( ,,゚Д゚)と(*゚ー゚)が逃避行をするようです
- 1 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:12:27
- 小説を投下します。
使われているネタについては2ちゃんねるのガイドライン板等を見てください。
投下の前に諸注意。
・もちろんですが、この物語はフィクションです。実際の団体・個人名とは一切関係ありません。
・この物語では語り手の人称や時制などは統一されておりません。
物語に浸かって読んでもらえると、疑問に思わずに読めるかと思います。
・この物語は展開が速めです。ネタも連続で出ることがあります。じっくり読んでいただけると幸いです。
・できれば、終わった後、もう一度読んで伏線などを味わっていただけるともっといいです。
・挟まれている『お目汚し』は悪意で書いたものです。反省する気はありません。
・文法にあわない言葉が平気で使われていますが、これは実際の会話に合わせているためです。
私は、ブーン系小説はこれが初めてです。
まだまだ荒削りな部分が多いですが、よろしくお願いします。
さて、一気に投下するという暴挙に出ようか。
- 2 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:13:08
プロローグ
「……ちょ、ちょっと待ってよ!」「何?」
「一体どこに行くの?」「……決めたんだ……」
「何を?」「……それよりも今は奴らを撒かなきゃな……」
男と女、二人の人間が走っていた。
後方には黒い車。
(*゚o゚)「……でも、なんで今教えてくれないの?」
( ,,゚д゚)「……ちょっとな…………」
( ,,゚Д゚)と(*゚ー゚)が逃避行をするようです
- 3 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:14:07
第一話 『逃避行の始まり』
話は二日前の夕方に遡る。
( ´_ゝ`)┏━「…………とりあえず……ついて来てもらおうか」
( ;゚Д゚)「な、……何だ……?」
(……俺が何したって言うんだ???)
男はいきなり銃を突きつけられた。
( ;゚Д゚)(……誰もいない路地裏なんて通るんじゃなかった…………)
ところで俺、何かしたか?
男は後悔してもしきれないぐらい後悔した。
━┓(´<_` )「…………まあ、大人しくついて来てくれればそれでいい……」
(;゚ー゚)「…………」
(……これは…………どういう……?)
女も同じく、男とはまったく関係のない場所で同じ目にあった。
- 4 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:15:00
そして二人は強制的に移動させられ、
何の変哲もない──いや、ひとくせもふたくせもくぁwせdrftgyふじこlp──な廃墟に連れてこられた。
( ´_ゝ`)「入れ」
簡単な造りの、即席牢屋に男は閉じ込められた。
(´<_` )「入れ」
女は後からやってきた。
( ;゚Д゚)「………ど、どうも。」
(;゚ー゚)「……どうも……」
ところで………………
……何かしたのかな?
二人の頭の中はまだくぁwせdrfgtひゅじこlpだった。
- 5 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:15:50
牢屋の外では、二人を捕まえた、二人のよく顔の似た人間が喋っている。
( ´_ゝ`)「OK、手柄ゲットだな」
(´<_` )「流石だよな、俺ら」
( ;゚Д゚)「………………」
銃を突きつければ誰にでもできるだろ、あんな仕事。
男は心の中で悪態をついていた。
(;゚ー゚)「……………………あの……」
( ;゚Д゚)「えっ?! あ、すみません……」
男はやっと我に帰った。
(;゚ー゚)「…………とりあえず……私はしぃです……よろしくお願いします……」
とりあえず何も会話が無いのもおかしい。というわけで自己紹介をしたようだ。
( ,,゚Д゚)「え? あ、はい、そうなんですか…………あっ失礼!……俺も名乗りますね……ギコと申します……」
簡単な自己紹介は、確実に二人の心を緊張から開放した。
( ´_ゝ`)「俺は兄者だ、よろしくな」
(´<_` )「俺は弟者だ、よろしくな」
……# てめーらの自己紹介なんざ聞きたくねえ #……
ギコとしぃは心の底からそう思った。(顔が思ったよりも恐いのでAAで表現できません。)
- 6 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:16:50
二人は喋った。不安を無くすため、飽きないため、ここが牢屋であることを忘れるため。
兄者と弟者の暢気な監視員の出す割り込みは完全スルーで。
今思えば、彼らの逃避行はこの時点から始まっていたのかもしれない。
逃げるのが巧いな。この二人。
二人の会話によると、
ギコもしぃも現在22歳で、大学は卒業したが良い職に出会えず、一人暮らしで、未だに就職活動中である。
と、共通点が多いようだ。
そして兄者と弟者は……
そんなスペックはどうでも良い? あ、はい、分かりました……
( ,,゚Д゚)「……ところで…………あの、……よかったら丁寧語は無しにしませんか?」
(*゚ー゚)「どうしてですか?」
( ,,゚Д゚)「……いや、これからも会話する機会はあるだろうし、
あんまり堅苦しいのもどうかなあって思いまして……」
(*゚ー゚)「……わかりました。そちらも丁寧語は無しでお願いしますね。」
( ;゚Д゚)「……わかり、いや……分かった。」
(;゚ー゚)「よろしくね」
二人とも硬派なため、こういう異性との会話には慣れていない。
それにしても、この会話、かわいいものである。
( ´_ゝ`)「俺らにも丁寧語は無しでOKだ」
(´<_` )「流石は兄者、心が広い。俺も丁寧語は無しでOKだ」
…………## おめーらに丁寧語を使うつもりは無かったよ ##…………
ギコとしぃは心のそ(ry
- 7 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:18:08
- 一応スペックまとめ
ギコ・しぃ 年齢22歳
大学卒業
就職できなかった
一人暮らし
硬派で、今まで誰とも付き合ったことは無い
兄者・弟者 ただのアホの双子
詳細設定はこの程度ですわな。
- 8 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:19:14
五分後
( ´_ゝ`)d「はい? 準備ができた? 分かりました」
(´<_` )「さあ、出るんだ」
はいはい、そうですか。
ギコもしぃも、今は会話のほうが重要だった。
しかし、よく考えてみると、二人が会話を重視するほど
自分の置かれている状況を忘れることができたのはこの兄弟のおかげかも知れない。
牢屋を出、二人が向かった先には、
黒い服の軍団があった。中に白い服の人間も一人だけいた
二人が真ん中に連れて来られると、黒服はその退路を防ぐようにその周りを広く囲んだ。
軍団の中から、一人、いかにもボスな男が出てきた。
( ・∀・)つ□「手荒なまねをしてすまなかったね。私は見ての通り、あまり良い人間じゃない。
君らのような一般人にはなんら関係の無い、悪の秘密結社の社長だよ。
あ、これ名刺ね」
3行でOKなんて誰も言っていないぞ。
- 9 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:20:33
二人は素直に名刺を受け取った。名前は「モララー」というらしい。
(*゚ー゚)( ,,゚Д゚)「…………一体何なんですか?…………」
( ・∀・)「いやー、君たちを連れてきたのは他でもない。うちの息子が現代の医学では治せない病気なんだ。
それで君らには協力してもらいたいってわけなんだ。」
2、2行…………
( ,,゚Д゚)「……医療技術なんてものはありませんよ」
(*゚ー゚)「私もです」
( ・∀・)「説明が足りなかったね、君たちは『パープルブラッド』だ」
どうみてもまだまだ説明不足です。モララーさん、本当にありがとうございました。
ここからは私が話を進めます。
モララーは二人にその詳細を話した。
パープルブラッド、それは遺伝子の突然変異により、血に特殊な力を持った者のこと。
その血が少し紫がかっていることからそう呼ばれる。
特殊な力というのは、「その血を輸血すると、輸血された者の病気が完治する」というものだ。
パープルブラッド本人達は免疫力、有害なものに対しての解毒力が非常に強く、
生涯どんな病気にもかからなし、テトロドトキシンであろうともボツリヌストキシンであろうともダメージは無い。
モララーはその血を息子に輸血してほしいというのだ。
- 10 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:21:30
この段階では二人はまだそのことを疑っていた。
確かに、今まで風邪を引いたことは一切無い。今までに出た血も紫色っぽかったような気もする。
そして、二人は次の話を聞いて信ぜざるを終えなくなった。
この、憎むべき『病気』を。
( ・∀・)「まあ、君たちが知らないのも無理は無いね、内藤博士の新発見らしいから」
( ^ω^)「おっおっおっおっおっ」
白い服の男だ。
( -∀-)「まあ、それはどうでもいいとして、君ら……痛覚が鋭いだろ?」
( ;゚Д゚)「……なんでそんなこと……確かに痛がりすぎだとはよく言われるけど……」
(;゚ー゚)「……私も」
( -∀-)「それもパープルブラッドの特徴なんだよ……
( ・∀・) これで信じる気になったかい?」
( ;゚Д゚)「………………じゃあ、注射はどうなるんですか……」
( ・∀・)「え? ああ、それは皮膚の上から塗るタイポの麻酔があるから大丈夫だよ」
( ^ω^)「ぬる……たい……ぽ……ぬるぽ発見! ガッ!」
モララーは内藤に思いっきり頭を殴られた。
( T∀T)「……いてぇ……タイピングミスぐらいで殴るなよ……」
- 11 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:22:10
( ・∀・)「さて、閑話休題。ついて来てくれるかな」
(#゚ー゚)「ギコ君……ひそひそ……」
( #゚Д゚)「……ああ、分かってる……」
( ・∀・)「どうしたんだい?」
二人は頭が良い。モララーの嘘はすぐに見破れた。
(#゚ー゚)「麻酔なんか意味無いんでしょ? 麻酔は『毒』ですもんね」
( #゚Д゚)「すぐに解毒されて全く意味はなさない…………ところで、本当に息子さんは病気なんですか?……」
二人は完全にモララーのことを疑っていた。
嘘を吐かれたら当り前の反応かもしれない。それに周りには大量の銃だ。
( -∀-)
( ∀ )「……あったま良いねー。(←痔のry)その通りだ、でも、僕の息子は本当に病気さ
君達には少しぐらいは失神してもらわなければならないかも知れないな
だけど拒否権が無いのは分かっているね? 何で二人も必要なのとも思ったろ?
