( ^ω^)ブーンがセイントになったようです
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 19:53:44.49 ID:nyESRgr40
- ( ^ω^)「セイントセイヤーーーーーッ!!!!」
( ^ω^)「とは一切関係ありませんお」
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 19:53:58.78 ID:jWvBEkit0
- スレ建てれないからここ頂くね
【VIPPERに】何か良い事をするスレ【出来る事・・・】
内容:2ch各板でUDとかやってるっしょ
VIP発で何か考えようぜ
アフリカに学校建てるってのも流れたし
1日暇なんだし何かやるぞー
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 19:54:16.49 ID:EV6zzNY30
- セイントテールだと思った俺は被差別階級
- 4 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 19:54:34.89 ID:eTc2m/Eo0
- ふざけんなお( ^ω^)
- 5 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 19:55:13.99 ID:eTc2m/Eo0
- ブーンがセイント(聖者)になったようです。
プロローグ「神様の存在」
神様はこの世にいると思いますか?
と問い訊ねられたなら、貴方はなんと答えるだろうか。
神様なんていう概念自体が間違っているのだと、何処かの宗教家以外の人間なら、そう思うに違いない。
それはそうだ。神なんて存在は、弱い人間が作り出した寄辺でしかない。
仮に神なんて存在がいたとしたならば、世界のゴミに該当する人間なんて当に滅んでいると想定して良いのではないか?
だってそうだろう。
兵器だの何だのを使って自然をことごとく打ち砕き、他の動物を自然界から追いやり。
それなのに、労わりの精神だか何だかっていうものを主張して、自分が善だと思い込んでいる阿呆もいる。
愛が世界を救うだの何だの? そんな馬鹿げた事があるものか。
……と、僕は心の中で度々思うのだ。
神様は、大抵の書物では人間同士の争いごとが嫌いなんていうイメージで出てくる。
それを見かねて、制裁するとか、そういう類の書物は今までに何冊も読んできた。
だが、そんなのも人間が作り出したお話でしかない。
神様がいたとしても、人間なんかには無関心じゃないのか?
神様が世界をどうにかしようって言うのは、神様が世界を作成、もしくはそれに何らかの形で関与した場合に限られる事ではないか?
これがどうしたと言うその答えは、個人の持つ神というイメージを形作る概念が、それぞれ違うと言う事だ。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 19:55:17.45 ID:RfhfrrUr0
- じゃあアフリカに学校建てよう
- 7 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 19:56:11.79 ID:eTc2m/Eo0
- あ、でも、人間って窮地に立たされたときは、神様に助けを乞うよね。
そういう意味では、全ての人間が神様を信仰しているのかもしれない。
さて、話を少し変えよう。
神様がいたという伝説が、今ではこの世界に広まっていると言う事について、だ。
おかしいと思うだろう? 僕は少なくともそう思う。
それに対する確実な根拠も、今のところは無いようだし。
だが、一部の宗教家どもが妄信するだけではなく、国民の半分近くがそれを信仰しているというのが驚きだ。
今では神様の影響は政治経済にも大きく関わり、信者の団体を刺激するような事があれば急激なインフレーションも起こりかねない。
その団体の名前は、『トリーシャ教』。
トリーシャ様の教えを説く会、という意らしい。そのままだな。
ちなみにトリーシャ様と言うのは、そのお偉い神様の名前である。名前の響きから分かるかもしれないが、女神だ。
そのトリーシャ様が何故ここまで信仰されるのか? それに至っても理由がある。
- 8 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 19:56:30.86 ID:eTc2m/Eo0
- 果てさて、ここで事は数千年前にまで至る。
世の中は安定しており、今とは違う均整な世界がそこにはありました。
しかしある日突然、何処からともなく闇が現れました。
闇は瞬く間に世界をすっぽりと覆いつくし、日の光さえ隠してしまいました。
おかげで作物は育たなくなり、町を照らす電気にかかるお金もバカにならない。
人々は次第に混乱し、世界には恐慌が起こりました。
そんな時、一人の田舎出身の娘が立ち上がりました。
彼女は毎晩神に祈りを捧げ、世界の救済を乞いました。
その祈りのかいあってか、気付いた時、彼女は女神となっていたのです。
女神となった彼女は闇を振り払い、人々を救済しましたとさ。
これは、僕の教科書に載っている神話を簡略したもの。
中途は省略しているが、物語の大まかな筋だけを語ればこれで十分だろう。
要するに、トリーシャはその深い信仰により女神となり、世界を救済した。
世界を覆った闇の詳細などについては一切不明。一説では、暗黒の魔王(?)の仕業とも言われている。
とりあえず、トリーシャはこれを女神なる力で吹き飛ばした。
こんな感じ。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 19:56:45.89 ID:18tisVDb0
- 推奨NG:豆男
- 10 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 19:56:56.21 ID:eTc2m/Eo0
- さて、物語にはもう少し続きがあってだ。
これはトリーシャの死後の話である。
トリーシャの死後、彼女を信仰していた人々は嘆き悲しみ、彼女の生きていた証を作ろうとした。
最初のうちは、ブロンズやシルバーの像を作るだけに留まっていたが、狂信者はそれで満足しなかった。
そこで発足したのが、トリーシャ教。彼女の教えを後世にも残そうと、狂信者達が作ったのだ。
そのトリーシャ教が現在までも残り続け、人々の寄辺になっていると言う事らしい。
最初にも言ったが、僕は神様なんて存在は信じない。
だから、トリーシャなんて神様がいるのも嘘っぱちとしか思っていない。
故に、僕は時々この修道院で神学を学んでいるのを不思議に思うことがある。
僕が修道院にいる理由こそがトリーシャ教が愛される理由でもあるのだが、今では少しそれに不服もある。
トリーシャ教は、道を失ったものに手を差し伸べる。
つまり、孤児やそれに等しいものに生活を提供するのだ。
その代わりに、世話を見る人間には必ず神学を学ばせると言う律儀さ。
僕も、そんな犠牲者の中の一人である。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 19:57:35.30 ID:6IY9ITbV0
- http://www.youtube.com/watch?v=Z4R70JNN8k4&eurl=
- 12 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 19:57:45.16 ID:eTc2m/Eo0
- だが、僕にもある日、転機というものが訪れた。
これは、僕の人生のターニングポイントになった出来事といって過言ではない。
神を信じていなかった僕が、信じざるを得なくなった出来事。
それはあまりにも衝撃的で、当時の僕にとっては辛いことでもあった。
現在は暇なので、ここに少し思い出を書き残しておこうかと思う。
〜大神官ブーンの手記 序章より〜
- 13 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 19:58:21.62 ID:eTc2m/Eo0
- 第一話「修士の日々」
最初に不運だと思ったのは、山頂に建物があったことだ。
他人からは山頂の空気が薄いとか、それを利用した高山トレーニングまであると聞かされていたが、ここまでとは。
とにかく、朝目覚めた時の気分がいただけない。
酸素を思い切り吸い込むことも何か出来ないし、雲がかっていて朝日もよく見えない。
目覚める、という事はイコールで日の光をさんさんと体に浴びる事だろう?
