36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 15:03:00.52 ID:XIqyQEiC0
/ ,' 3テクテク

なんと、今度はジジイがこっちに向かってきている。
ジジイの昔話は説教臭くてなあ・・・・。

/ ,' 3

まあ、それもいいだろう。
下界の人間というのは、年を取れば取るほど話が深くなると聞く。

わずかな希望にかけてみるか・・・・。

/ ,' 3テクテク、トス

1、

2、

3。

川 ゚ -゚)シュパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

/ ,' 3「ヒイィイイイイイイイイイイイイイイイ!タタリじゃああああああああああ」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 15:07:35.61 ID:XIqyQEiC0
川 ゚ -゚)「落ち着け。私は神だ。タタリは無いよ」

/ ,' 3「罰当たりがあああ!!神を名乗るでないわあああああああああ!!」

川;゚ -゚)「うっせぇ・・・」

川 ゚ -゚)σエイ

キュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

/ ,' 3ポカーン

川 ゚ -゚)「神だ」

とりあえず、信憑性を持たせるために水道をぶっ壊した。
すっきりした。反省はしている。後悔はしていない。

/ ,' 3「ああああんたは、神じゃあ・・・・・」

ジジイはそういうと、しきりに手を合わせて拝んでいる。

川 ゚ -゚)「ジジイ、私は欧州の血を持つ神だ。
     手を合わせんでいいぞ」

/ ,' 3「なんじゃいつまらん」

川 ゚ -゚)「なんだこのジジイうぜー」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 15:12:42.57 ID:XIqyQEiC0
/ ,' 3「で、神様がなんの用じゃい」

川 ゚ -゚)「ああ、下界の話を聞きに来た。喋れ」

/ ,' 3「服は着るんじゃよ」

川 ゚ -゚)。0(コイツに言われるとすごく腹立つ)

川 ゚ -゚)エイ

キャルウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン

/ ,' 3「タタリじゃあああああああああああああああああああああああ!!」

川 ゚ -゚)「衣を変えただけじゃわい。私は祟る神じゃない言うに」

/ ,' 3「発作で死んでしまうぞワシ」

川 ゚ -゚)「驚くことをやめろよ」

ちなみに、今度は無難に和服だ。
このジジイ、ジョークがあまり通じそうもない。

川 ゚ -゚)「さ、ジジイ、長年生きてきただろ?その中の幸せを語りなさい」

/ ,' 3「あいよ」

川 ゚ -゚)。0(やけに物分りがいいな)
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 15:18:34.65 ID:XIqyQEiC0
/ ,' 3

ワシは荒巻という。
下の名前なぞ言っても仕方の無いことじゃ。

ワシには二人の孫がおる。
10歳と5歳じゃ。可愛い盛りじゃよ。
言ってみりゃ、孫の存在がワシの幸せさね。

その孫、下のほうがの、今幼稚園のプールに行っとるんじゃよ。
プールには、入れんがの。

単純に言わせてもらう。
下の孫が白血病じゃ。

もう手遅れじゃ。どうこうしようとも思っとらん。
じゃが、孫を最後に喜ばせてやりたいものよ。

自称孫思いの、爺としては、の。

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48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 15:29:39.43 ID:XIqyQEiC0
川 ゚ -゚)「暗い」

/ ,' 3「そりゃそうじゃよ。ワシかて明るい気分じゃあないわい」

川 ゚ -゚)「お前は、どう思うのだ?」

/ ,' 3「ワシがか?そりゃ、死に行くものを止めてはならんよ」

川 ゚ ー゚)「孫思いにしては冷たい言葉じゃの、爺」

/ ,' 3「流れは、変えられんのじゃよ」

/ ,' 3「大きな川の流れを、置石一つで変えることなどできんのじゃよ」

川 ゚ ー゚)「よく分かっとるのう、爺」

川 ゚ ー゚)「でものぉ、私が神だということを忘れてはおらんか」

/ ,' 3「神でさえも、人の死を変えることは出来んよ」

川 ゚ ー゚)「その通り。爺の言っておることは事実」

川 ゚ ー゚)「しかし、死に行くものの願い、であれば叶えることもできる」

川 ゚ ー゚)「神に話をしてくれた礼さね。
     ちょっとばかしその子と話す。少し待ってなさい」

私は、ジジイから孫の名前を聞き取り、その名前のもとへと向かう。
名前、には言霊なるものがちゃんとある。
それを頼りに、私は意識をその子のもとへと飛ばす。
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 15:33:22.21 ID:XIqyQEiC0
―――VIP幼稚園プール