逃げられないようにするためさ、片方が逃げたらもう片方がどうなるか……恐いもんね」
堰を切ったように喋るとはまさにこのことだ。4行じゃ長す(ry
( ,,゚Д゚)「んなもん銃を突きつけられていたら一緒でしょうが」
( ・∀・)「……一人だけじゃ逃げられる可能性もあるのさ……全てこちらの事情だ
いいから早く来たまえ、説明はもう終わりだ。」
( ,,゚Д゚)(*゚ー゚)「………………」
二人は急な展開にスレを読み返した。
- 12 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:22:55
( -∀-)「……はあ……物分かり悪いなあ……」
モララーは銃を取り出してこう言った。
( -∀・)┏━「血液の細胞だけ生きていれば他は関係ないらしいんだけど? そうでしょ? 内藤博士」
(;^ω^)「ちょ、ちょっと……!」
川;゚ -゚)「それは賢明な判断とは思えませんが……」
モララーの側にいた博士と女幹部らしき人物が慌て始めた。しかし
(#・∀・)┏━「そのくらい分かっているよ、クー。」
すぐさま、その場はモララーの独擅場になった
(#・∀・)┏━「私だってね、こんな手荒なまねをするつもりは無いんだよ。
私達は確かに非合法な世界に生きているがね、ただの商売人なんだよ。
人のことを殺したり、捕まえたりするのが仕事じゃな────ん?」
しぃが空を指差した。
次の瞬間にはギコの体は宙を舞っていた。
間抜けな軍団が二人に気づいた時には、もう黒い輪の外だった。
ちゅーん
────・
────────・
三三( ;゚Д゚)つ⊂(#゚ー゚)「うわあああああああああぁぁぁぁぁぁ!!1!!」
──────・
ぱーん
(#^ω^)「馬鹿野郎お! 足を狙えお! 殺すなお!」
しかし、射撃訓練のされていない人間が、既に百メートルは離れた相手に
鉛の弾を当てられるはずも無く、内藤の願いどうり(←なぜか変換できry)にもならなかった。
こうして、二人の逃避行は始まった。
- 13 名前:お目汚し ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:24:02
AA練習
モララーの名刺型しおり
┌───────────────────────────────────┐
│ │
│ ┌───────┐ │
│ │::::::::::::::│ 悪の秘密結社 │
│ │::::∧__∧:::::│ 泣c宴堰[帝国 │
│ │:::.( ・∀・)::::.│ │
│ │::::::::::::::│ . │
│ │::::::::::::::│ 代表取締役 │
│ │::::::::::::::│ ■■ モララー │
│ └───────┘ │
│ │
│ │
│ ここまで読んだ │
│ │
└───────────────────────────────────┘
初心者なのでこんなもんしか作れませんでした。
しっかりした上半身を入れた豪華仕様にしようかと思いましたが無理でした。
設定とかまったく適当です。本編に関係ない情報ですから。
- 14 名前: ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:25:09
- ズレまくってる……。
- 15 名前: ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:26:22
- パープルブラッドのスペック
遺伝子の突然変異による
その血は、他人の病気を完治させる
本人達は一切の病気にかからない
痛覚が非常に鋭い
- 16 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:27:16
第二話 『これからどうするか』
十分後、夕焼けに照らされた廃墟
( -∀-)「……逃げられてしまったな……こういう事態を防ぐために二人用意したのに……」
川 ゚ -゚)「ボス……気を落とさないでください」
(#・∀・)「落とすに決まっているだろ!!」
川;゚ -゚)「す、すみません……」
(;・∀・)「…………すまない。私らしくなかったな……」
おかしい……息子が病気になってから……
私の心は隙だらけだ……
あの女のフェイントにも簡単に引っ掛かった……
( -∀-)「……内藤博士?」
( ^ω^)「何ですかお?」
( -∀-)「なんかいい方法はないか?」
( ^ω^)「んんんんん。今のところは思いつきませんお。ただ、奴らは逃げ足だけは速いから
団員には変装をさせるべきですお。スーツは禁物ですお」
- 17 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:28:02
( ・∀・)「その……なんで逃げ足だけは速くなるんだ?」
( ^ω^)「それはまだ分かっていませんお。研究材料は今までに一体しかありませんでしたからお」
最後の『お』は要らねえんじゃねえのか?
( -∀-)「……今は何故か君のその口癖が気になるねぇ」
( ^ω^)「これは父親の遺伝ですお。全然治らないし、直そうともしませんでしたお」
( -∀-)(…………父親か……)
( ^ω^)「ところでお……ボスの息子さんが治ったらあの二人を研究材料にくれるのは本当ですかお?」
( ・∀・)「……ああ、本当だ。……ただし、あまり手荒なまねはしないでほしい……」
( ^ω^)「何でですかお? 命の恩人になるからですかお?」
川 ゚ -゚)「ボス、そういう甘いことを言っているからいつもあまりうまく行かないんですよ?」
甘い。
( ・∀・)「クー、とにかくここを中心に波紋を広げるように捜索隊を動かしてくれ、
何をして探し出してもいいが……家族を使っての脅迫とかはするなよ」
甘すぎる。
川 ゚ -゚)「……何故ですか?……すぐに見つかるでしょう?」
( ^ω^)「……息子さん、大丈夫なんですかお?」
そうだ。もっと厳しくならねば。
息子のために。
だが、このままでいいんだ。
息子は、……シャキンは助かる。
何故だかわからないが…………。
( ・∀・)「……何故かって? そんなのも分からないようじゃ商売人失格だな。
そんなんじゃ何も得られないぞ。失うだけだ。私は二人を探しに行ってくる。
じゃあ、後は頼むよ」
モララーはそう言って廃墟を飛び出した。
( ・∀・)(………………お前らの目的はお見通しだぞ……クー、内藤!……とんでもない奴だな……)
( -∀-)(まあ、私も強く言えた立場じゃないがな……)
- 18 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:28:42
モララーが出て行った後。
川 ゚ -゚)「……やれやれ……ブーン?」
ブーンは内藤のあだ名だ。由来は不明。
( ^ω^)
(^ω^)
川 ゚ -゚)「wwwちょwww何でこっち見たwwwww」
(゜ω゜) クワッ!
川 ゚ -゚)「恐いから止めろ。もうマッドサイエンティストの振りはいいぞ」
( ^ω^)「おっおっおっおっおっおっおっお」
川 ゚ -゚)(…………真性のマッドじゃないだろうな………………)
( ^ω^)「なんでもいいお。これが終わったら僕達の幸せな生活が待っているお」
川 ゚ ー゚)「そうだな…………じゃあ、そろそろ行くか……」
二人は不敵な笑みを浮かべ、廃墟を後にした。
- 19 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:29:22
三十分後
二人はできる限り逃げた。途中で急に足が遅くなってから歩いていた。
( ,,゚Д゚)「ちょっと待って」
(*゚ー゚)「どうしたの?」
( ,,゚Д゚)「何であんな大ジャンプが?」
(*゚ー゚)「分からないわ、でも昔不思議なことが起きたのよ」
( ,,゚Д゚)「どんな話?」
(*゚ー゚)「私もよく分からなかったんだけど……起こったことをありのまま話すわ
『昔、ぞぬに追いかけられたことがあって、全速力で走ったらぞぬが遠くにいた』
自分でも何言っているのか分からないけど、単に足が速かったとか、ぞぬが遅かったとか、
そんなちゃちなものじゃあ断じてなかったわ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったのよ……」
( ,,゚Д゚)「そうか……窮地に立たされたときの潜在能力みたいなもんなのかな」
(*゚ー゚)「そんなところでしょ」
(,,*゚Д゚)「…………なんか凄いな……」
ギコは少し自分の力を誇らしくも思った。
それが彼をどん底に落とすとも知らず。
( ,,゚Д゚)「……これからどうするの?」
(*゚ー゚)「…………とにかく、あの廃墟から離れるようにしましょ。家に帰っても誰か待ち伏せしているかも」
そして作戦会議が終わったら、牢屋にいたときのように他愛の無い会話をする。
社会問題、環境問題も今は現実を忘れるための切り札だ。
太陽が沈んで2時間
二人の腹時計がうるさく鳴った。
(,,*゚Д゚)「……腹減ったな……」
(//-/)「……そうね……」
- 20 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:30:03
( ,,゚Д゚)「……それにしてもどうしよう……財布持ってきてない……」
(*゚ー゚)「……私も無いの。……必要の無いときは持ち歩かない主義だから……」
( ,,゚Д゚)「……俺もそうなんだ…………どうするべきか……」
(*゚ー゚)「……まあ、今日ぐらいは我慢できるかもね……」
ギコの眼に何かが映り込んだ。
老人だ。寝そべっているアザラシのようなおじさん。
(*゚ー゚)「…………何見てるの?…………まさか、そんなこと考えてないよね?」
ギコは何も答えなかった。
(* - )「………………」
数秒の沈黙が流れる。
( ,, Д )「…………そのまさかだよ。…………安心してくれ、何も今ってわけじゃない。
だが、このまま走り続けてもエネルギー保存の法則に勝てるのかどうかは分からない……
いつかは……この生活をずっと続けるんだったら……
……そういうことも視野に入れないといけないだろ…………? 考えたくないけどさ…………」
重い。空気が重い。
(*゚ー゚)「…………安心して……逃げていればどうにかなるよ……考えれば……なんとかなるよ」
( ,, Д )「………………そうだな……」
- 21 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:30:51
三十分後
二人が出した結論は次の通り
( ´∀`)「いらっしゃいませー」
レジに一直線
(;´∀`)「な、何ですか?」
( ,,゚Д゚)(*゚ー゚)「……賞味期限切れのお弁当ありますか?」
(;´∀`)「えっ? あ、はい、賞味期限切れの弁当ね…………」
( ´ー`)「何の騒ぎだーよ」
( ´∀`)「あっ、店長、賞味期限切れの弁当ってどこにありましたっけ」
( ´ー`)「シラネーヨ」
一瞬でその場が凍りついたことは言うまでもない。
やれやれ、弁当、またレンジに入れてもらわなくちゃ……
あれ? 寒い?
ハハハハハハッ! 見ろ! まるで視線が氷のようだ!
