83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 16:40:15.98 ID:XIqyQEiC0
('A`)トコトコ

おう、今度は私好みのガリガリ喪男が来たぞ。
いじりがいもありそうだ。

うー。わくわく。

    彡
|( 'A`)  ヨッコラセックス
|( v)v
 ̄l77

1、

2、

3。

川 ゚ -゚)ポン

川 ゚ -゚)

('A`)


川 ゚ -゚)スルッ

衣をはだけてみた。
喪男は、
鼻血を噴いて倒れた。
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 16:44:06.63 ID:XIqyQEiC0
(*'A`)「えっ!何してるんですか!ダメですよこんなところで!」

川 ゚ -゚)「えっ?」スルスル

(*゚A`)「ピャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

川*゚ -゚)「下界にもまだこんなトゥルーな奴がいたんだな」ホレホレ

(*'A`)「あかん!意識が・・・」

カクン

川 ゚ -゚)「お」

喪男は気を失ってしまった。若干恍惚の表情を浮かべながら。

川 ゚ -゚)「こりゃ楽しそうだ」

------
---
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 16:51:32.69 ID:XIqyQEiC0
ひざに喪男を乗せてから数分して、喪男が目を覚ました。

('A`)ハッ

川 ゚ -゚)「起きた?」

('A`)「えっ、あんた誰すか」

川 ゚ -゚)「お前私をみて鼻血噴出して気絶したんだぞ」

('A`)「あああのときの――」

(゚A゚)「うそおおおおおおおおおおお!」

川 ゚ -゚)「くくく!面白い面白い!その反応を待っていた!」

ちなみに、今回はこれまた下界(のアレな人な間)で流行の衣を身に着けている。
それすなわち『お姉さん系保健担当の先生セット』
わりと下界の人間っぽい感じなので、違和感もないだろう。

(゚A`)「あれ!さっきと格好が違う!不思議!」

(゚A゚)「何故に白衣ですかお姉さまああああああああああああああ」

川 ゚ ー゚)「こりゃあ良い話が聞けそうだ」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 16:52:16.59 ID:XIqyQEiC0



『数分後・・・』



92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 16:55:18.25 ID:XIqyQEiC0
('A`)「で、貴方は神様と」

川 ゚ -゚)「さっきのを見たら納得だろ?」

('A`)アイ

さっきのとは、例の水道爆破である。
ちょっと前のジジイよりも彼の方がショック死しそうだった。

('A`)「神様が何の用で?」

川 ゚ -゚)「下界の話を聞きに来た」

('A`)「何を話せば?」

川 ゚ -゚)「お前の、幸せを、聞かせてもらおうか」

('A`)ウーン

('A`)「分かりました」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 17:02:35.35 ID:XIqyQEiC0
('A`)

僕は、『母がこの世に生を受け、生きていた』ことが幸せです。

引きこもりがちだった僕を諌めずに、静かに微笑んでいた。
いじめられた日の夜には僕を慰めてくれた。
身体の弱かった僕に、夜通しついていてくれた。

マザコン、とかではなくて、単純に感謝しています。
僕を産んでくれて、僕を育ててくれて、僕を愛でてくれて。

母、だと言い辛いな。カーチャン。
カーチャンは、去年の冬に死にました。
早すぎる死でした。
母は交通事故で亡くなったんです。

その時ばかりは、神様を呪いました。

でも今、僕は幸せです。

愛する人も出来て、愛する子供も出来て。

幸せです。

------
---
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 17:08:17.54 ID:XIqyQEiC0
日は、もう暮れかけていた。
オレンジ色に染まっていく公園、という空間。

ドクオ、と名乗った彼の意見は、先ほどの丸ぽちゃの意見と似ていた。
でも、彼の言葉には理屈が感じられない。

ストレートな、言葉だ。

『神様を、呪いました』

神の選んだ運命は、時に神を呪う者を生む。

それがどれほど小さな不幸だったとしても。
どれほど大きな不幸を回避したとしても。

川 ゚ -゚)「うん。ありがとう」

私は、神の決めた運命が嫌いだ。大嫌いだ。
だから反逆しようと思った。
だが、無理だった。
世界の法則は、よりよい方向に向いていく。
よりよい方向に向かうために、少数犠牲が出る。

川;゚ ー゚)「なかなかに、面白いじゃない」

私は、柄にもなく、作り笑いをしてみた。

('A`)「平凡な話です」

平凡、その言葉は、彼が世界の流れを知っているように表現した。
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 17:15:02.54 ID:XIqyQEiC0
('A`)「日も暮れてきたし、僕帰ります」

川 ゚ -゚)「うん、そうか。面白い話だった」

川 ゚ -゚)「そうだ、お前の願いは、何だ?」

('A`)ウーン

('A`)「命を大切にしたいです」

川 ゚ -゚)「そう・・・・か」

そういい残すと、彼は公園の出口に向かった。

公園の周りは車、と呼ばれる乗り物の通りが多い。
私は、ぼうっと彼の足取りを見た。

彼から、紅い紐がぶら下がっていた。

あれは――



『死線』だ。

彼は、神の決定によって、今日、この場で、死亡する。

全て、予定調和として。
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 17:19:43.16 ID:XIqyQEiC0
川 ゚ -゚)「っくそ!」

