438 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:07:47 ID:zAqSi8zI0




第五話 ここでも雨は冷たいから




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439 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:08:31 ID:zAqSi8zI0


0.頬を濡らす霧雨。




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440 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:09:55 ID:zAqSi8zI0

2023年1月某日

その日、アインクラッド第一層の外れにある湖は霧に包まれていた。
『アマネ湖』と名付けられているその湖は五日に一度は霧に包まれており、霧の日は視界が悪くなるため来る者はほとんどいない。
たまに霧の日限定イベントが無いかと探しにくる酔狂な者もいるが見つかったという報告はいまだなく、安全圏ではないがモンスターもポップしない為狩りに訪れるものもいない。
しかもフロアボスが攻略されて二層が解放されたため、この湖などはまったく相手にされなくなってしまっていた。

そんな湖の畔。
浮かぶ船など無いのに設置されている木製の桟橋に、一つの人影があった。

その影は桟橋の端に胡坐をかいて座っており、そして釣竿を持ち、湖面に糸を垂らしてウキを浮かべていた。

伸ばした手の先も白く霞む様な霧の中、そんな人影があるだけで肝を冷やしてしまいそうなものだが、更に一つの人影が桟橋を歩いていた。

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441 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:11:17 ID:zAqSi8zI0

やってきた男「釣れているであるか?」

座っていた男は完全に油断していたためかなり驚いたのだが、なんとかそれを気付かせないことに成功し、上目遣いにやってきた男を見た。

やってきた男「釣れているであるか?」

座っていた男の表情はかなり険しく、現実世界ならばあまりそばに寄りたくない風貌であった。
しかしやってきた男は全く気にすることなく同じ事を聞いた。

視線をもどし、黙ってウキを見る目つきの悪い男。

目つきの悪い男「おまえ、おれが怖くないのか?」

やってきた男「怖い?」

目つきの悪い男「…俺は、オレンジだ」

目つきの悪い男の頭の上に浮かぶカーソルはオレンジ色。
それは、犯罪者の烙印。
プレイヤーを攻撃し傷付けたことがあるという印。

やってきた男はカーソルに視線を向け、色を確認してからもう一度目つきの悪い男を見た。

やってきた男「オレンジであるな。それで?」

目つきの悪い男「…知らないのか?」

やってきた男「何をであるか?」

目つきの悪い男「カーソルがオレンジなのはプレイヤーを攻撃して傷つけたことがある証拠だ」

やってきた男「であるな」

あっさりと肯定した男に驚き、こんどはそれを隠そうとせずに横を向くと、何の躊躇も無く男が隣に座っていた。

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442 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:12:31 ID:zAqSi8zI0

目つきの悪い男「おまえ!」

やってきた男「おまえは私を攻撃するのであるか?」

目つきの悪い男「は!?」

やってきた男「攻撃するのであるか?」

目つきの悪い男「……しねぇけどよ」

やってきた男「ならば怖がることは何も無い」

呆れたように断言した後、ウインドウを操作して自分の釣竿をとりだす。そして釣り糸の先の針に芋虫のような餌をつけ、湖に垂らした。
それを見つつ、目つきの悪い男も湖面に浮かぶ自分のウキを見る。

目つきの悪い男「変なおっさんだな……だけど、そんなだといつか殺されるぞ」

やってきた男「おっさんとはなんだ。おっさんとは。まあお主とは20近く離れておるだろうが」

顔をしかめるやってきた男。
しかしその表情がゆっくりと緩む。

やってきた男「お主は優しいのだな」

目つきの悪い男「は、はぁ!?」

思いもかけないことを言われ、慌てたように再び横を向く目つきの悪い男。

やってきた男「そうであろう。私を心配してくれたのだろ?初めて会ったこの私を」

目つきの悪い男「べ、別にそんなつもりじゃ」

やってきた男「そんなつもりは無くともそうやって人を気遣える者のことを、『優しい』というんだと思うがな」

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443 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:13:37 ID:zAqSi8zI0

目つきの悪い男「…本当に、へんなおっさんだな……。ここは釣れねぇよ。晴れの日は知らねぇけど、霧の日は釣れたためしがねぇ」

やってきた男「…そうであるか?」

湖面に浮かぶウキが一つ沈み、やってきた男の釣竿がしなる。
そしてタイミングを合わせて竿を引くと、銀色に輝く一匹の魚が釣れた。

目つきの悪い男の切れ長の目が、大きく開かれてまん丸になる。

目つきの悪い男「へ?」

やってきた男「この湖は晴れた日は簡単に釣れるが、霧の日は難易度が上がって釣りスキルが150ないと釣ることができないのである」

慣れた手つきで魚を自分のストレージにしまう男。

目つきの悪い男「なんだよそれ」

やってきた男「しかも釣れるのはこの種類だけである。スキルが更に上がれば他の種類も釣れるのかもしれないが、今のところはこいつだけである」

立ち上がり、釣竿をしまう男。
そしてそのままウインドウを操作すると、桟橋の上に銀色の鱗をもった魚が十数匹現れ、ピチピチと跳ねた。

目つきの悪い男「お、おい」

やってきた男「おぬしにその魚をやろう。腹が減っておるのであろう?こんな日に魚釣りにくるくらいであるからな」

目つきの悪い男「別に…」

やってきた男「だが、その魚を調理するときは気をつけたほうが良い。生でも食えるがそれほど美味しくは無い。焼くのは固体ごとの設定を見抜かないと美味く焼くことが出来ぬ。わしも何度失敗したことか」

目つきの悪い男「そんな魚を」

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444 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:14:35 ID:zAqSi8zI0

やってきた男「だが、上手く焼けるとかなり美味い」

目つきの悪い男の抗議の言葉をさえぎるように喋るやってきた男。
美味いという言葉を聞いて抗議を止めた男を見てにやりと笑う。

やってきた男「これだけの数があれば、一匹か二匹は上手く焼けるであろう。それに、生焼けや焦げてしまっても食べられなくはないから腹の足しにはなるであろうしな」

目つきの悪い男「……貰っておいてやるよ」

桟橋の上で跳ねている魚を自分のストレージに移動し始める目つきの悪い男。
それを優しい表情で見守るやってきた男が、魚があらかた保存されたのを見て口を開いた。

やってきた男「わしの名はロマネスク。お主、名前は?」

目つきの悪い男「……」

ウインドウを操作する手を止め、見上げる目つきの悪い男。

( ФωФ)「次に会った時、なんと呼べばよい?若造とでも呼べばよいのか?」

目つきの悪い男「……また会うつもりかよ」

( ФωФ)「会わないつもりか?魚の礼は魚で返してもらいたいものなのだが」

目つきの悪い男「……本当に変なおっさんだな。……ジョルジュだ」

( ФωФ)「ん?」
 _
( ゚∀゚)「おれの名前はジョルジュだ。おっさん、耳遠いんじゃないのか?」

( ФωФ)「はっは。ではジョルジュ、またな。魚を上手く焼ける様頑張るがよい」
 _
( ゚∀゚)「うるせえ」

笑いながら桟橋を岸に向かって歩いていくロマネスク。
後に残されたジョルジュも魚を全部ストレージにしまうと、そのまま釣り道具も片付け、桟橋を戻り始めた。

霧は、まだ湖を包んでいた。


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445 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:15:30 ID:zAqSi8zI0


1.豪雨を防ぐにはその傘は小さすぎる。


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446 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:16:18 ID:zAqSi8zI0

オレンジプレーヤー。
それは他のプレーヤーを傷付けてしまい通常青色のカーソルをオレンジ色にしてしまった者。
この者は圏内、つまりシステムに守られた街に入ることが出来なくなる。
森に時々現れるNPCの道具屋や、モンスターを倒したときにドロップするアイテムなどで補給はそこそこ出来るものの、やはり『安全な場所』で休むことが出来ないのは精神を病む原因にもなる。

この『安全な場所』というものが曲者で、『モンスターが出ない・攻撃してこない』という意味での『安全な場所』はダンジョンの中にも存在する。しかしそこは圏内ではないため、攻撃されればHPは減るし死ぬこともある。