それも出来なくて、挙句には温度調節を冷房や暖房で賄っている所を見ると、やるせない気持ちになる。
そもそも、こんな高山地帯に建物を建てなければいいのに。
激しい運動の後、酸欠で倒れる生徒も希にいるのだぞ。
だのにこの学校の無能教師ときたら、自分たちの鍛錬が足りないだの………ふざけている。
大体が、朝の五時に起きろというのが特にふざけているのだ。
健康児なら、ぐっすりと朝は………そう、日の昇るころまで寝ていなければならない。
寝る子は育つ、という位なのだから、起きている時間の分に割のあわない睡眠時間は腹がたつ。
ちなみに就寝は二十二時。お祈りしてから眠るとか、正直な所どれだけだと思った。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 19:58:33.25 ID:wEp7HZid0
- 普通に聖闘士かとおもた。
- 15 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 19:59:04.97 ID:eTc2m/Eo0
- そんなこんなで、僕の目覚めは今日も今日とて宜しくなかった。
温もりの僅かに残る布団から這い出てカーテンを開けても、どよんとした空が広がるだけ。
辺りの景色はというと……草木なんて殆どない。ごつごつした岩肌が、目前には広がっている。
ガラス越しに写る自分の姿も、なんだかいつもよりやつれて見える。
少し溜息を吐いた後、僕は何も言わずにカーテンを閉めた。
現在の時刻………四時半。少し早く起きたな、珍しい。
僕は朝に強い体質ではなく、修道院に来たころなんかは寝坊の常習犯だった。
そのおかげで何度無能教師に呼び出された事か。
朝起きる事の何が、トリーシャ様への信仰へと繋がるというのだろうか?
全くもって理解できないし、理解しようともしない。
お偉い人の考えている事は、僕には全くもって分からなかった。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 19:59:27.61 ID:CLMc5b3n0
- 良い事ってなんだろうな・・
ってかこの豆なんなの?ウザイ
- 17 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 19:59:28.22 ID:eTc2m/Eo0
- セイントは聖闘士ではなく聖者という意が正しいのです
- 18 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:00:13.27 ID:eTc2m/Eo0
- http://ex15.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1151837225/l50
おまえらはこっちでやれ( ^ω^;)
- 19 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:00:57.25 ID:eTc2m/Eo0
- その後は、遅刻するのも嫌なのでさっさと法衣に着替えた。
僕の法衣は、修士五級のもの。ちなみに修士五級というのは、階級で言うと下位に当たる。
そこから四級、三級と行って、一級、特級、神官とどんどんランクが上がっていくのだが、それは試験の成績によって決まる。
果てさて、僕の成績ときたら酷いものだ。
試験には筆記と術のテストと、二つがあるのだが。
無能な僕は、どちらをやってもダメダメ。
筆記はまだしも、術に関しては才能がないのだろう。
術としては初級である治癒すらロクにできないのだ。
いい加減、無能教師も僕に愛想を尽かしてきている。
この調子で修道院をやめることが出来たら、どんなに幸せだろうか…。
いつの間にか、時刻はもうすぐで五時になろうとしていた。
五時からは、朝の祈りと称した黙祷の儀の様なものがある。
一時間、黙祷(神に祈る)をするのだ。誰も一言も喋らずに正座して。
暇といったらありゃしない。これが日課だから更にだ。
外の山は寒いというのに、生徒は法衣を一枚羽織った状態で黙祷しっぱなし。
暇だし、寒いし、良いことなんて一つもなかった。
それでも、クソ真面目な生徒は熱心にお祈りしているのだ。トリーシャ様の力の偉大さを感じるよ、まったく。
- 20 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:01:40.55 ID:eTc2m/Eo0
- さて、そろそろ部屋を出ねば。
木製の簡素なドアを開いて廊下へ一歩踏み出した時、僕は誰かが此方へ向かってくるのが目にはいった。
あのブルーの豊かな髪に……修士三級の法衣。
ああ、あれは。僕の友人でもある、クーだ。
僕と同時期に修道院に入り、ぐんぐんと成績を伸ばしていった。
今では、級に随分と差がある。下級は上級に敬語を使う規則があるが、知ったこっちゃない。
「クー、おいすー^^」
僕の間の抜けた声がクーに聞こえたらしく、彼女は小走りして僕の前にやってきた。
「やあ、ブーンじゃないか。これから朝のお祈りだな」
ちなみに、ブーンというのは僕のあだ名。
本名は内藤ホライゾンというのだが、何故こんなあだ名を付けられたかは、あえて触れないでいて欲しい。
「お祈りというか、黙祷だろ? 暇な事この上ないお……寝ていたいお」
「ハハ、そうかい? 私はトリーシャ様に祈りを捧げていられる瞬間が一番落ち着けるよ」
正直、こいつも頭がおかしいと思ってしまった。
まあ、人それぞれによってトリーシャに対するイメージは違うんだろうけども。
僕のトリーシャに対するイメージは、どうでもいいもの。
対してクーのトリーシャに対するイメージは、寄辺。
偶像崇拝でもしているような集団を、僕はいつの間にか蔑んでいるようになっていた。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:01:47.04 ID:n2H0ryRK0
- 待ってたけどまた一話から投下か
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:01:57.99 ID:CLMc5b3n0
- お豆ちゃん必死だな
- 23 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:02:16.12 ID:eTc2m/Eo0
- ごめんね
まとめて貰うことになったから一話から投下してるんだ
- 24 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:02:47.66 ID:eTc2m/Eo0
- 僕とクーは、廊下をゆたゆたと歩いていた。
寒い冷たい岩肌の上で行われる、つまらない黙祷をしに行く為に。
もっとも、そう思っているのは僕だけかもしれないのだけれど。恐ろしい事だ。
静かなのも難なので、クーに会話を持ちかけてみよう。
「クーはトリーシャ様への信仰があついねだお」
「む、そうか? 修道院にいる人間はみんなトリーシャ様を信仰しているのだろう」
「そうでもないお。僕は実際、あんまり神様とか信じてないんだお」
「? では、ブーンは何故修道院にいるんだ?」
当然の疑問だ。
修道院なんて、僕は進んでくる事は先ずない。
そんな僕が今修道院にいる理由は一つ。孤児だったからだ。
戦争で親を亡くし、行き場を無くして彷徨っていた所を、ここの神官の一人であるミルナ様に拾っていただいたのだ。
それから暫くはミルナ様の恩義に報うべく勉強に熱心になっていたが、ミルナ様が亡くなってからどうでもよくなった。
考えてみれば、神様を信仰だのどうのなど馬鹿馬鹿しい。
戦争が耐えないこの世の中で、自愛の精神を持とうとするのもおかしい話である。
今すぐ修道院なんてやめてしまいたいものだ。
だが、修道院をやめるにもリスクがいる。
僕は孤児の出で修道院に入った。
