186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:26:39.55 ID:GoXRo1Ng0

――――――約千年前。
古代テラワロス文明が栄えていたとされる時代。
がしかし、その時代の全容は以前として明らかではない。
千年の間に起きた大災厄により、殆どの記述がされた重要な歴史書や文献は、葬り去られたとされる。
故に、事実と伝説はしばしば混同され、テラワロスを納めていた王族の存在を疑う学者の声もある。

事実、その王族の居城は見つかっておらず、何処に王族の拠点があったかも定かでない。
伝承によれば彼らは大災厄を予見し、今も世界の果てでひっそりと息づいており、
混沌の時代が訪れた時、再び現れるという。よくある救世主伝説の主軸となっている。


187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:27:37.72 ID:GoXRo1Ng0
悠久の時を眠り続けた古城は、主の目覚めの時とともに瓦解してゆく。

美しい装飾や芸術品で埋め尽くされる宮廷の天井が崩れ落ちて、青空が覗き込む。
貴重な財宝の全てが、灰色の瓦礫の下に埋もれてゆく。
最も堅牢に作られた主塔は、根元から大きな皹が幾重にも入り、土煙をあげて沈下しゆく。
眠り続ける王女を見守り続けた縫いぐるみたちにも終焉の波は訪れた。


その古城の断末魔は森を超えて轟き、大規模な崩落は地を揺るがしてユッセへと届く。
ユッセ城の搭から見張りの兵が望遠レンズ越しに、遠く森の向こうに見えるものに目を疑った。

188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:32:45.95 ID:GoXRo1Ng0
「なんだアレは……」

禁域の森の向こう。濛々と空へ立ち上る粉塵にまぎれて、城の姿は捉えられない。
森からは鳥たちが一斉に飛び立ち、悲鳴をあげて怯えている。
望遠レンズを通さずとも、最早肉眼で確認できた。

「北の森で何が起きたんだ」

若き見張りは、言い知れぬ不安を抱いてしばし呆然と立ち尽くしその光景を凝視した。
誰かに知らせなければならない、と、彼が己の任務に気づいて、大声をあげる。

「お、おい――――!」

その光景からなかなか目が離せないまま。

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:33:34.45 ID:GoXRo1Ng0


王室の出窓の前に佇んで、地の震えを感じ、王も見張りが見ているのと同じ光景を眺めていた。


|::━◎┥「・・・・・」

俯き、震える両手を眺める。
大罪を犯した罪人のように、王は震え続ける。



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城が揺れた。

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:41:42.94 ID:GoXRo1Ng0
|::━◎┥「な…!」

雷が落ちたにしては雲ひとつない。
突然の地鳴りによろけた身体を、家具に支えられる。
思いもしなかった自分の城での異変に、動揺を隠し切れず漏らす。

|::━◎┥「な、何だ、これは…」


回廊の向こうから、慌しく走る足音が近づくなり、許しの文句もなく王室の扉が勢いよく開かれた。

( ;∵)「きッ、緊急に申し上げますッ!」

兵士は酷く狼狽した様子で、息をするのも忘れたように王を確認するなり叫ぶ。

( ;∵)「謁見の間にッ!」

|::━◎┥「・・・!!」

言葉の端を捉えるや否や、王が駆け出す。

( ;∵)「へッ、陛下ッ!?」

兵を押し退け、謁見の間へと走る。思いがけない王の反応に、兵士は驚愕に見開いた目で王の後ろ姿を追う。

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:43:03.97 ID:GoXRo1Ng0
|::━◎┥「ええい、邪魔だッ! 道を開けよッ!」

( ;∴)「い、いけませんッ!陛下ッ!危険でございますッ!」

扉の前に群がる兵士達に止められ、怒声を飛ばした。

|::━◎┥「――――!」

謁見の間から濛々と立ち起こる、瘴気混じりの土煙。
上空のクリスタル天井は梁ごと無残に破壊され、魔法陣の床は抉られていた。
その、中央から、人影がふらりと揺れた。

|::━◎┥「……みる、」

兵たちが警戒と畏れと、驚愕に眼を見張る。
王がその人影に声をかけようとしたその時。兵たちが慌ててそれを制そうとした刹那。
影は土煙から、ゆっくりと、歩幅を確かめるように進み出た。

192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:50:57.51 ID:GoXRo1Ng0
その光景に、誰もが息をするのを忘れた一瞬があった。

