMmJyM0



2.ギルドの練習



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903 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:24:17 ID:/YGMmJyM0

ショボンの言葉を受けて盛り上がるメンバーを見ても、何のことか分からず呆然とする二人。
眉間にしわを寄せてショボンを見るギコに近寄るしぃ。

(*゚ー゚)「ぎ、ギコ君」

(,,゚Д゚)「し、しぃかゴルァ」

(*゚ー゚)「今、ショボンさん決闘とか言ってたよね」

(,,゚Д゚)「ああ、言ってたなゴラァ」

(´・ω・`)「各人の能力を肌で感じ、スキルをじっくりと見て、パーティーを組んだ時誰とでも最高のコンビネーションを行うために、みんな頑張ろう!」

雄叫び、というよりは和気藹々とした歓声あげるメンバー達。
それぞれに装備の確認を始めていく。

(´・ω・`)「だけど、今日は午前中はギコとしぃがメインだからね」

(,,゚Д゚)!?

(*゚ー゚)「え?」

ショボンの言葉に構わず準備を続けるメンバー。
ショボンもそれを気にすることなく、自分を見る二人に話を続ける。

(´・ ω・`)「実は、VIPでは各々の技量を全員が認識してコンビネーションに活かすためにギルド内模擬戦大会を行ってるんだ。模擬戦といっても初撃決着モー ドの決闘だけどね。戦闘中はなかなかソードスキルをじっくり見ることはないし、かといって安全に戦うために低層階でモンスターを狩るのはマナー違反だから ね。最初は圏内で守られた状態や的に向かってスキルを観察したりとかしてたんだけど、やっぱりやるにも見るにもなんか調子が出なくてね」

困ったように笑い、頭を掻いて一呼吸置く。

(´・ω・`)「それになにより、つまらないんだよ。楽しくない」

(;,,゚Д゚)「……」

(;*゚ー゚)「……」

.

904 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:26:17 ID:/YGMmJyM0

(´・ω・`)「で、始めたのが決闘形式の大会。実力も分かるし、真剣になるしね。もちろん優勝者には商品もあるよ」

(;*゚ー゚)「でも…決闘なんて……」

(´・ω・`)「人を……しかも仲間に武器を向けるのは抵抗あるよね。でも、悲しいことだけどこの世界で武器を持ってフィールドやダンジョンに出るということは、自分や仲間を守るために人に武器を向ける日が来てしまうかもしれないんだ」

(,,゚Д゚)「!……それは」

(*゚ー゚)「!オレンジプレーヤー……。『笑う棺桶(ラフィン・コフィン)』のような、殺人ギルド」

(´・ ω・`)「そう。悲しいことだけど、この世界では悪意や敵意を持って自分や仲間に武器を向ける相手に出会う可能性がゼロではないんだ。その時に自分や仲間 を死なせないために、そして何より自分に武器を向けて攻撃してきた相手を殺さないために、知っていてほしいんだ。人に武器を向ける恐さとその覚悟、そして 守るための技術を」

(,,゚Д゚)「………」

(*゚ー゚)「………」

(´・ω・`)「分かってくれるかな」

(,,゚Д゚)「ああ。分かったぞゴルァ」

(*゚ー゚)「はい…がんばります」

(´・ω・`)「よかった」

一瞬切なそうに笑ったショボンだったが、一呼吸置くとすぐにいたずらっ子のような笑みを見せる。

(*゚ー゚)!

(,,゚Д゚)?

.

905 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:27:30 ID:/YGMmJyM0

(*゚ー゚)「あ、で、でもショ」

(´・ω・`)「二人も納得してくれたところで、まずは今日のスケジュールを言うね」

(*゚ー゚)「ボンさん、あの」

台の上からニッコリとほほ笑んで周りを見回すショボン。

(´・ω・`)「午前中はギコとしぃの訓練タイム!」

(*゚ー゚)「あああああああ。やっぱりなんかあった!」

(,,゚Д゚)!?
 _
( ゚∀゚)( ^ω^)ξ゚听)ξ川 ゚ ?゚)
( ´_ゝ`)ミ,,゚Д゚彡( ・∀・)
( ´∀`)( ゚∋゚)
「いえーい!」
          ('A`)(´<_` )

▼・ェ・▼「きゃん!」

(;*゚ー゚)「しかもみんなまでグルだった!」

(,,゚Д゚)??

(´・ω・`)「ギコとしぃは各々全員と最低1回初撃決闘!各人最高5回までチャレンジ可能!全部で60回!その回数の中で一回で良いから誰かに勝つこと。もし勝てなかったら罰ゲーム!」

 _
( ゚∀゚)( ^ω^)ξ゚听)ξ川 ゚ ?゚)
( ´_ゝ`)ミ,,゚Д゚彡( ・∀・)
( ´∀`)( ゚∋゚)
「いえーい!」
          ('A`)(´<_` )

▼・ェ・▼「きゃん!」

(*゚ー゚)「え!え!!え!!!?」

(,,゚Д゚)「?????な、え?」

.
980 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 22:46:48 ID:rNWJ39U20

ξ゚听)ξ「ちなみにしぃの罰ゲームはこれよ」

衣装を一つ実体化させるツン。
その手に持たれるのはフリルたっぷりのピンクのメイド服。

ξ゚听)ξ「今はシンプルなギャルソン服でバーボンハウスに出てるけど、勝てなかったら当分の間この服で給仕をしてもらいます」

(*゚ー゚)「む!むりです!」

川 ゚ -゚)「ではこちらか」

何故かクーが実体化させると、その手にはツンが手に持つ物よりはレースが少ないが、その分体の線を出し、更に胸を強調する形のエプロンをつけた超ミニスカートの服。

(;*゚ー゚)「も、もっとむりです!」

川 ゚ -゚)「大丈夫だ、これはミニスカートに見えるが実はショートパンツで」

スカートのように見える部分をめくるクー。

(;*゚ー゚)「そういう問題じゃありません!」

(´・ω・`)「ま、60回のうち1回誰かに勝てればいいから」

(*゚ー゚)「うーーーー」

(,,゚Д゚)「お、おれの罰ゲームは」

( ^ω^)「安全圏で僕の攻撃を20分受け続けてもらうお」

(,,゚Д゚)「!」
 _
( ゚∀゚)「ブーンがいやならおれで」

('A`)「おれでもいいぞ」

(;,,゚Д゚)「しぃ!頑張って勝つぞゴルァ!」

(;*゚ー゚)「うん!がんばろう!ギコ君!」

.
907 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:30:20 ID:/YGMmJyM0

罰ゲームを聞いて気を引き締めなおすギコとしぃ。

(´・ω・`)「やる気になってくれて嬉しいよ」

そしてほほ笑むショボンをじとっとした目で見つめる。

(´・ω・`)「あまりにも勝てそうになかったら、ちゃんとハンデも設定するしね」

さらににこやかに話すショボンだが、二人の恨めしそうな視線は変わらない。
その視線をもろともせずに、残りのメンバーに視線を向ける。

(´・ω・`)「さて、二人にペナルティがある以上、僕らにもペナルティがないとね」
 _
( ゚∀゚)( ^ω^)ξ゚听)ξ川 ゚ ?゚)
( ´_ゝ`)ミ,,゚Д゚彡( ・∀・)
( ´∀`)( ゚∋゚)
「え!?」
          ('A`)(´<_` )

(´・ω・`)「僕を含めた十二人は、一回目の戦闘でギコもしくはしぃに負けたら、罰ゲームと行こうか」

先ほどまでにこやかに話していたメンバーの顔がこわばる。

('A`)「…内容は?」

(´・ω・`)「ギコとしぃと同じ内容で良いんじゃないかな」
 _
( ゚∀゚)( ^ω^)ξ゚听)ξ川 ゚ ?゚)
( ´_ゝ`)ミ,,゚Д゚彡( ・∀・)
( ´∀`)( ゚∋゚)
「え!?」
          ('A`)(´<_` )

(´・ω・`)「それじゃあつまらないか…。何かほかに」
 _
(;゚∀゚)(;^ω^)ξ;゚听)ξ川;゚ ?゚)
(;´_ゝ`)ミ;,,゚Д゚彡(;・∀・)
(;´∀`)(;゚∋゚)
「いや、それでいいです」
          ('A`;)(´<_`;)

.

908 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:32:17 ID:/YGMmJyM0

(´・ω・`)「そう?」
 _
(;゚∀゚)(;^ω^)ξ;゚听)ξ川;゚ ?゚)
(;´_ゝ`)ミ;,,゚Д゚彡(;・∀・)
(;´∀`)(;゚∋゚)
「はい!(絶対もっとひどいペナルティにされるから!)」
          ('A`;)(´<_`;)

(´・ω・`)「ん〜。つまらないけどまあいいか。まさか一回目で負けるメンバーもいないだろうしね」
 _
(;゚∀゚)(;^ω^)ξ;゚听)ξ川;゚ ?゚)
(;´_ゝ`)ミ;,,゚Д゚彡(;・∀・)
(;´∀`)(;゚∋゚)
「(プレッシャーひどい)」
          ('A`;)(´<_`;)

▼・ェ・▼「くぅ〜ん」

(*´・ω・`)「もちろんビーグルちゃんは罰ゲームとかないからね」

▼*・ェ・▼「きゃん!」
 _
(;゚∀゚)(;^ω^)ξ;゚听)ξ川;゚ ?゚)
(;´_ゝ`)ミ;,,゚Д゚彡(;・∀・)(;゚∋゚)
「(ビーグルめ!)」
          ('A`;)(´<_`;)

▼*・ェ・▼「きゃん!きゃん!」

( ´∀`)「(ビーグルはやっぱりお利口さんもなね)」

(´・ω・`)「さて、詳しいルールは特に無しだけど、とりあえず二人は交互に休憩を取りつつ、残りは連戦にならない様に順番に気を付けて、始めようか」

表情を引き締め、ギコとしぃを見るショボン。

その表情は今までの柔らかさが全くない、冷徹なものだった。

思わず背筋を伸ばして姿勢を正し、気を引き締める二人。
他のメンバーも和やかな笑顔を消して三人を見る。

.

909 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:33:48 ID:/YGMmJyM0

(´・ω・`)「まずは僕とギコかな。ギコ、いける?」

(,,゚Д゚)「ゴ、ゴルァ!いくぞ!」

(´・ω・`)「よし、じゃあ行こうか」

片手剣をぎゅっと握るギコ。
ショボンの顔に、不敵な笑みが走った。



川 ゚ -゚)「モナー」

( ´∀`)「なにもな?」

川 ゚ -゚)「一応確認だが、不可視モードにはしてあるよな?」

( ´∀`)「大丈夫もなよ。今日は朝起きた時からしてあるもな」

念のため牧場の管理者専用画面を開くモナー。
項目がちゃんと選択されているのを確認する。

( ´∀`)「大丈夫もな」

(´<_` )「この連戦を見られていたら、うちのギルドは丸裸だからな」

('A`)「まったくだ」

通常牧場と農場は敷地の外からも中を見られるようになっている。
外観的な要因もあるが、何より『商売』という前提がある場合は開かれた環境が必要だというのがショボンの信念の一つであったからだ。
しかし今日は外から中を覗いてみることが出来ない様にしてあった。
それは、『戦闘』をギルド外の人間に見せないためである。

(´・ω・`)「モードは初撃。先に相手にしっかりとした一撃を与えるか、HPをレッドにした方が勝ち。いいね」

ギコの前に、ウインドウが浮かぶ。

【Shobonさんから決闘が申し込まれました】

(,,゚Д゚)「了解だゴルァ!」

モードを選択し、

【YES】

の、ボタンを触った。

.

