( ^ω^)ブーンは死んでいるようです
- 1 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 09:21:05.19 ID:KvOOzdyR0
-
- 2 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 09:21:13.12 ID:PVu+r4170
- /.⌒ヽ
/ .\
../ ヽ. \
(./ ヽ. )
i r-ー-┬-‐、i
| |,,_ _,{| やらなイカ?
N| "゚'` {"゚`lリ
ト.i ,__''_ ! いいこと思いついた
/i/ l\ ー .イ|、 おまえオレの中にご飯詰めろ
. 丿ノ ノ 丁丁 ̄l\
. く_(__(_(_._」____)ノ
- 3 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 09:21:38.65 ID:2lIU7naT0
- ⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン
- 4 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 09:29:01.02 ID:KvOOzdyR0
- #05 セカンド
(;'A`)「なんだってんだ! こいつらは!」
( ゚∀゚)「不撓不屈! 例え相手が女だろうと、ゾンビはゾンビ!」
(´・ω・`)「いや、その理屈はおかしい」
夜の闇に包まれたゴーストタウン、屋根を走る黒い影は彼らを目掛け降下する。
それを踊るようにかわしながら、男達はひたすら死んだ街のはずれへ駆ける。
( ゚∀゚)「ハッハー! 元気だねぇ」
(´・ω・`)「ゾンビは疲れ知らずだからこそ、労働に使われたのだよ?」
(;'A`)「赦してぇぇぇぇ」
息を切らしたドクオを抱えたジョルジュは、手がふさがっていて何も出来ない。
手があいてるハズのショボンはというと、ひたすら携帯でメールを打ち続けているだけである。なんとも余裕である。
足が縺れてもいいくらいのスピードで、ひたすら前も見ず建物の間を抜けて行く。
――――こいつら、異常だ。ドクオはゾンビ以上に、彼らが怖くなりつつあった。
- 5 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 09:30:36.62 ID:v2KNucPx0 ?2BP(3030)
- ニュー速でやれ
- 6 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 09:32:24.38 ID:KvOOzdyR0
-
(´・ω・`)「さぁさぁ、ここで焼き打つぞ?」
ショボンは無表情で笑いながら携帯を閉じる。
(;'A`)「ハァ!? 焼き打つ!?」
相変わらず動きを休める事のないゾンビ達は、どんどん脇の屋内から溢れ出し、その数は十数にもなる。全てが全て、狙いは生きた人間。
その様子をちらちら見ながら、ジョルジュは確認をとる。
( ゚∀゚)「人は住んでないよな?」
(´・ω・`)「こんな化け物の山の中で生きていられる人間なんているかい?」
( ゚∀゚)「ここにいるぞ?」
(´・ω・`)「いや、一般人民だよ」
( ゚∀゚)「どのみち死に馬に鍼刺すようなモンだろ!」
確認、というより、結局人間がいても構いやしないといった態度の彼ら。
共に腕時計を覗き込む。
(´・ω・`)「……ではジョルジュ、あと30秒だ」
- 7 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 09:35:55.50 ID:KvOOzdyR0
- (;'A`)「何が何が何が!?」
ショボンは微笑を浮かべる。それは余裕の、自信から来る笑みに見えた。
彼らは口を揃え、指定された時間までのカウントダウン。
その数字が0を刻む、途端、
(;'A`)「ハァァァァァ!?」
空から巨大な炎の塊が放出されているのを、ドクオは見た。
走ってきた後方、それはゾンビごと街を焼き尽くす。
勿論、爆風に飲まれるか飲まれないかのラインであろう、静と闇の一瞬は、音と光の一瞬へと。
全てを遮る爆煙に街が包まれ、そこにはしばらく風景というものが存在しなくなった。
やがて、中から姿を見せたのは、三人の生きた人間と焼けた街の跡。
静寂を取り戻し夜が明ける頃、そこには笑いながら煤塗れで酒を飲む二人と、それに抱えられ、恐怖で顔をさらに蒼くしたドクオが立っていた。
( ゚∀゚)「……ド派手にやったなぁ」
(´・ω・`)「ここはもう街でもなんでもないからな」
('A`)「……アンタラガヤッタンダロ」
- 8 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 09:37:17.45 ID:KvOOzdyR0
- 抱えられたカタコト外人のようなドクオは、彼らのやることなすことが理解しきれていないようで、それに対して妙な恐怖感を抱いていた。
まぁ、それが普通であろう。
('A`)「……ナンデスカアレハ」
(´・ω・`)「メラゾーマ」
('A`)「……マジスカ」
( ゚∀゚)「嘘だ嘘。爆弾の小さい奴、といったらわかる?」
小さい、といえども、街一つ焼き尽くすほどだ、かなりの大きさじゃないか。
(´・ω・`)「飛行機が落とすタイミングが合わなかったらみんな死んでたし、こういう場所でしか使えないからな……アイツかなり張り切ってたわ」
アイツって、誰だよ。
ふと空を見ると、段々と蒼くなる空の向こうにいびつな形の飛行機が見えた。
- 9 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 09:40:18.86 ID:KvOOzdyR0
- ('A`)「やっぱり研究所怖いんですね…」
( ゚∀゚)「研究所は怖いぞ? こうも簡単に何もかもを葬りやがる」
とりあえず目の前の危機を脱し、ドクオは胸を撫で下ろす。
……あらためてその様を見ると、やはり恐ろしい。先程の火球を落としたであろう飛行機はもう見えなくなっていた。
それにしてもこれ、針に糸を通すより難しいであろう。いや、どちらかと言えば、命かかってる辺り、ウィリアム・テルが頭の上の林檎を矢で撃ち抜いた感覚に近いか、それより遥かに難しいか。
二人がギリギリかわせるくらいの間隔で落としたのだ、どんな人間がそれを落としたのか検討もつかない。
いや、もう人間かどうかもわからない。
……ゾンビを化け物扱いする前に、人間にも化け物がいたのに気付いた瞬間だった。
ジョルジュは酌み交わした酒の瓶の底を一息ついて見て、ドクオの顔を見る。
( ゚∀゚)「次は何処だ?」
(´・ω・`)「ベリャシか、マグニアか」
道はショボンが言う二択になるようだが、ドクオの中では、一択に絞れていた。
ブーンはベリャシのような場所には行ってないだろう、そう考えが出ていた。
……あいつは幽霊なんかが嫌いだ、だからもとより心霊スポットのような場所へは行かないだろう、と。
- 10 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 09:43:38.56 ID:KvOOzdyR0
- ('A`)「……ベリャシってほとんど山ん中でしょ? だったらマグニア行きましょうよ」
実は自分が幽霊とか嫌いなだけなのは内緒だ。
( ゚∀゚)「……俺の酒もなくなったしな……それがいいか」
どれだけ飲んだと思っているのか、ケロッとした顔で空の瓶を振り回し、ジョルジュは言う。勿論、ショボンも軽くそれに頷く。
(´・ω・`)「ブーン少年も移動するなら、ビルの影のある街のが都合よいだろうしね」
仰せの通り、行き先は決まった。
なんとなく機嫌の悪いジョルジュがドクオをほうり落とし歩き出す。
その後ろ後を黙って着いてゆくショボンは、腰が抜けて歩けないドクオに気付くと、ひょいと小さないな身体を提げて、またいそいそとついて行く。
しばらくして、ジョルジュの機嫌はよくなったが、そこにはやけに自信に満ちた目の彼がいた。
くよくよしない性格だからという含みがあるかは、いざ知らず。
- 11 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 09:48:01.15 ID:KvOOzdyR0
- ――――――――――――――――――――――――――――
その予想は見事に外れて、心霊スポットで心霊体験真っ最中!