- 22 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:31:26
第三話 『無力』
十分後
( ,,゚Д゚)(*゚ー゚)「ハムッ! ハフハフ! ハフッ!!」
( ,,゚Д゚)(*゚ー゚)「wwwwwwうめぇwwwwwwwwwwww」
温めてもらった賞味期限切れの弁当を貪り喰う。
( ,,゚Д゚)「これならいける。食いつなぐのは簡単だ……
それにたとえいくら腐っていたとしても……ハフッ!」
(*゚ー゚)「うわさの解毒力でなんとかなるもんね……でもコンビニが無いところに行くと
最悪の場合とんでもないものを食べることになるわ
あまり都会でも奴らに見つかりやすくなるかもしれないし、注意は必要ね……ハムッ!」
その姿を見つめるのは、
あの兄弟。
( ´_ゝ`)「時に弟者よ」
(´<_` )「何だ兄者」
( ´_ゝ`)「あれ、あの二人じゃないか?」
(´<_` )「……本当だな。流石だな兄者」
( ´_ゝ`)「OK、またもや手柄ゲット」
(#´_ゝ`)(´<_`#)「うりゃあああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ギコとしぃに襲い掛かる。
拳銃を構える。
しかし、あまりにも遠くから奇声を上げて襲ってきたので、二人はすぐに気付いてしまった。
( ,,゚Д゚)「……あいつら……アホだろ……」
(*゚ー゚)「……かわいそうね……」
※兄者と弟者はスペックの都合上、アホの兄弟です。あまりいじめないでね♪
- 23 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:32:18
(*゚ー゚)「とっとと逃げましょ」
( ,,゚Д゚)「…………ちょっと待って!……あいつら……倒せるかもしれないぞ……」
(*゚ー゚)「いくらアホだからって銃を持っているのよ? それは無いでしょう?」
(,,*゚Д゚)「……でも、この力があれば……なんとかなるかも知れないだろ?」
ギコは走り出した。
三( #゚Д゚)「ゴオオオォォォォルルルアアアアアァァァ!!!!!………………あれ?」
(;´_ゝ`)「な、何?!」
(´<_`;)「…………」(……喋る必要ないな……)
巻き舌を最大限に使って出した力みも空しく、スピードが段々落ちていった。
( ;゚Д゚)「や、やべえええええぇぇぇぇ!!!!」
( ´_ゝ`)┏━「ふん、他愛も無い。動くなよ」
( ;゚Д゚)「な、何するダァーー!!!!」
兄者は威嚇射撃をした。
しかし、見るも無惨。威嚇射撃は威嚇にもならず、格好をつけて片手で撃ったため、
反作用でその銃はどこかへ飛んでいってしまった。
(´<_` )「…………流石だな、その失敗の仕方は……」
( ´_ゝ`)「正直すまんかった」
無論、その間にあの二人は逃げ切っていた。
- 24 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:33:03
五分後
(;゚ー゚)「……ここまで逃げれば安心ね……」
( ,, Д )「…………さっきは軽率な行動をとって悪かった……ごめん……」
(*゚ー゚)「気にしないでよ……」
( ,, Д )「…………俺達は……逃げることしかできないのかな……?」
(*゚ー゚)「?」
( ,, Д )「……だって、あの力……攻撃には使えなかっただろ……せめて攻撃ぐらいできれば
逃げ続ける生活とおさらばできたかもしれないのに……」
(*゚−゚)「……」
( ,, Д;)「……よくよく考えてみればおかしな話だ…………追われる運命にあるような血の力……
それをカバーするかのように不自然な潜在能力……逃げるためのな……」
ギコの頬に一筋、川ができる。
( ,, Д;)「…………悪夢だよ…………信じたくないなぁ…………」
(*゚ー゚)(…………なんとか元気づけなくちゃ……)
(*゚ー゚)「……ねえ、さっきの『ゴルァ』ってなんなの?」
とにかく話題を切り替える。現実から逃れるために。
( ,,゚Д)「……そ、それか…………それは親父の口癖が遺伝したんだよ……」
涙を見せないアングルで答えた。
(*゚ー゚)「……そうなの……」
( ,,゚Д)「……そう、親父の遺伝だ……母さんの口癖でもあったかもしれないな……」
親、それは偉大な存在である。
子供の側にやってきて元気付けてくれる。
偉大な存在である。
- 25 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:33:42
その頃、病院では
( ・∀・)「…………シャキン……」
(´・ω・`)「ショボーン…………お父さん?」
( ・∀・)「……起きていたか……今日の具合はどうなんだ?」
(´・ω・`)「……やっぱりショボン病はなかなか進んでいてまだよくならないんだって……」
( ・∀・)「…………安心しろ、大丈夫だ……もうすぐな……もうちょっと待ってくれれば治るから……」
看護士が入ってきた。
ξ゚听)ξ「……モララーさん……もう面会の時間は終わりですよ……」
力なく諭す。こんなときに力強く言える奴はうわなにをすきさまらにしたいと思う。
( -∀-)「……分かりました…………」
( -∀-)(……………………………………)
- 26 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:34:18
夜12時
( ,,゚Д゚)「……もう眠いな…………どこで寝る?」
(*゚ー゚)「…………ただ身に危険を感じたからってだけで逃げてきたんだもんね……」
その通りだ。二人は何も失神したくないから逃げたわけじゃない。だから計画も何も無い。
逃げることには大して意味は無いのだ。
むしろ、逃げても意味はないどころか、それが逆に意味を持つことになる。
二人はそれぐらい分かっていた。
だが、この世界の展開は理不尽すぎるから。
二人の心は荒らしじゃないから。
ネタのような世界の展開にマジレスはついていけないから。
モララーの子供のことはネタだと思い込んでスルーしたかったから。
( ,,゚Д゚)「…………どこか廃ビルの中か路地裏で寝よう……建物が一番いいけど……」
(*゚ー゚)「……そうね……」
三十分後、二人はいいところを見つけた。
疲れも溜まっていた為か、二人はすぐに壁にもたれかかり、座りこんだ。
- 27 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:34:47
(* ー )「…………寒いね……」
( ,, Д )「……そうだな……」
季節は冬である。当り前である。
(* ー )「…………ちょっと側に寄ってもいい?」
( ,, Д )「…………いいよ……」
しぃの肩がギコの肩に触れる。二人とも感覚が麻痺しているんだろうか。
こんな状況、他人が見たら二人は恋人同士だと思うだろう。
そりゃそうだ。作者にもそう見えている。
二人は眠りこけた。
明日、彼らには何が待っているのだろうか。
これからも逃避行生活は続くだろう。
今日は辛かったはずである。
それでも、二人の顔は笑っているように見えた。
- 28 名前:お目汚し ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:35:42
今日の誤入力
誤って大事なファイルを削除しまった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
だからなんだと聞かれれば返す言葉は無い。
- 29 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:37:07
第四話 『道徳放棄の日 前編』
全く目立たない建物の側。
太陽が東から乱暴に二人を照らす。
( ,,-Д゚)「……ん? もう朝か……どうやら奴らにも見つからなかったようだし、…………なあ……
…………?」
朝日に照らされたしぃの顔。
かわいい。とギコは思った。
(,,*゚д゚)「……………………」
昨日の彼女はこんな感じだったっけ……?
変な感覚だ。華奢な体に長ズボン。
おしゃれらしき物は一切していない。服もとびきりセンスが抜群というわけではない。
髪は真っ黒だし、装飾品も一切着けていない。化粧だって見たところやってないように思える。
だからどうだということは無いが、とにかくそういう方面に対して無頓着だといっていい。それだけだ。
もととも顔立ちはいいからあまり関係の無いことだが、
ギコにはそれがよりいっそう美しく映った。
(,,*゚д゚)「……………………」
自然とギコの顔がしぃの顔に近付く。
もっとよく見たいと思ったのだろうか。
はたまた…………? ギコは硬派だからそんなことはしないだろう。
- 30 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:38:07
(* - _ ゚)「……ん? どうしたの?」
突然しぃが起きた。
(*;゚Д゚)「え?! いや、何でもないんだ……」
(//Д/)(………………………………)
( *゚-゚)「…………変なの……」
ギコはそれから十五分は顔が赤熱していた。
そりゃそうだ。
(//-/)(……それにしても……あんなに覗き込むこと無いでしょ…………)
二人の顔の距離は十五センチだった。
('A`)「近づき過ぎだ! こりゃあギコの奴を少し〆にゃあなりませんなあうわなにをするくぁwせdrftgyふ」
観客席のドクオ〆ときました。では続きをどうぞ。
- 31 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:38:54
ギコの顔が冷えてきた。
( ,,゚Д゚)「……さて、逃げますか……」
(*゚ー゚)「そうね。随分心に余裕ができたみたいじゃないの」
空元気に決まっているだろ。
しぃもそれは承知の上か。
でも、実際は本当に元気が出ていたのかもしれない。
二人はまずは朝食をとることにした。
昨日と同じように、他のコンビニでもやる。
( ,,゚Д゚)(*゚ー゚)「………………おいしい……」
昨日ほど腹は減っていなかったので上品な食べ方だ。
ギコについては他のこともそれを強制させていただろう。
うわなにをする目がああ、目がああああぁぁぁぁ!
