2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:23:18.69 ID:9uYqBxg40


( ^ω^)「世話んなったな、乙」

(;゚д゚ )「お前な、仮にも俺は王の息子だぞ」

( ^ω^)「お世話になりました」

( ゚д゚ )「きもちわるい」

( #^ω^)「やっぱ氏ね」

ξ;゚听)ξ「ちょっとやめなさい」

ユッセの王城、その王の部屋。
荷を背負った少年と、騎士風の青年が遣り合っているのを、冒険者風の少女が嗜める。
怪我も治り、すっかり身体の調子を取り戻したブーンは、ユッセを後にすることにした。
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:24:29.75 ID:9uYqBxg40
( ゚'д゚')「これが約束の褒賞だ。君に持たせる分は金貨10枚、残りは十字団に引き渡す」

( ゚'д゚')「これでいいかね?」

( ^ω^)「助かるお」

( ゚'д゚')「うむ、ではミルナ、これを。」

ミルナが王の座す椅子に近寄り、皮袋を受け取ってブーンに渡す。

( ^ω^)「・・・・・・あれ、金貨5枚?」

( ;゚'д゚')「う、うむ、それが・・・・・・」

王が少年の傍らに立つ少女を、落ち着かない調子で見やる。

ξ゚听)ξ「あたしがそれでいいって言ったの」

ξ゚听)ξ「謁見の間の修理費とあんたの療養中の食事代ひいてくれって」

( ;^ω^)「な、なんですと!?」

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:25:38.19 ID:9uYqBxg40

( ゚д゚ )「いや、お前どんだけ食ったと思ってんだ、ちったぁ遠慮しろ」

|::━◎┥スチャ 「いや、私はいいと言ったんだが」

( ;^ω^)「兜をかぶるな」

ξ゚听)ξ「本当はぜんっぜん金貨五枚じゃた足んないのよ?感謝しなさい」

( ;^ω^)「なんという千年ババア」

ξ ? )ξ「ほほう」

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:27:53.71 ID:9uYqBxg40

                      ,,,;;;;;;;;彡彡;;之 ヽ
        ,,,,,,,,,,,,,;;;;;ll;;;;;;;;;;;;;;| l;;;;;;;リ)リ;;;;;;|l;;;;(ミ彡/、 Z
l|ヽ= 从;;l |l|;;ll;;;;;l|;;;;;l;;;イl;;;;;;;;;;;;;| l|;;;;;;-〈、|;;;;;;;;;;;;;;,,三∠ノ フ    な 地 き
ヽミ三从;;从|;(;;;;|l;;;;l|;;;((;;;;;(ヽ乂;;;;;;/ノ人、从;;;;;;;;ヽ ∠ |     ま 獄 さ
ミ二ミミ从 ; ;;;;;;゙;;;;゙;;;;;L{{ミ|Y;;";;;;;rテ'';''i゙''ミ゙   イ;;;;{ミヽ∠ノ     ぬ す ま
゙ヽ乏゙゙从゙ ;;ヽ、、_;;;;;;;;;;;;;{≧Y;ノノ=-゙'''"´彡   ';;;;;;ヾ,,', ヽ      る ら に
 <彡l|;;;;;;;l、;}:/;r't;;;)>| 彡 ̄""´         |;;;;;;〈 |.| }     い.   は
  ノノイ;;;;;;之"゙"''"´  |、  _,,、:::::        |;;;;;ノノリ;∠     //
   イ彡l|;;;;ヽ ゙::::::::   j _,、 -)゙ヽ::...       |;;/- /;;/ミヽ   ・・
   l|//l|;;;l~、'、 ::::   ゙''::ヽ,/          |(,,ノ;;;ヽ〉ミ/
    リノイ;ヽヽ'、     `゙'、l__,,、、、,,_,,     / l||;;;;;;;;|∠_
    "´ノ|;;;;`'-;',     (t -'''ヘヘ)}}    リ  リ;;;;;;;/从ミ | / ̄\/\/ ̄\
      |/l|;;;;;;;;ヽ    レ- '''""´     /:::" {;;;从;;;;;;;;)"
      l|l||;;l|;;;;;;;;'、   ,,、;;''";; ̄::   ,/:::::"  ヽl|リ;;;r''、リ
       ヽl |;;;;;;;;;\    "  `゙   /::::::"    レ',、-ー゙''""゙''ー、    ,,、- ''
        //|;;;;;;;', \  〈     / :::::::   ,、 '´        ゙'> ''"
          (从l|;;', ヽ, ヽ:::ノ/   :::::: ,、 '´        ,、 '´