戸惑いと驚愕の視線の中。
身体中に酷い傷を負った満身創痍の少年が、二人の人間を引き摺って歩いてくる。
ゆっくりと、酷くブレた動線で、酷く緩慢に。
そして漸く、膝から折れて倒れ込んだ。

最も早く己を取り戻したのは、誰あろうユッセの王だった。

|::━◎┥「私を置いて全員、この場を退け」

( ;∵)「はッ!?いや、しかし…」

|::━◎┥「案ずるな。皆も騒がせたな。どうかこれは今少し私に預けてくれ」

( ;∴)「へ、陛下…?」

有無を言わせぬ厳かな口調に、兵たちは益々困惑を見せる。
だが、その中にある一種懇願にも似た響きに、兵士たちはそれ以上の言葉を紡げず、
その指示を仰ぐことにとどまった。

193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:56:01.26 ID:GoXRo1Ng0
|::━◎┥「手当の用意を。扉は閉めておけ。医師が着いたら知らせろ」

( ∵)( ∴)『は、ハッ!』

重き余韻を持って扉が閉じられた。
王は倒れ込んだ者を見下ろす。

|::━◎┥「意識はあるか」

( ´ω )「・・・・・」

見下ろされるまま、答えが返ってきた。

( ´ω )「何とかお」

|::━◎┥「・・・そうか」

ブーンの抱えた二人にも、息のある様子を確認すると、王はついに安堵のため息をこぼす。
騎士にも、少女にも、外傷はうかがえなかった。

|::━◎┥「医療師を呼んだ。それまでに、報告は出来るか?」

( ´ω )「まぁ、少しならいいお」

194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 17:01:10.42 ID:GoXRo1Ng0
|::━◎┥「・・・二度目の問いになるが」

|::━◎┥「どこまで分かった?」

( ´ω )「進化した魔物の話は嘘だったお」

( ´ω )「進化した魔物は愚か、そんな形跡もどこにもなかったお」

|::━◎┥「・・・・」

沈黙。やはり、王はそれを知っていたようだ。
答えがないのにも構わず、ブーンは続けた。それまでの口調とは一変して、
強く、非難するように、ユッセの王に向かい臆面もなく、

( ´ω )「それと、あんたが、利己的で」

( ´ω )「最低のッ」

( ´ω )「クソ親父だッ・・・ってことは、分かったお」

叱り飛ばした。



|::━◎┥「……。」

|::━◎┥「なぜ、私がミルナの父親だと、分かった」
215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:38:37.00 ID:jeMYIS2A0
人払いされた謁見の間。
砕け散った天井の下、無残に抉られた床の上。

( ´ω )「『リヒト イル グラン』。古代テラワロスの言葉で、王を眠らせる者、という意味だお。
おまけに、『斧』は昔から、鎌や大槍とともに墓守が好んで使う武器だお…」

( ´ω )「血の証を立てたミルナは、間違いなくリヒトの墓守の末裔だお…。
でも別にミルナだけなら隠す必要がないのに、わざわざ『腹心の騎士』と言ったお」

( ´ω )「ミルナは腹心の騎士にしては、若すぎだお」

|::━◎┥「それだけで親子だと?」

( ´ω )「…」

ブーンは脇に抱えたツンを、少しだけ庇うようにやっと腕を動かす。

( ´ω )「正統な王位継承者が、城で眠っていたお」

217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:40:32.19 ID:jeMYIS2A0
( ´ω`)「では現王は何者か?」

( ´ω`)「何故、墓守のミルナが正統な王位継承者を、殺そうとしたのか?」

|::━◎┥「……。やはり、その娘が…」

( ^ω^)「あんたが墓守だからだお。ミルナは父親の為に人殺しになろうとしたんだお」

( #^ω^)「王が自分の息子に何をさせてんだおッッ!!」

(  д )「よせ…」

(  д )「やめろ、お前に何が分かる…」

|::━◎┥「――――ミルナ」

( ゚д゚ ) 「来るなッ!」

王が駆け寄る。青年は、それを制するように叫んだ。


218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:41:53.19 ID:jeMYIS2A0


( ^ω^)ゴッドイーターのようです!
第一章 『 La Belle au bois dormant 』

第四話 墓守の一族

228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:56:16.92 ID:jeMYIS2A0
王の誕生祭。群集が城の前で沸き立っている。
青空に白い鳩と色とりどりの風船が放たれ、都のあちこちが歓喜の表情に染まっている。
俺は初めてみる祭り特有のハレの雰囲気に魅了されていた。