ξ゚听)ξ これは事故じゃない、殺人よ!
( ^ω^)「……は?」
そして、死んだ彼女の頭がイカれてしまったと思ったのには、まぁ、ワケがあります。
原因は長々と明かされたギコ達の過去、そこにあります。
- 12 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 09:50:17.58 ID:KvOOzdyR0
- ――――――――――――――――――――――――――――
その医務室には二人の子供がいた。
男の子と、女の子。
それはまだ、小さな手だった。
その手には到底似合わない、そんな手付きで仕事を熟す女の子。だが、それはままごとではない、確かな仕事。
(*゚ー゚)「今日はありがと」
(,,゚Д゚)「いや、こんなんチョロイもんだよ」
しぃにはなんだか類い稀なる才能(←なんとも都合のいい言葉)があって、周囲の反対を押し切り、ここの専属の医者に任命される。……最終的には反対していた輩も味方を始めたのだが。
勿論、これは違法である。
- 13 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 09:54:51.16 ID:KvOOzdyR0
- そして、閉鎖的な場所であるが故に、一般的な決まりなど無視され続けてきた。
例えばだが、誰かを殺したとしても法律によって裁かれる事はなく、犯人は配属を変えられたり、すぐさま研究所から追い出されるだけで済まされるか、あまりにも酷いようなら、研究員で犯人を死に追いやる事もあるくらいだ。
上記の通り王立研究所とは名ばかり、実際は宗教絡みのろくでもない団体だったらしい。
……話を戻す。
そして、そんなしぃのいる医務室に住み着いたのがギコだった。
いつの間にか住み着いていたので、研究員達にとっても、ギコは更に異端だった。疎まれていた。
誰に頼みいったのではないか、それとも誰かの隠し子か、噂も絶えない。
しまいには、火のない所から煙をたたせる輩まで出てきて、研究所のお偉いさんも困ったそうだ。
ギコの役目は、しぃを守る事だけだった。だからこそ、さらに疎まれていたんだが……
閉鎖的な空間であった研究所では、性的欲求も弱い者に向けられる事が多かったのだから、しぃを襲う奴がいてもおかしくはない。
所謂、ロリコンです。
その日も、ジャックナイフ片手に乗り込んできた奴をギコが返り討ち、毎日がエブリデイです。
- 14 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 09:56:27.55 ID:KvOOzdyR0
- (*゚ー゚)「でも刃物だったじゃない?」
(,,゚Д゚)「大丈夫、目潰してやったから」
(*゚ー゚)「…それは関係ないよ」
しぃはギコについた傷に消毒液を含ませたガーゼをそっとあてる。痛がる素振りはするが、ギコは笑っていた。
暴漢を追っ払っているうちに、ギコとしぃは仲良くなった。
ギコが医務室に住み着いた理由は、これだった。一目惚れ、それにつきる。
しぃが襲われれば、身体をはって守るし、それによって怪我をすれば、しぃが治してくれる。それがたまらなく嬉しかった―――
ξ゚听)ξ …長いわ
(,,゚Д゚)「……ゴメン」
(;^ω^)「……」
- 15 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 09:58:10.59 ID:KvOOzdyR0
- ―――命潰えた当日。
医療からZVの研究まで手広くカバーするしぃの研究室を、今日もギコは守っていた。
????「やあ」
(,,゚Д゚)「まーたお前か…」
静かな廊下にコツコツ響く革靴、そいつは、以前からしばしば顔を見せていた研究員の一人、ギコがマークしていた人物。
今まで何もしてはこないものの、いつかは動く、そう読んでいた。
……何を呟いている?
突然姿を見せたそいつの、微かに動じた口元を見逃さないように睨んでいると、
(,,゚Д゚)「お前―――」
不覚だった。
次の瞬間、しぃのいた研究室から炸裂音が洩れる。
扉から漏れた紫煙が中の様子を物語っていた。
- 16 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:00:54.75 ID:KvOOzdyR0
- (,,゚Д゚)「しぃ!?」
コイツの挙動不審さに気をとられすぎた結果だった。…どうやら、薬品の爆発だが。
しかし、彼女がつまらないミスをおかすとは、到底思えない。
しぃの事はよく知ってるつもりだったし、疑うなんてとんでもないと思って、その考えに捕われているギコは、次に疑わしきものへとベクトルを向ける。
????「おい、どうした?」
(,,゚Д゚)「うるさいっ―――」
気付いたら、そいつを殴っていた。
自分のミスだろうがなんだろうが、認めたくなかった。
そんなんじゃ済むハズないのに。
その時は冷静になれなかったんだろう、自分からは手を出すなんて思いもいなかったが、ついやってしまった。
????「クソッ…覚えてろよ」
そいつがそう吐き捨てたどうでもいい恨みに塗れた声よりも、聞こえるは研究室から聞こえる小さな声。……まだ生きている。
ギコは急いで救急を呼んだ。研究所内にはしぃしか医者がいないため、こうする他なかった。
- 17 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:01:24.98 ID:KvOOzdyR0
- 電話をきり中を確認。飛び散った試験管を踏みつけながら、噎せているしぃを探す。
(*゚ー゚)「ギコ…君……」
(,,゚Д゚)「よかった、たいした傷じゃない」
しぃの仕事を間近で見てきたギコは、すぐにそれが知れた。
ほっとした所に、すぐに救急車が到着すると、
(,,゚Д゚)「大丈夫そうだな」
ギコは担架で運ばれるしぃの横から声をかける。
(*゚ー゚)「うん…私の不注意だった……」
発進する車に一緒に乗り込む時も、ずっと一緒だった。
(,,゚Д゚)「よかった……」
(*゚ー゚)「ギコ君、あのね……」
- 18 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:02:49.03 ID:KvOOzdyR0
- 調度、捕まってしまった踏み切りの音が鳴るだろう頃だった。
(,,゚Д゚)「え?」
(*゚ー゚)「だからね……」
掻き消して通りすぎるハズだった車両は、しぃを聞く前にギコ達に覆いかぶさった。
救急車が暴走、遮断機の故障があいかさなった。
線路上、ギコとしぃを乗せた救急車を巻き込みながら車両は滑走、乗客はほとんど無傷だったにも関わらず、救急隊の到着時、二人はすでに即死だったという―――――
(,,゚Д゚)「って新聞に載ったんだぞ?」
(;^ω^)「これは酷い」
(,,゚Д゚)「な、事故だと言っただろ?」
- 19 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:06:41.52 ID:KvOOzdyR0
- その瞬間までしか覚えていないそうです。
やはり、死んだ瞬間は何も見えてないのでしょうかね。
ξ゚听)ξ ……いえ、違うわ
(*゚ー゚)「え?」
ここでさらに話は戻ります。
ξ゚听)ξ これは事故じゃない、殺人よ!
ツンの思わぬ一言に、ギコが慌て叫んだ。場が凍り付く。
申し訳ありませんが、頭でもイカれてんじゃないか、そう思いました。
いや、誰がそれを信じるかって? 別に、誰も・・・
( ^ω^)「……は?」
それは思わず声に出てしまった。
(;゚Д゚)「な、なんだっt」
ξ゚听)ξ ところで、さっきの研究員って誰?