モンスターが出ないのに攻撃される。

つまり、モンスターには襲われることはなくともプレイヤーがプレイヤーを、人が人を殺すことが出来てしまう場所、それがダンジョン内にある『安全エリア』だった。

モンスターのみを警戒するのならば安全エリアで休めばよい。
だがしかし、すぐそばをモンスターが闊歩しているという恐怖は感じてしまう。
そして他のプレイヤーは絶対に警戒しなければならない。
そんな場所で心から休むことなど出来るわけがなく、疲労は蓄積し、心はすさんでいく。

また、やはりオレンジプレーヤーは周囲に忌避され、白い目で見られる。
それは当然のことで、人を攻撃したことがあるということは、もしかすると殺しているのかもしれないし、更にもしかすると自分を攻撃してくる可能性もあるかもしれないのだから。

自ら選んでオレンジになったものならばまた違うかもしれないが、思いもかけずオレンジになってしまったものならば、この状況は苦しむだけであろう。

そして、ここにるジョルジュも自分にとっては不慮の事故によりオレンジになってしまっていた。
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(;゚∀゚)「ちくしょう…」

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447 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:17:46 ID:zAqSi8zI0

使うごとに磨耗する剣の耐久値は限界に近付きつつあり、たいしたものも食べられず、POTも底をつきつつあった。
 _
(;゚∀゚)「おっさんに貰った魚も食っちまったし、POTもなくなりそうだし、何より剣がもうやべぇ………」

どんよりと曇った空の下、森の中を隠れるように進んでいたジョルジュ。
体の疲れと心の磨耗。手持ちのアイテムの減少が心を荒ませ、正常な判断が出来なくなっていく。

そんな彼の目に、一組のパーティーが映った。

楽しそうに、それこそ遊びに行くかのように談笑しながら歩く五人。
三人の男のうち二人は片手剣使い。一人は貧相で一人は少し丸い。もう一人は槍使いで中肉中背だが垂れた眉の顔はとても強そうには見えない。
二人の女は細剣使いと槍使い。二人とも美人でなんでこんなゲームにいるのか分からないが、少なくとも強そうには見えない。

既に三層が開放されたのにまだこの一層にいるということは、実際にも強くはないのであろう。

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448 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:18:37 ID:zAqSi8zI0

少し傷付けるだけ

いや、ダメだ。

どうせオレンジなんだから。

ダメだ

殺さなければいいだろ

……ダメだ

おれが、生き残るためだ

……

おどかすだけ。ちょっと傷付けるだけ。殺しやしないl。



多分な。

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449 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:19:38 ID:zAqSi8zI0

心の中で二つの思いが渦を巻き、結果が出てしまいそうになったその時、貧相な男がこちらを向いて剣に手をかけた。

('A`)「オレンジプレーヤーだ!」

何も考えずに瞬間的に飛び出してしまったジョルジョに対して武器を構えるドクオとショボン。
反応できずにいた三人を後ろにして守るようにする。
 _
(#゚∀゚)「    」

片手剣を構えるジョルジョと。
ドクオとショボンの後ろにいる三人も慌てて武器を構える。

(;^ω^)「オレンジプレーヤー?」

ξ;゚听)ξ「カーソルがオレンジでしょ!よく見なさい!」

(;^ω^)「あ、ほんとだ」

川;゚ -゚)「実物を見るのは初めてだが、オレンジという事は…」

出足こそ遅れたものの武器を構えたその姿はさまになっており、一筋縄ではいかない強さを感じられた。
 _
(#゚∀゚)「ちっ」

『しくじった』と、心で呟くジョルジュ。
弱そうに見えたからこそ飛び出してしまったのであって、本当に戦いたいわけではない。傷付けたいわけではない。
だが程ほどに強いのならば脅しただけではPOTや食料を渡したりはしないだろう。
そして、例えオレンジプレーヤーを傷付けても通常ブルーのカーソルがオレンジに変わることはない。
オレンジプレーヤーは、犯罪者は襲われてもしょうがないといわんばかりのこのシステム上において、彼らが自分の命とその持ち物を守るために自分を攻撃してきても、彼らには何のペナルティーも起きない。
そう、例えジョルジュを殺したとしても。
 _
(;゚∀゚)「くっ」

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450 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:20:49 ID:zAqSi8zI0

逃げるか、襲うか。
生きるか、死ぬか。
生き残るか、殺すか。

次の行動を躊躇した瞬間、ショボンが意外な行動に出た。

('A`)「え?」

ξ゚听)ξ「え?」

川;゚ -゚)「おい」

(;^ω^)「ちょっ」
 _
(;゚∀゚)「な、なにを」

槍を地面に突き刺し、両掌をジョルジュに見せながら二歩前に出たショボン。
 _
(;゚∀゚)「な、なにをして…」

(´・ω・`)「望みは?」
 _
(;゚∀゚)「え?」

(´・ω・`)「僕らは五人いる。おそらくは君と戦えば君を倒すことが出来る」
 _
(;゚∀゚)「たいした自信だな」

(´・ω・`)「事実を述べただけだよ」

ジョルジュから視線を逸らさずに小首をかしげるように後ろにいる四人に意識を向けるショボン。
それにあわせて四人が武器を構える。

たとえ隙を突いてショボンを攻撃したとしても、その次の瞬間には四人の武器がジョルジュの体を切り刻むであろう。

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451 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:21:47 ID:zAqSi8zI0

(´・ω・`)「けれど、僕たちも無傷ではすまないだろう。たとえ死なないとしても、死へと繋がる可能性は少ない方が良い。だから、まずは望みを言え。僕らで対応できることならば取引をする」
 _
( ゚∀゚)「取引?」

(´・ω・`)「すぐ襲ってこないところをみると、殺人したいわけではないみたいだからね。食べ物かPOTか…武器か。街に入ることが出来ないから補給をしたいんじゃないかと思ったんだけど」

('A`)「おい!」

(´・ω・`)「今ここで彼とする戦闘に意味はない。多少の食料やPOTで回避できるなら安いものだよ」

川 ゚ -゚)「そういう意味じゃない!こいつは!こいつは!」

(´・ω・`)「まだそうと決まったわけじゃないよ」
 _
( ゚∀゚)「………あまちゃんだな」

ξ#゚听)ξ「はぁ?」

ジョルジュの吐き捨てるような呟きに反応する四人。
特にツンは怒りをあらわにして細剣を向けた。

ξ#゚听)ξ「なにがあまちゃんなのよ」

(;^ω^)「ツン!」

そのまま立ち向かおうとするツンを後ろから羽交い絞めにするブーン。
怒りをあからさまにあらわにしたツンを見て、逆に冷静になるドクオとクー。

('A`;)「まあ、あれは置いておいて」

川;゚ -゚)「なにがあまちゃんなのかは私も知りたいところだ」
 _
( ゚∀゚)「………おれは、人を殺した」
452 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:22:43 ID:zAqSi8zI0

(´・ω・`)「!」

ジョルジュの告白に息を呑む五人。
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( ゚∀゚)「だから、あまちゃんだって言ったんだ」

五人の衝撃をあらわすかのように鳴り響いた雷鳴。
どんよりと曇っていた空を貫く一筋の雷。
大粒の雨が、降り注ぎ始める。
 _
( ゚∀゚)「俺は、人を殺した。この手で、殺した。このオレンジは、その証。だから、おれに関わるな。対等に扱うな。恐れろ、逃げろ、寄るな……触るな……」

剣を構えつつも嗚咽を漏らしながら呟き続けるジョルジュ。
呆気に取られたようにそれを見つめる五人。
 _
(   )「……誰か……おれを……」

降り続ける雨。
戦意をなくしたように武器を下げる四人。
ショボンは地に突き刺した槍を引き抜いた。

(´・ω・`)「確かさっき通った安全地帯に大きな木があったよね。あそこで雨宿りしよう。……あなたもきませんか?よければ話をしたいです」



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453 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:23:39 ID:zAqSi8zI0



強く降る雨。
雨に濡れる緑深い森は、視覚だけで現実世界で嗅いだ事がある木々の匂いを思い出させる。

安全エリアの端にそびえる巨木。
上のフロアに向かってそびえ立ち枝を広げるその木は、根元にたどり着いた六人を雨から守った。

('A`)「凄い雨だな」

(;^ω^)「だおね。びしょぬれだお」

ξ;゚听)ξ「この世界でも濡れると服がはりつくとか…。そんなところまで再現しなくていいのに」

川;゚ -゚)「パラメーター異常ではないが、動きが阻害されるだろ。これ」

('A`;)「っていうかおまえら、もうちょっと恥じらいをもて」

ξ゚听)ξ「あんたあいてに?」

川 ゚ -゚)「その発想ひくわ〜」

('A`)「なあブーン。おれなんかしたか?」

(;^ω^)「とりあえずノーコメントで」

和気藹々と話し始める四人を尻目に離れた場所に一人座るジョルジュ。
しかし耐久値が限界になりつつある剣はしまわず、右手に握ったままだ。

(´・ω・`)「大丈夫ですか?」

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454 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:24:48 ID:zAqSi8zI0