年会費など、全て修道院が持っている。
神官となればそれは全て免除されるが、中退する時はその金額を全て払わねばならない。
生憎だが、そんな金を僕は持ち合わせていない。
だから、やめることも出来ない…………いつか脱走してやる。
- 25 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:03:47.55 ID:eTc2m/Eo0
- 「僕が修道院にいるのは、孤児だからなんだお」
クーには、そう返しておいた。
「そうか、ブーンは孤児だったのか。つまり、誰かに拾ってもらったんだな」
「うん、以前まで神官だったミルナ様に拾っていただいたんだお」
「ミルナ様というと………二年前に亡くなったあのお方か」
ミルナ様は、二年前に亡くなった。
病気でも、自殺でも寿命でもない。他殺だった。
誰が殺したとか、そういったことは現在でも不明である。
死因は、術によるもの。よって犯人は、僕らと同じ術を使える訓練を受けた者だ。
けど、ミルナ様はとても強かった。その術の威力、大陸でも本当に上位に入るものだろう。
そんな彼を殺すほどの術師が犯人。
だが、手がかりはそれだけ。犯人が早く捕まる事を、僕は願っていた。
「ミルナ様は偉大な神官だったな。術の威力も相当なものだったし、性格も優しかったしな」
「お? クーもミルナ様と何か関わった事があるのかお?」
「知らなかったのか。私は、ミルナ様から術の講義を受けていたんだ。だから、何度も話したこともあるんだ。言えば恩師だな」
「そうだったのかお・・・…。ミルナ様は人徳の厚いお方だったお。何故殺されたんだお……」
「私も同感だな。残念でとても悔しいよ。いつの日か神官となり、犯人を見つけ出してやりたい」
クーは拳をぎゅっと握り締めていた。
その悔しそうな表情には、僕も共感できる。
ミルナ様は、僕が唯一尊敬する神官だからだ。
- 26 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:04:19.69 ID:eTc2m/Eo0
- さて、そうこうしている間に、冷たい風の吹く岩肌にやってきた。
何処までも岩が広がるその様は、まるで壊滅した世界を思わせるが如く。
尾根の方に行けば川や木はあるが、この中腹部にはそういったものが一切ない。
乳色の朝霧が薄っすらと場を覆い、視界もあまりままならない。
全くもって僕は山が嫌いだ。太陽も、最近あまり見ていないし。
……太陽を見てないって、これは僕が引き篭もり故に言った台詞ではないぞ。
「さて、お祈りだな。じゃあ、後でな」
「また後でだお」
クーとは軽く手を振っただけで分かれ、僕は修士五級の列へ行く。
黙祷の時の隊列は、来た者の順からどんどん後ろに並んでいくという単純なもの。
ちなみに、前に行こうが後ろに行こうが寒いことは変わらないので、隊列の事はどうでもいいことだった。
唯一の利点といえば、後ろのほうが教官の目がつきにくいということか。
教官は、僕らと向かい合う形で瞑想している。
そして、時折目を配らせ、祈りを疎かにしていない者がいないかをチェックする。
ちなみに僕は何回かそれで見つかり、反省文だの体罰だのを色々受けてきた。酷いもんだぜ。
クーと話してきたからかは知らないが、今日は少し遅めに来たようだ。
幸いな事に隊列は殆ど完成しており、僕は後部という素晴らしいポジションを取ることが出来た。
- 27 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:05:01.04 ID:eTc2m/Eo0
- 「今日も集まったな、諸君」
と、突然野太い声が聞こえてきた。
声の主はギコ教官だろう。黙祷の時は、彼が必ず指揮をする。
ちなみに、僕の脳内無能教師の一人でもある。何故こんな暴力的な奴がトリーシャに仕えている身だといえるのだ。
「それでは、トリーシャ様への祈りを捧げよう。今日も主に感謝したまえ」
ギコのこの言葉で、辺りは一気に静寂する。
鳥の声もしない、虫の声もしない、人の声もしない。
ただ唯一、風の匂いと音が辺りを駆け抜ける。
正直、僕がこの暇な時間にする事は眠るか妄想するかだ。
大方は後者で終わっているが、黙祷なんて目を瞑っているだけなので、運が良い時は寝ているだけで見つからない事もある。
今日は後ろの席を取れたんだし、眠っていよう。
- 28 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:05:42.36 ID:eTc2m/Eo0
- 「ふわ〜ぁ…」
その後は、眠い目を擦りながら朝食を食べ終え、教官のくだらない授業を受けに行く。
本当にくだらない授業だ。神学をやっているくらいなら、何処かの科学者が編み出した数学論でもやっている方がマシと本気で思う。
トリーシャ様の伝承とかそんなこと、僕にはどうでもいいのだ。倫理学に興味などないのだ。
だのに無能教官ときたら、同じことを繰り返すばかりの授業。
トリーシャ様の伝承なんて、もう何回聞かされたことか……。
その他には、トリーシャ様の故郷がどうだったかとか恋人がどうだったかとか。
あとはそう、歴史学! これがまたつまらないったらありゃしない。
トリーシャ様の生誕から死後の流れまで暗記……そしてその後の教会の発足やら何やら。
ちなみに、今日の一限は歴史学。
僕の大嫌いな教科だと言おう。はっきり言ってとてつもなくだるい。
さて、そんなこんなで歴史学の講義室に入った僕にぶちかまされたのは、歴史の教員であるギコの怒声であった。
突然の事にたじろぐ僕に、ギコはどんどん引きつった顔で近づいてくる。
「ゴルァ! ブーン、てめぇは………!」
イキナリ、襟首を鷲づかみにされた。
何だっていうんだよ、一体!
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:05:49.75 ID:gOwz9zn80
- わっつまいねーわっつまいねーあーっあっあーっあっあー
- 30 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:06:21.72 ID:eTc2m/Eo0
- 「何ですかお!」
「何ですかお? じゃねえよバーロー!」
ギコは僕をそのまま、地面に放り投げた。
顔面から地面に落下し、頬を思い切り地面にぶつけた。
畜生! 痛い! 何しやがるんだこの無能教師ッ!!
「お前、何で今怒られているのか理解できねえのか?」
ギコは僕を見下しながら言う。
図に乗るなよ、この無能教師が……!
「僕が何かしましたかお…!? 何でいきなり暴力を!」
「バッカヤロウ!! お前には特別講義をしてやるから講義開始の三十分前には来いと言ったろうが!!」
そこで僕は思わず、あ、と声を漏らさずに入られなかった。
その様子を見て、ギコが僕の頭をポカリと殴る。
そうだ、僕はあまりの成績の悪さに特別講義をされる予定だったのだ。
すっかり忘れていた。今回は僕のほうが悪いのは認めよう。
だが、体罰とはいかがなものだろうか!? 宗教家ってのは暴力はダメなんじゃないのか!?
「何だ、ブーン。その目は…」
「暴力を振るっていると、トリーシャ様から見捨てられますお」
「―――――ッ!!」
ギコはそこで、堪忍袋の緒が切れたようだ。
顔を真っ赤にし、手近な杖を持って僕に殴りかかってきた。
- 31 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:07:03.74 ID:eTc2m/Eo0
- 「やべえお」
そこで僕は、ギコを怒らせたことを後悔した。
こいつは、キレると何をするかわからないことで有名なのだ。
以前は反感的な生徒をボコボコにして、謹慎をくらっていた事もあった。
そのギコが、今猛烈に怒っている。マズイ、マズイマズイ!
これは死を覚悟するべきかもしれない………って、考えてる暇はない!!
悠長にしている間に、ギコの杖が目前まで迫ってきた!