険しい顔を見たか否か、それを遮りツンは続ける。
僕は、あー、脳がないんだったわ、と半ば諦めた。
- 20 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:08:56.40 ID:KvOOzdyR0
- (*゚ー゚)「誰…って」
( ^ω^)「言ってもわかるハズないお」
ξ*゚听)ξ いいじゃない!名前くらい聞いてみたって…知ってるかもしれないじゃない
(,,゚Д゚)「デミタス、だ……」
ξ゚听)ξ 誰?
( ^ω^)「・・・」
名前を言うと、ギコは険しい顔で腕を組む。無論、疑問は絶えない。
(,,゚Д゚)「だが殺人…おかしくないか?」
そう思うのが普通である。
薬品の爆発により死んだのならばその可能性がないとは言えないだろうが、二人は救急車の暴走、遮断機の故障などにより死亡したのだ、完全に事故だと考えるのが普通。
( ^ω^)「どうなんですか、迷探偵ツン?」
ツンに問う。緊張による喉の渇きに耐え切れず、思わず水に手を伸ばすのだが、それを躊躇うくらいの緊張感。まるで、「正座で手を膝に置け!」 と言われているような空気……
ξ゚听)ξ ……根拠はないわ
- 21 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:11:29.97 ID:KvOOzdyR0
- ( ^ω^)「……」
その空気はぶち壊れるなんてモンじゃ済まなかった。
シン、となった部屋に隙間風がやけにしみる。あぁ、やっぱり寒いなぁ。
……証拠がないとか、問題外じゃないですか。
いや、しかし、救急車を運転していたのが誰によるか、それなら可能性はあるかもしれない。デミタスとかいう奴が仕組んだと考えるならば、それもある。
けれど、そのために巻き添えくって死ぬのはどうだ?馬鹿馬鹿しいったらありゃしない。
仕組む時間は調整出来ても、デミタスに付き合う動機としては不十分。
いや、もしくは……
ξ゚听)ξ でもあなた達が成仏出来てないのが気になるのよ
悶々していると、あらたまった口調でツンが呟く。まさか、まだ何か?
( ^ω^)「ん?」
ξ゚听)ξ いい? 私がゾンビにやられた時の話はブーンにしたわよね?
それは確かに、しかと聞いた。
- 22 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:14:05.02 ID:KvOOzdyR0
- ξ゚听)ξ そしてブーンにも聞こえたでしょう、死者の声が
死体がゾンビになってしまっても、中には人の魂があった。そして、苦しんでいた。
しかし、それがなんだという。
(,,゚Д゚)「まさか、俺らの魂が宿った身体の一部があると言うのか?」
待った!
けれど、どう見ても身体と魂が分離しているようにしか見えない。
身体の一部でさえすぐ近くにないし、別に苦しんでいるようにも見えない。
僕らの時とは全然違う。僕のケースでもない、ツンのケースでもない、それじゃあ結論今はわかりようがない。
そこへ呆れ顔と、しぃの声。
(*゚ー゚)「そういえば……爆発した液体……」
ξ゚听)ξ ……ZVの研究……培養液、よね?
(*゚ー゚)「……なら私の身体は、確かにゾンビになっているかもしれないわね」
- 23 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:18:24.10 ID:KvOOzdyR0
- 可能性としては、爆発した薬品、いや、ウィルスの培養液が、身体に付着したまま、車両に巻き込まれ、そして体内へ入る、これがあったか。
彼女の頭の中は、穴だらけの布に砂を乗せたように、防げない過去を悔やむ気持ちが芽生えていた。
しかしおかしいな、僕の聞いた今までの情報には、それがない。完全に聞き漏らしじゃあない。
ゾンビって、肉体に魂を閉じ込められてたよね?
僕は普通に尋ねたつもりだった。しかし、返ってきたのは、頭の隅にもないような答えだった。
まさかまさか、もうよしてほしいとも思った。自分でも、思考回路が絡まってきたのが分かる、新しい何かはもうよしてくれ。
(*゚ー゚)「試作段階だったけど……02は違ったのよ」
しぃは慌てて桐箪笥の中を漁り出した。
ギコ達が成仏出来ない理由もこれにあるとしぃは言いながら、ひたすら漁り続けた。
いや、しかし待ってください。
ZVには01しかいないようなこと聞いた気がするのだが……
- 24 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:19:00.84 ID:KvOOzdyR0
- (*゚ー゚)「02の存在は私しか知らなかった…」
ξ゚听)ξ 脱線事故のデータは?
(,,゚Д゚)「待ってろ! 今の時代はネットがある!」
(;^ω^)「マジかお? こんな田舎に…」
(,,゚Д゚)「95で電話回線だけどな!」
(;^ω^)「……」
長恨に駆られた己の姿はとても醜く、慚愧の念に堪えられない。
しかし、逆に慚愧の念に堪えられないのは、情けをかける側である。加減が難しいもので、かけすぎた情けは、思わぬ形で帰ってくる。
(*゚ー゚)「01の特徴は、心に格子を作ってしまう事だった」
閉じ込められ、苦しむ人々を、幾度となく見てきて、それを救いたいと願った。願うだけでは叶わぬと知り、自分から進み出した。
しかし、無力な自分の姿を直視は出来なかった。
- 25 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 10:20:08.83 ID:RR5XvhAx0
- 支援
- 26 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:22:21.02 ID:KvOOzdyR0
- (*゚ー゚)「心だけは別に、と思って02を作る事になった…まぁ性格な名前がなかったから勝手につけたんだけど」
心の開放。しかし、根本はそこではない。
自分にある力だけを駆使し、それでどうにかした気でいただけだった。
それでゾンビ達から苦痛の呻きは多少無くなった。しかし今度は、心ではなく身体まで救おうと思ってしまった。
欲張りな自分から、さらに目を逸らした。
(*゚ー゚)「……そうだ、ブーン君」
しぃは僕に言った。それは、僕の中では到底夜通し考えたって決意はしないものだった。
それを拒否したい、けれど、考えさせられてしまう。
彼女が生きているならば、自分でやればよい。が、今は何もない。
それは単純に、ゾンビの消滅、つまり世界を救うこと。
- 27 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:22:49.84 ID:KvOOzdyR0
- ( ^ω^)「……わかったお」
僕はそのお願いを聞いた時に、思い出した。
……僕には彼らの声が聞けたじゃないか。本当に、心の底から助けを求めていたじゃないか。
( ^ω^)「あらたなる可能性ってカッコイイお!」
僕がゾンビになったのは偶然か? いや、多分違うと信じよう。
これは運命だ、そして、偶然じゃなく必然だ。
( ^ω^)「死んだけど、僕には素晴らしい能力がある、だからこそゾンビ被害をこの世からなくすお!」
僕はこの世からゾンビを消し去る。願わくば、ついでに苦しむ人々を一人でも減らす。
決意は固まった。……ある程度ですがね。
- 28 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:25:33.42 ID:KvOOzdyR0
- ξ゚听)ξ その前にアンタ、私をどうにかしなさいよ
……唐突なツンからのお咎めには、結構な威力があるんだよなぁ。そしていつの間にか、僕はツンへ平謝りをしていた。
……ゾンビがゾンビを撲滅とはこれ以下に、ですが、人類に出来る事はまだ限られている。だからこそ、超越した能力を持つゾンビには、超越した能力を持つ僕が対抗するしかないのです。
そう、技術の発達に何年も待ってられないのです。
その間、あの地獄からの呻きを聞き続けなければならないのは、相当な苦痛でありましょう。
それに、表に人間の心が出ている以上、僕はゾンビではありません、人間です。
そういえば、肉体に疲れが出ない身体だからこそ、その呻きさえなくなったらストレス知らずなのだ、これはラッキーだぜ!イェア
- 29 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:26:27.69 ID:KvOOzdyR0
- (*゚ー゚)「あともう一つ」
資料の中からZV-02に書かれたものを出し、僕に渡す。
(*゚ー゚)「私達のゾンビを見つけたら、処理お願いね」
( ^ω^)「わかったお」
資料を一通り読んだが、ZV-02型は、いわゆる"Living Dead"ではなく、真性の"Zombie"だと言う。
ちなみに、ゾンビは最初、労働のために作られたとされている。
だから、02型の身体は従順で、飼い主のいうことには従うのである。今回でいうと、飼い主はデミタスにあたる。
それから、ウィルスそのものが01よりも強く、01の苦しみを軽減するためだけに作られた、仮性ウィルス・02が01を上書きする形になるということ。
普通、戦闘要員になる事はまずなかったらしいが、
(*゚ー゚)「ギコ君のには何かしら武器があると思う…油断はしないでね」
つまり、現状では元々高い能力を持ち、攻撃される可能性も捨てきれないそうだ。飼い主が飼い主だけに。
しぃの、とても慈悲深い感じの微笑みに、僕は思わず照れてしまいそうになる。成る程、ギコが医務室に住み着きたくなるだけある。
説明ついでにしぃが水筒を僕に渡してくれた時、ギコの調べ物がやっと終わったようだった。
(,,゚Д゚)「脱線事故のデータあったぞ。緊急停止の操作がされていなかったそうだが……他にも、障害、遮断機の不自然な故障……」
- 30 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:28:02.97 ID:KvOOzdyR0
- ξ゚听)ξ ほーら、きっと他殺じゃない? ね、研究員怪しいでしょ?