武器を持たず近寄ってくるショボン。
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( ゚∀゚)「……」

少し歩いたせいか落ち着いたらしいが、ここまで一緒に歩いてきたことを考えるとまだ動揺もしているのであろう。
ショボンの言葉に素直に答えることはせず、自分を見下ろすショボンの顔をじっと見た。

(´・ω・`)「なにか?」
 _
( ゚∀゚)「なんでおれにかまう」

(´・ω・`)「…僕は、こういったゲームをするのは初めてといっても良いです。だから、いろいろ知りたい。ただそれだけです」
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( ゚∀゚)「人の殺し方も知りたいのか?」

(´・ω・`)「色々な死に方を知れば、そうならないための対策を考えることが出来る。あなたが本当に誰かを殺したのならば、あなたが殺したやり方で殺されないための対策を練ることが出来る。生きるための知識を得たいんです」
 _
( ゚∀゚)「……ほんとうに、あまちゃんだな。あたまでっかちな」

(´・ω・`)「それに、知りたいのは死に方だけではない」
 _
( ゚∀゚)「ん?」

(´・ω・`)「僕は、この世界の全てを知りたい。基本ルールも、裏ルールも、正道も、裏道も、抜け道も、全て」
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( ゚∀゚)「……おまえ」

(´・ω・`)「僕は、僕と仲間を生かすためなら何でもします。でも、出来るならば誰も傷付けたくはない。光の当たる正道も歩きたい。だから、そのために全てを知りたいんです」
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( ゚∀゚)「……」

(´・ω・`)「教えてくれませんか?貴方が何をしたのか。そして、何があったのかを」

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455 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:25:37 ID:zAqSi8zI0

いつの間にかショボンの後ろに立つ残りの四人。
四人とも武器を手にはしているが誰もジョルジュに対して構えてはおらず、もちろん友好的な態度ではないが、冷静にジョルジュを見ている。
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( ゚∀゚)「……わかった。おしえてやるよ。おれが何をしたのかを」




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456 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:26:20 ID:zAqSi8zI0



2.雷雨が過ぎた後、残ったのはこの折れた木、一つ。



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457 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:27:22 ID:zAqSi8zI0

一層のとある村で受けることの出来るクエストのクリア報酬として手に入れた片手剣を手に、ジョルジュは快調にモンスターを倒していた。
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( ゚∀゚)「こりゃあいい!頑張って手に入れてよかった!」

ジョルジュはその時、第一層の迷宮区に程近い村に拠点を置き、周囲の森や草原で順調に経験を積んでいた。
一度入った迷宮区ではたまたま近くにいたソロプレーヤーに助けてもらえたから良かったものの、レベルはともかく経験不足を痛感し、まずは色々な敵と戦うために足を伸ばしているところだった。

その一つとして情報にも目を向け、通り過ぎた村に使える武器があると知って舞い戻って手に入れたのが二日前。
その日からその武器を片手に順調に経験を積み、更に強化にも成功していた。
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( ゚∀゚)「よし!あと一匹狩ったらもどるか」

この森には低確率で麻痺毒攻撃を行うモンスターが出現するため、ソロで狩りをしているジョルジュはあまり無理をせず戻ることを決めていた。
初めて麻痺攻撃を受けたときはかなり混乱してしまい、満タンだったヒットポイントを半分以下まで減らしてしまったことも、その決まりを作った理由だった。
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( ゚∀゚)「ん?」

次の敵を探しつつ宿に戻る方向を進み始めたとき、視界の端に戦闘エフェクトが映った。
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( ゚∀゚)「ここで人に会うのは珍しいな」

剣技はもちろん通常の戦闘でも効果音や光が発せられるこのデジタル世界では、多少距離があっても視界さえ開けていればそれらによって戦闘が行われていることが確認できる。
通常ならばポップした敵の横取りはマナー違反なこともありそばに寄るようなことはしないが、その戦闘が行われているのが自分の進みたい先である以上近寄るのは仕方なく、またもし相手が危機的状況だった場合は助けに入ることもあるため、ジョルジュは注意して歩みを進めた。

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458 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:28:46 ID:zAqSi8zI0

(の)「はっ!」

(て)「とう!」

(る)「っと!あぶねぇ!」

見れば三人組。
どちらかというと危ない手つきで、なんとか致命傷をおうこともなく、だがしかし与えることも出来ず、二体のモンスターと戦っている。
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( ゚∀゚)「あ〜……まあ、大丈夫か…」

ソロであれば手を貸すために近寄ったかもしれないが、パーティーであったため、そのまま森の端を通って戦闘の邪魔にならないように通り過ぎようとする。
しかし敵の姿をしっかりと確認したとき、動きを止めた。
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( ゚∀゚)「あのモンスターはマヒ毒を出すやつだよな。……ま、パーティーなら大丈夫だろ」

見るからに毒々しい色をした人ほどの大きさのキノコ型モンスター。
二匹とも興奮状態にあり、頭の先端と開いた笠から胞子を溢している。

それに気付く様子もなく剣技を繰り出す三人。剣に胞子が付くと攻撃力ダウンしてしまうのだが、気にする様子が三人にはない。
興奮状態にあるキノコ型モンスターは更に胞子を撒き散らしていく。
 _
( ゚∀゚)「おいおい、大丈夫か」

念のため、すぐ飛び出せるように近くによりつつ剣を構えようとすると、二匹のキノコが攻撃に目を回したのか千鳥足になる。

(る)「いまだ!」

(て)「よし!」

それにあわせて更に剣技を繰り出そうとする二人。
 _
(#゚∀゚)「バカヤロウ下がれ!」

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459 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:30:09 ID:zAqSi8zI0

三人の後方から叫びながら飛び出すジョルジュ。
驚いて動きを止める三人の前に倒れこむ二匹のキノコ。
すると倒れた拍子に三人に向けられた頭の先から黄色い胞子が飛び出した。

(て)「うをっ」

(の)「わっ」

(#る)「なんだてめえ!ジャマするな!」
 _
(#゚∀゚)「その胞子はマヒ毒だ!にげろ!」

慌ててバックステップを踏む三人。
辛うじて胞子の煙を避け、息を呑む。
 _
( ゚∀゚)「あのモーションはマヒ毒を出すときのうごきだ。確率はひくいが三人ともマヒってたかもしれねぇぞ。街で配ってる攻略本をよく読め!」

(の)「あ、ありがとうございます」

(て)「……」

(る)「……けっ。お前がでかい声を出さなきゃオレとこいつであんな技を出させなかった」

(て)「そ、そうだそうだ!」

(の)「二人とも!」
 _
( ゚∀゚)「くるぞ!」

ジョルジュに抗議するために振り返った二人を守るように、キノコに向かって突進するジョルジュ。
二匹の間を走り抜けながら左右に剣を振るう。
致命傷までは与えられないが、一撃で確実にヒットポイントを減らした。

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460 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:31:16 ID:zAqSi8zI0

(の)「すごい!」

(る)「お、…オレだってあの武器があれば」

(て)「あれ、『アニールブレード』だよな。あいつ、あのクエストクリアしたんだ」

(の)「あれが!?」

(る)「そうか!あいつはベータテスターだ!だからきっとなんか簡単にクリアできる裏技を知ってやがって、手に入れたんだ」

(の)「そ、そんな」

(て)「ああ、そうだよな。裏技でもなきゃ、あの武器を手に入れられねぇよ」

(る)「そうだ。あいつはベータテスターだ。このデスゲームが始まった瞬間に自分達が生き残ることだけを考えやがった最低な奴だ。今だって俺達を助けるふりをして経験値とドロップ品を奪うつもりなんだ」

(の)「そんな!きまったわけじゃ、」

(て)「ちくしょう!」

三人が勝手な推測をする中、一人剣を振るうジョルジュ。
勿論ジョルジュは三人を助けたいだけだった。
自分が助けられたように、自分も目の前の『仲間』を、このデスゲームを共にクリアを目指す『仲間』を助けたいだけだった。

