( ФωФ)はパンダのようです

7月7日の夜、パンダは相も変わらず笹の葉を食べる。

私達は、全員二十歳になったのをきっかけにして
夜でも蒸し暑さが残る、この嫌な時期に、高校の同窓会で集まった。
懐かしい面々で酒を飲み交わし、慣れない酔いに意識をフラフラとさせて
宴会のあと、あてもなく居酒屋から、肩を組んで歩き回っていた。

(*・∀・)「お、動物園だ」

特に仲の良かった三人で、他の者と別れて歩いていると
看板と高い柵が見えて、私の友人が有無を言わさず上り始めた。

ミ;゚Д゚彡「おいおい、それは流石にマズイだろー」

(*><)「固いこと言わないんです、こっちは酔っ払いですよ〜」

ミ*゚Д゚彡「ったく仕方ねぇ、何してんだよモララー」

酒とは恐ろしいもので、いつも真面目に働いている私も
この時は制止が効かず、夜の動物園に柵を越えて侵入してしまった。
こんな代物が現実に、ゴロゴロと転がっているのだから恐ろしい。

(*・∀・)「見ろよパンダだ」

夜だから当然だが、柵で囲まれた場所に動物達はいない。
そのかわりに、モララーが見つけたのは、動物達が建物の中に入るための扉。
取り付けられたガラスから、パンダの顔がひょっこりと見えたのだ

ミ*゚Д゚彡「すげー、パンダだ、パンダだ」

きゃっきゃっ騒いでいると、パンダが笹の葉を持った。
食べるのかと思いきや、ガラスに張り付けて飾ったのだ。
そして、まるで七夕のように、ゆっくりと空を眺め始めた。

( ФωФ)「……」

(*・∀・)「七夕だ…七夕してるぜアイツ!!」

(*><)「人間よりも風流の分かる奴なんです」

ミ,,゚Д゚彡「ハハハ……」

私は不覚にも、心のどこかで感動してしまっていた。
パンダの記憶は人間ほど長くは持たないし、天の川を眺める意味も分かっていない。
それでも悲しげな目は、彦星と織姫の再会を、羨ましがっているのではないかと
妄想を膨らませる目だったのだ。

( ・∀・)「…………」

ミ,,゚Д゚彡「…………」

( ><)「…………」

三人とも黙って、そのうち全員が用事を思い出して、家に帰ることになった。
係員に見つからないよう、そそくさと抜け出し、その場で三方向へ別れた。

今日はそういえば、七夕だったな。
一人でそう呟き、空を仰いだ。
あのパンダは、今頃どうしているだろうか。

馬鹿やった私達を、嘲笑したのか。
はたまた何も考えずに、笹の葉を口に入れているのか。
それは分からない。

しかし、とりあえず私達は、あのパンダに負けないくらいは頑張らなければいけないようだ。
天の川が、微笑みかけるように瞬いた。

 

 

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