※注;ξ゚听)ξです。


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:29:04.58 ID:9uYqBxg40


ユッセの都の空は青い。蒼い屋根が連なって、白亜の建物が日に反射して矢張り美しい。
が、対照的にブーンの足取りは重かった。

( ゚д゚ )「おい、ちょっと待ってくれ」

城を出たすぐのところで、青年に呼び止められた。

(.;:;':, メ .;".「何だお?」

( ;゚д゚ ) ( も、最早ッ!原型を留めていないッ!? )

ξ゚听)ξ「あたし買い物あるから先いってるねー」

(.;:;':, メ .;".「はい、すぐ参ります」

Σ( ;゚д゚ ) ( 敬語・・・!?)

(.;:;':, メ .;".「…というわけだから早く済ますお」

( ;゚д゚ )「あ、うん……」


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:31:07.02 ID:9uYqBxg40
( ゚д゚ )「お前、王がお前を呼んだのは、俺を救うためって言ったよな?なんでだ?」

( ^ω^)「ああ、そのことかお」

( ゚д゚ )「なんか引っかかっててさ」

( ^ω^)「王に直接聞けばいいのに」

( *゚д゚ )「いや、聞きづらくて」

( ^ω^)「王女の部屋の扉は、ミルナでは開けられなかったお」

( ゚д゚ )「え?」

( ^ω^)「墓守の血族以外の者の血が、扉のキーだったんだお。多分王さまはそれを知ってたお」

( ゚д゚ )「ど、どういうことだよ」

( ^ω^)「正統な後継者の存在が明らかになれば、僕が全部気付くと思ってたんだお」

( ^ω^)「ゴッドイーターは叡智を全て押収し、事情は秘匿せねばならない―――」

( ^ω^)「ミルナのお父さんはすごいお。ちょっと腹たつけど」

( ゚д゚ )「・・・・。」

( ゚д゚ )「お、おう。俺の親父はすげぇな・・・」

( ゚ー゚ )「やっぱ俺の夢だわ」

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:32:08.16 ID:9uYqBxg40

( ^ω^)「じゃ、ブーンはそろそろ行くお」

( ゚д゚ )「あ、それとこれは、王からツン様への言伝なんだが」

( ゚д゚ )「ここから西に進んだ森の外れの小さな小屋に、ユッセの元宮廷魔術師の子孫が隠匿してるらしいんだ」

( ^ω^)「お?」

( ゚д゚ )「そいつがもしかしたら、ツン様のこと、何か知ってるかもってよ」

( ^ω^)「魔術師の子孫かお。分かった、尋ねてみるお」

( ゚д゚ )「おう、じゃあ、気をつけてな」

( ^ω^)「おいすー」

( ゚д゚ )「な、なぁ!」

( ^ω^)「お?まだ何かあるのかお?」


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:33:14.17 ID:9uYqBxg40
ミルナは肩越しに振り返る少年の目を繁々と眺めた。
自分よりも年下の少年の目は、暗い灰色に濁っていて、底が見えない。
本当に同じ年か疑いたくなるほど、何処か寂しげな光を帯びていた。