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461 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:32:15 ID:zAqSi8zI0

そして、ジョルジュは『ベータテスター』でもない。

β(ベータ)テスター。
ゲームのバグや不具合を検出するために、正式稼動する前に希望者を募ってテストをすることが多々ある。
その際のゲームをβ版と呼び、テストプレーヤーのことをβテスターと呼ぶ。
この『SA0(ソード・アート・オンライン)』においてもβ版は存在し、一般に向かって希望者を募ったテストプレーヤーは総数千人。応募者が十万人であったことを考えると、その注目度と倍率の高さが伺われる。

βテスターという事は、正式サービス前にこのアインクラッドに訪れているわけで、たった二ヶ月間の間だけだがこの世界を生き、そして攻略した経験を持っている。
もちろん正式サービスのタイミングで変更されている点はあるはずだが、それでも全く初めての者に比べれば大きなアドバンテージを持っていると言って良いだろう。

このデスゲームにおいて、それは大きな武器だった。

たった二ヶ月。
百層になるアインクラッドというこの浮遊城をβテスト期間二ヶ月で到達できたのはたった十層。
けれど、正式サービス後のスタートダッシュにおいてその知識と経験は大きな武器となった。

生きるか死ぬかの世界。

その世界で、自分が生きるために自分の持つ知識を使うことを誰も攻めることは出来ないはずだ。
だが、それは外から見る者達の冷静な視線であり、実際に死の隣り合わせのこの世界で、その情報を独り占めしている、と思われているβテスター達をよく思わない者達は数多くいた。
さらにゲームが始まって一月ほどで二千人が死んだことが拍車をかけ、本来の恨み辛みをぶつける者が近くにいないこの世界で、憎しみを向ける絶好の的となっていた。

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462 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:33:13 ID:zAqSi8zI0

(#る)「ベータテスターめが」
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( ゚∀゚)「はっ!」

憎憎しげに自分を見る二人の視線に気付かず剣を振るうジョルジュ。
二体の巨大キノコのHPバーは赤く染まり、あと数発当てれば倒すことが出来るだろう。

(#る)「経験値を盗られてたまるか!いくぞ二人とも!」

(#て)「おう!」

(;の)「う、うん」

駆け出す二人とそれに続く一人。
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( ゚∀゚)「お、きたきた。もう大丈夫かな」

その姿を確認し、バックステップでキノコから距離を取るジョルジュ。
その横を駆け抜ける二人。

二人はそれぞれに片手剣を青と赤に光らせて巨大キノコを切り付ける。
その斬撃は順調にヒットポイントを減らし、彼らの攻撃力ならばあと二撃ほど与えれば撃破出来るだろう。
 _
( ゚∀゚)「お前は良いのか?行かないで」

(;の)「は、はい!いきます!」

剣を構えつつも走り出せずにいた三人目に声をかけたジョルジュ。
それに反応して怯えたように剣技を繰り出そうとする三人目。
しかしその一撃はキノコの一匹を掠ることに成功しただけで、目に見えるほどのダメージを与えることは出来なかった。
 _
(;゚∀゚)「あちゃ〜」

あとは三人に任せて去るつもりだったが、一人がその調子のため念のため武器を構えるジョルジュ。
先の二人も気合が空回りして、思うように追撃を出来ないでいた。

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463 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:34:46 ID:zAqSi8zI0

(#て)「何で当たんないんだよ!」

(#る)「ちくしょう!当たれ!」

(;の)「あれ?あれ?」
 _
(;゚∀゚)「おいおい、大丈夫かよ」

あまりの状況ことに再び剣技を繰り出そうとするジョルジュの目に映る、笠を大きく膨らませた二匹の巨大キノコ。
 _
( ゚∀゚)「!下がれ!」

(#る)「おれが倒すんだ!」

(#て)「チクショウ!チクショウ!当たれ!」

(;の)「え?え?」
 _
(;゚∀゚)「またマヒが来る!下がれ!」

既にヒットポイントを減らしている三人。
攻撃力の強い敵ではないとはいえ、麻痺状態で無防備な体に会心の一撃が与えられれば死なないまでも、死への恐怖は計り知れないだろう。
そして恐怖は正常な判断を鈍らせて混乱させてしまう。

それを一瞬のうちに考えたジョルジュは再び駆け出した。

最近覚えた重三連撃。
あれなら一撃ずつでキノコを倒せる。
あのモーションで噴き出すマヒの胞子は一回上空に噴火のように飛んで、その後降って来るからタイムラグがある。
その隙に倒してしまえば、数秒のマヒをくらうだけですむはずだ。

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464 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:36:10 ID:zAqSi8zI0



 _
( ゚∀゚)「いけーーーー!!」



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465 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:37:11 ID:zAqSi8zI0

ジョルジュが考えたとおり、突進した後の最初の一撃で目の前にいたキノコをポリゴンに変えた。
そのまま流れるように、システムのサポートに任せて二撃目をその後ろにいたキノコに浴びせる。
予定では二撃目はそれほど攻撃力が無いはずなので三撃目で倒すはずだったが、予想外にキノコのHPが減っていたため倒すことが出来た。
胞子はまだ自分達に降り注いでおらず、マヒもしていない。
安堵した心。
そして体は、システムが最後の一撃を繰り出した。

二匹目のキノコの後ろに居た、三人目の男に。





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466 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:38:02 ID:zAqSi8zI0



3.白雨だと知っているのなら、他人の家の軒先で待つのは罪ではない。




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467 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:39:16 ID:zAqSi8zI0

 _
( ;∀゚)「おれは、男を切りつけたときに気を失ってしまった。目を覚ましたときには、二人しか居なかった」

(´・ω・`)「……でも、一撃しか当てていないんですよね」
 _
( ゚∀;)「胴体を一閃。+3強化した…鋭さを2、丈夫さを1上げたアニールブレードだった。あいつは、キノコにやられてヒットポイントを減らしていた」

('A`)「………」

( ´ω`)「でも、事故だお」
 _
(#゚∀゚)「でも、おれは人を殺した!命を奪ったんだ!このオレンジカーソルがその証明だ!」

声を荒げるジョルジュを見て息を呑む五人。
その苦しさに、目に涙を浮かべるツンとクー。
 _
( ゚∀゚)「これが、人殺しの告白だ。そこの垂れ眉!参考になったか?」

(´・ω・`)「……」

('A`)「…アニールブレードはどうした?今使ってるのはドロップ品に見えるが」

何かを考えるように眉をひそめるショボンに変わりドクオが口を開く。
 _
( ゚∀゚)「……あの後おれは逃げた。二人の目が怖くて。人を切った剣を放り出して、逃げた。おれは、人殺しで、ひきょう者だ」

('A`)「なるほどな…」

思いつめたようにそっと下がるドクオ。
ショボンがその表情に気付き追おうとするとその場所にツンが進み、更にクーが近寄る。

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468 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:40:27 ID:zAqSi8zI0

ξ゚听)ξ「あなたは人を殺してしまったのかもしれない。でも、事故じゃない」
 _
(#゚∀゚)「だから」

川 ゚ -゚)「事故だろうがなんだろうが、人を殺した。それは分かった。で、だからお前は何をしているんだ?」
 _
(#゚∀゚)「あ?」

川 ゚ -゚)「今、お前は何をしているんだ?一人殺したから、二人殺すのも一緒か?」
 _
(#゚∀゚)「ふざけるな!そんなわけねぇだろうが!」

川 ゚ -゚)「では、なにをしてるんだ?」
 _
( ゚∀゚)「な、なにをって…」

川 ゚ -゚)「罪を償うために何かをしているのか?」

ξ゚听)ξ「ちょ、あんた」

川 ゚ -゚)「私たちの前に現れた時にお前は剣を向けた。あの剣で、私たちに何をするつもりだったんだ?」

ξ;゚听)ξ「ちょ、何を」
 _
(;゚∀゚)「あの時…おれは…」

川 ゚ -゚)「私たちを、殺すつもりだったのか?」
 _
(;゚∀゚)「そこまでは!」

川 ゚ -゚)「考えていなかったか。でも、脅す目的で剣を向けていた。その剣で、私たちを傷付けることは考えなかったのか?」
 _
(;゚∀゚)「おれは…おれは…」

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469 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:42:21 ID:zAqSi8zI0