わざわざそういうのに言及しすぎるのもよくないのでばるすしておきました。
しかしやはり、言及する。
( ,,゚Д゚)「……………………」
ギコはふと、しぃを見てしまい、やはり釘付けになってしまった。
- 32 名前:耽美主義とかを意識していた ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:40:30
それにしても人の食事の風景をまじまじと見るのはなんとも恥ずかしい。見られるのもまたしかり。
しかしまた、その理由というか、変な話にはなるが、私はこんな話を聞いたことがある。
うろ覚えではっきりしないが、この世界では正しいとしてくれ。
『深層心理学上、食べるという行為にはエロチシズムがある場合がある。』
あまり変なふうには考えないでいただきたい。
ただし、たしかにギコの眼にはコンビニ弁当を食べるしぃの姿は美しく、妖艶に映った。
(*゚ー゚)(………ギコ君の眼……なんか変だな…………それに、昨日に増してかっこいいというか……)
(//-/)(………………なんだろう……)
それはしぃもしかりだった。
それに芥川龍之介も言っている。こちらもあまり深く考えないでいただきたいが、
『恋愛とは、ただ性欲の詩的表現を受けたものである』と。
ようするに、二人はお互いを意識し始めているわけだ。
そんなことは見ているだけで分かるし、わざわざ何行も使って説明するようなことではない。
ただ、不思議な感情に深層心理学に言及して説明を付けてみたまでだ。
ちなみに、このことは二人とも知っているので、
もしかしたらお互いの感情に気付いているかもしれない。
作者も二人の深層心理までは解析できないのであしからず。
- 33 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:41:28
食事が終わって
( ,,゚Д゚)「これからどうしよう」
(*゚ー゚)「……まあ、逃げることに変わりは無いわよね」
( ,,゚Д゚)「ただの作戦会議ってわけじゃないんだ。」
ギコが言いたくないことを言う。
( ,,゚Д゚)「……どんな結末がいい?」
(*゚−゚)「……………………え?」
( ,,゚Д゚)「……あのおっさんの息子さん…………病気なんだろ?……放っておいたら……」
それ以上は言わなかった。言わずとも分かる。
(*゚−゚)「……それは……治ってもらいたいとは思うけど……」
( ,,-Д-)「……うん、そうだな………………でも、だからってあそこに戻るわけにもいかない……
単純にあの親子が幸せになれば、嬉しいことでそりゃいいんだけど……
まだ気になることがあってな……」
(*゚ー゚)「…………もしかして、あの白い服の男?」
二人とも頭脳明晰だ。
- 34 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:42:03
実際はギコの逃げ口上だ。ただ、今はためらっている為に、なんとか戻らない方法を見つけようとしていた。
( ,,゚Д゚)(………………俺は……馬鹿で……卑怯だな……)
死にかけている人間がいるというのに、下らないことに頭が回る。
あのマッドサイエンティストのことは確かに要注意だが、戻りたくない理由にすぐに挙げるとは。
俺達が戻る義務は無い。あんなことまでされて戻る理由は無い。
わざわざ危険なところに行って人助けまでしたくない。
それが本心なんだ。
俺は、…………ただ格好をつけているだけ……。
( ,,゚Д゚)「とにかく、あのマッドサイエンティストは何か企んでいるな
……もしかしたら俺達を研究に使うのかもしれない。」
(*゚ー゚)「……そうねぇ……他にも考えられることがあるんだけど……」
( ,,゚Д゚)「え?」
(*゚ー゚)「あの人……私達を売ろうとしているのかもしれないわ」
( ,,゚Д゚)「!!」
- 35 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:42:34
(*゚ー゚)「だってそうでしょ?……私達の血は病気に苦しんでいる人間にとって生唾物」
( ,,゚Д゚)「………………そういえば、あの研究員……『殺すな』って言ってたな……それなら永久に血を
……でもそれはただ単に研究材料を破損したくないからとも……」
(*゚ー゚)「ええ、そうね。でも、彼が本当にマッドサイエンティストだったらね」
( ,,゚Д゚)「……違うのか?」
(*゚ー゚)「……よく分からないわ……でも、そんなに狂ってる感が漂っていたかなあ……」
( ,,゚Д゚)「………………ちょっと待って。…………やっぱり奴は……そうだよ、正気だよ
あのおっさんが銃を俺達に向けたとき……かなり焦っていた……けど、冷静な対処をしていた。
マッドだったら『ぅわああぁぁぁ!! ややめろおおおおぉぉぉぉ!!』とか言うんじゃないのか?」
(;゚ー゚)(ギコ君……少し上手いじゃないの……)
( ,,゚Д゚)「それに、側にいた幹部かな? 女がいた。そいつも慌てていただろ?……穏便派ならともかくだが
本当に俺達を捕まえるだけが目的だったらあんなことは言わなくてもいいはずだ……」
(*゚ー゚)「……あの女幹部らしき人間もあの医者とつるんでいる……?」
( ,,゚Д゚)「俺達の推理が正しければ、そんなところだろうな……」
そんな二人を
やはりあの二人が見張っていた。
- 36 名前:一心不乱に投下しております ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:43:19
( ´_ゝ`)「おおっと! あの二人は」
(´<_` )「流石だよな、兄者」
あの二人は流石じゃねえぞ。
確かに、この兄弟だけが二人に遭遇することができるのは流石だ。
( ´_ゝ`)「今日はゆっくり近づくぞ」
(´<_` )「当然のことをわざわざ説明するとは流石だな兄者」
( ,,゚Д゚)「……あいつら……」
バレていた。当り前だ。
朝から足音を消してもほとんど意味は無い。
(*゚ー゚)「気づかない振りして逃げましょ」
( ,,゚Д゚)「分かった」
二人は逃げた。
- 37 名前:お目汚し ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:43:59
( ・∀・)「私の名前は……」
(・∀・)「ジサクジエンでした」
(・∀ ・)「うそだよ、またんきだよ、バーカ」
モララー、ジサクジエン、斉藤またんきを見分けられない人に小説スレでこれらを同時に使うのは難しい……
その典型が僕ですけど。
(コピペではなくうろ覚えの手製なのでスペースの位置や大きさは正しくないかもしれません)
- 38 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:44:55
第五話 『道徳放棄の日 中編』
その頃
川 ゚ -゚)d「……何? 逃がした? お前らの失敗振りは本当に流石だな、流石兄弟」
クーは無線を切る。乱暴に。
川 ゚ -゚)「ブーン」
内藤が走って近づいてくる。全裸で。…………じゃなかった、慌てて。
( ^ω^)「捕まえたかお?!」
ハマチ
川 ゚ -゚)「残念だがまだまだのようだ」
イカ
( ^ω^)「……使えない奴らだお……」
大トロ
川 ゚ -゚)「まったくだな」
……寿司食いながら暢気なこといってんじゃねえ #
( ^ω^)「……自分ばっかり食ってないで僕にもくれお……これは僕がもらったお!!」
内藤がどこからともなく箸を取り出し、寿司に迫る。
だが、それも空しくクーに0.5秒の差でそれを奪われた。
川 ゚ ー゚)「残念、それは私のおいなりさんだ」
- 39 名前:ちょっと外れます ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:46:01
- 書き込みによる不具合が無いか調査してきます。
- 40 名前:投下再開 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:49:10
その頃ギコ達は
( ,,゚Д゚)「……ここまで来れば大丈夫だよな……」
(*゚ー゚)「そりゃそうでしょ」
どこの山だか分からないところに来てしまった。
お前ら一体どこまで逃げる気だ?
間違いなく『どこまでも』と答えるだろう。
( ,,゚Д゚)「……これじゃただ単に鬼ごっこをやっているようなもんだ。逃げ続けるにしても定住したい。」
(*゚ー゚)「そうね、テントなんか張って寒さをしのぎたいわね」
現実的に不可能だ。
彼らは金を持っていない。食うことと、衛生面にだけは困らない。
だがどうだ? 衣は? 服もだんだんボロボロになっていく。
住は? 逃げるだけじゃ駄目で、疲れをとれる空間が必要だ。
パープルブラッドは能力発動中の運動による疲れは出ない。それでも、精神、普通の状態での肉体は
ずっと傷ついていく。
( ,,-Д-)「……しんどいなあ……」
(* - _ -)「…………それを言っちゃおしまいでしょ」
- 41 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:49:51
その頃
( ・∀・)「……また君達か……何度言ったら分かるんだね?……チャンスには応援を呼べと言っただろう……」
(;´_ゝ`)(´<_`;)「すみません。すみません。この通りです。」
( -∀-)「……君達にはこういう仕事は向いていないんじゃないのか?」
当り前だろ、あんたが緊急でこんな慣れないことをこいつらにやらせているんじゃないのか。
( ・∀・)「……もういい、君達は今日はもう帰って寝ていなさい」
(#´_ゝ`)(´<_`#)「アヤマッテイルダロ!!」
…………さ……逆切れかよ……
モララーは二人を追い返し、無線を取り出した。
( ・∀・)「……クーか? 今から作戦を行う。完全に彼らを捕らえるぞ……いいか、それでな…………
その頃
(*゚ー゚)「もう随分歩いたわ……お昼にしましょう」
( ,,゚Д゚)「ああ……でもここは山だぞ……食える草があるかなあ……あっ!!」
(*゚ー゚)「……草……おいしくないかもしれないけど、こんな機会滅多に無いわよ……」
もう一度言っておくが、彼らは体に有害なものは瞬時に解毒してしまう力を持っている。
( ,,゚Д゚)「…………生ゴミを喰うよりは圧倒的にましだな」
二人は山にある、一番軟らかい有機物を食べ始めた。
( ,,゚〜゚)「……んなかなか美味い……」
(*゚〜゚)「……そうね……思っていたよりかは……」
幸か不幸か。二人は初めて草の味を知った。
未知の世界に足を踏み入れることは、勇気の要ることである。
- 42 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:50:24
( ・∀・)「みんな集まっているな……」
モララーは各地に散らばった捜索隊を兄者と弟者が失敗したところに召集した。
川 ゚ -゚)「お前らにはあの山に向かってもらう」
クーが指差したそれは、まさに今ギコ達がいる山だった。
川 ゚ -゚)「ここら辺は民家ばかりだ。隠れることができるとすればあそこしかない」
( ^ω^)「おっおっおっおっおっ」
モララーが作戦を説明する。とにかく山を囲むように移動してから山に突撃すると言うことらしい。
そして、
山狩りが盛大に始まった。
- 43 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:51:05
( ,,゚Д゚)「さて、そろそろ山を出ないといけないな……帰り道はどっちだっけ……」
(*゚ー゚)「忘れちゃったわ、どっちにしろ後ろには動かないほうがいいでしょ」
( ,,゚Д゚)「…………あっ!!!」
ギコが山のふもとの方を指差す。
(*゚ー゚)「あれは…………何であの人達、私達がここにいるって分かったんだろ……」
五人ぐらいだろうか、小隊を作っている。それが何グループも山に登ってくる。