確かに……だが、
(;^ω^)「ツンの推理はどうかと思う」
(,,゚Д゚)「勘が当たっただけじゃないのか?」
ξ;゚听)ξ だ、だから、根拠なんてないと言ったでしょ?
これが霊感と言う奴なのかはさておき、これでデミタスとかいう奴の線が強まったワケだ。
……とりあえず見掛けたらふん縛ってやんなきゃならないな。
(,,゚Д゚)「デミタス……」
敵が発覚した時のギコの顔は、やはり凛々しい勇者だ。今は何も出来ないが、彼は正真正銘、お姫様を守ってきた勇者だ。
その表情の中に時折見える悲しそうな顔、僕にはそれがいつまでも忘れられなかった。
- 31 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:34:26.10 ID:KvOOzdyR0
- それから、次の日まで泊めてもらった。幸いな事に、雨が降り始めたようで、明日はすぐにでも出発出来そうだ。
ちなみに、雨の音だけではなく、艶かしい喘ぎ声が彼らの寝室から聞こえてきたのはいうまでもなく。
普段なら、こんな状況におかれたら覗いて自らを慰むが、すぐ横にツンの存在があるので、お預けを喰らった犬のように、ただひたすらおっきを隠すためダンゴムシのような背で我慢するしかなかった。
それにしてもあの二人、馬鹿なのかなんなのか……馬鹿と天才は紙一重とか言うけど、まさに現状その通りだと思う……
―――そして案の定、空には雲がかかったまま次の日を迎えた。
- 32 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:39:38.43 ID:KvOOzdyR0
- ( ^ω^)「ではお邪魔しましたお」
僕は貰った水筒を肩にかけ、ボロ靴を履き、髑髏を抱える。身支度は簡単にこれだけだ。
(,,゚Д゚)「おう、またな」
ξ゚听)ξ 最初で最後かもしれないわよ?
(*゚ー゚)「それは頼もしいわね」
(;^ω^)「あまり期待しないほうがいい」
古い引き戸を開け、改めて二人を振り向く。二人の顔は、不安や惑いさえ見当たらないくらいあっさりしている物だった。なぁに、どうにかなるだろう、そう考えていてもなんら不思議ではない顔だ。
・・・つうか最初からこんなんだったっけな。
(,,゚Д゚)「あ、俺の死体にあったら、とりあえず怪我の痕狙えよ」
ギコはまだ少しダンゴムシっぽい僕の背中をぽんと叩き、アドバイス。
死んだ日のままなら、他にも傷があるらしいので、気兼ねなくやっちまってくれ、とのこと。
簡単に言うけど、そんな簡単なモンじゃなかろう。
僕は言い澱んで、口をモゴモゴ。
( ^ω^)「わかったお…じゃあ、行くお」
- 33 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 10:42:39.74 ID:KvOOzdyR0
- 僕はその二人の表情になんだか清々しい気分になって、表情も自分の自然と柔らかくなりました。
何処までも広がる曇り空、僕は戸を閉める。向こうの顔を見てたら、なんだか安心した、そんな感じです。
( ^ω^)「さ……次の街に向かうお」
ξ゚听)ξ …早く私をどうにかしなさいよ
(;^ω^)「……しつこい」
とりあえず道なり、僕は歩き出した。次の街は、ここからまた結構歩く事になるだろうが、とりあえず行くしかない。行かなきゃ何もわからない。
全ては知り得ないだろうが、はたして全てを知った時、僕なら何をするだろうか。
……とりあえず不可能かどうかは、死ぬまでやり続けなければわからない。ときには、だいたい不可能と分かる事もある。
しかし、こればっかりは誰にも全く分からない。
- 34 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 10:51:04.82 ID:KvOOzdyR0
- 休
- 35 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 10:52:06.04 ID:RR5XvhAx0
- 乙
- 36 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 10:52:31.71 ID:3CQdITyUO
- おつ
- 37 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 11:55:20.52 ID:/2wWMMoa0
- 乙
- 38 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 12:15:35.79 ID:KvOOzdyR0
- 開
- 39 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:18:07.54 ID:KvOOzdyR0
- 生い茂る木々から冷たい風が吹く。まだまだ寒い季節が続いているが、三寒四温とも言う、時には温かい日もあろう。けれど、僕はその四を、もう体感出来ないかもしれない。
( ^ω^)「まだ次の街が見えないお」
ξ゚听)ξ だいたいこんなものよ
人気のない山道をひたすら下る。影もうっすらとしか見えない時間が経ってはいるが、霧がかかってるのも手伝ってか、ずっと景色の変化に乏しい。
参ったなぁ、僕は呟く。
疲れない身体といえども、足が痛いのだ。
……あのゾンビ達も、歩き続けたら足とか痛いのかなぁ。それとも、僕だけなのかなぁ。
( ^ω^)「……あ」
その平坦さに飽きぼーっとしていると、いつの間にか人里まで下りてきていた。人の姿もちらほら、遠くに霞んで見える。
しかし、霞におおわれていたのでそう思っただけで、人に見えたそれは人でなかった。
(;^ω^)「お!?」
……ゾンビの群れだ。
- 40 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:18:53.57 ID:KvOOzdyR0
- 姿がハッキリ見えるとともに、僕へと一斉に視線が注がれる。手には農具……だが、襲いかかっては来ない。
ξ゚听)ξ おかしいわね
( ^ω^)「でも確かに…ゾンビ……だお」
彼らはまた視線を元に戻し、農具をひたすら土へと振り落とす。だが、確かにゾンビだ。
( ^ω^)「畑……かお」
ゾンビの村か……?
