(*゚ー゚)の願いが叶ったようです。

織姫と彦星が一年に一度出会える日。
それが七夕であるとされている。 のだが。

(*゚ー゚)「願い、ちゃんと叶うかな……」

時間はまだ昼だった、空は暗い雲に覆われていて、どんよりとした空気に包まれている。
少女は笹の葉に、小さな手で小さな短冊を吊るして、夜を待つ。
目を閉じて両手をあわせ、空に浮かぶ星に向かい、純粋で真摯な願いを――

('A`)「叶うぜ」

(*゚ー゚)「きゃあ!」

ささげている最中、真後ろから聞こえてきたのは男の声だった。

(*゚ー゚)「な、なんですか!? そして誰ですか!?」

('A`)「アルタイルだよ」

(*゚ー゚)「アル……って、彦星様!?」

こんな不幸オーラ全力全開の存在が彦星様だとはとてもじゃないが認めたくないのだが、しかし本人が主張しているので。

(*゚ー゚)「ど、どうしてこんな所に……」

出てきたのはその疑問だった。
しかし自称彦星は問いに答えることなく自分の言いたい事を言う。

('A`)「何で一年に一回しかないわずかな逢瀬の時間に人間の願いなんぞ叶えてやらにゃいかんの? ん?」

(*゚ー゚)「ひっ」

('A`)「大体さぁ、二次元的には川挟んでるだけかも知れねぇけど三次元的にみたら川ってレベルじゃねーんだよ何万光年離れてるとおもってんだよ馬鹿じゃねーの」

(*゚ー゚)「そ、そうなんで、すか?」

('A`)「それでもルールでさぁ、誰か一人の願いはかなえてやらにゃ行かん訳よ、じゃないと天の川は渡れないのよ」

(*゚ー゚)「え?」

('A`)「だからお嬢ちゃんの願いをかなえてやるっつってんだよ。ただし覚えとけよ。それは俺と織姫が出会っていられるはずの大事な時間を削ったものだって事を」

恨みがましい視線でジロジロとこちらを見てくる彦星に、しぃは微かに涙を浮かべた。
50
(*゚ー゚)「……う、う」

('A`)「あーあー、泣けばいいと思ってるんだから子供はよぉ。おらどれだよお前の願いはよ」

飾られた短冊に手を伸ばす彦星を――

(*゚ー゚)「駄目っ!」

しぃは慌てて止めようとした、しかし伸ばした手は空を切る。

('A`)「ばーか触れる訳ねえだろ、そういうモンなんだよ」

はーやれやれと小馬鹿にしたような態度を取りながら、短冊の中身を物色していく。

『可愛い彼女がほしいお ( ^ω^)』(こんな豚に出来るわけねえだろバーカ)
『一芸に秀でたいです ( 芸)』(意味がよくわかんねーよバーカ)
『格好いい彼氏が欲しいです (´・ω・`)』(キメェんだよバーカ)
『アイツが私に振り向いてくれますように ξ゚听)ξ』(デレになって出直して来いバーカ)

('A`)「本当に人間って奴はテメェの事しか考えてない生き物だよなぁ、馬鹿みたいだ」

(*゚ー゚)「う、うう……」

('A`)「泣いても駄目だぜ、お、これがお前の短冊だな……」
75
(*゚ー゚)「!」

('A`)「どれどれ………………ん? これは……!」

その瞬間。驚愕の表情で短冊としぃの顔を見比べる彦星は。

('A`)「……う、嘘だ、こんなの!」

煙の様に、消えた。

…………。

(*゚ー゚)「わぁ!」

雲ひとつ無い夜空には、色とりどりの光が浮かんでいた。 星の光とは、即ち無数の色である事を、空が教えてくれている。
二つの大きな星が、その幾数多の輝きを挟んで、向かい合っている。
心地よい夜風が短冊を揺らし、耳障りの良いサラサラと言う音を奏で、その世界の美しさを際立たせていた。

(  ゚Д゚) 「彦星様が願いをかなえてくれたって、お前何をお願いしたんだ?」

(*゚ー゚)「内緒!」

嬉しそうな笑みで、少女が言う。

('A`)「まさかこんな願いをかなえることになるとは思わなかったぜ」

川 ゚ -゚)「文句を言うまい、おかげで私達はこうして出会えたのだから」

遥か遥か天より上で、申し訳なさそうに項垂れる彦星の肩を、織姫は笑って抱いた。

『彦星と織姫が、ちゃんと出会えますように (*゚ー゚)』

 

 

戻る

inserted by FC2 system