◆azwd/t2EpE ,,2006/08/22(火) 21:53:22.86 ID:WllVhbVH0, まとめサイトさん
http://boonsoldier.web.fc2.com/sakuryaku.htm
http://plaza.rakuten.co.jp/uzakopr/
昨晩投下できなかった第4話と第5話を投下します
さるさんに気をつけながらゆっくりと・・・
支援可能な方いらっしゃいましたら支援くださると嬉しいです ,('A`)ドクオの策略がとんでもない方向に向かうようです
第4話 ◆azwd/t2EpE ,,2006/08/22(火) 21:54:04.96 ID:WllVhbVH0, 【Fourth Color : Orange】
重苦しい曇り空が鈍々しく広がっている。
空気も湿り始めていた。
「こんにちは!」
「どうも……」
私服姿を見るのは当然初めてだった。
オレンジ色のTシャツに、デニムのミニスカート。
白いバッグを右手に持っている。
確かに今日は晴れてこそいないものの、蒸し暑く、肌を露出したくなる気持ちは分かった。
椎野は早い時期から制服も夏用に変えていたし、恐らく暑いのは苦手なのだろう。
「ドっくん、黒似合うね。凄くいい感じ!」
「そう……?」
「うん……いつも制服姿だったから、私服見ると、ちょっとドキドキする……」
「……うん、俺も……」
嘘ではなかったが、例え何も感じなかったとしても、発した一言だろう。
そう言うべきだと思った。
「ホント!? ありがと!! 嬉しい……」
また、手を握られた。
そして、そのまま歩き出す。人通りがあまり多くない道を選んで進んだ。 ,
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします,sage,2006/08/22(火) 21:54:09.77 ID:a2FiRQU+0, 2get ,
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします,,2006/08/22(火) 21:55:39.21 ID:i+DVElWgO, 2get ,
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします,,2006/08/22(火) 21:55:54.45 ID:lTu2CRREO, ktkr ,
第4話 ◆azwd/t2EpE ,,2006/08/22(火) 21:59:24.71 ID:WllVhbVH0, 「こっちのほう来たことないから、全然分かんない……」
「ってか、あの駅で降りたことないよね……」
「うん、学校とは逆方向だし……でも、車で来ても30分かからないよね」
「だね……まぁ、何もないから、車で来ることもないだろうけど……」
「う、うーん……まぁ……」
小さな神社の角を曲がって、古い民家が立ち並ぶ小道を歩く。
太陽の照りはないが、今日は風もないため、やはり蒸し暑い。
繋いだ左手が、汗ばんでいるのが分かる。
「けっこう遠いんだね……」
「15分くらいかかるよ……」
「うーん……微妙な距離だね……」
椎野の右手からも、汗を感じる。少し息が荒くなっているのは、暑さが疲れを促進させているからだろう。
歩幅が小さくなりはじめ、視点もふらついていた。
「……あれは?」
ふらついた視線が、何かを捉えたようだった。
神社の周辺に植えられた木々に隠れて見えていなかった、大きめの建物だ。
「あれは……デパートというか百貨店というか……」
「寄ってもいい?」
椎野の体は、既にそちらに向いていた。 ,
第4話 ◆azwd/t2EpE ,,2006/08/22(火) 22:05:08.98 ID:WllVhbVH0, 「え……今から? 家のほうが近いけど……」
「せっかくドっくんの家に行くんだし、なんか買ってこっかなって。一緒に食べるお菓子とか」
「別にそんな……」
「まーまー……いいから、いいから……ね?」
また、顔を覗きこんで、上目遣い。
自分の武器をよく知っているのだろう、と思った。
「……じゃあ、行こっか……」
「うん! ありがと!」
椎野の歩幅が広がった。
自動扉が開いた瞬間、中から溢れ出す冷気。
椎野の表情が緩んだ。
「はぁ〜……生き返る〜……」
一階はスーパーだった。
ここは四階建てで、二階はファッションの店が並び、三階は雑貨屋や100円ショップ、四階は飲食店が多く配置されている。
大した規模ではないが、駅からそれほど遠くないこともあって、人は少なくない。
椎野はまずスーパーで飲み物やお菓子を少し買って、それからすぐに二階へ上がった。
一通りぐるっと回って、あのスカートが可愛いなどと言いながら、立ち止まらずに三階へ。
100円ショップには眼もくれず、雑貨屋のほうへ歩を進めていった。 ,
