七夕と僕とツンとぬいぐるみ

( ;ω;)「七夕の短冊なんてうそつきだお! 織姫と彦星は騙されてるお!!」

ξ゚听)ξ「なに泣いてんのよ」

( ;ω;)「ツンが、ツンが隣街に行くなんて」

ξ;゚听)ξ「た、たかが隣町でしょ」

( ;ω;)「遠すぎるお!!」

ξ*゚听)ξ「もう……バカね。ほら」

( ;ω;)「なんだお……」

( 芸) オム*゚ー゚) ξ ナ匚゙)ξ

差し出されたのは3つの小さなぬいぐるみ。
胸に縫われた、ゲイ・ナギ・オムの文字。
七夕の日、笹に揺られる僕の短冊。

”ツンとずっと一緒にいたいお!”

君がくれたぬいぐるみは、今も僕の部屋にいる。
小学生の僕からしたら、とてつもなく遠く感じる場所へ君が引越してからも、3つのぬいぐるみは僕の部屋にいた。

それから一年。

僕はまた泣いている。あの日のように、目から止め処なく涙が落ちる。
学校から帰った僕の目の前には、床に落ちたぬいぐるみ。
窓からの侵入者の手によって、ナギとオムは酷いことになっている。

僕の枕元にはいつもぬいぐるみがいた。
ツンからもらったぬいぐるみが、いつも僕を見守ってくれていた。
それなのに、今は見るも無残な程ぼろぼろになっている。

侵入者は、にゃーんと一声鳴いて、窓から逃げていった。

(#^ω^)「ゆるさんお……ゲイ、一緒に敵を討つんだお!」

僕はオムとナギをポケットへ入れ、唯一無事だったゲイを手に、外へ走り出した。
見つかるわけも無い犯人を追いかけて。

( ゚ω゚)「へぶっ!」

途中、何かに躓いて転んだ。その拍子にゲイが僕の手から落ちる。
小さいぬいぐるみは目の前を通った自転車の籠に飛び込んだ。

( ;ω;)「あぁ……、僕を置いていかないでくれおー!!」

( 芸)b(後は心配するな!)

普段から体育が苦手な僕が、自転車なんてハイテクマシンに追いつける訳がない。
自転車はあっという間に見えなくなった。
ゲイは一人で敵討ちに行ってしまった。(ように見えたお。)

( ´ω`)「もう、ツンに合わせる顔がないお」

そもそも会う約束をしているわけでもなく、次いつ会うかなんてわからないけれど。
僕は誰に言うでもなく呟きながら、公園のベンチに一人、オムとナギを膝に乗せて座っていた。

「あんた何してんの?」

懐かしい声。視線を上げると見知った顔。
差し出された手には、ぬいぐるみ。

ξ#゚听)ξ「このぬいぐるみ、知らない人の自転車の籠にいたけどどういうことよ」

( ^ω^)「ツン!」

そこにはツンがいた。酷く不機嫌そうな顔をしている。
手に持っているぬいぐるみは、ゲイだった。
そして、僕の膝の上の人形を見て……、突然キレた。

ξ#゚听)ξ「何よこれ、なんでオムとナギがこんなボロボロなのよ!」

(;^ω^)「そ、それはねこが……」

ξ#゚听)ξ「もっと大事にしなさいよね!」

(;^ω^)「ぼ、僕じゃないお!!」

いつものツン。怒ってるけどツン。僕が、ずっと会いたかったツン。
会えなくなって一年。
今日は七夕。笹に飾られ、揺れる短冊には僕の願い。

”ツンに会えますように”

* * * * *

( ^ω^)「そんな、青臭い思い出が僕にもあるお」

('A`)「へぇ、そりゃあ良かったな」

( ^ω^)「ひとつだけ、後でわかったことがあるお」

('A`)「ん?」

( ^ω^)「人形の名前だお。ツンはあの頃からブーン系にハマってたみたいだおwww」

おしまい

 

 

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