思わず覚悟して目を閉じたが、その杖が僕にあたることはなかった。
おそるおそる目を開けると、誰かがその腕を掴んで止めたらしい。
一体、誰が―――。
「暴力とはいただけませんよ、ギコ先生」
「――――ッ!?」
ああ、こいつか。クラスメートのショボだ。
超優等生で、何故修士のままでいるのか謎な奴。
ショボは、暴力が嫌いだった。修道院にもたまに暴力的な生徒がいるのだが、仲介に入るのは決まってショボだった。
「退け! 俺はこいつを―――ッ!」
「大人気ないなあ」
護身術か何かだろう。
ショボは掴んだギコの右腕を自分の手ごとくるりと回し、次の瞬間にギコは体をひっくり返していた。
ギコは何が起こったのか分からず呆然としていたが、暫くすると羞恥の感情が出、歯を食いしばっていた。
- 32 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:07:26.08 ID:eTc2m/Eo0
- 「糞がッ!! もういい! お前ら後で覚悟しろよ!! 今日の授業はこれで終わりにする!! あーくそ、レンジ聞いて心を癒すぜ!」
ギコは怒声をかまして、講義をすっぽかして何処かへ行ってしまった。
教室に残された生徒達は唖然とするばかりだったが、暫くするとひそひそと会話が聞こえてきた。
「ちょ………あいつレンジファンかよ」
「マジキモイんだけど」
「レンジってあのレモンジレンジでしょ? まだあのグループ好きな人いたんだ」
「レンジファン(´・ω・`)ぶち殺すぞ」
「あのパクリグループきもいおwwww」
「アンチのこと人種とか言ってんのかね。きんもーっ☆」
「レモンジレンジ(´・ω・`)知らんがな」
結局、その後ギコが戻ってくることはなかった。
部屋でレモンジレンジの歌でも歌っているのだろう……きめぇ。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:07:34.97 ID:mxzFgmCUO
- おい…総合前スレでやたらと豆男を崇拝してたヤツ=豆男かよ…。
お前豆男だろ?のレスにも別人って答えてたのに…。
正直かなり引いた。
- 34 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:08:21.93 ID:eTc2m/Eo0
- そのまま一限は無事に終了したのだが、その後すぐにやってきた教官が僕とショボを神官室へ呼び出した。
神官室というのは、この修道院の長がいる部屋だ。
少し前まではミルナ様が長であったのだが、彼の死後からはオルミアという女性神官が長になっている。
一説では、オルミア様が長の座を狙ってミルナ様を暗殺………なんてのもあるが、正直そうは思えない。
何故ならば、オルミア様はとても温和で、心優しい方なのだ。
無能教官のギコなんかとは段違いだ。世の中の人間全てがオルミア様の様だったら良いのにとさえ思う。
「内藤君、ショボ君」
オルミア様が、冷笑しながら僕らを見つめる。
何だか知らないが、僕もショボも背筋にゾクッとしたものを感じた。
「ここに呼ばれた理由は分かるね?」
「ええと………その」
僕はとぼけたが、優等生のショボはそうしなかった。
僕の一歩前に出、オルミア様と対峙する。
「もしかしてギコ先生のことですか? あれは、彼がブーンに暴力を振るおうとしたからですよ」
オルミア様は一瞬眉をひそめると、僕らの方ではなく、後ろ向きになって窓の方を見た。
何だ、温和ないつもの先生とは違うふいんき(何故か変換できない)が漂ってる……。
「ギコ先生も確かに悪いです。彼には、厳しい処罰を与えましょう。しかし」
オルミア様が振り返り、僕ら………と言うよりは、僕だけをじっと見詰めてきた。
それも、厳しい眼差しで。一瞬、身の毛がよだったほどだ。
- 35 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:08:52.87 ID:eTc2m/Eo0
- 「内藤君の成績が悪いのもまた事実。そして、ギコ先生の講義をすっぽかしたのも事実」
「はぁ………それについてはすいませんでしたお」
「よって、君には処罰を与える事にします」
「はぁ、そうですかお………………って……え? 処罰?」
処罰、という言葉に縁がないのは当然だ。
それは、相当DQNな生徒に下される処分の事だろう。
そんな、たかが講義をすっぽかして、挙句の果てには無能教師を勝手に怒らせただけで処罰!?
何だよ、それ! 退学とか言われたら僕はどうすればいいんだ!?
中退金は払えない。なら、せめてでも謹慎処分………されたら、行き場もない……。
ああ、僕はどうなるんだよ。葛藤が……あぁ。
と、困惑している僕の眼中に突然飛び込んできたのは、洋紙であった。
インク臭い。何か書いてあるのだろうか。
よくよく見ると、まだ艶の残る黒インクでこう書かれている。
『お守りの在庫がきれてしまいました。
なので、下山してリスボンの町からお守りをもらってきてください。
既に発注はしてあるので、道具屋に行って、この書類を見せれば貰える筈です。
あ、道具屋さん、お金は口座に振り込んでおきましたのでお願いします^^;
オルミア』
- 36 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:09:28.13 ID:eTc2m/Eo0
- 「……なんですかお、これ」
「お守りは教会の収入源です。ですが、在庫が切れてしまったため、今少し苦しいのです」
「それで、あなたはもしかして…」
「ええ、君にはこの書類を持ってリスボンへ行ってもらいます」
最初に心に浮かんだ感情は、不満ではなく満悦だった。
一瞬でもこの薄汚い修道院からおさらばできるのが嬉しかった。
だが、次の瞬間に困惑する。
僕は、下山した事はない。例え地図をもらっても、それを読んでうまく町までいける自信はない。
コンパスとか、使い方さえ知らないし、この辺りは磁力が働いているはずなので、針がまともに作動しないだろう。
と言うか、それよりも前に盗賊や野獣とかに殺されてしまう可能性だってあるんだ。
町から町に移るには、帝国騎士団やら何やらから護衛を付けるのが常識の世の中。
以前聞いた話では、リスボンなる町までは下山後に山一つ越えねばならないらしい。
まさか僕一人で行けと言うのではないだろうな、オルミア様。
「不安そうな顔ですね」
オルミア様、僕の思考を完全に理解しているのだろう。
この人お得意の冷笑が、また僕の心を貫いた。
「僕一人で行けと言うんですか?」
「いいえ。その為にショボ君も呼んだんです」
「はい?(´・ω・`)」
- 37 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:09:52.66 ID:eTc2m/Eo0
- ショボと僕の声が同時に重なる。
当然だ。ショボにとっては、全く想定外の出来事だろう。
まさかこの神官、ショボを僕のお使いに付き合わせるつもりじゃないだろうな…。
いや、それが的中だろうな。オルミア様ときたら、ショボの事を横目で見て笑っていやがる。
「ショボ君、ギコ先生を怒らせてしまったのは君です」
「で、でも! それはあの先生が悪い事で…!!」
「言い訳無用。それに内藤君だけでは不安なので、君にも行ってもらいます」
「ちょ………(´・ω・`)知らんがな」
「私も知らんがな」
結局、ショボがその後オルミア様に言いくるめられてしまった事は言うまでもない。
優等生のショボは、神に祈る時間が等とぼやいていた。信じられん。
こいつもクーと同様、厚い信仰で修道院に来たのだろう。
全く、この山を下山したらそこはどんな世界なんだろう。
人口の半分近くがトリーシャ教と聞くし………恐ろしいよね。
その後のショボの機嫌は、妙に悪かった。
話しかけても、ぶち殺すぞという単語だけを連発された。
本当にショボはこの修道院から出たくなかったらしい……乙なことだ。
- 38 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:10:30.48 ID:eTc2m/Eo0
- さて、当の僕はというと、明日から下山するための支度をしていた。
食料、水、野宿セット等、生活に最低限必要なものは勿論。
暇な時読書するための本や、携帯ゲーム機や。
後は野獣なんかに遭遇した時の為にと、オルミア様がくれた高レベル術師用の杖。
修士二級以上に与えられる杖であり、五級の僕なんかが持っていていいのかと思うほどだ。
この分では、ショボなんかは修士一級の杖でも頂いたのではないか?
