- 255 名前:ありがとうございます、投下します。:2010/11/09(火) 00:36:30.22 ID:Ncp3lByk0
- 何故それはやってきたのだろう
あんなにも明るい昼間に、それは突然訪れて、
私に永遠の夜を齎した
世界が一度に真っ暗になって、
抗うことも許されず、
まどろみの中に落とされた
涙を流すことも出来ないまま
悠久の時が流れていった
だから私はなんにもしらない
- 256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:37:17.85 ID:Ncp3lByk0
- でも
知らないことは罪だったのかもしれない
知ることは私の無知に対する罰かもしれない
これは、私への罰なのだ
( ^ω^)ゴッドイーターのようです!
第一章 『 La Belle au bois dormant 』
第五話 事情は墓より深く冥府の底に
- 259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:39:06.18 ID:Ncp3lByk0
- ( ゚д゚ )「王に息子などいない」
ブーンの腕をどけ、立ちあがり様に、剣を抜く。
( ゚д゚ ) 「王女殺しも、禁域の破壊も、腹心の騎士の俺が、国の為にと独断でやったことだ…」
( ;^ω^)「ミルナ、もうやめるお……」
( ゚д゚ ) 「王に魔物が進化したと嘯いて、禁域に行かせろと言ったんだ」
( ゚д゚ ) 「まぁ、お陰で忌み人なんて余計なもんを呼ばれちまったが」
( #^ω^)「王がブーンを呼んだのは、お前を救う為だお」
( ゚д゚ ) 「何を訳の分らんことを……」
ブーンがツンの身体を覆うように抱き寄せる。が、無傷のミルナに、満身創痍のブーン。
僅かな抵抗も空しく、引きずり出されてしまう。
- 263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:45:04.31 ID:Ncp3lByk0
- ξ;‐凵])ξ「……」
( ゚д゚ ) 「まぁ、ここでこいつを殺してしまえば、問題はないさ」
うつ伏せに転がる王女のその首に向かって、剣を振りあげる。
( ;゚ ω゚ )「だめだお――――!!」
ギィンッ
鈍やかなる金属音が響く。
高貴な光を放つ銀の兜が、剣を正面から受けて綻びた。
カラン、と顔を覆う部分が地に落ちる。
顕わになった顔は、ミルナと瓜二つの壮年の顔。紛うことなき王の顔だ。
( ゚д゚ ) 「・・・なんでだよ」
- 265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:47:28.47 ID:Ncp3lByk0
- 墓守の青年の身体が、ガタガタと震え出す。
苛立ちと驚きがないまぜになった表情で、
余りの動揺に、両手に掴んだ刀剣を持っていられず取り落とす。
嗚咽を噛みちぎるように唇から血を滲ませた。
( ゚д゚ ) 「なんなんだよ!!!何故!!」
( ;д;) 「―――どうして父上が庇うんですか!!!!」
( ゚'д゚')「ミルナ。もう良い……もう、良いんだ」
偽りのユッセの王が、息子をあやす様に抱きしめた。
( ゚'ー゚')「ああ…、大きくなったな」
( ゚'ー゚')「子どもを抱きしめるというのは・・・、こんなにも、心が安らぐものなのだな」
( ;д;)「・・・・!」
顔を直に見合わせ、抱き締められることも、ミルナにとって産まれて十六年、初めてだった。
そしてそれは、父も同じことだった。
- 266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:48:40.86 ID:Ncp3lByk0
- ( ;^ω^)「だから顔をずっと隠してたのかお…」
( ゚'д゚')「…これでは、私と親子だと一目瞭然だからな」
( ;д;) 「いいわけがない!ユッセはどうなるのです!」
( ゚'д゚')「終わったのだ・・・お前は、この都を出なさい」
( ;д;) 「そんな・・・・」
( ゚'д゚')「ゴッドイーターよ、救護班が来たようだ。速やかに治療に入らせよう。
無論、ツン陛下も御連れする。陛下の調子が優れ次第、正統な王家の存在を発表しよう」
( ゚д゚ ) 「父上・・・」
( ^ω^)「……分かったお」
ξ )ξ「その必要はありません」
- 268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:50:27.80 ID:Ncp3lByk0
- 凛とした鈴のような声が鳴り響いた。一斉に、その声の主に視線が集中する。
ξ゚听)ξ「何を勘違いしているのか知りませんが、私はユッセの王女などではありません」
大義そうに上半身を起こしながら、ツン・ヴィップ・デレ・テラワロスは厳かに告げた。
( ;^ω^)「いやいやいやいや、いきなり何をいいd」
ξ#゚听)ξ―――スッ
- 271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:52:24.80 ID:Ncp3lByk0
ξ#゚听)ξっ <黙りなさい下郎!