910 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:35:31 ID:/YGMmJyM0

≪ギコ vs ショボン≫


空中に浮かぶカウントダウン。
ゼロになった瞬間に決闘が始まる。

(,,゚Д゚)「(ショボンが構えている武器は細剣に見えるが片手剣。つまり剣技は俺と同じ。でもあのタイプは投剣に使い勝手が良いって勉強会で言っていたタイプの剣。しかも相手はショボン。直線的に動くのはダメ。ブーンに教えてもらったステップで近寄って速攻!)」

カウントがゼロになった瞬間、多少ぎこちなさが残るものの舞うようなステップを踏んで左右に跳びながら近寄ろうとするギコ。
その視線の先でショボンが剣を投げるのが見える。

(,,゚Д゚)「(よし!)」

しかしその瞬間、無数の銀の線がギコを襲う。

(,,゚Д゚)「な!」

慌てて回避行動をとるが、バランスを崩してしまい転んでしまう。

(;,,゚Д゚)「ゴラァ!」

慌てて立ち上がろうと地面に手を着いたギコの視線の先には、大地に刺さるショボンの剣。

(,,゚Д゚)「?」

それが引き抜かれ、剣の切先で肩を突かれる。

(,,゚Д゚)「え?」

(´・ω・`)「はい、終了」

ファンファーレが鳴り、ショボンの頭の上には【WINNER】の文字が浮かぶ。
呆然と見上げた視線の先にはショボン。
ニッコリとほほ笑んでいるが、優しさよりも強者の余裕を感じる。
そして纏っているコートの内側に数えきれないほどの針や投擲剣が張り付けられているのが見えた。

(,,゚Д゚)「………」

(;゚∋゚)「コートの内側あんなことになってるのか」

ξ゚听)ξ「装備を出来るだけ軽くして内側に死ぬほど装備できるようにしてくれって言うからさ。あの形のコートなら前のコートよりいっぱい取り付けられるからね」

装備の制作にかかわったツン、モララー、弟者、兄者以外のメンバーが驚いたように見つめる中、決闘は終了した。

.

911 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:37:02 ID:/YGMmJyM0

≪しぃ vs クー≫


川 ゚ -゚)「ギルマスが出たから、次は副の私が出ないとな」

ウインドウでの操作が終わり、カウントダウンが始まる。

短剣を構え、まっすぐにクーを見つめるしぃ。

(*゚ー゚) 「(リーチでは完全に負ける。でも中に入れば勝機はある。クーさんの薙刀は直線よりも円の動きに特化されているはず。突きもできるけど剣技として突きを多 用するのは薙刀の特性を活かしてないって言ってた。でも円の動きをしているクーさんの中に入るのは難しい。だから何とかして突きをしてもらって、フェイン トで中に入れれば。それには…)」

カウントがゼロになった瞬間駆け出すしぃ。

(*゚ー゚)「(緩急をつけた踏み足でタイミングを取らせない直線的な攻撃。これなら突きの攻撃を誘えるかもしれない)」

川 ゚ -゚)「 」

下段に薙刀を構えたクーが口元に笑みをこぼしながら前に進む。

(*゚ー゚)「(よし!)」

タイミングを見計らって横に跳ぶために踏み出したしぃの左足。
しかしその足を払うようにクーの薙刀が襲い掛かる。

(*゚ー゚)!

それを避けるために充分なためを行わずに宙を舞うしぃ。
そのために高さが低くバランスを崩してしまうが、何とか短剣を構えて空中で剣技を放とうとする。

しかしその前に胴体に打ち込まれる薙刀。

跳んだ高さが足りなかったために刃の部分ではなく柄の部分ではあったが、その代わりに大地に打ち付けられてしまう。

何とか反応して体を丸めて防御はしたものの、落ちてバウンドしたと同時に大きく減るHP。
そしてレッドになり、ファンファーレが鳴り響いた。

川 ゚ -゚)「だ、大丈夫か!?」

頭の上に【WINNER】の文字を浮かべたクーが手を差し出す。

それを掴んで立ち上がりながら、

(*゚ー゚)「あと四回のうちに一回は勝ちます!」

と宣言し、クーが笑顔を見せた。

.
912 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:38:23 ID:/YGMmJyM0

≪ギコ vs 兄者≫


(,,゚Д゚)「(パワータイプの大金鎚。一発でも当たったらアウト。でもその分小回りができない。振り回すにも隙があるはず。まずは一発打たせて何とか避ける!)」

( ´_ゝ`)「いろいろ考えすぎるとお前の良さがなくなるぞー」

走り出したギコだったがそのスピードは先ほどよりは遅い。

(,,゚Д゚)「ゴルァ!」

半分ほど進んでから加速する。

( ´_ゝ`)「なるほどな」

加速しながら弧を描くように兄者に向かう。
希望では自分に対して正面を向いてほしかったが、兄者は視線で追うだけで動こうとはしない。

(,,゚Д゚)「!ならば!」

そのままさらに加速し、兄者の左斜め後方から剣技を放つ。

(,,゚Д゚)「ゴルァ!!!」

( ´_ゝ`)「単発重攻撃…ねぇ」

肩に担いでいた大金鎚を片手で軽々と持上げたかと思うと、そのまま手首を返してギコのやってくる方向に振り下ろした。

(,,゚Д゚)「!」

驚いたものの自分に当たる距離ではなく、にやりと笑って攻撃を与えようとした。

(,,゚Д゚)「ゴルァ!」

片手剣を振り下ろすと同時に下から突き上げられた大金鎚。
兄者が手首のみで振り上げたのだった。

(,,゚Д゚)「がっ!」

剣が弾かれ、反動で尻餅をつくギコ。
その頭上から振り下ろされようとする大金鎚。

( ´_ゝ`)「武器の特性の差は見極めと判断を誤るとこうなる。覚えておけよー」

自分の正面に立つ兄者の言葉。
次の瞬間ギコの左肩に衝撃が走った。
.

913 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:40:17 ID:/YGMmJyM0

≪しぃ vs 弟者≫


(´<_` )「しぃちゃんとか〜。女の子と戦うのは緊張するな。ちゃんと攻撃できるかな」

ξ゚听)ξ「私は前回の大会であいつの斧に手を切断されそうになったのを忘れない」

川 ゚ -゚)「奇遇だな、ツン。私もだ」

(´<_`;)「さ、さあ本気でやるよ、しぃちゃん」

(*゚ー゚)「(弟者さんの斧も兄者さんほどじゃないにせよ巨大。クーさんよりは動きは遅くなる。さっきのギコ君の戦いを参考にして、まずは場をかき回す!)」

カウントゼロと共に駆け出すしぃ。

(´<_` )「おっ」

槍から変更してからまだ二ヶ月ほどではあるが、短剣を主武器にしてからはその特性を活かすためにスピードを重点的にあげてレベルアップを繰り返した。
その経験を存分に活かしてフェイントを織り交ぜて舞うように跳躍するしぃ。

(´<_` )「おおっ」

弟者が感心したように呟く。
それは周囲のメンバーも同じで、まだ洗練はされていないが充分に見応えと強さを感じさせるしぃの跳躍に歓声が上がった。

(*゚ー゚)「(まだ!)」

その声が聞こえているのかいないのか、更に加速するしぃの跳躍と駈足と短剣の振り。
フェイントとはいえ弟者の肌をかする一撃もあり、ほんの少しだが弟者のHPバーが減った。

(´<_` )「やばいなぁ。負けちゃうかも」

けれどおどけた様に呟く弟者。

.

914 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:41:20 ID:/YGMmJyM0

(*゚ー゚)!

その呟きを聞いて更に加速しようとしたしぃ。
しかし目前に振り下ろされた斧の側面が映り、回避できずにぶつかってしまった

(´<_` )「でも、まだ動きが甘いね」

顔を覆ってうずくまるしぃ。HPバーが少しだけ減った。

(´<_` )「おれに剣を当てることの出来た動線に頼ってしまっていたから、ここぞという時の動きが読めてしまった。せっかくのスピードが活かしきれてない感じだな」

しぃに振り下ろされる斧。
側面で叩きつけられて、HPをレッドにされてしまった。

頭上に【WINNER】の文字を浮かばせた弟者がしぃのそばにしゃがむ。

(´<_` )「だいじょうぶ?」

(*゚ー゚)「は、はい。でもなんで側面で」

(´<_` )「ん〜。やっぱり女の子を斧で切断するとかなかなか厳しいかと…」

川 ゚ -゚)「私は前回の大会であいつの斧に胴体を切断されそうになったのを忘れない」

ξ゚听)ξ「奇遇ね、クー。私もよ」

(´<_`;)「せっかくの機動性も動きを読まれたら半減というより弱点になるからね。勝ちにあせらずフェイントも織り交ぜて動きをかき回したほうが良いかな」

(*゚ー゚)「はい!」


.

915 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:42:51 ID:/YGMmJyM0

≪ギコ vs クックル≫


両手棍を下段に構えたクックルに対し、右手に持った片手剣を前に半身で構えるギコ。

(,,゚Д゚)「(まず注意するのはそのリーチ。あの両手棍ならおそらくメンバー1.まともに直線でいっては餌食になるが、見える動きをしても円の動きで防御されるし飛ばされる。かといって待っていても価値を想像できない。なら…)」

カウントがゼロになると同時にまっすぐに駆け出すギコ。

( ゚∋゚)「…ほう」

少しだけ驚くも慌てることなく両手棍の先を少しだけ持ち上げ、タイミングを合わせてほんの少しだけ下から掬い上げるように攻撃をする。

(,,゚Д゚)「よし!」

受ける瞬間自分の人中線より少しだけ右に両手棍が動くのを見極め、左下側に向かってスライディングするギコ。
そしてそのまま、両手棍を打つために踏み出したクックルの右足を狙って剣を振るう。

(,,゚Д゚)「ゴルァ!」

だがしかし、そこにクックルの足は無かった。

(,,゚Д゚)「え!?」

( ゚∋゚)「甘いな」

両手棍を打つと同時にそのまま逆の足を前に出し、その足と棍を使って跳びあがっていたクックル。

(,,゚Д゚)「え?」

上から聞こえた声におもわず顔をあげると、目前に両手棍が迫っていた。

(,,゚Д゚)「ゴラァ!」

顔を思いっきり叩かれるとヒットポイントバーが赤になるまで減り、ギコの耳に負けを告げる音楽が聞こえた。

( ゚∋゚)「発想は良いが動きが読まれるな。あと、わざと人中線より左側、お前から見て右側を狙うように棍を突き出したのは分かってるか?」

(,,゚Д゚)「!」

( ゚∋゚)「フェイントだけじゃなく、ミスをしたように見せかけて相手を自分の思い通りに動かすやり方もある。相手の力量を過不足なく推し量るのは戦闘の基本だぞ」

(,,゚Д゚)「ゴルァ…」
.
916 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:45:06 ID:/YGMmJyM0

≪しぃ vs モナー≫


( ´∀`)「ビーグルはショボンの所にいるもな」

▼・ェ・▼「きゃん!」

(*´・ω・`)「ビーグルちゃん!こっちだよ!」

カウントダウンが始まってからビーグルをショボンのもとに走らせるモナー。

その間も必死に思考を続けるしぃ。

(*゚ー゚) 「(相手との間の取り方、選ぶ攻撃の種類、位置取り、短刀での基本的な動き方はモナーさんに教わったと言ってもいい。つまり、動きはすべて読まれて当然。 まだ私にはその上の動きが出来るとは思えない。でも、スピードとステップはブーンさんとツンさんから教わった。だから、これで闘う!)」