ξ#゚听)ξ「そこまで!ストップ!いい加減にしなさい!」

項垂れるジョルジュ。
表情を変えることなくじっとジョルジュを見つめるクー。
その二人の間に割り込んだツン。

ξ#゚听)ξ「追い詰めてどうするのよ。あんただって分かってるでしょ」

川 ゚ -゚)「私やお前が分かっていることが、真実だとは限らない。それを確かめたかっただけだ」

ξ#゚听)ξ「だーかーらー」
 _
(;゚∀゚)「おれは…おれは…」

ξ#゚听)ξ「私たちに剣を向けたときのあのへっぴり腰!あんなんで私たちを殺せるわけないでしょ!人を傷付ける覚悟なんか一欠けらもないへたれの構えよあれは!」
 _
( ゚∀゚)「……え?」

(;^ω^)「あ〜」

川#゚ -゚)「そんなこと分からないだろ!ああいうへたれに見せて私たちの油断を誘う手かもしれないだろうが!腰が引けてたのはもしかするとダッシュするための構えかもしれないし、震えていた剣先もリズムを取っていたのかもしれないし」
 _
(;゚∀゚)「え?」

(;^ω^)「うわ…」

ξ#゚听)ξ「そんなわけないでしょ!ねぇ!?」

突然振り返るツン。
思わず頷くジョルジュ。
 _
(;゚∀゚)「あ、はい」

ξ#゚听)ξ「ほらみなさい」

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470 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:43:54 ID:zAqSi8zI0

川#゚ -゚)「私もそうだとは思ったが、可能性はゼロじゃないだろうが!」

ξ#゚听)ξ「ゼロよゼロ!あの構えのどこにそんな覚悟が見えたっていうのよ!ふしあななんじゃないの?あんたの目」

川#゚ -゚)「私たちの知らない何かの可能性もあるだろうが!おまえの狭い見聞で仲間を危険に晒すつもりか!」

ξ#゚听)ξ「へっ!あんなへっぴり腰から繰り出される技なんか、一蹴してやるわよ。あんたには無理かもしれないけどね」

川#゚ -゚)「はっ。覚悟がなくてもほんのちょっとの勢いでシステムのアシストがあれば強い攻撃が繰り出されることがまだ分かってないのか。まったく相変わらず考えが浅いな」

ξ#゚听)ξ「わかってるわよそんなこと!だいたいあんたが最初にこのへっぴり腰を追い詰めるようなこと言い出したから止めてあげたんでしょうが!弱いネズミだって追い詰められたらなにしでかすか分かんないんだから気をつけなさいよ!」

川#゚ -゚)「へたれの繰り出す攻撃なんか一蹴するんじゃなかったのか!?」

ξ#゚听)ξ「へなちょこな攻撃すらくらっちゃいそうなあんたを守るのがめんどくさいって言ってるのよ!」

川#゚ -゚)「はっ!」

ξ#゚听)ξ「へっ!」

(;^ω^)「二人とも二人とも」

ξ#゚听)ξ「なに!?」

川 #゚ -゚)「なんだ!?」

(;^ω^)「それくらいで許してあげて」

ξ#゚听)ξ「はぁ!?」

川 #゚ -゚)「なにを!?」

(;^ω^)「彼を」
 _
( ゚∀゚)「     」

ξ゚听)ξ「あ」

川 ゚ -゚)「あ」

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471 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:45:23 ID:zAqSi8zI0

膝を抱えてうずくまるジョルジュ。
力なくか細い声で笑っていたかと思うと、何かを呟き始めた。
 _
( ゚∀゚)「けっこうれべるもたかくなったしせんとうけいけんもつんだしめいきゅうこうりゃくなんかもがんばったけどまだそんなひょうかなんだなおれでもしょ うがねえじゃんばーちゃるげーむはじめてだしこつをつかむまでじかんかかったしひところしちゃったしやっぱりおれなんていないほうがいいんだよははははは ははははふはははははははははははは」

ξ;゚听)ξ「あ、あの」

川;゚ -゚)「なんかすまん」

('A`;)「なにやってんだおまえら」

(´・ω・`;)「どういう状況?こっちがちょっと話し込んでる間に新展開?」

(;^ω^)「新展開というかなんと言うか」

ξ;゚听)ξ「ちょっと盛り上がっちゃって」

川;゚ -゚)「そしたら彼を色々追い詰めてしまった」

ξ゚听)ξ「ねえ」

川 ゚ -゚)「なあ」

(;^ω^)「なんで僕の顔を見るんだお!追い詰めたのは二人だお!」
 _
( ゚∀゚)「はははははははそうだよな〜ははははははははおれなんてさ〜ははははははははは」

('A`;)「おい、大丈夫か?」

(´・ω・`;)「聞きたいことがあるんだけど」
 _
( ゚∀゚)「いいんだおれなんてやっぱりどんなにがんばってもよわいままなんだまけいぬなんだがんばったけどだめなんだしかもひとまでころしておれはやっぱりだめなやつなんだりあるでもともだちいないしみんなさけるしぼっちだし」

('A`;)「……ひきこまれそうだ」

(´・ω・`)「しょうがないなぁ……まだ雨も降ってるし、お茶でも飲んで一回落ち着こうか」


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472 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:47:48 ID:zAqSi8zI0


一時間後
 _
( ゚∀゚)「……迷惑をかけたな」

(´・ω・`)「いや、こちらこそ仲間が失礼しました」

座ったままやっと落ち着いたジョルジュの手には湯気の立ち上るカップが持たれている。
 _
( ゚∀゚)「…これ、うまいな」

(´・ω・`)「気に入ってもらえてよかった。2種類のお茶のブレンドなんですけど、オリジナルだから褒めてもらえると嬉しいです」

同じように座り、同じようにカップを持っているショボン。
 _
( ゚∀゚)「………」

だまって啜るジョルジュ。
 _
( ゚∀゚)「ほんとうに……うまい」

(´・ω・`)「ありがとう」

ジョルジュとショボンのいる場所と大樹をはさんで反対側にいる四人。

('A`)「まったくおまえらは」

ξ゚听)ξ「結果おーらいよ。彼も毒気が抜けたみたいだし。ね、ブーン」

川 ゚ -゚)「そうだな。わざとでもがっつり興奮させればその後落ち着くもんだ。な、ブーン」

(;^ω^)「だからなんでいちいち僕の名前をだすんだお!」

('A`)「ブーン?」

(;^ω^)「違うお!濡れ衣だお!」

わいわいと騒ぐ四人を視界の端に見て、息を吐くジョルジュ。
 _
( ゚∀゚)「仲が良いんだな」

(´・ω・`)「…それなりに」
 _
( ゚∀゚)「……そうか」

(´・ω・`)「はい」
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473 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:48:59 ID:zAqSi8zI0

 _
( ゚∀゚)「聞きたいこと、まだあるんだろ?」

(´・ω・`)「もう大丈夫ですか」
 _
( ゚∀゚)「ああ、茶、うまかったしな。ごちそうさま」

カップをショボンに差し出すジョルジュ。

(´・ω・`)「おかわりは良いですか?」
 _
( ゚∀゚)「ああ。もう、充分だ」

カップを受け取り、自分のものと合わせてストレージにしまう。

(´・ω・`)「……亡くなった方は、なんてお名前なんですか?」
 _
( ゚∀゚)「…知らない。それすらも知る前に、殺してしまった」

(´・ω・`)「残った方の名前は?」
 _
( ゚∀゚)「……知らない。聞こうともせず、おれは逃げ出した」

(´・ω・`)「そうですか……」

黙り込む二人。
ショボンは何かを考えているようにも見えるが、ジョルジュはそれに気付かず俯いている。
 _
( ゚∀゚)「もう、いいか?」

そのままどれほど経っただろうか。
ゆっくりとジョルジュが顔を上げた。

(´・ω・`)「このあと、どうなさるんですか?」
 _
( ゚∀゚)「生きられるところまで生きて、死ぬさ」

(´・ω・`)「そう…ですか」

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474 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:50:20 ID:zAqSi8zI0