( ;゚Д゚)「……どうする?!」
(;゚ー゚)「わ、私に訊かれても……とにかく逃げるだけなんでしょ?」
気づかれた。あいつらいきなり駆け足になっている。ギコは心の中で叫んだ。
しかし、ここは冷静に行動する。……反対に逃げるぞ!…………だめだ、
向こう側からもやってきやがった。
( ;゚Д゚)「…………まずいな」
なにかないかなにかないかなにかないかなにかないかなにかないかなにかないかなにかないか
パニックとはこのことだ。
ふと、ギコの眼に木が映る。
- 44 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:51:44
( ;゚Д゚)「これだ、これに登るぞ」
(;゚ー゚)「え? 私、木登りなんてやったこと無いよ?」
( ;゚Д゚)「…………………………………………………………………………」
( ;゚Д゚)「…………パープルブラッドなら大丈夫だ!! 大ジャンプで一気に登ろう!」
(;゚ー゚)「……分かったわ……行きましょ!!」
12の3!(12の3階乗)で、二人は同時に跳んだ。
( ,,゚Д-)「ん?…………はっ!!……」
気づいたときには木の上に来ていた。
ゆっくりと世界が動く。
そして柔らかく、木の枝に着地。
(,,*゚Д゚)「……よし!……これなら逃げれる!!」
(*゚ー゚)「……でもここからどうするの? 大ジャンプだけで行くのは少し危険じゃない?」
( ,,゚Д゚)「……枝の上を走ろう……多分平衡感覚とかも最強(←使い方おかしいだろ)になっているだろう」
(*゚ー゚)「なんでそんなことが?」
( ,,゚Д゚)「……勘だよ!! とにかく行くぞ!!」
- 45 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:52:14
二人は走った。常人ではありえないバランス感覚。
体の動かし方が手に取るように分かる。
欲しくもない能力は、二人に不思議と爽快感を与えた。
逃げている途中だというのに、二人はアホではないのに。
今の二人はどうみてもアホだ。
「居たぞー!!」
二人を追いかけるように弾痕が木の幹や枝に刻まれる。
もうね、アホかと、馬鹿かと。
あのな、標的を追いかけて撃つなんてきょうび流行んねーんだよボケが。
お前は本当にそんなんで当たると思ってんのかと問いたい。問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。
標的の来る位置を予想して狙って、撃つ。これ最強。
しかしこれで外すとただ単にサボってると勘違いされる危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦めできない。
まあ、お前らド素人は物騒なもんしまって平和な生活を享受してなさいってこった。
- 46 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:52:43
夕方
二人は三時間は逃げ続けた。ギコ達は山から脱出、繁華街に出た。そして
( ,,゚Д゚)「……よし!……後は隠れられるところを見つけよう!」
前からあの女が現れた。
川 ゚ -゚)「まあまあ待ちたまえ、これを食らって少しは大人しくなったらどうだ?」
銃弾が二人の足を喰いちぎりにかかる。
狙いもかなり正確だ。そこらへんの素人とは違う。集中して狙っているようだ。
( ;゚Д゚)「くっ!」
足元を銃弾が屠る。危うく直撃するところだった。
川 ゚ -゚)「逃がすな!」
( ^ω^)「任せてくれお!」
なんと、あのマッドもなかなかの射撃能力ではないか。二人とも、かなり集中力は高いようである。
( ^ω^)「フゥハハハハハハーーー!!! ホント戦場は地獄だおーーー!!!」
(;゚ー゚)「……」
しかし、やはり弾は当たらなかった。
( ,,゚Д゚)「……こっちだ!!」
二人は逃げた。
- 47 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:53:11
- パープルブラッドのスペック改訂版
血の色が紫がかっている
遺伝子の突然変異による
その血は、他人の病気を完治させる
本人達は有害物質、生物による体調不良、病気にはならない
痛覚が非常に鋭い
潜在能力として、脚力の異常な増大
動体視力の強化
疲れを感じなくなる
平衡感覚の異常な強化など、逃げるためとも言える物がある。
- 48 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:53:48
第六話 『道徳放棄の日 後編』
ギコの目の前にビルが聳え立つ。
( ;゚Д゚)「非常階段を登ろう」
(;゚ー゚)「そんなことしてどうするの?」
( ;゚Д゚)「高い位置のほうが行動可能範囲が大きくなるだろ?」
常人ではありえないことだが。この二人ならありえる。
「いたぞー! 撃てー! だから殺さないように撃てって言ってるお!!」
( ;゚Д゚)「……もう来たのか……とにかく登るぞ!」
二人は非常階段を駆け上がった。その非常階段は銃弾で悲鳴を上げる。
そしてついに
( ;゚Д゚)「…………………ぐあっ!!!」
生々しい声を上げる。兆弾がギコの肩をかすった。
随分威力の弱まった兆弾で、服も破れなかったが、ギコの精神をズタボロにするには簡単だった。
( ,,;Д;)「………………痛えええ……」
涙が嫌でも零れ落ちる。
(;゚ー゚)「ギコ君大丈夫?!」
( ,,;Д;)「…………駄目だあ……」
- 49 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:54:22
二人はビルの屋上、いったん小休止。
(* - )「…………」
( ,, Д;)「…………」
まだ涙は止まらない。下からはいろんな悲鳴が聞こえる。
そりゃそうだ、ここは繁華街、こんなところでドンパチがあればそんな悲鳴も上がる。
すぐに警察は駆けつけ、団員達は一気にはけた。これでひとまずは安心……だが、
心は完全におかしくなっている。
痛い。恐い。疲れた。辛い。
二人はおかしくなっている。
(* - )「………………恐かった?」
( ,, д )「……………………」
無視しているわけじゃない。
(* - )「……私は……恐かったわ……」
(* - )「…………逃げ続けられるのかしら……」
( ,, д )「…………意地でも……逃げるよ……」
- 50 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:54:56
二人は優等生だ。
ビルの屋上にいる二人。寒い北風が襲う。たまらず体が震えだす。
((* - ))「……………………さ、寒いね」
(( ,,д))「…………あ、ああ、そうだね……」
((* - ))「……そ、側に寄っていい?……」
(( ,,д))「……俺も寒いし……いいよ……」
しぃがギコに近づく。
そして、抱きついた。
(( ,, д ))「……な、な、何してんの?……」
((* - ))「……………………抱きしめてほしいの……」
(( ,, д ))「…………そうか……」
ゆっくり背中に手をまわして、その華奢な体を抱きしめた。
恥ずかしさなどは消えていた。ただ純粋に、抱きしめた。
((* -;))「……恐いのよ…………何もかもが……」
涙が流れる。
- 51 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:55:27
風も止み、体の震えも止まっていった。
( ,, д;)「…………大丈夫だから…………もう、何も考えるなよ……」
考えるなと言われて考えない愚か者ではない。そんなことは二人とも承知だ。
(* -;)「…………私達がね、捕まればね、一人、いや、何人もの命がね、助かるのよね……」
( ,, д;)「……そうだよ、助かるんだ………………でもな、そんな義務はないんだよ……」
お互いが、お互いを諭すように喋る。
( ,, д;)「…………今の俺にはな……他人の命なんてどうでもいいんだ…………大事なのは……」
二人は優等生だ。人間として。
( ,, д;)「………………君なんだ」
そう言って、その華奢な体を、抱きしめる。強く。
( ,, д;)「…………君の、辛そうな顔は見たくない……自分も辛い思いはしたくない……
……逃げよう…………どこか遠い、誰も俺達を知らないところに行こう……」
(* -;)「………………………嬉しい…………
でも、辛い思いはするよ…………するに決まってるじゃない……あなただって……してるでしょ?
…………私もあなたの辛そうな顔は……見たくないわ……大事なのは、
…………あなたなの……」
道徳の時間に習ったこと。それはここでは何の価値も持たない。
道徳。それは人を締め上げる縄。意識すればするほど、苦しめる。地獄の縄。
二人はそれを涙と共にコンクリートの地面に落とした。
二人は、また別の縄で拘束され、しばらく離れられなかった。
- 52 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:56:19
その頃
( -∀-)「……危なかったよな……」
モララーは警察の網をかいくぐり、病院に来ていた。
ξ;゚听)ξ「あっ! モララーさん! 来てください!」
(;・∀・)「ど、どうしたんだい?!」
そこには、酸素マスクを着けたシャキンが横たわっていた。
(´ ω `)「…………………………」
( ― )「……………………」
ξ;゚听)ξ「……容態が急変しまして……まだ、息はありますが……肺の機能がどんどん低下して……」
モララーはシャキンに駆け寄り、語りかける。
( ―;)「……シャキン………………明日には、よくなるから…………な…………」
モララーはそう言うと、泣き崩れた。
何でうちの子供がこんな目に……罰と言うのなら、悪いことをしているのは私なのに……
いろんな思いが駆け巡る。
十分後
つ∀-)「…………こうしちゃいれないな………………シャキンをお願いします……」
ξ;゚听)ξ「え?! どこ行くんですか?!!」
モララーは病院を飛び出した。
- 53 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:56:54
その頃
( ,, д )「……腹、減ってきたな……」
(* - )「……そうね……でも、なんか動く気になれないわ……」
涙の降るのは終わったが、それは何も流してくれなかった。
疲労感、絶望感、どれも残していった。
二人の距離は縮まったどころか0になったが、負の方向の絶対値を消すことは出来なかった。
( ,, д )「じゃあ、俺が取ってくるよ……」
ギコが立ち上がった……が、次の瞬間!!
( ,, д )「あ……れ?」
ギコの膝が折れた。極度の疲労によるものだろう。
それに、今日は動きすぎた。エネルギー保存の法則にはやはり勝てなかったようだ。
(* - )「…………一緒に行こう…………で、少し休ませてもらいましょ……」
( ,, д )「……ああ」
ギコの体がしぃに起こされる。
二人の体は、いつにも増して痩せ細っていた。
- 54 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:57:24
二人は、なんとか非常階段をこけずに降り、警察にいろいろ聞かれかけたが、なんとかスルーする。
それどころではないからだ。
今考えれば、警察に追われていることを告げるのは最善の手であったような、なかったような。
いつものようにして弁当をゲットする。
やっと二人の顔にも生気が戻ってくる。
( ,,゚Д゚)「…………はあ……晩飯……やっと食えたな……」
午後10時。
(*゚ー゚)「……そうね…………」
( ,,゚Д゚)(…………あれ? 肩がまた痛み出したのかな……?……さっきは痛くなかったのに……
いつから痛み……引いたんだっけ?)