( ゚д゚ )「お前の妹、見つかるといいな」

( ^ω^)「・・・。ありがとうお」

少年の背を見送る。
結局聞くことが適わなかった問いを飲み込んだ。
それはブーンが目を覚ましてから、幾度となくした疑問だったが、いつもはぐらかされてしまった。

何故、ミルナが転移魔法を使っていないのに、自分と姫を連れて城に戻ることが出来たのか。
どうして、あんなに酷い状態に陥っていたのか。

彼はゴッドイーターだ。崇高なる歴史の収集家にして、神の怒りを恐れぬ冒涜者。
忌み人と蔑視される存在である。

その行く手の空に泣き出しそうな雲があるのを見咎め、青年は祈った。

( ゚д゚ )「忌み人の道行に、御慈悲を賜れますよう」

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:34:16.99 ID:9uYqBxg40



( ^ω^)ゴッドイーターのようです!
第二章 『Les Souhaits ridicules』

第六話 薔薇十字団



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:35:33.20 ID:9uYqBxg40

暗雲は、少年の一行が森を出かかった頃、大粒の雨をもたらした。
唐突な雨は雷鳴と共に激しく大地を打ち鳴らす。
日は雲に隠れ、夕刻手前の空は森の闇を深くした。

ξ;゚听)ξ「いきなり酷い天気・・・!っきゃ!?」

ぬかるんだ土を蹴り、駆ける。
森の土は、旅歩きに慣れないツンの足を簡単に滑らせる。

( ;^ω^)「おっと」

背中に手を回して支える。ツンの身体は華奢な見た目通り軽い。
カールした綺麗な金色の髪が濡れて頬に張り付いている。
仄かに上気した頬を滑る水滴。鮮やかに青い硝子玉の双眸がブーンを見上げる。
優しい香りが、鼻腔を擽る。

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:37:35.45 ID:9uYqBxg40

ξ*゚听)ξ「あ・・・」

( ^ω^)「大丈夫かお、気を着けるお」

ξ*゚听)ξ「ありがとう・・・」

ツンを起こして嘆息する。
走っているうちに、森の出口に出たようだ。
振り返る後に広がる真黒な木々の闇。稲妻が天から輝いて木に落ちる。
轟音が轟いた。

( ^ω^)「森を出る頃で良かったお」

ξ゚听)ξ「この先に、魔術師の末裔が棲んでるのよね?」

( ^ω^)「王様によるとそうらしいお」

雨粒が痛い。その勢いは衰えそうもない。
身体が冷え切ってしまう前に、二人は急ぎ小屋へ向かうことにした。
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:39:59.43 ID:9uYqBxg40

古びた小屋の前に辿り着くころには、二人ともすっかり体が冷えて服の中まで濡れていた。
木の扉。ちょうど目の位置の高さに一枚の鏡が貼られている。

ξ゚听)ξ「さ、寒い…」

( ^ω^)「取りあえず中に入れてもらうお」

このままでは二人とも風邪をひいてしまう。ブーンは暗い茶色の木の扉を叩く。
が、何の返事も返ってこない。

( ^ω^)「すいませんお」

もう一度扉を叩いた。

「いらっしゃいだお」

不意に聞こえた声に耳を疑う。

( ^ω^)「!?」

今しがた己が発した声と口調も変わらず、同じ声が返ってきた。

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:41:04.07 ID:9uYqBxg40


ξ゚听)ξ「何やってんの?」

ツンにはブーンが自分で答えを返したように思えただろう。
いぶかしげに眉を顰める。

「ふぅん?お姫様も連れてきたってわけね?」

ξ゚听)ξ「!? え、あたしは何も言ってないわよ!?」

「ふふふ、ここよ、ここ」

ツンの声色とも違わぬ声も返ってきた。二人は困惑の色をあらわにする。
丁度目の高さに掛けられていた鏡。
その中に移った二人が、興味深そうにこちらを覗き込んできた。


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:41:54.72 ID:9uYqBxg40


( ^ω^)「なるほど、趣味の悪い魔術師さんだお」

        ξ゚ー゚)ξ「あら、ご挨拶ね?あなた達が来るのをずっと待っていたのに」

ξ゚听)ξ「……」

        ( ^ω^)「陛下の卒倒しそうな顔もなかなか美しいお」

( ^ω^)「いいから中に入れてくれお、話が聞きたくて来たんだお」

        ξ゚听)ξ「ああ、そうだったわね、いいわ、お這入りなさい」

ガチャ

解錠される音がした。

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:47:46.03 ID:9uYqBxg40

扉を開くと、温かい空気と湿った木の匂いに交じって、独特の香の匂いが漂ってきた。
湯沸かしの掛けられた暖炉の火が奥で燃えて、蒸気が立ち上っている。
机とベッド。あまり物が置かれていない室内は生活感がない。
そして、誰の姿も見当たらない。