珍しい以前に、流石にこれはないだろう。自らの意思で動かない、なんの変哲もないゾンビがやることだろうか。
そうか、これが02って奴かね。
しばらくその様子を眺めているが、一回きりしか目が合わない。
なんだつまらないと、僕は何もなかったようにそこを通りすぎようとした。
- 41 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:19:23.29 ID:KvOOzdyR0
- が、しかし、
ξ゚听)ξ ブーン、後ろ!
(;^ω^)「おおっ!?」
油断してなかったといえば、油断してなかった。油断したといえば、油断してた。
振り向けば、鋤を振り上げたゾンビが一匹、呻き声と腐臭を吐きながら僕を睨んでいる。
僕は咄嗟に急所である顔を狙おうとするが、顔の位置が悪い。歪んだ顔は、ひん曲がった腕で隠され、よく見えない。
それでも、拳を繰り出す。……が、敵の腕の骨が砕けただけで、顔面に届かない。
戸惑ったならもう遅い。
(;^ω^)「……お」
視界が薄暗くなったかと思いきや、僕自身には何も起きない。
上から覆いかぶさるハズのゾンビが、鋤を離し、脇へ倒れたからだった。
だがそれでも影が出来ているのは、かわりに姿を見せた者があったから。
(´・_ゝ・`)「こんにちは」
(;^ω^)「だだだだだだれだお!?」
これはまさに、びっくりした。
- 42 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:20:53.65 ID:KvOOzdyR0
- ……人間?
手に鋤を握りしめたそいつは、見た目は老人、だがまだまだ若々しい喋り方。
(´・_ゝ・`)「こいつはもう役に立たないようだな」
顔に皺が刻まれた彼は倒れたゾンビの頭を踏み潰す。そのまま呆気なく苦痛に魘れたまま魂の尽きたそれを蹴り飛ばし、僕をまじまじと見つめる。
(´・_ゝ・`)「こんな場所に何か?」
( ^ω^)「いえ通りすぎただけですお」
(´・_ゝ・`)「おや、あんな山奥へ行っていたのか?」
( ^ω^)「はい…ここは?」
(´・_ゝ・`)「ゾンビ農場だよ」
ひたすら仕事をするゾンビは、彼が声をあらげる度、効率をあげてゆく。ゾンビ達は皆、逆らう様子もなく、ひたすら耕す。
……ゾンビを……従えて……
ギコとしぃの話、そしてZV-02……
(;^ω^)「お前はまさか……でででで」
(´・_ゝ・`)「で?」
ξ゚听)ξ 黙らっしゃい
- 43 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:26:26.95 ID:KvOOzdyR0
- 脳内にそれが響いて静止。彼女はいったいなんなんですか。
しかし、吐きかけた言葉、このままでは怪しすぎる。なんとか誤魔化す手を考え、結果こうなった。
( ^ω^)「出来のいいゾンビ達ですね」
(´・_ゝ・`)「わかるかね? ほとんど一級品だよ!…彼らは実によく仕事をするからね!」
老人は嬉しそうに笑う。……ゾンビを見つめるその眼は気持ちが悪い。
ところで、僕にストップをかけたツンはいったいどうした?
おいどうした、と手元の骨をコツンと叩く。
ξ゚听)ξ いきなり『お前はデミタス!』じゃ怪しいでしょ?
( ^ω^)。oO(いや、しかし殴らなきゃ気が済まないお!
ξ゚听)ξ 阿呆ぅ! 彼がデミタスか、まだわからないのよ?
( ^ω^)。oO(あ……確かに
ξ゚听)ξ ……とりあえず、そこはかとなく名前を聞けば?
そこはかとなく名前を聞き出すのが簡単じゃないくらい、わかるだろう、ツンよ。
……仕方がない。うっとりした顔でゾンビに魅入る目にゾッとしつつ、僕は老人に声をかける。
( ^ω^)「ゾンビはどうやって作ったんだお?」
(´・_ゝ・`)「あぁ、研究所から買ったんだよ」
- 44 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:27:43.16 ID:KvOOzdyR0
- うむ、嘘偽りのないような顔だ。
これじゃ話も続かないし、名前もわからない。……質問を続ける。
だが、無闇に適当ではない質問を繰り返そうとは思わない事だ……相手が相手だけに、下手な質問は控えたい。
しばらくの間いくつか質問を続けたが、中々名前まで到達しない。ゾンビの可愛さなんかは十分に語ってもらったものの、そんなことはどうでもいい。
そして、段々と質問の内容は在らぬ方向へ。
( ^ω^)「貴方もしかして研究所にいた人かお?」
(´・_ゝ・`)「…どうしてかね?」
ついにボロを出してしまった。これは完全に怪しい。
僕はどうにかごまかそうと、試行錯誤。
(;^ω^)「いや、写真を見たんだお」
(´・_ゝ・`)「写真? あぁ、名簿に使った写真かね」
なんだ、それは。
(;^ω^)「確か…デミタスさんだったかお?」
(´・_ゝ・`)「そうか……君は誰の孫かな? 榊原か? 皆谷か?」
だれだ、それは。
(´・_ゝ・`)「……杉浦かな? ロマネスク、彼と口元がそっくりだ」
(;^ω^)「そ、そーだお、じいちゃんはロマネスクでしたお」
- 45 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:28:55.10 ID:KvOOzdyR0
- 一息つく。なんとか乗り切ったという安堵だ。
(´・_ゝ・`)「杉浦達の街にいって、研究結果はここに生きている、そう伝えてくれ……ゾンビを商売に利用なんて、誰が思い付くだろう」
どこだ、そこは。
(;^ω^)「わ、わかったお」
殴りたい。コイツを殴りたい。
僕はそれでさっきから一辺倒。
しかし手がワナワナするその度に、ツンが叫ぶもんだから頭がちょっと痛い。
……そしてなんとか踏み止まった。
ギコ達のゾンビが近くにいないし、やったのはコイツじゃなかったのか。では、いったい、誰が?
仲間だと思われる名前、榊原か? 杉浦か?