ギコは不思議な感覚を覚えていた。
それも、今はどうでもいいことだ。
食事が終わり
( ,,゚Д゚)「すみません。少しここで休ませてもらえませんか?」
ミ,,゚−゚彡「……いきなり何言ってんですか…………どうも訳ありのようですが…………いいでしょう
深夜はあまり人も来ませんので、裏に畳がありますから少し休んで言ってください」
(*゚ー゚)「あ、ありがとうございます」
ミ,,゚Д゚彡「だけど、朝には店長が帰ってきますので、その時には出ていってくださいね、
店長はいろいろとうるさいですから」
( ,,゚Д゚)「……わかりました」
- 55 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:58:06
店の裏
(*゚ー゚)「疲れたわね」
( ,,゚Д゚)「そうだな」
少しだけ沈黙が流れる。
(*゚ー゚)( ,,゚Д゚)「あのさ」
ハモる。
(*゚ー゚)「……先に言って」
( ,,゚Д゚)「分かった…………
…………これからも一緒に逃げよう」
(*゚ー゚)
(//ー/)「………………ええ」
( ,,゚Д゚)「…………君が言いたかったのは?」
(//ー/)「…………実は、一緒なの……」
( ,,゚Д゚)
(//Д/)「…………そうか」
あんなに抱きしめあった仲なのに。あのときは相当やられていたってことだな。
誰だ? 今勝手に分析した奴……
- 56 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:58:35
一時間後
眠りこける女の姿を見つめる男
( ,,゚Д゚)「…………………………」
逃げてやる。
君となら、どこまでもな……
── ( ―;) ──
誰が泣いても、誰が死んでも…………後悔しない。
気づいたよ。あの時に既に気がついていたのはそうだけど……改めて気づいた。
たった二日しか一緒にいてないのに……どうしてだろう。不思議だな。
自分は硬派だと、自負していたけど、そうでもないのかな……
これが……いわゆる運命の出会いって奴なのかもな……
……何言ってんだ俺…………でも、
(//Д/)「…………君を愛しているのは確かだからな……」
一人呟く。
あれ? 今、『愛している』なんて言ったけど、『確か』なんて言ったけど本当かな?
最初は『好き』だって言おうとしたのにな……口が勝手に……
てことはやっぱり『愛してる』んだよな……
ギコはその後もいろいろ考えた後、眠った。
眠る寸前のギコの顔は、どこか笑っているように見えた。
- 57 名前:「んなもんベン図描けば一発だろが。」 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 12:59:35
第七話 『序章、終章へ』
朝。
(* -゚)「……ん? 朝か…………」
今日はしぃが先に起きた。
( ,,-д-)「………………」
ギコ君、…………
夢では私のこと愛してるだなんて言ってくれてたっけ……
何言ってんだろ……昨日だって大事だって言ってくれていたじゃない……
抱きしめあっていたじゃない……あのときは………………精神的に滅入っていたのよね…………
でも……幻想の恋。じゃないよね。
……こんな気持ちになったの初めてだな……
ミ,,゚Д゚彡「起きましたか?」
(*゚ー゚)「あ、はい。今日は本当にありがとうございました……今は何時ですか?」
( ,,゚Д゚)「……5時45分だね」
(*゚ー゚)「あれ、いつの間に起きたの?」
( ,,゚Д゚)「今だよ。ありがとうございました」
ミ,,゚Д゚彡「どういたしまして」
二人は店を出た。
- 58 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:00:26
Σ( ,,゚Д゚)「あっ!!」
(;゚ー゚)「どうしたの?」
( ;゚Д゚)「朝飯貰うの忘れた」
(*゚ー゚)「…………大丈夫よ、歩いていればまたどこかにコンビニはあるから……」
とはいっても、二人は逃げ出した始めよりも少し痩せている。
ただでさえ、痩せ型の二人には辛い状況だ。三度の飯が、逃亡生活に密接に関わることになる。
( ,,゚Д゚)「……あっそうだ、今日は言っておきたいことがあるんだ」
(*゚ー゚)「何?」
しかし、そういう思考を打ち破る黒い車が現れる。
( ;゚Д゚)「い、行くぞ!」
(;゚o゚)「え?! うん……ってちょっと待ってよ!」
ギコがいつにも増して速いように感じた。なにか別のものがスピードアップさせているかのように。
「……ちょ、ちょっと待ってよ!」「何?」
「一体どこに行くの?」「……決めたんだ……」
「何を?」「……それよりも今は奴らを撒かなきゃな……」
黒い車、自分達を追いかける。
(*゚o゚)「……でも、なんで今教えてくれないの?」
( ,,゚д゚)「……ちょっとな…………」
(//д/)(……言おうと思ったけど……やっぱり恥ずかしいんだよな……あんなこと頼むの……)
- 59 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:01:01
しかし、すぐに黒い車はギコ達についてくるのをやめた。
( ,,゚Д゚)「……あれ? あんなに真っ黒だからてっきり……」
(*゚ー゚)「……よくよく考えてみれば真っ黒な車はいくらでもあるわよね」
安堵感と絶望感。二人が追われていた冒頭部分は二人の勘違いだった。
時も場所も変わって、
( ・∀・)「クー、内藤さん、集まってもらったのは他でもないよ。これからあの二人の御家族を捕まえに行く」
川 ゚ -゚)「やっとご決断なさいましたか。最初っからそう仰ればいいのに……」
( ^ω^)「これですぐに仕事は終わりそうですお」
( ・∀・)「すまなかったな──」
シャキン、お父さんはね、これから今までよりももっと悪い人になるからね。
それでもどうか嫌いにならないでおくれ。
まあ、仕事の内容も教えないから後にも先にも嫌われないだろうけど。
でも、これだけは願わせてくれ。
お前には、人を悲しませてまで幸せを欲しがらない、立派な人間になってほしいんだ。
誰にも許してもらおうなんて思っていない。
ただ、お前がこれからも生きて、立派な人間になってくれればそれでいいんだ。
おかしな話かい? それなら笑ってもいいからね。
悪行から善人が作れるはずないって? そうかもしれないね。でも、──
三つの、鈍い音が連続で響いた。
──それはやってみなくちゃ分からないだろ?
- 60 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:01:56
(*゚ー゚)「ギコ君? 言いたかったことって何?」
( ,,゚Д゚)「ああ、それはな…………病院を探そうと思うんだ」
(*゚ー゚)「病院?…………どうして?」
( ,,゚Д゚)「どうしてって……決まっているだろ……とにかく、あのおっさん……
モララーの息子さんを探すんだよ、この名刺を使って……」
ギコは最初に貰った名刺を取り出した。
(*゚ー゚)「なるほどね…………でも、そんなことしてどうするの?」
( ,,゚Д゚)「……そりゃあ、もちろん助けるんだけどさ……」
(*゚ー゚)「……助けるあてが見つかったの?」
( ,,゚Д゚)「…………まあね……」
(*゚ー゚)「どうするの?」
( ,,゚Д゚)「……うん、……それは着いてからのお楽しみってことで……」
(*゚ー゚)「…………変なの……」
明らかに不自然である。
('A`)「……まさか、ギコの奴……」
(*゚∀゚)「……その可能性もあるかもね」
出番の無い観客席のお前らは黙っていろ。っていう出番がある罠。
- 61 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:02:32
ギコとしぃは三時間ほど病院を虱潰しに当たった。
そして、
( ,,゚Д゚)「すみません、ここに……あっ!!」
(;´∀`)「あっ…………どうなさいました?」
(;゚ー゚)「……あなたコンビニの店員だったんじゃ……」
(;´∀`)「受付は簡単なんでバイトなんです、コンビニバイトだけじゃやっていけなくて……」
いくつものバイトを一気にやる時点でいかにもやっていけそうだが。
( ,,゚Д゚)「……そうなんですか、ところでここに■■って言う名字の人は入院していますか?」
( ´∀`)「……ああ、そんな人いたような気がしますね……珍しいんで忘れられませんよ……」
『気がする』じゃあ忘れているのと同じじゃないのか?
( ´∀`)「……ああ、いましたいましt────
突如、急患を知らせるアラームが鳴り響いた。これは大量の重症患者の場合だ。
(;´∀`)「やばい! こりゃ大変だ!!」
受付の男は、一目散に駆け出していった。
医療技術でもあるのか? それよりもこっちの質問に答えてもらってないんだけど……
二人は同じ疑問を抱いていた。
- 62 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:03:13
(;#´∀`)「三人来ましたーー!! いずれも重症でーす!! 頭から血が出ていて止まりませーん!!」
( ;゚Д゚)(;゚ー゚)「………………あれは……」
モララー、内藤、クー。あの三人が、ストレッチャーに乗せられ、手術室へと消えていった。
とんでもない重症らしく、何人もの医師がそこに殺到した。
何があったんだ? ギコ達の脳裏に、そんな疑問も浮かんだが、それはすぐに消え去った。
( ,,゚Д゚)「………………行こう、今がチャンスだ……注射器ある?」
(*゚ー゚)「……ちょっと待ってね……あったわ。はい」
しぃが近くの棚から素早くそれを見つけ、ギコに手渡した。
( ,,゚Д゚)「……OK、注射器ゲットだ。流石だな、しぃ…………」
しぃの顔が赤くなる。今までで一番。
(//Д/)「あ……ご、ごめん……呼び捨てにしちゃった……」
(//ー/)「…………いいの。はやく行きましょ……」
二人は病院内を駆け回った。そして、ついに一つの個室に着いた。
──■■ シャキン──
ここだ。
二人は面会謝絶の看板を無視し、部屋へ侵入した。
- 63 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:03:49
第八話 『悪』
( ,,゚Д゚)「………………」
部屋の中、中央にベッドが一つ、子供が一人。
(´ ω `)「………………………………」
子供は眠っているようだ。というより気を失っている。
( ,,゚Д゚)「……………………これで、……終わる……」
(*゚ー゚)「……………………」
ギコがそこにある椅子を取り、シャキンの横に立つ。
そして、それに腰を下ろす。
( ,,゚Д゚)「………………しぃ…って呼び捨てにしてもいいかい?…」
(*゚ー゚)「…………いいわ……」
( ,,゚Д゚)「…………しぃ……
………………抱きしめてほしいんだ……」
なぜか、顔は赤くならなかった。それを言うのが当り前であるかのように。
- 64 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:04:30
(*゚ー゚)「……どうして?」
( ,,゚Д゚)「…………昨日、抱きしめあっただろ? あのとき、肩が痛かったはずなんだが、
しばらくそのことを忘れていたんだ…………昨日の夜、君が
……しぃが眠ってから一人で考えていたんだ……もしかしたら、関連があるかもしれない……」
恥ずかしいな。そう思っていたが、真顔で、冷静に言うことができた。
しぃは無言で頷き、ギコの後ろに立った。ギコはしぃに注射器を手渡す。
ギコが左腕の袖を捲り上げる。
( ,,゚Д゚)「……やってくれ……」
心拍数は上がる一方だ。二人とも
(*゚ー゚)「……ほんとにいいの?」
( ,,゚Д゚)「…………ああ……俺達は…………こうしないと逃げられないんだ…………」
そう、逃げるためにやるんだ。逃げ続けても、この子が死んだら一生逃げ続けなきゃならないかもしれない。
(*゚ー゚)「…………分かったわ……」
しぃの両腕が、ギコを優しく包む。
(*゚ー゚)「…………愛してる……」
しぃが耳元で囁き、ギコは無言で頷いた。
ギコの腕に注射針が突き立てられた。
- 65 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:05:15
( ,,-Д-)「………………刺さってる?」
ギコは少し恐かった。それと、痛みを意識しないように目を瞑っていた。
(*゚ー゚)「……大丈夫、刺さってるわ。目を開けて」
全然痛くない。
( ,,゚Д゚)「……ほんとだ…………不思議だな……こんなにもくろみ通りにいくなんて……」
注射器のピストンを引く。
中に満たされていくのは血。人間の。
( ,,゚Д゚)「……紫がかっている……か……よく見ないと分からないじゃないか……」
(*゚ー゚)「…………これぐらいでいいかしら……」
20mlは採血しただろうか。
そういえば、二人はいくら輸血すればいいのかを聞かされていなかった。