カウントゼロと共に助走なしに跳躍するしぃ。

( ´∀`)「もな?」

もちろんそんな跳躍では対して跳ぶことは出来ず、モナーが構える三又の槍の射程範囲に入りはしない。

( ´∀`)「!」

着地と同時に右側に走るしぃ。
しかし数歩走ったと思うとすぐに跳躍する。

基本は周囲を走りまわって跳ぶだけだが、跳ぶ方向が円状だったり直線状だったりとランダムであり、また時には離れたりする場合もあるためモナーは動きが読めないでいた」

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917 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:48:40 ID:/YGMmJyM0

( ´∀`)「ブーンに教わった動きを使って、弟者に教わったことを活かそうととしているもなね」

にこやかにしぃの動きを分析するモナー。

( ´∀`)「でも、こうされたらどうするもな?」

下段に構え、剣技を発動するモナー。

( ´∀`)「はっ!」

赤い光を纏った槍を両手を使って振り回す、全方位技。
すべて当たれば5連撃となるが、この技の使い勝手の良さはそれではない。

(*゚ー゚)「くっ」

通常自分に対して水平に回すのが槍での「全方位」技なのだが、この技においては上空に切っ先を向けて槍を振り回す動きが一回あるため、位置とタイミングさえ合わせれば本来ならば届かない場所にいる飛ぶ敵にも一撃を与えることが出来ていた。

しぃの跳躍に合わせてその槍の振りを合わせたモナーの読みは経験に裏付けられたものであった。

(*゚ー゚)「きゃっ!」

三又の側面で叩きつけられて地面に落ちるしぃ。

( ´∀`)「しぃ、この短期間で完全に短剣の扱いを自分の物にしたもなね。すごいもなよ。でも、まだまだ上達出来るもな」

短剣を持つ右手に突き刺さる三又の中央の切先。

しぃのHPバーがレッドに変わった。

.

918 名前:名も無きAAのようです:2013/10/08(火) 23:51:03 ID:/YGMmJyM0

≪ギコ vs フサギコ≫


一定の距離を置いて立つギコとフサギコ。
すでにカウントは始まっている。

(,,゚ Д゚)「(ふさの剣は刀。刀の特性は剣技による連続技。この世界では唯一といってもいい同じ武器での剣技から剣技への連続技。しかも最初の居合技数種とつ ながる剣技の組み合わせは数十通り。まずは構えた刀の角度と剣技を放つときの色で最初の一手を相打ちして連続技を封じる!)」

片手剣を両手で持つように正眼の構えを取るギコ。
 _
( ゚∀゚)「あ、こりゃ一発で決まるな」

(*゚ー゚)「え?で、でもあの構えならフサギコさんの一撃目を防御し易くないですか?」

( ´_ゝ`)「ん〜わかればね」

(´<_` )「ふさは刀スキルをメインにしてから色は変われどずっとあの形の装備だからな」

(*゚ー゚)「?」

カウントゼロになると同時に走り出すフサギコ。

(,,゚Д゚)「(見極める!……え?)」

剣技の射程圏内に入った途端にフサギコは技を発動。

そして硬直したギコの横を風のように通り過ぎ、刀によって腹部を切った。

(,,゚Д゚)「え?」

呆然と立ち尽くすギコのHPバーがレッドに変わる。

ミ,,゚Д゚彡「まだ敵じゃないから」

刀を鞘に納め、振り返るフサギコ。
それと同時にギコが膝をついた。

(;*゚―゚)「え?え?え?」

.

919 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:52:55 ID:/YGMmJyM0

( ´∀`)「横から見ると分かるもなけど、正面から見ると着物の袂や裾が広がって剣の向きや角度、剣技を放つ時の光の色が見えなくなるもなよ」

( ・∀・)「姿勢も半身気味にして、しかもそれほど大きくない身体を屈めるように走るから、手元も見えにくい」

( ゚∋゚)「それに左手で右手を隠すようにしているしな」

( ^ω^)「スピードも速いおね。僕ほどじゃないけどドクオくらいはあるんじゃないのかお?今は抑えていたみたいだからそれほど速く見えなかったけど」

ξ゚听)ξ「『武器と戦い方に合わせた服』。私の理想だし自分で作っておいてなんだけど、あれはチートと言えばチートよね。これからも作るけどさ」

川 ゚ -゚)「私の場合は薙刀に合わせただけで特に意味はないが、ふさは刀の強さを何倍にもしているな」

呆然と見るしぃ。
そしてまだ愕然と膝をついた姿勢で固まっているギコ。

ミ;,,゚Д゚彡「だ、だいじょうぶだから!ちゃんと手加減したから!」

('A`)「あ、追い打ちした」

四つん這いになり首を垂れるギコに慌てて駆け寄るフサギコ。

(´・ω・`)「さすが歴代チャンピオンだよね」

(;*゚ー゚)「?」

(´・ω・`)「今まで四回、トーナメント形式を三回と、総当たりを一回やっているんだけど、そのうち三回ふさが優勝したんだよ」

(;*゚ー゚)「えええええええ!?」

('A`)「あ、因みに残りの一回はおれね」
 _
( ゚∀゚)「最初の一回だけだろうが」

( ´∀`)「確かふさが刀にコンバートしたばかりの頃もな」

('A`)「それでも優勝しているんだからいいんだよ!」

呆然とするギコとしぃ、おろおろとするフサギコ以外の面々が、楽しそうに笑った。

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920 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:55:02 ID:/YGMmJyM0

≪しぃ vs  モララー≫


( ・∀・)「それじゃあやろうか」

今まで対戦した相手の中では一番軽く言ったモララーだが、しぃには緊張を加速する要因だった。

(;*゚ー゚) 「(モララーさんの武器は爪。今までは自分よりリーチの長い相手に潜り込むことを目指してやってきたけれど、爪は同じくらいかあちらの方が短い。威力もそ れほど強くないから回数当てるか剣技を命中させなければ一発での終了はない…はず。スピードとフェイント、読みでは多分勝てないけど、アクロバティックな 動きを混ぜればかく乱できるかもしれない!)」

カウントがゼロになった瞬間走り出すしぃ。
そして同じくモララーも走り出していた。

(*゚ー゚)!

今までのメンバーが自分の攻撃を受けてから流してくれていたため今回もそのつもりで走り出していたしぃにとって、その行動は想定外で一瞬動きを迷ってしまった。
しかしすぐに気を取り直して予定より早くステップを踏んで回避しようとする。

( ・∀・)「遅い」

だが剣技により加速したモララーは既にしぃの目の前にいた。

(;*゚ー゚)!

防御しようとするしぃの動きをあざ笑うかのように、隙間を縫って爪の先がしぃの身体を裂く。

.

921 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:56:17 ID:/YGMmJyM0

(*゚ー゚)!

少しずつHPを減らされ、とうとうHPバーの色が赤くなった。

( ・∀・)「はい、終了」

(;*゚ー゚)「はぁ…」

笑顔で攻撃を止め、武器を腰に戻すモララー。
荒い息を吐きながら膝をつくしぃ。
結局しぃはモララーに対しては一撃も攻撃を与えることが出来ず、試合は終了した。

( ・∀・)「ギコやジョル、ブーンみたいに本能で闘ってるやつらと違って、おれ達は理性で闘ってるから想定外のことをされた場合に瞬間思考が止まることがある。一対一での闘いでは致命的な隙になることがあるから、まずはそうならない戦い方をしないと」

カウントが始まってからの真剣な瞳は消え、普段の飄々とした雰囲気を纏う。

(*゚ー゚)「どうすれば…」

( ・∀・)「それは自分のスタイルだ。自分で自分のスタイルを見付けるしかない。まぁでも参考にはなるだろうから、ショボン以外に色々聞いてみればいいよ」

(*゚ー゚)「なんでショボンさん以外なんですか?」

モララーが手を差し出し、しぃはその手を借りて立ち上がった。

( ・∀・)「俺ら全員の行動と敵の動きを瞬時に計算して指示を出す思考能力と同等のことが出来る自信があるなら止めないけど」

(;*゚ー゚)「……止めておきます」

( ・∀・)「参考程度に聞くのなら良いと思うぞ」


.

922 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:57:38 ID:/YGMmJyM0

≪ギコ vs ツン≫


ξ゚听)ξ「さっさとやるわよ」

金色のツインテールをなびかせながら颯爽と歩いてやってきたツンが、ギコの前で細剣を構えた。

(,,゚Д゚)「おう!」

はじまるカウントダウン。

(,,゚Д゚)「(細剣は突きがメインの武器。だがツンが好むのは薙ぎ払いもできるタイプ。今構えている剣もそのタイプ。早さ、正確さ、読みでは負けるが剣の重さと強さなら勝機があるはず。パワーで攻める!)」

ξ゚听)ξ「(とか考えてるわよね。多分)」

身体の右側側面をギコに向け、そのまま右手で持った細剣の切先をギコに向けるツン。
細剣使いの基本的な戦闘スタイルなのだが、その服装のせいもあってまったく強さを感じさせない。

ξ゚听)ξ「(ま、それも経験よね)」

カウントゼロと同時に走り出すギコ。
すでに刀身は赤く輝いている。

ξ゚听)ξ「真っ向勝負は私も嫌いじゃない!」

(,,゚Д゚)「ごるあっぁっぁあああああ!」

右斜め上から渾身の力を込めて切り下したギコの片手剣を、細剣のかなり細い刀身の中央付近で軽々と受けるツン。

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923 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/08(火) 23:58:31 ID:/YGMmJyM0

(,,゚Д゚)「が!」

ξ゚听)ξ「重三連撃の初手。これで私の体勢を崩して二手目と三手目のどちらかだけでも当てることが出来れば勝てるとでも思った?」

(;,,゚Д゚)「細剣でこれをこんな簡単に!」

ξ゚听)ξ「レベル差もあるけど、細剣にだって色々あるのよ。片手剣にだって、細い太い重い軽い長い短い色々あるでしょ。見た目だけでわかるなんて思わないこと。それに個人のスキルが重なれば、すべてを初撃で見極めるなんて無理に等しい!」

そしてそのまま片手でギコを剣ごと跳ね返す。

(;,,゚Д゚)「ごっ!」

剣を跳ね上げられて防御もままならない態勢となり、更に剣技をキャンセルさせられたことによる硬直を起こすギコ。

ξ゚听)ξ「はい、終了。対人戦において力量を推し量るのは、装備だけじゃダメ。相手の性格を読むのよ」

ギコの腹に吸い込まれるように突き刺さるツンの細剣。
ギコのHPバーが赤に変わった。


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924 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:00:06 ID:3eA4AcvU0

≪しぃ vs ジョルジュ≫


(;*゚ー゚)「(ジョルジュさん…か…)」
 _
( ゚∀゚)「やっと出番だ!」

(;*゚ー゚)「(まったく勝てる気がしないんですけど)」
 _
( ゚∀゚)「うらうらうらうらうらうらうら!」

(;*゚ー゚)「(いろんな意味で)」

まだカウントダウンも始まっていない状態で両手剣を振り回して体をほぐしているジョルジュ。

(´・ω・`)「ジョルジュー。決闘申請しないと始まらないからねー」
 _
( ゚∀゚)「うらうらうらうらうらうらうら!」

( ^ω^)「聞こえちゃいないお」

('A`)「まったくあいつは」

カウントダウンが始まっていないのは当然で、まだジョルジュはしぃに決闘申請を送っていなかった。

川 ゚ -゚)「私たちの方から申請するって決めただろうが」

( ゚∋゚)「すっかり忘れてるな」

呆れるメンバー達に気付かないで剣を振り回し続けるジョルジュ。

(´・ω・`)「鬱憤でもたまってるのかな」

コートの中から細い針を一本取り出し、ジョルジュに投げるショボン。
圏内コードに守られているため当たることはないが、大きな衝撃がジョルジュを襲った。
 _
(;゚∀゚)「うを!」