それで明日の朝には機嫌を直してくれていればいいんだがね。
「ふわぁ。」
欠伸が出た。
今日は疲れたので、眠気がさしてきたようだ。
明日の朝から、あの退屈なお祈りもなくていいのか。
そういう意味では下山が嬉しい。というか、嬉しくない事なんて一つもないんだけど。
明日の朝は早いので、さっさと眠る事にしよう。
僕はベッドにもぐりこみ、布団を自分に覆いかぶせた。
- 39 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:10:46.80 ID:eTc2m/Eo0
- 明朝、朝日は相変わらず差し込まない。
やはり乳色の霧がかすみ、辺りの景色はハッキリしない。
気温は昨日よりも寒くて、毛が逆立ちっぱなしだ。おかげで、法衣を二枚も羽織る羽目になった。
視界がはっきりしないといっても、それは最初だけの事で、ショボがしぶしぶながら光の法術で辺りを照らしてくれた。
その右手には、やはり修士一級の杖が。
ショボも、ちょっとご機嫌な様子であった。
僕はそれを見て、ホッとしたものだ。
「ショボ、リスボンまでの道は把握しているのかお?」
「まあね。こう見えても僕、リスボンの出身だし。地図がなくてもいけるよ」
「へぇ。ショボって、リスボンからここを受けに来たのかお。近くに修道院ないのかお?」
「リスボンの最寄修道院ってここなんだよ。意外とあの辺、トリーシャ教に過疎いんだよね」
「そうなのかお? トリーシャ教って世界の人口の二分の一とか聞いたけど」
「誰から聞いたんだよ。トリーシャ教は、精々でも人口の四分の一くらいだと思うよ」
怪訝そうな顔をする僕に、ショボが真実をさらりと。
そういえばこの噂、誰から聞いたんだっけ? 何でも鵜呑みにしてはいけないな。
- 40 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:11:27.43 ID:eTc2m/Eo0
- 「まあ、いいお。それより、リスボンまではどのくらいなんだお?」
「山道は一本道だからね。もう少しで多分ふもとの町まで出ると思うよ。そこで休憩しよう」
「把握した。それまでに野獣とか盗賊とか出たりしないおね?」
「まあね。この辺りには獰猛な生物は住んでない筈だし、盗賊なんかも教会の周りは自警団が退治してくれてるしね。あれ見てみなよ」
ショボが指差した先には、鉛色にどんよりと光る鎧に身をまとった騎士がいた。
と言っても、帝国の騎士団とは違い、修行僧の中から教団の警護の為に騎士となった者だ。
それを自警団と称する。彼らは、朝早くからこの辺りの治安を維持してくれているのだろう。
自警団の人は、僕らに気付くと手を振ってくれた。僕とショボも手を振り返す。
僕らを人目見て不審者でないと理解するとは、視力はとても良いらしい。
これで腕っ節が強ければ、トリーシャ教は本当に安心だな。
「まあ、心配せずにのほほんと行こうよ」
「そうだねだお」
僕とショボは、ゆるゆると山道を下っていった。
- 41 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:12:00.17 ID:eTc2m/Eo0
- やがて、絢爛な風景になる。
背低な木やら巨木が立ち並ぶようになって、辺りは一気に気温を上昇させた。
その初めての暑さに、僕はたじろいでいた。
それは正に、シベリアで寒さしか知らない人間が砂漠の暑い空間に放り込まれたような。
長い間低気温の中で育ってきた僕は、そう言う訳で暑さが苦手なようだった。
ショボに比べて、その数倍の量の脂汗を流し、息を荒くしているように思える。
ショボはというと、蔑むような目で僕を見て何も言わない。悔しい。
「暑いお」
「知らんがな」
会話も、二言返事だけで終わる。
ショボの奴、暑くて少し気が立っているようだった。
山の上にいて気付かなかったが、今の季節は夏だったのだ。
それも、猛暑な日々が続いているらしい。
夏鳥や夏虫の声は、最初こそ心地よいものであったが、いい加減に鬱陶しくなってきた。
プンプンと耳の周りを飛び回るのは、吸血する虫。
羽音が嫌に耳に響く。煩い。叩き殺してやりたい。
耐え切れず、その虫をぺちんと潰す。
そうすると、手の中には汗に塗れた虫の死骸と、その虫のありとあらゆる体液が。
嫌な羽音はその一匹を殺しただけでは終わらないし、手は汚れるし。
下の世界は良い事ないな。山の上って、案外快適だったのかもしれない。
- 42 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:12:38.13 ID:eTc2m/Eo0
- 「ショボ……町までは後どれくらいだお」
この言葉、何回言っただろう。
でも、言わずにはいられないこの気持ちを分かって欲しい。
ショボはもう、いい加減にしろという眼差しをこちらに向けて、何も言わずに指を指した。
その方向に、僕は見た。何か大きな建物があるのを。
屋根の部分くらいしか見えない。
美しい紫の色をしているようだ。何の建物だろう。
っと、建物? 建物があるという事は、あそこが例の町なのか。
距離的には、今まで来た道に比べれば大した事はない。
歩いてでも、十分以上はかからないだろう。
やっと目前に見えた休息に、僕は胸を弾ませた。
「ショボ、急いで街行って休むお!」
「うるさいな、お前一人で行けよ」
走る気力もなくしているショボをおいて、僕は一人山道を駆け出した。
地を蹴る足は強く、一歩一歩しっかり前に踏み出して。
―――思えば、ここから、僕の小さな冒険が始まったのだ。
第一話 完
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:13:12.44 ID:KKf+yOqW0
- カタカタ
|| ̄ Λ_Λ
||_(Д`; ) 「なに?このスレ・・・」
\⊂´ )
( ┳'
- 44 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:13:16.36 ID:eTc2m/Eo0
- 殆ど勢いで書いた。今は反省している。
ブーンがセイントになったようです 概要
・十二話完結予定。
・不定期更新。
・戦闘は多少あり。
・セイントは聖闘士じゃなくて聖者の意。セイントセイヤなんて知らねーよwww
顔文字なくて読みにくいとか知らんがな。
シリアルキラー真似てるんやがな。
- 45 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:14:28.58 ID:eTc2m/Eo0
- 第二話「因果の始動」
ふもとの村、というだけあって小さかった。
遠くから見えた紫色の屋根は、その街の教会のものであった。
街に着くとすぐ、ショボはお祈りしていくと小さく言ってそそくさに僕の前から消えてしまった。
僕のことが嫌いだったんだろうか。悲しい。
まあ、それは置いておいてだ。
僕は自由時間を頂いたわけだ。ショボが戻ってくるまでだけど。
何処へ行こうか、と思案する。
街なんて初めてだし、色々行ってみたい所がある。
様々な露店が並ぶ商店街だとか、街民が集まる広場だとか。
始めてみるその街の光景。新鮮だった。
とりあえず僕は、街の広場に行く事にした。
- 46 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:15:23.74 ID:eTc2m/Eo0
- そこには、随分と目立った噴水があった。
大きな噴水で、その中心部には恐らくトリーシャであろう像があった。
凄まじい。トリーシャ教の力は、本当に世に広まっているんだなと実感だ。
そのトリーシャ像が水瓶を持ち、そこから止め処なく水が溢れる。
よく水が絶えなく流れ続け、噴水の水が溢れないもんだと感心しながら、僕はその辺りのベンチに座った。
ベンチは日の光を吸って暖かかった。
ちなみに猛暑といったが、先程は森の中にいたので余計に暑く感じたらしい。
今は街の中、そして噴水の側という事もあって大分涼しい。
涼しさがこんなに気持ちのいいことだとは。街に下りてきて始めて気付けた発見だ。
「アッハ〜ンなんかいい感じ〜」
そんな心地いい気分を壊す野太い声。
何処かで聞いたことのあるメロディが、突然空間に響き渡った。
ギコのものではない。が、それと同等な臭いがする。
「クモンベイベ〜」
……何だ、街ではレモンジレンジは更に人気らしいぞ。
いったい誰かが歌っているのかと思って周りを見れば、街の至る所に設置されたスピーカーが設置されている。
そこから聞こえてくるとは………つまりこれは、街のBGMという事なのか?