踏み入ると床が静かに軋んだ。

( ^ω^)「む?」

ξ゚听)ξ「…」

机の上にカップが二つ置かれている。温かいホットミルクの香がした。
椅子は二つ、その上にタオルがそれぞれ用意されている。

( ^ω^)「どうぞ、ってことかお?」

誰にともなく問いかけるも、答えが返ってくる様子はない。
仕方なく、そのタオルを取って体を拭く。
だがその後ろでツンは、困惑したような顔をして何か躊躇っているようだ。


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:48:49.87 ID:9uYqBxg40

ξ゚听)ξ「…」

( ^ω^)「ツンも体を拭くお、風邪ひいちゃうお」

ξ゚听)ξ「え、ええ…」

( ^ω^)「?」

ツンは明らかに困惑していた。
鏡の魔法を見たときもそうだが、それとは違う戸惑いを、部屋に入った時から見せていた。
厄介かもしれない、そう言っていた言葉を思い出す。
今のところ親切に迎え入れてくれ、問題があるような兆しは見えない。

ツンが透き通る白い首筋に、タオルをあてがう。

柔らかなタオルはほんのりと人肌に温かく、心地よく冷えた身体を癒す。
順に金色の産毛の生えたうなじ、耳元を拭う。

タオルの熱が上がる。
ツンの水滴を奪い取りながら、悦の吐息を漏らす。
31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:51:41.09 ID:9uYqBxg40

ξ゚听)ξ「・・・・・・」

ξ゚听)ξ「ねぇ、ブーン、このタオル変じゃない?」

( ^ω^)「お?別に、普通だお?」

ξ゚听)ξ「なんか生暖かくてハァハァ聞こえるんだけど」

( ^ω^)「へ?ブーンのタオルは冷たいし何も聞こえないお」

ξ゚听)ξ「・・・そう」

ツンはおもむろにタオルの端と端を持ち、引き絞った。

ξ゚听)ξ「あー、いっぱい水分拭きとっちゃった。絞ろうー」

タオル < !?

ξ#゚听)ξ「ふんぬおりゃぁぁぁぁああああっ」

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:52:23.19 ID:9uYqBxg40


  _
( ;゚∀゚) ぎゃああああああああああああああああああああ


煤i ;^ω^)「!?」

思い切り強く引き絞られてズタボロになったタオルが、
床に落ちた途端、その姿を白い軍服のようなコートを着た金髪の、人間の男に変えた。
ごろごろと痛みにのたうち回る男。

( ;^ω^)つ□「…」

ブーンはそっと自分のタオルも机に置いた。
  _
( ゚∀゚)「いや、お前のはいいだろ。誰得だよ」

ξ゚听)ξ「ほう、私のはお前得か?」

( ゚∀゚) 「いや、まだだ。あと少しだったんだ」
  _
( ゚∀゚)o彡゜「あと少しでおっぱいに手が届くところだったんだあああああああああ」

ξ#゚听)ξ < ビキッ
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:54:18.33 ID:9uYqBxg40

魔術師の子孫はド変態だった。ツンの厄介だというのは、このことなのだろうか。
ともかく、ツンが大切な手がかりを殺してしまわないか心配しながら、
男が怒り狂った乙女の鉄拳制裁を受けるのを暫く見ていた。

漸くツンの気が済んだころ、
すっかり冷めたミルクが温め直され、テーブルに並べられた。
二人には着衣が乾くまで灰色のローブが着替えとして与えられ、
というか与えさせられ、冷えた身体を漸く温めることができた。

向かい合う二人の奥席に着いた男が、無残な姿で切り出した。
  _
( #)∀゚)「まぁあれだ、ユッセの件はよくやってくれたな、ブーン」

( ^ω^)「お?」

ξ゚听)ξ「・・・どういうこと?」

ミルクの入ったカップを手にしていた二人が、同時に顔を見合わせる。
男のその口ぶりは、ブーンを知っていて尚、ユッセの顛末も知っているようだった。
魔術師の末裔だから魔術で知ったというにしても、労うような言い方に違和感がぬぐえない。
40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:57:02.12 ID:9uYqBxg40
  _
( ゚∀゚)「うむ、そうだ。俺は魔術師じゃあない」