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925 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:01:48 ID:3eA4AcvU0

(´・ω・`)「早く決闘申請しろ」
 _
( ゚∀゚)「ああ、悪い悪い。しぃ、ごめんな」

(*゚ー゚)「あ、いえ大丈夫です」

ジョルジュが慌ててウインドウを操作し、しぃに対して決闘の申請をする。
 _
( ゚∀゚)「こい!」

(*゚ー゚)「よろしくおねがいします!」

始まるカウントダウン。

(*゚ー゚) 「(どうしよう。やっぱりさっぱりなんにも思いつかない。…両手剣に対する戦闘の基本はやっぱりいかに懐に入るかだけど、ジョルジュさん相手じゃ…。しか もジョルジュさんの性格と今の意気込みからして多分突っ込んでくる。いやーーーーむりむりむりむり。って投げ出すわけにもいかないし。あーもういいや、私 らしい戦法なんてまだわかんないし、兎に角私も突っ込もう!)」

カウントがゼロになると同時に互いに向かって走り出すしぃとジョルジュ。
 _
( ゚∀゚)「うりゃあああああ!」

(*゚ー゚)「いけーーーーー!!!」

振り下ろされる両手剣を避けて斜め前に跳ぶしぃ。
ジョルジュの右側に人ひとり分空けて左足で着地し、右足で踏み込む前に腰をひねって向きを変え、ジョルジュの頭の上に向かって跳躍する。
上空で短刀を振るおうとするが、自分を見ずに気配のみで振り上げられた両手剣が向かってくるのをジョルジュの頭と肩の動きで察知する。
考える間もなく身体を丸め、自分に向かって弧を描こうとした両手剣の腹を両足で蹴った。
 _
(;゚∀゚)「おうっ」

バランスを崩して前に転びそうになるジョルジュ。
逆に上空での二段ジャンプに成功したしぃは空で態勢を整え、剣技を繰り出そうと短剣を構えた。

(*゚ー゚)「は!」

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981 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 22:52:28 ID:rNWJ39U20

上空から斜め下にいるジョルジュの背中に向かって加速。
足場がない為剣技によるサポートのみの加速だが、短剣はもともとスピードを主体とした技の多く、刀身を青く光らせたこの技も十分な加速を見せた。

ギャラリーから歓声が沸く。
 _
( ゚∀゚)「でも甘い!」

前に転びそうになったジョルジュだったが踏み出した右足で持ちこたえており、逆に背中で刀身を隠しながら剣技に備えていた。

(*゚ー゚)「!?」
 _
( ゚∀゚)「とりゃあ!」

振り向きながらの一閃。

背を向けていたはずなのに完全にタイミングを合わせられ、しぃは驚愕しつつも連撃の初手をその両手剣の一撃に合わる。
 _
( ゚∀゚)「でも残念!」

だがしかしそこは両手剣と短剣。
しかも両手剣側はしっかりと地面を踏みこんでおり、短剣側は空中。

(;*゚ー゚)「きゃあああ!」

結果、大きく吹き飛ばされるしぃ。

大地にぶつかり、一度大きく跳ねてから、土煙を上げながら転がる。
ゆっくりと減っていくHPバー。
そして赤く変わった。
 _
(;゚∀゚)「だ、大丈夫か。でも強くなったな……ちょっとやばかった」

倒れているしぃに駆け寄るジョルジュの呟き。
それが聞こえ、ほんの少しだけ笑顔を見せながら、しぃが手を着いて上半身を持ち上げた。

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927 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:04:24 ID:3eA4AcvU0

≪ギコ vs ドクオ≫


('A`)「やっとだー」

(,,゚Д゚)「よろしく頼むぞゴラァ!」

('A`)「まだ負けねーよ」

始まるカウントダウン

(,,゚ Д゚)「(同じ片手剣。でもスキルレベル、経験、洞察力、その他諸々どれにも勝ててない!でも勝つ!勝つ!勝つには行き当たりばったりじゃだめだ!考え ろ!考えろ!…何を考える!?唯一同格と言えるのは多分剣のレア度。あとドクオは重さよりもスピードと切れ味重視のはず。重さと硬さなら勝ててるけど、そ れは考えるな!あとドクオは剣技が結構好きだから、多分使うはず。合わせれば勝てるかもしれない!単発重撃よりも三発以上の連撃が好き!だからそこら辺の 技で来るはず!)」

カウントがゼロになると同時に駆け出す二人。
ドクオは低い姿勢で黒いコートをなびかせつつ地を這うように走る。

(,,゚Д゚)「(あの角度ならあれだ!)」

ドクオが右手に持った剣が水色に光った瞬間、ギコが右手で持ち肩に載せていた剣が赤く輝く。

('A`)「(ギコに読まれた!?)」

掬い上げるように振り上げられたドクオの剣と、上から振り下ろされたギコの剣がぶつかり合う。
それは互いに跳ね返されることはなく、互いに一歩も譲らず力を込める。

('A`)「よく読めたな!」

(,,゚Д゚)「頑張って考えたんだゴラァ!」

('A`)「それに免じて褒美をやるよ!」

半歩身体をひねりながら退くことで剣を流すドクオ。
しかし互いの剣技は続いており、続いて舞うドクオの剣に合わせてギコの剣も踊り、はじける剣のエフェクトが三度日の光よりも明るく輝く。

(,,゚Д゚)「よし!」

.

928 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:05:30 ID:3eA4AcvU0

('A`)「これが褒美だよ!」

通常ならばこのまま二人とも硬直して仕切り直しとなるはずだったが、ギコの視界の片隅に光るドクオの左手こぶしが映った。

(;,,゚Д゚)「ご、ゴルァ!」

三度に剣がぶつかり合った瞬間、ドクオの左手はある構えを取っていたのだ。

(;,,゚Д゚)「そ、それは!」

('A`)「はっ!」

突き出されるドクオの左手。
それは俗に言う正拳突きで、体術の中でも基本技に分類されるそれはそれほど威力が高いわけではないが、剣技の応酬で少しずつ減っていた互いのHPバーを赤くするには充分な威力であった。

(,,゚Д゚)「そんなことが出来るのかゴルァ」

('A`)「体術スキルを必須にしてるのは、伊達や酔狂じゃないんだな、これが。剣技から剣技は無理でも、体術スキルの技にならつなげることが出来るんだ。練習するなら付き合うぞ」

(,,゚Д゚)「頼むぞゴルァ」

ギコのHPバーが赤く変わった。

.

929 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:06:47 ID:3eA4AcvU0

≪しぃ VS ブーン≫


(*゚ー゚)「宜しくお願いします!」

( ^ω^)「さっきはジョルジュ相手にすごかったおね。僕も負けないように頑張らないとだお」

(*゚ー゚)「お手柔らかにお願いしますね」

( ^ω^)「罰ゲーム嫌だから本気でやるお」

(;*゚ー゚)「お手柔らかにー」

始まるカウントダウン。

(*゚ー゚)「ブーンさんの持ち味はそのスピード。パワーはそれほどじゃないけど切れ味の鋭い武器で四方八方から切り裂く舞うような攻撃。その容姿に惑わされて最初の一手を受けてしまったらもう最後。体型に惑わされず、まずは」

ξ゚听)ξ「毎回色々考えてると思っていたけど、とうとう口に出しやがった」

(;´∀`)「しぃー!!口に出してるもなよ!!」

(;*゚ー゚)「え!あ!す、すみません!」

(#^ω^)「大丈夫、気にしてないお」

(;*゚ー゚)「……」

カウントゼロになると同時に走り出すブーン。

(;*゚ー゚)「早い!」

スタートは出遅れたものの同じように走り出すしぃ。
ブーンは直線的に。
しぃは直線にステップに緩急を織り交ぜてタイミングをずらす様に。

( ^ω^)「教えた動きをマスターしてるおね」

(*゚ー゚)「いきます!」

.

930 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:07:49 ID:3eA4AcvU0

( ^ω^)「ちゃんと自分のものとして動けてるお」

ブーンの右手に持たれた白い片手剣が閃く前に、しぃが右手に持った短剣がブーンの肩を狙って突き出される。

(*゚ー゚)「はっ!」

動き、姿勢、向き。致命傷を与えることは出来なくてもどこかを掠るか片手剣によって防がれるはずだった短剣が、むなしく何もない空間を突いた。

(;*゚ー゚)「え?」

( ^ω^)「でも僕の方が早いんだおね」

急激な加速によりしぃの目前から消えたブーン。
片手剣の先でまずしぃの左の脇腹を切り裂き、次に驚いて左側を向いたしぃの右の脇腹を切り裂く。

しぃは、まるで二人の人間が鏡面動作をしたかのような攻撃にまったく反応できないでいた。

(*゚ー゚)「……参りました」

しぃのHPバーの色が、赤に変わった。


.

931 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:09:20 ID:3eA4AcvU0



その後互いが戦っていた相手と一回ずつ戦ったギコとしぃは、疲れて座り込んでしまった。

(´・ω・`)「十二戦、お疲れ様」

二人に大き目のカップを渡すショボン。
中には冷たい飲み物が入れられており、二人は飲みながら一息をつく。

(´・ω・`)「予想以上に戦えて、ビックリだよ」

(*゚ー゚)「でも、勝てませんでした」

(,,゚Д゚)「ゴルァ」

(´・ω・`)「まぁ僕も含めてみんなにもまだ負けられないっていうプライドみたいなもんがあるしね」

ちらっと後ろを意識するショボン。
ギコとしぃがその方向を見ると、同じようなカップを片手にこちらを見ているメンバーがいた。

(´・ω・`)「でもまぁみんなも本気になりすぎだよね。もうちょっと加減してあげるのかと思いきや、本気も本気だし」
 _
( ゚∀゚)( ^ω^)ξ゚听)ξ川 ゚ ?゚)
( ´_ゝ`)ミ,,゚Д゚彡( ・∀・)
( ´∀`)( ゚∋゚)
「おいちょっとまて」
          ('A`)(´<_` )

('A`)「またもやお前が言うなだぞ、おい」

(´・ω・`)「そう?」

不思議そうに全員を見回すショボン。

.

932 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:11:40 ID:3eA4AcvU0

ξ゚听)ξ「あんたの針使いも十分えぐかったでしょうが」

川 ゚ -゚)「片手剣もいつの間にかレベル上げてあったな」

( ´_ゝ`)「珍しく片手剣が欲しいとか言い出したと思ったら」
 _
( ゚∀゚)「だよな!久しぶりに使ってるの見たのに、いつの間に鍛えたんだよ」

(´・ω・`)「ま、本気でやらないと訓練にならないんだけどね」

( ・∀・)「うわ、しれっと言いやがった」

(´<_` )「こいつは最初からこういうやつだ」

ミ,,゚Д゚彡「それでこそショボンだから」

( ´∀`)「ふさはショボンに甘すぎるもな」

▼・ェ・▼「きゃんきゃん!」

( ゚∋゚)「ビーグルもそう言ってるぞ」

(´・ω・`)ショボーン

メンバーの変わらない喧騒を苦笑いで見るギコとしぃ。
そして顔を見合わせて立ち上がる。

(,,゚Д゚)「ショボン、次行くぞ」

(´・ω・`)「え?」

(*゚ー゚)「誰とやるかは選んで大丈夫ですか?」

(´・ω・`)「なにやるの?」

(,,゚Д゚)「いや、次の試合」

(´・ω・`)「ああ、60回で一回勝つってやつね。あれ、今日中に達成しろってわけじゃないけど、いまからやるの?」

(,,゚Д゚)「は?」

(*゚ー゚)「え?」
.