だがそこを吐かせるには無理がありすぎる。今回は諦めるしかない。
彼がゾンビを使う限り、また必ず出会うと思う、その時に状況がよくなっていたら、またそこはかとなく尋ねるとしよう。
- 46 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:29:40.33 ID:KvOOzdyR0
- ( ^ω^)「あ、僕はこれで」
(´・_ゝ・`)「なんだね……今から私とゾンビの愛の歴史を語ろうかと」
( ^ω^)「結構です、では」
きっぱり断り、半ば逃げ去るように歩き出す。足の疲れは、大分忘れていた。
(´・_ゝ・`)「……電話か」
デミタスのズボンのポケットでバイブレーション。
(´・_ゝ・`)「もしもし……なんだ、クーか……しつこいねー、君も」
電話口から聞こえる声…――女性のようだ。ひたすら平坦に、言葉のイントネーション以外に抑揚などはなく、一切の感情は伝わらない。
だが一方、そこには、段々と口元を緩め笑い出す彼がいた。
#06 カルチベーション
- 47 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:30:24.02 ID:KvOOzdyR0
- その日は一日中曇りだった。
僕らがその後、ベリャシから向かったのはザクィと呼ばれる場所だ。
一向に骨のままのツンによれば、ザクィは警察沙汰の多い街らしい。……良からぬ事に巻き込まれなければいいのだが……
( ^ω^)「凄い入り組んでるお」
ξ゚听)ξ まぁ、こうなったのにも理由があるようね
何処かの国のアリスに出てくる薔薇迷路、あんな感じに近い、ただ蔦の絡んだ高い石の壁が周りに広がっている。見上げれば、何処の国境かと思うくらい。
これを見て安心した点は、直射日光など届くハズはなさそうだという事だ。……一々太陽にビクビクして歩かなきゃならないなんて事、まっぴらですから。
逆に不安なのは、いつ何処から何が襲って来るかもわからない。
ξ゚听)ξ 私の加工、頼むわよ。まずは、そっちを優先して貰うんだから
(;^ω^)「……何処に行けばいいのかお」
とんだラビリンスに迷い込んでしまった。むやみやたらに歩こうとすると帰れなくなりそうだ。
とりあえず進んでみる。
――――――――――――――――――――
- 48 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:34:18.58 ID:KvOOzdyR0
- (`・ω・´)「あ、すみません、迷子ですか?」
Σ(;^ω^)ビクッ
道はなんとなく、ツンに聞けば風の流れとかわかるだろうし、戻れるかなと思っていたが、人っこ一人いない。
そうして不安になって、しばらく人跡を探しキョロキョロしていると、人の気配に気づかなかった。
背後からの声にびっくりして降りかえれば、なんだ、ちょっとオシャレな紺のシャツに身を包んだ小柄な男
……こいつ、いつの間に背後を……出来る!……じゃなくて、田舎者みたいに思われたのかな、心外だ。
(;^ω^)「……みたいなものですお、なにせ初めて来たもので……」
それを認めたくなくて、なんとかごまかそうとした結果がこれだった。
今思えば、一応都会に住んでたんだよな、僕は。
それでも田舎臭いのは、僕のせいではないよ。
(`・ω・´)「……その骨は?」
ξ゚听)ξ 私よ、悪かったわね
(;^ω^)「……この骨の人の遺言で、死んだら綺麗なアクセサリーか何かにしろと言われまして……」
ξ゚听)ξ まだ生きてるわよ
(;^ω^)。oO(でも間違いなく死んでるお
ξ゚听)ξ あ゙ぁ゙ん?
(`・ω・´)「把握した」
- 49 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:34:44.58 ID:KvOOzdyR0
- 男はそう言うと、人が二人通れるか否かくらいの幅の迷路を、奥へ歩き出した。右も左もわからない、むしろ、右か左かわからない状況だ、どうせだから、「こちらへ」と手招きをする真剣そうな眉毛のポーカーフェイスについていくことにした。
途中、沈黙が続くと思っていたが、彼は意外によく話しかけてきた。
(`・ω・´)「そういえば名前を聞いていませんでしたね」
( ^ω^)「ブーンだお」
(`・ω・´)「シャキンです、よろしく」
シャキンは話が続かなくなると、また新しい話を始める。
(`・ω・´)「出身は?」
( ^ω^)「ヌソックだお」
(`・ω・´)「私もです、奇遇ですね……ここまで来るのに怪物に襲われませんでした?」
( ^ω^)「一匹返り討ちにしたお」
(`・ω・´)「……み、見掛けによらず、強いんですね」
( ^ω^)「それほどでもないお」
- 50 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:35:18.43 ID:KvOOzdyR0
- ……淋しいのか?
シャキンは、どんな言葉で切り返しても対応出来るようで、ある程度の知識もあるようだ。
知識もあってお喋りだという事は、僕にとってはとてもありがたい。情報はいくらあってもいらなくなることはない。
( ^ω^)「ヌソックでは、大人達はゾンビについて全く教えてくれなかった、何故だお?」
(`・ω・´)「最近は街から出してもくれなくなったでしょう……ムスロが危ないから」
そこでシャキンは立ち止まった。そこに見えたのは、ネオンで飾られたブリキの看板―――
(`・ω・´)「僕の店……といっても、元々は兄のでしたが」
ξ゚听)ξ バーボン……ハウスねぇ……
(`・ω・´)「ようこそ、バーボンハウスへ」
彼はそう行って客を招き入れる。
罠であろうとか、そんな事を全く気にしてないのはどうかと思ったが、ツンが何も騒がないので、とりあえず入るだけ入ってみることにした。
――――――――――――――――――――
- 51 名前:フェンリル ◆Fenrir/gaQ :2007/02/19(月) 12:36:46.97 ID:y54Oub050
- /⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃
| / ブーン
( ヽノ
ノ>ノ
三 レ
- 52 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:37:26.65 ID:KvOOzdyR0
- ( ^ω^)「中々洒落た店だお」
中に入る。元々が地味な店だった名残もあり、カウンターは引っ掻き傷のような涙の跡のようなもののついた木製の古いもので、またそれもレトロな感じを醸し出している。
(`・ω・´)「このテキーラは……って、未成年だよね? ミルクでいい?」
( ^ω^)「そんな事より、さっきの話」
忘れたとはいわせない。
(`・ω・´)「ここまで来た君になら話してもいいか……」
シャキンは器にミルクを注ぎながら、こう話した。
(`・ω・´)「王立研究所が原因なんだ」
ξ゚听)ξ あ、あれね…
(`・ω・´)「政府にお咎め喰らっても反省なし…それでも、むやみやたらに潰せない」
( ^ω^)「なんでだお?」
(`・ω・´)「研究所だからだよ。仕事だけは人一倍、いや十倍は熟すからな……」
それが、いったいどうしたんだと言うのだろう。
- 53 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:39:40.09 ID:KvOOzdyR0
- (`・ω・´)「だけどやってる事は非道だ……どれだけ死者が出てると思ってんだ」
怒りにまかせ、器を僕の前に叩きつけ叫んだ。表面張力のなくなった部分のミルクは、微妙に零れシミを作る。
(`・ω・´)「でも研究がなくなると、病を治す薬も作れなくなるからな……仕方ないかもしれない」
切ない声。相変わらず無表情だが、喜怒哀楽が激しいのが言動でわかる。
( ^ω^)「それは酷い」
研究所が、一般的にあたり知られてない理由がわかった。むしろ、内輪からはそういった情報を知らせてないみたいだ。
つまり、街の大人達は隠していたのではなく、知らないだけなのではないか。
(`・ω・´)「本当だよね……あ、ミルクはサービスにしといてあげる」
全く、ありがたい。やはり、優しい人にあうと、心が豊かになるよね。
話しているうちに段々と打ち解けてきた僕は、彼に次々質問を浴びせる。
( ^ω^)「あ、なんでシャキンさんは色々知ってるお?」
(`・ω・´)「この店の元の店長……つまり、兄が研究所の内部の人だからです」
- 54 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:40:04.31 ID:KvOOzdyR0
- 成る程。内輪の人の身内だから知ってるワケなのか。
僕は渇いた喉にミルクを流し込み、わなわなと震えているシャキンに質問を続けた。
( ^ω^)「…ゾンビについては、何か知っていますかお?」