その二人の疑惑の視線が集まるや、待っていたように満足げに頷く。
  _
( ゚∀゚)「俺はジョルジュだ」

( ^ω^)ξ゚听)ξ「・・・・・・!」
  _
( ゚∀゚)「そう、ジョルジュだ!」

( ^ω^)ξ゚听)ξ「・・・・・・!」
  _
( ゚∀゚)「分からないならそう言え」

( ^ω^)ξ゚听)ξ「誰ですか」
   _
Σ( ゚∀゚)「えっ!まじでわかんないの!?」
  _
( ;゚∀゚)「王女はともかくお前もわかんないの!?」

( ^ω^)「誰ですお?」
  _
( ゚∀゚)「お前よくそれでゴッドイーター勤まったな」

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:58:47.32 ID:9uYqBxg40

ξ゚听)ξ「で、結局誰なの?」
  _
( ゚∀゚)o彡゜「よし分かった、おっぱいを見せてくれたら教えてやる!」

ξ#゚听)ξ「死人に素性は必要ないな」
  _
( ゚∀゚)「ふ・・・」
  _
( ゚∀゚)「愚かなおっぱいだ・・・」
  _
( ゚∀゚)o彡゜「そんな脅しで俺のおっぱいへの情熱が屈すると思うのかああああああああ!!!!?」

強烈な稲光が窓から男を照らした。
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:59:44.91 ID:9uYqBxg40




  _
( ゚∀゚)o彡゜「いいか! よく聞け! お前のおっぱいは! 千年の時を超えて俺の前に現れた奇跡のおっぱい!」
  _
( ゚∀゚)o彡゜「そしてそのおっぱいだけがこの俺の心を揺るがし得る何者にも変えがたい存在なのだ!」
  _
( ゚∀゚)o彡゜「おっぱいは世界を救う! 即ち!!」
  _
( ゚∀゚)o彡゜「おっぱい!おっぱい!おっぱい!!おっぱいいいいいいいいいいいいいい!!!11111」



44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 00:00:42.94 ID:fiRkwtcm0

なんという男だ。
ブーンは慄いた。
かつてこれほどまでに女性の乳房について熱く語った男が居ただろうか。
逞しい腕を振り上げ、女性の恥部を叫ぶ男の熱く滾る眼。
その眼に浮かぶ確固たる漢の信念。
神の慈愛にも似た揺ぎ無いおっぱいへの深い愛。
この男には一種異様なまでのカリスマ性がある。

魅了された。
この上なく魅了されていた。

気がつけば叫んでいた。

( ^ω^)「お、お、」

( ゚ω゚) 「おっぱあああああああああああああああああああい」

( ゚∀゚)「!」

男と少年は手を取り合った。互いに眼を見て頷く。言葉はいらなかった。
拳を天高く掲げ、ただそう叫べば、それで十分だった。


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 00:02:06.86 ID:fiRkwtcm0

  _
( ゚∀゚)o彡゜( ゚ω゚)o彡゜ おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!

ξ;゚听)ξ「な、なんだと・・・!?」

思いもよらない展開に、身の危険を感じて思わず後ずさる。
  _
( ゚∀゚)o彡゜( ゚ω゚)o彡゜ おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっとまって」

男達が奇声をあげながらにじり寄って来る。
恐ろしい。甚だ恐ろしい。
  _
( ゚∀゚)o彡゜( ゚ω゚)o彡゜ おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!

ξ;゚听)ξ「あ、え・・・?」

背中に冷たい感触が走る。壁だ。後が無い。
  _
( ゚∀゚)o彡゜( ゚ω゚)o彡゜ おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!

ξ;゚听)ξ「こ、こないで・・・!」
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 00:04:09.41 ID:fiRkwtcm0
  _
( ゚∀゚)「くくく、行き止まりだおっぱい。さぁ、おとなしくその古えのおっぱいを差し出すがいい!!」

( ゚ω゚)「おっぱい!」

ξ;><)ξ「いやあああああああああああああッ」

雷鳴が轟いた。あわやツンのおっぱいが―――――

川 ゚ -゚)「何をしてるんですかあんたは」

(  ∀ )「!?」

ジョルジュが気取った時にはもう遅かった。
同じ制服を着た女は雷鳴と共に現れその背後に立ち、ジョルジュの後頭部を椅子で殴打した。
鈍い音がして崩れ落ちた魔王を冷静な眼で見下ろし、艶やかな黒髪をかきあげる美女。