933 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:13:45 ID:3eA4AcvU0

(´・ω・`)「今日中って言ったかな」

(*゚ー゚)「言ってませんけど……。わざと……ですよね」

(´・ω・`)「ん?何のこと?」

ニッコリと微笑んだショボンの後ろであからさまに不自然に視線を外すメンバー達。

(*゚ー゚)「ホントに全くこの人達は…」

呆れたように、でもどこか楽しそうに、そして諦めたように深呼吸をするしぃ。

(*゚ー゚)「ギコ君!」

(,,゚Д゚)「お、おう!」

(*゚ー゚)「一か月以内に課題クリアしよう!誰かに一回じゃなくて、みんなに一回ずつ勝とう!」

(,,゚Д゚)「!!おっ!おうっ!!」

(´・ω・`)「自分たちでハードル…」

(*゚ー゚)「これは自分で決めた目標なので、ショボンさんの出した課題とは別勘定です!」

(´・ω・`)「…上げたわけじゃないのですね」

後ろから話しかけたショボンに振り向きざまに指を突き付けつつ宣言するしぃ。
少しだけ誇らしげなその表情を見て、笑みをこぼしながらショボンが頷いた。

(´・ω・`)「了解しました」

(*゚ー゚)「宜しくお願いします」

( ´∀`)「実は今VIPを陰で牛耳っているのはしぃかもしれないもなね」

▼・ェ・▼「きゃんきゃん!」

沸き起こる笑いに目を白黒させるしぃ。
聞こえていたショボンは肩をすくめ、呆然としぃとショボンの掛け合いを見ていたギコの肩を軽くたたいた。


.
934 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:14:43 ID:3eA4AcvU0



3.ギルドの試合



.

935 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:16:07 ID:3eA4AcvU0

その後、既に昼を回っていたためまずは食事をし、休憩を取ってから再び台の周りに集合した。

朝と同じようにショボンが台の上に立つ。
そして今度はギコとしぃも他の皆と同列に立ち、ショボンを見た。

(´・ω・`)「さて、休憩も済んだところで大会を開始しようか
 _
( ゚∀゚)( ^ω^)ξ゚听)ξ川 ゚ ?゚)
( ´_ゝ`)ミ,,゚Д゚彡( ・∀・)
( ´∀`)( ゚∋゚)(,,゚Д゚)(*゚ー゚)
「おーー!!」
          ('A`)(´<_` )

川 ゚ ?゚)「今回は勝ち残りと総当たり、どちらにするんだ?」

(´・ω・`)「勝ち残りで行こうか。それなら夕飯の時間に間に合うでしょ」
 _
( ゚∀゚)「今度こそ優勝する!」

('A`)「……」

( ´∀`)「ドクオも虎視眈々と狙っているもなよ」

( ゚∋゚)「モナーは狙わないのか?」

( ´∀`)「もちろん頑張って優勝したいもな。ショボン、今回の優勝賞品はいつもと同じもなか?」

(´・ω・`)「そのつもりだけど、なにか他に案でもある?」

( ´∀`)「ないもな。それならいいもなよ。頑張るもな」

(*゚ー゚)「優勝したら何かもらえるんですか?」

(´<_` )「全員に一つだけ命令できる権利」

(,,゚Д゚)「おっ!?」

ξ゚听)ξ「もちろん命の危険が伴わないとか制限はあるけどね」

川 ゚ -゚)「まぁ欲しいアイテムや、やりたいクエストへのギルドでのチャレンジなんかなら承認するだろうけどな」

.

936 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:17:18 ID:3eA4AcvU0

('A`)「おれの時はまだその商品無かったからつまらん」

(*゚ー゚)「ということは、今までは全部ふささんが」

ミ,,゚Д゚彡「今回も優勝ねらうから!」

(,,゚Д゚)「ふさがやるきだ」

( ´_ゝ`)「他の誰が優勝してもいいが、ふさは阻止しないとな」

( ・∀・)「……またあれをやらなきゃいけなくなるかもなのか」

( ^ω^)「誰かが勝てばいいんだお。勝てば」

ξ゚听)ξ「僕が勝つとは言わないのね」

(^ω^ )

ξ゚听)ξ「こっちむけやこら」

(*゚ー゚)「ふささんはなにを?」

(´<_` )「……大丈夫、総当たりの時もふさは全勝したわけじゃないから」

(;*゚ー゚)「え?あ、いや、そういうことじゃなく」

(,,゚Д゚)「ふさは何を命令したんだゴラァ」

( ´∀`)「みんなで勝つもな」

(;*゚ー゚)?

(;,,゚Д゚)?

.

937 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:18:20 ID:3eA4AcvU0

(´・ω・`)「はいじゃあ雑談止めて、抽選のくじ引きはじめるよ」

台の上に座り、棒の入った筒をメンバーに差し出すショボン。

(´・ω・`)「棒の先に1から7まで番号が書いてあるから、同じ番号同士が早い数字の組みで決闘開始。文字が赤い方が申請するようにね」

わらわらと集まり、手を伸ばして各々が一本ずつ棒を持つ。

(´・ω・`)「みんなもったかな」

空いた手で残りの一本をショボンが掴む。

(´・ω・`)「じゃあいくよ。せーの!」
 _
( ゚∀゚)( ^ω^)ξ゚听)ξ川 ゚ ?゚)
( ´_ゝ`)ミ,,゚Д゚彡( ・∀・)
( ´∀`)( ゚∋゚)(,,゚Д゚)(*゚ー゚)
「はい!!!!」
          ('A`)(´<_` )

タイミングを合わせて全員が筒から抜いた。


.

938 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:19:30 ID:3eA4AcvU0

≪第一試合 1グループ:ジョルジュ vs ショボン≫


銀の針が無数に襲うが、その全てを両手剣ではじき、身を守り、ステップで避けているジョルジュ。

(´・ω・`)「ちっ」
 _
( ゚∀゚)「今日は勝つぞ!」

あまりの量に近付くことは出来ないがこの攻撃ではHPバーは全く減らないため持久戦となりそうだった。

( ゚∋゚)「投擲武器はよほどの質量の物を投げないと、守られた場合衝撃だけでは減らすことは出来ないからな」

(*゚ー゚)「なるほど」

(´<_` )「とはいえ、視界の隙間を縫うショボンの針をすべて弾くか避けるかできるのはすごいな」

川 ゚ -゚)「本能か、計算か」

( ´∀`)「本能もなね」

( ´_ゝ`)「本能だな」

ξ゚听)ξ「本能でしょ」

川 ゚ -゚)「本能だろうな」

( ・∀・)「一回戦でショボンが消えてくれるのはありがたいな」

(,,゚Д゚)?

ξ゚听)ξ「前のコートより1.5倍は針とか仕込めるようにしたけど、限りはあるもの。どこかで腰に付けた片手剣かチャクラムに変えなきゃね」

( ・∀・)「で、ジョル相手にその武器じゃ」

片手剣に持ち替えて剣技を発動させたショボンを襲うジョルジュの両手剣。
技を合わせて片手剣で迎え撃つが、パワーの違いにより片膝をつくショボン。
本来ならばこの体制で剣を持たないもう片方の手で何かを仕掛けるのがショボンの戦法だが、今意識を別に向けたら簡単に吹き飛ばされると考え、もう片方の手も剣に添えてジョルジュの放つ剣圧と戦っている。

( ・∀・)「ああなっちまう」

( ´∀`)「ショボンのメイン武器はあくまで投擲武器もな。片手剣の扱いや体捌きはまだこれからもなね。きっと知識に体が付いて行ってないもなよ」

( ´_ゝ`)「そろそろ終わりだな」

剣圧によってショボンのヒットポイントバーがじりじりと減り、赤く変わった。
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939 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:20:44 ID:3eA4AcvU0

≪第二試合 2グループ:ツン vs 弟者≫


(´<_` )「その細剣、この前兄者が作り上げた奴だよな」

ξ゚听)ξ「そうだけど?」

(´<_` )「ってことは、そういうことか」

ξ゚听)ξ「…やっぱり仲良いんじゃない」

(´<_` )「残念ながら兄弟だからな」

( ´_ゝ`)「お兄ちゃん嬉しい」

ξ゚听)ξ「割り込むな!」(´<_` )

兄者が二人の間から移動した瞬間にカウントがゼロになり、走り出す二人。

ξ゚听)ξ「あんたも大変よね」

ツンの細剣が弟者の急所を狙って舞い、

(´<_` )「わかってくれるか」

弟者の斧が空間を裂いて唸る。

ξ゚听)ξ「でも仲良くてなにより」

(´<_` )「そうか?」

ξ゚听)ξ「負けても慰めてもらえるじゃない!」

轟音をあげながら自分の胴体を切り裂こうとする斧を飛び上がって避け、着地した瞬間に剣技によって加速した突きの五連撃を放つ。

(´<_`;)「うわっ!」

最初の二つは避けたものの、その際にバランスを崩して残りの三つを受けてしまった弟者

彼のHPバーが赤く染まった。

.

940 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:22:13 ID:3eA4AcvU0

≪第三試合 3グループ:ブーン vs ギコ≫


( ^ω^)「さ、やるお」

(,,゚Д゚)「(やべぇ。あのにやけ目がやっぱり怖い)」

カウントゼロと共に走り出す二人。
既にギコの剣は青く光り輝いている。

( ^ω^)「おっ。今度はしょっぱなから発動かお」

(,,゚Д゚)「スキルでも使わないとスピードについていけないからな!」

叫んだ瞬間に発動。
加速したギコの身体がブーンの目の前に移動し、まずは水平に一閃。

しかしその一撃はブーンの片手剣が軽々と受け止める。

(,,゚Д゚)「次!」

手首をひねって無理やり最初の一撃を放ち、次に繋げようとする。

( ^ω^)「!さっきは出来なかったのに!」

次は左から右側に切り上げる一撃。
ブーンの頭を狙ったその剣は、今度は空振りをしてしまう。

( ^ω^)「剣を返す位置が高すぎたからちょっとしゃがめば避けられたお」

喋りながら下から剣を振り上げて目の前の相手を狙うブーン。
ギコは一歩退きながら上から下に振り下ろす三撃目で相殺しようとする。

( ^ω^)「この剣も剣技じゃないんだおね」

その言葉のとおり簡単に途中で軌道修正して横に跳ぶブーン。

(;,,゚Д゚)!!!!

誰もいない何もない空間に剣を振り下ろすギコ。

そして横から襲い掛かってきた剣が自分の腹を裂いた。

.