(`・ω・´)「兄から聞いたのは、意思を持たない、疲れない、直射日光に弱い、身体能力が高い、くらいです」
( ^ω^)「そうかお…」
この件については、あまり役に立たなさそうだ。そう思った矢先、シャキンはこう漏らした。
(`・ω・´)「いや、意思がない、は違ったか……」
(;^ω^)「いいいいい今なんて言ったお!?」
(;`・ω・´)「……い、いや、意思がないってのは違ったな、と……」
これはどういう事だ。ゾンビというのは通常、ウィルス感染により生まれる物、肉体の死語、脳を洗脳し、死体を操る物ではないのだろうか。いや、そのような事を聞いた。
では、僕のようなケースが、他にも存在するのか。
( ^ω^)「とりあえずkwsk」
(`・ω・´)「兄に聞いたことはあるが、イマイチはっきりしない言い方だったんだ」
- 55 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 12:40:25.47 ID:057kWyjx0
- ほ〜ら☆
えっちなものだよぉ〜
(携帯可)
http://gareki.ddo.jp/ki/ki/ki_9111.xxx
- 56 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:40:40.83 ID:KvOOzdyR0
- ξ゚听)ξ でも情報は少なからず必要よね……
( ^ω^)「kwsk」
(`・ω・´)「……確か、研究所では人工でゾンビを作り出したらしいんだ……」
ξ;゚听)ξ な、なんだっt
(`・ω・´)「……僕はそんなの赦さない」
シャキンはそれだけ言うと黙り込んだ。それっきり数分沈黙が流れた。これは、お喋りにとっては、かなりの長い時間になる。
いつの間にか外は夕闇が迫る頃だった。結局、愚痴に愚痴を重ねただけだった気がするが、シャキンにはまだまだ知りたい事を聞けそうな気がする。
( ^ω^)「この際、全て腹を割って話すお」
(`・ω・´)「……そうだね」
そうだ、ここに来た時から不思議に思った事があったんだ。
僕は、それをそのまんまシャキンに話した。
するとシャキンは、表情は相変わらず、腕を組んで、片手で顎を支える形で唸った。
- 57 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 12:44:45.08 ID:/2wWMMoa0
- wktk
- 58 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:46:50.57 ID:KvOOzdyR0
- (`・ω・´)「この街の迷路はね……まぁ、警察避けかな」
正直、これだけでは意味がわからない。
(`・ω・´)「殺人が多発した件で、警察がここらを嗅ぎ回ってる……何故か昔からここいらはよくそういう被害にあってね、それで怪しいとか」
( ^ω^)「それはねぇよwwwww」
(`・ω・´)「あるんだよ! あんな頭の固い連中に捕まってみろよ! 帰れないぞ! ……だからココ、罪人に都合よく出来た街、などよく言われるけどね」
ここは中々手厳しい世界だなぁ。
結局は、犯人が名乗りを揚げるまで捕まえた奴を折檻でもして、死んだらかそいつが犯人です、って事ですか?……
ますますこれは酷い、警察は何をやってるのでしょうか。
国も何もかも、これは\(^o^)/オワタ
何がって、さっきから聞いていれば、研究所だとか警察だとか、人の命より仕事優先だと言う、それを国で止められないんじゃ、本当おしまいですよ。
- 59 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:47:05.89 ID:KvOOzdyR0
- (;`・ω・´)「そういえば怪物さん一匹返り討ちにしたと言ってたね? ど、どうやったんだい?」
一転、彼は前のめりになりながらカウンター越しに僕の顔を覗き込む。
( ^ω^)「どうって…身体が軽くなってバチコーン……みたいな?」
ξ゚听)ξ わかりにくい……
(;`・ω・´)「身体が軽くなる?」
まじまじと聞いてくるシャキン。
・・・顔近づけすぎですって。
( ^ω^)「あぁ、僕はゾ……」
仕方がなしに、僕が口を開きかけた途端、ここでまた彼女ですよ。
ξ゚听)ξ STOPSTOPSTOPSTOP!!!!
STOPをかけるツン。彼女がこうも脳を媒介して叫ぶもんだから、僕はまた思わずビクッとしてしまった。
- 60 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 12:49:38.78 ID:+97eV3VcO
- 支援
- 61 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:50:39.53 ID:KvOOzdyR0
- (;^ω^)「な、なんなんだお!?」
(`・ω・´)「なに? え?」
(;^ω^)「あ、いや…ン゙ン゙ッ」
勿論、この骨と会話してる事がバレたら、また顔を近づけてくるかもわからない。
それはゴメンなので、この場は咳ばらいをしてごまかす。
…で、今度はなんなのでしょうか。
ξ゚听)ξ そうポンポンと自分がゾンビだとばらさないでよね
( ^ω^)。oO(なんでだお? 向こうはぽんぽん招待とかばらしてんだお?
ξ゚听)ξ シャキンは相当ゾンビを憎んでいるように見受けられるわ……たとえブーンであろうとバチコーンされるかもよ?
可能性としてはあるにはある。だが僕は、シャキンが敵だとか、そのような類とは思っていない。
彼に対してちょっとした親近感なら湧いていたが、ツンが言うには、実際信頼出来るかは別問題。
つまり、そういうこと。
( ^ω^)「えっと…内緒だお」
- 62 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:53:07.11 ID:KvOOzdyR0
- (`・ω・´)「ドーピングかい? それとも君はアンドロイドか何か?」
(;^ω^)「一応人間、水しか飲んでないお」
(`・ω・´)「……そ、そうかい?」
その様子にツンは、多分身体が全部あったら『よしよし』と頷いていただろう。
……しかし、彼なら話してよかった気もしたが、どうしても駄目なんですかね。
( ^ω^)「あ、そうだ」
(`・ω・´)「ん?」
( ^ω^)「僕は喉がすぐ渇いてしまうから、水筒に水を入れさせてくださいお」
そういえば、彼が述べた話には『喉が渇く』ような項が全くなかった。これなら大丈夫、僕がゾンビだとはばれやない。
(`・ω・´)「……いいよ、水道はこの奥だ」
シャキンはそう言うと、カウンターの奥を指す。綺麗に磨かれた金属光沢の輝きが、確かに見える。
( ^ω^)「サンキューだお」
とりあえず席を立つ。そして、流しまで行き、水筒を蛇口に近付ける。
- 63 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:55:11.92 ID:KvOOzdyR0
- ξ゚听)ξ ブーン、あと1分以内にこの店を出て……
( ^ω^)「え?」
ξ゚听)ξ そして逃げて!
蛇口を締めた時、ツンの声がきんきんと頭に響く。また唐突に何を言い出すのか。
……いや、しかし、ツンが言う事は素直に聞いておいたほうがいいかもしれない。
(;^ω^)「シャキンさん、お邪魔しました」
(`・ω・´)「あれ? 遺骨の加工業者はいいの?」
(;^ω^)「またの機会に!」
僕は頭を抑えつつ全力で扉を蹴り、ツンを片手に来た道とは逆に走る。光るネオンサインを背に、身体が暗闇に呑まれてゆく。だが、足はひたすら地面を点々と捕らえ続ける。
今は見えなくても、次第に目は慣れるだろう、曲がり角に何度もぶつかりながら、僕は夢中で走った。
(`・ω・´)「……兄さん? うん、意思のあるゾンビ、いたよ」
- 64 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 12:56:58.95 ID:KvOOzdyR0
- バーボンハウス入口、そこには携帯片手にその姿を見送る彼がいた。その電話口では、元店主が何か話している。
(`・ω・´)「ここは彼らのテリトリーだ……素直にここにいればいいものを……それに、鬼ごっこなら得意だ……」
携帯を折りたたみ呟く、ポーカーフェイスだった彼から笑みが漏れた。睨みつけたこの街の闇は、自分に道を譲る、そうとでも言いたそうな彼の目は、確かに僕の行路を睨み続けていた。
ようやく月明かりで道がうっすら見えるようになってきた頃、辺りからは不穏な空気が漂いだす。
- 65 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 13:03:32.42 ID:KvOOzdyR0
- ξ゚听)ξ ブーン、右よ!