じっとジョルジュを見ながら立ち上がるショボン。
ウインドウを出し、タップすると右手に愛用の槍が現れる。
そしてそのまま切っ先をジョルジュに向ける。

(´・ω・`)「死ぬ、つもりですね?」
 _
( ゚∀゚)「……殺して、くれるのか?」

(´・ω・`)「ならばその命、僕が預からせてください。一週間。その間にあなたの気持ちが変わらなければ、責任を持って僕が貴方を殺します。けれど、一週間は僕の言う通りにしてください」
 _
( ゚∀゚)「どういうことだ?」

(´・ω・`)「確かめたいことがいくつかあります。それを確かめ終わるまで、生きていてください」
 _
( ゚∀゚)「……本当に。殺してくれるのか?」

(´・ω・`)「はい。その時、貴方が死にたければ」
 _
( ゚∀゚)「………分かった。この命、預けよう」

どこか冷めたように笑うジョルジュに、ニッコリと微笑んだショボン。

(´・ω・`)「といっても、一週間もいらないと思いますけどね」
 _
( ゚∀゚)「へ?」

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475 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:52:29 ID:zAqSi8zI0

('A`)「アルゴから情報着たぞ。この量で絞るって凄いなこいつ」

いつの間にか寄ってきていた四人。
ドクオがウインドウをタップすると、ショボンにメッセージが来たことを告げるチャイムが聞こえた。
 _
( ゚∀゚)「お、おい」

(´・ω・`)「実は先ほど話を伺った時点で情報屋さんに情報の買取を連絡しました。少々値が張りましたが、見つけてくださったようです。接触はしていないようですが、近くまでは行って確認してくれたようですね」
 _
( ゚∀゚)「え?え?」

ウインドウを出すショボン。
槍をしまい、ドクオが送ってくれたメッセージを読む。

(´・ω・`)「鋭さを+2丈夫さを+1上げた強いアニールブレードを持つ片手剣士を含む、片手剣士のみの二人もしくは三人のパーティー。なおかつそのアニール ブレードは最近手に入れたと思われる、初心者丸出しのパーティー。これだけの情報で、何組かに絞って送ってくれました。そのなかに、辺境の森アグデモニ ル、例の巨大キノコが出る森に通うパーティーが一組ありました。ですので、行ってみましょう。……知るために」

自分を見るショボンの真剣な表情。
そしてその後ろに立った四人の男女も同じように自分を見る。
そこに侮蔑や恐怖はなく、そこからはただたら本気であることだけが感じられる。
 _
( ゚∀゚)「わかった」

そう言って、ジョルジュも立ち上がった。


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476 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:53:27 ID:zAqSi8zI0

アグデモニルの森。
ジョルジュにとっては苦しみの地だが、他の者にとってはただの森である。多少難易度は高いが特に重要なクエストがあるわけでもなく、先に進むためには通り抜けないといけないわけでもない。
ただ経験を積むだけのための森。
そのせいであまり人気はないのだが、ジョルジュたちが足を踏み入れたとき、彼らの目に数エリア先で行われている戦闘エフェクトが見えた。

(る)「やっぱレア武器は違うな」

快調にアニールブレードを振る男。

(て)「もうけもんだよな。その剣であいつを殺したんだって言ったら放り出して逃げやがった」

(る)「ベータ野郎でも、ここでPKはしたくねえんだな」

仲間の男は街売りの剣だが、こちらも調子よく剣を振るう。
そしてアニールブレードほどではないが順調に巨大キノコのHPを減らした。

(て)「なんつっても、殺人野郎だからな」

大声で笑う二人。

(る)「お前もそう思うだろ?」

(て)「なぁ」

(の)「え?あ…うん…」

(て)「なんだよのり悪いなぁ。どっか調子悪いのか?」

(の)「そんなことないけど…」

(る)「最近元気ないよな。後でこの剣貸してやるからさ、使ってみろよ。切れ味とか爽快だぜ」

最後の一撃を与え、巨大キノコをポリゴンへと変える。
ハイタッチをして喜ぶ二人。
それに戸惑いながらも同じように手を上げた残りの一人。

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477 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:54:29 ID:zAqSi8zI0

(る)「ほんとに大丈夫か?」

(の)「う、うん」

俯き加減の仲間に対し、顔を覗き込むように問いかける男。

(て)「きつかったらちゃんと言えよ」

(の)「あ、あのさぁ」

(る)「ん?」

(の)「あの人、あのあとどうしたのかな」

(て)「あの人って?」

(る)「あのベータテスターのことか?」

(の)「ま、まだベータテスターって決まったわけじゃないし」

(て)「でもお前を傷付けただろ」

(の)「あれは事故だよ。ぼくがあそこの場所にいちゃったから。…剣が僕に当たるとき、凄い驚いた表情をしてたから、当てるつもりなんかなかったんじゃないかな」

(る)「そんなのは関係ない。あのベータテスターはお前を傷付けた。それが事実だ」

(て)「そうそう。で、頭にきたからちょっと脅かしてやっただけだよ。『お前が殺した』ってね。そしたら剣を放り出してにげてったってだけさ」

(る)「どうせ卑怯なベータテスターなんだから、今頃はアライメント回復させてのうのうと暮らしてるさ。気にすることねえよ」

(の)「そう…かなぁ」

(て)「そうそう」

ξ#゚听)ξ「ねえ、なんかものすごい勝手なこと言ってるけど、こいつらで良いのよね」

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478 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:55:36 ID:zAqSi8zI0

川#゚ -゚)「一回頭開いて脳味噌洗った方が良いな。こいつら」

次のエリアに進もうとした三人の後ろに立つ怒りをあらわにしたツンとクー。
その後ろに疲れた顔をしたドクオとブーンが続き、そしてショボンが現れた。

(;る)「な、なんだおまえらは」

ξ#゚听)ξ「あんたらに教えるような名前なんかないわよ!」

川#゚ -゚)「このゲーム内でそんなカスなことをするようなやつが居るとはな!」

(;て)「な、何を言って」

('A`)「そいつが持ってるアニールブレード、彼のものだろ?」

ドクオがチラッと振り返ると、ショボンの後ろからジョルジュが現れた。

(る)「げっ」

(て)「お、お前」

(の)「あっ!」
 _
( ゚∀゚)「おまえ…生きていたのか!」

ふらふらと前に進み出るジョルジュ。

(の)「あっあっ」

(;る)「おい!逃げるぞ!」

(;て)「げっ」

ジョルジュの顔を見てホッとした顔をしている男の肩を叩いて走り出そうとするが、すでに周囲を五人が囲んでおり、逃げる隙などなかった。

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479 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:57:00 ID:zAqSi8zI0

 _
( ゚∀゚)「生きていたのか」

(の)「あ、ご、ごめんな」
 _
( ;∀;)「よかったー!」

頭を下げようとした男の言葉をさえぎるように抱きつき、両目から大粒の涙を流しながら男を抱き締め、肩を掴んで顔を見て涙し、そしてまた抱きつく。
 _
( ;∀;)「生きてた!生きてた!生きてた!死んでなかった!良かった!良かった!生きてればこのゲームをクリアできる!一緒にクリアしよう!良かった!生きてる!生きてれば何とかなる!」

(;の;)「あっあっぁつ、ご、ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
 _
( ;∀;)「生きてた!生きてた!良かった!良かった!頑張ろう!がんばってクリアしよう!そこまで生きよう!良かった!生きてる!生きてれば何とかなる!」

(;の;)「ご〜め〜ん〜な〜ざ〜い〜」

泣き出す男。
そしてジョルジュに抱きつき、お互いに声を出して大泣きする。

ξ;゚听)ξ「あ〜やばい」

川;゚ -゚)「いやいやいやいや」

('A`)「さすがにこれは…」

ξ;凵G)ξ「私も泣く」

川 ; -;)「おなじく」

('A`)「えーーーー」

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480 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:57:58 ID:zAqSi8zI0

( ^ω^)「この二人が仲良いのはこういうところの息が合うからなんだおね」

(;る)「なんだよ、お前ら一体」

(;て)「俺達が何したって言うんだ」

(;´・ω・`)「充分したと思うんだけど、君ら本気で言ってるの?」

ショボンとドクオの監視の下、男二人が不貞腐れたように呟く。

(#る)「おれらはベータテスターに復讐しただけだ」

(´・ω・`)「だれがベータテスターなの?」

(#て)「あの男だよ!」

('A`)「多分違うと思うぞ」

(#る)「そんなわけあるか!ベータテスターでもない限り、アニールブレードを持って」

('A`)「根気よくやればとれるぞ。クエストレベル高くないし。今は欲しいやつが多いから激戦だけど、タイミングがあって運が良ければ二・三日でとれるんじゃないか?悪くても一週間もあればとれるだろうし」