941 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:23:34 ID:3eA4AcvU0

≪第四試合 4グループ:モナー vs モララー≫


( ´∀`)「モララーともなか」

( ・∀・)「モナーとか」

モララーの爪による攻撃を、器用に三叉槍で捌くモナー。
更に返す動きでモララーに攻撃も与えるが、すべて避けられ掠ることすらない。

(*゚ー゚)「すごい」

( ゚∋゚)「短刀使いなら、二人の動きは参考になるはずだ。次にモララーがどう動くか、次にモナーがどう受けるから、考えながら見ると自分の力になる」

(*゚ー゚)「はい!」

上級者同士の戦いはその互いの呼吸が合い始め無駄のない動きとなるが、それでも疲労が溜まり少しずつミスが生まれる。

(;´∀`)「もな!」

(;・∀・)「くっ」

受けるタイミングがコンマ以下のレベルでずれ、受ける武器の位置や角度が少しずつ変わり、避けるタイミングが遅くなり、動く量が少なくなる。

じりじりと減っていく二人のHPバー。

( ゚∋゚)「そろそろか」

(*゚ー゚)「え?」

( ゚∋゚)「このまま少しずつHPを減らして決着がつくよりも、しっかりとした攻撃技で決着をつけたいと、あの二人なら思うだろう」

(*゚ー゚)「!……なるほど」

.
942 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:24:33 ID:3eA4AcvU0

大きく一度互いの武器をぶつけ、距離を取る二人。

( ・∀・)「じり貧で決着がつくよりも」

( ´∀`)「決め技で勝敗を決めたいもなね」

( ・∀・)「行くぞ!」

( ´∀`)「もな!!」

爪を真っ赤に光らせて突進するモララー。

対して青く光らせた三叉槍をバトンのように回転させながら振り回すモナー。

( ・∀・)「え?」

槍で作りだした青い壁にぶち当たるモララー。
態勢を崩したその体に上から振り下ろされる槍の先に近い柄の部分。

( ・∀・)「ええ?」

( ´∀`)「モナの勝ちもな」

モララーの無防備な肩に衝撃が走り、HPバーが赤く染まった。

(;*゚ー゚)「……クックルさん。いまのモナーさんの技って防御技ですよね。ああいうのって、ありなんですか?って、いない!クックルさん!?」

横を向いたしぃの視界のなかに、さっきまで横にいたはずのクックルがいなかった。

.

943 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:25:55 ID:3eA4AcvU0

≪第五試合 5グループ:しぃ vs 兄者≫


(#*゚ー゚)「宜しくお願いします」

(;´_ゝ`)「あれ?なんか怒ってる?」

(#*゚ー゚)「いえ、別に」

( ´_ゝ`)「ああ。うん。…さっきはちょっとだけ不覚を取ったから、今度はちゃんとやるよ。ふさの優勝は阻止しないとだし」

(*゚ー゚)「私だってさっきより頑張りますよ!」

( ´_ゝ`)「……挑戦者の方が楽だよね」

(*゚ー゚)?

ゼロの合図とともに走り出すしぃ。
兄者も大金鎚の先を地面すれすれに浮かせながら走り出したため少し驚いたが、先ほどのように隙を作ることはなく縮まる間合いを計りながらステップを踏んだ。

(*゚ー゚)「はぁ!」

緩急を混ぜて左右に足を踏み出しながらタイミングをずらして低い位置から走り寄ろうとする。

(;*゚ー゚)!

だが目前に現れる金鎚の丸い打撃面。

ガードして直撃は避けたものの激しい衝撃が体全体を襲う。

しぃが我に返った時には体は大地に横たわり、そばには兄者が立っていた。

( ´_ゝ`)「悪いな、ちょっと本気になっちまった」

(;*゚ー゚)「い、いえ」

( ´_ゝ`)「思わず本気になっちまうくらいには強くなったんだな。正直驚いた。まだ甘いけど、良いフェイントだった」

(*゚ー゚)「!ありがとうございます!」

.

944 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:27:14 ID:3eA4AcvU0

≪第六試合 6グループ:クー vs クックル≫


川 ゚ ?゚)「はっはっはっ!ここで会ったが百年目!積年の恨み!晴らさせてもらうぞ!」

( ゚∋゚)「     」

川 ゚ -゚)「なんかすまん」

( ゚∋゚)「どうした」

川 ゚ -゚)「いや、さっきの兄者がシリアスだったからつい」

始まるカウントダウン。

川 ゚ -゚)「でも、少しは付き合ってくれてもいいと思うんだが」

( ゚∋゚)「なんとなくグダグダになりそうな予感がした」

川 ゚ -゚)「わかった。今度はちゃんとシナリオ作るから」

( ゚∋゚)「……」

川 ゚ -゚)「よろしく」

( ゚∋゚)「…クーが勝ったらな」

川 ゚ -゚)「俄然やる気が出てきた」

( ゚∋゚)「絶対勝つ」

カウントゼロと共に駆け寄る二人。
薙刀と棍がぶつかり、衝撃のエフェクトで光と音が乱舞する。

(*゚ー゚)「すごいですね」

( ・∀・)「武器も同系列だし実力も似てるから長引くかもな」

( ´∀`)「そうもなね。二人とも楽しそうもな」

( ・∀・)「あ、モナー。てめぇさっきのはなんだこら」

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945 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:28:51 ID:3eA4AcvU0

( ´∀`)「もなもな」

( ・∀・)「もなもなじゃねぇぞ、こら」

にこやかに自分の横に立ったモナーに、少しだけ怒ったようににじり寄るモララー。

しぃが困ったようにそれを見るが、クーとクックルの試合に視線を戻した。

それを目の端で確認しながら更にモナーににじり寄るモララー。

( ・∀・)「で?なんであんな勝ち方をしたんだよ」

後ずさるモナーを誘導して少し離れた位置まで行き、モララーが呟く。

( ´∀`)「勝ちたかっただけもなよ」

モララーが表情を引き締め、声を潜めた。

( ・∀・)「ブーンか?」

( ´∀`)「   」

( ・∀・)「最近、時々変だよな。なんか隠してるっていうか」

じっとモナーを見るモララー。
そして口の端でにやりと笑う。

( ・∀・)「剣をかわせば、分かるかもな。…あとで教えてくれよ」

( ´∀`)「……わかったもな」

頭一つ下の位置から自分を見る鋭いモララーの視線をうけ、ほんの少しだけ悲しそうに笑うモナー。

その視界の端で、クックルの突きがクーの肩にヒットしたのが見えた。


.
946 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:30:23 ID:3eA4AcvU0

≪第七試合 7グループ:フサギコ vs ドクオ≫


('A`)「今日は勝つ!」

ミ,,゚Д゚彡「負けないから!」

全員が注目する中でカウントダウンが始まり、ゼロとなる。

同時に駆け出す二人。

先にフサギコの持つ刀が剣技の発動により光りはじめたが、おそらくドクオには気付かれていない。

('A`)「はっ!」

ドクオが片手剣を目にもとまらぬ速さで振ろうとした瞬間、更に加速するフサギコ。
そして低い姿勢でドクオの真横を駆け抜ける。

ドクオの刀が空を切った。

('A`)「…まじか」

ドクオの腹に浮かぶ一筋の光。

そしてヒットポイントバーが赤に変わり、フサギコの頭上に勝利をあらわす文字が浮かんだ。

.

947 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:32:35 ID:3eA4AcvU0

≪第八試合 1:ジョルジュ vs 2:ツン≫


 _
( ゚∀゚)「ツンかよ…」

ξ゚听)ξ「何よ」
 _
(;゚∀゚)「いや、両手剣と細剣だとさ」

ξ゚听)ξ「あら、そんなもの技でカバーしてあげるわよ」
 _
(;゚∀゚)「武器破壊しちまっても文句言うなよ」

ξ゚听)ξ「   」

ジョルジュが申請し、始まるカウントダウン。

充分に離れた二人はそれぞれに武器に似合った構えを取っている。
 _
( ゚∀゚)「いくぞ!」

両手剣を右肩に担ぐように構えているジョルジュ。

ξ゚听)ξ「ふふふ」

右手に持った細剣を前にして、半身で構えるツン。

( ´_ゝ`)「相変わらず誘導がうまいな。ツンは」

(´<_` )「何本くらい作った?ツンのオーダー」

(;´_ゝ`)「思い出したくない。っていうか、あれもまだ納得いってないらしい」

(´<_`;)「おつかれ」

カウントがゼロになると同時に駆け出すジョルジュ。
 _
(#゚∀゚)「どりゃああああああ!」

武器の違いはあれどツンの実力は良く知っているため、全力で走り始める。

ξ゚听)ξ

にやりと笑ってそのままの場所で構えるツン。

.

948 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:33:44 ID:3eA4AcvU0

剣技を発動させて振り下ろされる両手剣。

ツンができるのは避けるか弾くか。

流石兄弟以外のギャラリーはその二つだけだと思っていたが、ツンの行動は違った。

ξ゚听)ξ「!」

気合いを込めて、けれど流れるように足を踏み出し、ジョルジュの振り下ろす両手剣の正面に構えを合わせ、細剣で突く。
 _
( ゚∀゚)!?

ξ゚听)ξ

振り下ろされる両手剣の刃の部分に、身長差を利用して直角の角度でぶつけられたツンの細剣の切先。
 _
( ゚∀゚)「…マジ?」

ξ゚听)ξ「マジ」

ぶつかった場所から閃光が放たれ、その場所から両手剣が、折れた。

そしてそのまま持っていた剣がポリゴンと化すのを呆然と見つめるジョルジュ。

兄者とツン、ジョルジュ以外が感嘆の声を上げる中、ジョルジュは大地に膝をつく。

ξ゚听)ξ「出し惜しみするからそうなるのよ。その剣、今持ってる武器の中の『一番』じゃないでしょ」
 _
( ゚∀゚)「…モンスターからのドロップ品だけど、レアだったんだぞ」

ξ゚听)ξ「このまえ兄者に作ってもらったの使えば良いのに」
 _
( ゚∀゚)「愛着湧いてたんだよ。でもまあ、仕方ないか」

ξ゚听)ξ「どうする?仕切り直しで闘う?」
 _
( ゚∀゚)「……いや、いいや。気がなくなった」

ウインドウを出し、負けを宣言するジョルジュ。

ツンの頭上に勝利の文字が浮かんだ。


.

949 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:34:49 ID:3eA4AcvU0

(;,,゚Д゚)「武器破壊とか、初めて見たぞゴルァ」

(;*゚ー゚)「私も。武器レベルも必要だけど、タイミングとかその剣の弱い部分を正確に突かなければ出来ないんだよね。確か」

(;,,゚Д゚)「……ゴルァ」

(´・ω・`)「今うちのギルドで狙ってあれが出来るのはツンとクックルくらいかな」

呆然とその光景を見つつ言葉を交わしていたギコとしぃの間に割り込むショボン。

(*゚ー゚)「ショボンさん」

(,,゚Д゚)「ドクオとかジョルジュは出来ないのか?」

(´・ω・`)「ジョルはパワーはあるけど、細かく狙いを定めてってのは苦手だから、狙わないだろうね。ドクオは出来ないわけじゃないと思うけど、なにより剣技を放つのが好きだからまた違った意味で狙わないでしょ」

(*゚ー゚)「ショボンさんは?」

(´・ω・`)「ぼく?んー。格下レベルのB級武器相手ならできるかもだけど、難しいかな。特にやりたいとも思わないし」

(,,゚Д゚)「……」

(´・ω・`)「あんなのを目標に頑張るより、格闘スキルでも上げた方が役に立つと思うよ。ギコ」

(,,゚Д゚)「……ゴルァ」

少し憧れたギコに笑いながら釘を刺すショボンだった。

.

950 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:35:58 ID:3eA4AcvU0

≪第九試合 3:ブーン vs 4:モナー≫


( ^ω^)「おっおっおっ。モナーと戦うのは久しぶりだおね」

( ´∀`)「そうもなね。前回のトーナメントの時には当たらなかったもなし」

笑顔で会話する二人。
既にカウントダウンは始まっており、その笑顔が逆に緊張感を増しているようにも思える。

( ´∀`)「モナに勝つとツンと戦うことになるもなから、負けたほうが良いんじゃないもな?」

(;^ω^)「正直考えたお」

ξ゚听)ξ「それはどういう意味かなお二人さん」

( ´∀`)「特に意味は無いもな」

(;^ω^)「ぼ、僕もないお」

いつもの雑談。
しかしブーンの言葉が言い終わると同時にカウントがゼロになると、二人は駆けだした。

( ^ω^)「とりあえず勝ってから考えるお!」

( ´∀`)「もなもな!」

まずはブーンが切りつける。

モナーは右上から振り下ろされた剣を三叉槍の又で受け、手首を返して下に向け、大地を刺して剣を封じる。

( ^ω^)!