(;^ω^)「おっ」
突き当たりにぶつかり、その度ツンが指令を出す。波動がわかるという、風の波形を感じるくらい朝飯前なのだ。
……きっと。
ξ゚听)ξ 気をつけて、上に何かいる!
僕が活動出来るって事は、奴らも活動出来る状態に置かれているという事だ。
そう、ゾンビの襲来。
壁伝い、獲物を待ち伏せていたであろう、鉤爪のように曲がった指をブロックとブロックの間に食い込ませている。
そして重力に身体を委ねた奴らは、上から僕に覆いかぶさる。
襲いくるゾンビを薙ぎ払い、奴らの頭をピンポイントで潰してゆく。すると、簡単に機能は停止する。
重力に従い落下する以外は鈍い動きの奴らだ、これ以上ないくらい簡単に処理出来た。
ξ゚听)ξ 次はそのまま真っ直ぐだけど、何かいるわ!
( ^ω^)「……突っ切るお!」
ツンの言う通り、真っ直ぐ道を行く。すると、ランタンか何かの光がぼんやり見えてきた。
僕はそれが何か確認する前に、今まで通り殴りかかる。早く、早く迷路を脱出せねば、そう焦っていたからこそ、僕に迷う暇はなかったのかもしれない。
しかし、ゾンビだろうと思って殴ったそれは、
- 66 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 13:03:53.24 ID:KvOOzdyR0
- ξ゚听)ξ 待っ……
……完全なるミス。
生きた人間であった。
拳があたった瞬間、ハッキリ生きた温もりを感じた。
(;^ω^)「やっちまったお……すいません」
しかし、気付く頃には、とうに頭は潰れた状態だった。ランタンに照らされた、そのもげた首から吹き出した血は、いっこうに止まる様子を見せない。
手には生暖かい、まだ新鮮な血がこびりついていた。
刹那、フラッシュバック―――ゾンビに襲われた過去が、僕の中に流れ込む。目の前が赤黒くなって―――
痛イ……痛イ………痛イ…………
ハッとして、倒れた人間の開いた瞳孔を見た途端、僕の中にはまた別の感情が入ってくる。これは、フラッシュバックのそれとは違い、僕自身ではなかった。
血ダ……血ヲ………血ヲヨコセ…………私ニ血ヲヨコセ……………
(;゚ω゚)「うわあ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙」
- 67 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 13:10:14.19 ID:KvOOzdyR0
- 黙れよ――――お前は誰なんだ――――
(;゚ω゚)「ブーンは、ブーンだお!」
お前はもう死んでいるんだ――――ブーンは死んだ――――
(;゚ω゚)「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい」
ξ;゚听)ξ ブーン!?
僕はどうしてしまった?
中では何か別の感情が僕を追い出そうとしている。そいつは、僕の足場が崩壊をしてゆく中、こちらを見て冷笑を浮かべている。
――――まさか、これが本来のゾンビって奴なのか?
( ゚ω゚)「……そうだ」
あぁ、参った、完全に乗っとられてしまったようだ。
……僕は走り続けた。そして、喉の渇きに気をつかわなかった。それがいけなかったのか。
どうであれ、自分を自分で眺める感覚、これは気持ちいい物ではない。
( ゚ω゚)「……素晴らしい、思い通りに身体が動くではないか」
そいつは僕の―――己の血のこびりついた掌を覗き込み、そう呟いた。
僕は困惑し、何度も声を出そうとしたが、それとは違う声ばかりが紡がれる。
- 68 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 13:12:31.27 ID:KvOOzdyR0
- ( ゚ω゚)「私はブーン……内藤ホライゾン、だったか?」
―――違う!お前なんか知らない!
( ゚ω゚)「知らない? そんなワケないじゃないか」
―――お前は僕じゃない!
( ゚ω゚)「お前は私だ……これから変わってゆくんだ……だが、まだ血が足りない……」
―――だけど、お前は僕じゃない!
( ゚ω゚)「では、別の名前に変えてやろう―――外藤ブレイゾンなんかどうだい?」
ξ゚听)ξ ……ブーン?
突然変わったストリームin僕、ツンは恐る恐るその僕の身体に話しかける。
- 69 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 13:13:51.81 ID:KvOOzdyR0
- ( ゚ω゚)「ツンといったか」
いつもと違う顔の僕に、ツンは慎重になる。知らない相手に下手な真似がタブーなのは、だいたいどんな時も暗黙のルール。
( ゚ω゚)「……お前は今まで役に立った、だから感謝している」
―――まさか……お前……
( ゚ω゚)「……だが、これからお前は必要ではない」
鈍い打撃音。そいつはツンの頭を壁に叩きつける。ただひたすらに、打ち付けられる音とツンの悲痛な叫びだけが聞こえてくる。
ξ;;)ξ ブーン!?やめて!
( ゚ω゚)「はやく天国行ったほうが楽だぞ? さあ、さっさと砕けてしまえ……」
ξ;;)ξ ああああぁぁぁぁ………
そいつはコンクリートの壁に穴を開けて見せ、そこへ皹割れたツンを固定する。
……壁に穴とか……ジンか、こいつは。
妖しい笑みを浮かべ、その拳を振り上げた。
……まさにその時だった。
- 70 名前: ◆B.D.T.Zvzc :2007/02/19(月) 13:14:10.53 ID:KvOOzdyR0
- (`・ω・´)「せいっ!」
(;^ω^)「へぷぉぉぉぉっ!?」
―――あれ?戻った?
闇から湧いて出たように、足音一つもたてず忍び寄ったシャキンが、僕の脇腹へ跳び蹴りを入れた瞬間だった。今までいたはずの顔は消え、僕は再び僕の視界を手に入れた。
そのキックは脇腹へモロにヒットし、僕はあまりの痛みにもんどりうって倒れる。
(`・ω・´)「さぁ、捕まえたぞ!」
(;^ω^)「……お……あ……」
助かったんだろうか。いや、一難去ってまた一難、ぶっちゃけありえない。
ゾンビの身体はめちゃめちゃタフだし大丈夫かと思ったが、どっと疲れてしまった気がした。
上手く動かないや。
(`・ω・´)「……店に戻ってもらおうか」
すぐさまシャキンは水筒の蓋を開け、僕の口に水を流し込んだ。喉が潤い、段々と感覚がハッキリしてきても、身体が軋んで全く動けない。
そのままシャキンは、ツンを抱えて動かなくなった僕の身体を引きずり、また店までの道を歩き出す。
冷たく、強い風が迷路を駆け抜ける。ランタンはとうに消え、辺りはまた暗闇に支配された。
- 71 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 13:14:32.75 ID:KvOOzdyR0
- 帰
- 72 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 14:37:40.70 ID:BEBznpNyO
- ほし
- 73 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 14:41:01.98 ID:BkeJJivdO
- 厨臭いな
だがそれがいいwktk
- 74 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 15:52:18.41 ID:+97eV3VcO
- ほ
- 75 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/19(月) 17:11:36.79 ID:MEGnszxqO
- ほ
全部
最新50