( ,,゚Д゚)「……よし、じゃあそれを……この子に注射──
(*゚ー゚)「待って! 私からも出すわ」
( ,,゚Д゚)「……どうして?」
(*゚ー゚)「……聞かないでよ……あなただけにやらせるわけにいかないでしょ……」
注射器がギコの手に渡った。
- 66 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:06:02
( ,,゚Д゚)「……じゃあ、いくよ……」
しぃが後ろを振り返る。
(*゚ー゚)「……ギコ君……」
( ,,゚Д゚)「……どうしたの?」
(*゚ー゚)「………………いいのかなぁ……」
西の空に浮かぶ真っ赤な太陽。
ギコの唇が、しぃに奪われた。
ゆっくり、かわせるスピードで少し躊躇しながら迫ったそれをギコは拒まなかった。
(*゚ー゚)「……昨日ギコ君がね……夢の中で『愛してる』って言ってくれたの
……幻想じゃないよね…………ほら、はやく……」
しぃが何事も無かったかのように注射の催促をする。
( ,,゚Д゚)「……あ、ああ…………幻想じゃない……けど確認するのが遅すぎるだろ……」
ギコの反応も冷静だ。本当に何事も無かったかのようだ。
(*゚ー゚)「……いいの。間違っても幻想じゃないって分かっていたから。ただの確認」
それはそうだろう。『大事な人』だと言ったし、『愛してる』と言われて頷いた。
なにより、唇を受け入れたのはその証拠。
( ,,゚Д゚)「……そうか…………じゃあ、いくぞ」
ギコはしぃの血を優しく抜いた。20ml。実に不思議な雰囲気だ。
甘美というか、なんと言うか。
混ざった二人の血は、太陽に照らされ、赤紫色の宝石のように輝いた。
- 67 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:06:33
( ,,゚Д゚)「……これを注射すれば、この子は助かるだろう……いいかい?」
(*゚ー゚)「……いいわよ……」
( ,,゚Д゚)「………………恐らく……人の命を救うのはこれが最初で最後だな……」
( ,,゚Д゚)「…………今から……とんでもない悪いことをするんだな……」
(*゚ー゚)「…………そうね……」
逃げるために、助ける。悪意を以って助ける。
死ぬべき命を、生かす。
人の命を操作するなんておこがましい。なんて名言があったっけ……
( ,,゚Д゚)「こうしてみると……医者ってのもかなり悪いことをやってるんだな……」
(*゚ー゚)「…………そうね…………なんで私達はこの子を助けようとしてるんだろ……」
( ,,゚Д゚)「………………………………極悪人、だからだろうな…………」
そう。二人は決して人助けをするつもりは無い。
( ,,゚Д゚)「…………これからこの極悪なお兄ちゃんとお姉ちゃんが君を楽にしてやるからな……」
40mlの液体宝石が、シャキンの体に流れ込んだ。
シャキンの顔はみるみるうちに元気そうになっていった。
- 68 名前: ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:07:11
- パープルブラッドの最後の能力は一応、
愛する者による抱擁を受けると、その間は痛覚が全く無くなる。
というものです。
- 69 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:08:04
第九話(最終話) 『終わらない逃避行』
二人と、どこかの子供の三人だけの空間。
( ,,゚Д゚)「…………行こうか……」
(*゚ー゚)「……うん」
二人はそこを出た。
病院の外。夕焼けが二人を照らす。
ギコ達は帰る途中、あの三人は車に撥ねられて全員記憶喪失になってしまったと言うことを聞いた。
果たして、リスクを犯して、悪の心でシャキンを助けたのは吉だったのだろうか。
( ,,゚Д゚)「…………終わったのか……」
(*゚ー゚)「…………そうね、終わったわ……」
( ,,゚Д゚)「……パープルブラッド……一体何だったんだろうか……」
(*゚ー゚)「……生まれたときから私達はパープルブラッドよ……だから……終わりじゃないわ……」
そう。パープルブラッドは人に狙われるための物。
( ,,゚Д゚)「……そうだな、これからも重症の重病の
明日生きれるかも分からない人に出会うことになるかもしれない……
でも、絶対に血は譲らない…………バレたら……厄介だからな……」
(*゚ー゚)「……そうね…………それに、私達は存在自体が間違っているのよ……
最初は奇跡の存在とも思わせるようなことが連続で起きたけど……そうじゃないのよね」
- 70 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:08:48
( ,,゚Д)「……そう……俺達は保身しかできないただの人間、何もできないただの人間なんだ……」
上を向いて呟く。
そう、二人はただの人間。パープルブラッドとかいうふざけた体質の持ち主ではない。
( ,,゚Д゚)「……力を持つものは……その力を正しく行使する義務がある……なんて言葉があるけど……」
(*゚ー゚)「……誰が決めたのよね?……そんなわがままな言葉……」
( ,,゚Д゚)「……多分、俺達のほうがわがままなんだろうけどな……」
(*゚ー゚)「……あら、そんなことどうでもいいんでしょ?……昨日言ってくれたじゃない……」
( ,,゚Д゚)「……そう。……言ったさ。君が恐怖や災難に巻き込まれなければそれでいい
……一緒に、楽しく、いくら背徳行為を犯しても、君と一緒に生きていければ問題ない……
話が早いかもしれないけど……いつか結婚してくれないか?」
(*゚ー゚)「…………何言ってんのよ……当り前じゃないの
…………あんなことまでして、結婚しないなんて言うわけないじゃない…………」
二人とも、落ち着いてる。
( ,,゚Д゚)「…………ありがとう……そうだ、そこの丘に登ろうよ」
(*゚ー゚)「なんで?」
( ,,゚Д゚)「……ほら、だって……景色……最近気にしなかっただろ?」
周りはどこもかしこも綺麗な景色、二人の目には、今までそんなものを目に入れる余裕は無かった。
- 71 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:09:18
ξ゚听)ξ「モララーさん?……分かりますか?」
(メ・∀・)「はい?……」
ξ゚听)ξ「お子様が回復されました」
(メ・∀・)「……病気だったんですか?」
私にも何が起こったのかは分からない。モララーさんの手術が終わってシャキン君の病室に来てみれば
シャキン君は全快。
看護士はとにかくモララーをその子供の病室に連行する。
そこには、完全に一人で立ち上がっているシャキンの姿があった。
(`・ω・´)「お父さん、どうしたの? その傷」
(メ・∀・)「……え? 私の息子なのか?」
(`・ω・´)「なに冗談言ってんのさ。僕はシャキンだよ。お父さんが毎日見舞いに来てくれたから
ショボン病も治ったんだよ」
(メ・∀・)「………………よ、良かったな……」
なんでだろう、知らないはずなのに、涙が出てくる。
(メT∀T)「……よかった、よかったな……本当に良かった……」
そこには、父親が息子を抱きしめる姿があった。
親と言うものは凄いものである。
記憶を無くしたのに、────凄いものである。
- 72 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:09:53
小高い丘の上。
太陽も、もうすぐ沈みそうだ。
( ,,゚Д゚)「……一応、これで今回の事件は終わりなんだよな……」
(*゚ー゚)「……どうしたの?」
( ,,゚Д゚)「……いや、…………しぃと……なんか、終わったら離れ離れになってしまうような気がして……」
(*゚ー゚)「何言ってるのよ、…………結婚するって約束したし、離れるわけないじゃない……」
(//ー/)「離れられないのよ」
なぜか、しぃの顔が赤くなった。途端に夢から醒めたようだ。
そして、ギコに抱きついた。
(,,*゚д゚)「……離れられない……か……俺もだ……」
抱きしめ返した。
太陽が沈んだ。
( ,,゚Д゚)「……それからさ…………これからどうする……?」
- 73 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:10:19
(*゚ー゚)「…………そうねえ……とりあえずお互いの家を紹介しないとね……」
( ,,゚Д゚)「……じゃあ、今日は俺のうちに来てよ……それで、携帯電話の番号を交換して……それで……」
(*゚ー゚)「またそのときになって考えましょ」
( ,,゚Д゚)「そうだね……じゃあ、行きますか」
(*゚ー゚)「あらあら、随分余裕じゃない」
当り前だ。
(*゚ー゚)「…………こんなふうに呼ぶのはまだちょっと早いけど…………あなた……」
( ,,゚Д゚)「……何?」
(*゚ー゚)「…………………手、つないで帰ろう?……」
( ,,゚Д゚)「……そう言えばなんか順番がバラバラだな……今初めて手つないで歩くんだろ?」
(*゚ー゚)「手つかんで走ったのを除けばね」
二人は、楽しそうに笑いながら、ゆっくり歩き出した。
決して走らず。長い休暇をとるように
- 74 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:10:47
( ,,゚Д゚)「………………」
俺達はいつか再び走らなければならなくなるかもしれない。
また狙われるかもしれない。
隠れながら、隠しながら生きなければならない。
俺としぃにとっては人生はそのものが逃避行。
それは、誰にでも当てはまるのかもしれない。
そう、逃げる、逃げる、逃げ続ける。
君と一緒ならいつまでもどこまでも
逃げてやる。
天空から二人を照らす月。
繋がれた手。
二人は、ゆっくり歩いて、逃げた。
( ,,゚Д゚)と(*゚ー゚)が逃避行をするようです 終わり
- 75 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:11:32
- 本編はこれで終わりました。
では、これから番外編を投下します。
- 76 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:12:02
番外編 『事の発端』
( ^ω^)「…………ブヒヒヒヒヒ……これをこうすれば新しい薬の完成だお……」
気味の悪い薄暗い部屋。気味の悪い一人の科学者が、研究をしている。
川 ゚ -゚)「どうだ? まだ出来ないか?」
黒いスーツの女。
爆発音がする。
……てめえ何の薬作ってんだよ……
( ^ω^)「……できたお」
川 ゚ -゚)「……それがあれば……また儲けられるな……」
( ^ω^)「…………そうだおね……いつか……この収入だけで暮らせるようになりたいものだお……」
二人は恋仲。同棲はしていない。女の名前はクー。男の名前は内藤ホライゾン。またの名をブーン。
クーは悪の秘密結社に勤めている。内藤はその会社に違法な薬を売りつけている。
金のためならなんでもする。まさにそんな人間だった。
- 77 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:12:35
川 ゚ -゚)「……じゃあ、ボスに報告してくるから」
( ^ω^)「ちょっと待ったお!」
内藤が強引にクーを引き留め、唇を奪う。
川//-/)「い、いきなり何をするんだ!」
とはいっても拒絶なんか全然してなかったじゃないか。
( ^ω^)「…………いつになったら結婚できるのかお?……」
川 ゚ -゚)「…………まだ……一生遊んで暮らせる金は手に入っていない……」
二人の計画はこうだ。一生遊んで暮らせる金を手に入れて、あとは二人で一生遊んで暮らす。
だが、結婚はいつでもいいじゃないか。というのがクーの考えで、
今でもいいじゃないか。と言うのが内藤の考えだ。
( ^ω^)「……そうかお…………なんかいいあてが無いかお…………」
そんなふうに、二人は生活していた。
そしてある日。
( ^ω^)「新薬新薬しんっやく〜……何か良いアイディアは無いかお〜?」
内藤がいつものように散歩をしているときのことだった。
- 78 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:13:14
( ><)「え〜〜ん!!! 痛いんですーーーー!!!!」
公園に、泣いている一人の子供。
( ^ω^)「どうしたのかお?」
( ><)「つまずいて転んだんです〜〜〜!!!」
( ^ω^)「………………本当かお?」
内藤が疑うのも無理は無い。この子供は、転んだといっても、擦り剥いてはいない。
そして、そのぐらいのことで泣くような年齢には見えなかった。
( ^ω^)(これはなんかあるかもしれんお……)
内藤の心理作戦が始まった。
( ^ω^)「こりゃもうだめかもわからんね」
(‖><)「!!!! えーーーーん!!! 死にたくないですーーー!!!!!」
こいつはただ単に精神的に幼いだけなんじゃないのか?