(#て)「俺達が戦っているところに割り込んで経験値を奪おうとした!」

(´・ω・`)「キノコとの戦いだよね?麻痺胞子対策がちゃんと出来てなかったっていう。目の前に戦いなれしてなくてやられそうなプレイヤーがいて、自分に助ける能力があれば余程のことが無い限り助けに出ると思うけど」

(;る)「そ、それは」

('A`)「ちゃんと街で配ってる攻略本読んでるか?」

(;て)「そ、そりゃあ」

(´・ω・`)「ほんとに?ちら見じゃなく熟読してる?このそばに出現するディスアーム使いと戦うときの注意点言える?」

(;る)「そ、それはその…」

('A`)「おまえらよく今まで生き残ってこれたな」

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481 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/29(月) 23:58:58 ID:zAqSi8zI0

(;る)「   」

(;て)「   」

('A`;)「ああ、まあ、うん。あんまり落ち込まれても困るんだけど」

(;´・ω・`)「とりあえず、あっちが落ち着いたら話し合おうか」

いまだに抱き合って泣いている男二人ともらい泣きしている女二人をみつつ、提案したショボンだった。





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482 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:00:14 ID:zmGafc8U0


号泣する四人をなだめつつ安全エリアに移動した9人。
ショボンに座ってと促されて自然と正座した四人を囲むように立つ五人。
まだ涙を浮かべているツンとクーはすこし下がり気味で立ち、男三人が座る四人の目の前に立つ。
そしてそれぞれにショボンが話を聞いていた。

それを見ていたドクオがブーンに囁く。

('A`;)「なあ、なんで被害者のあいつまで正座してるんだ?」

(;^ω^)「さ、さあ。…なんとなく、流れで?」

('A`;)「なんというか、かんというか」

(´・ω・`)「とりあえず、話を整理しましょうか」

全員から話を聞き終わったショボンが正座している四人を見回しながら話しはじめた。

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483 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:01:06 ID:zmGafc8U0


まず、三人がキノコと戦闘開始。
キノコは麻痺胞子を操るレア種だったが、三人は気付かず。
対策が不十分だったため麻痺をくらいそうになり、それを助けるために彼が乱入。
彼の持つ武器と戦い方をみて、勝手に彼をベータテスターと思った三人。
とどめは自分達が与えようとした三人だったが、やはり詰めがあまく再び麻痺胞子をあびそうになる。
それに気付いた彼がキノコを一撃ずつで倒すために最近覚えた重三連撃の剣技を発動。
一撃ずつでキノコを倒した後、気を抜いた瞬間にシステムアシストで自動的に動いた三連撃目が一人を攻撃。
胴体を一閃する一撃だったが、ドットを一つ減らすにとどまった。
けれど人を切ったショックにキノコが最後に噴出した麻痺胞子によって、彼は気を失ってしまった。
先に回復した三人はオレンジカラーに変わった彼のカーソルを見て、悪戯を思いつく。
切られた一人を先に街に戻し、彼が起きるのを待ち、彼が一人を殺したと思い込ませた。
彼は自分の犯した過ちに驚愕・恐怖し、殺した武器であると信じた手の中のアニールブレードが恐ろしくなり、放り出して逃走。
残った二人はベータテスターへの報復に成功したと喜び、戦利品のアニールブレードを拾い、自分達のものに。
彼は自分の犯した過ちに苦しみつつ放浪。
三人は町で合流し、アニールブレードを片手に強くなった気分で、彼はここには現れないだろうとこの森でレベル上げ。


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484 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:02:12 ID:zmGafc8U0

(´・ω・`)「こんなかんじかな。訂正するところありますか?」

黙って首を横に振る四人。

('A`#)「改めて聞くと本当にくそだな」

(#^ω^)「こんな嘘がつけるなんて、信じられないお」

ξ#゚听)ξ「ほんとよ」

川#゚ -゚)「まったくだ」
 _
(;゚∀゚)「すまん」

ξ;゚听)ξ「なんであんたが謝るのよ」

('A`;)「つーかなんで一緒になって正座してるんだ」
 _
(;゚∀゚)「でも、おれが調子に乗って戦闘に割り込んだからごかいしちゃったんだろ?」

(;の)「違います!全部僕たちが勝手に間違えたんです!いけないのは僕たちなんです!」

(;る)「……すまなかった……」

三人組のリーダーと思われる男がポツリと呟く。

(;る;)「すまなかった…」

正座のままジョルジュに対して体を向けたかと思うと、そのまま頭を下して土下座をした。

(;る;)「すまなかった」

(て)「おれも、謝る。……ごめんなさい」

リーダーの横に移動し、同じように土下座をする男。

(;の;)「ぼ、ぼくも!」

川;゚ -゚)「うわ」

(;る;)(て)(;の;)「すみませんでした!」

三人の男が土下座してしまい、何もいえない六人。

.
485 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:03:16 ID:zmGafc8U0

(る)「許してくれとは言えない。だけど、せめて謝らせてください」
 _
(;゚∀゚)「い、いやさっきも言ったけどおれが乱入したからなんだろ?」

(て)「あんたは俺達を助けてくれた。俺達は、それを素直に受け取ることが出来なかった。……あんたは悪くない。間違ったことをしたのは、俺達だ」

(;の;)「ごめんなさい!」
 _
(;゚∀゚)「あ〜いや、うん、その」

(´・ω・`)「許すか許さないか、決めてあげたらどうですか」
 _
( ゚∀゚)「え?」

(´・ω・`)「三人は、自分の非を認め、謝っています。だから、決めてあげたらどうですか。許すか許さないか」
 _
( ゚∀゚)「許すに決まってるだろ!」

(´・ω・`)「だそうですよ。良かったですね」

(;る;)「ありがとうございます!」

(;て;)「ありがとうございます!」

(;の;)「ありがとうございます!」

土下座したまま顔を上げずに感謝の言葉を繰り返す三人に困ったような顔をするジョルジュ。
近寄り、肩を叩き、顔を上げさせていく。

ξ゚听)ξ「納得は出来ないけど、本人が良いならしょうがないか」

川 ゚ -゚)「そうだな」

( ^ω^)「一件落着だお」

('A`)「まあ、誰も死んでなかったし」

(´・ω・`)「そうだね。土下座したくらいで許してもらえて罪悪感まで払拭してもらえたんだから良かったよね」

486 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:04:11 ID:zmGafc8U0

(;^ω^)「え?」

ξ;゚听)ξ「え?」

川;゚ -゚)「おまっ」

(;る;)「あっ」

(て)「あっ」

(;の;)「えっ?」
 _
( ゚∀゚)「?」

('A`;)「……最初からかなりむかついてたからなぁ。こいつ」

良い雰囲気のまま終わりそうだった空気が一瞬で凍りつき、誰もなにも言えずにショボンの顔を見る。

(´・ω・`)「とりあえず、ぼくからも一言いいかな?」

誰も異議を唱えないのを確認した後、右手に装備していた槍を一振りして土下座組みの視界の先に切っ先を掠らせる。
思わず仰け反る三人を確認し、ニッコリと微笑んだ後口を開いた。




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487 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:05:46 ID:zmGafc8U0
 _
(;゚∀゚)「色々お世話になりました」

重箱の隅をつつくように精神的に負荷のかかるショボンの説教はあれから一時間続き、先に開放された三人がジョルジュに対して本当に申し訳なさそうな顔をしていた。

('A`;)「おつかれさま」

(;^ω^)「おつかれさまだお」

川;゚ -゚)「おつかれさまだったな」

ξ;゚听)ξ「ご愁傷様」

(´・ω・`)「なんかみんなの受け答えおかしくない?」

川;゚ -゚)「そうか?そうでもないと思うが」

疲労困憊で立ち上がったジョルジュに労わりの言葉をかける四人。

(´・ω・`)「まぁいいけどさ」

('A`)「これからどうするんだ?」
 _
( ゚∀゚)「どちらにせよオレンジじゃ街に入れないし、何とかして生きていくつもりだ」

('A`)「?アライメント回復クエストやりにいかないのか?」
 _
( ゚∀゚)「なんだそれ?」

('A`)「え?」
 _
( ゚∀゚)「え?」

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488 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:07:24 ID:zmGafc8U0