(っ /´
/ '⌒) ゲシゲシ
,,( / ̄U
/⌒ヽ
⊂⌒(;゙゚'ω゚') < ギャー
`ヽ_つ__つ
∧_∧ ∧_∧ !?
( ι
) ( ι )
/ ヽ / ヽ
- 273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:53:36.56 ID:Ncp3lByk0
- ξ゚听)ξペッ「死に損ないが出しゃばりやがって」
( ゚'д゚')「へ、陛下……」
王はふらふらと歩み出て、ツンの前で跪く。そして床に着ける程に頭を垂れた。
( ゚'д゚')「どうか……どうか、一族の不忠を、いや、許しを請うことすら最早…」
ξ゚听)ξ「……」
ξ゚听)ξ「どうか御顔を御上げ下さい、正統なるユッセの王よ」
( ゚'д゚')「?!」
ξ゚听)ξ「千年もの永い間、私を護ってくれたこと、感謝しています」
ξ゚听)ξ「我が国、テラワロスは、どうやら千年前に滅んだようです」
跪くユッセの王の前に膝をつき、ほんの少し震える手を差し伸べて、ツン・ヴィップ・デレ・テラワロスが微笑む。
ツンは精一杯王女らしく、強かに微笑んでみせた。
ξ゚ー゚)ξ「貴方も、もう良いのです。・・・陛下」
( ゚'д゚')「…あ、あぁ・・・」
( д;)「も、勿体ない、御言葉に御座います―――」
- 274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:55:00.26 ID:Ncp3lByk0
< スイマセン…
< イイトコスイマセン…
( ´ω )ガクッ < モウダメポ
- 276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:56:45.33 ID:Ncp3lByk0
…………………
………
…
Σ( ^ω^)「はッ!?」
( ^ω^)「……知らない天井だ」
ブーンの為に用意された城の離れの客室。
久しぶりのふかふかのベッドで、全身の痛みに襲われながら眼が覚めた。
だかしかし、なぜか愚息が元気だ。無理やり悲鳴を上げる身体を起こす。
( ;^ω^)「あいつつつ、いててて、……おはよう、マイ・サン」
脚の間の愚息に声をかける。
折角だから一発抜くことにした。
と、思ったが、身体の痛みでどんどん萎びていく。
( #^ω^)「お前の力はそんなものかお」
- 279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:00:43.43 ID:Ncp3lByk0
- ガチャ
ξ゚听)ξ「あ、眼が覚めたn――――」
( ^ω^)「あ」
ξ゚听)ξ「え?」
ξ////)ξ「!?」
バタンッ
< へ、変態ッ!あんたが服着てたら殴ってるんだからッ!