それにこれ、レモンジレンジの歌っている原曲だ。
なんだ、随分へたくそなんだな。一度ギコが歌っているのを聞いたことがあるが、少なくともあれよりはうまいがな、うん。
そもそも、教会社会でこんなちゃらちゃらした連中がいるのがおかしいものだ。
と、思ったがすぐにその考えを否定した。
人口の半分がトリーシャ教というのは、虚言でしかなかったのか。
ならば、レモンジレンジのファンがトリーシャ教の信者に勝っていてもなんらおかしくは無いか。
いや、個人的には嫌だけど。
- 47 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:15:57.83 ID:eTc2m/Eo0
- そんなどうでもいい事に時間を費やしていると、後ろから誰かが肩を掴んできた。
「やあ」
振り返ると、ショボだった。お祈りは終わったらしい。
腕には何だか見慣れぬブレスレットまでしている。どうしたんだろう。
「お祈りは終わったんかお」
「ああ。トリーシャ様に旅の安全を祈ったよ。それより、このブレスレット見てくれよ」
ショボはそう言うと、左右の腕にはめた金のブレスレットを見せびらかしてきた。
微細な装飾が施されていて、しかも金製。決して安価ではないだろう。
しかし、これがどうしたんだ? まさか、旅費で買ったんじゃないだろうな…。
「何でも、トリーシャ教の総本山であるトリーシアの聖水で清められたブレスレットらしいよ!」
「は?」
「魔除けに、安全のお守りにもなるんだって。ブーンも一個持てよ」
ショボは、左の方の腕に嵌めていたブレスレットを外して僕によこした。
受け取ってみて始めて気付いたのだが、その金は鍍金だ。
少しばかり、下地の銀が見えている。
これはショボ、騙されてるぞ、絶対に。
「いくらしたんだお?」
「え? 三千だけど」
「は? 旅費は一万しか貰ってないんだお? 何考えてんだお」
「知らんがな。命は金に変えられないだろ?」
「命? 馬鹿じゃないの、お前騙されてるよ」
「何言ってんの? 僕が騙されるわけ無いじゃん。ぶち殺すぞ」
- 48 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:16:41.22 ID:eTc2m/Eo0
- ショボはどうやら、騙されやすいようだ。
こんなんで一人前の修道士になれるんだろうか、こいつは。
「そのお守りはショボの自腹だお」
「は?? 何その態度?? 僕はブーンを気遣ってやってんだよ??」
は? 何コイツ?(;^ω^)
「それはお節介だお。第一、旅費をこんなのに費やしてどうすんだお。そのお金はあくまで宿代とかなんだお?」
「は? は? は? うるさいんだけど。なんなんだよ、折角買ったのに………グスッ」
泣き出すショボ。
泣かせるつもりは無かった。しかし、僕も少々言いすぎたか…?
「今回だけは許してやるお。でも、もう二度と必要ないもん買うんじゃないお」
「ブーンのくせに………修士五級がほざいてんじゃねえぇえぇぇぇ!!」
折角慰めをかけてやったのに、ショボはそのまま何処かへ駆けて行ってしまった。
追いかけようとしたのだが、いかんせんショボは足が速い。
というか、即座に術を使って脚力を上昇させ、僕が追いつけないようにしている。
後で適当に探してあげるとしよう、まったく。
もしかしたら、すぐに探して欲しかったのかもしれないけど(´・ω・`)知らんがな。
- 49 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:17:31.79 ID:eTc2m/Eo0
- さて、そんなことよりもだ。
ショボの用事が済んだなら、帝国騎士団の詰所に行かなければならない。
リスボンまでは山一つあるらしいし、途中で必ず獣なんかが現れるだろう。
ショボの術で大方は撃退できるだろうが、正直お荷物の僕を庇いながらだと一人ではきついだろう。
そこで、護衛を一名つけることにしたのだ。
と言っても、街から街へ一般人が移動する際には護衛を付けるのが義務なのだけど。
ちなみに、無料。
お給料は国から貰っているそうです。
随分と安心な世の中になりましたね。
そんな訳で、街の人々に道を聞きながら詰所にたどり着いた。
意外とこぢんまりとしている宿舎のような場所だった。
気のせいか、熱気が立ち込めてるような。
蒸れたような臭いがするのは、本当に気のせいだろうな。
ちょっと不安になりながら、詰め所の扉を引く。
と、まあ、中に入ったまでは涼しかった。
冷房が完備されているようだし。
唯一つ、少しばかり奥の方を見たとき、僕はげんなりしてしまったのは言うまでも無い。
その奥の部屋には、冷房がないようだ。
そんな部屋に、男が十人ほど。全員、筋肉トレーニングをしている。
それで更に最悪なのが、その臭いがこちらまで漂ってくる事だ。
汗臭い。とにかく汗臭い。涼しいが臭い。
せめてドアを閉めてやってくれ。うおぇ。
- 50 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:18:32.66 ID:eTc2m/Eo0
- 「あら、お客様ですか?」
そんな気分の悪い僕に、リクルートスーツを着た女性が話しかけてきた。
大方、詰所の役員さんか何かだろう。
何というか、この人は体に男たちの汗の臭いがしみこんでいやがる! 体臭くせぇ。
「お客様ですお。そのお客様からお願いがありますお」
「はい?」
聞こうとしていることが本当に分かっていないのか、この人は。
「臭いですお。あのトレーニングルームのドアを閉めてくださいお」
「え? 臭い?」
「臭いんですお」
女の人が、不思議そうな表情をしている。
臭い以外にどんな例え方があるよ。
「いい香りです」
「は?」
「男の汗の臭い……いい香りです。何故な貴方には分からないんですか?」
「は? 臭いですお?」
「は、臭い? 何なの、あなた。イキナリ入ってきて私の気持ち良いひと時を邪魔しないでくれない?」
な、何なんだこいつ!
そう思うと同時に、プツッ、と僕の頭で何かが切れる音がした。
「ふざけんなお。僕はお客だお! お前より立場は上だお!」
「何威張ってんのよ、白豚。ブヒブヒ言ってて気持ち悪いわ」
「――――――ッッ!!!」
- 51 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:19:34.08 ID:eTc2m/Eo0
- そこで僕は、ギコになった。
いや、正確に言えば、杖でこいつを殴ろうと思ったのだ。
どんなに口が回っても、所詮は女。僕の攻撃を防ぎきれるはずは無い。
僕は無慈悲に女の顔面目掛けて杖を振り下ろしたのだが、それが途中で物凄い力によって止まってしまったのは何故?
見れば、ショボが僕の杖を掴んで止めていた。
つ、都合よく現れやがって!