川 ゚ -゚)「変態だとは思っていましたが、保護すべき対象にまで手を出すとは・・・」

ξ;゚听)ξ「た、助かった・・・・」

( ゚ω゚)「おっぱい?」

ξ゚听)ξ

( ゚ω゚)

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 00:08:19.87 ID:fiRkwtcm0


( #)#)#)ω`(#)「何だお、十字団の人だったのかお」

三人は改めてテーブルについていた。
ブーンは正気に戻り、ジョルジュは気を失って倒れたままだ。
先ほどジョルジュが掛けていた位置に、黒髪の美女は座っている。

川 ゚ -゚)「うむ。申し遅れたが、私は十字団団長補佐、スナオ・クールだ。
     クーと呼んでくれて構わない。
     そしてそこで伸びているのがジョルジュ・ローゼンクロイツ。
     恥ずかしながら我が団の団長殿だ」

クーは美しかった。
腰まで伸びた黒髪。冷静さと知性を兼ね備えた漆黒の双眸。
一文字に結んだ薄い唇からは、美人特有の近づき難さを感じさせる。
服の上からでも分かる繊細な体つき。そして豊満なバスト。

非の打ち所のない女性とは、クーのことを言うのだろう。

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 00:09:58.55 ID:fiRkwtcm0

ξ゚听)ξ「十字団って?」

ツンもまた美しかったが、幼さの残る顔立ちは、クーの持つ大人の女性の美しさとはまた違っている。
クーへと投げかけた声色は、一頻りブーンに制裁を加えて落ち着いているらしかった。

( #)#)ω^ )「ゴッドイーターの元締め的な組織だお」

ブーンがそれに答えた。

( #)ω^)「ゴッドイーターは殆ど個人で動くけど、依頼主が王家や貴族なんかの仕事の時は、
      薔薇十字団と呼ばれる組織を通さなければならないお。
      といっても団員に直接会う機会なんてないけど」

ブーンがジョルジュやクーの顔を知らないのは仕方が無い。
が、名前まで知らないのは単なる興味の問題だ。

ξ゚听)ξ「薔薇十字団って一体・・・?」

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 00:12:21.04 ID:fiRkwtcm0

川 ゚ -゚)「我々は世界中に散らばる古代の遺跡や重要な歴史の回収と保護を旨としている。
     王侯貴族の所有する土地に部外者が入ることは難しく、危険も大きい。
     それらの弊害を後ろからバックアップし、仲介するのも我々の役割だ」

ξ゚听)ξ「つまり、十字団が介入すれば信頼が得られるってこと?」

川 ゚ -゚)「そうだ。我々団員は7人で成り立っているが、そのどれもがある程度の地位を持ち、
     裏うちとして依頼主に厳重な秘匿の盟約を交わすことで、叡智の回収と保護を担う」

ξ゚听)ξ「でもそれって、十字団に叡智の力も、世界中の王家の弱味も握られるってことよね?
      そんなことが許されるの?」

川 ゚ -゚)「流石姫君はご聡明であらせられる」

無表情なその顔が、少しだけ笑んだように見えた。
クーは冷め切ったミルクを一口啜る。

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 00:14:33.64 ID:fiRkwtcm0
川 ゚ -゚)「うげ、ぬるー」
  _
( ゚∀゚)o彡゜「ぬるいみるくを!大きなおっぱいが!」
  _
( ゚∀゚)「まさにこれこそ大人の芸術」