無骨で大きな手が、しっかりと俺の手を握っている。
それは本当の父親のものじゃないことを、俺は幼いながらに知っていた。
唐突に耳に響く聞きなれないトランペットの音に驚いて、身を竦ませた。
俺の手を握る無骨な手の主が、俺の両肩を掴んで誇らしげにある方向を向かせた。

城の上のバルコニー。
立派な格好をして、堂々と群集に微笑みかけている一人の男性。
その男性が片手を挙げると、群集の歓声が一際大きくなった。うねるような歓喜の波。
俺はその男性から目を離すことが出来なかった。
こんなにも沢山の大衆から、誕生を祝われる、王の威厳ある姿。

今も目に焼き付いている、俺がまだ5歳の頃に見た父親の姿。

( ゚д゚ )
231 名前:さるってました:2010/11/09(火) 00:05:21.96 ID:Ncp3lByk0
俺は、16になるまで、父の元を離れて育てられた。
育ての親は父の腹心の騎士で、事あるごとに父の武勇伝を寝物語に聞かせてくれた。

一度もまともに会ったことがなかったが、父は素晴らしい王だ。
誰よりも誠実に、民を思い国の為に尽くしてきた。
そんな父を、育ての父とともに俺は誇らしく、尊敬していた。
俺も父のような王になろう。民の為に全身全霊を尽くそう。
子どもの頃から、本当にずっとそう思っていた。それが俺の夢だった。
俺にとって、父は英雄だった。

俺が成人の儀を迎えた日。俺は新米騎士として城に迎えられた。
ようやくまともに父に会い、話すことが出来る。何から話せばいいのか、俺の心は緊張し、浮足立っていた。

だが父はその日、全身を甲冑で覆っていた。王室で二人きりの、物々しく流れる重苦しい空気が、
それまで浮かれていた俺の気持ちを一蹴する。何も話しかけることが出来なかった。
そんな俺の内心を知ってか知らずか、顔も見えないまま、父はひとつの秘密を俺に打ち明けた。

『我々は王族ではない』
234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:09:40.97 ID:Ncp3lByk0
( ゚д゚ ) 「父上…?」

|::━◎┥「よく聞け。我々が堅く護り継いできた真実を、お前にも話す時がきた」

( ゚д゚ ) 「真実?」

父の声色が、酷く落ち込んでいたのを覚えている。
自分が告げられた時を思い出し、俺にもその思いをさせることを、憂えていたのだろう。

|::━◎┥「本当のユッセの王位継承者は、別に居る」

( ゚д゚ ) 「……父上、一体何を」

|::━◎┥「我々は、王を護る為にこの地に残った、墓守の末裔だ」

俺は、父が何を言っているのか、上手く呑み込むことが出来なかった。
この時、きっと酷く間抜けな顔で話を聞いていたんだろう。

|::━◎┥「貴族でも何でもない、使用人の末裔なのだ」

(; ゚д゚ ) 「そんなこと、どう信じろと?大体、その王はどこにいるんです」

235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:12:26.11 ID:Ncp3lByk0
冷静なふりをして、俺はまくしたてた。
言葉を切ると、父は俺の腕を掴んだ。強く食い込むほど力が入っていた。

|::━◎┥「来い、ミルナ」

王である男の厳しい声音に、俺はすっかり委縮した。
引き摺られるように謁見の間に連れていかれて、地下へ通じる螺旋階段を開けるのを見せられた。
俺の目の前で、王が魔法を使ったのは、其れが最初で最後だ。初めて見るものだった。
広間の床に口を開けた螺旋階段を見て、酷く恐ろしくなった。
これを見てしまっては、俺の中で何か、もう戻れないような気がしたからだ。

|::━◎┥「この下に、本当の王の城へと続く転移装置がある。それは、墓守の血がなければ起動しない。」

|::━◎┥「お前は、この墓守の血を継いでいる」

(;゚д゚ ) 「……」

(;゚д゚ ) 「お、お待ちください…」

(;゚д゚ ) 「我々が墓守で、王が他に居るというなら、なぜ?」

(;゚д゚ ) 「何故、その王は父上に王職を務めさせるのです?」
239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:16:21.09 ID:Ncp3lByk0
|::━◎┥「王が私を王たらしめているのではない」

父の表情は銀色の兜に阻まれて見えなかった。声音にすら、父の感情を感じ取れなかった。
ただ淡々と、語られたことのない、ユッセの歴史の裏側を、俺に話した。

|::━◎┥「――――我々が王を裏切ったのだ」

|::━◎┥「どういう理由かは今となっては分からん。
我が国の王は忽然と消え去り、一人の王女だけが城に取り残された。
その王女も倒れ、眠りについたまま目覚めなくなった。