「ショ、ショボ! 放せお!」
「女性に手を出すとは大人気ない。ギコと同じ臭いがするぞ」
「ちくしょぉぉぉおー!!!」
……あれ? そんなこんなしている間に、僕は数人の男に囲まれているのに気付く。
先程まで鍛錬していた男たちや、軽い鎧をまとった騎士たちや……。
え、僕どうなるんだろう?
ついカッとなったが、これってやっぱり僕も悪い?
「申し訳ございませんでした!」
と、次の瞬間、男の一人が土下座した。
何故土下座されているのかが全く持ってわからない。
- 52 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:19:56.95 ID:eTc2m/Eo0
- 「どうかしましたかお?」
「ここではなんですので、こちらへどうぞ…」
今度は別の男が僕とショボの背中に手をやったかと思うと、そのまま持ち上げられた。
僕らは、担がれているようだ。
「自分で歩きますお!」
「滅相も無い」
僕らを担いでいる男たちだが、とにかく臭い!!
汗臭い! 汗拭いていない! うぉぇ。
男たちは、上半身裸で。汗が直接僕の顔だとか手足にこびりつく。
気持ち悪い、気持ち悪い。
お願いだから降ろしてくれ、とショボも叫んでいたが、その悲痛な叫びは何処か広い部屋に入るまでおさまらなかった。
- 53 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:20:58.64 ID:eTc2m/Eo0
- 「すいません。あの娘、異常な性癖の持ち主でして………解雇しました」
「はあ、それはどうもですお」
男の出してくれたお茶をすすりながら会話。
唇が湿って、滑舌が先程より良くなった気がする。
あの娘って、汗大好きなあの女か。
「そんなことより、僕たちは護衛を探しに来たんですけれど」
「はい。了解しております。おーい、ドクオ!」
煎餅を頬張るショボに言われ、責任者であろう男がドアのほうへ手招きをして声をかける。
そうすると、やけに陰気な雰囲気をした青年が出てきた。
が、その体はしっかりと鍛えられたものだ。
腰に挿すその剣も、帝国騎士の上級兵が使うものと教科書で見たことがある。
つまり彼は、この詰所のエリートに当たるのだろう。
「お呼びですか」
「うむ。今回、こちらの方々の護衛についてもらう」
ドクオという名の騎士は、詰所の責任者に紹介され、僕らの目の前に出た。
こうして見ると、背が高い事が分かる。とても強そうだ。
ドクオは僕らの目を見た後、ひざまずき、頭を垂れて、
「初めまして。私はドクオと申します。不束者ですが、どうぞよろしく」
その律儀な態度に一瞬返答を困ったが、そこは真面目なショボがカバーしてくれる。
- 54 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:21:30.95 ID:eTc2m/Eo0
- 「僕はショボ。リスボンの街を目指しています。こいつはブーンと言います。どうぞ、よろしく」
「こちらこそ。宜しく、ブーンにショボ」
ドクオとショボが、僕を置き去りにして会話を進めていた。
世知辛い世間の常識はよく分からない。
僕は責任者の出したお茶をゆっくりとすすりながら、二人の会話を聞き流すしかなかった。
のだが。
「おいブーン、お前も少しは挨拶しろよ」
とショボに促され、しぶしぶドクオ氏の方を向く。
その眼光は凍てつくほどに鋭く、これが騎士なのかと思わせるほどであった。
「僕はブーンですお。リスボンまでよろしくお願いしますお」
「ああ、宜しく」
ドクオと握手した。
手が少し汗ばんでいたような気がする。トレーニングでもしてたのだろうか。
そういえばこの男、汗臭いな。
「さて、出発はいつごろですか? 私はいつでも構いませんが」
「ちょっとお待ちを」
ショボが僕のほうに向き直る。
「ブーン、今から行きたいか? それとも明日行きたいか?」
「え? 別に今からでいいお。どうせ野宿するんだろうし」
「そうか。まあ僕は明日の朝からでもいいと思ったけどね。僕のあげたブレスレットしっかり付けろよ」
「は? あ、ああ………」
- 55 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:22:06.87 ID:eTc2m/Eo0
- まだ根に持っていたのか、と言おうとした瞬間には、ショボは既にドクオと会話していた。
ドクオは今から出発すると聞くなり、もう一振りの剣を腰に挿し、マントを羽織って、街の外で待っていますとだけ残して去っていった。
まったく、騎士と言う奴は何かと律儀な奴だなあ、と関心と同時に呆れた。
「ほらブーンも支度して。ドクオさんを待たせちゃ悪いよ」
「はいはいおkだお」
僕はショボに言われて、その場を後にした。
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:22:32.74 ID:6nuYmUF20
- 羽蟻うp
- 57 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:22:40.34 ID:eTc2m/Eo0
- さて、支度と言っても僕は夢の詰まったリュックを持ち出すだけで。
ショボはというと、買出しに行ってくると言って街に出て、数分したら戻ってきた。
その手には、沢山のわけの分からぬ品物が。
ロザリオだったり、リングだったり、またブレスレットだったり。
ショボの自腹だからいいけど、また紛い物でも買ってきたのか……。
その後、街の入り口でドクオ氏と合流した。
「おいすー」
「準備は出来ましたか。それでは行きましょうか」
「敬語なんて使わなくていいよ。息が詰まっちゃうでしょ」
「いえいえ。私よりクライアント様のほうが偉いのですから」
「そんなことねーおwww 僕ら守られてるだけだし^^」
「そうか。じゃあ敬語面倒だからタメ口になる」
「ちょwww豹変しすぎwwwww」
「知らんがな(´・ω・`)」
「敬語マンドクセ('A`)」
「ねーよwwwww」
「あるあるwwwww」
- 58 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:23:16.50 ID:eTc2m/Eo0
- リスボンまでは、先程も言ったが山一つ越えねばならない。
そこがどうも、登山するわけではなく廃坑のトンネルを進んでいくらしい。
長い間放置されていたので、吸血蝙蝠や山賊がいるかもしれない、とのことだ。
ドクオとショボがいるから多少は安心だが、それでも完全にとは行かない。
二人が十数人に勝つのは、ハッキリ言って不可能に等しい。
マンガやアニメでは一騎当千をよく見かけるが、あれは常人の持ちえる力で無い。
元は僕もドクオもショボも普通の人間なのだ。限界はある。
もう一人護衛を付けたほうが良いんじゃないのかと心配もされたが、ショボが何故か断った。
さてさて、その例の廃坑だが、ふもとの村から大して距離は無いのだ。
数十分ほど何事もなく歩き続けたら、山はもう見えた。
周りの山よりも大きくて、天嶮ほどとはいかないが圧倒された。
確かにこれは、山を登っていたら半月はかかりそうである。
「さて、では洞窟に入るが、俺を先頭にしろよ」
「しんがりは僕がやるよ。ブーンは真ん中ね」
「ちょwwww何故wwww僕先頭がいいおwww」
「バーカ。弱い奴を先頭に出来るかよ。それにお前、道知らんだろうが」
「(;^ω^)」
そして僕らは、廃坑の内部へと向う。
- 59 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:23:47.11 ID:eTc2m/Eo0
- とても薄暗かった。
天井にはランプが吊るしてあったけど、どれも機能していない。
仕方なく、ショボが一々火炎の術でランプに火を灯して行った。
それでもまだ薄暗い。足元が怖い。
それに、外とは違ってえらく寒い。
おそらく、日の光など全く当たらないのだろう。
虫も何もいないし、コウモリもいないし。
これは別に護衛を付けなくてもいけたかも分からんね。
「何もいないね」
と、ショボも言う。
流石にここまで何も無いと、気が抜けてしまう。
「用心する事にこした事はない。準備を怠っているとそうでないとでは、何かあったときの対応が随分違うしな」
「ドクオは小難しいこと言うお」
「ブーンがバカなだけだろ。ドクオは今いい事言った」
やけにドクオを庇うショボ。
モーホーの気でもあるのかと思ってしまうぞ。
「はいはいワロスワロス」
「おいブーン、俺をあまり怒らせないほうがいい」
「短気はきんもーっ☆ だお」
「死ね。氏ねじゃなくて死ね」
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:23:52.60 ID:ggx3ApLH0
- ブーン関係ねぇし・・・