(*゚ー゚)「・・・・」

しぃ、という名前の子供は、プールサイドで眠っていた。
親は、もう彼女の死を予見している。医師にも、そう告げられているらしい。

「ごめんね・・・しぃちゃん・・・強い子に産んでやれなくて」

母の悲痛な声。
プールでは、同い年ぐらいの子供たちが泳ぎまわっている。

ばちゃばちゃ、ぺたぺた。

早く彼女とコンタクトを取ろう。

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53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 15:40:16.57 ID:XIqyQEiC0
川 ゚ -゚)「こんにちは、良い子のしぃちゃん」

(*゚ー゚)「なんでぼくのなまえしってるの?」

川 ゚ -゚)「おじいちゃんが教えてくれたよ」

(*゚ー゚)「じぃじが?」

川 ゚ -゚)「そう。私はね、この世界の神様。
     しぃちゃんのね、お願い事を叶えにきたんだよ」

(*゚ー゚)「そっかーぼくね!ぱぱとままとおにいちゃんとじぃじと、
     ぷーるであそびたいな!」

川 ゚ -゚)「そっか。それが願いだね?」

(*゚ー゚)「うん!」

無邪気に笑う、目の前の女の子。
何の欲も無い、何の濁りもない、綺麗な目。

(*゚ー゚)「でもねー。ままとおいしゃさんがね、
    わたしが『しぬ』ってはなしをしてたんだよー」

川 ゚ -゚)「・・・・・しぃちゃんは、『死ぬ』の、嫌?」

(*゚ー゚)「うん。でもね、これはきまってることなんだって。
    まえにもね、かみさまがきて、いってたの」

川 ゚ -゚)
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 15:47:31.75 ID:XIqyQEiC0
思い当たる節はあった。
私の同僚が、そんなことを言ってた気がする。
あの糞むかつくビッチ神。

ζ(゚ー゚*ζ

こいつだ。間違いない。
どおりで聞き覚えのある名前だったはずだ。
子供には死の原理を教えるなと、あれほどいったのに!

わたしが歯噛みをしていると、しぃは口を開いた。

(*゚ー゚)「あのね、かみさま。
    ぼくね、かみさまから『しぬ』ことをおしえてもらったけどね、
    ぜんぜんこわくないんだよ」

(*゚ー゚)「ぼくが『しぬ』ことで、だれかが『いきる』んでしょ?
    それはもう、かみさまのせかいできまったことなんでしょ?」

くやしいけど、そのとおりだ。
一神としての権限は、その決定を揺るがすことは出来ない。
生き返ることさえできる身体なら、それが可能だ。
しかし彼女は、もう助かる身体ではない。

(*゚ー゚)「ぼくね―――」

(*゚ー゚)「ぼくが『しぬ』ぶんだけ、じぃじにげんきでいてほしいんだ!」

川 ゚ -゚)

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 15:52:07.68 ID:XIqyQEiC0
下界の、愚かな人間。

下界の、上層の人間。

どんな人間も、『意志』を持つことができる。
その『意志』は、
神をもってしても、
曲げることができない。

この子は、

まだ5歳のこの子は、

大人にも持てないような固い『意志』を、

心に結び付けている。

それに対して、神が出来ることは、ただ一つ


川 ゚ -゚)「貴方の、願いを叶えましょう」


彼女の祖父が寿命をまっとうするまで、我が加護を。
最期の一日を、家族と過ごせるよう、我が力を。

私、こういう仕事は柄ではないらしい。
5歳の子供に、この神が負けそうだ。

なんて強い子でしょう―――

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 15:58:28.34 ID:XIqyQEiC0
川 ゚ -゚)「終わったぞジジイ」

/ ,' 3「ほほほおほ本当か!どうなるんじゃ!」

川 ゚ -゚)「彼女はな、死を選んだ」

/ ,' 3「じゃろうの・・・」

川 ゚ -゚)「彼女の身体はもう限界だった、だがな――」

/ ,' 3

川 ゚ -゚)「彼女は自分の命を引き換えに、ジジイの長生きを望んだよ」

/ ,' 3

川 ゚ -゚)「それと、彼女は最期を家族と過ごすらしい。行ってやりな、ジジイ」

/ ,' 3「神様、ありがとうございます」

ジジイは顔をクシャクシャにしてそういった。
涙は見えない。皺に埋もれて涙かどうかも定かでない。

ジジイはその老体に鞭打って走っていった。
その後ろ姿は、孫を追いかけているようにも見えた。

川 ゚ -゚)キャリン

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58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/11(土) 16:01:57.57 ID:XIqyQEiC0
川 ゚ -゚)

いつの時代でも、強い子ってのはいるもんだ。
子供離れした精神力、子供離れした頭脳。

私は、柄にも無く、泣いた。
姿を消した後だったので、人間には見えないところでだ。
神にさえも、どうにもできない流れ。

いや、正確に言うならば、私の置いた巨大な置石を、
流れの中の小魚が突き破った、とでも比喩しよう。

あー、暗い話はごめんだ。

だが、あの家族に、神の加護があらんことを、祈る。

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