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします,,2006/08/22(火) 22:05:10.60 ID:+FKS85P/O, ktkr ,
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします,,2006/08/22(火) 22:05:48.68 ID:AS05vqQ+0, チェケラ ,
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします,,2006/08/22(火) 22:09:21.98 ID:p6pp1gdhO, ( ^ω^)支援するお ,
第4話 ◆azwd/t2EpE ,,2006/08/22(火) 22:12:17.42 ID:WllVhbVH0, 「可愛いブレスがあるー……いいなぁ……」
今度は立ち止まって眺めていた。
髪飾りやネックレスなど、次々と手にとっていく。
そして、小さな指輪を掴んだとき、動きが止まった。
「……ねぇ、ドっくん」
「え?」
「恋人同士っていったら……やっぱ指輪だよね?」
同じデザインの指輪を、右手と左手に持っている。
シルバーで、小さな十字架が刻まれた指輪。
値札には3000円と書いてあった。
「ペアで一緒に買いたいなぁって……思って……どうかな……?」
俺に飾りっ気は全くない。
ネックレスやブレスレットの類もしたことがないし、する気持ちが分からない。
似合うとも思えなかった。
指輪。想像もできない。
しかし、やはり抗える手段は思い当たらない。
「……うん……そうだね……」
「だよね! じゃあ買おっか。もう持っちゃってるけど、これでいい? 私がデザイン的に気に入ったやつだけど……」
「うん、いいよ……」
「じゃあレジ行こっか」 ,
第4話 ◆azwd/t2EpE ,,2006/08/22(火) 22:17:59.45 ID:WllVhbVH0, 片方を渡されて、レジへ。
代金の支払いは別々に行った。
レジを打つ若い女の子が、微笑ましそうにこちらを見ていた。
「はい」
買ったばかりの指輪を、手渡される。
一瞬、意味が分からなかった。
「え? これ、二つとも同じやつだよね?」
「うん。でも、お互いにプレゼントしあうほうがいいかなって思って。だから、はい」
右手を引っ張られて、手の上に指輪を置かれる。
レジ打ちの女の子は、まだこちらを見ていた。
「じゃあ、こっちも……」
左手に持っていた指輪を、椎野に渡す。
椎野は、言葉で表現できないくらい嬉しそうに、それを右手の薬指に嵌めた。
俺も慌てて右手の薬指に嵌める。
「どんどん恋人っぽくなってくね。嬉しい!」
無邪気な笑顔を、蟠りなく受け入れることはできなかった。
そしてまた手を繋いで、歩き出した。
そのまま下に降りて、そして建物から出る。
再び、俺の家へ向かった。 ,
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします,,2006/08/22(火) 22:19:24.81 ID:UI9rTWgv0, さるさん回避支援 ,
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします,sage,2006/08/22(火) 22:21:06.72 ID:tJSuiyT8O, 支援 ,
第4話 ◆azwd/t2EpE ,,2006/08/22(火) 22:22:10.47 ID:WllVhbVH0, 「ホントだー!! おっきいねー!!」
上京してきた田舎者のようだった。単純に、驚いている。
「かなぁ……」
「え、だって周りの家と比べたら明らかにおっきいし……私の家なんか、ここに比べたら鳥小屋みたいなもんだよー……」
「いやいや……」
「でもホント……凄いねー……」
呆ける椎野の右手を引っ張って、中に入る。
玄関を開けても、中は静まり返っていた。
「誰もいないの?」
「うん……親は二人とも仕事」
「そっか……」
椎野の右手に、少し、力が込められた気がした。
玄関のすぐ側にある階段を昇って、二階へ。
昇りきった場所の正面にある扉を開いて、俺の部屋へと足を踏み入れた。
「広い部屋だねー……」
「いつもはもっとゴチャゴチャしてるから狭く感じるけど……」
「私が来るから片付けたの? ゴメンねー……」
「いや……別に謝られることじゃないけど……」
そもそも、部屋を片付けたのは、自殺しようと思っていたからだ。
あれはまだ一昨日のことだが、今は遠い昔のことのように感じる。 ,
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします,,2006/08/22(火) 22:22:52.49 ID:cX0Qfk4dO, 糞して寝ろ ,