祖先の墓守は、当時の宮廷魔術師の提案で城に呪いをかけ、時を留めて守り続けることを誓った。
我らの祖先は何代も、その血を絶やさず王女の眠る王の城を守り続けた。
また、王の国と民をも護る為に、墓守が王族として務めを代わることになったのだ。
その時に、それを記す歴史資料の全てが燃やされた。」

241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:18:25.05 ID:Ncp3lByk0
(;゚д゚ )

俺に語られているのは、にわかには信じがたい歴史の裏側。
背筋を冷たいものが駆け降りていく。

|::━◎┥「何代にも渡り都を統治するうちに、墓守の心に一つの疑念が生まれた」

|::━◎┥「王女は永遠に目覚めないのではないか?」

|::━◎┥「そんな折、一人の乞食が訪れて祖先にこう告げた」


―――――(   )m9『王女は千年の後、眠りから覚めて偽りのユッセを滅ぼすだろう!』


(;゚д゚ ) 「ば、ばかな」

|::━◎┥「何人も知らぬ筈の王女の存在を、乞食は知っていたのだ。祖先の心は尚掻き乱された」

|::━◎┥「そして、一番疑ってはならぬものを疑った」

(;゚д゚ ) 「疑ってはならないもの?」

|::━◎┥「王への忠誠心だ」
243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:20:34.32 ID:Ncp3lByk0
(;゚д゚ ) 「そんな……」

|::━◎┥「墓守は恐れたのだ」

|::━◎┥「己の人生を捧げた国の民に、騙したなと蔑まれるのを」

|::━◎┥「ただの使用人である墓守が、王族と偽り続けてその上に君臨していたことを糾弾されるのを」

|::━◎┥「心の奥底で、王女が目覚めないことを願っていた醜い姿が明るみに晒されるのを…!」

|::━◎┥「そうして畏れ、怯え、隠し続けて、千年が立とうとしている」

( ゚д゚ ) 「え……」

( ゚д゚ ) 「そんな、まさか……父上の代の、今…?」

|::━◎┥「これも宿命だ」

( ゚д゚ ) 「そんな、だって、あなたは、私が知る中で、最も王に相応しい方です」
246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:24:03.48 ID:Ncp3lByk0
|::━◎┥「…ミルナ」

( ゚д゚ ) 「そんなあなたを、民が、糾弾などするはずが……」

|::━◎┥「王となり、国を治めるからには、民にとって辛い選択を強いることも必要な時がある」

( ゚д゚ ) 「し、しかし…」

|::━◎┥「貴族の中にも、私を良く思わない者もいる。恐らく、私が王族でないと分かれば、ユッセは荒れるだろう」

( ゚д゚ ) 「で、でも…!」

|::━◎┥「抗おうなどと思うな、これはリヒトの血の業だ」

( ゚д゚ ) 「う、うそだ…そんなの、あまりに理不尽です…」

|::━◎┥「……」

(  д ) 「こんな…、父上があんまりにも可哀そうだ…」


247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:25:15.70 ID:Ncp3lByk0
|::━◎┥「お前を、騎士の息子として育て、息子ではなく騎士として城に迎え入れたのは、
この血の業からお前を逃がせるようにだ」

|::━◎┥「この都を出るのだ。出て、ただの人として生きてくれ」

|::━◎┥「頼む」

( д ) 「出来ません」

|::━◎┥「…ミルナ」

(#゚д゚ ) 「出来ないッッ!!」

( ゚д゚ ) 「親父だけ不幸にして、俺だけ逃げるなんて出来るわけがないッ!」

|::━◎┥「・・・・!」

( ゚д゚ ) 「頼むよ、父さん……」

|::━◎┥「ミルナ……」

|::━◎┥―――――この愚かな父と、命を共にしてくれるか?
249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:28:33.20 ID:Ncp3lByk0
幼い頃にみた、忘れ得ないあの父の雄大な姿が、
父に歓声を送る群衆の姿が、俺の中でフラッシュバックされる。

俺はこの時、知らないでいたことは罪だったのだと悟った。
知ることは、無知に守られていた俺への罰なのだ。
父は、俺が何も知らない間も、ずっと戦っていた。この終わりのない苦悩と。

俺は、この罰を受けなければならない。

俺が、・・・・・父の守ってきたものを、守らなければならない。





第五話へ続く

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