(´・ ω・`)「『アライメント回復クエスト』。オレンジになってしまったカーソルをグリーンに戻すために引き受けるクエストだよ。第一層ではこことは逆の端に ある小屋にいるNPCから引き受ける、かなり面倒臭いお使いクエストだったはず。制限や細かい制約がかなりあるんだよね。確か」
 _
(*゚∀゚)「そんなのがあるのか!ありがとう!やってくる!」

今にも駆け出そうとするジョルジュの前に差し出されるショボンの槍。

(´・ω・`)「なに言ってるの?」
 _
( ゚∀゚)「いや、そのアラなんだかクエストを」

(´・ω・`)「君の命は、僕が預かったはずだよ。最低でも一週間、僕の言うとおりにするってね」
 _
(;゚∀゚)「あ」

('A`)「あ」

川 ゚ -゚)「あ」

( ^ω^)「あ」

ξ゚听)ξ「あ」

ショボンの言葉に異口同音で呟く五人。
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489 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:09:01 ID:zmGafc8U0

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( ゚∀゚)「いや、その」

(´・ω・`)「とりあえず今日はミルムの森まで移動して、安全エリアで休もうか。食事は途中の街で買ってくるか、溜まってるドロップ品を調理するよ」
 _
( ゚∀゚)「え?」

( ^ω^)「おっおっ」

ξ゚听)ξ「なるほどね」

川 ゚ -゚)「いいんじゃないか」

('A`)「戦力の補強もしたかったしな」

ショボンの言葉に状況がつかめないで居るジョルジュ。
他の四人は真意を掴み、ニヤニヤしながら出発の準備を始めた。

(´・ω・`)「明日は朝からクエスト開始するから気合入れていくよ。だらだらやったら二日かかるみたいだけど、目標日没まで」
 _
(;゚∀゚)「え、あ?」

( ^ω^)「わかったお!」

ξ゚听)ξ「攻略本読まないと」

川 ゚ -゚)「復習しておく」

('A`)「一日か〜。まぁ六人がかりなら大丈夫か」

490 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:10:09 ID:zmGafc8U0

(´・ω・`)「アライメント回復したら、お人よしがあげちゃったアニールブレードをゲットしにクエスト開始。これは目標五日でいくよ。状況によっては夜間戦闘もやるから」

( ^ω^)「おっおっ!また病気の子のために花を取りに行けるお!」

ξ゚听)ξ「あんた達はどれくらいで取ったの?」

( ^ω^)「あの時は最初の方だったから、二日で取れたお」

('A`)「今なら一週間かかるという話もあるみたいだな」
 _
( ゚∀゚)「おまえら…」

川 ゚ -゚)「しかし、そろそろこの喋り方もキツイな。そろそろ良いんじゃないか?」

(´・ω・`)「それもそうだね」

ウインドウを出すショボン。

(´・ω・`)「この操作をするのも、五回目だけど久し振りだね」

ジョルジュの視界の端に点滅する赤いランプ。
メッセージが来た事を知らせるものだ。
 _
( ゚∀゚)「!」

慌てて自分のウインドウを開くジョルジュ。

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491 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:10:52 ID:zmGafc8U0


『Shobonさんからパーティーに誘われています』

        『YES』  『NO』


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492 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:11:57 ID:zmGafc8U0

(´・ω・`)「僕の名前はショボン。まずはお試しでパーティーを組んでみませんか?」

('A`)「おれの名前はドクオ」

( ^ω^)「ブーンだお」

ξ゚听)ξ「ツンよ」

川 ゚ -゚)「クーだ」
 _
( ゚∀゚)「お、おれと?」

(´・ω・`)「アライメント回復クエストは一度やってみたかったんで、よろしくお願いします。あと、今回の対応を見てあまりにもお人好しすぎるので、心配になりまして。少しは僕たちと行動して、腹黒くなった方が良いですよ」

ξ゚听)ξ「ぼく…」

川 ゚ -゚)「たち?」

( ^ω^)「まあまあ」

('A`)「周りはともかく自分のことはよく分かってるってことで良いんじゃないか」

(´・ω・`)「外野うるさいよ。あと、……それ以上に、そのお人好しっぷりに、惹かれたんですよ。全員ね。一緒に行動したいって。だから、まずは一週間僕らと行動してみませんか?」
 _
( ゚∀゚)「あ、ああ。ああ、ああ!ああ!」

ジョルジュの右手の人差し指が、震えながら『YES』をクリックした。



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493 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:13:03 ID:zmGafc8U0


4.明日また雨だとしても、今日は青空の下で。


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494 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:14:37 ID:zmGafc8U0

霧のアマネ湖。

視界が白く煙る湖の中心。
桟橋の先に座る一人の人影。
その人影は、湖面に釣り糸を垂らしていた。

そして、それに近付く一人の人影。
 _
( ゚∀゚)「久し振りだな、おっさん」

( ФωФ)「!久し振りだな」

自分が声をかける前に気付かれたことに驚いたロマネスクだったが、表には出さずににやりと笑うにとどめた。

( ФωФ)「カーソルをグリーンに戻したのだな」
 _
( ゚∀゚)「ああ。アライメント回復クエストなんてのをやってよ」

( ФωФ)「ほう。やったのか」
 _
( ゚∀゚)「ああ。……おせっかいな、仲間が出来てよ」

照れくさそうに、けれどどこか誇らしげにニヤニヤと笑うジョルジュ。
それを見てロマネスクが優しげに微笑んだ。

( ФωФ)「良い仲間が出来たのだな」
 _
( ゚∀゚)「まあ…な…っと」

湖面に浮かぶうきが沈み、タイミングを合わせて釣竿を上げるジョルジュ。
糸の先にはしっかりと魚が付いていた。

( ФωФ)「ほう」
 _
( ゚∀゚)「ちゃんと、釣れる様になったぜ」

( ФωФ)「釣りも頑張ったのだな」
 _
( ゚∀゚)「今の仲間がよ、特技っちゅうか、職業を持ってるやつが多いんだよ。おれも、釣りなら役に立てそうだからよ」

照れくさそうに呟きながら、釣った魚をストレージにしまうジョルジュ。
そして一つの箱を取り出す。
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495 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:15:49 ID:zmGafc8U0

 _
( ゚∀゚)「これ、やるよ」

( ФωФ)「なんであるか?」

受け取り、箱を開ける。

( ФωФ)「…ハンバーガーであるか?」
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( ゚∀゚)「フィッシュサンドだよ。おれが釣った魚を、仲間に調理してもらったんだ」

釣竿をしまい、立ち上がるジョルジュ。
座っているロマネスクを見下ろすが、その表情は凛々しい。
 _
( ゚∀゚)「俺はまだ、あまちゃんだ。レベルも低いし、経験も足りない。でも、生き続ける。生きて、このゲームをクリアしたい。あいつらと一緒に。そのために、頑張ろうと思ってる」

( ФωФ)「…そうであるか」
 _
( ゚∀゚)「ああ」

( ФωФ)「………」
 _
( ゚∀゚)「………」

( ФωФ)「………で?」
 _
( ゚∀゚)「ん?」

(;ФωФ)「いや、このフィッシュバーガーはなんであるか?」
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( ゚∀゚)「あ、そうそう、で、まだおれは経験もすくないし、何も出来ないも一緒で、魚も、上手く焼けない。おっさんに、あのときの魚を貰った恩返しも出来ねぇ、けど、魚は釣れるようになった。それを上手いこと調理してくれる仲間も出来た。だから、まずはそれを利子としてもらってくれ。で、上手く焼けるようになったら、それを貰ってくれ」

( ФωФ)「なるほど。そういうことであるか」
 _
( ゚∀゚)「ああ!」

( ФωФ)「……楽しみにしてるである。美味い魚を食わせてくれる日を」
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(*゚∀゚)「ああ!まってろ!」

ロマネスクに一礼し、駆け出すジョルジュ。
桟橋を一目散に駆け抜け、仲間が待つ場所へと走っていった。

ロマネスクはそれを見送ると、箱の中からフィッシュバーガーを取り出し、一齧りした。

( ФωФ)「楽しみにしているであるよ。美味いサカナが食える日を」
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496 名前: ◆dKWWLKB7io:2013/04/30(火) 00:16:45 ID:zmGafc8U0




第5話  終


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