- 61 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:24:28.36 ID:eTc2m/Eo0
- ドクオと僕の声は、洞窟内に響いていた。
声が反響して、木霊が返ってくる。
何だか面白いな。
「そんなことよりヤッホーやがな(´・ω・`)」
僕より先にそれに気付いていたショボが、洞窟内で大声を。
ヤッホーやがな、と言う言葉は壁に当たり壁に当たり、耳に何重にもなって聞こえた。
やっぱり面白いな。
「俺いい事思いついた」
と、突然ドクオが。
「ん? 何?」
「ここで歌うたったら、響いてうまく聞こえるんじゃね?」
「んなこと(´・ω・`)知らんがな」
次の瞬間、ドクオは大きく息を吸い込んだ。
何か歌う気だ。まさかレモンジレンジじゃないよな…………。
「花びらの〜様に塵ゆく中で〜」
「ぐおおおおお!!」
- 62 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:25:01.69 ID:eTc2m/Eo0
- ドクオの調子はずれな声が、洞窟内に響き渡る……ッ。
皆様は、ジャイ○ンのリサイタルをご存知だろうか。
特殊な音波がみんなの耳を劈く……。
まさに、現実世界にジャイ○ンのリサイタルがあったらこんな感じだろう。酷い。
音が何重にも重なって耳が痛い。特殊音波を発するな。
お前はギコと気が合いそうだな。
なんて悠長な事を言っている間に、ショボが耳の辺りから血を吹き出して倒れた。
本気でこれはやばいぞ!
「おいドクオやめるお! ショボが死ぬお!」
「あ?」
そこでドクオの声が止んだ時、僕の耳には何かが空を切るような音が聞こえた。
それに咄嗟に反応したドクオが腰から剣を抜き、此方に飛んできたそれを叩き落す。
そして、叩き落したそれを見据え、
「なんだこれ、針?」
「針……? まさか………」
飛んできたのが針?
ショボは耳から血を吹き出して倒れたが、まさか怪音波でそうなったとは思えない。
ならば、ショボが倒れたのはまさか。
- 63 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:25:52.24 ID:eTc2m/Eo0
- 慌ててショボに駆け寄り、耳の辺りを見て見ると。
裁縫なんかに使うものよりは少し大きめの針………先端には毒か何かが塗ってある。
が、刺さって、そこから血をだらだらと流していた。
これは非常にまずい。
「おい、ブーン」
と、ドクオの緊張した声が聞こえた。
まさか、何かあったのか?
「なんだお?」
「お前はショボを介抱してろ。俺はコイツを片付けなきゃならねえ」
ドクオの視線の先には、三人の男がいた。
いずれも体格は良く、筋骨隆々。
そしてその手の中には、男たちに不釣り合いではない巨大な斧。
紛れもない。山賊だ。
「よぉ、ここは俺たちの縄張りだ」
山賊のうち一人が、野太い声で喋る。
それに反応し、ドクオは剣を構える。僕は、ショボに解毒の術をかける。
僕は術に関してはダメダメだが、幸いにも修士二級の杖がその威力を数倍に高めてくれるだろう。
「何が縄張りだ。屑どもが」
「あ? レンジファンがグダグダうるせえんだよ」
「何だと? レンジなめんじゃねーぞ」
「ブハハハ! こいつマジでレンジファンだぜ! きんもーっwwww☆」
- 64 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:26:08.58 ID:eTc2m/Eo0
- 笑う男。
怒るドクオ。
次の瞬間、ドクオの姿はその場から消える。
次にドクオが現れたのが見えたとき、山賊の一人がその場に前から倒れこんだ。
勿論、汚い鮮血を撒き散らして。
ドクオの剣が、速すぎる速度で山賊の首の脈だけを切り裂いたのだ。
その技巧な腕前、他の山賊に戦慄がはしる。
「やってくれるじゃんかよ。よくもインポッポを………」
「インポッポ? この薄汚い面の野郎か。安心しろよ、お前も後を追わせてやるから」
「へっ。来いよ、雑魚」
――――戦いの火蓋が、切って落とされた。
第二話 完
- 65 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:26:43.18 ID:eTc2m/Eo0
- 僕は投下マシーンやがな。
知らんがな。
不定期更新やがな。
聖闘士ちがうがな。
ノシやがな。
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:28:26.23 ID:7+54s9Uu0
- 乙
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:28:41.19 ID:QQ1OyTsY0
- 最初はつまらんと思ったが、
よく読むと面白いがな(´・ω・`)
続きwktk
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:28:49.98 ID:ggx3ApLH0
- まぁ・・・長文乙
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:29:32.10 ID:IwrrQqmmO
- さあさあ最後まで書けるか賭けた賭けた!!
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:29:41.79 ID:9TuVV5NG0
- 乙
- 71 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2006/07/02(日) 20:30:08.61 ID:eTc2m/Eo0
- 一応他の作品のように投げ出したりはしない
三話は半分近くできてる
十二話で絶対終わる
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:30:12.43 ID:6nuYmUF20
- 豆男が自分の作品を絵にされるのをどう思うかは知らないけど描いた
http://up2.viploader.net/pic/src/viploader213248.jpg
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:31:41.38 ID:7+54s9Uu0
- >>72
ちょwwww作品じゃないww
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:32:54.71 ID:eTc2m/Eo0
- 羽蟻うpはやめておくれ
では僕はちょっと私用に移ります
このスレは落としてくれて構わない
三話と四話が出来たらまた投下します
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:33:36.49 ID:IwrrQqmmO
- >>71
んっふっふ・・・俺も現在全く同じ思いなんだぜ?
まあ、ガンガッてな
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:34:54.44 ID:ggx3ApLH0
- このペースで12話まで書くと文章量が偉いことになりそう・・・
尊敬するよ。読んでないけど。
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:43:20.30 ID:6nuYmUF20
- http://up2.viploader.net/pic/src/viploader213281.jpg
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:46:40.87 ID:eTc2m/Eo0
- お前昨日ブーンを殺してる絵を書いてた奴だろ
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:50:01.83 ID:IwrrQqmmO
- なんか豆男も頑張ってるんだって思ったら、自分も頑張らなきゃって思えてきた
頑張ろう
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:50:55.36 ID:6nuYmUF20
- 昨日はレス安価漫画「邪気眼」の表紙しか描いてない
今日は地球は丸くないことを証明する絵しか描いてない
http://up2.viploader.net/pic/src/viploader213297.jpg
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/02(日) 20:54:34.83 ID:eTc2m/Eo0
- 羽蟻うpすんなお
それでは寝ますお
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