( ;^ω^)「せめて服を着ている時は普通に接してほしいお・・・」
|゚)ξ「ふ、服来た?」
( ^ω^)「おk、装着完了したお」
|听)ξ「……」
|听)ξ「今度変なもん見せたらヌッ殺す」
( ^ω^)「ノックして入ればいいと思うお」
- 280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:01:50.32 ID:Ncp3lByk0
- ξ゚听)ξ「起きてると思わなかったのよ、貴方丸三日も寝てたから」
ドレスの裾を翻して、ブーンの居るベッドの前の椅子に腰かける。
優雅な所作は本当に姫君のようだ。いや、実際そうなのだが。
( ^ω^)「今回は三日かお」
ξ゚听)ξ「今回は……って、貴方いつもそんななの?」
ξ゚听)ξ「や、っていうか何でそんな大怪我したわけ?」
眉間に皺を寄せたり、不思議そうな顔をしたり。金色のウェーブの髪が、表情を変える度に揺れる。
真っ青な澄んだ、少し上がり眼な瞳が、強気な印象を持たせる。
( ^ω^)(本当に似てるけど、少し違うお……)
つい見入って、妹と違う部分を探してしまう。
こうして落ち着いて観察すれば、妹とは髪の色も、目元も、どことなく違いがあった。
だが、やはりよく似ている。
- 282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:03:46.17 ID:Ncp3lByk0
- ξ゚听)ξ「……って、聞いてるの?」
( ^ω^)「え?あ、ああ、すまんお」
( ^ω^)「・・・王様とミルナはどうなったんだお?」
ξ゚听)ξ「陛下たちなら大丈夫よ。ミルナを王の息子として発表するには、まだ時間がかかりそうだけど」
( ^ω^)「そうかお…。ユッセはこれからだおね」
ξ゚听)ξ「で?その怪我は何なの?」
( ^ω^)
( ^ω^)「滑って転んだお」
ξ#゚听)ξ「なめてんのか」
ξ゚听)ξ「もう。いいわ。でも名前くらいは教えてくれるわね?
あたしはあの時名乗ったけど、貴方の名前は聞いてないもの」
( ^ω^)「名前?ブーンだお」
- 286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:05:32.55 ID:Ncp3lByk0
- ξ゚ー゚)ξ「ブーン。助けてくれてありがとう」
( ^ω^)「へ?」
( ;^ω^)「いや、あの、一体どこから起きてたんだお?」
ξ゚听)ξ「身体がっくんがっくんされたから、断片的に」
ξ゚听)ξ「でも、何となく呑み込めたわ」
ξ )ξ「私の存在が、あの一族をどれだけ苦しめたかも」
( ^ω^)「……」
この少女は、あの状況で。
千年の眠りから覚めたばかりの、困惑した思考に入ってくる、残酷で不確かな情報を整理し、
己の持っていた概念やら信念と鑑みて、その上、自分よりも他人の苦しみを拭い去る術を導き出した。
それは王女であるツンにしか出来ないことだった。
だが、そんな気丈さは、どれだけ少女の胸を張り裂いているのだろう。
- 287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:07:19.76 ID:Ncp3lByk0
- ( ^ω^)「ツンはすごいお……」
ξ )ξ「な、何がよ!?」
ごし、とブーンのベッドのシーツを摘んで、瞳の下を拭いながら唇を尖らせた。
ξ゚听)ξ「そんなことより、これからよろしく頼むわよ」
( ;^ω^)「え」
ξ゚听)ξ「え、じゃないわよ、あたしの目を覚ましたのはあんたなのよ?」
( ;^ω^)「ブーンに着いて来る気かお?」
ξ゚听)ξ「当たり前じゃない。この城に居るわけにはいかないし、私の城はもうないし」
( ;^ω^)「で、でも、ブーンの旅はかなり危険だし、女の子には向かないお」
ものすっげぇ差別されるし、とブーンは己の旅を思い返す。
いくら強い女性でも、御姫様に耐えられるとは思えない。
- 289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:08:37.60 ID:Ncp3lByk0
- ξ#゚听)ξ「あんた私が生半可な気持ちで言ってるとでも?」
( ;^ω^)「そういうわけじゃないけど」
ξ#゚听)ξ「これでも魔法が使えるんだから!それに」
ξ゚听)ξ「私が、今を生きる私であるために、探さなくちゃいけないのよ。
私がなぜ、あの城で眠っていたのか、どうしてテラワロスがこうなったのか・・・。
テラワロスの血があたしを置いてもし完全に滅びているのだとしても、顛末を知らないと納得できない。」
( ^ω^)「し、しかし千年も昔だお?文献も少なすぎて、当てもないんじゃ・・・」
ξ゚听)ξ「当てならあるわ。あいつにはきっと時なんて関係ない。
真昼の空に唐突に夜闇の帳を下ろし、私を眠らせたモノ…」
( ;^ω^)「え…」
ξ゚听)ξ「蒼き亡霊の王(ロードオブファントム)を」
(;゙゚'ω゚')「 ! 」
今に目覚めた、千年も古の王女の口から出た単語。
それは、ブーンが探し求めている妹への、ただひとつの手がかりだった―――
第二章へ続く
戻る