いつの間にか、意識を取り戻した男がクーとツンの間に立つ。

ξ;゚听)ξ「!?」

( ^ω^)「なんという回復力、まさに神」

ツンはド変態であるジョルジュに怯え、ブーンはすっかり傾倒したようだった。
しかし神は容赦ないクーの裏手拳を受けて再び倒れ去る。

川 ゚ -゚)「彼が起きるとややこしくなるので、もう少し寝ていてもらおう」
     _
ムクッ ( ゚∀゚) 「だが断る」

川 ゚ -゚)「・・・化け物め」
  _
( ゚∀゚)「くくくく、それは褒め言葉か?我が補佐役スナオ・クール」

川 ゚ -゚)「団長らしいことでも少しは話したらどうです」


62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 00:15:37.80 ID:fiRkwtcm0


  _
( ゚∀゚)「―――我が組織は完全に中立の立場として成り立っている」

Σ( ^ω^)ξ゚听)ξ ビクッ

  _
( ゚∀゚)「悪いが、それ以上我が団に関して言うことは出来ん」

クーが立ち上がり、ジョルジュの為に椅子を引く。
二人の前の椅子に、燃えるような金髪の精悍な男が座った。
意思のある眉、筋の通った鼻、上がった口角が男の自信と強さを物語っている。
一歩後ろに長身の美女を従え、こうしてまともにしているのを見る限り、ジョルジュは恐ろしく格好の付く男だった。


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 00:17:06.36 ID:fiRkwtcm0
  _
( ゚∀゚)「今回お前たちをここで待ったのは、ブーン。お前に新たな依頼を伝え、
     ツン・ヴィップ・デレ・テラワロス陛下の身柄を保護するためだ」

ξ゚听)ξ「わ、私を?」

川 ゚ -゚)「ツン様。貴方はテラワロスの貴重な生き残り。
     言わば生きた伝説です。放っておくわけにはいきません。」

ツンは不安げな眼をした。
眼を覚ました途端住む土地もなく、千年経っていた。
唐突に、保護すると得体の知れない団体から言われれば、困惑もするだろう。
ましてや彼女にも、探さねばならぬものがある。

( ^ω^)「ツンをどうするつもりだお?」
  _
( ゚∀゚)「安心しろ、あくまでも保護だ。暫く我が団の本拠地に匿い、ほとぼりが冷めれば自由にする。
     監視は常に付けさせてもらうがな。本人の身の安全のためだ」
67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 00:19:57.86 ID:fiRkwtcm0
ブーンは思案する。
薔薇十字団は一般の知るところではないが、自分の知る限り、力を持った信頼に足る組織だ。
ツンの身に危険を及ぼすことはまずないだろう。

( ^ω^)「約束してくれるお?」

ξ゚听)ξ「・・・!」

ツンがブーンを見る。
真っ青な硝子球の瞳が、縋るような、思わぬ表情で自分を眺めてきた。
何故だろう、何か胸にちくりと刺さる感覚を覚えた。
  _
( ゚∀゚)「ローゼンクロイツの名にかけて保障しよう。陛下の人権を損なうことはしない」
  _
( ゚∀゚)「陛下もそれで構いますまいな」

ξ゚听)ξ「あ……」

ジョルジュの口調は有無を言わせぬものだった。
燃え盛る炎のような赤い炯眼に射抜かれて、ツンは力なく頷いた。
その肩を、気遣うようにクーが撫でた。安心してほしいと囁く。


68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 00:20:51.89 ID:fiRkwtcm0


( ^ω^)「・・・」

ゴッドイーターとして、冷静で正しい対処だと思っている。
これ以外に最良はない、とも。
だが、胸の痞えが取れずに居た。

そんな少年の心持を払拭するように、
ジョルジュが静かに、力強い声を発した。

  _
( ゚∀゚)「……ブーン、お前には新たな依頼がある」

( ^ω^)「なんですかお」
  _
( ゚∀゚)「これは十字団直々、ひいては俺からの依頼だ。報酬も丸ごとお前にやろう」

( ^ω^)「団長からの?」

机の上に肘を立て組んだ両手の上から、鋭い視線が向ける。
それだけで射竦めるような雰囲気を放つ。
先ほどまでのふざけた男と同一人物とは思えない。


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 00:21:31.75 ID:fiRkwtcm0

  _
( ゚∀゚)「VIP帝国に飛び、魔術師の子孫を奪還してこい」

ξ゚听)ξ「!」

( ;^ω^)「どういう意味だお?」
  _
( ゚∀゚)「無論、ユッセの宮廷魔術師の子孫のことだ。
     あれは今、VIP帝国皇帝、大帝モナー・ロワイエルの元に捕えられている」
  _
( ゚∀゚)「陛下と違って、お前には命の保障はつけられんぜ」

雨は止んでいた。




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