( ´∀`)「もな!」

槍の先で大地を刺したまま柄を持つ手を持ち替え、槍の根元を棍のように使ってブーンの左肩を狙う。

肩を打たれる前に剣を放して後方へ飛ぶブーン。

着地した瞬間にウインドウを操作し、違う片手剣を右手に持った。

.

951 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:37:30 ID:3eA4AcvU0

( ^ω^)「そんな戦い方、初めて見たお」

( ´∀`)「成功したのは初めてもなよ」

大地に突き刺さった片手剣はそのままに、三叉槍をしっかりと構えるモナー。

ブーンもそれに合わせて片手剣を構えた。

( ´∀`)「その構えも初めて見るもなね」

( ^ω^)「日々精進だお」

再び駆け出す二人。

今度はモナーの突きが先にブーンを襲うが、それは危なげないステップで避けられる。
返してダッシュと軽い跳躍を組み合わせた攻撃を繰り出すが、それはすべてモナーの体に触れることなく三叉槍に防がれてしまった。

繰り返される攻防。

片手剣と槍がぶつかり、そのたびに閃光と爆音が乱舞する。

(,,゚Д゚)「モナーって、こんなに強かったんだな」

( ・∀・)「あの穏やかな顔からは想像できないけど、強いぞ。基本生真面目な性格だから、レベル上げや剣技の練習もまじめにやってるしな」

モナーの攻撃をほとんどかわすブーン。
ブーンの攻撃をすべて防いでいるモナー。

それは互角のように見えるが、身体にではなく武器にではあるが攻撃を受けているモナーのHPは徐々に減っていた。

( ´∀`)「このままじゃだめもなね」

( ^ω^)「どうするんだお?」

( ´∀`)「こうするもな!」

左上から振り下ろされたブーンの剣。
それを柄の先を持った槍で突いて弾く。

.

952 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:38:32 ID:3eA4AcvU0

弾いた瞬間に柄を持つ手の力を少し緩めると、手の中で滑り落ちてくる槍。ブーンが態勢を整えきれていないのを確認しつつ標準的な位置で再び柄を握りしめ、そのまま剣技を発動。

( ^ω^)!?

剣技による加速に、意識的に身体を動かすことによって更に速度を早くすることに成功したその動きはブーンやフサギコに引けを取らないスピードで、ブーンを襲う。

( ^ω^)!

だが、それすらも避けるスピードを持つものがブーンであった。

( ´∀`)「別に良いもなよ」

完全に避けたと誰もが思った瞬間、モナーが再び柄を持つ手の力を緩めると、槍が今度は前に跳ぶ。

( ^ω^)「おっ!」

身体をひねって更にそれを避けようとするが、モナーの狙いは違った。

( ´∀`)「もな!!」

柄をもつ手の力を緩める瞬間に手首を返すことによって槍を回転させており、それによって弾かれた片手剣が回転しながら宙を舞う。

ギャラリーのすべてが、モナーですら勝利を確信した瞬間に目に映ったのは、左手に剣を持つブーンの姿。

試合の最初に大地に刺していた片手剣をいつの間にか拾っていたのだ。

( ^ω^)

ブーンの片手剣が、無防備なモナーの腹を切った。

.

953 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:39:49 ID:3eA4AcvU0

≪第十試合 5:兄者 vs 6:クックル≫


( ´_ゝ`)「クックルは、ふさの味方か?」

(;゚∋゚)「?味方?」

( ´_ゝ`)「ふさの命令だよ」

( ゚∋゚)「ああ。めんどくさいがそれほど苦ではない…と言ったところか」

( ´_ゝ`)「おれの敵だ。だから俺が勝つ!」

(;゚∋゚)「兄者は苦手なんだな」

珍しく厚く叫ぶ兄者に困惑するクックル。

(´<_`;)「まったくあの愚兄は」

川 ゚ -゚)「あんなに戦いに力を入れる兄者は一年ぶりぐらいじゃないか?」

(´<_` )「一年……。そう…だな。それくらい経つか」

川 ゚ -゚)「あの頃よりは洗練された戦い方が出来ているな」

(´<_` )「……確かに」

笑いあう弟者とクーの目の前で既に試合を始めている兄者とクックル。

大金鎚対両手棍。

クックルが突きを放ち、兄者がそれを弾きながら反撃。
真横からだるま落としのように自分を狙って振りぬかれた大金鎚を避け、その後ろから棍で叩きつける。
それを金鎚の持ち手で防ぎ、横に体を回転させながら移動。
回転に合わせて金鎚もふるため、クックルもなかなか攻撃を繰り出すことが出来ないでいる。

互いに武器による攻撃を武器を防ぎ、弾き返しながら攻撃を繰り出す一進一退の戦い。

(;´_ゝ`)「なかなかやるな。クックル」

.

954 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:40:48 ID:3eA4AcvU0

(;゚∋゚)「こんなに戦闘に真剣な兄者も久しぶりだ。そんなに嫌か?」

至近距離、振り下ろされようとした大金鎚を止めるクックルの両手棍。

(#´_ゝ`)「ああ!いやだ!おれはフサギコの優勝を阻止するんだ!」

吠えるように叫び、そしてそのまま再び大きく大金鎚を両手で振り上げる兄者。

(;゚∋゚)「…兄者…」

無防備な人中線に、クックルの突きが三発入った。

川;゚ -゚)「…弟者…」

(´<_`;)「…何も言わないでくれ」

あまりにあほらしい幕切れに、頭を抱えてしまう弟者。

呆然とする兄者。

勝利の文字が、クックルの頭の上に現れた。

.

955 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:42:08 ID:3eA4AcvU0

≪第十一試合 2:ツン vs 3:ブーン≫


ξ゚听)ξ「ブーンとか…」

(;^ω^)「ツンとかお…」

とりあえずカウントはゼロになっているが、構えたまま動けずにいる二人。
 _
( ゚∀゚)「とっととやれー!」

( ^ω^)「うるさいお!戦法を考えてるんだお!」

('A`)「あそんでんじゃねーぞー」

ξ゚听)ξ「あんたは一回戦で負けたから暇よね!」

('A`)ウツダシノウ

(,,゚Д゚)「なんだあの二人」

(*゚ー゚)「まあ難しいですよね。あの二人だと」

( ・∀・)「ってわけでもないだろ」

(*゚ー゚)「?」

(´・ω・`)「あの二人は互いの足りないところを補う二人である分、お互いが天敵なんだよ」

( ・∀・)「速攻と数うちゃ当たるブーンとカウンターと一発必中のツン」

( ´∀`)「ツンも特攻はするけど速攻はそれほど得意じゃないもなよ」

(,,゚Д゚)「はぁ……」

(*゚ー゚)「そうなんですか…」

( ゚∋゚)「動けば一瞬で決まるだろうな」

(*゚ー゚)「……」

隣に立った、自分より頭一つ以上背の高いクックルの顔をじっと見るしぃ。

( ゚∋゚)「どうした?」

.

956 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:44:39 ID:3eA4AcvU0

(*゚ー゚)「今度は本当ですか?」

(;゚∋゚)「た、多分」

さらにじっと見るしぃの視線を避けるように空を見るクックル。
それでもその場所を動かないのがクックルの誠意なのだろうか。

ミ,,゚Д゚彡「二人とも頑張るんだから!」

( ;_ゝ;)「ブーン頑張れー」

(´<_` )「泣くなみっともない」

( ;_ゝ;)「だってだって」

川;゚ -゚)「さっきまでのシリアスモードが嘘のようだな」

分かりやすい緊迫感が流れていないため周囲もどこかのんびりしている。

( ^ω^)「(さてどうしよう。多分勝てるけど、勝ったら……と言うか切ったら後で絶対何か言われるおね。この前欲しがってた素材の狩りにつき合わされるぐらいならいいけれど)」

ξ゚听)ξ「(普通にやったら負けるわよね。別に優勝目指してるわけじゃないから良いんだけど、ただ負けるのも趣味じゃないし。かといって足掻くのもな……。とりあえず新しい色を試す用の素材集めには突き合わせるとして)」

( ^ω^)「(あ、そういえばこの前50層の店で見たA級素材の毛皮が欲しいとか言っていたような気が…)」

.

957 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:45:46 ID:3eA4AcvU0

ξ゚听)ξ「(!あの毛皮!よし、あれも買わせよう!)」

(;^ω^)「(どどどどどどどどどどうしよう。あれ結構なお値段だったおね)」

ξ゚听)ξ「(よし!派手に負けるぞ!)」

いきなり駆け出すツン。

ブーンが慌てて構えを取る。
 _
( ゚∀゚)「お。ツンが先に出るとは」

川 ゚ -゚)「何を買ってもらうかが決まったんだろうな」
 _
( ゚∀゚)「へ?」

ξ゚听)ξ「たあ!」

気合いを無理やり入れたような気が抜けた掛け声をあげつつ剣技を放つツン。

剣技によって加速した動きそのもののその剣は、ある意味お手本のような綺麗さなのだが低レベルのモンスターならともかくブーンに通用するはずもなく、ブーンも思わず何も考えずに体が動いた。

(;^ω^)「あ」

ξ゚听)ξ「(よし!腹を切られた!)」

流れるように振りぬいたブーンの片手剣がツンの腹部を切り裂く。

派手に地面に転がるツン。

しかしその顔は、ブーンにしか見えない様ににやりと笑った。

.

958 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:47:25 ID:3eA4AcvU0

≪第十二試合 6:クックル vs 7:フサギコ≫


ミ,,゚Д゚彡「やっと二回目の試合だから!」

( ゚∋゚)「7は最初の一回を勝てばほとんどシードみたいなもんだからな」

いつものように半身で構えを取るフサギコと、両手棍を構えるクックル。

カウントダウンはすでに始まっており、残りが30ほどになった。

( ゚∋゚)「(やってみるか)」

長い棍の中央を両手で持ち、ゆっくりと左右に振りながらバトンのように回していくクックル。

ミ,,゚Д゚彡「!?」

自分を中心に扇状に棍をまわす。

(´・ω・`)「クックル、面白いことするなぁ。賭けに出たね」

(,,゚Д゚)「なんだありゃ」

(´・ω・`)「防御技だよ。しかも振り回してる状態が剣技前の待ち状態だから、相手の技に合わせて発動できる。ブレス系の技なら最長で10秒間、斬撃・打撃系の技ならレベルが合えば最大5発まで防御できる」

(*゚ー゚)「結構最強じゃないですか?それ」

(´・ω・`)「でもタイミング合わせるのが難しいし、なにより発動後の硬直が長いからあんまり使い勝手が良くないんだよね。それに防御自体も全方位じゃないから後ろからは弱いし」

(,,゚Д゚)「でも、フサギコとの試合になら」

(´・ω・`)「だね。基本はモンスターのブレス攻撃に対応する用だと思うけど、このタイプの決闘用剣技と言ってもいいくらいなんじゃないかと思うよ」

(*゚ー゚)「じゃあ!」

(´・ω・`)「でも、ふさも負けてないよ」

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959 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:48:43 ID:3eA4AcvU0

カウントがゼロになると同時に走り始めるフサギコ。

今までと同じように直線で走る。

(,,゚Д゚)「速攻!?」

(´・ω・`)「足をよく見て」

(,,゚Д゚)?