('A`)『命を大切にしたいです』

彼の言葉が、脳内を駆け巡る。

命を大切にしたい。

母から貰った命を。
誰かを守る為の命を。

大切にしたい、なんて、当然のことだ。

私は、彼の願いを聞いた。
彼の願いを叶えるには、神の予定を崩さねばならない。

神が、一神である私が、願いを叶えられない。

それがどれだけ、辛いことか。

願った人間が。願われた神が。
どれだけ辛いことか。


私は、走った。
一時的に肉体を持った私は、風を切って走る。

川 ゚ -゚)「ドクオー!!」

神が、人間の名前を叫ぶ。いままでそんなことがあったろうか。

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 17:22:56.57 ID:XIqyQEiC0
('A`)

喪男、ドクオは歩く。
何も気付いていないように。
歩く。歩く。歩く。

死に向かって、歩いているように。

道路に出る。そして、車が来ているのに気付く。

('A`)

('∀`)

彼は完全に理解した。
これは完全なる予定調和。

母が死んだように、自分も死ぬ。
人間は、死を直前に見ると、全てに気付く。

川#゚ -゚)「ドクオおおおおおおおおおお!!」

神様が、走る。
一瞬たりとも立ち止まらずに。

川 ゚ -゚)「私は!この予定調和を!」

('A`)!!

川 ゚ -゚)「ぶっ壊してやる!!」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 17:26:48.55 ID:XIqyQEiC0
神にのみ見えるこの空間。

時間の止まった空間。

スナオクール、と名乗った神、いや、反逆者は、走る。

ドクオと車の距離は3メートルほど。

川 ゚ -゚)

願い事を叶えられない神など、埴輪に過ぎん!

走れ!走れ!

運命を操る神が、運命に翻弄されてどうする!

あと少しだ

ドクオを突き飛ばして

私が轢かれる

そうすれば

彼の

願いが

叶う。
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 17:31:48.58 ID:XIqyQEiC0
/ ,' 3

ワシの孫は最期の一日を楽しんどるよ。
プールに入っての。あんなに嬉しそうに。

爺の声。

( ^ω^)

俺、幸せですお!神様のおかげですお!
ツンとも仲良く暮らせそうですお!

丸ポチャの声。


そして、私は聞く。
車輪が擦れる音。
セミの啼く音。


トン

ドクオの、背中を、突き飛ばした。

ドクオは道の脇に飛ばされ、

私は、道の真ん中に降り立った。


川#゚ ー゚)「私は、神だッ!」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 17:35:50.86 ID:XIqyQEiC0
(´・ω・`)君は、僕の予定を壊したから、神様クビね

川 ゚ -゚)かまわん。やれ


――――

私が見ていた世界が、反転した。
身体に強い衝撃。

宙を舞う身体。

これで、私の仕事は、終わり、というわけだ。

川   )「君の願いは、確かに叶えたぞ」

私は遠のく意識の中、男の泣き声を聴いた。

------
----
--
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 17:39:43.70 ID:XIqyQEiC0
トックン トックン トックン

人間が聞く最初の音。

それは母体の心音だという。

トックン トックン トックン

ゆっくりと、等間隔で、音が鳴り響く。

それはまるで、メトロノームのようで。

トックン トックン トックン

桃色の世界。
そう記してみると、いやらしく見える。

世界は、だんだん開けてくる。

この身体は、母体の外に出る。

『がんばってお母さん!頭が出てきたわよ!』

『っががががががんばれ!』

トックン トックン トックン

スゥ

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 17:40:49.66 ID:XIqyQEiC0



『生まれましたよ!お母さん!』



121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 17:44:43.04 ID:XIqyQEiC0
身体が、酸素を求めだす。

口は開き、そこから声が漏れる。

俗に言う、『産声』だ。

「お母さん!女の子ですよ!元気な女の子です!」

「ありがとうございます・・・はっ・・・ぜっ・・・」

「お前、頑張ったなあ!ぐすっ」

沢山の声の中、私の身体が産声を上げる。

生まれたての赤ん坊は、本来目が見えない。

だが私はそれでも目を開けて、親の顔を見た。

(

('

('
123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 17:49:35.12 ID:XIqyQEiC0
('A

('A`

('∀`)


私は、神様をクビになった。

その代わりに私は、最後の力で、人間に転生した。

父親は、ドクオ。

あの日、私に神の予定調和を壊させた男。

私がちょっとやらしい格好でからかった、あの男。

私が神としての権限をかけてでも願いを叶えた、あの男。

私には見えている。

彼の嬉しそうな表情。彼の汗ばむ手のひら。

私は、生まれてきた。

そして、わたしは見守っていく。

彼の、命を。
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 17:51:49.37 ID:XIqyQEiC0
私を抱えたドクオは、部屋の隅のベッドに向かって歩きだした。

私を置くためだろう。

もう少しこうしていたかったが、生まれたての人間に、そんな能力はない。


しかし彼は、私を抱いたまま、ベッドの近くの椅子に座った。

そして、

椅子に座りこんで

3秒。

1、

2、

3。

('∀`)「こいつの名前は――」
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 17:55:37.35 ID:XIqyQEiC0



('∀`)「『素直クール』だ!」



彼は、私の名前を知っていただろうか。

私の存在を覚えているだろうか。

塵のような人間の中の一人を、

アホのように全力で庇った馬鹿女神を。

覚えていなくてもいい。

私は、この男を一生見守っていく。

この有限の命尽きるまで、

ずっと、

ずっと。





川 ゚ -゚)座り込んで3秒、のようです FIN

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