内藤はそうも思ったが、疑問に思ったことは解決しなければならない。そういう性格だ。
( ^ω^)「安心するお、おじちゃんのうちに来れば治せる薬があるお」
( ><)「助かるんですか? わかんないんです」
内藤は大丈夫と諭して、この子供を連れて帰ることに成功した。
( ^ω^)(…………親に知らない人にはついていっちゃいけないって教えられなかったのかお?)
- 79 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:14:01
そして、そんな馬鹿ガキを連れて帰った内藤は、
( ><)「!!! 何するんですか?!!! はなせです!!!」
(#^ω^)「うるさいお!1!」
猿轡を噛ませ、縄で縛り上げた。全裸で……じゃなかった!!! あーわーてーて!! 『慌てて』です!
その通り、研究材料にしようとしているのだ。拘束したのは逃げ出すのを阻止するため。
それと、悲鳴が漏れるのを防ぐため。
( ^ω^)「さ〜てさ〜て、一体どのぐらい痛がるのかな〜?」
この親父……変態だろ、常識的に考えて…………
注射針が( ><)に迫る。
そして、刺さる。断末魔の声らしき物を上げて
子供は、動かなくなった。
( ^ω^)「おっおっおっおっ……死んだかお?…………いや、生きてるお……気絶したお……」
頸動脈を触って調べる。そして、もう一回注射器を血管にぶち込む。
( ^ω^)「…………ではその隙に……」
みるみるうちに、子供の血は注射器に吸い上げられていく。なんとなく、紫色が混じっているような気がした。
- 80 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:14:33
そして、内藤はお得意の研究を始めた。
そして、とんでもないことに気がついた。
( ^ω^)「…………遺伝子……普通の並びじゃないお…………これは……何なんだお?……」
そして、内藤には研究課題ができた。その研究は子供を監禁して、日夜血を抜いて行われた。
もちろん、誘拐事件が起きたとして、この近辺は騒がしくなったが、
内藤は( ><)を隠し通すことに成功し、内藤はとんでもない研究結果を手にした。
川 ゚ -゚)「なんだ? また呼び出して」
( ^ω^)「クー!! 凄い発見したお!!」
内藤はクーに、新しい研究結果について話した。
血が少し紫がかっている人間がいること。そしてその人間の血を病気のモルモットに注射したら
その病気が治ったこと。
( ^ω^)「この血を元に薬を作れば間違いなく凄い発明になるお!!!!」
クーは呆れた。
川 ゚ -゚)「…………何を言ってるんだブーン……その血をそのまま売ればいいだろう……」
( ^ω^)「その発想はなかったわ」
- 81 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:15:00
川 ゚ -゚)「そして、その子供はどこにいるんだ? 見せてくれ」
( ^ω^)「おっおっおっおっ……いいお、その扉を開けたらいるお……」
クーが扉を開けた、そこには人形のような、目の下に隈のできた子供の痩せ細った体があった。
川#゚ -゚)「何やってんだ馬鹿!!!」
(;^ω^)「お…………」
内藤はいままでこんなに怒ったクーを見たことが無かった。
川#゚ -゚)「死にそうになっているじゃないか!!
この子が死んだら、際限なく血を採り続けられないだろう?!!」
失望した! 金欲に耐えれずによく言った! 失望した!!
そんななか、感心する男が一人。
( ^ω^)「……………………流石クーだ……」
川 ゚ -゚)「……今、縄を解いてやるからな……」
( ≧≦)「…………!!!」
縄が解かれた瞬間、子供は飛び出し、外へ逃げた。
子供の筋力とは思えない速さで。
( ^ω^)「……あっ!!………………」
内藤が声を出したときにはもう子供は部屋から逃げ出し、屋外にいた。
- 82 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:15:28
川#゚ -゚)「……くそっ!!……早く逃げる準備を!!」
このままでいると子供にここのことを喋られてしまう。内藤もそのことを咄嗟に理解し、荷造りを始めた。
新婚夫婦さながらである。
真夜中、二人は手っ取り早く引っ越しをした。
移転先は、クーの勤務先。
川 ゚ -゚)「……ブーン……ここでその血を持つ人間を探すぞ
……ところで、……その人間のこと、何て呼んでるんだ?」
( ^ω^)「…………パープルブラッド……だお」
川 ゚ -゚)「……そうか…………ボスは、病気の息子さんを持っている。今の医療技術では不治の病だ。
……その病気を治すため、という名目で、そのパープルブラッドを捕まえよう…………」
( ^ω^)「…………なるほどね……」
二人は不敵な笑みを浮かべ、夜の闇へと消えていった。
番外編 『事の発端』 終わり
- 83 名前:後日談 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:16:44
後日談
クーと内藤は、記憶を失い、戻る見込みは無いという。
ただ、二人が恋人同士だったことはわずかに忘れていないようで、一緒にリハビリを続けている。
モララーも、記憶は蘇らないそうだ、だが、これまでの仕事はやめ(やめざるおえないが)、
家族で幸せに暮らしているそうだ。
兄者と弟者達、この結社の部下達は、ボスの記憶喪失を受け、解散した。
誰も、パープルブラッドについて調べるほどの暇人はいなかったという。興味も無かったそうだ。
ギコとしぃについては……………………俺も知らない……。
- 84 名前: ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:17:16
- 番外編も投下終わりました。
これでこの物語は全て終わりです。付き合っていただき、ありがとうございました。
- 85 名前: ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:27:53
- 今投下後のチェックをした。
いろいろズレまくってる…………
自動インデントには注意しましょうね。
- 86 名前: ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:51:26
- インデント克服してきた。
調子に乗ってこんなものも作ってみました↓
- 87 名前: ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:51:48
映画化するならば、の予告編。
「……ちょ、ちょっと待ってよ!」「何?」
「一体どこに行くの?」「……決めたんだ……」
「何を?」「……それよりも今は奴らを撒かなきゃな……」
男と女、二人の人間が走っていた。
後方には黒い車。
(*゚o゚)「……でも、なんで今教えてくれないの?」
( ,,゚д゚)「……ちょっとな…………」
( ,,゚Д゚)と(*゚ー゚)が逃避行をするようです
「大人しくついて来てくれればそれでいい」
「君ら……痛覚が鋭いだろ?」
ちゅーん
「うわあああああああああぁぁぁぁぁぁ!!1!!」
ぱーん
「君たちは『パープルブラッド』だ」
「そんなんじゃ何も得られないぞ。失うだけだ。」
「……悪夢だよ…………信じたくないなぁ……」
「……………抱きしめてほしいの…………恐いのよ……何もかも……」
西の空に浮かぶ真っ赤な太陽。
「…………これからこの極悪なお兄ちゃんとお姉ちゃんが君を楽にしてやるからな……」
「シラネーヨ」
( ,,゚Д゚)と(*゚ー゚)が逃避行をするようです
C O M I N G B O O N !!
「ハムッ! ハフハフ! ハフッ!!wwwwwwうめぇwwwwwwwwwwww」
- 88 名前: ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 13:52:49
- 誰にも映画化決定って言われてないのにやってしまった。
でも、反省したら負けだと思っている。
- 89 名前:少し遅いがあとがき ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 16:31:01
- 今更言うのもなんですが、
こんな駄小説に付き合っていただき、本当にありがとうございました、
書いている途中は「結構長いなー」なんて思っていたんですけど、
投下を終えてみればそうでもありませんでした。
やはり僕はまだまだなんだなあ、と思い知らされました。
本当にありがとうございました。
- 90 名前:極夜 ◆y1TBgQ3JzI :2007/01/27(土) 17:25:44
- まとめ依頼出してきました。
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