(*゚ー゚)「!タイミングをずらしてる!」

踏み込みの位置と角度、そして踏み出す際の膝の曲げを変えることで一見同じ動きでタイミングを変えて走るフサギコ。

そして一撃目を発動した。

ミ,,゚Д゚彡「はっ!」

水色に輝いた刀を鞘から抜くフサギコ。

( ゚∋゚)「ふんっ!」

完全にタイミングを合わせて防御技を発動させるクックル。
緑色に輝く両手棍が、振りぬかれるであろう刀身に合わせて弧を描きながら舞う。

( ゚∋゚)!?

一発目にタイミングを合わせたことを確信したクックルの目が大きく見開かれる。

ミ,,゚Д゚彡「こうだから!」

鞘から引き抜いた刀を手首を返さないままに持ち、柄の先をクックルの棍に当てた。

(;゚∋゚)!?

弾かれる棍。
あまりの衝撃にバランスを崩して後退するクックル。
その上剣技を途中で中断した為の硬直が起こり、無防備に胴体をさらけ出す。

ミ,,゚Д゚彡「これで決めなきゃだから」

フサギコは先の第一撃に続き、身体を回転させながら手首を返して二撃目を放ち、クックルの身体を切り裂いた。


.

960 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:50:17 ID:3eA4AcvU0

≪休憩≫

 _
(;゚∀゚)「なんだあれ」

(´・ω・`)「刀だけじゃなく体術スキルも上げてあると覚えることが出来る技みたい。ジョルジュもそういう技覚えてるよね」

('A`)「おれも覚えてるけど、反則だろあれは」

( ;_ゝ;)「頼むブーン勝ってくれ」

(´<_` )「いい加減泣き止め」

(,,゚Д゚)「ふさが命令するのはそんなにキツイことなのか」

( ・∀・)「兄者とかお前はきつそうだな」

(;,,゚Д゚)!?

(*゚ー゚)「私はどうですか?」

川 ゚ -゚)「しぃは大丈夫だろ」

ξ゚听)ξ「っていうか、苦手なのってあとジョルジュとブーンと…それくらい?」

( ´∀`)「実はクックルも苦手もなよ」

▼・ェ・▼「くぅーん」

(;゚∋゚)「苦手ではないぞ。それほど得意でもないが」

( ´∀`)「でも、時間はかかってたもな」

(,,゚Д゚)?

(*゚ー゚)?


.

961 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:52:52 ID:3eA4AcvU0

≪最終戦 3:ブーン vs 7:フサギコ≫


緊迫した空気の中、距離を取って互いを見る二人。

( ^ω^)「……」

ミ,,゚Д゚彡「……」

ブーンが黙ってウインドウを操作すると、フサギコの前にウインドウが現れる。
フサギコも黙ってそのウインドウを操作すると、二人の間にカウントダウンを告げる数字が浮かんだ。

(*゚ー゚)「さすがに緊張しますね」

( ・∀・)「スピード対スピード。決着は一瞬だろうな」

( ´∀`)「ブーンは純粋な反応速度によるスピードもなね」

( ゚∋゚)「対してフサギコは技巧を駆使した剣技のスピード」
 _
( ゚∀゚)「どちらが勝つのか楽しみだな」

( ;_ゝ;)「頼むブーン!勝ってくれ!」

誰も泣いている兄者の相手をせず、ただ二人をしっかりと見守る。

そして、カウントがゼロになった。

.

962 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:54:10 ID:3eA4AcvU0

無言で互いに向かって駆け出す二人。

二人とも前傾姿勢でまっすぐに。

ブーンは右手に片手剣をひらめかし、フサギコは鞘に入れた刀を体で隠しながら。

そして半分ほど距離が縮まった時、フサギコが仕掛けた。

ミ,,゚Д゚彡!

気合いを入れ、剣技を発動。
横から見ているギャラリーには、刀が青白く光っているのが分かる。

( ^ω^)!

光は見えないもののフサギコが何かを仕掛けてきたのを感じブーンが一回右にステップを踏んでタイミングをずらそうとするが、フサギコは迷わずにまっすぐブーンに向かって走る。

(#^ω^)!!

まるで怒ったような引き締まった表情でフサギコの一挙一動を見るブーン。
そして刀を抜こうとする動きに反応し、自分も片手剣を振る。

ミ,,゚Д゚彡!

( ^ω^)

驚いたかのフサギコと、それを見てにやりと笑うブーン。

片手剣と刀が当たろうとした時、剣技の発動が止まらないギリギリのモーションでフサギコが肘を更に折り、手首を曲げ、刀を出来るだけ身体に引き寄せる。

(;^ω^)!?

今度はブーンが驚く番だった。
自分の片手剣の軌道からすり抜けるフサギコの刀と身体。

そして空を切る自分の片手剣を見た時、腹部をフサギコの刀が切り裂いたのを感じた。


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963 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:56:29 ID:3eA4AcvU0



4.ギルドの宴



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964 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:57:11 ID:3eA4AcvU0

(´・ω・`)「優勝!フサギコ!」
 _
( ゚∀゚)( ^ω^)ξ゚听)ξ川 ゚ -゚)
( ・∀・)( ´∀`)( ゚∋゚)(*゚―゚)(,,゚Д゚)
「おめでとー!」
          ('A`)(´<_` )

ミ*,,゚Д゚彡「ありがとうだから!」

夕闇に染まる空の下、台の上に立つフサギコとショボン。
ショボンがフサギコの片手を掴んで空高く上げながら優勝を祝福すると、メンバー達も拍手と歓声と共に祝福する。

一名を除いて。

( ;_ゝ;)「ブーンのバカー!」

(´<_`;)「おまえもちゃんと祝福しろよ」

( ;_ゝ;)「うぅ……フサギコおめでとう」

ミ;,,゚Д゚彡「あ、ありがとうだから」

( ;_ゝ;)「おれの命令は別にするか軽くしてくれ」

ミ,,゚Д゚彡「それは別の話だから」

( ;_ゝ;)「うわぁーん!!」

(´<_`;)「いい加減諦めろ」

(*゚ー゚)「で、結局何なんですか?フサギコさんが出す命令って」

しぃの言葉にフサギコを見る全員。

(´・ω・`)「今までと一緒?」

ミ,,゚Д゚彡「そうだから!!」

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965 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:58:21 ID:3eA4AcvU0

(´・ω・`)「じゃあ、準備しようか」

台を降り、既に準備しておいた食事の隣にもう一つ立食用のテーブルを出すショボン。

そしてフサギコがそのテーブルの上に自分の作った料理を出し始めた。

ミ,,゚Д゚彡「全部新作だから!」

基本は得意のデザート系がメインで、小さなグラスに入ったプリンのようなものやゼリーのようなものや、白いクリームと赤や桃色の果実がいっぱい乗ったホールケーキに一口サイズの茶色いケーキなど、多種多様色鮮やかな料理が並べられる。
テーブルの端には豆を使ったご飯で作ったおにぎりや、野菜をふんだんに使ったオープンサンドイッチも並んでいた。

(*,,゚Д゚)「おお!」

(:*゚ー゚)「すごい美味しそう!」

ミ,,゚Д゚彡「今回の感想文は、1000文字以上!料理名と料理の描写は除く!句読点も除く!誤字脱字不可!漢字は程よく!それが今回の命令だから!」
 _
(;゚∀゚)(;^ω^)ξ゚听)ξ川 ゚ -s゚)
(´・ω・`)( ;_ゝ;)( ・∀・)
「文字数が増えた!?」
          ('A`;)(´<_`;)

(,,゚Д゚)「!?」

(*゚ー゚)「!?」

ミ,,゚Д゚彡「前回より料理の数も増えてるから!」

顔をこわばらせる数名とあきれ顔の数名と意味が分かっていない2名と泣いている1名。

( ;_ゝ;)「やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ」

ξ゚听)ξ「いい加減諦めなさいよ」

(´<_` )「まったく」

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966 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 00:59:23 ID:3eA4AcvU0

( ;_ゝ;)「美味しいもんは美味しいで良いだろ!感想とか作文とかいやだ!」

ミ,,゚Д゚彡「優勝の副賞だから」

(´・ω・`)「出さなかったらペナルティ何か考えるからねー」

( ;_ゝ;)「弟者――――!!!」

(´<_` )「自分でやれ」

( ;_ゝ;)「うわぁーーーーーん!」

( ^ω^)「食べないと感想書けないお」

既に食事に手を付けている兄者以外のメンバー達。
よくわかっていないギコと、なんとなく理解したしぃも美味しそうに食べ始めている。

( ;_ゝ;)!

ミ,,゚Д゚彡「今日食べられなかったら、また後日作るから。今日出せなかった新作も出せたら、文字数も増えるから」

( ;_ゝ;)「フサギコのおたんこなす!ドエス!」

慌てて泣きながら食べ始める兄者。
涙を流しながら、うまいうまいと色々な料理に手を付ける。

ミ*,,゚Д゚彡「みんなの感想を活かして新しいメニューを作るから」

その様子を嬉しそうに見るフサギコ。

ギルド恒例の催しは、いつもと同じように美味しくて楽しい食事で終わりを迎えた。


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967 名前:名も無きAAのようです:2013/10/09(水) 01:00:13 ID:3eA4AcvU0



ミ,,゚Д゚彡「もちろん感想文のやり直しもあるから」



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968 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 01:01:16 ID:3eA4AcvU0



兄者とギコが3回ダメ出しをくらって書き直しをしたのは、また別のお話。



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969 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 01:02:32 ID:3eA4AcvU0

深夜。

片付けも終わり、それぞれに自分の部屋に戻ったギルドのメンバー達。

全員を送り出したモナーも自室に戻り、一日の日記をつけていた。

ベッドの上ではビーグルが既に丸くなって寝息を立てている。

( ´∀`)「『優勝は大方の予想通りフサギコでした』……もな」

大会の結果まで書いたところで、メッセージが来たことを告げるチャイムが鳴った。

( ´∀`)「もなもな?」

ウインドウを操作し、メッセージウインドウを開くとそれはモララーからだった。

『( ・∀・)「今日はお疲れ様。久しぶりに戦ったけど、やっぱり強いな。次は負けないけどよ。ところでブーンと戦った感じはどうだった?何か感じたか?』

( ´∀`)「……モララー…」

ぼそりと友人の名を呟き、返信用のウインドウを開く。

( ´∀`)「『お疲れさまもな。モナが勝てたのは不意を突けたからで、ちゃんと真っ向から闘ってたら勝てたかどうかわからないもなよ。ブーンとの試合は緊張したもな。闘った感じは』」

そこで一度ウインドウを操作するのを止め、じっと自分の書いている文面を見る。
数瞬の間そうしたあと、再び指をウインドウの上を走らせる。

( ´∀`)「『特に何も感じなかったもな。』」

そしてもう一度全文を読み、送信ボタンを押す。

( ´∀`)「……ふぅ」

メッセージウインドウを閉じて日記の続きを書こうとすると、再び鳴るメッセージ着信音。

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970 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/10/09(水) 01:04:27 ID:3eA4AcvU0

( ´∀`)?

もう一度メッセージウインドウを開くと、再びモララーからのメッセージだった。

(;´∀`)「早いもなね」

『( ・∀・)「そっか、何もないならよかった。ま、ブーンだからな。ツン絡みでなんか企んでるのかもな。了解。ありがとう。じゃあお休み。』」

( ´∀`)「………『おやすみもな。』」

就寝の挨拶を入力し、送る。

そのままじっと画面を見た後、ゆっくりとウインドウを消した。

大きくため息のような深呼吸をして、闇に染まった窓の外を見る。

( ´∀`)「モナは、何も感じなかったもな…」

呟きは、ビーグルの耳にも届かなかった。







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